JP2023169503A - シリカ系粒子分散液、磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー、磁気ディスク基板研磨用組成物、およびシリカ系粒子群の製造方法 - Google Patents

シリカ系粒子分散液、磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー、磁気ディスク基板研磨用組成物、およびシリカ系粒子群の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】研磨スラリーとして使用した場合に、うねりを小さくでき、かつ研磨速度を高くできるシリカ系粒子分散液の提供。【解決手段】以下の特徴を有するシリカ系粒子分散液。重量平均粒子径が特定範囲内。平均アスペクト比が1.35以上であり、第一粒子、第二粒子及び第三粒子を含む。第一粒子、第二粒子および第三粒子のそれぞれについて投影面積と等周囲円の面積との面積比が特定範囲である。重量換算粒子径分布おいて累積10%粒子径と、累積90%粒子径の粒子径比が2以上であること。重量換算粒子径分布における累積1%粒子径および累積99%粒子径の粒子径差の1/6を単位として、D1からD99までを6等分し、それぞれの領域S1からS6に対応する粒子含有率(質量%)の変動係数が100%以下であること。領域S1が最大であること。【選択図】なし

Description

本発明は、シリカ系粒子分散液、磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー、磁気ディスク基板研磨用組成物、およびシリカ系粒子群の製造方法に関する。
研磨用粒子としては、従来、シリカゾルやヒュームドシリカおよびヒュームドアルミナ等が用いられている。半導体の集積回路付基板の製造においては、シリコンウェハー上にアルミニウムの配線を形成し、この上に絶縁膜としてシリカ等の酸化膜を設ける。この場合に配線による凹凸が生じるので、この酸化膜を研磨して平坦化することが行われている。このような基板の研磨において、研磨後の表面は段差や凹凸がなく平坦で、さらにミクロな傷等もなく平滑であること、および高い研磨速度が求められている。
高い研磨速度を得る方法としては、サイズの大きな砥粒を使用することが一般的である。しかし、砥粒の粒子径が大きくなり過ぎると、研磨後の基板表面の平坦性が悪化する傾向にある。そこで、表面の平坦性を悪化させることなく高い研磨速度を得るために、砥粒を非球形とする、つまり砥粒を異形形状の粒子(異形粒子)とすることが有効である事が知られている。サイズの大きな異形形状の粒子を得る方法として、特許文献1のように、多孔質シリカゲルをビーズミルなどによって粉砕して異形多孔質ゲルを調製し、この異形多孔質ゲルを珪酸などによって粒子成長させることで、サイズが大きく、異形度の高い異形形状の粒子を得る方法が知られている。
特開2018-177576号公報
しかし、特許文献1に記載の研磨用組成物は、研磨速度は高いものの、研磨後の基板表面において高い平坦性を得ようとした場合は、異形粒子の粒子径をより小さく調製する必要があった。特許文献1の方法を用いて粒子径を小さくしようとした場合、原料に使用する多孔質シリカゲルを更に小さなサイズに粉砕するために繰り返し粉砕を行う必要がある。繰り返し粉砕を行うことで異形多孔質ゲルのサイズを小さくすることはできるが、同時に異形多孔質ゲルの異形度も低くなる。その結果として、珪酸などにより粒子成長させた後の異形シリカ粒子の異形度も低くなるため、研磨速度が低下するといった問題があった。また、異形多孔質ゲルを所定のサイズに粉砕するためには、何度も繰り返して粉砕を行う必要があるため、非効率で経済的でないという課題もあった。
本発明は、研磨スラリーとして使用した場合に、うねりを小さくでき、かつ研磨速度を高くできるシリカ系粒子分散液、並びに、磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー、磁気ディスク基板研磨用組成物、およびシリカ系粒子群の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討し、本発明を完成させた。本発明は以下の(1)~(8)である。
(1)異形シリカ系粒子および球状シリカ系粒子からなるシリカ系粒子群を含むシリカ系粒子分散液であって、下記[1]~[6]の特徴を有するシリカ系粒子分散液。
[1]前記シリカ系粒子群は重量平均粒子径が50nm以上600nm以下であること。
[2]前記シリカ系粒子群は画像解析法により測定された平均アスペクト比が1.35以上であり、更に、長径が10nm以上50nm未満である第一粒子、長径が50nm以上100nm未満である第二粒子及び長径が100nm以上である第三粒子を含み、前記第一粒子の平均アスペクト比が1.30以上、前記第二粒子の平均アスペクト比が1.35以上及び前記第三粒子の平均アスペクト比が1.43以上であること。
[3]前記第一粒子、前記第二粒子および前記第三粒子のそれぞれについて画像解析法で得られた投影面積(F1)と、投影周囲長に等しい周囲をもつ円の面積(F2)との面積比(F1/F2)の値の平均値の範囲が、それぞれ0.84以下、0.77以下及び0.66以下であること。
[4]前記シリカ系粒子群の重量換算粒子径分布おいて、粒子径の小さい粒子からの累積10%粒子径(D10)と、累積90%粒子径(D90)の粒子径比(D90/D10)が2以上であること。
[5]前記シリカ系粒子群の重量換算粒子径分布における、粒子径の小さい粒子からの累積1%粒子径(D1)および累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)の1/6を単位として、D1からD99までを6等分し、それぞれに対応する重量換算粒子径分布の領域を小粒子径側からS1、S2、S3、S4、S5及びS6とした際に、領域S1からS6のそれぞれに対応する粒子含有率(質量%)の変動係数が100%以下であること。
[6]前記領域S1、S2、S3、S4、S5及びS6のそれぞれ対応する粒子含有率(質量%)のうち、領域S1に対応する粒子含有率(質量%)が最大であること。
(2)前記第一粒子が細孔構造を備えない粒子であり、前記第二粒子及び前記第三粒子は何れも細孔構造を備える粒子である上記(1)記載のシリカ系粒子分散液。
(3)上記(1)または(2)に記載のシリカ系粒子分散液を含む、磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー。
(4)上記(1)または(2)に記載のシリカ系粒子分散液を含む、磁気ディスク基板研磨用組成物。
(5)異形シリカ系粒子および球状シリカ系粒子からなるシリカ系粒子群を製造する方法であって、下記工程1から下記工程3を含む、シリカ系粒子群の製造方法。
(工程1)下記数式(F1)で表される、粒子の強度が4~16GPaのシリカ系ゲルを、アルカリ性の条件下で、メディア(粒子径0.1~5mm)を用いて湿式解砕して、異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液を得る工程。
(工程2)前記異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液に、アルカリ性の条件下で珪酸液を添加して、前記異形シリカ系ゲルからなる粒子の一次粒子間の細孔を前記珪酸液に含まれる珪酸との反応によって埋めながら異形のまま粒子を成長させて異形シリカ系粒子を形成して、前記異形シリカ系粒子を含む溶液を得る工程。
(工程3)前記異形シリカ系粒子を含む溶液を濃縮し、シリカ系粒子群を回収する工程。
σ=[(1-ε)/π]・K・H/d2・・・(F1)
σ;粒子の強度[P]
d;粒子の比表面積換算粒子径[m]
K;粒子の平均配位数
ε;粉体の空隙率
π:円周率
H;付着力[N]
(6)前記工程1において、前記シリカ系ゲルの比表面積が50m2/g以上800m2/g以下であり、前記異形シリカ系ゲルからなる粒子の重量平均粒子径が40nm以上550nm以下であり、
前記工程3において、前記シリカ系粒子群は、比表面積が270m2/g以下であり、かつ、重量平均粒子径が50nm以上600nm以下である、上記(5)に記載のシリカ系粒子群の製造方法。
(7)前記工程1において、湿式粉砕する際のpHが8以上11.5以下であり、
前記工程2において、前記珪酸液を添加する際のpHが9以上12.5以下であり、前記珪酸液を添加した後のSiO2濃度が1質量%以上10質量%以下であり、前記珪酸液の添加の前または後に60℃以上170℃以下の温度に加温する、上記(5)または(6)に記載のシリカ系粒子群の製造方法。
(8)前記工程2において、前記珪酸液の添加量は、前記異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液のSiO2モル濃度に対して、前記珪酸液のSiOモル濃度が0.5モル倍以上20モル倍以下になる範囲である、上記(5)~(7)のいずれかに記載のシリカ系粒子群の製造方法。
本発明によれば、研磨スラリーとして使用した場合に、うねりを小さくでき、かつ研磨速度を高くできるシリカ系粒子分散液、並びに、磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー、磁気ディスク基板研磨用組成物、およびシリカ系粒子群の製造方法を提供できる。
本発明について説明する。
本発明は、異形シリカ系粒子および球状シリカ系粒子からなるシリカ系粒子群を含むシリカ系粒子分散液であって、下記[1]~[6]の特徴を有するシリカ系粒子分散液である。
[1]前記シリカ系粒子群は重量平均粒子径が50nm以上600nm以下であること。
[2]前記シリカ系粒子群は画像解析法により測定された平均アスペクト比が1.35以上であり、更に、長径が10nm以上50nm未満である第一粒子、長径が50nm以上100nm未満である第二粒子及び長径が100nm以上である第三粒子を含み、前記第一粒子の平均アスペクト比が1.30以上、前記第二粒子の平均アスペクト比が1.35以上及び前記第三粒子の平均アスペクト比が1.43以上であること。
[3]前記第一粒子、前記第二粒子および前記第三粒子のそれぞれについて画像解析法で得られた投影面積(F1)と、投影周囲長に等しい周囲をもつ円の面積(F2)との面積比(F1/F2)の値の平均値の範囲が、それぞれ0.84以下、0.77以下及び0.66以下であること。
