JP7292844B2 - 研磨用組成物、基板の研磨方法および基板の製造方法 - Google Patents

研磨用組成物、基板の研磨方法および基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、研磨用組成物、基板の研磨方法および基板の製造方法に関する。
従来、金属や半金属、非金属、その酸化物等の材料表面に対して、砥粒および水を含む研磨用組成物を用いた研磨加工が行われている。例えば、磁気ディスク基板の研磨に用いられる研磨液組成物に関する技術文献として、特許文献1が挙げられる。
特開2018-81733号公報
高精度な表面が要求される研磨物の製造プロセスにおいては、一般に、最終製品の表面精度に仕上げるために行う最終研磨工程(仕上げ研磨工程)の前に、研磨効率(典型的には研磨レート)をより重視した研磨(予備研磨)が行われる。かかる予備研磨工程に用いた研磨用組成物に含まれる砥粒が予備研磨後の研磨対象物上に残留することは、仕上げ研磨工程後の表面品質を低下させる原因となり得るので好ましくない。
そこで本発明は、予備研磨工程において用いられる研磨用組成物であって、予備研磨に適した研磨レートを実現しつつ研磨対象物上への砥粒の残留が抑制された研磨用組成物を提供することを目的とする。関連する他の目的は、上記研磨用組成物を用いた基板の研磨方法および基板の製造方法を提供することである。
この明細書によると、予備研磨工程に用いられる研磨用組成物が提供される。この研磨用組成物は、シリカ粒子を含む砥粒と、水とを含む。前記砥粒は、光透過式遠心沈降法により測定された粒子径が45nm以下である粒子の含有率が10%以下であり、かつ、前記光透過式遠心沈降法による累積頻度99%粒子径(D99)が295nm以上である。上記特性(45nm以下の粒子の含有率およびD99)を満たす砥粒を含む研磨用組成物を使用することにより、予備研磨工程に適した研磨レートを実現しつつ、研磨対象物表面への砥粒の残留を抑制することができる。
ここに開示される技術(研磨用組成物、基板の研磨方法および基板の製造方法を包含する。以下同じ。)の好ましい一態様では、前記累積頻度99%粒子径(D99)が350以下である。これにより、粗大粒子によるラフネスの形成を抑制し、残留粒子をより効果的に低減できる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記砥粒の光透過式遠心沈降法による累積頻度50%粒子径(D50)が80nm以上である。D50が上記範囲を満たす砥粒は、予備研磨工程に適した研磨レートを実現しやすい。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記砥粒の光透過式遠心沈降法による累積頻度50%粒子径(D50)が180nm以下である。D50が上記範囲を満たす砥粒は、研磨対象の表面品質を向上させる観点から好適である。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、研磨用組成物は、酸と、酸化剤とをさらに含む。上記特性を満たす砥粒と、酸と、酸化剤とを組み合わせて含む研磨用組成物を使用することにより、予備研磨に適した実用的な研磨レートを実現しやすくなる。
ここに開示される技術の好ましい適用対象として、磁気ディスク基板が例示される。なかでも好ましい研磨対象物として、ニッケルリンめっきが施された磁気ディスク基板(以下「Ni-P基板」ともいう。)が挙げられる。上記磁気ディスク基板の予備研磨工程に上記研磨用組成物を適用することにより、実用的な研磨レートを満足しつつ、より効果的に残留粒子を抑制できる。
また、本発明によると、基板の研磨方法が提供される。その研磨方法は、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を研磨対象基板に供給して該研磨対象基板を研磨する工程(1)と、前記工程(1)の後に、前記研磨対象基板を洗浄する工程(2)とを含む。かかる研磨方法によると、工程(1)において実用的な研磨レートを満足しつつ、工程(2)において砥粒を効果的に除去し、残留粒子を低減できる。好ましい一態様では、上記基板の研磨方法は、前記工程(2)の後に、仕上げ研磨用組成物を前記研磨対象基板に供給して該研磨対象基板を研磨する工程(3)をさらに含む。この態様によると、工程(3)の開始時において工程(1)からの残留粒子が低減されていることにより、工程(3)においてより高い表面品質の(例えば、より表面欠陥の少ない)基板が得られる。
また、本発明によると、基板の製造方法が提供される。その製造方法は、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を用いて研磨対象基板を研磨する工程(1)と、前記工程(1)の後に、前記研磨対象基板を洗浄する工程(2)とを含む。かかる製造方法によると、高い表面品質を有する基板を生産性よく製造することができる。
光透過式遠心沈降法により得られたサンプル1、2の粒度分布である。 レーザー散乱法により得られたサンプル1、2の粒度分布である。 動的光散乱法により得られたサンプル1、2の粒度分布である。 例3における洗浄後の基板表面のSEM画像である。 例7における洗浄後の基板表面のSEM画像である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<研磨用組成物>
ここに開示される研磨用組成物は、予備研磨工程に用いられる。この明細書において「予備研磨工程」とは、砥粒を含む研磨用組成物を用いて行われる研磨工程のうち、仕上げ研磨工程よりも上流側に配置される研磨工程をいう。なお、「仕上げ研磨工程」とは、砥粒を含む研磨用組成物を用いて行われる研磨工程のうち最後に(すなわち、最も下流側に)配置される研磨工程をいう。したがって、ここに開示される研磨用組成物は、最も下流側に配置される研磨工程以外の研磨工程に用いられる種類の研磨用組成物として把握され得る。
(特性)
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒を含み、該砥粒が以下の条件:(A)粒子径が45nm以下である粒子(以下「微小粒子」ともいう。)の含有率が10%以下である;および、(B)累積頻度99%粒子径(D99)が295nm以上である;を満たすことによって特徴づけられる。
