JP5319095B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ハードディスクドライブ装置に搭載される磁気ディスク用のガラス基板の製造方法に関する。
近年、ハードディスクドライブ装置(HDD装置)には、さらなる高密度記録に対応可能であり、より低価格な磁気ディスクが必要となっている。磁気ディスクの高密度記録化を達成するためには、磁気ヘッドの浮上高さを小さくすることが重要となる。磁気ヘッドの浮上高さは、磁気ディスク表面の表面粗さやうねりに相関があるため、磁気ディスク用基板の表面粗さをより小さくする試みがなされている。また、磁気ディスクの高密度記録化を達成するためには、磁気ディスク用基板の表面における研磨砥粒残りをはじめとした欠陥を低減する必要がある。
従来から、磁気ディスク用基板として機械的耐久性や高い平滑性が得られるなどの理由からガラス基板が用いられている。そして、ガラス基板の表面を平滑にする方法として、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨材を用いた研磨方法が知られている(特許文献1)。
特開2003−173518号公報
コロイダルシリカ砥粒を含む研磨材を用いた研磨工程において、表面粗さのレベルを低くする手段として、研磨液のpH管理及び砥粒の粒径管理が知られている。pH管理においては、例えば、研磨材の液性がシリカの安定域であるアルカリ性域である場合、ガラス表面のリーチング作用(イオン溶出)が発現しないため、その後の洗浄工程における表面粗さの上昇が抑制され、表面粗さを低いレベルとすることができる一方で良好な研磨速度が得られない。反対に、研磨材の液性がシリカの準安定域である酸性域である場合、ガラス基板表面でのリーチング作用及びコロイダルシリカ砥粒のゼータ電位の絶対値が零に近づくことで砥粒の2次粒子径が増大し、良好な研磨速度が得られ、またガラス基板表面のゼータ電位の絶対値も零に近づくことから高洗浄性が得られるが、リーチング作用が大きくリーチング層が深くまで到達するために、洗浄工程におけるアルカリエッチングにより表面粗さが著しく上昇して、表面粗さを低いレベルとすることができない。また、これら研磨材の液性が中性域である場合、リーチング作用が発現しないためアルカリ性域同等の表面粗さは達成できるものの、酸性域ほどの高研磨速度が得られないばかりか、ガラス基板表面のゼータ電位の絶対値が大きいために高洗浄性が得られずに要求される表面欠陥品質が達成できないという問題が残る。このように、研磨材の液性がいずれの液性であっても、低いレベルの表面粗さ、低いレベルの表面欠陥、早い研磨速度を共に実現することができない。
また、砥粒の粒径管理においては、コロイダルシリカ砥粒の粒径を小さくすることで表面粗さを低いレベルとすることができる一方で、研磨速度が低下することが知られている。しかしながら、研磨材の液性が酸性域である場合、コロイダルシリカ砥粒の粒径を小さくすることだけでは現在要求されている表面粗さを達成することが困難であるばかりでなく、生産性も大きく損なうことになってしまう。また、研磨材の液性がアルカリ性域或いは中性域においては研磨速度が著しく低く、先述の通りガラス基板の表面欠陥品質が達成できないという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、磁気ディスク用ガラス基板の製造において、低いレベルの表面粗さ、低いレベルの表面欠陥、早い研磨速度を共に実現することができる方法を提供することを目的とする。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、化学強化基板用ガラスであるアルミノシリケートガラスからなるガラス基板の主表面に対して研磨材を用いて研磨を行う工程と、前記研磨を行う工程を経た前記ガラス基板をアルカリ性の薬液により洗浄する工程と、を含み、前記洗浄する工程後の前記ガラス基板の主表面の表面粗さRaが0.12nm以下である磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨材のpHが4〜6であり、前記研磨材は、研磨粒子と、前記研磨粒子を分散させる分散媒と、前記研磨材のpHを変化させずに、前記研磨材における電解質濃度を上げる添加剤と、を有し、前記研磨材がコロイダルシリカであり、前記添加剤が硫酸化合物、燐酸化合物、及び硝酸化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つであり、前記添加剤の添加量は、前記研磨材の総重量に対して0.1重量%〜5.0重量%であることを特徴とする。