[4]前記シリカ系粒子群の重量換算粒子径分布おいて、粒子径の小さい粒子からの累積10%粒子径(D10)と、累積90%粒子径(D90)の粒子径比(D90/D10)が2以上であること。
[5]前記シリカ系粒子群の重量換算粒子径分布における、粒子径の小さい粒子からの累積1%粒子径(D1)および累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)の1/6を単位として、D1からD99までを6等分し、それぞれに対応する重量換算粒子径分布の領域を小粒子径側からS1、S2、S3、S4、S5及びS6とした際に、領域S1からS6のそれぞれに対応する粒子含有率(質量%)の変動係数が100%以下であること。
[6]前記領域S1、S2、S3、S4、S5及びS6のそれぞれ対応する粒子含有率(質量%)のうち、領域S1に対応する粒子含有率(質量%)が最大であること。
このようなシリカ系粒子分散液を、以下では「本発明の分散液」ともいう。
また、本発明の分散液が含むシリカ系粒子群を、以下では「本発明のシリカ系粒子群」ともいう。
なお、本発明において「粒子群」の文言は、多数の粒子の集合を意味する。
また、本発明は、異形シリカ系粒子および球状シリカ系粒子からなるシリカ系粒子群を製造する方法であって、下記工程1から下記工程3を含む、シリカ系粒子群の製造方法である。
(工程1)下記数式(F1)で表される、粒子の強度が4~16GPaのシリカ系ゲルを、アルカリ性の条件下で、メディア(粒子径0.1~5mm)を用いて湿式解砕して、異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液を得る工程。
(工程2)前記異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液に、アルカリ性の条件下で珪酸液を添加して、前記異形シリカ系ゲルからなる粒子の一次粒子間の細孔を前記珪酸液に含まれる珪酸との反応によって埋めながら異形のまま粒子を成長させて異形シリカ系粒子を形成して、前記異形シリカ系粒子を含む溶液を得る工程。
(工程3)前記異形シリカ系粒子を含む溶液を濃縮し、シリカ系粒子群を回収する工程。
σ=[(1-ε)/π]・K・H/d2・・・(F1)
σ;粒子の強度[P]
d;粒子の比表面積換算粒子径[m]
K;粒子の平均配位数
ε;粉体の空隙率
π:円周率
H;付着力[N]
このようなシリカ系粒子群の製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
<球状シリカ系粒子と異形シリカ系粒子>
本発明のシリカ系粒子群は、異形シリカ系粒子および球状シリカ系粒子からなる。
球状シリカ系粒子は、形状が球状のシリカ系粒子のことをいう。また、異形シリカ系粒子は、球状シリカ系粒子以外の形状が異形(非球状)の粒子のことをいう。より具体的には、本願ではシリカ系粒子の電子顕微鏡(走査型電子顕微鏡)から得られる画像ないし写真を解析し(画像解析法)、粒子のアスペクト比の値が1.1以上の場合を異形シリカ系粒子とし、同じくアスペクト比の値が1.1未満の場合を球状シリカ系粒子とする。
なお、本発明のシリカ系粒子群に含まれる各粒子のアスペクト比は、後述する方法によって測定して得た値を意味するものとする。
前記異形シリカ系粒子としては、例えば、シリカ系粒子が粉砕されたシリカ微粒子や、このシリカ微粒子がシリカ一次微粒子となって連結した粒子連結型シリカ微粒子を挙げることができる。ここでシリカ一次微粒子が連結したとは、隣接するシリカ一次微粒子の間に生成した結合によって、隣接するシリカ一次微粒子同士が互いに固定化したことをいう。ここで結合の種類は特に限定されるものではないが、例えば隣接するシリカ一次微粒子のそれぞれの表面シラノール基同士の縮合反応により生じたシロキサン結合などの化学的結合を挙げることができる。
<重量平均粒子径>
本発明のシリカ系粒子群は、その重量平均粒子径が50nm以上600nm以下である。重量平均粒子径がこの範囲であれば、本発明の分散液を研磨用途に適用した場合、優れた研磨速度を得ることができ、更に基板への研磨砥粒の残留も抑止でき、基板上でのスクラッチ発生も抑制することや基板表面を平滑化でき、うねりも抑制することが可能である。
なお、本発明のシリカ系粒子群は、重量平均粒子径が50nm以上600nm以下であることが好ましい。前記シリカ系粒子群を研磨スラリーとして使用した場合、この重量平均粒子径がこの範囲にある場合、優れた研磨速度を示し、うねりの発生も比較的少なく、スクラッチの発生も抑制される。シリカ系粒子群の重量平均粒子径が50nm未満の場合、研磨スラリーとして使用した場合に研磨速度が低くなってしまう傾向がある。他方、シリカ系粒子群の重量平均粒子径が600nmを超えると、うねり、スクラッチ等が悪化する傾向がある。また、同様の観点から、シリカ系粒子群の重量平均粒子径は、100nm以上500nm以下であることがより好ましく、120nm以上300nm以下であることが更に好ましい。
なお、本発明のシリカ系粒子群の重量平均粒子径は、本発明の分散液を0.05質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で希釈し、固形分濃度で2質量%としたものを、公知のディスク遠心式粒度分布測定装置(例えばCPS Instrimen社製)に0.1mLをシリンジで注入して、8%から24%のショ糖の密度勾配液中で18000rpmの測定条件で測定して重量換算粒子径分布を求め、その分布から求めるものとする。
<比表面積換算粒子径>
本発明のシリカ系粒子群の重量平均粒子径は前記のとおりであるが、比表面積換算粒子径の場合は、10nm以上300nm以下の範囲にあることが望ましい。比表面積換算粒子径がこの範囲であれば、本発明の分散液を研磨用途に適用した場合、優れた研磨速度を得ることができ、更に基板への研磨砥粒の残留も抑止でき、基板上でのスクラッチ発生も抑制することが可能である。
本発明のシリカ系粒子群の比表面積換算粒子径が10nm未満では研磨速度が低くなる可能性があり、さらに粒子が基板に残留する場合も有り得る。他方、シリカ系粒子群の比表面積換算粒子径が300nmを超えると、スクラッチが発生したり研磨後の基盤の表面粗さが粗くなる可能性がある。また、同様の観点から、本発明のシリカ系粒子群の比表面積換算粒子径は、15nm以上200nm以下であることが好ましく、20nm以上150nm以下であることがより好ましく、30nm以上100nm以下であることが特に好ましい。
本明細書において、シリカ系粒子群などの比表面積換算粒子径は、主にシリカ粒子の一次粒子径を意味し、窒素吸着法または滴定法により測定された比表面積から換算された値である。
具体的には、比表面積換算の平均粒子径を意味し、原則としてBET法により測定される比表面積(SA:m2/g)と、粒子の密度(ρ)[シリカの場合ρ=2.2]を用い、(DSA)=6000/(SA×ρ)の式から算出される。測定方法の詳細は後記した。
<シリカ系粒子群の平均アスペクト比>
本発明のシリカ系粒子群は、異形シリカ系粒子および球状シリカ系粒子からなるシリカ系粒子群であり、該シリカ系粒子群の画像解析法により測定された平均アスペクト比は1.35以上である。シリカ系粒子群の平均アスペクト比は、本発明のシリカ系粒子分散液を研磨用途に適用した場合、平均アスペクト比1.35以上が望ましい。
本発明のシリカ系粒子群の平均アスペクト比が1.35以上であれば、本発明の分散液を研磨用途に適用した場合に、実用的に充分な研磨速度を得ることができる。また、同様の観点から、シリカ系粒子群の平均アスペクト比は、1.4以上7以下であることがより好ましく、1.42以上5以下であることが特に好ましい。平均アスペクト比が7超の場合、研磨速度は向上するが、スクラッチが生じる可能性がある。
なお、本発明のシリカ系粒子群の平均アスペクト比は次のように測定して得た値を意味するものとする。
本発明の分散液(シリカ濃度40質量%)について、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡S-5500[STEM観察可能](株式会社日立ハイテクノロジー社製))を用いて平面視したSEM画像を撮影(倍率20万倍)し、得られた画像または写真において150個以上の粒子を特定し、各々の粒子について、外接長方形における長辺の短辺に対する比(長辺/短辺)の値が最大となる場合を求め、その最大値を、その粒子におけるアスペクト比とする。そして、得られた全ての粒子のアスペクト比を単純平均して得られた値を、平均アスペクト比とする。
<第一粒子、第二粒子及び第三粒子の平均アスペクト比>
本発明者らは前記シリカ系粒子群について、更にその長径が10nm以上50nm未満の第一粒子(小粒子)、長径が50nm以上100nm未満の第二粒子(中粒子)及び長径が100nm以上の第三粒子(大粒子)のそれぞれの平均アスペクト比を所定値以上とすることで、本発明の分散液を研磨用途に適用した場合、研磨対象の基板上での「うねり」の発生を小さくしつつ、研磨速度を向上できることを見出した。具体的には前記第一粒子の平均アスペクト比が1.30以上であり、前記第二粒子の平均アスペクト比が1.35以上であり、前記第三粒子の平均アスペクト比が1.43以上であることが望ましい。
なお、第三粒子の長径範囲は、通常は100nm以上500nm未満である。
また、本発明の分散液を研磨用途に適用した場合、主に、前記第一粒子、第二粒子及び第三粒子により研磨速度が決定されるため、長径が10nm未満のシリカ系粒子の影響は小さいと考えられる。
本発明において第一粒子、第二粒子および第三粒子を特定する方法、および特定した後、各々の平均アスペクト比を求める方法について説明する。
初めに、本発明の分散液(シリカ濃度40質量%)について、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡S-5500[STEM観察可能](株式会社日立ハイテクノロジー社製))を用いて平面視したSEM画像を撮影(倍率20万倍)し、得られた画像または写真において任意に選択した粒子について、外接長方形における長辺の短辺に対する比(長辺/短辺)の値が最大となる場合を求め、その最大値を、その粒子におけるアスペクト比とし、そのアスペクト比が最大値となるときの外接長方形の長辺を、その粒子における長径とする。