本発明者らは、予備研磨工程後に洗浄を行った後の研磨対象物表面を詳細に観察したところ、研磨対象物表面のラフネスの凹部に残留粒子が嵌まり込んでいることを見出した。しかし、予備研磨工程後の表面のラフネスを減らすことで粒子の残留を防止しようとすると、予備研磨工程における研磨レートが低下しがちである。そこで本発明者らは、砥粒のうち特に粒子径が45nm以下である粒子(すなわち、微小粒子)が上記凹部に入り込みやすく、洗浄後まで残留しやすいことに着目した。ここに開示される研磨用組成物によると、D99が295nm以上であることにより良好な研磨レートが得られやすく、かつ上記微小粒子の含有率が所定以下に制限された砥粒を用いることにより、予備研磨工程に適した研磨レートの実現と残留粒子の低減とを両立することができる。なお、当業者であれば、使用する材料の選択や粒径分布の調節により、所定のD99および微小粒子の含有率を満たす砥粒を得ることができる。上記粒径分布の調節は、例えば、微小粒子を除去する処理を施すことや、D99および微小粒子の含有率の一方または両方が異なる2種以上の砥粒を適切な比率でブレンドすることにより行うことができる。
なお、本明細書における「粒子径」は、光透過式遠心沈降法によって測定される。上記光透過式遠心沈降法は、粒子サイズの違いによって生じる沈降速度差を利用し、砥粒中の各粒子を分級しながら粒子径を測定するため、上記凹部に入り込みやすい微小粒子(粒子径が45nm以下の粒子)を他の方法(例えばレーザー散乱法や動的光散乱法等)よりも正確に検出できる。このため、上記光透過式遠心沈降法による粒子径に基づいて算出された微小粒子の含有率は、残留粒子を低減し得る砥粒を評価するにあたって信頼性の高い指標となり得る。
上記光透過式遠心沈降法による微小粒子の含有率は、JIS Z 8823-2に準拠した方法により得られる。かかる微小粒子の含有率の具体的な測定手順は次のとおりである。まず、ディスク形セルの内部に、粒子を含まない透明な検査液(例えば、スクロース8~24重量%水溶液)を満たし、当該検査液を透過する光ビームをセルに照射する。そして、所定の回転数(24000rpm)でセルを回転させながら、回転軸と同軸の注入口からセル内に砥粒の分散液を注入する。これによって、分散液中の粒子が遠心方向の外側に向かって沈降し、該沈降する粒子によって上記光ビームが減衰する。そして、時間経過にともなう光ビームの減衰量の変化に基づいて砥粒の粒度分布を求める。ここに開示される技術における「微小粒子の含有率」は、この光透過式遠心沈降法により得られた砥粒の粒度分布に基づいて求められる。なお、かかる砥粒の粒度分布は、上記光ビームの減衰量の変化を粒度分布に変換するソフトウエアを用いて求めることができる。
上記微小粒子の含有率は、凡そ9%以下であってもよく、8%以下であってもよく、7.5%以下であってもよく、7%以下であってもよい。上記微小粒子が少なくなるにつれて、残留粒子がより効果的に低減される傾向がある。また、微小粒子の含有率の下限は特に限定されず、例えば、微小粒子を含まない(45nm以下の粒子の含有率が0%である)砥粒を用いることもできる。一方で、微小粒子が多くなるにつれて、被研磨面の平滑性が向上する傾向もある。そのような観点から、微小粒子の含有率は、0.1%以上であってもよく、0.5%以上であってもよく、1%以上であってもよく、1.5%以上であってもよく、2%以上であってもよい。
また、本明細書における「累積頻度99%粒子径(D99)」とは、上記光透過式遠心沈降法に基づく粒子径測定により得られる重量基準の粒度分布において、小粒子径側からの累積が99%となる点に相当する粒子径をいう。このD99で示される大粒径側の粒子径が大きくなるにつれて、研磨レートが向上する傾向がある。このような観点から、D99は、凡そ296nm以上であってもよく、297nm以上であってもよく、298nm以上であってもよい。一方、D99が小さくなるにつれて、粗大粒子によるラフネスの形成が抑制される傾向があるため、残留粒子が低減されやすくなる。このような観点から、D99は、600nm以下が好ましく、350nm以下がより好ましく、350nm未満がさらに好ましく、320nm以下が特に好ましく、例えば310nm以下である。
特に限定されないが、砥粒の累積頻度50%粒子径(D50)は、50nm以上であることが好ましく、60nm以上であることがより好ましく、70nm以上であることがさらに好ましく、80nm以上であることが特に好ましい。これにより、予備研磨工程に適した研磨レートを実現しやすくなる。また、上記砥粒のD50は、表面品質の観点から、250nm以下であってもよく、200nm以下であってもよく、180nm以下であってもよく、160nm以下であってもよく、140nm以下であってもよく、120nm以下であってもよく、110nm以下であってもよい。ここに開示される技術は、例えば、研磨レートと表面品質との両立の観点から、上記D50が50nm以上250nm以下(より好ましくは50nm以上180nm以下、さらに好ましくは50nm以上110nm以下)の砥粒を用いる態様で好ましく実施され得る。なお、上記「累積頻度50%粒子径(D50)」とは、上記光透過式遠心沈降法に基づく粒子径測定により得られる重量基準の粒度分布において、小粒子径側からの累積が50%となる点に相当する粒子径をいう。
(砥粒)
ここに開示される研磨用組成物の砥粒は、シリカ粒子を含む。シリカ粒子は、シリカを主成分とする各種のシリカ粒子であり得る。ここで、シリカを主成分とするシリカ粒子とは、該粒子の90重量%以上(通常は95重量%以上、典型的には98重量%以上)がシリカである粒子をいう。使用し得るシリカ粒子の例としては、特に限定されないが、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等が挙げられる。使用し得るシリカ粒子の例には、さらに、上記シリカ粒子(すなわち、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等)を原材料として得られたシリカ粒子が挙げられる。そのようなシリカ粒子の例には、上記原材料のシリカ粒子(以下「原料シリカ」ともいう。)に、加温、乾燥、焼成等の熱処理、オートクレーブ処理等の加圧処理、解砕や粉砕(破砕)等の機械的処理、表面改質(例えば、官能基の導入、金属修飾等の化学的修飾)等から選択される1または2以上の処理を適用して得られたシリカ粒子が含まれ得る。ここに開示される砥粒は、上記のようなシリカ粒子の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて含むものであり得る。