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、化学強化基板用ガラスであるアルミノシリケートガラスからなるガラス基板の主表面に対して研磨材を用いて研磨を行う工程と、前記研磨を行う工程を経た前記ガラス基板をアルカリ性の薬液により洗浄する工程と、を含み、前記洗浄する工程後の前記ガラス基板の主表面の表面粗さRaが0.12nm以下である磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨材のpHが4〜6であり、前記研磨材は、所定のゼータ電位を持つ研磨粒子と、前記研磨粒子を分散させる分散媒と、前記pHにおいて前記ゼータ電位を零に近づける添加剤と、を有し、前記研磨材がコロイダルシリカであり、前記添加剤が硫酸化合物、燐酸化合物、及び硝酸化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つであり、前記添加剤の添加量は、前記研磨材の総重量に対して0.1重量%〜5.0重量%であることを特徴とする。
これらの方法によれば、研磨材のpHを変化させずに、研磨材における電解質濃度を上げる添加剤(研磨材にpHにおいてゼータ電位を零に近づける添加剤)を研磨材に添加しているので、磁気ディスク用ガラス基板の製造において、低いレベルの表面粗さ、低いレベルの表面欠陥、早い研磨速度を共に実現することができる。
本発明によれば、ガラス基板の前記主表面に対して研磨材を用いて研磨を行う工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨材のpHが4〜6であり、前記研磨材は、研磨粒子と、前記研磨粒子を分散させる分散媒と、前記研磨材のpHを変化させずに、前記研磨材における電解質濃度を上げる添加剤と、を有するので、磁気ディスク用ガラス基板の製造において、低いレベルの表面粗さ、低いレベルの表面欠陥、早い研磨速度を共に実現することができる。
上述したように、ガラス基板の研磨工程において、研磨材の液性が酸性域であると、研磨速度は速くなるが、リーチング作用が大きく、洗浄工程におけるアルカリエッチングにより表面粗さが著しく上昇して、表面粗さを低いレベルとすることができない。一方、研磨材の液性がアルカリ性域であると、リーチング作用が発現しないので、表面粗さを低いレベルとすることができるが、研磨速度が遅くなる。また、研磨材の液性が中性域であると、リーチング作用が発現しないのでアルカリ性域同等の表面粗さは達成できるものの、酸性域ほどの高研磨速度が得られず、ガラス基板表面のゼータ電位の絶対値が大きいために高清浄性が得られずに要求される表面欠陥品質が達成できない。
一般的な研磨材であるコロイダルシリカ(SiO2)のゼータ電位は、図1に示すように、その溶液のpHが2付近で等電点を迎え、そこからpHがアルカリ性域側に移行するにつれその絶対値はマイナス側に大きくなることが知られている(図1における左側の特性曲線)。そのため、pH2付近では、コロイダルシリカ砥粒の凝集が最も進行し、その2次粒子径は最大となる。この2次粒子径の大きさと研磨材のpHによるリーチング作用との組み合わせにより、酸性域では高研磨速度が得られる。また、ガラス基板自体のpHによるゼータ電位の挙動は、コロイダルシリカのゼータ電位の挙動に近く、研磨材の液性がpH2に近づくにつれて、そのゼータ電位も零に近づく。このため、ガラス基板表面にはプラス側の電位を持った異物が付着し難くなり、その結果、高清浄性が得られる。
一方で、酸性域研磨材を用いることでガラス基板の表面粗さが悪化する理由としては、洗浄との組み合わせによる要因が挙げられる。本発明者らの検討結果においては、酸性薬液処理後にアルカリ薬液処理を施すことで表面粗さが悪化し、このときの表面粗さの上昇幅は、酸性薬液処理時に発生するリーチング層の深さに依存することが分った。すなわち、リーチング層の深さが深いとその後のアルカリ薬液処理により表面粗さの上昇幅が大きくなる。
本発明者らは、このような事象に着目し、高研磨速度、高清浄性、及び低表面粗さを同時に達成する研磨材に必要な性質として、1)2次粒子径を大きくするために研磨粒子を等電点に近づけること、2)リーチング効果を発現させること、3)リーチング層を薄くすること、が求められることを見出した。この場合において、研磨においてリーチング作用を発現させるためには、研磨材の液性が酸性域であることが望ましいが、酸性が強いとリーチング層が厚くなってしまう。また、研磨材の液性が中性からアルカリ性では発現しない。このため、ガラス基板に薄いリーチング層を形成させるためには、研磨材の液性を弱酸性、例えばpH4〜6にする必要がある。これにより、低表面粗さを実現することが可能となる。