そして、長径が10nm以上50nm未満の粒子を第一粒子、長径が50nm以上100nm未満の粒子を第二粒子、長径が100nm以上の粒子を第三粒子と分類する。
このようにして各粒子を第一粒子、第二粒子、第三粒子およびその他の粒子に分類する操作を、第一粒子、第二粒子、第三粒子の各々に分類される粒子の数がいずれも50個以上になるまで繰り返す。
次に、第一粒子に分類されている全ての粒子について、それらのアスペクト比を単純平均して第一粒子における平均アスペクト比を求める。第二粒子及び第三粒子についても同様にして平均アスペクト比を求める。
通常、比較的サイズが大きな粒子は研磨速度が高いことが知られており、また粒子の異形度やアスペクト比が高くなると研磨速度が高くなることが知られている。一方で、比較的サイズの大きな粒子や異形度やアスペクト比が比較的高い粒子は、研磨基板の表面粗さやうねりを悪化させる。それに対して、比較的サイズが小さな粒子は、研磨速度は遅くなるものの、基板の表面粗さやうねりは良化する傾向を示す。また、球状粒子は異形粒子と比較して、研磨速度は比較的遅いが、うねりや表面粗さが良化することが知られている。これらのことから、長径100nm以上の第三粒子は研磨速度が比較的速いが、一方で基板の表面粗さやうねりを悪化させると考えられる。他方、長径10nm以上50nm未満の第一粒子はサイズが小さいため研磨速度は比較的遅いが、基板の表面粗さやうねりを良化させるので、前記第三粒子で生じたうねりなどを第一粒子が修復させる役割を果たすものと推察される。
また、長径50nm以上100nm未満の第二粒子は、第一粒子と第三粒子の中間の研磨性能を備え、ある程度の研磨速度と基板表面のうねりの解消に寄与する役割を果たすものと考えられる。
以上のとおり、第一粒子、第二粒子及び第三粒子が共存することで研磨速度は高いものの、基板の表面は平滑でうねりも低い研磨面を得ることができる。特に長径10nm以上50nm未満の第一粒子はアスペクト比が1.3以上の異形粒子であることから、研磨速度はある程度高いため、第一粒子による修復効果が高まると推察される。
長径が10nm以上50nm未満の第一粒子は、低うねりを達成するために第三粒子の研磨で生じたうねりを低減させる役割がある。また、第一粒子の平均アスペクト比を1.30以上にすることで、球状粒子と比較して研磨速度を速く保つことができる。第一粒子の平均アスペクト比は、うねりを低くしつつ、研磨速度を向上させるという観点から、1.32以上3以下であることが好ましく、1.35以上2以下であることがより好ましい。アスペクト比が1.32未満では、研磨速度が不足するからである。また、アスペクト比が3超の場合は、うねりが悪化する傾向にある。
長径が50nm以上100nm未満の第二粒子は、第一粒子と第三粒子の中間の役割を果たし、第一粒子で不足する研磨速度を補い、かつ第三粒子が悪化させる「うねり」などをある程度解消させる役割を果たす。第二粒子の平均アスペクト比が1.35未満では、粒子形状が球状粒子と近くなり研磨スラリーとして使用した場合に、研磨速度が低下する可能性がある。また、この第二粒子の平均アスペクト比は、中程度のうねりを低くしつつ、研磨速度を向上させるという観点から、1.4以上3以下であることが好ましく、1.45以上2以下であることがより好ましい。
長径が100nm以上の第三粒子は、異形度が高いため、高い研磨速度を示す役割を担う。すなわち、第三粒子の平均アスペクト比を1.43以上にすることで高研磨速度を達成できる。また、この第三粒子の平均アスペクト比は、過剰にうねりを悪化させず、研磨速度を向上させるという観点から、1.45以上3以下であることが好ましく、1.5以上2以下であることがより好ましい。
<粒子表面の平滑性パラメータ>
本発明のシリカ系粒子群においては、前記第一粒子、前記第二粒子および前記第三粒子のそれぞれについて画像解析法で得られた投影面積(F1)と、投影周囲長に等しい周囲をもつ円の面積(F2)との面積比(F1/F2)の値の平均値(各々50個以上の粒子について測定し、得られたデータの単純平均値)の範囲が、それぞれ0.84以下、0.77以下及び0.66以下であることが望ましい。
ここで投影面積(F1)および面積(F2)は、例えば公知の画像解析ソフト(例えばemsis社製のRADIUS2.0)を用いて測定することができる。
前記面積比(F1/F2)の値は、粒子表面の平滑性を示すパラメータであり、(F1/F2)の値が1の場合は真球状であり、1より小さくなるほど、粒子の表面に微小な凹凸を備えていることを示している。(F1/F2)が1に近い場合は真球状であるため、本発明の分散液を研磨用途に適用した場合、研磨速度が遅くなる。(F1/F2)が1より小さくなればなるほど、粒子表面に凹凸状の突起が形成される傾向にある。粒子表面に凹凸がある場合、同じく研磨用途に適用した場合、凸部が基板に選択的に接触するため、基板に応力が集中し研磨速度が高くなる傾向にある。なお、凹凸があることで基板表面のうねりには大きな影響は及ぼさない。本発明では、シリカ系粒子群の第一粒子(小粒子)、第二粒子(中粒子)、第三粒子(大粒子)のそれぞれの面積比(F1/F2)の平均値を所定値以下とすることで、うねりは小さく高い研磨速度を示すシリカ系粒子群からなる砥粒を得ることに成功した。
長径が10nm以上50nm未満の第一粒子は、アスペクト比が低いため研磨速度は遅いが、面積比の平均値が0.84以下であることで研磨速度をある程度高くできる。また、この第一粒子の面積比(F1/F2)の平均値は、研磨速度を向上させるという観点から、0.2以上0.8以下であることが好ましく、0.3以上0.75以下であることがより好ましい。
長径が50nm以上100nm未満の第二粒子は、第一粒子よりもアスペクト比が高いため、比較的研磨速度は高い。さらに、面積比(F1/F2)の平均値が0.77以下とすることでより研磨速度を高くできる。また、この第二粒子の面積比(F1/F2)の平均値は、研磨速度を向上させるという観点から、0.2以上0.7以下であることが好ましく、0.3以上0.65以下であることがより好ましい。
長径が100nm以上の第三粒子は、最もアスペクト比が高くサイズも大きいため、高い研磨速度を示すが、面積比(F1/F2)の平均値が0.66以下の場合、さらに研磨速度を向上させることができる。また、この第三粒子の面積比(F1/F2)の平均値は研磨速度を向上させるという観点から、0.2以上0.64以下であることが好ましく、0.3以上0.6以下であることがより好ましい。
<重量換算粒子径分布での粒子径比(D90/D10)>
本発明のシリカ系粒子群は、その重量換算粒子径分布おいて、粒子径の小さい粒子からの累積10%粒子径(D10)と、累積90%粒子径(D90)の粒子径比(D90/D10)が2以上である。
ここで、重量換算粒子径分布における粒子径比(D90/D10)の値は、粒子径分布の広さを示しており、(D90/D10)の値が大きいほど、粒子径分布がブロードである。すなわち、(D90/D10)の値が高い場合は、サイズの小さな粒子と大きな粒子を同時に備えていることになる。従って、サイズの大きな粒子は高い研磨速度を示す一方で、うねりを悪化させるが、同時に存在するサイズの小さな粒子が悪化したうねりを修復する作用を備える。シリカ系粒子群の粒子径比(D90/D10)は、うねりを低くしつつ、研磨速度を向上するという観点から、2以上15以下であることが好ましく、2.5以上12以下であることがより好ましい。(D90/D10)の値が小さすぎると大粒子が少ないため研磨速度が不足し、大き過ぎると大粒子が発生させたうねりを小粒子が修復しきれなくなるからである。
シリカ系粒子群などの重量換算粒子径分布は、ディスク遠心式粒度分布測定装置(例えば、CPS Instrimen社製など)で測定できる。
<重量換算粒子径分布の領域毎の粒子含有率>
本発明のシリカ系粒子群は、その重量換算粒子径分布において、粒子径の小さい粒子からの累積1%粒子径(D1)および累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)の1/6を単位として、D1からD99までを6等分し、それぞれに対応する粒子径の領域を小粒子径側からS1、S2、S3、S4、S5及びS6とした際に、領域S1からS6のそれぞれに対応する粒子含有率(それぞれの領域に含まれる粒子の質量%)の変動係数が100%以下であり、50%以下であることが望ましい。
領域S1からS6のそれぞれに対応する粒子含有率の変動係数が100%以下(好ましくは50%以下)であることは、それぞれの領域での粒子含有率のばらつきが比較的小さいことを意味し、このような粒子径分布は大略、台形型の分布を示していることになる。台形型分布を備えるシリカ系粒子群は、大粒子成分も小粒子成分も多く含まれていることから、大粒子による研磨速度向上効果と、小粒子によるうねり低減効果の何れも発揮できることを示しているものと推察される。
なお、本願においては、標準偏差を平均値で除した値を更に100で除した値を変動係数(%)として用いる。
更に本発明のシリカ系粒子群の重量換算粒子径分布における領域S1、S2、S3、S4、S5及びS6にそれぞれ対応する粒子含有率(質量%)については、領域S1に対応する粒子含有率が最大であることが望ましい。ここで、領域S1は最も粒子が小さい小粒子を含むが、小粒子は研磨対象の基板上での「うねり」の発生の抑止に効果的であるので、領域S1に対応する粒子含有率が他の領域に対応する粒子含有率より高くすることで、「うねり」の発生を抑止に寄与することができる。
<細孔構造>
本発明においては、前記第一粒子が細孔構造を備えない粒子であり、前記第二粒子および前記第三粒子のいずれもが細孔構造を備える粒子であることが好ましい。
具体的には、本発明のシリカ系粒子群の一部は、粒子内部に細孔を有していることが好ましい。より具体的には、粒子サイズ(長径)による細孔の傾斜構造を備えていることが好ましい。本発明のシリカ系粒子群は、長径が10nm以上50nm未満の第一粒子(小粒子)と、長径が50nm以上100nm未満の第二粒子(中粒子)と、長径が100nm以上の第三粒子(大粒子)を含むが、粒子サイズの小さな小粒子は粒子内部に細孔を有していない。それに対して、中粒子および大粒子は、その粒子内部に細孔構造を備えている。また中粒子および大粒子においても粒子サイズが大きくなれば、粒子内部に備える細孔の個数が増加する傾向にある。本願では、このように粒子内部の細孔の有無や細孔の個数が粒子サイズに依存することを粒子内部細孔の傾斜構造と呼ぶ。