シリカ粒子としては、例えば、原料シリカに対して熱処理を施して得られたシリカ粒子(以下「熱処理シリカ」ともいう。)、具体的には加温されたシリカ粒子、乾燥されたシリカ粒子、焼成されたシリカ粒子等が挙げられる。ここで、加温されたシリカ粒子とは、典型的には、60℃以上110℃未満の環境下に一定時間以上(例えば15分以上、典型的には30分以上)保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。また、乾燥されたシリカ粒子とは、典型的には、110℃以上500℃未満(好ましくは300℃以上500℃未満)の環境下に一定時間以上(例えば15分以上、典型的には30分以上)保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。そして、焼成されたシリカ粒子(以下「焼成シリカ」ともいう。)とは、典型的には、500℃以上の環境下に一定時間以上(例えば15分以上、典型的には30分以上)保持する処理(以下「焼成」ともいう。)を経て得られたシリカ粒子をいう。上述したいずれかの原料シリカ(コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等)を熱処理する過程を経て得られたシリカ粒子は、ここでいう熱処理シリカの概念に包含される典型例である。シリカ砥粒が熱処理シリカを含む場合、該シリカ砥粒に含まれる熱処理シリカは、1種であってもよく、製造条件および/または物性の異なる2種以上であってもよい。また、上記シリカ砥粒は、1種または2種以上の熱処理シリカからなる構成であってもよく、熱処理シリカと他のシリカ粒子(すなわち、熱処理されていないシリカ粒子)とを組み合わせて含む構成であってもよい。
ここに開示される技術におけるシリカ砥粒の構成成分として使用し得るシリカ粒子の他の一好適例として、コロイダルシリカが挙げられる。なかでも、ケイ酸ソーダ法シリカやアルコキシド法シリカのように、水相での粒子成長を経て合成されたコロイダルシリカの使用が好ましい。この種のコロイダルシリカを含むシリカ砥粒によると、高い研磨レートと良好な面精度とが好適に達成され得る。ここに開示されるシリカ砥粒がコロイダルシリカを含む場合、該シリカ砥粒に含まれるコロイダルシリカは、1種であってもよく、製造条件および/または物性の異なる2種以上であってもよい。また、上記シリカ砥粒は、1種または2種以上のコロイダルシリカからなる構成であってもよく、コロイダルシリカと他のシリカ粒子(すなわち、コロイダルシリカ以外のシリカ粒子)とを組み合わせて含む構成であってもよい。
上記コロイダルシリカの粒子形状は特に限定されず、例えば球形であってもよく、非球形であってもよい。非球形の具体例としては、ピーナッツ形状(すなわち、落花生の殻の形状)、繭形状、突起付き形状(例えば金平糖形状)、ラグビーボール形状等が挙げられる。特に限定するものではないが、コロイダルシリカの長径/短径比の平均値(平均アスペクト比)は、好ましくは1.01以上、さらに好ましくは1.05以上(例えば1.1以上)である。平均アスペクト比の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。また、コロイダルシリカの平均アスペクト比は、表面粗さ低減等の観点から、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。ここに開示される技術は、平均アスペクト比が1.25未満(例えば1.20以下、典型的には1.15未満)のコロイダルシリカを用いる態様でも好ましく実施され得る。
コロイダルシリカの形状(外形)や平均アスペクト比は、例えば次の方法で測定される。具体的には、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、測定対象の砥粒(1種類の砥粒粒子であってもよく、2種類以上の砥粒粒子の混合物であってもよい。)に含まれる所定個数の粒子を、1視野内に50個以上の粒子を含むSEM画像で観察する。観察倍率は10000~50000倍とする。上記観察画像中の砥粒粒子について、各々の粒子画像に外接する最小の長方形を描く。そして、各粒子画像に対して描かれた長方形について、その長辺の長さ(長径の値)を短辺の長さ(短径の値)で除した値を長径/短径比(アスペクト比)として算出する。上記所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、平均アスペクト比を求めることができる。上記平均アスペクト比は、一般的な画像解析ソフトウエアを用いて求めることができる。
なお、上記所定個数、すなわち粒子毎のアスペクト比を算出する粒子の個数は、測定精度や再現性を高める観点から、通常、1000個以上とすることが適当であり、1500個以上とすることが好ましい。上記所定個数の上限は特に制限されない。測定効率の観点から、上記所定個数は、例えば5000個以下であってよく、2500個以下でもよい。
ここに開示される研磨用組成物において、該研磨用組成物に含まれる固形分に占めるシリカ粒子の含有量は、特に限定されない。上記シリカ粒子の含有量は、本発明による効果を発揮しやすくする観点から、上記固形分全体の40重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上(例えば80重量%以上)である。あるいは、各種性能(例えば研磨レート、研磨対象面の表面品質等)のバランスをとりやすくする観点から、上記シリカ粒子の含有量は、上記固形分全体の90重量%以下(例えば80重量%以下)であってもよい。なお、本明細書において研磨用組成物に含まれる固形分とは、結合水が除去されない程度の温度(例えば60℃)で研磨用組成物から水分を蒸発させた後の残留分(不揮発分)をいう。
ここに開示される研磨用組成物の砥粒は、上記シリカ粒子以外の粒子を含有することができる。シリカ粒子以外の粒子としては、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子のいずれも利用可能である。無機粒子の具体例としては、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩;等が挙げられる。上記アルミナ粒子としては、α-アルミナ、α-アルミナ以外の中間アルミナおよびこれらの複合物が挙げられる。中間アルミナとは、α-アルミナ以外のアルミナ粒子の総称であり、具体例としてはγ-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、η-アルミナ、κ-アルミナおよびこれらの複合物が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子(ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包括的に指す意味である。)、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。これらシリカ粒子以外の粒子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここに開示される研磨用組成物は、アルミナ砥粒(例えばα-アルミナ砥粒)を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。かかる研磨用組成物によると、アルミナ砥粒の使用に起因する品質低下(例えば、ラフネス(スクラッチ)や窪みの発生、前記ラフネスの発生に起因する残留粒子の増加、砥粒の突き刺さり欠陥等)が防止される。なお、本明細書において、所定の砥粒(例えばアルミナ砥粒)を実質的に含まないとは、研磨用組成物に含まれる固形分全量のうち当該砥粒の割合が1重量%以下(より好ましくは0.5重量%以下、典型的には0.1重量%以下)であることをいう。アルミナ砥粒の割合が0重量%である研磨用組成物、すなわちアルミナ砥粒を含まない研磨用組成物が特に好ましい。また、ここに開示される研磨用組成物は、α-アルミナ砥粒を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。
