JP2013170119A - シリカ溶液調製方法、該シリカ溶液調製方法により調製されたシリカ溶液を含有する研磨液、及び該研磨液を用いた磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一次粒子径が1〜80nmのシリカ粒子を含有するシリカ溶液から異物を除去するシリカ溶液調製方法であって、遠心加速度G、沈降距離と沈降時間の比h/t及び前記溶液の粘度ηを制御し、される異物の粒子径Dpを0.1〜1μmとするシリカ溶液調製方法、磁気記録媒体用ガラス基板の主平面の研磨に使用される研磨液であり、除去される異物の粒子径Dpを0.1〜1μmとするシリカ溶液調製方法によって調製されたシリカ溶液を含有する研磨液、該研磨液を用いて主平面を研磨する工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【選択図】図2
Description
Dp=[18h・η/{(ρp−ρf)G・t}]1/2 …(1)
(但し、式(1)中、Dpは異物の粒子径(cm)、hは異物の沈降距離(cm)、ηは溶液の処理温度における粘度(g/cm・s)、ρpは異物の密度(g/cm3)、ρfは溶媒の密度(g/cm3)、Gは遠心加速度(cm/s2)、tは異物の沈降時間(s)、である。)
v={d2(ρp−ρf)・rω2}/(18η) …(2)
(但し、式(2)中、ρpは沈降する粒子の密度(g/cm3)、ρfは溶液の密度(g/cm3)、ηは溶液の粘度(g/cm・s)である。)
沈降速度v(沈降距離と沈降時間の比h/t)は、溶液中で異物が沈降する距離を沈降するまでの時間で除算したものであり、使用する装置の仕様や、遠心分離の条件等により決定されるものである。
本発明のシリカ溶液調製方法は、水や有機溶媒等の溶媒にシリカ粒子及び異物が分散してなるシリカ溶液(以下、溶液ともいう)中の異物除去に用いることができる。本発明においてシリカ粒子及び異物は主に溶媒中に分散して存在しているが、一部が溶媒に溶解していてもよい。シリカ溶液はシリカ粒子及び異物以外の添加物や不純物等を含有していてもよい。溶媒には特に制限はなく例えば、水、メタノール、イソプロパノール等のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の有機溶媒等が挙げられる。シリカ粒子の分散が容易であることから水が好ましく、他の成分に対する影響、不純物の混入、pH等への影響が少ないことから、純水、超純水、イオン交換水等であることが好ましい。
シリカフラワー、ケイ石、シリカサンド、クォーツサンド、水晶等公知の原料をアルカリ溶融させ水ガラスとし、この水ガラスを中和又はイオン交換してシリカ溶液を得る。シリカ溶液として市販品を用いてもよい。
本発明のシリカ溶液調製方法においては、下記式(1)において、遠心加速度G、沈降距離h、沈降時間t及び前記溶液の粘度ηを制御して、除去される異物の粒子径(直径)Dpを0.1×10−4〜1×10−4cmとし、好ましくは0.1×10−4〜0.5×10−4cm、より好ましくは0.1×10−4〜0.2×10−4cmとする。
Dp=[18h・η/{(ρp−ρf)G・t}]1/2 …(1)
(但し、式(1)中、Dpは遠心分離される異物の粒子径(cm)、hは異物の沈降距離(cm)、ηは処理温度における溶液の粘度(g/cm・s)、ρpは異物の密度(g/cm3)、ρfは溶媒の密度(g/cm3)、Gは遠心加速度(cm/s2)、tは異物の沈降時間(s)、である。)
本発明の研磨液は、磁気記録媒体用ガラス基板の主平面の研磨に使用される研磨液であって、上述した本発明のシリカ溶液調製方法により異物が除去されたシリカ溶液を含有する。シリカ溶液調製方法における好ましい態様は上述したものと同様である。
本発明の研磨液は、異物が除去されたシリカ溶液を、水、アルコール、有機溶剤等の溶媒で希釈して製造することができる。溶媒としては、シリカ溶液と同一の溶媒が好ましい。
また、使用する溶媒の量は、シリカ溶液の粘度ηや被研磨物であるガラス基板の物性等により適宜選択することができるが、例えば、シリカ溶液100質量部に対して好ましくは100〜1,000質量部であり、より好ましくは150〜700質量部である。