上述の細孔の傾斜構造が生じる理由として、以下に述べるようなメカニズムが存在するものと推察される。
後述する本発明のシリカ系粒子群の製造方法の原料であるシリカ系ゲル(シリカ粉体)は、その外形は、ミクロンオーダーであり、例えば数十から数百m2/gの比表面積を備えており、数nmから数十nmの一次粒子が凝集した構造の凝集塊、すなわちシリカ系ゲルである。このような構造の凝集塊は一次粒子間に空隙を備えている。
後述する本発明のシリカ系粒子群の製造方法では、このような構造を備える原料シリカ系ゲル(シリカ粉体)を粉砕工程で所望の粒子サイズの異形シリカ系ゲルに調整するが、前述の一次粒子およびその空隙の構造は保持されたままである。この粉砕工程の後、珪酸によって異形シリカ系ゲルの一次粒子間の細孔を埋めて強度を向上させながら、所望のサイズへと粒子成長を行う。この際、まず粒子成長前の異形シリカ系ゲルは10nmから100nm以上まで様々な粒子サイズの粒子を含んでおり、これら粒子を珪酸によって粒子成長させた場合、異形シリカゲル粒子内部に珪酸が浸透しながら粒子成長が進む。珪酸の浸透深さは、粒子成長の条件や細孔径や粒子形状にもよるが、概ね数十nmの深さに到達する。従って、粒子サイズが10nm以上50nm未満の第一粒子は粒子内部に細孔を有していない。
一方、粒子サイズが50nm以上100nm未満の第二粒子は、粒子サイズが比較的小さく細孔径が比較的大きい場合は異形シリカ系ゲルの内部まで珪酸が浸透する。そのため、内部に細孔は残り難いが、粒子サイズが比較的大きく細孔径が小さい場合は内部に細孔が残存する傾向にある。結局、細孔を備える第二粒子の個数は後記の第三粒子に比べて多くない傾向にある。
粒子サイズが100nm以上の第三粒子は珪酸が内部まで浸透し難い。そのため、内部細孔は残存し易いので、細孔の個数が、第一粒子や第二粒子と比較して多くなる傾向にある。またこのようなメカニズムであるため、粒子内部の細孔は粒子の中心に位置しやすい傾向にある。
粒子サイズによる細孔の傾斜構造を備えている粒子を研磨用途に適用した場合、研磨速度が向上し、うねりや表面粗度が良化する傾向にある。
これらの研磨性能が向上する理由として、内部に細孔を備えている中粒子および大粒子は、内部に細孔が存在するので粒子の密度が低く、内部に細孔を備えていない場合と比較して、単位重量当たりの粒子の個数が増加する。
一方、珪酸によって充分に一次粒子間は補強されているため、粒子の強度は強く、研磨中に粒子の崩壊は生じない。そのため、基板と粒子の接触面積が増加することによって研磨速度が向上したと推定している。また、粒子の個数が増加すると、1粒子にかかる荷重は逆に低くなるため、研磨基板への局所的な応力集中が緩和される。そのため、研磨基板の過剰な掘り起こしが生じ難いため、表面粗さやうねりは良化する傾向にある。また小粒子は内部に細孔を備えていないため、粒子の硬さが相対的に硬くなるため、研磨速度が向上する傾向にある。
本発明の分散液は、上記のような本発明のシリカ系粒子群が分散媒に分散してなるものである。
分散媒は特に限定されない。例えば水や有機溶媒であってよい。
本発明の分散液が含む本発明のシリカ系粒子群の量も特に限定されない。例えば1~30質量%であってよく、2~20質量%であってよい。
本発明の分散液は、例えば、以下に説明する本発明の製造方法により作製できる。
[シリカ系粒子分散液およびシリカ系粒子群の製造方法]
本発明の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、異形シリカ系粒子および球状シリカ系粒子からなるシリカ系粒子群を製造する方法である。そして、下記工程1から下記工程3を含むことを特徴とする。
この製造方法によれば、上記[1]~[6]の条件を満たすシリカ系粒子群を作製できる。
(工程1)下記数式(F1)で表される、粉体の強度が4~16GPaのシリカ系ゲルを、アルカリ性の条件下でメディア(粒子径0.1~5mm)を用いて湿式解砕して、異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む第一溶液を得る工程。
σ=[(1-ε)/π]・K・H/d2・・・(F1)
(ここで、σ、d、K、ε、πおよびHは次のとおり。
σ:粉体の強度[Pa]、
d;粒子の比表面積換算粒子径[m]、
K:粒子の平均配位数、
ε:粉体の空隙率、
π:円周率、
H:粒子の付着力[N])
上記の粉体の強度が4~16GPaのシリカ系ゲルであれば、アルカリ性条件下の湿式粉砕により異形シリカ系ゲルからなる粒子とすることができる。
粉体の強度は、粉体の圧縮または引っぱり強度を示すRumpf式から求めることができ、Rumpf式によれば粉体の強度は、(F1)式で表される。
粉砕メカニズムは、粉体が摩擦力や剪断力によって行われる表面粉砕と、粉体が衝撃力や圧縮力によってばらばらになる体積粉砕に分類されるが、実際の粉砕においては、これらがある程度同時に生じており、原料の種類や粉砕条件に依存して表面粉砕と体積粉砕のどちらが主に生じているかが変化していると考えられる。また体積粉砕では粉体全体がばらばらになるため、得られる粒子は異形度が高い粒子が得られ易い。表面粉砕では表面から次第に砕けるため、表面の凸部が砕けやすいため次第に球形に近づく傾向があり、粒子の異形度が低下していく。同時に表面の凸部が砕けることによって生じた微粒子が生成し、この微粒子はあまり高い異形度の粒子は得られない傾向にある。
ビーズを用いた湿式粉砕においては、所定サイズのビーズを使用し懸濁スラリーを粉砕機に導入して粉砕を行うが、ビーズ径の選択と粉砕機内部の滞留時間を調整することで、所望のサイズを得ることが行われている。この際、粉砕条件や原料の種類によるが、サイズが急激に小さくなるものについては体積粉砕が生じ易い傾向にあると考えられる。また体積粉砕の結果得られるシリカ系ゲルは、比較的サイズが大きい粒子が得られる傾向にある。
一方でサイズの変化が穏やかであるものは、表面粉砕が生じていると考えられる。この際に原料のシリカ系ゲルの強度が高いと、所望サイズに粉砕するために滞留時間を長くする必要が生じるため、表面粉砕が生じ易い傾向にある。表面粉砕によって生じた粒子は、先に述べたような理由でサイズが小さく、異形度が小さい粒子が得られ易い傾向にある。そのため、シリカ系ゲルの強度が16GPa以下の原料を選択し、主に体積粉砕の機構が生じている段階で粉砕を終了させることで、異形度の高い粒子を得ることができる。
次に、粉体の強度とシリカ系ゲルの分布の関係については、強度が4~16GPaの強度を備える粉体を用いてビーズを用いた湿式粉砕を行うと、粉砕機内部の滞留時間を調整することなどで表面粉砕と体積粉砕の割合を調整して、台形型の分布が得られ易い傾向にある。粉体の強度が4GPaを下回った場合、粉体の強度が弱すぎて体積粉砕が進み、早く所望のサイズに到達するため、粉砕による分布調整が難しく台形分布が得られ難い傾向にある。一方、粉体の強度が16GPa以上の場合、難粉砕であるため所望のサイズや分布を得るために粉砕を繰り返す必要がある。この場合、結果的に表面粉砕が促進されるため、小粒子成分が増えるため、台形分布が得られ難い傾向にある。
ここで、粒子の比表面積換算粒子径(d)は、BET法により求められ、下記数式(F2)で求められる。
d=6000/(ρs×SA1)・・・(F2)
(ここで、d、ρsおよびSA1は次のとおり。
d:比表面積換算粒子径[nm]、
ρs:シリカ密度(=2.2[g/mL])、
SA1:シリカ粉体の比表面積[m/g])
ここでSA1(比表面積)は、後に詳細に説明するBET法またはタイトレーション法によって測定して得た値を意味する。
粉体の空隙率(ε)は、粉体の細孔容積(PV)とシリカ体積(SV)とから、下記数式(F3)により算出した。
ε=(PV)/(PV+SV)×100・・・(F3)
(ここで、ε、PVおよびSVは次のとおり。
ε:粉体の空隙率[無単位]、
PV:粉体の細孔容積[mL/g]、
SV:シリカ体積、次式により求められる。SV=1/ρs=1/2.2=0.4545)
なお、粉体の細孔容積(PV)の求め方は後記した。
粒子の平均配位数(K)は、均一な球形粒子のランダム充填における粉体の空隙率(ε)と、一次粒子の平均配位数(K)との関係を表した下記数式(F4)(Ridgway-Tarbuckの式と呼ばれる)から、前述の粉体の空隙率(ε)の値を用いて算出した。得られる2つの解のうち、小さい方の解を平均配位数(K)とする。
ε=1.072-0.1192K+0.00431K2・・・(F4)
付着力(H)は、ガラスの理論強度(Q)と、原料シリカ粉体における一次粒子どうしの付着部分の断面積から下記数式(F5)を用いて算出した。
なお、「原料シリカ粉体における一次粒子どうしの付着部分の断面積」を「粒子の付着部分の断面積」ともいう。また、「原料シリカ粉体における一次粒子どうしの付着部分の長さ」を「粒子の付着部分の長さ」ともいう。
ガラスの理論強度(Q)は文献(NEW GLASS Vol.23,No.3,2008,p.11~p.18,「入門:ガラスの破壊学」)より20[GN/m2]とした。
粒子の付着部分の断面積は、走査型電子顕微鏡写真の画像解析により、一次粒子同士が付着している箇所の長さを合計50箇所計測し、粒子の付着部分の長さ(L)を、同付着部分の断面の直径と見做し、円の面積を算定し、得られた円の面積にガラスの理論強度(Q)を乗じて得られた値を、粒子の付着部分の断面積とした。
なお、本発明の粒子付着部分の長さ(L)は次のように測定して得た値を意味するものとする。
本発明の分散液(シリカ濃度40質量%)について、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡S-5500[STEM観察可能](株式会社日立ハイテクノロジー社製))を用いて平面視したSEM画像を撮影(倍率20万倍)し、得られた画像または写真において一次粒子同士が付着してる箇所の長さを50箇所以上計測する。得られた全ての個所の長さを単純平均して得られた値を、粒子付着部分の長さ(L)とする。
H=(L/2)2×π×Q・・・(F5)
(ここで、H、L、πおよびQは次のとおり。
H:付着力[N]、
L:粒子付着部分の長さ[nm]、
π:円周率(=3.14)、
Q:ガラスの理論強度(=20[GN/m2]))
このようにシリカ系ゲルの強度(σ)は、前記数式(F1)(並びに、数式(F2)、(F3)、(F4)および(F5))から求められる。シリカ系ゲルの強度(σ)は、後記した理由で15GPa以下であることが望ましい。
