JP2020055914A - 研磨用組成物、基板の研磨方法および基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここに開示される研磨用組成物は、予備研磨工程に用いられる。この明細書において「予備研磨工程」とは、砥粒を含む研磨用組成物を用いて行われる研磨工程のうち、仕上げ研磨工程よりも上流側に配置される研磨工程をいう。なお、「仕上げ研磨工程」とは、砥粒を含む研磨用組成物を用いて行われる研磨工程のうち最後に(すなわち、最も下流側に)配置される研磨工程をいう。したがって、ここに開示される研磨用組成物は、最も下流側に配置される研磨工程以外の研磨工程に用いられる種類の研磨用組成物として把握され得る。
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒を含み、該砥粒が平均アスペクト比1.1以上および累積頻度99%粒子径(D99)295nm未満を満たすことによって特徴づけられる。
本発明者らは、予備研磨工程後に洗浄を行った後の研磨対象物表面を詳細に観察したところ、研磨対象物表面のラフネスの凹部に残留粒子が嵌まり込んでいることを見出した。しかし、単に予備研磨工程後の表面のラフネスを減らすことで粒子の残留を防止しようとすると、予備研磨工程における研磨レートが低下しがちである。ここに開示される研磨用組成物によると、砥粒の累積頻度99%粒子径(D99)に着目してこれを制限することにより、特に粒子が嵌まり込みやすいナノスクラッチの生成を重点的に抑制し、残留粒子を効果的に低減することができる。また、上記砥粒の平均アスペクト比が1.1以上であることにより、D99を295nm未満に制限しても予備研磨工程に適した研磨レートを実現することができる。なお、当業者であれば、使用する材料の選択や粒径分布の調節により、所定の平均アスペクト比およびD99を満たす砥粒を含む研磨用組成物を得ることができる。上記粒径分布の調節は、例えば、粗大粒子を除去する処理を施すことや、平均アスペクト比およびD99の一方または両方が異なる2種以上の砥粒を適切な比率でブレンドすることにより行うことができる。
上記光透過式遠心沈降法による粒度分布は、JIS Z 8823−2:2016に準拠した方法により得られる。かかる粒度分布測定の具体的な手順は次のとおりである。まず、ディスク形セルの内部に、粒子を含まない透明な検査液(例えば、スクロース8〜24重量%水溶液)を満たし、当該検査液を透過する光ビームをセルに照射する。そして、所定の回転数(例えば、24000rpm)でセルを回転させながら、回転軸と同軸の注入口からセル内に砥粒の分散液を注入する。これによって、分散液中の粒子が遠心方向の外側に向かって沈降し、該沈降する粒子によって光ビームが減衰する。そして、時間経過にともなう光ビームの減衰量の変化に基づいて砥粒の粒度分布を求める。なお、かかる砥粒の粒度分布は、上記光ビームの減衰量の変化を粒度分布に変換するソフトウエアを用いて求めることができる。
なお、上記所定個数、すなわち粒子毎のアスペクト比を算出する粒子の個数は、測定精度や再現性を高める観点から、通常、1000個以上とすることが適当であり、1500個以上とすることが好ましい。上記所定個数の上限は特に制限されない。測定効率の観点から、上記所定個数は、例えば5000個以下であってよく、2500個以下でもよい。
ここに開示される研磨用組成物の砥粒は、シリカ粒子を含む。シリカ粒子は、シリカを主成分とする各種のシリカ粒子であり得る。ここで、シリカを主成分とするシリカ粒子とは、該粒子の90重量%以上(通常は95重量%以上、典型的には98重量%以上)がシリカである粒子をいう。使用し得るシリカ粒子の例としては、特に限定されないが、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等が挙げられる。使用し得るシリカ粒子の例には、さらに、上記シリカ粒子(すなわち、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等)を原材料として得られたシリカ粒子が挙げられる。そのようなシリカ粒子の例には、上記原材料のシリカ粒子(以下「原料シリカ」ともいう。)に、加温、乾燥、焼成等の熱処理、オートクレーブ処理等の加圧処理、解砕や粉砕(破砕)等の機械的処理、表面改質(例えば、官能基の導入、金属修飾等の化学的修飾)等から選択される1または2以上の処理を適用して得られたシリカ粒子が含まれ得る。ここに開示される砥粒は、上記のようなシリカ粒子の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて含むものであり得る。
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には、上述のような砥粒の他に、該砥粒を分散させる水を含有する。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。
ここに開示される研磨用組成物は、研磨促進剤として酸を含む態様で好ましく実施され得る。好適に使用され得る酸の例としては、無機酸や有機酸(例えば、炭素原子数が1〜10程度の有機カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸、アミノ酸等)が挙げられるが、これらに限定されない。酸は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸、スルファミン酸等が挙げられる。
塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩およびアルカリ金属リン酸水素塩;上記で例示した有機酸のアルカリ金属塩;その他、グルタミン酸二酢酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸のアルカリ金属塩、トリエチレンテトラミン六酢酸のアルカリ金属塩;等が挙げられる。これらのアルカリ金属塩におけるアルカリ金属は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等であり得る。
ここに開示される研磨用組成物には、必要に応じて酸化剤を含有させることができる。酸化剤の例としては、過酸化物、硝酸またはその塩、過ヨウ素酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、酸素酸またはその塩、金属塩類、硫酸類等が挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、硝酸、硝酸鉄、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸金属塩、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過塩素酸、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄等が挙げられる。好ましい酸化剤として、過酸化水素、硝酸鉄、過ヨウ素酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸および硝酸が例示される。酸化剤は、少なくとも過酸化水素を含むことが好ましく、過酸化水素からなることがより好ましい。
研磨用組成物には、必要に応じて塩基性化合物を含有させることができる。ここで塩基性化合物とは、研磨用組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物の例としては、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩や炭酸水素塩、第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン、リン酸塩やリン酸水素塩、有機酸塩等が挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
炭酸塩や炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム;このような水酸化第四級アンモニウムのアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩);等が挙げられる。
アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類、等が挙げられる。
リン酸塩やリン酸水素塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
有機酸塩の具体例としては、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸アンモニウム等が挙げられる。
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、界面活性剤、水溶性高分子、分散剤、キレート剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物(例えば、Ni−P基板等のような磁気ディスク基板用の研磨用組成物)に使用され得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリアクリル酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、およびこれらの塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の他の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸;およびこれらの塩等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象物(例えば磁気ディスク基板)に供給されて、該研磨対象物の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、研磨用組成物を希釈(典型的には、水により希釈)して調製されたものであり得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨対象物に供給されて該研磨対象物の研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液との双方が包含される。このような濃縮液の形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば1.5倍〜50倍程度とすることができる。濃縮液の貯蔵安定性等の観点から、通常は2倍〜20倍(典型的には2倍〜10倍)程度の濃縮倍率が適当である。
