JP6820723B2 - 磁気ディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、磁気ディスク基板用研磨液組成物及びシリカスラリーの製造方法、磁気ディスク基板の製造方法並びに基板の研磨方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化のためには、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上させる必要がある。そのため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、平滑性及び平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)や表面欠陥低減(残留砥粒、スクラッチ、突起、ピット等の低減)が厳しく要求されている。
このような要求に対して、より平滑で、傷が少ないといった表面品質向上と生産性の向上を両立させる観点から、磁気ディスク基板の製造方法においては、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式が採用されることが多い。一般に、多段研磨方式の最終研磨工程、即ち、仕上げ研磨工程では、表面粗さの低減、スクラッチ、突起、ピット等の傷の低減という要求を満たすために、コロイダルシリカ粒子を含む仕上げ用研磨液組成物が使用され、仕上げ研磨工程より前の研磨工程(粗研磨工程ともいう)では、生産性向上の観点から、アルミナ粒子を砥粒として含む研磨液組成物が使用される。しかしながら、アルミナ粒子を砥粒として使用した場合、アルミナ粒子の基板への突き刺さりによって、磁気ディスク基板や、磁気ディスク基板に磁性層が施された磁気ディスクの欠陥を引き起こすことがある。
そこで、アルミナ粒子を含まず、シリカ粒子を砥粒として含有する研磨液組成物が提案されている(特許文献1〜3)。
特開2014−116057号公報 特開2012−111869号公報 特開2014−29754号公報
アルミナ粒子に代えてシリカ粒子を砥粒とした従来の研磨液組成物では、アルミナの付着や突き刺さり等によるアルミナの残留が抑制され、研磨後の基板表面の突起欠陥を低減できる。しかし、アルミナ粒子に代えてシリカ粒子を砥粒とした研磨液組成物で粗研磨を行う場合、研磨後の基板表面の長波長うねりが問題となる。そして、粗研磨における長波長うねりを低減させるためには、アルミナ粒子を含む研磨液組成物よりも長時間の研磨時間を要し、生産性が低下するという問題がある。
そこで、本開示は、砥粒としてシリカ粒子を使用した場合でも、粗研磨における研磨速度を向上でき、粗研磨後の基板表面の長波長うねりを低減できる磁気ディスク基板用研磨液組成物を提供する。
本開示は、非球状シリカ粒子A及び水を含み、pHが、0.5以上6.0以下であり、遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において累積頻度が10%、50%、90%となる粒径をそれぞれD10、D50、D90としたとき、前記非球状シリカ粒子Aは、式(D90−D10)で表されるスパンが180nm以上であり、D50が180nm以上である、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
本開示は、少なくとも非球状シリカ粒子A及び水を配合する工程を有し、遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において累積頻度が10%、50%、90%となる粒径をそれぞれD10、D50、D90としたとき、前記非球状シリカ粒子Aは、式(D90−D10)で表されるスパンが180nm以上であり、D50が180nm以上である、磁気ディスク基板用研磨液組成物の製造に用いられるシリカスラリーの製造方法に関する。
本開示は、本開示に係る磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
本開示は、本開示に係る磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法に関する。
本開示によれば、砥粒としてシリカ粒子を使用した場合でも、粗研磨における研磨速度を向上でき、粗研磨後の基板表面の長波長うねりを低減できるという効果が奏されうる。その結果、基板品質が向上した磁気ディスク基板の生産性を向上しうる。
図1は、金平糖型コロイダルシリカ砥粒の透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」ともいう)観察写真の一例である。 図2は、異形型コロイダルシリカ砥粒のTEM観察写真の一例である。
本開示は、大粒径で、粒径分布がブロード化された非球状シリカ粒子を含有する研磨液組成物を粗研磨に用いることにより、研磨速度を向上でき、長波長うねりを低減できるという知見に基づく。一般に、磁気ディスク基板の製造において、長波長うねりを低減できれば生産性も向上する。
本開示の効果が発現するメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推察される。大粒径の非球状シリカ粒子の粒度分布をブロード化することで、大径側の粒子間隙間に小径側の粒子が入り込み、研磨中の研磨パッドと基板の被研磨面との間における砥粒の充填率が高くなると考えられる。そのため、被研磨面に対する砥粒の接触面積の拡大による基板の切削面積の増加、研磨時に基板に印加される研磨荷重の広範囲にわたる均一化等により、研磨速度を維持あるいは向上できると考えられる。さらに、研磨時に研磨パッドと基板との間に起こる振動の大きさを小さくすることができ、長波長うねりを低減できると考えられる。また、大粒径で、粒径分布がブロード化された非球状シリカ粒子を含有する研磨液組成物に球状粒子をさらに含有させた場合、研磨速度をより向上でき、長波長うねりをより低減できると考えられる。ただし、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