シリカ系ゲルについては、粉体の空隙率、粉体の比表面積、および粒子の付着部の長さは、格別に限定されるものではないが、通常、シリカ系ゲルの空隙率は0.5~0.9、シリカ系ゲルの比表面積は50~800m/g、付着部の長さは5~15nmの範囲が好ましい。
ここでシリカ系ゲルの比表面積は、後に詳細に説明するBET法またはタイトレーション法によって測定して得る値を意味するものとする。
前記数式(F1)で計算されるシリカ系ゲルの強度σは、4~16GPaであることが好ましい。
この強度範囲であると、粉砕時に体積粉砕が生じ易く、工程[1]にて異形度の高い異形シリカ系ゲルが得られ易くなり、更に工程[2]及び工程[3]を経て、粒子径個数分布、重量換算粒子径分布及び各種アスペクト比などに前記特徴を有する本発明のシリカ系粒子群を生成し易くなる。なお、シリカ系ゲルの強度σは、4~15GPaがより好ましく、4~12GPaが更に好ましく、4~8GPaが最も好ましい。
シリカ系ゲルの強度がこの範囲である場合、粉砕条件にもよるが、粉砕後の異形シリカ系ゲルの粒子径分布が正規分布ではなく、台形状の分布となるからである。異形シリカ系ゲルは次工程で珪酸による粒子成長を行うが、珪酸による粒子成長後も台形状の分布となる。このような台形状の分布となった場合、粒子径分布の領域S1からS6の面積の変動係数が100%以下(好ましくは50%以下)になるからである。
原料であるシリカ系ゲルのサイズは、強度が4~16GPaであれば、特に制限を受けないが、粉砕効率の面から、100μm以下であることが好ましく、10μm以上60μm以下であることがより好ましく、20μm以上50μm以下であることが特に好ましい。サイズが10μm未満では、懸濁液の粘度が高くハンドリングが悪く、サイズが100μ超では、サイズが大きいため、粉砕機のスクリーンやギャップの目詰まりが生じ易いからである。
湿式粉砕には、従来公知の湿式粉砕機を用いることができる。湿式粉砕機としては、例えば、ボールミル、およびビーズミルなどが挙げられる。
湿式粉砕に用いるメディアの材質としては、ジルコニア、ガラス、およびアルミナなどが挙げられる。これらの中でも、粒子をより細かく砕くという観点から、ジルコニア、ガラスが好ましい。また、メディアのサイズ(粒径)は所望の異形シリカ系ゲルが得られるサイズであれば特に限定されないが、40nmから550nmの異形シリカ系ゲルを効率よく調製するために、粒径0.1~5mmの範囲であり、0.1~1mmの範囲が好ましい。
湿式粉砕は、アルカリ性の条件下で行うことが必要である。アルカリ性の条件下でない場合には、解砕した粒子が再凝集するという点で問題がある。ただし、pHが高すぎる場合は、粉砕後の異形シリカ系ゲルの溶解や経時変化が生じ易いため、湿式粉砕する際のpHは、8以上11.5以下であることが好ましく、9以上10.5以下であることがより好ましい。
湿式粉砕は、効率よく目的の粒子径へ粉砕するという観点から一段階で行ってもよく、粉砕する過程で粒子の大きさに合わせて粉砕条件を変更し、二段階以上に分けて行ってもよい。
工程1で得られる溶液において、異形シリカ系ゲルからなる粒子の重量平均粒子径は、40nm以上550nm以下であることが好ましく、70nm以上250nm以下であることがより好ましい。
工程1で得られる異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液において、シリカ系ゲルからなる粒子の形状は、通常、湿式粉砕を経て、異形化(非球状化)する。ここで異形化の程度は格別に制限されるものではない。
(工程2)前記異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液に、アルカリ性の条件下で珪酸液を添加して、前記異形シリカ系ゲルからなる粒子の一次粒子間の細孔を前記珪酸液に含まれる珪酸との反応によって埋めながら異形のまま粒子を成長させて異形シリカ系粒子を形成して、前記異形シリカ系粒子を含む第二溶液を得る工程。
珪酸液としては、従来公知の珪酸液を使用できる。
珪酸液の濃度は、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
珪酸液の添加量は、異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液のSiOモル濃度に対して、珪酸液のSiOモル濃度が0.5モル倍以上20モル倍以下になる範囲であることが好ましい。珪酸液の添加量が20モル倍超の場合、珪酸による自己核生成が生じ易い。また0.5モル倍未満の場合、所望のサイズに粒子成長できないため、研磨速度が低下する傾向にある。
珪酸液の添加は、アルカリ性の条件下で行うことが必要である。アルカリ性の条件下でない場合には、粒子を成長させることがでず、自己核生成により小粒子が発生するなどの問題が生じる。また、粒子を成長させるという観点から、珪酸液を添加する際のpHは、9以上12.5以下であり、9以上11以下であることが好ましい。
珪酸液の添加の前または後には、異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液を加温することが好ましい。加温した後の溶液の温度は、粒子を成長させるという観点から、60℃以上170℃以下であることが好ましく、80℃以上120℃以下であることがより好ましい。
珪酸液を添加した後のSiO濃度は、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
(工程3)前記異形シリカ系粒子を含む第二溶液を濃縮し、シリカ系粒子群を回収する工程。
工程3で得られるシリカ系粒子群における比表面積は、270m/g以下であることが好ましく、9m/g以上182m/g以下であることがより好ましい。
ここでシリカ系粒子群の比表面積は、後に詳細に説明するBET法またはタイトレーション法によって測定して得る値を意味するものとする。
工程3で得られるシリカ系粒子群における重量平均粒子径は、50nm以上600nm以下であることが好ましく、100nm以上200nm以下であることがより好ましい。
なお、ここで重量平均粒子径の測定方法は、前述の本発明のシリカ系粒子群の重量平均粒子径と同じ方法とする。
工程2において得られた異形シリカ系粒子を含む溶液を濃縮する際には、限外ろ過膜、およびエバポレーターなど公知の濃縮方法を用いることができる。
以上のようにして、上記[1]~[6]の条件を満たすシリカ系粒子群を製造できる。
[磁気ディスク基板研磨用研磨スラリーおよび組成物]
次に、本実施形態に係る磁気ディスク基板研磨用研磨スラリーおよび組成物について、説明する。
本実施形態に係る磁気ディスク基板研磨用組成物(「研磨用組成物」ともいう。)は、前記本実施形態に係るシリカ系粒子分散液を含むものである。
また、本実施形態に係る磁気ディスク基板研磨用研磨スラリーは、この研磨用組成物を水などで希釈して、作製できる。
本実施形態に係る研磨用組成物は、さらに他の成分を含むことができる。
他の成分として、研磨促進剤、界面活性剤、親水性化合物、複素環化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤から選ばれる1以上の成分を使用することができる。
研磨促進剤の例としては、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、フッ酸等の酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびこれらの混合物等が挙げられる。これらの研磨促進剤を含む研磨用組成物の場合、複合成分からなる被研磨材を研磨する際に、被研磨材の特定の成分についての研磨速度を促進することにより、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。
本実施形態に係る研磨用組成物が研磨促進剤を含有する場合、その含有量としては、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤および/または親水性化合物研磨用組成物の分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤または親水性化合物を添加することができる。
界面活性剤と親水性化合物は、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。界面活性剤および/または親水性化合物としては、例えば、以下の群から選ばれるものを使用することができる。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、およびリン酸エステル塩等が挙げられる。カルボン酸塩として、石鹸、N-アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、およびアシル化ペプチド等が挙げられる。スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、およびN-アシルスルホン酸塩等が挙げられる。
硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、およびアルキルアミド硫酸塩等が挙げられる。リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、およびイミダゾリニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、およびアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。その他に、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤もしくは非イオン系界面活性剤が好ましい。また、塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩およびカリウム塩が好ましい。