このようにして製造された本発明の研磨液によれば、例えば磁気記録媒体用ガラス基板の主平面の研磨に使用されることにより、より平滑な主平面を得ることができる。
図2は、本発明により製造される磁気記録媒体用ガラス基板の断面斜視図である。本発明の磁気記録媒体用ガラス基板10の製造方法は、以下の各工程を有する。なお、以下に示す各工程間に、ガラス基板の洗浄(工程間洗浄)やガラス基板表面(ガラス基板の一部又は全面)のエッチング(工程間エッチング)を行ってもよい。また、磁気記録媒体用ガラス基板に高い機械的強度が求められる場合、ガラス基板の表層に強化層(圧縮応力層)を形成する強化工程(例えば、化学強化工程)を、主平面研磨工程前又は主平面研磨工程後、あるいは主平面研磨工程の間(一次研磨工程と二次研磨工程との間、又は二次研磨工程と三次研磨工程との間)に有していてもよい。
まず、フロート法、フュージョン法、ダウンドロー法又はプレス成形法で成形されたガラス原板を、中央部に円孔11を有する円盤形状に加工する。ガラス原板は、フロート法で成形されたものでも、フュージョン法で成形されたものでも、ダウンドロー法又はプレス成形法で成形されたものでもよい。また、ガラス原板を構成するガラスは、アモルファスガラスでもよく、結晶化ガラスでもよい。
円形加工されたガラス基板10の内周側面101と上下両主平面103との交差部、及び外周側面102と上下両主平面103との交差部にそれぞれ面取り加工を行い、内周面取り部104及び外周面取り部105を形成する。
ガラス基板の内周端面(内周側面101と内周面取り部104)を、砥粒を含有する研磨液と研磨ブラシを用いて研磨し、円形加工及び面取り加工等の際に内周端面に生じたキズなどを除去し、鏡面となるように平滑化する。また、ガラス基板の外周端面(外周側面102と外周面取り部105)を、砥粒を含有する研磨液と研磨ブラシを用いて研磨し、円形加工及び面取り加工等の際に外周端面に生じたキズなどを除去し、鏡面となるように平滑化する。
ガラス基板10の主平面103の研磨は、円形加工や面取り加工、主平面の研削等の際に主平面103に生じたキズ等を除去し、うねりや粗さを低減して主平面103のを平滑化するために行う。主平面研磨工程では、砥粒を含有する研磨液と発泡樹脂製等の研磨パッド(硬質研磨パッド又は軟質研磨パッド)とを使用し、両面研磨装置により上下両主平面103を研磨することが好ましい。
精密洗浄工程では、主平面103が研磨されたガラス基板10に対して、例えば、洗剤を用いたスクラブ洗浄を行った後、洗剤溶液に浸漬した状態での超音波洗浄、純水に浸漬した状態での超音波洗浄などを順次行う。洗浄後は、乾燥を行う。乾燥方法としては、例えば、イソプロピルアルコール蒸気による蒸気乾燥、温風による温水温風乾燥、スピン乾燥等がある。
磁気ディスク(磁気記録媒体)は、本発明の製造方法により得られた磁気記録媒体用ガラス基板10の主平面103に、磁性層、保護層、及び潤滑膜等を設けた構造を有する。
例1〜9において、除去された異物は、珪藻土であり、その密度ρpは2.1(g/cm3)、溶媒は水であり、密度ρfは1(g/cm3)であった。
例1〜9では、シリカ溶液として、コロイダルシリカ溶液(シリカ粒子の平均一次粒子径が30nmのもの)を純水で希釈したものを用いた。
(異物除去処理)
異物除去処理に用いた装置を以下に示す。
遠心分離機A:(バッチ処理型、大容量冷却遠心機HL−7α(コクサン(株)製))。
遠心分離機B:(連続処理型、サイトウセパレーター(ADS−1001CS)、斎藤遠心機工業(株)社製、容量400L/時)
コロイダルシリカ溶液を純水で希釈して溶液中のシリカ濃度を15質量%とし、水酸化ナトリウムを添加しpHを9とした。これを遠心分離機Aのロータに10cmの高さ(沈降距離に該当)まで入れ、68,588(m/s2)で20分間(沈降時間に相当)処理したものをシリカ溶液1とした。
コロイダルシリカ溶液を純水で希釈して溶液中のシリカ濃度を15質量%とし、水酸化ナトリウムを添加しpHを9とした。これを遠心分離機Bに流量4.8L/分で導入し、78,453(m/s2)で処理したものをシリカ溶液2とした。
