JP6584945B2 - 磁気ディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、磁気ディスク基板用研磨液組成物、シリカスラリーの製造方法、磁気ディスク基板の製造方法及び基板の研磨方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化のためには、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上させる必要がある。そのため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、平滑性及び平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)や表面欠陥低減(残留砥粒、スクラッチ、突起、ピット等の低減)が厳しく要求されている。
このような要求に対して、より平滑で、傷が少ないといった表面品質向上と生産性の向上を両立させる観点から、磁気ディスク基板の製造方法においては、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式が採用されることが多い。一般に、多段研磨方式の最終研磨工程、即ち、仕上げ研磨工程では、表面粗さの低減、スクラッチ、突起、ピット等の傷の低減という要求を満たすために、コロイダルシリカ粒子を含む仕上げ用研磨液組成物が使用され、仕上げ研磨工程より前の研磨工程(粗研磨工程ともいう)では、生産性向上の観点から、アルミナ粒子を砥粒として含む研磨液組成物が使用される。しかしながら、アルミナ粒子を砥粒として使用した場合、アルミナ粒子の基板への突き刺さりによって、磁気ディスク基板や、磁気ディスク基板に磁性層が施された磁気ディスクの欠陥を引き起こすことがある。
そこで、アルミナ粒子を含まず、シリカ粒子を砥粒として含有する研磨液組成物が提案されている(特許文献1〜3)。
特開2014−116057号公報 特開2012−111869号公報 特開2014−29754号公報
アルミナ粒子に代えてシリカ粒子を砥粒とした従来の研磨液組成物では、アルミナの付着や突き刺さり等によるアルミナの残留が抑制され、研磨後の基板表面の突起欠陥を低減できる。しかし、アルミナ粒子に代えてシリカ粒子を砥粒とした研磨液組成物を粗研磨に使用する場合、粗研磨における短波長うねりを低減させるためには、アルミナ粒子を含む研磨液組成物よりも長時間の研磨時間を要し、生産性が低下するという問題がある。
そこで、本開示は、砥粒としてシリカ粒子を使用した場合でも、粗研磨における研磨速度を大きく損ねることなく、粗研磨後の基板表面の短波長うねりを低減できる磁気ディスク基板用研磨液組成物を提供する。
本開示は、非球状シリカ粒子A、非イオン性有機化合物B及び水を含み、pHが、0.5以上6.0以下であり、前記非イオン性有機化合物Bは、分子量が300以下であり、分子内に水酸基及びエーテル結合から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物である、磁気ディスク基板用研磨液組成物(以下、本開示に係る研磨液組成物ともいう)に関する。
本開示は、少なくとも非球状シリカ粒子A、非イオン性有機化合物B及び水を配合する工程を有し、前記非イオン性有機化合物Bは、分子量が300以下であり、分子内に水酸基及びエーテル結合から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物である、磁気ディスク基板用研磨液組成物の製造に用いられるシリカスラリーの製造方法に関する。
本開示は、本開示に係る研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
本開示は、本開示に係る研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法に関する。
本開示によれば、砥粒としてシリカ粒子を使用した場合でも、粗研磨における研磨速度を大きく損ねることなく、粗研磨後の基板表面の短波長うねりを低減できるという効果が奏されうる。その結果、基板品質が向上した磁気ディスク基板の生産性を向上しうる。
図1は、金平糖型コロイダルシリカ砥粒の透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」ともいう)観察写真の一例である。 図2は、異形型コロイダルシリカ砥粒のTEM観察写真の一例である。
本開示は、非球状シリカ粒子と特定の非イオン性有機化合物を含有する研磨液組成物を粗研磨に用いることにより、研磨速度を大きく損ねることなく、短波長うねりを低減できるという知見に基づく。一般に、磁気ディスク基板の製造において、短波長うねりを低減できれば生産性も向上する。
本開示の研磨液組成物が研磨速度を大きく損ねることなく短波長うねりを低減できるメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推察される。非イオン性有機化合物が、特定官能基を有することで非球状シリカ粒子の表面に作用し、効率的にシリカ粒子の凝集を抑制する。そのため、研磨時においてシリカ粒子の基板への切削作用が均一になり、研磨速度を向上させると共に短波長うねりを低減できると考えられる。さらに、非イオン性有機化合物が低分子量であるため、切削作用への影響が最小限に抑えられ、研磨速度を維持又は向上できると考えられる。但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