さらに、その他の界面活性剤、親水性化合物等としては、エステル(グリセリンエステル、ソルビタンエステルおよびアラニンエチルエステル等)、エーテル(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、およびアルケニルポリプロピレングリコール等)、多糖類(アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードランおよびプルラン等)、アミノ酸塩(グリシンアンモニウム塩およびグリシンナトリウム塩等)、ポリカルボン酸およびその塩(ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p-スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩およびポリグリオキシル酸等)、ビニル系ポリマ(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリアクロレイン等)、スルホン酸およびその塩(メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1-アリルスルホン酸ナトリウム塩、2-アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3-エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩等)、およびアミド等(プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミドおよびスルファニルアミド等)が挙げられる。
なお、適用する被研磨基材がガラス基板等である場合は何れの界面活性剤であっても好適に使用できるが、半導体集積回路用シリコン基板等の場合であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはハロゲン化物等による汚染の影響を嫌う場合にあっては、酸もしくはそのアンモニウム塩系の界面活性剤を使用することが望ましい。
本実施形態に係る研磨用組成物が界面活性剤および/または親水性化合物を含有する場合、その含有量は、総量として、研磨用組成物の1L中、0.001g以上10g以下とすることが好ましく、0.01g以上5g以下とすることがより好ましく0.1g以上3g以下とすることが特に好ましい。
界面活性剤または親水性化合物は1種のみでもよいし、2種以上を使用してもよく、異なる種類のものを併用することもできる。
本実施形態に係る研磨用組成物については、被研磨基材に金属が含まれる場合に、金属に不動態層または溶解抑制層を形成させて、被研磨基材の侵食を抑制する目的で、複素環化合物を含有させても構わない。ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、または水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、およびホウ素原子等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。複素環化合物の例として、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾール等を用いることができる。より具体的には、1,2,3,4-テトラゾール、5-アミノ-1,2,3,4-テトラゾール、5-メチル-1,2,3,4-テトラゾール、1,2,3-トリアゾール、4-アミノ-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジアミノ-1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る研磨用組成物に複素環化合物を配合する場合の含有量については、0.001質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上0.7質量%以下であることがより好ましく、0.002質量%以上0.4質量%以下であることがさらに好ましい。
上記各添加剤の効果を高めるため等に必要に応じて酸または塩基を添加して研磨用組成物のpHを調節することができる。
本実施形態に係る研磨用組成物をpH7以上に調整するときは、pH調整剤として、アルカリ性のものを使用する。望ましくは、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、エチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアミン等のアミンが使用される。
研磨用組成物をpH7未満に調整するときは、pH調整剤として、酸性のものが使用される。例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリセリン酸等のヒドロキシ酸類が使用される。
研磨用組成物のpH値を一定に保持するために、pH緩衝剤を使用しても構わない。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、4ホウ酸アンモ四水和水等のリン酸塩およびホウ酸塩または有機酸等を使用することができる。
本実施形態に係る研磨用組成物については、必要に応じて溶媒を用いることができる。溶媒としては通常、水を用いるが、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることができ、他にエーテル類、エステル類、ケトン類等水溶性の有機溶媒を用いることができる。また、水と有機溶媒からなる混合溶媒であってもよい。
本実施形態に係る研磨用組成物中の研磨用粒子の濃度は、0.5質量%以上50質量%以下、さらには5量%以上30質量%以下の範囲にあることが好ましい。濃度が0.5質量%未満の場合は、基材や絶縁膜の種類によっては濃度が低すぎて研磨速度が遅く生産性が問題となることがある。研磨用粒子の濃度が50質量%を超えると研磨材の安定性が不充分となり、研磨速度や研磨効率がさらに向上することもなく、また研磨処理のために分散液を供給する工程で乾燥物が生成して付着することがあり傷(スクラッチ)発生の原因となることがある。
[シリカ系ゲル、シリカ系粒子群および研磨用組成物の評価]
各実施例および各比較例で得られたシリカ系粒子群および研磨用組成物について、下記の評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、各実施例および各比較例における原料(シリカ粉体(シリカ系ゲル))の物性を表1に示す。
(1)シリカ系粒子群の重量換算粒子径分布と重量平均粒子径
シリカ系粒子分散液を0.05質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で希釈し、固形分濃度で2質量%としたものを、公知のディスク遠心式粒度分布測定装置(CPS Instrimen社製)に0.1mLをシリンジで注入して、8%から24%のショ糖の密度勾配液中で18000rpmの測定条件で測定して重量換算粒子径分布と、重量平均粒子径[nm]を求めた。
また、得られた重量換算粒子径分布から累積10%粒子径(D10)[nm]、累積90%粒子径(D90)[nm]の値を求め、粒子径比(D90/D10)の値を算出した。
更に得られた重量換算粒子径分布から累積1%粒子径(D1)[nm]、累積99%粒子径(D99)[nm]、累積1%粒子径(D1)と累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)の値及びその1/6の値を求めた。
また、D1からD99までを6等分し、それぞれに対応する重量換算粒子径分布の領域を小粒子径側からS1、S2、S3、S4、S5及びS6とした際の領域S1からS6のそれぞれに対応する粒子含有率(質量%)を求めた。以上の測定と算定を前記ディスク遠心式粒度分布測定装置を用いて行った。
更に得られた領域S1からS6のそれぞれに対応する粒子含有率(質量%)から領域S1からS6の粒子含有率(質量%)の変動係数(%)を算定した。また、領域S1からS6のそれぞれに対応する粒子含有率(質量%)の値を比較して、最も粒子含有率が高い領域を判定した。
(2)シリカ系粒子群およびシリカ系ゲル(精製シリカゲル)の比表面積および比表面積換算粒子径
シリカ系粒子群を含むシリカ粒子系分散液50mL(シリカ濃度40質量%)をHNOでpH3.5に調整し、1-プロパノール40mLを加え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とする。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を算出する。
具体的には、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30v%とヘリウム70v%との混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、異形シリカ粒子の比表面積を算出する。また、得られた比表面積(SA)を下記式に代入して比表面積換算粒子径D1を求める。
比表面積換算粒子径D1(nm)=6000/(ρ×SA)
(ここで、ρはシリカ粒子の密度2.2[g/cm]を表す。)
なお、シリカ系粒子群の比表面積が100m2/g以上となった場合には、BET法における焼成時に焼結が進むため、この場合には、タイトレーション法により比表面積(SA)を求め、(DSA)=6000/(SA×ρ)の式から比表面積換算粒子径(DSA)を算出する。
ここでタイトレーション法とは、次のような方法である。
まず初めに、SiO2として1.5gに相当する試料をビーカーに採取してから、恒温反応槽(25℃)に移し、純水を加えて液量を90mlにする(以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行う)。次に、pH3.6になるように0.1モル/L塩酸水溶液をここに加える。さらに、塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mlに希釈し、10分間攪拌する。そして、pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液を滴下してpH4.0に調整する。さらに、pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH8.7~9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとして、検量線を作る。そして、V=(A×f×100×1.5)/(W×C)の式からSiO21.5g当たりのpH4.0~9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の消費量V(ml)を求め、これを用いて、SA=29.0V-28の式に従って比表面積を求める。