ここに開示される研磨用組成物のpHは特に制限されない。研磨用組成物のpHは、例えば、pH12.0以下(典型的にはpH0.5〜12.0)とすることができ、pH10.0以下(典型的にはpH0.5〜10.0)としてもよい。好ましい一態様において、研磨用組成物のpHは、pH7.0以下(例えばpH0.5〜7.0)とすることができ、pH5.0以下(典型的にはpH1.0〜5.0)とすることがより好ましく、pH4.0以下(例えばpH1.0〜4.0)とすることがさらに好ましい。研磨用組成物のpHは、例えばpH3.0以下(典型的にはpH1.0〜3.0、好ましくはpH1.0〜2.0、より好ましくはpH1.0〜1.8)とすることができる。研磨液において上記pHが実現されるように、必要に応じて有機酸、無機酸、塩基性化合物等のpH調整剤を含有させることができる。上記pHは、例えば、Ni−P基板等の磁気ディスク基板の予備研磨工程用の研磨用組成物に好ましく適用され得る。
なお、ここに開示される研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分(典型的には、水以外の成分)のうち一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液とが混合されて研磨対象物の研磨に用いられるように構成されていてもよい。好ましい一態様に係る多剤型研磨用組成物は、砥粒を含むA液(典型的には、分散剤を含んでもよい砥粒分散液)と、砥粒以外の成分(例えば、酸、水溶性高分子その他の添加剤)を含むB液とから構成されている。通常、これらは、使用前は分けて保管されており、使用時(研磨対象基板の研磨時)に混合され得る。混合時には、例えば過酸化水素等の酸化剤がさらに混合され得る。例えば、上記酸化剤(例えば過酸化水素)が水溶液(例えば過酸化水素水)の形態で供給される場合、当該水溶液は、多剤型研磨用組成物を構成するC液となり得る。
ここに開示される技術の適用対象は特に限定されない。ここに開示される技術は、砥粒を含む研磨用組成物により研磨可能な種々の研磨対象物の研磨や、上記研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することを含む研磨物の製造に適用することができる。研磨対象物の材質は、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン、ステンレス鋼等の金属もしくは半金属またはこれらの合金、およびそれらの材料を使用した半導体配線に使用される薄膜;石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラス状カーボン等のガラス状物質;アルミナ、シリカ、サファイア、窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料;炭化ケイ素、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム等の化合物半導体基板材料;ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、アリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エピチオ系樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;等であり得るが、これらに限定されない。また、これらのうち複数の材質により構成された研磨対象物であってもよい。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、研磨対象物(例えば磁気ディスク基板)の研磨に好適に使用することができる。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物(典型的には研磨対象基板)を研磨する方法の好適な一態様につき説明する。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液(ワーキングスラリー)を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に濃度調整(例えば希釈)やpH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。
粒度分布が異なる複数種類のシリカ粒子を用意し、これらを組み合わせた2種類の砥粒を作製した(サンプル1、2)。そして、各々の砥粒をイオン交換水に分散させて測定用スラリーを調製し、光透過式遠心沈降法と、レーザー散乱法と、動的光散乱法の3種類の方法を用いて各サンプルの粒度分布を測定した。
上記光透過式遠心沈降法では、米国 CPS Instruments社製のディスク遠心式粒度分布測定装置「DC24000 UHR」を用い、JIS Z 8823−2に準拠して重量基準の粒度分布を求めた。なお、この粒度分布の測定は、下記に示す条件により行った。
セル内に導入する検査液:最小濃度8重量%、最大濃度24重量%のスクロース水溶液
セル内に導入する検査液の注入量:12mL
測定用スラリーのシリカ濃度:2重量%
測定用スラリーの注入量:0.1mL
ディスクの回転速度:24000rpm
測定範囲:0.025μm〜1.0μm
