JP7319157B2 - 研磨用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨用組成物に関し、詳しくは磁気ディスク基板の一次研磨に用いられる研磨用組成物に関する。
従来、高精度な表面が要求される磁気ディスク基板の製造プロセスには、研磨液を用いて該基板の原材料である研磨対象物を研磨する工程が含まれる。例えば、ニッケルリンめっきが施されたディスク基板(以下、Ni-P基板ともいう。)の製造においては、一般に、より研磨効率を重視した研磨(一次研磨)と、最終製品の表面精度に仕上げるために行う最終研磨(仕上げ研磨)とが行われている。磁気ディスク基板を研磨する用途で使用される研磨用組成物に関する技術文献として特許文献1、2が挙げられる。
特開2001-89749号公報 特開2004-300348号公報
磁気ディスク基板の研磨では、記録容量増大のため、基板表面の品質向上の取組みが継続的に行われている。近年においては、仕上げ研磨後の基板表面をより高品質なものとするため、一次研磨の段階から、アルミナ砥粒に代えてシリカ砥粒が用いられている。シリカ砥粒を用いた研磨は、アルミナ砥粒を用いた研磨と比べて、砥粒の基板への突き刺さりがなく、スクラッチ等の欠陥低減性に優れ、高い面品質を得やすい。その反面、シリカ砥粒を用いた研磨は、アルミナ砥粒含有スラリーのような加工力を得にくく、加工力の維持や向上が課題となりがちである。
また、シリカ砥粒を使用する一次研磨用組成物においても、さらなる表面品質向上が要求されつつある。この点に関し、本発明者らは、一次研磨に用いた一部のシリカ粒子が、研磨後の洗浄によっても除去されず、研磨後の基板表面に付着残留する事象(以下、「シリカ残留」あるいは「シリカ残」ともいう。)に着目し、検討を進めている。一次研磨、洗浄を実施した基板におけるシリカ残留が低減されれば、より高い表面品質を実現することができ、高品質基板の歩留り向上の点でも望ましいと考えられる。しかし、使用するシリカ粒子種の選定や表面保護剤の使用によってシリカ残留を低減しようとすれば、加工性の低下が懸念される。加工性とシリカ残留低減とは、一方を改善しようとすれば他方が悪化してしまう相反関係にあり、その両立は容易ではない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、磁気ディスク基板の一次研磨において、加工性を損なうことなく、シリカ残留を低減し得る研磨用組成物を提供することを目的とする。
本明細書によると、磁気ディスク基板の一次研磨用組成物が提供される。この研磨用組成物は、砥粒としてのシリカ粒子、酸、酸化剤および水を含む。また、研磨後の基板上のシリカ残を低減するシリカ残低減剤をさらに含む。前記シリカ残低減剤は、リン酸エステル、亜リン酸エステルおよび有機ホスホン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種であって、温度30℃において100mLの純水に対して1gが完全に溶解する水溶解性を有する。砥粒としてシリカ粒子、酸、酸化剤および水を用いる磁気ディスク基板の一次研磨用組成物に、特定のリン系化合物をシリカ残低減剤として添加することにより、一次研磨における加工性を損なうことなくシリカ残留を低減することができる。
いくつかの好ましい態様において、前記砥粒の平均アスペクト比は1.1以上である。上記平均アスペクト比を有する砥粒を使用することで、加工性を維持または向上しやすい。また、上記のようなアスペクト比を有する砥粒(具体的にはシリカ砥粒)を用いる構成において、ここに開示される技術によるシリカ残留低減効果は好ましく発揮される。
いくつかの態様において、前記砥粒は、光透過式遠心沈降法により得られる重量基準の粒度分布に基づく累積99%粒子径(D99)が150nm以上である。上記D99を有する砥粒を使用することで、加工性を維持または向上しやすい。また、上記のような粒子径特性を有する砥粒(具体的にはシリカ砥粒)を用いる構成において、ここに開示される技術によるシリカ残留低減効果は好ましく発揮される。
いくつかの好ましい態様に係る研磨用組成物は、前記シリカ残低減剤として、前記リン酸エステルおよび/または前記亜リン酸エステルを含む。そして、前記リン酸エステルおよび/または前記亜リン酸は、そのリン酸エステル結合で結合した有機基を有しており、該有機基は、エーテル結合を含んでよい炭素原子数が6以下の有機基から選択される。特定の化学構造を有するリン系エステルのなかから、上記の水溶解性を示す化合物を選択し、それをシリカ残低減剤として用いることで、ここに開示される技術による効果(加工性維持とシリカ残低減との両立)を好ましく実現することができる。前記シリカ残低減剤が有する前記有機基の好適例として、炭素原子数が4以下であるアルキル基、または、炭素原子数が6以下であるアルコキシアルキル基が挙げられる。
他のいくつかの好ましい態様に係る研磨用組成物は、前記シリカ残低減剤として、前記有機ホスホン酸化合物を含む。そして、前記有機ホスホン酸化合物はニトリロトリス(メチレンホスホン酸)を含む。シリカ残低減剤としてニトリロトリス(メチレンホスホン酸)を用いることで、ここに開示される技術による効果(加工性維持とシリカ残低減との両立)を好ましく実現することができる。
いくつかの好ましい態様において、前記酸は、リン酸、ホスホン酸、マレイン酸、塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される少なくとも1種である。砥粒としてのシリカ粒子と酸化剤とを含み、酸としてリン酸等から選択される化合物を含み、かつ、シリカ残低減剤として特定のリン系化合物を含む研磨用組成物を用いることにより、一次研磨の加工性を損なうことなく、シリカ残留を好ましく低減することができる。
いくつかの好ましい態様において、前記酸化剤は過酸化水素を含む。砥粒としてのシリカ粒子と酸を含み、かつ、酸化剤として過酸化水素を含む組成にシリカ残低減剤を添加することにより、一次研磨の加工性を損なうことなく、シリカ残留を好ましく低減することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<研磨用組成物>
(砥粒)
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒としてシリカ粒子を含む。シリカ粒子は、シリカを主成分とする各種のシリカ粒子であり得る。ここでシリカを主成分とするシリカ粒子とは、該粒子の90重量%以上、例えば95重量%以上、典型的には98重量%以上がシリカである粒子をいう。使用し得るシリカ粒子の例としては、特に限定されず、コロイダルシリカ、凝結粒シリカ、沈降シリカ(沈殿シリカともいう。)、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等が挙げられる。さらに、上記シリカ粒子を原材料として得られたシリカ粒子を用いることもできる。そのようなシリカ粒子の例には、上記原材料のシリカ粒子(以下「原料シリカ」ともいう。)に、加温、乾燥、焼成等の熱処理、オートクレーブ処理等の加圧処理、解砕や粉砕等の機械的処理、表面改質等から選択される1または2以上の処理を適用して得られたシリカ粒子が含まれ得る。表面改質としては、例えば、官能基の導入、金属修飾等の化学的修飾が挙げられる。ここに開示される技術における砥粒は、このようなシリカ粒子の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて含むものであり得る。