すなわち、本開示は、非球状シリカ粒子A及び水を含み、pHが、0.5以上6.0以下であり、遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において累積頻度が10%、50%、90%となる粒径をそれぞれD10、D50、D90としたとき、前記非球状シリカ粒子Aは、式(D90−D10)で表されるスパンが180nm以上であり、D50が180nm以上である、磁気ディスク基板用研磨液組成物(以下、「本開示に係る研磨液組成物」ともいう)に関する。
本開示において基板の「うねり」とは、粗さよりも波長の長い基板表面の凹凸をいう。本開示において「長波長うねり」とは、500〜5000μmの波長により観測されるうねりをいう。研磨後の基板表面の長波長うねりが低減されることにより、磁気ディスクドライブにおいて磁気ヘッドの浮上量を低くすることができ、磁気ディスクの記録密度の向上が可能となる。基板表面の長波長うねりは、実施例に記載の方法により測定できる。
[非球状シリカ粒子A]
本開示に係る研磨液組成物は、非球状シリカ粒子A(以下、「粒子A」ともいう)を含有する。粒子Aは、1種類の非球状シリカ粒子であってもよく、2種類以上の非球状シリカ粒子の組み合わせであってもよい。
粒子Aの遠心沈降法による重量換算での平均粒径D50(以下、「平均二次粒子径D2A」ともいう)は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、180nm以上であって、研磨速度向上の観点から、200nm以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、350nm以下が更に好ましい。本開示において、平均粒径D50とは、遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において累積頻度が50%となる粒径をいう。具体的には、実施例に記載の測定方法により算出できる。
粒子Aのスパン(以下、「スパンSA」ともいう)は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、180nm以上であって、研磨速度向上の観点から、240nm以上が好ましく、360nm以上がより好ましく、そして、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、700nm以下が好ましく、600nm以下がより好ましく、500nm以下が更に好ましい。本開示において、スパンSAは、式(D90−D10)により算出される値である。ここで、D10及びD90はそれぞれ、遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において累積頻度が10%、90%となる粒径をいう。
粒子AのD90は、研磨速度向上の観点から、350nm以上が好ましく、500nm以上がより好ましく、550nm以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、1000nm以下が好ましく、800nm以下がより好ましく、700nm以下が更に好ましい。
粒子AのD90/D50は、長波長うねり低減の観点から、1.55以上が好ましく、1.60以上がより好ましく、1.70以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、3.00以下が好ましく、2.80以下がより好ましく、2.50以下が更に好ましい。
粒子Aの粒径分布を調整する方法の一実施形態として、例えば、その製造段階における粒子の成長過程において、粒子成長時間、粒子温度、粒子濃度等を調整する方法が挙げられる。粒子Aの粒径分布を調整する方法の他の実施形態として、例えば、その製造段階における粒子の成長過程で新たな核となる粒子を加えることにより所望の粒径分布を持たせる方法、異なる粒径分布を有する2種類以上のシリカ粒子を混合して所望の粒径分布を持たせる方法等が挙げられる。
粒子AのBET比表面積は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、35m2/g以下が好ましく、30m2/g以下がより好ましく、25m2/g以下が更に好ましく、そして、10m2/g以上が好ましく、15m2/g以上がより好ましく、20m2/g以上が更に好ましい。本開示において、BET比表面積は、窒素吸着法(以下「BET法」ともいう)により算出できる。具体的には、実施例に記載の測定方法により算出できる。
粒子Aの平均球形度は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、0.60以上が好ましく、0.70以上がより好ましく、そして、0.85以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.75以下が更に好ましい。本開示において、粒子Aの平均球形度は、少なくとも200個の粒子Aの球形度の平均値である。粒子Aの球形度は、例えばTEMによる観察及び画像解析ソフト等を用いて、粒子Aの投影面積Sと投影周囲長Lとを求め、以下の式から算出できる。
球形度=4π×S/L2
個々の粒子Aの球形度は、前記平均球形度と同様、0.60以上が好ましく、0.70以上がより好ましく、そして、0.85以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.75以下が更に好ましい。