一方で、このように研磨材の液性を弱酸性域にすると、酸性域の場合よりも研磨速度が低下する。上述したように、研磨粒子のゼータ電位の等電点で凝集が最も進行して2次粒子径が最大となり、これにより研磨速度が速くなるので、研磨材の液性が弱酸性において研磨粒子のゼータ電位の等電点が得られれば、上記低表面粗さを実現した状態で、高研磨速度や高清浄性を実現することができる。本発明者らは、このような点に鑑みて鋭意研究をした結果、pHを変化させずに電解質濃度を上げる添加剤を研磨材に添加することにより、研磨粒子及びガラス基板のゼータ電位を零に近づけることができることを見出し本発明をするに至った。
すなわち、本発明の骨子は、ガラス基板の前記主表面に対して研磨材を用いて研磨を行う工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨材のpHが4〜6であり、前記研磨材は、研磨粒子と、前記研磨粒子を分散させる分散媒と、前記研磨材のpHを変化させずに、前記研磨材における電解質濃度を上げる添加剤と、を具備することにより、低いレベルの表面粗さ、低いレベルの表面欠陥、早い研磨速度を共に実現することである。
このようにpHを変化させずに電解質濃度を上げる添加剤は、特定のpHにおいて研磨粒子及びガラス基板のゼータ電位を零に近づける添加剤である。このような添加剤を研磨材に添加することにより、図1に示すようにゼータ電位とpHとの間の特性曲線をシフト(ここでは等電点を弱酸性側にシフト)させることができる。
本発明において、ガラス基板の主表面の最終研磨工程(第2研磨工程)で使用される研磨材は、研磨粒子と、この研磨粒子を分散させる分散媒と、研磨材のpHを変化させずに、研磨材における電解質濃度を上げる添加剤(特定のpHにおいてゼータ電位を零に近づける添加剤)と、を具備する。
研磨材のpHを変化させずに、研磨材における電解質濃度を上げる添加剤としては、例えば、K2SO4,Na2SO4などのような硫酸化合物、K3PO4,Na3PO4などのような燐酸化合物、Na2NO4などのような硝酸化合物を挙げることができる。研磨粒子としては、シリカ粒子、セリア粒子などを挙げることができる。また、分散媒としては、水などを挙げることができる。例えば、本発明においては、Na2SO4を添加剤として添加したコロイダルシリカが挙げられる。このようなコロイダルシリカは、通常pHが2付近で等電点となるところ、pH4付近で等電点となる。
また、このような添加剤の添加量は、効果とコストのバランスなどを考慮して、研磨材の総重量に対して0.1重量%〜5.0重量%であることが好ましい。
ガラス基板の製造においては、(1)形状加工工程及び第1ラッピング工程、(2)端部形状工程(穴部を形成するコアリング工程、端部(外周端部及び内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程))、(3)端面研磨工程(外周端部及び内周端部)、(4)第2ラッピング工程、(5)主表面第1研磨、(6)研磨洗浄、(7)主表面第2研磨、(8)化学強化、及び(9)研磨(最終)洗浄の各処理がこの順序で行われる。本発明においては、主表面第2研磨で、研磨材として、研磨粒子と、この研磨粒子を分散させる分散媒と、研磨材のpHを変化させずに、研磨材における電解質濃度を上げる添加剤(特定のpHにおいてゼータ電位を零に近づける添加剤)と、を有する研磨材を用いる。
このような第2研磨においては、研磨材が弱酸性(pH4〜6)であるので、被非加工物であるガラス基板表面に極薄いリーチング層が生成される。また、研磨材に電解質濃度を上げる添加剤を添加しているので、研磨粒子の等電点がシフトして、液性が弱酸性であっても研磨粒子の凝集作用が進行し、その2次粒子径が増大する。これらの作用により、高研磨速度が得られる。また、前記添加剤の添加によりガラス基板表面のゼータ電位も等電点に近づくので、プラス電位を持つ異物がガラス基板表面に付着し難くなり高清浄性が得られる。さらに、研磨材の液性が弱酸性であるので、ガラス基板表面にはリーチング層が生成されるもののその厚みは極薄い。その結果、後工程である洗浄工程におけるアルカリ薬液処理におけるエッチング量は微量に留まり、基板の表面粗さ上昇が抑制される。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例1)
(1)粗研削工程