なお、上記式中において、AはSiO21.5g当たりpH4.0~9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量(ml)、fは0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の力価、Cは試料のSiO2濃度(%)、Wは試料採取量(g)を意味する。
なお、シリカ系ゲル(精製シリカゲル)の比表面積および比表面積換算粒子径は、上記のシリカ系粒子群の場合と同様の方法で測定した。
(3)シリカ系粒子群の長径、平均アスペクト比および面積比(F1/F2)
シリカ系粒子分散液(シリカ濃度40質量%)について、走査型電子顕微鏡(SEM)(超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡S-5500[STEM観察可能](株式会社日立ハイテクノロジー社製))を用いて平面視したSEM画像を撮影(倍率20万倍)し、画像解析ソフト(emsis社製のRADIUS2.0)を用いて解析した。
具体的にはSEM画像において任意に選択した粒子について、外接長方形における長辺の短辺に対する比(長辺/短辺)の値が最大となる場合を求め、その最大値を、その粒子におけるアスペクト比とし、そのアスペクト比が最大値となるときの外接長方形の長辺を、その粒子における長径とした。
そして、長径が10nm以上50nm未満の粒子を第一粒子、長径が50nm以上100nm未満の粒子を第二粒子、長径が100nm以上の粒子を第三粒子と分類した。
このようにして各粒子を第一粒子、第二粒子、第三粒子およびその他の粒子に分類する操作を、第一粒子、第二粒子、第三粒子の各々に分類される粒子の数がいずれも50個以上になるまで繰り返した。
次に、第一粒子に分類されている全ての粒子について、それらのアスペクト比を単純平均して第一粒子における平均アスペクト比を求めた。第二粒子及び第三粒子についても同様にして平均アスペクト比を求めた。
さらに、第一粒子、第二粒子、第三粒子およびその他の粒子に分類されている全ての粒子について、それらのアスペクト比を単純平均してシリカ系粒子群の平均アスペクト比を求めた。
また、前記のシリカ系粒子分散液(シリカ濃度40質量%)の走査型電子顕微鏡写真(倍率20万倍)について、第一粒子、第二粒子および第三粒子における投影面積(F1)と、投影周囲長に等しい周囲をもつ円の面積(F2)との面積比(F1/F2)を前述の画像解析ソフトを用いて測定した。具体的には、第一粒子、第二粒子および第三粒子のそれぞれ50個について、それぞれ投影面積(F1)と、投影周囲長に等しい周囲をもつ円の面積(F2)を測定し、それぞれ個別面積比(F1/F2)を算定し、50個の粒子の平均を求めて、面積比(F1/F2)とした。
(4)細孔の確認
シリカ系粒子分散液(シリカ濃度40質量%)について、超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡S-5500[STEM観察可能](株式会社日立ハイテクノロジー社製)で撮影して得られた透過型電子顕微鏡画像(20万倍)にて、500個の粒子から第一粒子(長径が10nm以上50nm未満の範囲)、第二粒子(長径が50nm以上100nm未満の範囲)および第三粒子(長径が100nm以上)を選定し、第一粒子、第二粒子および第三粒子のそれぞれについて無作為に選んだ20個の粒子にて、目視にて細孔を確認できない場合は、当該第一粒子、第二粒子または第三粒子は、細孔を備えないものと判定し、1個以上の細孔を確認できた場合は、当該第一粒子、第二粒子または第三粒子は細孔を備えるものと判定した。ここで細孔の有無については、1nm以上の内径を有する細孔を確認できた場合をもって、細孔が存在するものとした。
なお、前記と同様に透過型電子顕微鏡画像(20万倍)で特定した第一粒子、第二粒子および第三粒子について、それぞれ無作為に選定した20個について、目視にて粒子内部の細孔の存在の有無を確認した。
第一粒子、第二粒子および第三粒子のそれぞれ20個の粒子にて、細孔を確認できない場合は、当該第一粒子、第二粒子または第三粒子は、細孔を備えないものと判定し、1個以上の細孔を確認できた場合は、当該第一粒子、第二粒子または第三粒子は細孔を備えるものと判定した。ここで細孔の有無については、1nm以上の内径を有する細孔を確認できた場合をもって、細孔が存在するものとした。
(5)研磨試験方法(研磨速度比およびうねり比)
被研磨基板として、ハードディスク用ニッケルメッキをコーティングしたアルミ基板(東洋鋼鈑社製ニッケルメッキサブストレート)を準備し、この被研磨基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製「NF300」)にセットし、研磨パッド(FILWEL社製「ベラトリックスNO178」)を使用し、基板荷重0.05MPa、定盤回転数50rpm、ヘッド回転数50rpmで、研磨スラリーを40g/分の速度で供給しながら1μm研磨を行った。
・研磨速度比
研磨前後の研磨基板の重量差と研磨時間より研磨速度を求め、比較例1を100とした場合の相対値を算出した。
・うねり比
研磨したドーナツ状のアルミ基板において、その外円と内円との径を2等分する任意の箇所についてうねり波長数十~数百μmでの微少な凹凸の振幅を測定した。
次に、その測定箇所とドーナツ状のアルミ基板における中心点とを結ぶ直線上であって、その中心点がその測定箇所との2等分点となる箇所においても、同様にうねり波長数十~数百μmでの微少な凹凸の振幅を測定した。そして、これら2つの値の平均値を求め、それを「うねりの値」とし、比較例1を100とした場合の相対値(うねり比)を算出した。
凹凸の振幅の測定条件は下記の通りである。
機器:ZygoNewView7200
レンズ:2.5倍
ズーム比:1.0
フィルター:50~500μm
測定エリア:3.75mm×2.81mm
(6)シリカ系ゲルの細孔容積の測定方法
シリカ系ゲルの試料粉体10gをルツボに取り、105℃の温度で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次いで、よく洗浄したセルに1g試料を取り、窒素吸着装置を用いて窒素を吸着させ、以下の式から細孔容積を算出した。
細孔容積(mL/g)=(0.001567×(V-Vc)/W)
上記の式で、Vは圧力735mmHgにおける標準状態の吸着量(mL)、Vcは圧力735mmHgにおけるセルブランクの容量(mL)、Wは試料の質量(g)を表す。また、窒素ガスと液体窒素の密度の比は0.001567とした。
(7)シリカ系ゲルの粒子付着部分の長さ
前述の方法で、シリカ系ゲルの粒子付着部分の長さを測定した。
<実施例1>
[シリカ粉体(シリカ系ゲル)の調製]
珪酸ナトリウム462.5gに純水を加え、SiO2換算で21質量%の珪酸ナトリウム水溶液を調製し、pHが7.1となるように25質量%の硫酸を添加してシリカヒドロゲルを含む溶液(以下「シリカヒドロゲル溶液」)を得た。
このシリカヒドロゲル溶液を、恒温槽で温度21℃に維持し、3時間静置して熟成した。続いて、シリカヒドロゲル溶液を純水で硫酸ナトリウムの含有量(シリカヒドロゲルに含まれるSiOに対する含有率)が0.05質量%となるまで洗浄し、精製シリカヒドロゲル溶液を得た。
なお、シリカヒドロゲル溶液に含まれるSiOに対する硫酸ナトリウムの含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC、日本ダイオネクス(株)製、ICS-1100)を用いて測定した。
この精製シリカヒドロゲル溶液は、SiO2濃度が5.0質量%であった。
ここで精製シリカヒドロゲルにおけるSiO含有量については、精製シリカヒドロゲルの5gについて、1000℃灼熱減量を行い秤量し、得られたものの全てがSiOであるとして、そのSiO含有量を求めた。
得られた精製シリカヒドロゲル溶液を120℃で乾燥させ、シリカ系ゲルからなるシリカ粉体を得た。このシリカ粉体を乳鉢にて粉砕し、粉砕後の粒子径が13μmのシリカ粉体(シリカ系ゲル)を得た。
このシリカ粉体(シリカ系ゲル)について前述の方法で比表面積を測定したところ550m2/gであった。
また、このシリカ粉体(シリカ系ゲル)について、前述の方法で粒子の平均粒子径(比表面積換算粒子径)(d)、細孔容積、粒子付着部分の長さを測定した。そして、これらの値を用いてシリカ粉体(シリカ系ゲル)の強度を算出した。
なお、表1では便宜上、粒子の平均粒子径(比表面積換算粒子径)(d)の値の単位を「nm」で表示した。同様に粉体の強度(σ)の値の単位を「GPa」で表示した。
(工程1)異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液の調製
<異形シリカ系ゲルからなる粒子>
10Lの容器に水6.28kgを計量し、水酸化ナトリウム水溶液(濃度48質量%)を87.3g添加し、pH9.7の水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
この水溶液に前記シリカ粉体を2.49kg添加し、続けてpH調整のため48%水酸化ナトリウム水溶液(濃度48質量%)を添加してpH10.3のシリカ粉体懸濁液を得た。
この懸濁液を1.0mmφのジルコニアメディアを導入した粉砕機に通液し、重量平均粒子径が6.3μmになるまで粉砕行い、SiO2濃度25.6%のシリカ系微粒子分散液(1)を得た。
次に、シリカ系微粒子分散液(1)を0.5mmφのガラスメディアを導入した粉砕機に通液し、重量平均粒子径が478nmになるまで粉砕行い、SiO2濃度21.8%のシリカ系微粒子分散液(2)を得た。
シリカ系微粒子分散液(2)を0.25mmφのガラスメディアを導入した粉砕機に通液し、重量平均粒子径が98nmになるまで粉砕行い、SiO2濃度17.8%の異形シリカ系微粒子分散液を得た。
(工程2)異形シリカ系ゲルからなる粒子の成長および調合液の濃縮
得られた異形シリカ系微粒子分散液を472g計量し、水2044gを添加して希釈し、SiO2濃度3.0質量%の異形シリカ系微粒子分散液2519gを得た。
次に、水酸化ナトリウム水溶液(濃度4.8質量%)と水を加え、pH10.4に調整した。