すなわち、本開示に係る研磨液組成物は、非球状シリカ粒子A、非イオン性有機化合物B及び水を含み、pHが、0.5以上6.0以下であり、前記非イオン性有機化合物Bは、分子量が300以下であり、分子内に水酸基及びエーテル結合から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物である、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
本開示において基板の「うねり」とは、粗さよりも波長の長い基板表面の凹凸をいう。本開示において「短波長うねり」とは、80〜500μmの波長により観測されるうねりをいう。研磨後の基板表面の短波長うねりが低減されることにより、磁気ディスクドライブにおいて磁気ヘッドの浮上量を低くすることができ、磁気ディスクの記録密度の向上が可能となる。基板表面の短波長うねりは、実施例に記載の方法により測定できる。
[非球状シリカ粒子A]
本開示に係る研磨液組成物は、上述したように、非球状シリカ粒子A(以下、「粒子A」ともいう)を含有する。
粒子Aの平均球形度は、0.60以上が好ましく、0.70以上がより好ましく、そして、0.85以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.75以下が更に好ましい。本開示において、粒子Aの平均球形度は、少なくとも200個の粒子Aの球形度の平均値である。粒子Aの球形度は、例えばTEMによる観察及び画像解析ソフト等を用いて、粒子Aの投影面積Sと投影周囲長Lとを求め、以下の式から算出できる。
球形度=4π×S/L2
個々の粒子Aの球形度は、前記平均球形度と同様、0.60以上が好ましく、0.70以上がより好ましく、そして、0.85以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.75以下が更に好ましい。
粒子Aの平均二次粒子径は、研磨速度を大きく損ねることなく短波長うねりを低減する観点から、50nm以上が好ましく、60nm以上がより好ましく、100nm以上が更に好ましく、110nm以上が更により好ましく、140nm以上が更により好ましく、そして、短波長うねりを低減する観点から、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、300nm以下が更に好ましく、200nm以下が更により好ましく、170nm以下が更により好ましい。
本開示において、粒子Aの平均二次粒子径とは、動的光散乱法により測定される散乱強度分布に基づく平均粒径をいう。本開示において「散乱強度分布」とは、動的光散乱法(DLS:Dynamic Light Scattering)又は準弾性光散乱(QLS:Quasielastic Light Scattering)により求められるサブミクロン以下の粒子の体積換算の粒径分布のことをいう。本開示における粒子Aの平均二次粒子径は、具体的には実施例に記載の方法により得ることができる。
粒子AのBET比表面積は、粗研磨における研磨速度を大きく損ねることなく、粗研磨後の基板表面の短波長うねりを低減する観点から、200m2/g以下が好ましく、100m2/g以下がより好ましく、80m2/g以下が更に好ましく、そして、同様の観点から、10m2/g以上が好ましく、20m2/g以上がより好ましく、30m2/g以上が更に好ましい。本開示において、BET比表面積は、窒素吸着法により算出できる。
粒子Aとしては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられる。研磨速度を大きく損ねることなく、短波長うねりを低減する観点から、粒子Aとしては、コロイダルシリカが好ましく、下記の特定の形状をもったコロイダルシリカがより好ましい。
粒子Aの形状は、研磨速度を大きく損ねることなく、短波長うねりを低減する観点から、好ましくは、粒子Aの二次粒子径よりも粒径が小さいシリカ粒子を前駆体粒子として、複数の前駆体粒子が凝集又は融着した形状である。粒子Aは、同様の観点から、金平糖型のシリカ粒子Aa、異形型のシリカ粒子Ab、及び異形かつ金平糖型のシリカ粒子Acから選ばれる少なくとも1種のシリカ粒子であることが好ましく、異形型のシリカ粒子Abがより好ましい。
本開示において、金平糖型のシリカ粒子Aa(以下、「粒子Aa」ともいう)は、球状の粒子表面に特異な疣状突起を有するシリカ粒子をいう(図1参照)。粒子Aaは、好ましくは、最も大きい前駆体粒子a1と、粒径が前駆体粒子a1の1/5以下である1個以上の前駆体粒子a2とが、凝集又は融着した形状である。粒子Aaは、好ましくは粒径の小さい複数の前駆体粒子a2が粒径の大きな1個の前駆体粒子a1に一部埋没した状態である。粒子Aaは、例えば、特開2008−137822号公報に記載の方法により、得られうる。前駆体粒子の粒径は、TEM等による観察画像において1個の前駆体粒子内で測定される円相当径、すなわち、前駆体粒子の投影面積と同じ面積である円の直径として求められうる。シリカ粒子Ab及びシリカ粒子Acにおける前駆体粒子の粒径も同様に求めることができる。
本開示において、異形型のシリカ粒子Ab(以下、「粒子Ab」ともいう)は、2個以上の前駆体粒子、好ましくは2個以上10個以下の前駆体粒子が凝集又は融着した形状のシリカ粒子をいう(図2参照)。粒子Abは、好ましくは、最も小さい前駆体粒子の粒径を基準にして、粒径が1.5倍以内の2個以上の前駆体粒子が、凝集又は融着した形状である。粒子Abは、例えば、特開2015−86102号公報に記載の方法により、得られうる。
本開示において、異形かつ金平糖型のシリカ粒子Ac(以下、「粒子Ac」ともいう)は、前記粒子Abを前駆体粒子c1とし、最も大きい前駆体粒子c1と、粒径が前駆体粒子c1の1/5以下である1個以上の前駆体粒子c2とが、凝集又は融着した形状である。