粒子Aの平均短径は、研磨速度向上の観点から、160nm以上が好ましく、180nm以上がより好ましく、185nm以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、500nm以下が好ましく、450nm以下がより好ましく、400nm以下が更に好ましい。本開示において、粒子Aの平均短径は、少なくとも200個の粒子Aの短径の平均値である。粒子Aの短径は、例えばTEMによる観察及び画像解析ソフト等を用いて、投影された粒子Aの画像に外接する最小の長方形を描いたときの、前記長方形の短辺の長さである。
粒子Aの平均一次粒子径D1Aは、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、100nm以上が好ましく、120nm以上がより好ましく、150nm以上が更に好ましく、そして、長波長うねり低減の観点から、400nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、250nm以下が更に好ましい。本開示において、粒子Aの平均一次粒子径D1Aは、電子顕微鏡(TEM)観察画像において円相当径として求められる粒子径の数平均値である。具体的には、実施例に記載の測定方法により算出できる。
粒子Aとしては、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられる。研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、粒子Aとしては、コロイダルシリカが好ましく、下記の特定の形状をもったコロイダルシリカがより好ましい。
粒子Aの形状は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、例えば、粒子Aの二次粒子径よりも粒径が小さいシリカ粒子を前駆体粒子として、複数の前駆体粒子が、凝集又は融着した形状が挙げられる。粒子Aは、同様の観点から、金平糖型のシリカ粒子Aa、異形型のシリカ粒子Ab、及び異形かつ金平糖型のシリカ粒子Acから選ばれる少なくとも1種のシリカ粒子であることが好ましく、異形型のシリカ粒子Abがより好ましい。
本開示において、金平糖型のシリカ粒子Aa(以下、「粒子Aa」ともいう)は、球状の粒子表面に特異な疣状突起を有するシリカ粒子をいう(図1参照)。粒子Aaは、好ましくは、最も大きい前駆体粒子a1と、粒径が前駆体粒子a1の1/5以下である1個以上の前駆体粒子a2とが、凝集又は融着した形状である。粒子Aaは、好ましくは粒径の小さい複数の前駆体粒子a2が粒径の大きな1個の前駆体粒子a1に一部埋没した状態である。粒子Aaは、例えば、特開2008−137822号公報に記載の方法により、得られうる。前駆体粒子の粒径は、TEM等による観察画像において1個の前駆体粒子内で測定される円相当径、すなわち、前駆体粒子の投影面積と同じ面積である円の直径として求められうる。シリカ粒子Ab及びシリカ粒子Acにおける前駆体粒子の粒径も同様に求めることができる。
本開示において、異形型のシリカ粒子Ab(以下、「粒子Ab」ともいう)は、2個以上の前駆体粒子、好ましくは2個以上10個以下の前駆体粒子が凝集又は融着した形状のシリカ粒子をいう(図2参照)。粒子Abは、好ましくは、最も小さい前駆体粒子の粒径を基準にして、粒径が1.5倍以内の2個以上の前駆体粒子が、凝集又は融着した形状である。粒子Abは、例えば、特開2015−86102号公報に記載の方法により、得られうる。
本開示において、異形かつ金平糖型のシリカ粒子Ac(以下、「粒子Ac」ともいう)は、前記粒子Abを前駆体粒子c1とし、最も大きい前駆体粒子c1と、粒径が前駆体粒子c1の1/5以下である1個以上の前駆体粒子c2とが、凝集又は融着した形状である。
粒子Aは、例えば、粒子Aa、Ab及びAcから選ばれる1種以上を含むことができる。粒子A中の粒子Aa、Ab、及びAcの合計量は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が更により好ましく、実質的に100質量%が更により好ましい。
粒子Aは、研磨速度向上及び長波長うねりの低減の観点から、火炎溶融法、ゾルゲル法、及び粉砕法で製造されたものでもよいが、珪酸アルカリ水溶液を出発原料とする粒子成長法(以下、「水ガラス法」ともいう)により製造されたシリカ粒子であることが好ましい。粒子Aの使用形態としては、スラリー状であることが好ましい。
研磨液組成物中の粒子Aの含有量は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、2質量%以上が更により好ましく、そして、経済性の観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、15質量%以下が更により好ましい。
[球状シリカ粒子B]
本開示に係る研磨液組成物は、長波長うねり低減の観点から、球状シリカ粒子B(以下、「粒子B」ともいう)をさらに含有することが好ましい。粒子Bは、1種類の球状シリカ粒子であってもよく、2種類以上の球状シリカ粒子の組み合わせであってもよい。
粒子Bの遠心沈降法による重量換算での平均粒径D50(以下、「平均二次粒子径D2B」ともいう)は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、20nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましく、90nm以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、200nm以下が好ましく、180nm以下がより好ましく、160nm以下が更に好ましい。粒子Bの平均粒径D50(平均二次粒子径D2B)は、粒子Aの平均粒径D50と同じ方法で算出できる。