シリカ粒子の好適例として、例えば、原料シリカに対して熱処理を施して得られたシリカ粒子(以下「熱処理シリカ」ともいう。)、具体的には加温されたシリカ粒子、乾燥されたシリカ粒子、焼成されたシリカ粒子等が挙げられる。ここで、加温されたシリカ粒子とは、典型的には、60℃以上110℃未満の環境下に一定時間以上、例えば15分以上、典型的には30分以上保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。また、乾燥されたシリカ粒子とは、典型的には、110℃以上500℃未満、好ましくは300℃以上500℃未満の環境下に一定時間以上、例えば15分以上、典型的には30分以上保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。そして、焼成されたシリカ粒子(以下「焼成シリカ」ともいう。)とは、典型的には500℃以上、好ましくは700℃以上、さらに好ましくは900℃以上の環境下に一定時間以上、例えば15分以上、典型的には30分以上保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。上述したいずれかの原料シリカ、すなわち、沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等を熱処理する過程を経て得られたシリカ粒子は、ここでいう熱処理シリカの概念に包含される典型例である。シリカ砥粒が熱処理シリカを含む場合、該シリカ砥粒に含まれる熱処理シリカは、1種であってもよく、製造条件および/または物性の異なる2種以上であってもよい。また、上記シリカ粒子は、1種または2種以上の熱処理シリカからなる構成であってもよく、熱処理シリカと、他のシリカ粒子すなわち熱処理されていないシリカ粒子とを組み合わせて含む構成であってもよい。
シリカ粒子の他の好適例として、コロイダルシリカが挙げられる。なかでも、ケイ酸ソーダ法シリカやアルコキシド法シリカのように、水相での粒子成長を経て合成されたコロイダルシリカの使用が好ましい。この種のコロイダルシリカを含むシリカ砥粒によると、良好な面品質が好適に達成され得る。ここに開示されるシリカ砥粒がコロイダルシリカを含む場合、該シリカ砥粒に含まれるコロイダルシリカは、1種であってもよく、製造条件および/または物性の異なる2種以上であってもよい。また、上記シリカ砥粒は、1種または2種以上のコロイダルシリカからなる構成であってもよく、コロイダルシリカと、他のシリカ粒子すなわちコロイダルシリカ以外のシリカ粒子とを組み合わせて含む構成であってもよい。
コロイダルシリカの粒子形状は特に限定されず、例えば球形であってもよく、非球形であってもよい。非球形の具体例としては、ピーナッツ形状、繭形状、突起付き形状、ラグビーボール形状等が挙げられる。ピーナッツ形状は、例えば落花生の殻の形状であり得る。突起付き形状は、例えば金平糖形状であり得る。
ここに開示される技術は、研磨用組成物に含まれる砥粒が、熱処理シリカを単独で含むか、熱処理シリカと他のシリカ粒子とを組み合わせて含む態様でも実施することができる。いくつかの好ましい態様では、研磨用組成物に含まれるシリカ粒子は、コロイダルシリカと熱処理シリカとを組み合わせて含む。コロイダルシリカに加えて、熱処理シリカ粒子をさらに含むことによって、高い面品質を実現し、高い加工性を好ましく実現することができる。
ここに開示される研磨用組成物は、上記シリカ粒子以外の粒子を含有してもよい。シリカ粒子以外の粒子としては、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子のいずれも利用可能である。無機粒子の具体例としては、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩;等が挙げられる。上記アルミナ粒子としては、α-アルミナ、α-アルミナ以外の中間アルミナおよびこれらの複合物が挙げられる。中間アルミナとは、α-アルミナ以外のアルミナ粒子の総称であり、具体例としてはγ-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、η-アルミナ、κ-アルミナおよびこれらの複合物が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包括的に指す意味である。これらシリカ粒子以外の粒子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられ得る。
ここに開示される研磨用組成物において、該研磨用組成物に含まれる固形分に占めるシリカ粒子の含有量は特に限定されない。上記シリカ粒子の含有量は、ここに開示される技術による効果をよりよく発揮する観点から、上記固形分全体の40重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、さらにより好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、例えば99重量%以上である。なお、本明細書において研磨用組成物に含まれる固形分とは、結合水が除去されない程度の温度、例えば60℃で研磨用組成物から水分を蒸発させた後の残留分すなわち不揮発分をいう。
ここに開示される研磨用組成物は、アルミナ粒子を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。アルミナ粒子としては、例えばα-アルミナ粒子が挙げられる。このような研磨用組成物によると、アルミナ粒子の使用に起因する品質低下が防止される。ここでいう品質低下としては、例えば、スクラッチや窪みの発生、アルミナの残留、突き刺さり欠陥等が挙げられる。なお、本明細書においてアルミナ粒子を実質的に含まないとは、研磨用組成物に含まれる固形分全量のうちアルミナ粒子の割合が1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、典型的には0.1重量%以下であることをいう。アルミナ粒子の割合が0重量%である研磨用組成物、すなわちアルミナ粒子を含まない研磨用組成物が特に好ましい。また、ここに開示される研磨用組成物は、α-アルミナ粒子を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。