ここに開示される研磨用組成物は、シリカ粒子以外の粒子(非シリカ粒子)を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。ここで、非シリカ粒子を実質的に含まないとは、研磨用組成物に含まれる固形分全量のうち非シリカ粒子の割合が1重量%以下(より好ましくは0.5重量%以下、典型的には0.1重量%以下)であることをいう。このような態様において、ここに開示される技術の適用効果が好適に発揮され得る。
(水)
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には、上述のような砥粒の他に、該砥粒を分散させる水を含有する。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。
ここに開示される研磨用組成物(典型的にはスラリー状の組成物)は、例えば、その固形分含量が5g/L~300g/Lである形態で好ましく実施され得る。上記固形分含量が10g/L~200g/Lである形態がより好ましい。
(酸)
ここに開示される研磨用組成物は、研磨促進剤として酸を含む態様で好ましく実施され得る。好適に使用され得る酸の例としては、無機酸や有機酸(例えば、炭素原子数が1~10程度の有機カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸、アミノ酸等)が挙げられるが、これらに限定されない。酸は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機酸の具体例としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ホウ
酸、スルファミン酸等が挙げられる。
有機酸の具体例としては、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、イタコン酸、マロン酸、イミノ二酢酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、クロトン酸、ニコチン酸、酢酸、アジピン酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、クロトン酸、メタクリル酸、グルタル酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、イソクエン酸、メチレンコハク酸、没食子酸、アスコルビン酸、ニトロ酢酸、オキサロ酢酸、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、シスチン、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン、ピコリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、エチルグリコールアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、フィチン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタンヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸、α-メチルホスホノコハク酸、アミノポリ(メチレンホスホン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アミノエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
研磨効率の観点から好ましい酸として、硝酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、フィチン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、メタンスルホン酸等が例示される。なかでも硝酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、メタンスルホン酸が好ましい。
研磨用組成物中に酸を含む場合、その含有量は特に限定されないが、通常、0.01mol/L以上が適当であり、0.05mol/L以上が好ましく、0.1mol/L以上がより好ましい。酸の含有量が少なすぎると、研磨レートが不足しやすくなり、実用上好ましくない場合がある。また、酸の含有量の上限は、通常、1mol/L以下が適当であり、0.7mol/L以下が好ましく、0.6mol/L以下(例えば0.5mol/L以下)がより好ましい。酸の含有量が多すぎると、研磨対象物の面精度が低下しやすくなり、実用上好ましくない場合がある。
酸は、該酸の塩の形態で用いられてもよい。塩の例としては、上述した無機酸や有機酸の、金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)、アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩)、アルカノールアミン塩(例えば、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩)等が挙げられる。
塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩およびアルカリ金属リン酸水素塩;上記で例示した有機酸のアルカリ金属塩;その他、グルタミン酸二酢酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸のアルカリ金属塩、トリエチレンテトラミン六酢酸のアルカリ金属塩;等が挙げられる。これらのアルカリ金属塩におけるアルカリ金属は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等であり得る。
ここに開示される研磨用組成物に含まれ得る塩としては、無機酸の塩(例えば、アルカリ金属塩やアンモニウム塩)を好ましく採用し得る。例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム等を好ましく使用し得る。
(酸化剤)