粒子Bの平均粒径D50は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、粒子Aの平均粒径D50よりも小さいことが好ましい。粒子Aの平均粒径D50に対する粒子Bの平均粒径D50の比B/Aは、研磨速度向上の観点から、0.12以上が好ましく、0.20以上がより好ましく、0.30以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、0.85以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.70以下が更に好ましい。
粒子Bのスパン(以下、「スパンSB」ともいう)は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、100nm以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、500nm以下が好ましく、450nm以下がより好ましく、400nm以下が更に好ましい。本開示において、スパンSBは、スパンSAと同じ方法で測定できる。
粒子BのスパンSBは、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、粒子AのスパンSAよりも小さいことが好ましい。粒子Aと粒子Bとのスパンの差は、式(SA−SB)により算出される値であって、研磨速度向上の観点から、250nm以上が好ましく、260nm以上がより好ましく、340nm以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、700nm以下が好ましく、600nm以下がより好ましく、550nm以下が更に好ましい。
本開示において、粒子Bの平均球形度は、研磨速度向上及び長波長うねりの低減の観点から、0.86以上が好ましく、0.88以上がより好ましく、そして、同様の観点から、1.00以下であり、0.95以下が好ましい。粒子Bの平均球形度は、粒子Aの平均球形度と同じ方法で算出できる。個々の粒子Bの球形度は、前記平均粒径度と同様、0.86以上が好ましく、0.88以上がより好ましく、そして、1.00以下であり、0.95以下が好ましい。
粒子Bの平均短径は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、30nm以上が好ましく、45nm以上がより好ましく、85nm以上が更に好ましく、そして、200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、130nm以下が更に好ましい。粒子Bの平均短径は、粒子Aの平均短径と同じ方法で算出できる。
粒子Bの平均短径は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、粒子Aの平均短径よりも小さいことが好ましい。粒子Bの平均短径に対する粒子Aの平均短径の比(粒子Aの平均短径)/(粒子Bの平均短径)は、1.0超が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましく、2.5以上が更に好ましく、3.0以上が更に好ましく、そして、30.0以下が好ましく、15.0以下がより好ましく、10.0以下が更に好ましく、7.0以下が更に好ましく、4.0以下が更に好ましい。
粒子Bの平均一次粒子径D1Bは、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、35nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましく、50nm以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、150nm以下が好ましく、120nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。粒子Bの平均一次粒子径D1Bは、粒子Aの平均一次粒子径D1Aと同じ方法で算出できる。
粒子Bとしては、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられる。粒子Bとしては、例えば、一般的に市販されているコロイダルシリカが該当し得る。研磨速度向上及び長波長うねりの低減の観点から、粒子Bとしては、コロイダルシリカが好ましい。
粒子Bは、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、火炎溶融法、ゾルゲル法、及び粉砕法で製造されたものでもよいが、水ガラス法により製造されたシリカ粒子であることが好ましい。粒子Bの使用形態としては、スラリー状であることが好ましい。
本開示に係る研磨液組成物が粒子Bを含有する場合、研磨液組成物中の粒子Bの含有量は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましく、そして、経済性の観点から、20.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以下がより好ましく、10.0質量%以下が更に好ましい。
本開示に係る研磨液組成物が粒子A及び粒子Bを含有する場合、研磨液組成物中の粒子Bの含有量に対する粒子Aの含有量の比A/Bは、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、10/90以上が好ましく、20/80以上がより好ましく、50/50以上が更に好ましく、70/30以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、90/10以下が好ましく、85/15以下がより好ましい。粒子Bが2種類以上の球状シリカ粒子の組み合わせの場合、粒子Bの含有量はそれらの合計の含有量をいう。粒子Aの含有量も同様である。
本開示に係る研磨液組成物が粒子A及び粒子B以外のシリカ粒子を含有する場合、研磨液組成物中のシリカ粒子全体に対する粒子Aと粒子Bとの合計の含有量は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、98.0質量%以上が好ましく、98.5質量%以上がより好ましく、99.0質量%以上が更に好ましく、99.5質量%以上が更により好ましく、99.8質量%以上が更により好ましく、実質的に100質量%が更により好ましい。