ここに開示される研磨用組成物は、シリカ粒子以外の粒子、すなわち非シリカ粒子を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。ここで、非シリカ粒子を実質的に含まないとは、研磨用組成物に含まれる固形分全量のうち非シリカ粒子の割合が1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、典型的には0.1重量%以下であることをいう。このような態様において、ここに開示される技術の適用効果が好適に発揮され得る。
特に限定するものではないが、砥粒(典型的にはシリカ粒子)の平均アスペクト比は、例えば1.0以上であり得る。いくつかの態様において、平均アスペクト比は、例えば1.02以上であってよく、1.05以上でもよい。加工性の維持または向上の観点から、砥粒の平均アスペクト比は、好ましくは凡そ1.1以上(1.10以上)であり、凡そ1.11以上であってもよく、1.12以上でもよく、1.13以上でもよく、1.14以上でもよく、1.15以上でもよい。また、面品質を効率よく高めやすくする観点から、いくつかの態様において、上記平均アスペクト比は2.50以下であることが適当であり、2.0以下でもよく、1.70以下でもよい。ここに開示される技術は、砥粒の平均アスペクト比が1.50以下、さらには1.30以下(例えば1.20以下)である態様でも好適に実施され得る。ここで、砥粒の平均アスペクト比とは、該砥粒を構成する個々の粒子の長径/短径比の平均値、すなわち個数平均アスペクト比をいう。以下、特記しない場合、本明細書において平均アスペクト比とは、上記個数平均アスペクト比を意味するものとする。所定の平均アスペクト比を満たす砥粒は、使用する材料(シリカ粒子)の選択や、異なる粒子形状を有する2種以上の砥粒粒子の混合等により調節することができる。
本明細書において、砥粒の平均アスペクト比は次の方法で測定することができる。すなわち、SEM(Scanning Electron Microscope)を用いて、測定対象の砥粒に含まれる所定個数の粒子を、1視野内に50個以上の粒子を含むSEM画像で観察する。観察倍率は10000倍~50000倍とする。測定対象の粒子は、1種類の砥粒粒子でもよく、2種類以上の砥粒粒子の混合物でもよい。上記SEM画像中の砥粒粒子について、各々の粒子画像に外接する最小の長方形を描く。その長方形の長辺の長さを長径の値とし、短辺の長さを短径の値として、各粒子について長径の値を短径の値で除した値をアスペクト比として算出する。すなわち、各粒子のアスペクト比は、該粒子に外接する最小の長方形の長辺/短辺の比として求められる。上記所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、個数平均アスペクト比を求めることができる。上記個数アスペクト比は、一般的な画像解析ソフトウエアを用いて求めることができる。
なお、上記所定個数、すなわち粒子毎のアスペクト比を算出する粒子の個数は、測定精度や再現性を高める観点から、1000個以上とすることが適当であり、1500個以上とすることが好ましい。上記所定個数の上限は特に制限されない。測定効率の観点から、上記所定個数は、例えば5000個以下であってよく、2500個以下でもよい。
ここに開示される砥粒(典型的にはシリカ砥粒)の粒子径は特に限定されず、実用的な加工性を発揮し得る適当な粒子径が採用され得る。特に限定されるものではないが、例えば、光透過式遠心沈降法により得られる重量基準の粒度分布に基づく累積50%粒子径(D50)が凡そ50nm以上である砥粒を用いることができる。D50は、好ましくは凡そ60nm以上、より好ましくは凡そ70nm以上、さらに好ましくは凡そ80nm以上である。D50の大きい砥粒によると、一次研磨に適した加工性を実現しやすい。また、上記砥粒のD50は、表面品質の観点から、凡そ300nm以下が適当であり、好ましくは凡そ150nm以下であり、凡そ140nm以下であってもよく、凡そ130nm以下でもよく、凡そ120nm以下でもよく、凡そ110nm以下でもよい。砥粒のD50は、使用する材料(シリカ粒子)の選択等により調節することができる。
砥粒(典型的にはシリカ砥粒)の、光透過式遠心沈降法により得られる重量基準の粒度分布に基づく累積99%粒子径(D99)は特に限定されず、例えば、凡そ100nm以上とすることができる。加工性向上の観点から、D99は、好ましくは凡そ150nm以上、凡そ170nm以上であってもよく、凡そ190nm以上でもよく、200nm以上でもよく、220nm以上でもよく、240nm以上でもよい。上記砥粒のD99が大きくなるにつれて、基板へのシリカ残留も増大する傾向があるが、ここに開示される技術によると、シリカ残低減剤の使用によってシリカ残留が阻止されるので、上記D99を有する砥粒を用いる構成で、加工性とシリカ残低減とが好ましく両立され得る。
上記砥粒のD99の上限は特に制限されない。D99が所定値以上の砥粒は、シリカ残留の原因となり得るナノスクラッチを生成しやすい傾向があるため、砥粒のD99は所定値以下に制限されていることが望ましい。そのような観点から、上記砥粒のD99は、例えば凡そ500nm以下であり、凡そ400nm以下が適当であり、好ましくは凡そ300nm以下であり、凡そ290nm以下であってもよく、凡そ285nm以下でもよく、凡そ280nm以下でもよく、凡そ275nm以下でもよい。上記砥粒のD99が小さくなるにつれて、シリカ残留がより効果的に低減される傾向がある。
砥粒のD99は、使用する材料(シリカ粒子)の選択や、異なる粒度分布を有する2種以上の砥粒粒子の混合、粗大粒子の除去処理の実施等により調節することができる。
なお、本明細書における砥粒のD50およびD99は、光透過式遠心沈降法により得られる重量基準の粒度分布から求めることができる。具体的には、上記重量基準の粒度分布において、小粒子径側からの累積が50%となる点の粒子径をD50とし、累積99%となる点に相当する粒子径をD99とする。上記光透過式遠心沈降法は、粒子サイズの違いによって生じる沈降速度差を利用し、砥粒中の各粒子を分級しながら粒子径を測定するため、シリカ残留の原因となると考えられるナノスクラッチを形成し得る粗大な粒子を他の方法(例えばレーザー散乱法や動的光散乱法等)よりも正確に検出することが可能である。上記光透過式遠心沈降法による重量基準の粒度分布から求められるD99は、シリカ残留を低減し得る砥粒を評価するにあたって信頼性の高い指標となり得る。
上記光透過式遠心沈降法による粒度分布は、JIS Z 8823-2:2016に準拠した方法により得られる。上記粒度分布測定の具体的な手順は次のとおりである。まず、ディスク形セルの内部に、粒子を含まない透明な検査液(例えば、スクロース8~24重量%水溶液)を満たし、当該検査液を透過する光ビームをセルに照射する。そして、所定の回転数(例えば、24000rpm)でセルを回転させながら、回転軸と同軸の注入口からセル内に砥粒の分散液を注入する。これによって、分散液中の粒子が遠心方向の外側に向かって沈降し、該沈降する粒子によって光ビームが減衰する。そして、時間経過にともなう光ビームの減衰量の変化に基づいて砥粒の粒度分布を求める。なお、上記砥粒の粒度分布は、上記光ビームの減衰量の変化を粒度分布に変換するソフトウエアを用いて求めることができる。