粒子Aは、好ましくは粒子Aa、Ab及びAcから選ばれる1種以上を含む。粒子A中の粒子Aa、Ab、及びAcの合計量は、研磨速度向上及び短波長うねり低減の観点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が更により好ましく、実質的に100質量%が更により好ましい
粒子Aは、粗研磨における研磨速度の低下抑制、短波長うねりの低減、並びに粗研磨及び仕上げ研磨後の突起欠陥低減の観点から、火炎溶融法、ゾルゲル法、及び粉砕法で製造されたものでもよいが、珪酸アルカリ水溶液を出発原料とする粒子成長法(以下、「水ガラス法」ともいう)により製造されたシリカ粒子であることが好ましい。粒子Aの使用形態としては、スラリー状であることが好ましい。
粒子Aの粒径分布を調整する方法は、例えば、その製造段階における粒子の成長過程で新たな核となる粒子を加えることにより所望の粒径分布を持たせる方法や、異なる粒径分布を有する2種類以上のシリカ粒子を混合して所望の粒径分布を持たせる方法が挙げられる。
研磨液組成物中の粒子Aの含有量は、研磨速度を大きく損ねることなく、短波長うねりを低減する観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、2質量%以上が更により好ましく、そして、経済性の観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、15質量%以下が更により好ましい。
本開示に係る研磨液組成物は、粒子A以外のシリカ粒子を含有してもよい。粒子A以外のシリカ粒子としては、突起欠陥の低減の観点から、好ましくは球状シリカ粒子である。前記球状シリカ粒子の球形度は、好ましくは0.86以上である。前記球形度は、粒子Aの球形度と同様の方法で測定できる。研磨液組成物中の前記粒子A以外のシリカ粒子の含有量は、研磨速度および短波長うねりの低減を大きく損なわない観点から、0質量%以上が好ましく、0質量%超がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、2.0質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1.2質量%以下がより好ましい。前記球状シリカ粒子と粒子Aとの質量比(球状シリカ粒子/粒子A)は、同様の観点から、0/100以上が好ましく、0/100超がより好ましく、そして、30/70以下が好ましく、25/75以下がより好ましく、20/80以下が更に好ましい。
[非イオン性有機化合物B]
本開示に係る研磨液組成物は、上述したように、非イオン性有機化合物B(以下、「化合物B」ともいう)を含有する。
化合物Bは、分子内に水酸基及びエーテル結合から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物である。化合物Bとしては、例えば、1以上の水酸基を有しエーテル結合を有さない化合物B1、1以上のエーテル結合を有し水酸基を有さない化合物B2、及び、1以上の水酸基と1以上のエーテル結合とを有する化合物B3から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
化合物Bの炭素数は、粗研磨における研磨速度を大きく損ねることなく、粗研磨後の基板表面の短波長うねりを低減する観点から、1以上であって、2以上が好ましく、そして、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。化合物B1の炭素数は、同様の観点から、1以上であって、2以上が好ましく、そして、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。化合物B2の炭素数は、同様の観点から、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、そして、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。化合物B3の炭素数は、同様の観点から、4以上が好ましく、6以上がより好ましく、そして、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。
化合物B1の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、及びグリセリンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。化合物B2の具体例としては、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及びジエチレングリコールジエチルエーテルから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。化合物B3の具体例としては、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリグリセリンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
化合物Bの分子量は、研磨速度を大きく損ねることなく短波長うねりを低減する観点から、30以上が好ましく、40以上がより好ましく、そして、300以下が好ましく、250以下がより好ましく、95以下が更に好ましい。化合物B1の分子量は、同様の観点から、30以上が好ましく、40以上がより好ましく、そして、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。化合物B2の分子量は、同様の観点から、70以上が好ましく、100以上がより好ましく、そして、200以下が好ましく、150以下がより好ましい。化合物B3の分子量は、同様の観点から、100以上が好ましく、120以上がより好ましく、140以上が更に好ましく、そして、300以下が好ましく、200以下がより好ましく、150以下が更に好ましい。