[pH調整剤]
本開示に係る研磨液組成物は、研磨速度向上、長波長うねり低減、及びpHを調整する観点から、pH調整剤を含有することが好ましい。pH調整剤としては、同様の観点から、酸及び塩から選ばれる1種以上が好ましい。
酸としては、例えば、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸;有機リン酸、有機ホスホン酸等の有機酸;等が挙げられる。中でも、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、リン酸、硫酸及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、硫酸及びリン酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、硫酸が更に好ましい。
塩としては、例えば、上記の酸と、金属、アンモニア及びアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種との塩が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期表の1〜11族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨速度の向上及び長波長うねり低減の観点から、上記の酸と、1族に属する金属又はアンモニアとの塩が好ましい。
研磨液組成物中のpH調整剤の含有量は、研磨速度を大幅に損なうことなく長波長うねりを低減する観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上が更により好ましく、そして、同様の観点から、5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下が更に好ましく、2.5質量%以下が更により好ましい。
[酸化剤]
本開示に係る研磨液組成物は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、酸化剤を含有してもよい。酸化剤としては、同様の観点から、例えば、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、研磨速度向上の観点、被研磨基板の表面に金属イオンが付着しない観点及び入手容易性の観点から、過酸化水素がより好ましい。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物中の酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、4.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。
[水]
本開示に係る研磨液組成物は、媒体として水を含有する。水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が挙げられる。研磨液組成物中の水の含有量は、粒子A、粒子B、並びに、必要に応じて含有される上記pH調整剤、酸化剤、及び後述するその他の任意成分の残余とすることができる。
[その他の任意成分]
本開示に係る研磨液組成物は、必要に応じてその他の任意成分を含有してもよい。他の任意成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、研磨速度向上剤、界面活性剤、高分子化合物等が挙げられる。前記その他の任意成分は、本開示の効果を損なわない範囲で研磨液組成物中に含有されることが好ましく、研磨液組成物中の前記その他の任意成分の含有量は、0質量%以上が好ましく、0質量%超がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
[アルミナ砥粒]
本開示に係る研磨液組成物は、突起欠陥の低減の観点から、アルミナ砥粒の含有量が、0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.02質量%以下が更に好ましく、アルミナ砥粒を実質的に含まないことが更に好ましい。本開示において「アルミナ砥粒を実質的に含まない」とは、アルミナ粒子を含まないこと、砥粒として機能する量のアルミナ粒子を含まないこと、又は、研磨結果に影響を与える量のアルミナ粒子を含まないこと、を含みうる。研磨液組成物中のアルミナ粒子の含有量は、研磨液組成物中の砥粒全量に対し、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、実質的に0質量%であることが更により好ましい。
[pH]
本開示に係る研磨液組成物のpHは、研磨速度向上、及び長波長うねり低減の観点から、0.5以上であり、0.7以上が好ましく、0.9以上がより好ましく、1.0以上が更に好ましく、1.2以上が更により好ましく、1.4以上が更により好ましく、そして、同様の観点から、6.0以下であり、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましく、2.0以下が更により好ましい。pHは、前述のpH調整剤を用いて、調整することが好ましい。上記のpHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、好ましくは、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値である。
[研磨液組成物の製造方法]