まず、溶融ガラスを、上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスして、直径66mmφ、厚さ1.2mmの円板状のアルミノシリケートガラスで構成されたガラス基板を得た。この場合、ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出して円板状のガラス基板を得ても良い。なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiO2:58〜75重量%、Al23:5〜23重量%、LiO2:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を主成分として含有する化学強化基板用ガラスを使用した。
次いで、ガラス基板に研削工程を施した。研削工程は、寸法精度及び形状精度の向上を目的としている。研削工程は両面研削装置を用いて行い、砥粒の粒度を#400で行った。詳しくは、粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重Lを100kg程度に設定して、内転ギアと外転ギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を面精度0〜1μm、表面粗さRmaxで6μm程度に仕上げた。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔をあけると共に、外周端面も研削して直径65mmφとした後、外周端面及び内周端面に所定の面取加工を施した。このときのガラス基板端面(内周、外周)の表面粗さは、Rmaxで4μmであった。
(3)端面研磨工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)の表面粗さをRmaxで1μm、Raで0.3μm程度に研磨した。上記端面研磨工程を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
(4)精研削工程
次に、砥粒の粒度を#1000に変え、ガラス基板表面を研削することにより、平坦度3μm、表面粗さRmaxが2μm程度、Raが0.2μm程度とした。なお、Rmax、Raは原子間力顕微鏡(AFM)(デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープ)にて測定し、平坦度は平坦度測定装置で測定しており、基板表面の最も高い部分と、最も低い部分との上下方向(表面に垂直な方向)の距離(高低差)である。上記精研削工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄層に順次浸漬して洗浄した。
(5)第1研磨工程
次に、上記工程を経たガラス基板に対して研磨を施した。研磨工程は、上述した研磨工程で残留したキズや歪みの除去を目的とするもので、両面研磨装置を用いて行った。詳しくは、ポリシャとして硬質ポリシャを用い、以下の研磨条件で実施した。
研磨材:酸化セリウム(平均粒径:1.5μm)+水
荷重:80g/cm2〜100g/cm2
研磨時間:30分〜50分
除去量:35μm〜45μm
上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄層に順次浸漬して洗浄した。
(6)最終研磨工程
次に、第1研磨工程で使用したタイプと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャとして軟質ポリシャに変えて最終研磨工程を実施した。研磨条件は以下のようにした。
研磨材:コロイダルシリカ(平均粒径:0.03μm、研磨粒子濃度:9重量%、pH4)、添加剤としてNa2SO4を1.0重量%含む。
荷重:60g/cm2〜120g/cm2
研磨時間:5分〜40分
(7)最終研磨後洗浄工程
上記最終研磨工程を終えたガラス基板を、濃度0.1〜5重量%のKOH水溶液に浸漬してアルカリ洗浄を行った。なお、洗浄は超音波を印加して行った。さらに、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。
(8)化学強化工程
次に、上記研削、研磨、最終研磨後洗浄工程を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化塩を375℃に過熱し、300℃に予熱された洗浄済みガラス基板を約3時間浸漬することにより行った。このように、化学強化塩に浸漬処理することによって、ガラス基板表層のリチウムイオン、ナトリウムイオンは、化学強化塩中のナトリウムイオン、カリウムイオンにそれぞれ置換されガラス基板は強化される。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さは約100〜200μmであった。上記化学強化を終えたガラス基板を20℃の水槽に浸漬して急冷し、約10分維持した。
(9)強化後洗浄工程
上記急冷を終えたガラス基板を、約40℃に加熱した硫酸に浸漬し、超音波を印加しながら洗浄を行った。