ついで98℃に昇温し、30分間保持した。次に温度を98℃に保持したまま酸性珪酸液5376g(SiO2濃度4.6質量%)を16時間かけて添加し、更に温度98℃に保持したまま1時間撹拌を継続し、溶液(以下、「調合液」と言う。)を得た。
ここで、珪酸液の添加量は、異形シリカ系微粒子分散液におけるSiO2モル濃度に対して、珪酸液のSiOモル濃度が3.33倍となる量であった。また、調合液におけるSiO2濃度は4.0質量%であった。
(工程3)シリカ粒子群の回収
この調合液を室温まで冷却し、続いて限外濾過膜(旭化成社製SIP-1013)にてSiO2濃度12質量%まで濃縮した。
更にロータリーエバポレーターでSiO2濃度50質量%まで濃縮し、異形シリカ系粒子および非異形シリカ系粒子からなるシリカ粒子群を得た。
得られたシリカ系粒子群の比表面積は42m2/gであり、重量平均粒子径は124nmであった。
前述の方法で、第一粒子、第二粒子および第三粒子について、それぞれ粒子の細孔の有無を確認したところ第一粒子には細孔の存在は確認されず、第二粒子および第三粒子については、何れも細孔が存在することを確認した。
<比較例1>
シリカ粉体(シリカ系ゲル)の調製
珪酸ナトリウム462.5gに純水を加え、SiO2換算で24質量%の珪酸ナトリウム水溶液を調製し、pHが7.1となるように硫酸水溶液(濃度25質量%)を添加して、シリカヒドロゲルを含む溶液を得た。このシリカヒドロゲルを含む溶液を、恒温槽で21℃の温度に維持し、5.75時間静置して熟成した。続いて、シリカヒドロゲルに含まれるSiO2に対し、硫酸ナトリウムの含有量が0.05質量%となるまで純水で洗浄して、精製シリカヒドロゲルを得た。この精製シリカヒドロゲルは、SiO2濃度が5.0質量%であり、また比表面積は350m2/gであった。得られた精製シリカヒドロゲルを120℃で乾燥させ、乳鉢にて粉砕し、粉砕後の体積基準粒子径が12μmのシリカ粉体(シリカ系ゲル)を得た。
ここで精製シリカヒドロゲル乾燥・粉砕品の体積基準粒子径(μm)は、HORIBA社製レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA950を用いて、試料の濃度を透過率Rが90±0.5%になるように調整し測定した。
このシリカ粉体(シリカ系ゲル)について、前述の方法で粒子の平均粒子径(比表面積換算粒子径)(d)、細孔容積、粒子付着部分の長さを測定した。そして、これらの値を用いてシリカ粉体(シリカ系ゲル)の強度を算出した。
なお、表1では便宜上、粒子の平均粒子径(比表面積換算粒子径)(d)の値の単位を「nm」で表示した。同様に粉体の強度(σ)の値の単位を「GPa」で表示した。
(異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液の調製)
10Lの容器に水5.01kgを計量し、水酸化ナトリウム水溶液(濃度48質量%)を84g添加し、pH9.7の水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
この水酸化ナトリウム水溶液に、前記のシリカ粉体(シリカ系ゲル)を1.87kg添加し、続けてpH調整のため水酸化ナトリウム溶液(濃度48質量%)を添加して、pH10.3のシリカ粉体懸濁液を得た。
このシリカ粉体懸濁液を1.0mmφのジルコニアメディアを導入した粉砕機に通液し、重量平均粒子径が800nmになるまで粉砕行い、SiO2濃度21.7質量%のシリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液(11)を得た。
次に、得られたシリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液(11)を0.35mmφのガラスメディアを導入した粉砕機に通液し、重量平均粒子径が98nmになるまで粉砕行い、SiO濃度18.7質量%の異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液(12)を得た。
(異形シリカ系ゲルからなる粒子の成長および調合液の濃縮)
得られた異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液(12)を1.9kg計量し、水10.5kgを添加してSiO2濃度3.0質量%の溶液12.4kgを得た。次に、水酸化ナトリウム水溶液(濃度48質量%)と水を加え、pHを10.4に調整した。次いで、98℃に昇温し30分間保持した。次に、温度を98℃に保持したまま酸性珪酸液(濃度4.6質量%)25.7kgを16時間かけて添加し、更に温度98℃に保持したまま1時間撹拌を継続し、調合液(以下、調合液B)を得た。
この調合液(B)を室温まで冷却し、限外ろ過膜(旭化成社製「SIP-1013」)で、SiO濃度12質量%まで濃縮した。
さらに、ロータリーエバポレーターでSiO2濃度50質量%まで濃縮し、異形シリカ系粒子および球状シリカ系粒子からなるシリカ系粒子群を得た。
得られたシリカ系粒子群の比表面積は87m2/gであり、重量平均粒子径は137nmであった。
実施例1と同様に、第一粒子、第二粒子および第三粒子について、それぞれ粒子の細孔の有無を確認したところ第一粒子には細孔の存在は確認されず、第二粒子および第三粒子については、何れも細孔が存在する事を確認した。
Figure 2023169503000001
Figure 2023169503000002

Claims (8)

  1. 異形シリカ系粒子および球状シリカ系粒子からなるシリカ系粒子群を含むシリカ系粒子分散液であって、下記[1]~[6]の特徴を有するシリカ系粒子分散液。
    [1]前記シリカ系粒子群は重量平均粒子径が50nm以上600nm以下であること。
    [2]前記シリカ系粒子群は画像解析法により測定された平均アスペクト比が1.35以上であり、更に、長径が10nm以上50nm未満である第一粒子、長径が50nm以上100nm未満である第二粒子及び長径が100nm以上である第三粒子を含み、前記第一粒子の平均アスペクト比が1.30以上、前記第二粒子の平均アスペクト比が1.35以上及び前記第三粒子の平均アスペクト比が1.43以上であること。
    [3]前記第一粒子、前記第二粒子および前記第三粒子のそれぞれについて画像解析法で得られた投影面積(F1)と、投影周囲長に等しい周囲をもつ円の面積(F2)との面積比(F1/F2)の値の平均値の範囲が、それぞれ0.84以下、0.77以下及び0.66以下であること。
    [4]前記シリカ系粒子群の重量換算粒子径分布おいて、粒子径の小さい粒子からの累積10%粒子径(D10)と、累積90%粒子径(D90)の粒子径比(D90/D10)が2以上であること。
    [5]前記シリカ系粒子群の重量換算粒子径分布における、粒子径の小さい粒子からの累積1%粒子径(D1)および累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)の1/6を単位として、D1からD99までを6等分し、それぞれに対応する重量換算粒子径分布の領域を小粒子径側からS1、S2、S3、S4、S5及びS6とした際に、領域S1からS6のそれぞれに対応する粒子含有率(質量%)の変動係数が100%以下であること。
    [6]前記領域S1、S2、S3、S4、S5及びS6のそれぞれ対応する粒子含有率(質量%)のうち、領域S1に対応する粒子含有率(質量%)が最大であること。
  2. 前記第一粒子が細孔構造を備えない粒子であり、前記第二粒子及び前記第三粒子は何れも細孔構造を備える粒子である請求項1記載のシリカ系粒子分散液。
  3. 請求項1または請求項2に記載のシリカ系粒子分散液を含む、磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー。
  4. 請求項1または請求項2に記載のシリカ系粒子分散液を含む、磁気ディスク基板研磨用組成物。
  5. 異形シリカ系粒子および球状シリカ系粒子からなるシリカ系粒子群を製造する方法であって、下記工程1から下記工程3を含む、シリカ系粒子群の製造方法。
    (工程1)下記数式(F1)で表される、粒子の強度が4~16GPaのシリカ系ゲルを、アルカリ性の条件下で、メディア(粒子径0.1~5mm)を用いて湿式解砕して、異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液を得る工程。
    (工程2)前記異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液に、アルカリ性の条件下で珪酸液を添加して、前記異形シリカ系ゲルからなる粒子の一次粒子間の細孔を前記珪酸液に含まれる珪酸との反応によって埋めながら異形のまま粒子を成長させて異形シリカ系粒子を形成して、前記異形シリカ系粒子を含む溶液を得る工程。
    (工程3)前記異形シリカ系粒子を含む溶液を濃縮し、シリカ系粒子群を回収する工程。
    σ=[(1-ε)/π]・K・H/d2・・・(F1)
    σ;粒子の強度[P]
    d;粒子の比表面積換算粒子径[m]
    K;粒子の平均配位数
    ε;粉体の空隙率
    π:円周率
    H;付着力[N]
  6. 前記工程1において、前記シリカ系ゲルの比表面積が50m2/g以上800m2/g以下であり、前記異形シリカ系ゲルからなる粒子の重量平均粒子径が40nm以上550nm以下であり、
    前記工程3において、前記シリカ系粒子群は、比表面積が270m2/g以下であり、かつ、重量平均粒子径が50nm以上600nm以下である、請求項5に記載のシリカ系粒子群の製造方法。
  7. 前記工程1において、湿式粉砕する際のpHが8以上11.5以下であり、
    前記工程2において、前記珪酸液を添加する際のpHが9以上12.5以下であり、前記珪酸液を添加した後のSiO2濃度が1質量%以上10質量%以下であり、前記珪酸液の添加の前または後に60℃以上170℃以下の温度に加温する、請求項5または請求項6に記載のシリカ系粒子群の製造方法。
  8. 前記工程2において、前記珪酸液の添加量は、前記異形シリカ系ゲルからなる粒子を含む溶液のSiO2モル濃度に対して、前記珪酸液のSiOモル濃度が0.5モル倍以上20モル倍以下になる範囲である、請求項5または請求項6に記載のシリカ系粒子群の製造方法。
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