ここに開示される研磨用組成物には、必要に応じて酸化剤を含有させることができる。酸化剤の例としては、過酸化物、硝酸またはその塩、過ヨウ素酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、酸素酸またはその塩、金属塩類、硫酸類等が挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、硝酸、硝酸鉄、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸金属塩、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過塩素酸、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄等が挙げられる。好ましい酸化剤として、過酸化水素、硝酸鉄、過ヨウ素酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸および硝酸が例示される。酸化剤は、少なくとも過酸化水素を含むことが好ましく、過酸化水素からなることがより好ましい。
研磨用組成物中に酸化剤を含む場合、その含有量は特に限定されないが、通常、0.05mol/L以上であることが好ましく、より好ましくは0.1mol/L以上、さらに好ましくは0.15mol/L以上である。酸化剤の含有量が少なすぎると、研磨対象物を酸化する速度が遅くなり、研磨レートが低下するため、実用上好ましくない場合がある。また、酸化剤の含有量の上限は、1mol/L以下であることが好ましく、より好ましくは0.9mol/L以下、さらに好ましくは0.8mol/L以下である。酸化剤の含有量が多すぎると、研磨対象物の面精度が低下しやすくなり、実用上好ましくない場合がある。
(塩基性化合物)
研磨用組成物には、必要に応じて塩基性化合物を含有させることができる。ここで塩基性化合物とは、研磨用組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物の例としては、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩や炭酸水素塩、第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン、リン酸塩やリン酸水素塩、有機酸塩等が挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
炭酸塩や炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム;このような水酸化第四級アンモニウムのアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩);等が挙げられる。
アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類、等が挙げられる。
リン酸塩やリン酸水素塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
有機酸塩の具体例としては、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸アンモニウム等が挙げられる。
(その他の成分)
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、界面活性剤、水溶性高分子、分散剤、キレート剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物(例えば、Ni-P基板等のような磁気ディスク基板用の研磨用組成物)に使用され得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用可能である。界面活性剤(典型的には、分子量1×10未満の水溶性有機化合物)の使用により、研磨用組成物の分散安定性が向上し得る。界面活性剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリアクリル酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、およびこれらの塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の他の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸;およびこれらの塩等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
界面活性剤を含む態様の研磨用組成物では、界面活性剤の含有量を、例えば0.005g/L以上とすることが適当である。上記含有量は、研磨後の表面の平滑性等の観点から、好ましくは0.01g/L以上、より好ましくは0.1g/L以上である。また、研磨レート等の観点から、上記含有量は、100g/L以下とすることが適当であり、好ましくは50g/L以下、例えば10g/L以下である。
ここに開示される研磨用組成物には、水溶性高分子を含有させてもよい。水溶性高分子を含有させることにより、研磨後の面精度が向上し得る。水溶性高分子の例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリ酢酸ビニル、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリビニルアルコール、ポリグリセリン、ポリビニルピロリドン、イソプレンスルホン酸とアクリル酸の共重合体、ポリビニルピロリドンポリアクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、ジアリルアミン塩酸塩二酸化硫黄共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、キトサン、キトサン塩類等が挙げられる。水溶性高分子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性高分子を含む態様の研磨用組成物では、研磨液中における該水溶性高分子の含有量(複数の水溶性高分子を含む態様では、それらの合計含有量)を、例えば0.01g/L以上とすることが適当である。上記含有量は、研磨後の研磨対象物(例えば磁気ディスク基板)の表面平滑性等の観点から、好ましくは0.05g/L以上、より好ましくは0.08g/L以上、さらに好ましくは0.1g/L以上である。また、研磨レート等の観点から、上記含有量は、10g/L以下とすることが適当であり、好ましくは5g/L以下、例えば1g/L以下である。なお、ここに開示される技術は、研磨用組成物が水溶性高分子を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。