具体的な測定方法は以下のとおりである。砥粒をイオン交換水に分散させて測定用砥粒分散液を調製する。米国 CPS Instruments社製のディスク遠心式粒度分布測定装置「DC24000 UHR」を用い、JIS Z 8823-2に準拠して重量基準の粒度分布を求める。粒度分布の測定は、以下に示す条件により行うことができる。
セル内に導入する検査液:最小濃度8重量%、最大濃度24重量%のスクロース水溶液
セル内に導入する検査液の注入量:12mL
測定用砥粒分散液の砥粒濃度:2重量%
測定用砥粒分散液の注入量:0.1mL
ディスクの回転速度:24000rpm
測定範囲:0.025μm~1.0μm
後述の実施例においても同様の方法で砥粒のD50およびD99は測定される。
研磨用組成物における砥粒(典型的にはシリカ粒子)の含有量は特に制限されず、典型的には0.1重量%以上であり、0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、3重量%以上であることがさらに好ましく、5重量%以上であることが特に好ましい。上記含有量は、複数種類の砥粒を含む場合には、それらの合計含有量である。砥粒の含有量の増大によって、より高い加工性が得られる傾向がある。研磨後の基板の表面平滑性や研磨の安定性の観点から、上記含有量は、30重量%以下が適当であり、好ましくは25重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
(水)
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には、上述のような砥粒の他に、該砥粒を分散させる水を含有する。水としては、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。イオン交換水は、典型的には脱イオン水であり得る。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、その固形分含量が0.5重量%~30.0重量%である形態で好ましく実施され得る。上記固形分含量が1.0重量%~20.0重量%である形態がより好ましい。研磨用組成物は、典型的にはスラリー状の組成物であり得る。
(酸)
ここに開示される研磨用組成物は、研磨促進剤として酸を含む。酸としては、無機酸および有機酸のいずれも使用可能である。有機酸としては、例えば、炭素原子数が1~18程度、典型的には1~10程度の有機カルボン酸、有機スルホン酸、アミノ酸等が挙げられる。酸は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機酸の具体例としては、リン酸(オルトリン酸)、硝酸、硫酸、塩酸、ホウ酸、スルファミン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、ヘキサメタリン酸、炭酸、フッ化水素酸、亜硫酸、チオ硫酸、塩素酸、過塩素酸、亜塩素酸、ヨウ化水素酸、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、臭化水素酸、過臭素酸、臭素酸、クロム酸、亜硝酸等が挙げられる。
有機酸の具体例としては、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、イタコン酸、マロン酸、イミノ二酢酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アジピン酸、シュウ酸、吉草酸、エナント酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、クロトン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸、メタクリル酸、グルタル酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、イソクエン酸、メチレンコハク酸、没食子酸、アスコルビン酸、ニトロ酢酸、オキサロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等の有機カルボン酸;グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、シスチン、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン等のアミノ酸;ニコチン酸;ピクリン酸;ピコリン酸;フィチン酸類;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アミノエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸、10-カンファースルホン酸、イセチオン酸、タウリン等の有機スルホン酸等が挙げられる。
研磨効率の観点から好ましい酸として、リン酸、ホスホン酸、マレイン酸、塩酸、硝酸、硫酸、スルファミン酸、フィチン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、メタンスルホン酸等が例示される。なかでもリン酸、ホスホン酸、マレイン酸、塩酸、硝酸、硫酸が好ましい。
酸は、該酸の塩の形態で用いられてもよい。塩の例としては、上述した無機酸や有機酸の、金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。アルカノールアミン塩としては、例えば、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩が挙げられる。
塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩およびアルカリ金属リン酸水素塩;上記で例示した有機酸のアルカリ金属塩;その他、グルタミン酸二酢酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸のアルカリ金属塩、トリエチレンテトラミン六酢酸のアルカリ金属塩;等が挙げられる。これらのアルカリ金属塩におけるアルカリ金属は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等であり得る。
ここに開示される研磨用組成物に含まれ得る塩としては、無機酸の塩、例えば、アルカリ金属塩やアンモニウム塩を好ましく採用し得る。例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム等を好ましく使用し得る。
酸およびその塩は、1種を単独でまたは2種以上(例えば2種または3種)を組み合わせて用いることができる。いくつかの好ましい態様において、酸と、該酸とは異なる酸の塩とを組み合わせて用いることができる。上記酸は、好ましくは無機酸である。上記酸の塩は、好ましくは無機酸の塩である。