化合物Bの炭素原子当たりの分子量は、研磨速度を大きく損ねることなく短波長うねりを低減する観点から、15以上が好ましく、20以上がより好ましく、そして、40以下が好ましく、30以下がより好ましい。化合物B1の炭素原子当たりの分子量は、同様の観点から、20以上が好ましく、そして、35以下が好ましく、30以下がより好ましい。化合物B2の炭素原子当たりの分子量は、同様の観点から、15以上が好ましく、20以上がより好ましく、そして、30以下が好ましく、25以下がより好ましい。化合物B3の炭素原子当たりの分子量は、同様の観点から、20以上が好ましく、25以上がより好ましく、そして、40以下が好ましく、30以下がより好ましい。本開示において「炭素原子当たりの分子量」は、化合物Bの分子量を、化合物Bに含まれる炭素数で除することにより算出できる。
化合物Bの水酸基当たりの分子量は、研磨速度を大きく損ねることなく短波長うねりを低減する観点から、30以上が好ましく、35以上がより好ましく、そして、150以下が好ましく、100以下がより好ましい。化合物B1の水酸基当たりの分子量は、同様の観点から、30以上が好ましく、35以上がより好ましく、そして、50以下が好ましい。化合物B3の水酸基当たりの分子量は、同様の観点から、50以上が好ましく、そして、150以下が好ましく、100以下がより好ましい。本開示において「水酸基当たりの分子量」は、化合物Bの分子量を、化合物Bに含まれる水酸基の数で除することにより算出できる。
化合物Bのエーテル結合当たりの分子量は、研磨速度を大きく損ねることなく短波長うねりを低減する観点から、40以上が好ましく、45以上がより好ましく、そして、110以下が好ましく、80以下がより好ましい。化合物B2のエーテル結合当たりの分子量は、同様の観点から、40以上が好ましく、45以上がより好ましく、そして、75以下が好ましく、60以下がより好ましい。化合物B3のエーテル結合当たりの分子量は、同様の観点から、60以上が好ましく、そして、110以下が好ましく、80以下がより好ましい。本開示において「エーテル結合当たりの分子量」は、化合物Bの分子量を、化合物Bに含まれるエーテル結合の数で除することにより算出できる。
本開示に係る研磨液組成物中の化合物Bの含有量は、短波長うねりを低減する観点から、0.0001質量%以上が好ましく、0.0005質量%以上がより好ましく、0.001質量%以上が更に好ましく、0.005質量%以上が更により好ましく、そして、研磨速度を大きく損ねることなく短波長うねりを低減する観点から、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、0.05質量%以下が更により好ましい。
本開示に係る研磨液組成物中の化合物Bの含有量は、短波長うねりを低減する観点から、研磨液組成物中のシリカ粒子全体100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、0.005質量部以上がより好ましく、0.01質量部以上が更に好ましく、0.5質量部以上が更により好ましく、1.0質量部以上が更により好ましく、そして、研磨速度を大きく損ねることなく短波長うねりを低減する観点から、研磨液組成物中のシリカ粒子全体100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下が更に好ましい。本開示において、研磨液組成物が粒子A以外のその他のシリカ粒子を含む場合には、上記の研磨液組成物中のシリカ粒子全体100質量部に対する化合物Bの含有量とは、粒子A及び該粒子A以外のシリカ粒子の合計100質量部に対する含有量をいう。
[pH調整剤]
本開示に係る研磨液組成物のpHは、研磨速度向上及び短波長うねり低減の観点から、0.5以上6.0以下である。本開示に係る研磨液組成物は、研磨速度向上、短波長うねり低減、及びpHを調整する観点から、pH調整剤を含有することが好ましい。pH調整剤としては、同様の観点から、酸及び塩から選ばれる1種以上が好ましい。
酸としては、例えば、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸;有機リン酸、有機ホスホン酸等の有機酸;等が挙げられる。中でも、研磨速度向上及び短波長うねり低減の観点から、リン酸、硫酸及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、硫酸及びリン酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、リン酸が更に好ましい。
塩としては、例えば、上記の酸と、金属、アンモニア及びアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種との塩が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期表の1〜11族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨速度向上及び短波長うねり低減の観点から、上記の酸と、1族に属する金属又はアンモニアとの塩が好ましい。
研磨液組成物中のpH調整剤の含有量は、研磨速度を大幅に損なうことなく短波長うねりを低減する観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上が更により好ましく、そして、同様の観点から、5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下が更に好ましく、2.5質量%以下が更により好ましい。