コロイダルシリカ溶液を純水で希釈して溶液中のシリカ濃度を15質量%とし、水酸化ナトリウムを添加しpHを9とした。これを遠心分離機Bに流量1.8L/分で導入し、29,420(m/s2)で処理したものをシリカ溶液3とした。
コロイダルシリカ溶液を純水で希釈して溶液中のシリカ濃度を15質量%とし、水酸化ナトリウム及びクエン酸を添加しpHを3.9とした。これを遠心分離機Bに流量1.8L/分で導入し、29,420(m/s2)で処理したものシリカ溶液4とした。
コロイダルシリカ溶液を純水で希釈して溶液中のシリカ濃度を48質量%とし、水酸化ナトリウムを添加しpHを9とした。これを遠心分離機Bに流量0.2L/分で導入し、78,453(m/s2)で処理したものをシリカ溶液5とした。
コロイダルシリカ溶液を純水で希釈して溶液中のシリカ濃度を15質量%とし、水酸化ナトリウムを添加しpHを9とした。これを遠心分離機Aのロータに10cmの高さ(沈降距離に該当)まで入れ、4,903(m/s2)で5分間(沈降時間に相当)処理したものをシリカ溶液7とした。
コロイダルシリカ溶液を純水で希釈して溶液中のシリカ濃度を48質量%とし、水酸化ナトリウムを添加しpHを9とした。これを遠心分離機Bに流量1.0L/分で導入し、78,453(m/s2)で処理したものをシリカ溶液6とした。
コロイダルシリカ溶液を純水で希釈して溶液中のシリカ濃度を15質量%とし、水酸化ナトリウムを添加してpHを9としたものをシリカ溶液8とした。
コロイダルシリカ溶液を純水で希釈して溶液中のシリカ濃度を15質量%とし、水酸化ナトリウムを添加してpHを9とした。これを孔径0.2μmのフィルタ(型番:YSP−020、ヤマシンフィルタ(株)社製)で濾過したものをシリカ溶液9とした。
例1〜9で処理された研磨液1〜9を純水で0.1質量%に希釈した。希釈した研磨液をそれぞれ3ml採取し、孔径が0.4μmのメンブレンフィルター(商品名:Isopore(HTTP)、MILLIPORE社製)で吸引濾過し、乾燥させた。次に、乾燥させたフィルターをSEM観察の試料台へ貼りつけ、1nmのPt薄膜を蒸着により形成した。SEM観察は、走査電子顕微鏡S−4700(日立ハイテクノロジーズ(株)社製)を用い、倍率5000倍で行い、20μm×25μmの視野に異物が存在するかを観察した。異物の存在する視野を1、不存在の視野を0として、100視野中の異物存在視野を計測し、異物存在確率を評価した。
<円形加工工程>
フロート法で成形されたSiO2を主成分とするガラス原板を、外径65mm、内径20mm、板厚0.635mmの磁気記録媒体用ガラス基板が得られるように、中央部に円孔11を有する円盤形状に加工した。
中央部に円孔11を有する円盤形状に加工されたガラス基板の内周側面101と上下両主平面103との交差部、及び外周側面102と上下両主平面との交差部を、最終的に面取り幅0.15mm、面取り角度45°の磁気記録媒体用ガラス基板10が得られるように面取り加工した。
両面研削装置(スピードファム社製、製品名:DSM−16B−5PV−4MH)により、平均粒子径25μmのアルミナ砥粒を含有する研削液を用いて、ガラス基板の上下両主平面103の一次研削を行った。一次研削後、基板を洗浄し砥粒を除去した。
ガラス基板の外周端面を、酸化セリウム砥粒を含む研磨液と研磨ブラシとを用いて研磨し、外周端面のキズを除去し、鏡面となるように研磨した。外周端面研磨後、ガラス基板10を洗浄し砥粒を除去した。次に、ガラス基板10の内周端面を、酸化セリウム砥粒を含む研磨液と研磨ブラシとを用いて研磨し、内周端面のキズを除去し、鏡面となるように研磨した。内周端面研磨後、ガラス基板を洗浄し砥粒を除去した。
平均粒子径4μmのダイヤモンド砥粒を含有する固定砥粒工具と研削液を用いて、両面研削装置(スピードファム社製、製品名:DSM−16B−5PV−4MH)により、ガラス基板10の上下両主平面103を研削した。
両面研磨装置を用いて、ガラス基板10の両主平面103を研磨した。研磨は、一次研磨と二次研磨及び三次研磨(仕上げ研磨)の3段研磨とした。
一次研磨工程では、平均粒子径が1.2μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液と硬質ウレタン製の研磨パッドを使用し、16B型両面研磨装置(スピードファム社製、製品名:DSM−16B−5PV)により、ガラス基板10の主平面103を研磨した。1ロットは100枚とした。