研磨用組成物における酸のモル濃度(複数種類の酸を含む場合には、それらの合計モル濃度)は特に限定されず、例えば凡そ0.001mol/L以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ0.01mol/L以上、より好ましくは凡そ0.05mol/L以上、さらに好ましくは0.07mol/L以上、特に好ましくは0.09mol/L以上である。いくつかの態様において、酸のモル濃度は、例えば0.1mol/L以上であってもよく、典型的には0.12mol/L以上であってもよい。酸のモル濃度の増大によって、より高い加工性が実現され得る。研磨後の面品質や研磨の安定性等の観点から、上記酸のモル濃度は、凡そ1.2mol/L以下が適当であり、好ましくは凡そ1mol/L以下、より好ましくは凡そ0.8mol/L以下、さらに好ましくは凡そ0.5mol/L以下、特に好ましくは凡そ0.3mol/L以下(例えば0.2mol/L以下)である。
(酸化剤)
ここに開示される研磨用組成物は、酸化剤を含有する。酸化剤の例としては、過酸化物、硝酸またはその塩、過ヨウ素酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、酸素酸またはその塩、金属塩類、硫酸類等が挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、硝酸、硝酸鉄、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸金属塩、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過塩素酸、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄等が挙げられる。好ましい酸化剤として、過酸化水素、硝酸鉄、過ヨウ素酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸および硝酸が例示される。少なくとも過酸化水素を含むことが好ましく、過酸化水素からなることがより好ましい。
研磨用組成物における酸化剤の含有量は、研磨対象物を酸化する速度、ひいては加工性を考慮して、0.05mol/L以上であることが好ましく、より好ましくは0.1mol/L以上、さらに好ましくは0.15mol/L以上、特に好ましくは0.3mol/L以上である。また、研磨用組成物中の酸化剤の含有量は、面精度保持の観点から、1mol/L以下であることが好ましく、より好ましくは0.8mol/L以下、さらに好ましくは0.6mol/L以下である。
(シリカ残低減剤)
ここに開示される研磨用組成物は、シリカ残低減剤として、リン酸エステル、亜リン酸エステルおよび有機ホスホン酸化合物から選択される1種または2種以上の化合物であって、温度30℃において100mLの純水に対して1gが完全に溶解する水溶解性を有する化合物を含有する。上記シリカ残低減剤を使用することによって、磁気ディスク基板の一次研磨において加工性を損なうことなくシリカ残留を低減することができる。その理由としては、例えば以下のように考えられる。研磨用組成物に含まれるシリカ残低減剤は組成物中に溶解した状態で基板表面に薄膜状に配置され、シリカ砥粒と基板との間にて、シリカ砥粒の基板への直接接触や付着を抑制すると考えられる。そのため、シリカ砥粒は、その後の洗浄によって、水溶性のシリカ残低減剤とともに基板上から除去され、その結果、基板へのシリカ残留を低減するものと考えられる。なお、上記のメカニズムは、実験結果に基づく本発明者らの考察であり、ここに開示される技術は、上記のメカニズムに限定して解釈されるものではない。
ここに開示されるシリカ残低減剤は、典型的には、温度30℃において100mLの純水に対して1gが完全に溶解する水溶解性を有するものであり得る。これによって、シリカ残低減剤は、研磨用組成物に溶解し、スムーズに組成物内を移動して、基板とシリカ砥粒との間に配置され得る。また、シリカ残低減剤は水溶性であるので、研磨後の洗浄によって容易に除去され得る。
なお、温度30℃における純水に対する完全溶解性の評価は、フラスコに100mLの純水を入れ、そこに試料1gを投入し、撹拌混合し、1時間以内に完全に溶解したかどうかを目視で観察し、白濁や沈殿物、相分離(有機相/水相等)の有無から判定することができる。測定は常圧で行われる。試料1gが純水100mLに完全に溶解したか否かの判断が難しい場合は、測定溶液を遠心分離し、上澄み中の試料の有無を分析すればよい。この場合、N=3とすることが望ましい。あるいは、文献等の公知情報や、SDS(Safety Data Sheet)に記載の水に対する溶解度(30℃)が1(g/100mL)以上を示すか、あるいは示唆している場合、上記の水溶解度を満足すると便宜的にみなしてもよい。
後述の実施例においても、上記の条件が採用される。
シリカ残低減剤として用いられるリン酸エステル、亜リン酸エステルは、リン酸エステル結合で結合した1つまたは2つの有機基を有する。この有機基は、リン酸に含まれる1つまたは2つのOH基(典型的にはリン原子に直接結合したOH基)の水素原子に置換した置換基と言い換えることができる。いくつかの態様におけるシリカ残低減剤が有する有機基の数は1または2である。いくつかの好ましい態様では、シリカ残低減剤は、上記有機基として、エーテル結合を含んでよい炭素原子数が6以下の有機基を有するもののなから選択される。有機基における炭素原子数が制限されていることは、有機基、ひいてはシリカ残低減剤のサイズが制限されていることに通じ、水溶解性に優れ、また移動性に優れる傾向がある。上記有機基が有する炭素原子数は、水溶解性や移動性の観点から、5以下であってもよく、4以下でもよく、3以下でもよく、2以下(例えば1)でもよい。また、有機基が有する炭素原子数が制限されていることにより、シリカ残低減剤とシリカ粒子との疎水性相互作用も抑制される傾向がある。上記有機基は、エーテル結合を含んでもよく、含まなくてもよい。いくつかの態様では、シリカ残低減剤の有機基はエステル結合やビニル基を含まないものであり得る。
シリカ残低減剤が有する上記有機基の好適例として、炭素原子数が4以下であるアルキル基が挙げられる。アルキル基は直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。水溶解性、移動性、シリカ粒子との吸着抑制等の観点から、上記アルキル基の炭素原子数は、3以下でもよく、2以下でもよく、1でもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基)が挙げられる。シリカ残低減剤は、上記アルキル基を1つまたは2つ有するものであり得る。