また、上記レーザー散乱法では、HORIBA社製の型式「LA―950」を用いて体積基準の粒度分布を求めた。また、上記動的光散乱法では、Malvern社製の型式「Zetasizer nano ZSP」を用いて体積基準の粒度分布を求めた。光透過式遠心沈降法により得られた粒度分布を図1に示し、レーザー散乱法により得られた粒度分布を図2に示し、動的光散乱法により得られた粒度分布を図3に示す。
[研磨用組成物の調製]
粒度分布やアスペクト比が異なる複数種類のシリカ粒子を用意した。これらのシリカ粒子を単独でまたは組み合わせて含む砥粒と、リン酸と、31%過酸化水素水と、脱イオン水とを混合して、砥粒濃度が7重量%、リン酸濃度が0.14mol/L、過酸化水素濃度が0.36mol/Lの研磨用組成物を調製した(例1〜10)。この研磨用組成物のpHは1.5であった。各例に係る研磨用組成物について、使用した砥粒の平均アスペクト比、光透過式遠心沈降法による累積頻度99%粒子径(D99)、累積頻度50%粒子径(D50)を表1に纏めて示す。
各例に係る研磨用組成物をそのまま研磨液として使用して、下記の条件で、研磨対象物の研磨を行った。研磨対象物としては、表面に無電解ニッケルリンめっき層を備えたハードディスク用アルミニウム基板を使用した。上記研磨対象物(研磨対象基板)の直径は3.5インチ(外径約95mm、内径約25mmのドーナツ型)、厚さは1.75mmであり、研磨前における表面粗さRa(Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000WRC」により測定したニッケルリンめっき層の算術平均粗さ)は130Åであった。
研磨装置:システム精工社製の両面研磨機、型式「9.5B−5P」
研磨パッド:スウェードパッド(初期表面線粗さ平均:10μm以上、ポアサイズ:50μm)
研磨対象基板の投入枚数:15枚(3枚/キャリア ×5キャリア)
研磨液の供給レート:135mL/分
研磨荷重:120g/cm2
上定盤回転数:27rpm
下定盤回転数:36rpm
サンギヤ(太陽ギヤ)回転数:8rpm
研磨量:各基板の両面の合計で約2.2μmの厚さ
各例に係る研磨用組成物を用いて上記研磨条件で研磨対象基板を研磨したときの片面における研磨レートを算出した。研磨レートは、次の計算式に基づいて求めた。結果を表1に示す。なお、表1中の研磨レート(%)は、例8の研磨レートを100%とした相対値である。
研磨レート[μm/min]=研磨による基板の重量減少量[g]/(基板の面積[cm2]×ニッケルリンめっきの密度[g/cm3]×研磨時間[min])×104
上記研磨レートの測定と同じ条件で研磨した基板をクレセン社製の洗浄機を用いて洗浄した後、基板表面に残留した粒子の個数を測定した。具体的な手順を以下に記載する。
まず、ブラシと洗浄剤を使用せずに流水中で基板を洗浄し、基板に付着した水滴をスピンドライヤにより払い落として乾燥させた後、10分以内にブラシと洗浄剤を使用した通常の洗浄を行った。具体的な洗浄条件は以下のとおりである。
(ブラシなし条件)
洗浄剤塗布時間:0秒
第1洗浄時間(流水のみ):15秒
第2洗浄時間(流水のみ):20秒
超音波洗浄時間(流水のみ):20秒
スピンドライ乾燥時間:20秒
(通常条件)
洗浄剤塗布時間:5秒
第1洗浄時間(ブラシ洗浄あり):15秒
第2洗浄時間(ブラシ洗浄あり):20秒
超音波洗浄時間(流水のみ):20秒
スピンドライ乾燥時間:20秒
次に、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡「SU8000」を用いて、洗浄後の基板表面(両面)を50000倍の倍率で一面あたり10視野観察した。そして、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウエア「Mac−View」を用いて、各視野における残留粒子個数を測定し、1視野あたりの残留粒子個数の平均値を算出した。結果を表1に示す。なお、表1中の残留粒子個数(%)は、例8の残留粒子個数を100%とした相対値である。また、例4における洗浄後の基板表面のSEM画像を図4に示し、例9における洗浄後の基板表面のSEM画像を図5に示す。
Claims (7)
- 予備研磨工程に用いられる研磨用組成物であって、
シリカ粒子を含む砥粒と、水とを含み、
前記砥粒は、平均アスペクト比が1.1以上であり、かつ、光透過式遠心沈降法による累積頻度99%粒子径(D99)が295nm未満である、研磨用組成物。 - 前記砥粒の光透過式遠心沈降法による累積頻度50%粒子径(D50)が80nm以上である、請求項1に記載の研磨用組成物。
- 酸と、酸化剤とをさらに含む、請求項1または請求項2に記載の研磨用組成物。
- 磁気ディスク基板の研磨に用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨用組成物を研磨対象基板に供給して該研磨対象基板を研磨する工程(1)と、
前記工程(1)の後に、前記研磨対象基板を洗浄する工程(2)と
を含む、基板の研磨方法。 - 前記工程(2)の後に、仕上げ研磨用組成物を前記研磨対象基板に供給して該研磨対象基板を研磨する工程(3)をさらに含む、請求項5に記載の基板の研磨方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて研磨対象基板を研磨する工程(1)と、
前記工程(1)の後に、前記研磨対象基板を洗浄する工程(2)と
を含む、基板の製造方法。
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