[酸化剤]
本開示に係る研磨液組成物は、研磨速度向上及び短波長うねり低減の観点から、酸化剤を含有してもよい。酸化剤としては、同様の観点から、例えば、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、研磨速度向上の観点、被研磨基板の表面に金属イオンが付着しない観点及び入手容易性の観点から、過酸化水素がより好ましい。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物中の前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上及び短波長うねり低減の観点から、4.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。
[水]
本開示に係る研磨液組成物は、媒体として水を含有する。水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が挙げられる。研磨液組成物中の水の含有量は、研磨液組成物の取扱いが容易になる観点から、61質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、85質量%以上が更により好ましく、そして、同様の観点から、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましい。
[その他の成分]
本開示に係る研磨液組成物は、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。他の成分としては、化合物B以外の、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、研磨速度向上剤、界面活性剤、高分子化合物等が挙げられる。前記その他の成分は、本開示の効果を損なわない範囲で研磨液組成物中に含有されることが好ましく、研磨液組成物中の前記その他の成分の含有量は、0質量%以上が好ましく、0質量%超がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
[アルミナ砥粒]
本開示に係る研磨液組成物は、突起欠陥の低減の観点から、アルミナ砥粒の含有量が、0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.02質量%以下が更に好ましく、アルミナ砥粒を実質的に含まないことが更に好ましい。本開示において「アルミナ砥粒を実質的に含まない」とは、アルミナ粒子を含まないこと、砥粒として機能する量のアルミナ粒子を含まないこと、又は、研磨結果に影響を与える量のアルミナ粒子を含まないこと、を含みうる。アルミナ粒子の研磨液組成物中の含有量は、研磨液組成物中の砥粒全量に対し、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、実質的に0%であることが更により好ましい。
[pH]
本開示に係る研磨液組成物のpHは、研磨速度向上、及び短波長うねり低減の観点から、0.5以上であり、0.7以上が好ましく、0.9以上がより好ましく、1.0以上が更に好ましく、1.2以上が更により好ましく、1.4以上が更により好ましく、そして、同様の観点から、6.0以下であり、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましく、2.0以下が更により好ましい。pHは、前述のpH調整剤を用いて、調整することが好ましい。上記のpHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、好ましくは、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値である。
[研磨液組成物の製造方法]
本開示に係る研磨液組成物は、粒子A、化合物B及び水を配合してなり、pHが0.5以上6.0以下である。本開示に係る研磨液組成物は、例えば、粒子A及び化合物Bを含むシリカスラリーと、更に所望により、pH調整剤、酸化剤及びその他の成分とを公知の方法で配合し、pHを0.5以上6.0以下とすることにより製造できる。したがって、本開示は、少なくとも粒子A、化合物B及び水を配合する工程を含む、研磨液組成物の製造に用いられるシリカスラリーの製造方法に関する。さらに、本開示は、少なくとも粒子A、化合物B及び水を配合する工程を含み、必要に応じてpHを0.5以上6.0以下に調整する工程を含む、研磨液組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、粒子A、化合物B及び水、並びに必要に応じてpH調整剤、酸化剤及びその他の成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。シリカスラリー及び研磨液組成物の製造方法における各成分の好ましい配合量は、上述した本開示に係る研磨液組成物中の各成分の好ましい含有量と同じである。
本開示の研磨液組成物の製造方法は、シリカ粒子の分散性の観点から、好ましくは以下の工程を有する。
工程1:水と、pH調整剤と、任意で酸化剤を混合し、pH6.0以下の分散媒を調製する工程
工程2:前記分散媒と、粒子A及び化合物Bを含むシリカスラリーとを、混合する工程
工程1において、得られる分散媒のpHは、研磨液組成物のpHが所望の値となるように調整されることが好ましい。
本開示において「研磨液組成物中の各成分の含有量」とは、研磨液組成物を研磨に使用する時点での前記各成分の含有量をいう。したがって、本開示に係る研磨液組成物が濃縮物として作製された場合には、前記各成分の含有量はその濃縮分だけ高くなりうる。