本開示に係る研磨液組成物は、例えば、粒子Aを含むシリカスラリーと、更に所望により、pH調整剤、酸化剤及びその他の成分とを公知の方法で配合し、pHを0.5以上6.0以下とすることにより製造できる。前記シリカスラリーは、粒子Bをさらに含んでもよい。例えば、本開示に係る研磨液組成物は、少なくとも粒子A及び水を配合してなり、pHが0.5以上6.0以下である研磨液組成物とすることができる。したがって、本開示は、少なくとも粒子A及び水を配合する工程を含む、研磨液組成物の製造に用いられるシリカスラリーの製造方法に関する。さらに、本開示は、少なくとも粒子A及び水を配合する工程を含み、必要に応じてpHを0.5以上6.0以下に調整する工程を含む、研磨液組成物の製造方法(以下、「本開示に係る研磨液組成物の製造方法」ともいう)に関する。さらに、本開示において「配合する」とは、粒子A及び水、並びに必要に応じて粒子B、pH調整剤、酸化剤及びその他の成分から選ばれる少なくとも1種を同時に又は任意の順に混合することを含む。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。本開示に係る研磨液組成物の製造方法における各成分の配合量は、上述の本開示に係る研磨液組成物中の各成分の含有量と同じとすることができる。
本開示に係る研磨液組成物の製造方法は、シリカ粒子の分散性の観点から、好ましくは以下の工程を有する。
工程1:水と、pH調整剤と、任意で酸化剤を混合し、pH6.0以下の分散媒を調製する工程
工程2:前記分散媒と、粒子Aを含むシリカスラリーとを、混合する工程
工程1において、得られる分散媒のpHは、研磨液組成物のpHが所望の値となるように調整されることが好ましい。
本開示において「研磨液組成物中の各成分の含有量」とは、研磨液組成物を研磨に使用する時点での前記各成分の含有量をいう。したがって、本開示に係る研磨液組成物が濃縮物として作製された場合には、前記各成分の含有量はその濃縮分だけ高くなりうる。
[研磨液キット]
本開示は、研磨液組成物を製造するためのキットであって、前記粒子Aを含むシリカスラリーが容器に収納された容器入りスラリーを含む、研磨液キットに関する。本開示に係る研磨液キットは、前記容器入りスラリーとは別の容器に収納されたpH6.0以下の分散媒をさらに含むことができる。本開示によれば、砥粒としてシリカ粒子を使用した場合でも、粗研磨における研磨速度を大きく損ねることなく、粗研磨後の基板表面の長波長うねりを低減できる研磨液組成物が得られうる研磨液キットを提供できる。
本開示に係る研磨液キットとしては、例えば、粒子Aを含有するシリカスラリー(第1液)と、被研磨物の研磨に用いる研磨液組成物に配合され得る他の成分を含む溶液(第2液)とが、相互に混合されていない状態で保存されており、これらが使用時に混合される研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。研磨液組成物に配合され得る他の成分としては、例えば、pH調整剤、酸化剤等が挙げられる。前記第1液には、粒子Bがさらに含まれていてもよい。前記第1液及び第2液には、各々必要に応じて任意成分が含まれていてもよい。該任意成分としては、例えば、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、研磨速度向上剤、界面活性剤、高分子化合物等が挙げられる。
[被研磨基板]
本開示に係る研磨液組成物が研磨の対象とする被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板であり、例えば、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板が挙げられ、強度と扱いやすさの観点からNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板が好ましい。本開示において「Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板」とは、アルミニウム合金基材の表面を研削後、無電解Ni−Pメッキ処理したものをいう。被研磨基板の表面を本開示に係る研磨液組成物を用いて研磨する工程の後、スパッタ等でその基板表面に磁性層を形成する工程を行うことにより、磁気ディスクを製造できうる。被研磨基板の形状には、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が挙げられ、好ましくはディスク状の被研磨基板である。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は、例えば10〜120mmであり、その厚みは、例えば0.5〜2mmである。
一般に、磁気ディスクは、研削工程を経た被研磨基板が、粗研磨工程、仕上げ研磨工程を経て研磨され、磁性層形成工程を経て製造される。本開示に係る研磨液組成物は、粗研磨工程における研磨に使用されることが好ましい。
[磁気ディスク基板の製造方法]
本開示は、本開示に係る研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう)を含む、磁気ディスク基板の製造方法(以下、「本開示に係る基板製造方法」ともいう。)に関する。
本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程では、例えば、研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本開示に係る研磨液組成物を研磨面に供給し、圧力を加えながら研磨パッドや被研磨基板を動かすことにより、被研磨基板を研磨する。
本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、30kPa以下が好ましく、25kPa以下がより好ましく、20kPa以下が更に好ましく、そして、3kPa以上が好ましく、5kPa以上がより好ましく、7kPa以上が更に好ましい。本開示において「研磨荷重」とは、研磨時に被研磨基板の被研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。研磨荷重の調整は、定盤や基板等への空気圧や重りの負荷によって行うことができる。