このようにして得られたガラス基板について、研磨速度、表面粗さRa、及び表面欠陥数(清浄性)を調べた。なお、研磨速度については、重量計により研磨前後のガラス基板の重量を測定し、その重量から算出した。表面粗さRaについては、最終研磨後の洗浄前後で原子間力顕微鏡(AFM)により調べた。また、表面欠陥数については、光学式欠陥検査装置(OSA)により調べた。その結果は、研磨速度については図2及び表1に記し、洗浄前表面粗さRaについては図3及び表1に記し、洗浄後表面粗さRaについては図4及び表1に記し、表面欠陥数については図5及び表1に記した。なお、研磨速度については、0.05μm/分以上を○とし、0.05μm/分未満を×とした。洗浄前表面粗さ及び洗浄後表面粗さについては、0.12nm以下を○とし、0.12nmを超えた場合を×とした。表面欠陥数については、60カウント以下を○とし、60カウントを超えた場合を×とした。
(10)磁気ディスク製造工程
上述した工程を経て得られたガラス基板の両面に、ガラス基板の表面にCr合金で構成された付着層、CoTaZr基合金で構成された軟磁性層、Ruで構成された下地層、CoCrPt基合金で構成された垂直磁気記録層、水素化炭素で構成された保護層、パーフルオロポリエーテルで構成された潤滑層を順次成膜することにより、垂直磁気記録ディスクを製造した。なお、本構成は垂直磁気ディスクの構成の一例であるが、面内磁気ディスクとして磁性層などを構成してもよい。
得られた磁気ディスクについて異物により磁性層等の膜に欠陥が発生していないことを確認した。また、グライドテストを実施したところ、ヒット(ヘッドが磁気ディスク表面の突起にかすること)やクラッシュ(ヘッドが磁気ディスク表面の突起に衝突すること)は認められなかった。さらに、磁気抵抗型ヘッドで再生試験を行ったところ、サーマルアスペリティによる再生の誤動作は認められなかった。
(実施例2)
最終研磨工程において、添加剤としてNa2SO4を1.0重量%含み、pH6であるコロイダルシリカを用いて最終研磨を行うこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板を製造した。このガラス基板について実施例1と同様にして研磨速度、表面粗さRa、及び表面欠陥数を調べた。その結果を図2〜図5及び表1に併記した。
(比較例1)
最終研磨工程において、添加剤としてNa2SO4を1.0重量%含み、pH10であるコロイダルシリカを用いて最終研磨を行うこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板を製造した。このガラス基板について実施例1と同様にして研磨速度、表面粗さRa、及び表面欠陥数を調べた。その結果を図2〜図5及び表1に併記した。
(比較例2)
最終研磨工程において、添加剤を添加せず、pH2であるコロイダルシリカを用いて最終研磨を行うこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板を製造した。このガラス基板について実施例1と同様にして研磨速度、表面粗さRa、及び表面欠陥数を調べた。その結果を図2〜図5及び表1に併記した。
(比較例3)
最終研磨工程において、添加剤を添加せず、pH4であるコロイダルシリカを用いて最終研磨を行うこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板を製造した。このガラス基板について実施例1と同様にして研磨速度、表面粗さRa、及び表面欠陥数を調べた。その結果を図2〜図5及び表1に併記した。
(比較例4)
最終研磨工程において、添加剤を添加せず、pH6であるコロイダルシリカを用いて最終研磨を行うこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板を製造した。このガラス基板について実施例1と同様にして研磨速度、表面粗さRa、及び表面欠陥数を調べた。その結果を図2〜図5及び表1に併記した。
(比較例5)
最終研磨工程において、添加剤を添加せず、pH10であるコロイダルシリカを用いて最終研磨を行うこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板を製造した。このガラス基板について実施例1と同様にして研磨速度、表面粗さRa、及び表面欠陥数を調べた。その結果を図2〜図5及び表1に併記した。
Figure 0005319095