[研磨液キット]
本開示は、研磨液組成物を製造するためのキットであって、前記粒子A及び前記化合物Bを含むシリカスラリーが容器に収納された容器入りスラリーを含む、研磨液キットに関する。本開示に係る研磨液キットは、前記容器入りスラリーとは別の容器に収納されたpH6.0以下の分散媒をさらに含むことができる。本開示によれば、砥粒としてシリカ粒子を使用した場合でも、研磨速度を大きく損ねることなく短波長うねりを低減できる研磨液組成物が得られうる研磨液キットを提供できる。
本開示に係る研磨液キットとしては、例えば、前記粒子A及び前記化合物Bを含有するシリカスラリー(第1液)と、被研磨物の研磨に用いる研磨液組成物に配合され得る他の成分を含む溶液(第2液)とが、相互に混合されていない状態で保存されており、これらが使用時に混合される研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。研磨液組成物に配合され得る他の成分としては、例えば、pH調整剤、酸化剤等が挙げられる。前記第1液及び第2液には、各々必要に応じて任意成分が含まれていても良い。該任意成分としては、例えば、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、研磨速度向上剤、界面活性剤、高分子化合物等が挙げられる。
[被研磨基板]
本開示に係る研磨液組成物が研磨の対象とする被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板であり、例えば、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板が好ましい。本開示において「Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板」とは、アルミニウム合金基材の表面を研削後、無電解Ni−Pメッキ処理したものをいう。被研磨基板の表面を本開示に係る研磨液組成物を用いて研磨する工程の後、スパッタ等でその基板表面に磁性層を形成する工程を行うことにより磁気ディスク基板を製造できうる。被研磨基板の形状は、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が挙げられ、好ましくはディスク状の被研磨基板である。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば10〜120mmであり、その厚みは例えば0.5〜2mmである。
一般に、磁気ディスクは、研削工程を経た被研磨基板が、粗研磨工程、仕上げ研磨工程を経て研磨され、磁性層形成工程を経て製造される。本開示に係る研磨液組成物は、粗研磨工程における研磨に使用されることが好ましい。
[磁気ディスク基板の製造方法]
本開示は、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう)を含む、磁気ディスク基板の製造方法(以下、「本開示に係る基板製造方法」ともいう。)に関する。本開示に係る基板製法方法における、本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程は、粗研磨工程であることが好ましい。
本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程では、例えば、研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本開示に係る研磨液組成物を研磨面に供給し、圧力を加えながら研磨パッドや被研磨基板を動かすことにより、被研磨基板を研磨することができる。
本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、研磨速度向上、及び短波長うねり低減の観点から、3kPa以上が好ましく、5kPa以上がより好ましく、7kPa以上が更に好ましく、そして、30kPa以下が好ましく、25kPa以下がより好ましく、20kPa以下が更に好ましい。本開示において「研磨荷重」とは、研磨時に被研磨基板の被研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。研磨荷重の調整は、定盤や基板等への空気圧や重りの負荷によって行うことができる。
本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程における、被研磨基板1cm2あたりの研磨量は、研磨速度向上及び短波長うねり低減の観点から、0.20mg以上が好ましく、0.30mg以上がより好ましく、0.40mg以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、2.50mg以下が好ましく、2.00mg以下がより好ましく、1.60mg以下が更に好ましい。
本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程における、被研磨基板1cm2あたりの研磨液組成物の供給速度は、経済性の観点から、2.5mL/分以下が好ましく、2.0mL/分以下がより好ましく、1.5mL/分以下が更に好ましく、そして、研磨速度の向上の観点から、被研磨基板1cm2あたり0.01mL/分以上が好ましく、0.03mL/分以上がより好ましく、0.05mL/分以上が更に好ましい。
本開示に係る研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えば、ポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の保存安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、前記複数の配合用成分液が混合され、本開示に係る研磨液組成物となる。