分散剤の例としては、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩等のポリカルボン酸系分散剤;ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩等のナフタレンスルホン酸系分散剤;アルキルスルホン酸系分散剤;ポリリン酸系分散剤;ポリアルキレンポリアミン系分散剤;第四級アンモニウム系分散剤;アルキルポリアミン系分散剤;アルキレンオキサイド系分散剤;多価アルコールエステル系分散剤;等が挙げられる。
キレート剤の例としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2-アミノエチルホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸およびα-メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましく、なかでも好ましいものとしてエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。特に好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)が挙げられる。
防腐剤および防カビ剤の例としては、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
(研磨液)
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象物(例えば磁気ディスク基板)に供給されて、該研磨対象物の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、研磨用組成物を希釈(典型的には、水により希釈)して調製されたものであり得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨対象物に供給されて該研磨対象物の研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液との双方が包含される。このような濃縮液の形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば1.5倍~50倍程度とすることができる。濃縮液の貯蔵安定性等の観点から、通常は2倍~20倍(典型的には2倍~10倍)程度の濃縮倍率が適当である。
研磨液における砥粒の含有量(複数種類の砥粒を含む場合には、それらの合計含有量)は特に制限されないが、典型的には1重量%以上であり、2.5重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましい。砥粒の含有量の増大によって、より高い研磨レートが実現される傾向にある。研磨後の基板の表面平滑性や研磨の安定性の観点から、通常、上記含有量は、20重量%以下が適当であり、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下である。
(pH)
ここに開示される研磨用組成物のpHは特に制限されない。研磨用組成物のpHは、例えば、pH12.0以下(典型的にはpH0.5~12.0)とすることができ、pH10.0以下(典型的にはpH0.5~10.0)としてもよい。好ましい一態様において、研磨用組成物のpHは、pH7.0以下(例えばpH0.5~7.0)とすることができ、pH5.0以下(典型的にはpH1.0~5.0)とすることがより好ましく、pH4.0以下(例えばpH1.0~4.0)とすることがさらに好ましい。研磨用組成物のpHは、例えばpH3.0以下(典型的にはpH1.0~3.0、好ましくはpH1.0~2.0、より好ましくはpH1.0~1.8)とすることができる。研磨液において上記pHが実現されるように、必要に応じて有機酸、無機酸、塩基性化合物等のpH調整剤を含有させることができる。上記pHは、例えば、Ni-P基板等の磁気ディスク基板の予備研磨工程用の研磨用組成物に好ましく適用され得る。
(多剤型研磨用組成物)
なお、ここに開示される研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分(典型的には、水以外の成分)のうち一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液とが混合されて研磨対象物の研磨に用いられるように構成されていてもよい。好ましい一態様に係る多剤型研磨用組成物は、砥粒を含むA液(典型的には、分散剤を含んでもよい砥粒分散液)と、砥粒以外の成分(例えば、酸、水溶性高分子その他の添加剤)を含むB液とから構成されている。通常、これらは、使用前は分けて保管されており、使用時(研磨対象基板の研磨時)に混合され得る。混合時には、例えば過酸化水素等の酸化剤がさらに混合され得る。例えば、上記酸化剤(例えば過酸化水素)が水溶液(例えば過酸化水素水)の形態で供給される場合、当該水溶液は、多剤型研磨用組成物を構成するC液となり得る。
<用途>
ここに開示される技術の適用対象は特に限定されない。ここに開示される技術は、砥粒を含む研磨用組成物により研磨可能な種々の研磨対象物の研磨や、上記研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することを含む研磨物の製造に適用することができる。研磨対象物の材質は、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン、ステンレス鋼等の金属もしくは半金属またはこれらの合金、およびそれらの材料を使用した半導体配線に使用される薄膜;石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラス状カーボン等のガラス状物質;アルミナ、シリカ、サファイア、窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料;炭化ケイ素、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム等の化合物半導体基板材料;ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、アリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エピチオ系樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;等であり得るが、これらに限定されない。また、これらのうち複数の材質により構成された研磨対象物であってもよい。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、磁気ディスク基板、シリコンウエハ等の半導体基板、レンズや反射ミラー等の光学材料等、高精度な表面が要求される各種研磨対象物を研磨する用途に好ましく使用され得る。かかる研磨対象物は、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層以外の金属層または金属化合物層を備えたディスク基板であってもよい。上記基材ディスクは、例えば、アルミニウム合金製、ガラス製、ガラス状カーボン製等であり得る。ここに開示される研磨用組成物は、このようなディスク基板のなかでも、Ni-P基板の研磨に好ましく適用され、アルミニウム合金製の基材ディスク上にニッケルリンめっき層を有するNi-P基板の研磨により好ましく適用され得る。