シリカ残低減剤が有する上記有機基の他の好適例としては、炭素原子数が6以下であるアルコキシアルキル基が挙げられる。水溶解性、移動性、シリカ粒子との吸着抑制等の観点から、上記アルコキシアルキル基の炭素原子数は、5以下でもよく、4以下でもよく、3以下でもよく、2でもよい。アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基が挙げられる。シリカ残低減剤は、上記アルコキシアルキル基を1つまたは2つ有するものであり得る。あるいは、シリカ残低減剤は、上記アルキル基と上記アルコキシアルキル基とを有するものであってもよい。
シリカ残低減剤として用いられるリン酸エステルとしては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルのいずれも使用可能である。リン酸エステルは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記リン酸エステルとしては、モノアルキルアシッドホスフェート(モノメチルアシッドホスフェート、モノエチルアシッドホスフェート、モノイソプロピルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート等)、ジアルキルアシッドホスフェート(ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート等)等のアルキルアシッドホスフェート;モノアルケニルアシッドホスフェート、ジアルケニルアシッドホスフェート等のアルケニルアシッドホスフェート;モノ(アルコキシアルキル)アシッドホスフェート、ジ(アルコキシアルキル)アシッドホスフェート等のアルコキシアルキルアシッドホスフェート(メトキシメチルアシッドホスフェート、エトキシメチルアシッドホスフェート、ブトキシメチルアシッドホスフェート、メトキシエチルアシッドホスフェート、エトキシエチルアシッドホスフェート、プロポキシエチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、メトキシプロピルアシッドホスフェート、エトキシプロピルアシッドホスフェート、プロポキプロピルアシッドホスフェート、メトキシブチルアシッドホスフェート、エトキシブチルアシッドホスフェート等);モノアルキルホスフェート;等のなかから、上記水溶解性を示すものが用いられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、アルキルアシッドホスフェート、アルコキシアルキルアシッドホスフェートが好ましく、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェートがより好ましい。アルキルアシッドホスフェートは、モノアルキルアシッドホスフェートとジアルキルアシッドホスフェートとの混合物でもよい。アルコキシアルキルアシッドホスフェートについても同様である。
亜リン酸エステルとしては、ジメチルハイドロゲンホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ジイソプロピルハイドロゲンホスファイト、ジブチルハイドロゲンホスファイト、ジイソブチルハイドロゲンホスファイト等のアルキルハイドロゲンホスファイト等のなかから、上記水溶解性を示すものが好ましく用いられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ジブチルハイドロゲンホスファイトがより好ましい。
有機ホスホン酸化合物としては、上記水溶解性を示す有機ホスホン酸化合物の1種または2種以上を特に制限なく用いることができる。好適例としては、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)が挙げられる。
シリカ残低減剤の分子量としては、その機能を発揮し得る適当な範囲が選択され、特定の範囲に限定されるものではない。シリカ残低減剤の分子量は、水溶解性、移動性、シリカ粒子との吸着抑制等の観点から、500以下が適当であり、例えば300以下であってもよく、250以下でもよく、200以下でもよく、150以下(例えば150未満)でもよい。上記分子量の下限は、凡そ100以上であり、例えば120以上であってもよい。また、シリカ残低減剤としてのリン酸エステルの分子量は250以下が適当であり、220以下でもよく、200以下でもよく、185以下でもよく、165以下でもよく、150以下(例えば150未満)でもよく、140以下でもよく、130以下(例えば125以下)でもよい。シリカ残低減剤としての亜リン酸エステルの分子量は250以下が適当であり、200以下であってもよく、160以下でもよく、150以下(例えば150未満)でもよく、145以下でもよい。シリカ残低減剤としての有機ホスホン酸化合物の分子量は500以下が適当であり、400以下でもよく、350以下でもよく、320以下でもよく、300程度でもよい。上記分子量の下限は、凡そ100以上であり、例えば200以上であってもよく、250以上でもよく、280以上でもよい。
ここに開示される研磨用組成物におけるシリカ残低減剤の含有量は、加工性を損なわずにシリカ残低減効果を実現し得る適当量とすることができ、また種によっても異なり得るため、特定の範囲に限定されない。上記含有量は、凡そ0.001mM(mmol/L)以上とすることができ、凡そ0.01mM以上が適当である。シリカ残低減効果をよりよく発揮する観点から、上記含有量は、凡そ0.1mM以上でもよく、凡そ0.3mM以上でもよく、凡そ0.5mM以上でもよく、凡そ1mM以上でもよく、凡そ2mM以上でもよい。いくつかの態様では、上記シリカ残低減剤の含有量は、凡そ5mM以上でもよく、凡そ8mM以上でもよく、凡そ10mM以上でもよい。凡そ15mM以上(例えば18mM以上、さらには22mM以上)のシリカ残低減剤を含む研磨用組成物によると、シリカ残低減効果を得つつ、加工性改善効果が得られやすい傾向がある。上記シリカ残低減剤の含有量の上限は、例えば凡そ300mM以下とすることができ、凡そ100mM以下が適当であり、凡そ50mM以下であってもよく、凡そ30mM以下でもよく、15mM未満でもよい。ここに開示される技術によると、少量のシリカ残低減剤の添加で所望の効果を実現し得ることから、上記シリカ残低減剤の含有量の上限は10mM未満でもよく、7mM未満でもよく、5mM未満でもよく、3mM未満でもよい。
(塩基性化合物)
研磨用組成物には、必要に応じて塩基性化合物を含有させることができる。ここで塩基性化合物とは、研磨用組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物の例としては、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩や炭酸水素塩、第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン、リン酸塩やリン酸水素塩、有機酸塩等が挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