本開示に係る基板製造方法によれば、粗研磨における研磨速度を大幅に損なうことなく、粗研磨後の基板表面の短波長うねりを低減できるため、基板品質が向上した磁気ディスク基板を効率よく製造できるという効果が奏されうる。
[研磨方法]
本開示は、本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程を含む、磁気ディスク基板の研磨方法(以下、本開示に係る研磨方法ともいう)に関する。本開示に係る研磨方法における、本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程は、粗研磨工程であることが好ましい。
本開示に係る研磨方法を使用することにより、粗研磨における研磨速度を大幅に損なうことなく、粗研磨後の基板表面の短波長うねりを低減できるため、基板品質が向上した磁気ディスク基板の生産性を向上できるという効果が奏されうる。具体的な研磨の方法及び条件は、上述した本開示に係る基板製造方法と同じようにすることができる。
以下、実施例により本開示を更に詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
1.研磨液組成物の調製
表1の砥粒(コロイダルシリカ)、表2の添加剤、酸(リン酸)、酸化剤(過酸化水素)、及び水を用い、実施例1〜21及び比較例1〜10の研磨液組成物を調製した(表3)。研磨液組成物中の各成分の含有量は、砥粒:6.0質量%、添加剤:0.0017〜17%(対砥粒比)、リン酸:2質量%、過酸化水素:1質量%とした。研磨液組成物のpHは1.4であった。表1のシリカ砥粒のコロイダルシリカ粒子は、水ガラス法により製造されたものである。pHは、pHメータ(東亜ディーケーケー社製)を用いて測定し、電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値を採用した。表2において、「炭素原子当たりの分子量」は、化合物の分子量を、該化合物に含まれる炭素数で除し、さらに、小数点第1位を四捨五入した値である。「水酸基当たりの分子量」は、化合物の分子量を、該化合物に含まれる水酸基の数で除し、さらに、小数点第1位を四捨五入した値である。「エーテル結合当たりの分子量」は、化合物の分子量を、該化合物に含まれるエーテル結合の数で除し、さらに、小数点第1位を四捨五入した値である。
2.各パラメータの測定方法
[シリカ粒子の平均二次粒子径の測定方法]
シリカ粒子をイオン交換水で希釈し、シリカ粒子を1質量%含有する分散液を作製した。そして、該分散液を下記測定装置内に投入し、シリカ粒子の体積粒度分布を得た。得られた体積粒度分布の累積体積頻度が50%となる粒径(Z-average値)を平均二次粒子径とした。
測定機器:マルバーン ゼータサイザー ナノ「Nano S」
測定条件:サンプル量 1.5mL
:レーザー He−Ne、3.0mW、633nm
:散乱光検出角 173°
[BET比表面積の測定方法]
BET比表面積(m2/g)は、下記の[前処理]をした後、測定サンプル約0.1gを測定セルに小数点以下4桁(0.1mgの桁)まで精量し、比表面積の測定直前に110℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、比表面積測定装置(マイクロメリティック自動比表面積測定装置、フローソーブIII2305、島津製作所製)を用いてBET法により測定した。
[前処理]
スラリー状の粒子をシャーレにとり150℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させた。乾燥後の試料をメノウ乳鉢で細かく粉砕して測定サンプルを得た。
[シリカ粒子の平均球形度の測定方法]
シリカ粒子をTEM(日本電子社製「JEM−2000FX」、80kV、1〜5万倍)で観察した写真をパーソナルコンピュータにスキャナで画像データとして取込み、解析ソフト(三谷商事「WinROOF(Ver.3.6)」)を用いて500個のシリカ粒子の投影画像データを解析した。そして、個々のシリカ粒子の投影面積Sと投影周囲長Lとから、下記式により個々のシリカ粒子の球形度を算出し、球形度の平均値(平均球形度)を得た。
球形度=4π×S/L2
3.基板の研磨
調製した実施例1〜21及び比較例1〜10の研磨液組成物を用いて、下記の研磨条件で被研磨基板を研磨した。
[研磨条件]
研磨機 :両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム社製)
被研磨基板 :Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板、厚さ1.27mm、直径95mm、枚数10枚
研磨液 :研磨液組成物
研磨パッド :スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー)、厚み:1.0mm、平均気孔径:30μm、表面層の圧縮率:2.5%(Filwel社製)
定盤回転数 :45rpm
研磨荷重 :9.8kPa(設定値)
研磨液供給量:100mL/min
研磨時間 :5分間
4.評価方法
[研磨速度の評価]
実施例1〜21及び比較例1〜10の研磨液組成物の研磨速度は、以下のようにして評価した。まず、研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius社製、「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の質量変化から質量減少量を求めた。全10枚の平均の質量減少量を研磨時間で割った値を研磨速度とし、下記式に導入することにより算出した。そして、比較例1を100とした相対値を算出した。