ここに開示される研磨用組成物は、仕上げ研磨工程後において高精度な表面が要求される研磨物(例えば磁気ディスク基板)の製造プロセスにおける予備研磨工程に使用される。これにより、予備研磨用の砥粒の残留が抑制されるため、仕上げ研磨工程後により高い表面品質の基板が得られる。なお、仕上げ研磨工程の前工程として複数の予備研磨工程を有する場合、これらの予備研磨工程において同一のまたは異なる研磨用組成物を用いることができる。このとき、ここに開示される研磨用組成物は、いずれの予備研磨工程にも使用可能である。また、上記複数の予備研磨工程を有する場合、ここに開示される研磨用組成物は、洗浄工程を挟んで仕上げ研磨工程の直前に配置される予備研磨工程に用いることが好ましい。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS-3000WRC」により測定される表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))が20Å~300Å程度の磁気ディスク基板を研磨(典型的には一次研磨)して、該磁気ディスク基板を10Å以下の表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))に調整する用途に好適である。かかる用途では、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。
<研磨プロセス>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、研磨対象物(例えば磁気ディスク基板)の研磨に好適に使用することができる。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物(典型的には研磨対象基板)を研磨する方法の好適な一態様につき説明する。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液(ワーキングスラリー)を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に濃度調整(例えば希釈)やpH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。
次いで、その研磨液を研磨対象物に供給し、常法により研磨する。例えば、一般的な研磨装置に研磨対象物をセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記研磨対象物の表面(研磨対象面)に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、研磨対象物の表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。かかる研磨工程を経て研磨対象物の研磨が完了する。
上述のような研磨工程は、基板(例えば磁気ディスク基板、典型的にはNi-P基板)の製造プロセスの一部であり得る。したがって、この明細書によると、上記研磨工程を含む基板の製造方法および研磨方法が提供される。
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物の予備研磨工程に好ましく使用され得る。この明細書によると、上述したいずれかの研磨用組成物を用いて予備研磨を行う工程と、予備研磨工程の後に研磨対象物の洗浄を行う工程とを含む、研磨物(基板)の製造方法および研磨方法が提供される。上記方法は、ここに開示される研磨用組成物を研磨対象物に供給して研磨対象物を研磨する工程(1)と、工程(1)の後に研磨対象基板を洗浄する工程(2)とを含む。上記方法は、上記工程(2)の後に仕上げ研磨工程を含み得る。したがって、この明細書により開示される事項には、微小粒子の含有率とD99が所定範囲内の砥粒を含む研磨用組成物で研磨対象物を研磨する工程(1)と、洗浄によって工程(1)で使用した研磨用組成物を除去する工程(2)と、工程(1)で用いられる研磨用組成物とは異なる研磨用組成物(仕上げ研磨用組成物)で研磨対象物を研磨する工程(3)とをこの順で含む、研磨物(基板)の製造方法および研磨方法が含まれる。上記研磨物の製造方法は、磁気ディスク基板(例えばNi-P基板)その他の研磨物の製造に好ましく適用され得る。なお、仕上げ研磨工程に使用される研磨用組成物は特に限定されない。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<粒度分布の測定方法>
粒度分布が異なる複数種類のシリカ粒子を用意し、これらを組み合わせた2種類の砥粒を作製した(サンプル1、2)。そして、各々の砥粒をイオン交換水に分散させて測定用スラリーを調製し、光透過式遠心沈降法と、レーザー散乱法と、動的光散乱法の3種類の方法を用いて各サンプルの粒度分布を測定した。
上記光透過式遠心沈降法では、米国 CPS Instruments社製のディスク遠心式粒度分布測定装置「DC24000 UHR」を用い、JIS Z 8823-2に準拠して重量基準の粒度分布を求めた。なお、この粒度分布の測定は、下記に示す条件により行った。
セル内に導入する検査液:最小濃度8重量%、最大濃度24重量%のスクロース水溶液
セル内に導入する検査液の注入量:12mL
測定用スラリーのシリカ濃度:2重量%
測定用スラリーの注入量:0.1mL
ディスクの回転速度:24000rpm
測定範囲:0.025μm~1.0μm
また、上記レーザー散乱法では、HORIBA社製の型式「LA―950」を用いて体積基準の粒度分布を求めた。また、上記動的光散乱法では、Malvern社製の型式「Zetasizer nano ZSP」を用いて体積基準の粒度分布を求めた。光透過式遠心沈降法により得られた粒度分布を図1に示し、レーザー散乱法により得られた粒度分布を図2に示し、動的光散乱法により得られた粒度分布を図3に示す。
図1~3に示されるように、光透過式遠心沈降法により得られた粒度分布では、レーザー散乱法や動的光散乱法により得られた粒度分布と異なり、混合した複数種類のシリカ粒子の各々の最頻径に基づくピークが確認された。これは、砥粒に含まれる各粒子を分級しながら粒子径を測定しているためと考えられる。このことから、光透過式遠心沈降法は、他の方法よりも優れた分解能を有しており、この方法によって得られた微小粒子の含有率(粒子径が45nm以下の粒子の含有率)は、残留粒子を低減し得る砥粒を評価するにあたって信頼性の高い指標になり得ることがわかる。