本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程における、被研磨基板1cm2あたりの研磨量は、研磨速度向上及び長波長うねり低減の観点から、0.20mg以上が好ましく、0.30mg以上がより好ましく、0.40mg以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、2.50mg以下が好ましく、2.00mg以下がより好ましく、1.60mg以下が更に好ましい。
本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程における被研磨基板1cm2あたりの研磨液組成物の供給速度は、経済性の観点から、2.5mL/分以下が好ましく、2.0mL/分以下がより好ましく、1.5mL/分以下が更に好ましく、そして、研磨速度の向上の観点から、被研磨基板1cm2あたり0.01mL/分以上が好ましく、0.03mL/分以上がより好ましく、0.05mL/分以上が更に好ましい。
本開示に係る研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えば、ポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の保存安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本開示に係る研磨液組成物となる。
本開示に係る基板製造方法によれば、粗研磨における研磨速度を大幅に損なうことなく、粗研磨後の基板表面の長波長うねりを低減できるため、基板品質が向上した磁気ディスク基板を効率よく製造できるという効果が奏されうる。
[研磨方法]
本開示は、本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程を含む、基板の研磨方法(以下、本開示に係る研磨方法ともいう)に関する。
本開示に係る研磨方法を使用することにより、粗研磨における研磨速度を大幅に損なうことなく、粗研磨後の基板表面の長波長うねりを低減できるため、基板品質が向上した磁気ディスク基板の生産性を向上できるという効果が奏されうる。具体的な研磨の方法及び条件は、上述した本開示に係る基板製造方法と同じようにすることができる。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
1.研磨液組成物の調製
表1及び表2に示す砥粒(非球状シリカ粒子A、球状シリカ粒子B)、pH調整剤(硫酸)、酸化剤(過酸化水素)、及び水を用い、実施例1〜11及び比較例1〜5の研磨液組成物を調製した(表3)。調製は、水とpH調整剤と酸化剤とを予め混合して分散媒を調製し、分散媒と砥粒を含むスラリーとを混合して行った。実施例1〜11及び比較例1〜5の研磨液組成物中の各成分の含有量は、砥粒:6.5質量%、硫酸:0.5質量%、過酸化水素:0.5質量%であった。実施例1〜11及び比較例1〜5の研磨液組成物は、アルミナ砥粒を含んでいない。粒子A及び粒子Bは、水ガラス法により製造されたコロイダルシリカ粒子である。実施例1〜11及び比較例1〜5の研磨液組成物のpHは1.4であった。pHは、pHメータ(東亜ディーケーケー社製)を用いて測定し、電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値を採用した(以下、同様)。
2.各パラメータの測定方法
[シリカ粒子の平均一次粒子径、平均短径、及び平均球形度の測定方法]
シリカ粒子をTEM(日本電子社製「JEM−2000FX」、80kV、1〜5万倍)で観察した写真を、パーソナルコンピュータにスキャナで画像データとして取込み、解析ソフト(三谷商事「WinROOF(Ver.3.6)」)を用いて500個のシリカ粒子の投影画像について下記の通り解析した。
個々のシリカ粒子の円相当径として求められる粒子径の数平均を平均一次粒子径として得た。さらに、個々のシリカ粒子の短径を求め、短径の平均値(平均短径)を得た。さらに、個々のシリカ粒子の面積Sと周囲長Lとから、下記式により個々のシリカ粒子の球形度を算出し、球形度の平均値(平均球形度)を得た。
球形度=4π×S/L2
[シリカ粒子のBET比表面積の測定方法]
BET比表面積Sは、下記の[前処理]をした後、測定サンプル約0.1gを測定セルに小数点以下4桁(0.1mgの桁)まで精量し、比表面積の測定直前に110℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、比表面積測定装置(マイクロメリティック自動比表面積測定装置、フローソーブIII2305、島津製作所製)を用いてBET法により測定した。
<前処理>
スラリー状の粒子をシャーレにとり150℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させた。乾燥後の試料をメノウ乳鉢で細かく粉砕して測定サンプルを得た。
[シリカ粒子の平均二次粒子径、D10、及びD90の測定方法]
シリカ粒子をイオン交換水で希釈し、シリカ粒子を0.04〜0.4質量%含有する分散液を調製して試料とし、下記測定装置を用いて遠心沈降法による粒度分布を測定した。遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において累積頻度が10%、50%、90%となる粒径をそれぞれD10、D50(平均二次粒子径)、D90とした。
<測定条件>
測定装置:CPS Instruments社製の「CPS DC24000 UHR」
測定範囲:0.02〜3μm
粒子の消衰係数:0.1
粒子の形状因子:1.2 or 1.0
回転数:18,000rpm〜22,000rpm