質量減少量(g)={研磨前の質量(g)−研磨後の質量(g)}
研磨速度(g/min)=質量減少量(g)/研磨時間(min)
(評価基準)
研磨速度(相対値):評価
95以上 :「A:研磨速度に優れ、生産性の向上が期待できる」
90以上95未満:「B:研磨速度が良好で、実生産には改良が必要」
90未満 :「C:生産性が低下する」
[うねり(短波長うねり)の評価]
研磨後の10枚の基板から任意に2枚を選択し、選択した各基板の両面を任意の3点(計12点)について、下記の条件で測定した。その12点の測定値の平均値を基板の短波長うねりとして算出した。
(測定条件)
機器:Zygo NewView5032
レンズ:2.5倍 Michelson
ズーム比:0.5倍
リムーブ:Cylinder
フィルター:FFT Fixed Band Pass
うねり波長:80〜500μm
エリア:4.33mm×5.77mm
(評価基準)
うねり(相対値):評価
91未満 :「A:うねりの低減効果に優れ、生産性の向上が期待できる」
91以上100未満:「B:うねりの低減効果が良好で、実生産可能」
100以上 :「C:実生産には改良が必要」
5.結果
各評価の結果を表3に示した。
表3に示されるように、粒子Aと特定の化合物Bとを含有する実施例1〜21は、特定の化合物Bを含有しない比較例1〜5及び10に比べて、研磨速度を大幅に損ねることなく、研磨後の短波長うねりが低減された。更に、実施例1〜21は、粒子Aを含有しない比較例6〜9に比べて、研磨速度が向上された。
本開示によれば、研磨速度を維持しつつ研磨後の短波長うねりを低減できるから、磁気ディスク基板の製造の生産性を向上できる。本開示は、磁気ディスク基板の製造に好適に用いることができる。

Claims (14)

  1. 非球状シリカ粒子A、非イオン性有機化合物B及び水を含み、
    pHが、0.5以上6.0以下であり、
    前記非イオン性有機化合物Bは、分子量が300以下であり、分子内に水酸基及びエーテル結合から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物である、
    粗研磨に用いられる磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  2. 前記非イオン性有機化合物Bは、1以上の水酸基を有しエーテル結合を有さない化合物B1、1以上のエーテル結合を有し水酸基を有さない化合物B2、及び、1以上の水酸基と1以上のエーテル結合とを有する化合物B3から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  3. 前記化合物B1の分子量は、95以下であり、
    前記化合物B2の分子量は、200以下であり、
    前記化合物B3の分子量は、300以下である、請求項2に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  4. 前記非イオン性有機化合物Bの含有量が、研磨液組成物中のシリカ粒子全体100質量部に対して、0.001質量部以上20質量部以下である、請求項1から3のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  5. 前記非球状シリカ粒子Aの平均球形度が、0.85以下である、請求項1から4のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  6. 前記非球状シリカ粒子Aの平均二次粒子径が、50nm以上500nm以下である、請求項1から5のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  7. アルミナ砥粒の含有量が、0.1質量%以下である、請求項1から6のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  8. 前記非球状シリカ粒子Aは、コロイダルシリカである、請求項1から7のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  9. Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板の研磨に用いられる、請求項1から8のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  10. pH調整剤を更に含む、請求項1から9のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  11. 酸化剤を更に含む、請求項1から10のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  12. 少なくとも非球状シリカ粒子A、非イオン性有機化合物B及び水を配合する工程を有し、
    前記非イオン性有機化合物Bは、分子量が300以下であり、分子内に水酸基及びエーテル結合から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物である、
    粗研磨に用いられる磁気ディスク基板用研磨液組成物の製造に用いられるシリカスラリーの製造方法。
  13. 請求項1から11のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
  14. 請求項1から11のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法。
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