一次研磨後のガラス基板10の両主平面103を、平均粒子径が0.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液と軟質ウレタン製の研磨パッドを使用し、一次研磨と同じ両面研磨装置により研磨した。二次研磨工程では、総研磨量が両主平面の厚さ方向の合計で5μmとなるように研磨時間を設定して、研磨を実施した。二次研磨後、ガラス基板10を洗浄し、酸化セリウム砥粒を除去した。
二次研磨後のガラス基板の両主平面103を、例1〜9で処理されて得られた研磨液1〜9と軟質ウレタン製の研磨パッドを使用し、16B型両面研磨装置(スピードファム社製、製品名:DSM−16B−5PV)により研磨(仕上げ研磨)した。三次研磨工程では、総研磨量が上下両主平面の厚さ方向の合計で1μmになるように研磨時間を設定して、研磨を行った。
三次研磨後のガラス基板に対して、洗剤によるスクラブ洗浄、洗剤溶液に浸漬した状態での超音波洗浄、純水に浸漬した状態での超音波洗浄を順次行い、次いでイソプロピルアルコール蒸気により乾燥した。こうして製造した磁気記録媒体用ガラス基板をそれぞれガラス基板1〜9とした。
ガラス基板1〜9を精密洗浄して表面のパーティクルを除去した後、DCマグネトロンスパッタリング装置により、軟磁性層として厚さ150nmのCoFeZrNb層を、非磁性中間層として厚さ10nmのRu層を、垂直記録用磁性層として厚さ15nmのCoCrPtBのグラニュラ構造層を、順に積層して形成した。次いで、こうして形成された垂直記録用磁性層の上に、保護層として厚さ4nmの非晶質ダイヤモンド状カーボン膜をCVD法により形成した後、その表面にパーフルオロポリエーテル潤滑膜をディップ法により形成した。
グライドハイト評価では、ピエゾ素子又はアコースティックエミッション等のグライドハイトテスト用センサをヘッドスライダに設けた検査用ヘッドを用い、磁気ディスク装置の磁気ヘッドと磁気ディスクとの関係を再現する。そして、磁気ディスクの表面上でヘッドスライダの浮上面の幅に対応する多数のトラックを含む一定範囲の記録エリア毎に、一定高さ以上の異常突起等がテストヘッドのヘッドスライダに衝突したとき、これによって生ずる過大振動エネルギをセンサにより検出し、異常突起の存在を検出する。
Claims (7)
- 一次粒子径が1〜80nmのシリカ粒子を含有するシリカ溶液から異物を除去するシリカ溶液調整方法であって、
下式(1)で表わされる除去する異物の粒子径であるDpが0.1×10−4〜1×10−4cmとなるように、
遠心加速度G、沈降距離と沈降時間の比(h/t)及び前記シリカ溶液の粘度ηを制御することを特徴とするシリカ溶液調整方法。
Dp=[18h・η/{(ρp−ρf)G・t}]1/2 …(1)
(但し、式(1)中、Dpは異物の粒子径(cm)、hは異物の沈降距離(cm)、ηは溶液の処理温度における粘度(g/cm・s)、ρpは異物の密度(g/cm3)、ρfは溶媒の密度(g/cm3)、Gは遠心加速度(cm/s2)、tは異物の沈降時間(s)、である。) - 前記沈降距離と沈降時間の比(h/t)は0.003〜0.50(cm/s)である請求項1記載のシリカ溶液調整方法。
- 前記遠心加速度Gは28,000〜200,000(m/s2)である請求項1又は2記載のシリカ溶液調整方法。
- 前記溶液の粘度ηは0.1〜0.5(g/cm・s)である請求項1〜3のいずれか1項記載のシリカ溶液調製方法。
- 前記溶液のpHは1〜7である、請求項1〜4のいずれか1項記載のシリカ溶液調製方法。
- 磁気記録媒体用ガラス基板の主平面の研磨に使用される研磨液であり、請求項1〜5記載のシリカ溶液調製方法によって調製されたシリカ溶液を含有する研磨液。
- 請求項6記載の研磨液を用いて磁気記録媒体用ガラス基板の主平面を研磨する工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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