3.基板の研磨
調製した実施例1〜11及び比較例1〜5の研磨液組成物を用いて、下記の研磨条件で被研磨基板を研磨した。
<研磨条件>
研磨機:両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム社製)
被研磨基板:Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板、厚み:1.27mm、直径95mm、枚数:10枚
研磨液:研磨液組成物
研磨パッド:スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー)、厚み:1.0mm、平均気孔径:30μm、表面層の圧縮率:2.5%(Filwel社製)
定盤回転数:40rpm
研磨荷重:9.8kPa(設定値)
研磨液供給量:60mL/min
研磨時間:5分00秒
4.評価方法
[研磨速度の評価]
実施例1〜11及び比較例1〜5の研磨液組成物の研磨速度は、以下のようにして評価した。まず、研磨前後の各基板1枚当たりの重さを計り(Sartorius社製、「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の質量変化から質量減少量を求めた。全10枚の平均の質量減少量を研磨時間で割った値を研磨速度とし、下記式により算出した。
質量減少量(g)={研磨前の質量(g)−研磨後の質量(g)}
研磨速度(mg/min)=質量減少量(mg)/研磨時間(min)
[長波長うねりの評価]
研磨後の10枚の両面、計20面について、下記の条件で測定した。その20面の測定値の平均値を基板の長波長うねりとして算出した。本評価において、長波長うねりは、磁気ディスクの記録密度向上の観点から、3.0Å以下が好ましく、2.7Å以下がより好ましく、2.4Å以下が更に好ましく、2.1Å以下が更に好ましい。
<測定条件>
測定機器: KLA Tencor社製「OptiFLAT III」
Radius Inside/Out: 14.87mm/47.83mm
Center X/Y: 55.44mm/53.38mm
Low Cutoff: 2.5mm
Inner Mask: 18.50mm
Outer Mask: 45.5mm
Long Period: 2.5mm
Wa Correction: 0.9
Rn Correction: 1.0
No Zernike Terms: 8
5.結果
各評価の結果を表3に示した。
表3に示されるように、所定の非球状シリカ粒子を含有する実施例1〜11は、所定の非球状シリカ粒子を含まない比較例1〜5に比べて、高い研磨速度を確保しつつ、研磨後の長波長うねりが低減された。
本開示によれば、研磨速度を確保しつつ研磨後の長波長うねりを低減できるから、磁気ディスク基板の製造の生産性を向上できる。本開示は、磁気ディスク基板の製造に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 非球状シリカ粒子A及び水を含み、
    pHが、0.5以上6.0以下であり、
    遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において累積頻度が10%、50%、90%となる粒径をそれぞれD10、D50、D90としたとき、前記非球状シリカ粒子Aは、式(D90−D10)で表されるスパンが180nm以上であり、D50が180nm以上である、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  2. 前記非球状シリカ粒子AのD90/D50は、1.55以上3.00以下である、請求項1に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  3. 前記非球状シリカ粒子AのBET比表面積が35m2/g以下である、請求項1又は2に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  4. 球状シリカ粒子Bをさらに含み、
    前記球状シリカ粒子Bの平均球形度が0.85以上1.00以下である請求項1から3のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  5. 前記球状シリカ粒子Bのスパンが、前記非球状シリカ粒子Aのスパンより小さい、請求項4に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  6. 前記球状シリカ粒子Bの含有量に対する前記非球状シリカ粒子Aの含有量の比が、10/90以上90/10以下である、請求項4又は5に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  7. アルミナ砥粒の含有量が、0.1質量%以下である、請求項1から6のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  8. 少なくとも非球状シリカ粒子A及び水を配合する工程を有し、
    遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において累積頻度が10%、50%、90%となる粒径をそれぞれD10、D50、D90としたとき、前記非球状シリカ粒子Aは、式(D90−D10)で表されるスパンが180nm以上であり、D50が180nm以上である、磁気ディスク基板用研磨液組成物の製造に用いられるシリカスラリーの製造方法。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
  10. 請求項1から7のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法。
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