炭酸塩や炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム;このような水酸化第四級アンモニウムのアルカリ金属塩;等が挙げられる。上記アルカリ金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。
アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類、等が挙げられる。
リン酸塩やリン酸水素塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
有機酸塩の具体例としては、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸アンモニウム等が挙げられる。
ここに開示される技術は、例えば、塩基性化合物(例えばアゾール類やその誘導体)を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。
(その他の成分)
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、界面活性剤、水溶性高分子、分散剤、キレート剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物に使用され得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用可能である。界面活性剤の使用により、研磨用組成物の分散安定性が向上し得る。界面活性剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記界面活性剤は、典型的には、分子量1×10未満の水溶性有機化合物であり得る。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリアクリル酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、およびこれらの塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の他の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸;およびこれらの塩等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン型、脂肪酸アミドプロピルベタイン型、アルキルイミダゾール型、アミノ酸型、アルキルアミンオキシド型等が挙げられる。
界面活性剤を含む態様の研磨用組成物では、界面活性剤の含有量を、例えば0.0005重量%以上とすることが適当である。上記含有量は、研磨後の表面の平滑性等の観点から、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.002重量%以上である。また、加工性等の観点から、上記含有量は、3.0重量%以下とすることが適当であり、好ましくは0.5重量%以下、例えば0.1重量%以下である。
ここに開示される研磨用組成物には、水溶性高分子を含有させてもよい。水溶性高分子を含有させることにより、研磨後の面品質が向上し得る。水溶性高分子の例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリ酢酸ビニル、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリビニルアルコール、ポリグリセリン、ポリビニルピロリドン、イソプレンスルホン酸とアクリル酸の共重合体、ポリビニルピロリドンポリアクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、ジアリルアミン塩酸塩二酸化硫黄共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、キトサン、キトサン塩類等が挙げられる。水溶性高分子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性高分子を含む態様の研磨用組成物では、研磨用組成物中における該水溶性高分子の含有量を、例えば0.001重量%以上とすることが適当である。上記含有量は、複数の水溶性高分子を含む態様では、それらの合計含有量である。上記含有量は、研磨後の研磨対象物の表面平滑性等の観点から、好ましくは0.003重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.007重量%以上である。また、加工性等の観点から、上記含有量は、1.0重量%以下とすることが適当であり、好ましくは0.5重量%以下、例えば0.1重量%以下である。なお、ここに開示される技術は、加工性の観点から、研磨用組成物が水溶性高分子を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。
分散剤の例としては、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩等のポリカルボン酸系分散剤;ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩等のナフタレンスルホン酸系分散剤;アルキルスルホン酸系分散剤;ポリリン酸系分散剤;ポリアルキレンポリアミン系分散剤;第四級アンモニウム系分散剤;アルキルポリアミン系分散剤;アルキレンオキサイド系分散剤;多価アルコールエステル系分散剤;等が挙げられる。分散剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
キレート剤の例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウム等のアミノカルボン酸系キレート剤が挙げられる。キレート剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
防腐剤および防カビ剤の例としては、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
(pH)
ここに開示される研磨用組成物のpHは特に制限されない。研磨用組成物のpHは、例えば、12.0以下、典型的には0.5~12.0とすることができ、10.0以下、典型的には0.5~10.0としてもよい。加工性や面品質等の観点から、研磨用組成物のpHは、7.0以下、例えば0.5~7.0とすることができ、5.0以下、典型的には1.0~5.0とすることがより好ましく、4.0以下、例えば1.0~4.0とすることがさらに好ましい。研磨用組成物のpHは、例えば3.0以下、典型的には1.0~3.0、好ましくは1.0~2.0、より好ましくは1.0~1.8とすることができる。研磨液において上記pHが実現されるように、必要に応じて有機酸、無機酸、塩基性化合物等のpH調整剤を含有させることができる。上記pHは、例えば、ニッケルリン基板等の磁気ディスク基板の研磨用の研磨用組成物に好ましく適用され得る。特に一次研磨用の研磨用組成物に好ましく適用され得る。