<例1~8>
[研磨用組成物の調製]
粒度分布が異なる複数種類のシリカ粒子を用意した。これらのシリカ粒子を単独でまたは組み合わせて含む砥粒と、リン酸と、31%過酸化水素水と、脱イオン水とを混合して、砥粒濃度が7重量%、リン酸濃度が0.14mol/L、過酸化水素濃度が0.36mol/Lの研磨用組成物を調製した(例1~8)。この研磨用組成物のpHは1.5であった。各例で使用した砥粒の粒子径を光透過式遠心沈降法で測定し、45nm以下の粒子の含有率(%)を求めると共に、当該光透過式遠心沈降法に基づいた累積頻度99%粒子径(D99)、累積頻度50%粒子径(D50)を求めた。表1に纏めて示す。
[ディスクの研磨]
各例に係る研磨用組成物をそのまま研磨液として使用して、下記の条件で、研磨対象物の研磨を行った。研磨対象物としては、表面に無電解ニッケルリンめっき層を備えたハードディスク用アルミニウム基板を使用した。上記研磨対象物(研磨対象基板)の直径は3.5インチ(外径約95mm、内径約25mmのドーナツ型)、厚さは1.75mmであり、研磨前における表面粗さRa(Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS-3000WRC」により測定したニッケルリンめっき層の算術平均粗さ)は130Åであった。
(研磨条件)
研磨装置:システム精工社製の両面研磨機、型式「9.5B-5P」
研磨パッド:スウェードパッド(初期表面線粗さ平均:10μm以上、ポアサイズ:50μm)
研磨対象基板の投入枚数:15枚(3枚/キャリア ×5キャリア)
研磨液の供給レート:135mL/分
研磨荷重:120g/cm
上定盤回転数:27rpm
下定盤回転数:36rpm
サンギヤ(太陽ギヤ)回転数:8rpm
研磨量:各基板の両面の合計で約2.2μmの厚さ
[研磨レート]
各例に係る研磨用組成物を用いて上記研磨条件で研磨対象基板を研磨したときの片面における研磨レートを算出した。研磨レートは、次の計算式に基づいて求めた。結果を表1に示す。なお、表1中の研磨レート(%)は、例5の研磨レートを100%とした相対値である。
研磨レート[μm/min]=研磨による基板の重量減少量[g]/(基板の面積[cm]×ニッケルリンめっきの密度[g/cm]×研磨時間[min])×10
[残留粒子個数]
上記研磨レートの測定と同じ条件で研磨した基板をクレセン社製の洗浄機を用いて洗浄した後、基板表面に残留した粒子の個数を測定した。具体的な手順を以下に記載する。
まず、ブラシと洗浄剤を使用せずに流水中で基板を洗浄し、基板に付着した水滴をスピンドライヤにより払い落として乾燥させた後、10分以内にブラシと洗浄剤を使用した通常の洗浄を行った。具体的な洗浄条件は以下のとおりである。
(ブラシなし条件)
洗浄剤塗布時間:0秒
第1洗浄時間(流水のみ):15秒
第2洗浄時間(流水のみ):20秒
超音波洗浄時間(流水のみ):20秒
スピンドライ乾燥時間:20秒
(通常条件)
洗浄剤塗布時間:5秒
第1洗浄時間(ブラシ洗浄あり):15秒
第2洗浄時間(ブラシ洗浄あり):20秒
超音波洗浄時間(流水のみ):20秒
スピンドライ乾燥時間:20秒
次に、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡「SU8000」を用いて、洗浄後の基板表面(両面)を50000倍の倍率で一面あたり10視野観察した。そして、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウエア「Mac-View」を用いて、各視野における残留粒子個数を測定し、1視野あたりの残留粒子個数の平均値を算出した。結果を表1に示す。なお、表1中の残留粒子個数(%)は、例5の残留粒子個数を100%とした相対値である。また、例3における洗浄後の基板表面のSEM画像を図4に示し、例7における洗浄後の基板表面のSEM画像を図5に示す。
Figure 0007292844000001
表1に示されるように、例1~4では、例5~7と比べて残留粒子個数が減少していた。例えば、図4、5に示されるように、例7では、基板表面に形成されたラフネスに微小粒子が入り込み、多くの粒子が残留していたが、例3では残留粒子が低減されていた。また、表1に示されるように、例1~4では例8に比べて顕著に高い研磨レートが得られた。これらの結果から、45nm以下の粒子の含有率が10%以下であり、かつ、D99が295nm以上である砥粒を含む研磨用組成物を用いることにより、実用的な研磨レートを実現しつつ、残留粒子を効果的に低減できることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (7)

  1. ニッケルリンめっきが施された磁気ディスク基板の予備研磨工程に用いられる研磨用組成物であって、
    シリカ粒子を含む砥粒と、水とを含み、
    前記砥粒は、光透過式遠心沈降法により測定された粒子径が45nm以下である粒子の含有率が10%以下であり、かつ、前記光透過式遠心沈降法による累積頻度99%粒子径(D99)が295nm以上350nm以下であり、
    前記砥粒の光透過式遠心沈降法による累積頻度50%粒子径(D50)が180nm以下であり、
    pHが7.0以下である、研磨用組成物。
  2. 前記砥粒の光透過式遠心沈降法による累積頻度50%粒子径(D50)が80nm以上である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記砥粒の光透過式遠心沈降法による累積頻度50%粒子径(D50)が160nm以下である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 酸と、酸化剤とをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  5. 請求項1~のいずれか一項に記載の研磨用組成物を研磨対象基板に供給して該研磨対象基板を研磨する工程(1)と、
    前記工程(1)の後に、前記研磨対象基板を洗浄する工程(2)と
    を含む、基板の研磨方法。
  6. 前記工程(2)の後に、仕上げ研磨用組成物を前記研磨対象基板に供給して該研磨対象基板を研磨する工程(3)をさらに含む、請求項に記載の基板の研磨方法。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて研磨対象基板を研磨する工程(1)と、
    前記工程(1)の後に、前記研磨対象基板を洗浄する工程(2)と
    を含む、基板の製造方法。
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