図2に示すように、pHが小さい、すなわち研磨材の液性が酸性域であるほど研磨速度が速かった。同じpHにおいては、添加剤を添加した場合(実施例1,2)の方が、研磨速度が速かった。例えば、pH4で添加剤を添加することによりpH2の場合と同等の研磨速度が得られた。これは、そのpHで等電点が零に近づき、研磨粒子の凝集作用が進行し、2次粒子径が大きくなったためであると考えられる。一方、研磨材の液性がアルカリ性域の場合(比較例1,5)や、液性が弱酸性であっても添加剤を含まない場合(比較例4)については研磨速度が速くなかった。これは、そのpHで等電点が零に近づかず、研磨粒子の凝集作用が進行せず、2次粒子径が大きくならなかったためであると考えられる。
また、図3に示すように、洗浄前表面粗さについては、いずれのガラス基板についてほぼ同等であったが、図4に示すように、洗浄後表面粗さについては、研磨材の液性が酸性域で添加剤を含まない場合(比較例2)で非常に高くなった。これは、酸性域における研磨でリーチング層が深く形成されたためであると考えられる。
また、表面欠陥数(清浄性)については、コロイダルシリカのゼータ電位が零にある場合(比較例2)及び添加剤によりゼータ電位を零に近づけた場合(実施例1,2、比較例1)で表面欠陥数が少なかった。これは、ガラス基板表面のゼータ電位が等電点に近づいて、プラス電位を持つ異物がガラス基板表面に付着し難くなったためであると考えられる。一方、コロイダルシリカのゼータ電位が零もしくは零に近づけていない場合(比較例3〜5)については、表面欠陥数が多かった。これは、ガラス基板表面のゼータ電位が等電点に近づいておらず、プラス電位を持つ異物がガラス基板表面に付着し易くなったためであると考えられる。
このように、本発明に係る方法においては、最終研磨で、研磨材のpHを変化させずに、研磨材における電解質濃度を上げる添加剤を含む研磨材を用いているので、低いレベルの表面粗さ、低いレベルの表面欠陥、早い研磨速度を共に実現することができることが分った。
本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。また、上記実施の形態における材料、サイズ、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
研磨工程におけるゼータ電位とpHとの間の関係を示す図である。 研磨速度とpHとの間の関係を示す図である。 洗浄前表面粗さRaとpHとの間の関係を示す図である。 洗浄後表面粗さRaとpHとの間の関係を示す図である。 表面欠陥数とpHとの間の関係を示す図である。

Claims (2)

  1. 化学強化基板用ガラスであるアルミノシリケートガラスからなるガラス基板の主表面に対して研磨材を用いて研磨を行う工程と、前記研磨を行う工程を経た前記ガラス基板をアルカリ性の薬液により洗浄する工程と、を含み、前記洗浄する工程後の前記ガラス基板の主表面の表面粗さRaが0.12nm以下である磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨材のpHが4〜6であり、前記研磨材は、研磨粒子と、前記研磨粒子を分散させる分散媒と、前記研磨材のpHを変化させずに、前記研磨材における電解質濃度を上げる添加剤と、を有し、前記研磨材がコロイダルシリカであり、前記添加剤が硫酸化合物、燐酸化合物、及び硝酸化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つであり、前記添加剤の添加量は、前記研磨材の総重量に対して0.1重量%〜5.0重量%であることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 化学強化基板用ガラスであるアルミノシリケートガラスからなるガラス基板の主表面に対して研磨材を用いて研磨を行う工程と、前記研磨を行う工程を経た前記ガラス基板をアルカリ性の薬液により洗浄する工程と、を含み、前記洗浄する工程後の前記ガラス基板の主表面の表面粗さRaが0.12nm以下である磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨材のpHが4〜6であり、前記研磨材は、所定のゼータ電位を持つ研磨粒子と、前記研磨粒子を分散させる分散媒と、前記pHにおいて前記ゼータ電位を零に近づける添加剤と、を有し、前記研磨材がコロイダルシリカであり、前記添加剤が硫酸化合物、燐酸化合物、及び硝酸化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つであり、前記添加剤の添加量は、前記研磨材の総重量に対して0.1重量%〜5.0重量%であることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
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