(研磨液)
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象物に供給されて、該研磨対象物の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、研磨用組成物を希釈して調製されたものであり得る。ここで希釈とは、典型的には水による希釈である。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨対象物に供給されて該研磨対象物の研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液との双方が包含される。このような濃縮液の形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば1.5倍~50倍程度とすることができる。濃縮液の貯蔵安定性等の観点から、例えば2倍~20倍、典型的には2倍~10倍程度の濃縮倍率が適当である。
(多剤型研磨用組成物)
なお、ここに開示される研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分、典型的には、水以外の成分のうち一部の成分を含むパートAと、残りの成分を含むパートBとが混合されて研磨対象物の研磨に用いられるように構成されていてもよい。いくつかの好ましい態様に係る多剤型研磨用組成物は、砥粒を含むパートAと、砥粒以外の成分を含むパートBとから構成されている。砥粒を含むパートAは、さらに分散剤を含んでもよい。パートBに含まれる砥粒以外の成分としては、例えば、酸が挙げられる。また、パートBには、水溶性高分子その他の添加剤が含まれ得る。シリカ残低減剤は、パートA、Bのいずれか、または両方に含まれ得る。通常、これらは、使用前は分けて保管されており、使用時に混合され得る。ここでいう使用時とは、典型的には研磨対象基板の研磨時であり得る。混合時には、例えば過酸化水素等の酸化剤がさらに混合され得る。例えば、上記酸化剤が水溶液の形態で供給される場合、当該水溶液は、多剤型研磨用組成物を構成するパートCとなり得る。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、ニッケルリン基板、ガラス基板、カーボン製基板等の磁気ディスク基板の研磨に好ましく適用され得る。また、めっき材質として、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層以外の金属層または金属化合物層を備えたディスク基板であってもよい。なかでも、アルミニウム合金製の基材ディスク上にニッケルリンめっき層を有するニッケルリンめっき基板用の研磨用組成物として好適である。かかる用途では、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。
ここに開示される研磨用組成物は、仕上げ研磨工程後において高精度な表面が要求される磁気ディスク基板の製造プロセスにおける予備研磨工程のように、高い研磨効率が要求される用途において特に有意義に使用され得る。仕上げ研磨工程の前工程として複数の予備研磨工程を有する場合は、いずれの予備研磨工程にも使用可能であり、これらの予備研磨工程において同一のまたは異なる研磨用組成物を用いることができる。ここに開示される研磨用組成物は、例えば、磁気ディスク基板の一次研磨工程すなわち最初のポリシング工程に用いられる研磨用組成物として好適である。なかでも、ニッケルリン基板の製造プロセスにおいて、ニッケルリンめっき後の最初の研磨工程すなわち一次研磨工程において好ましく使用され得る。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS-3000WRC」により測定される表面粗さが20Å~300Å程度の磁気ディスク基板を研磨して、該磁気ディスク基板を10Å以下の表面粗さに調整する用途に好適である。かかる用途では、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。ここでいう表面粗さとは、算術平均粗さ(Ra)のことをいう。
<研磨方法>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、磁気ディスク基板を研磨対象物とする研磨に好適に使用することができる。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する方法の好適な態様につき説明する。以下では、研磨対象物を研磨対象基板ともいう。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液(ワーキングスラリー)を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に濃度調整やpH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。濃度調整としては、例えば希釈が挙げられる。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。
次いで、その研磨液を研磨対象物に供給し、常法により研磨する。例えば、一般的な研磨装置に研磨対象物をセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記研磨対象物の表面すなわち研磨対象面に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、研磨対象物の表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動させる。上記移動は、例えば回転移動であり得る。このような研磨工程を経て研磨対象物の研磨が完了する。
使用し得る研磨パッドは特に限定されない。例えば、硬質発泡ポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ等の研磨パッドを用いることができる。スウェードタイプは、バフパッドであってもよく、典型的には、表面をバフ加工していないノンバフ状態にある研磨パッド(いわゆるノンバフパッド)であってもよい。そのようなスウェードタイプの研磨パッド(典型的にはポリウレタン製研磨パッド)は、加工性に優れ、また基板表面の高品質化を実現しやすい。なお、ここに開示される技術で用いられる研磨パッドは砥粒を含まない。
研磨後(具体的には、磁気ディスク基板の一次研磨後)、基板を洗浄することが好ましい(洗浄工程)。洗浄工程は、典型的には洗浄機を用いて実施される。洗浄工程では、洗浄液を用いてもよく、洗浄液を用いず流水のみの洗浄としてもよい。洗浄液または水に浸漬した基板に超音波を付与する超音波処理を行ってもよい。このような洗浄工程を実施することにより、研磨後、基板上に残存するシリカは効率よく除去され得る。
研磨工程に使用する研磨装置は、研磨対象物の両面を同時に研磨する両面研磨装置であってもよく、研磨対象物の片面のみを研磨する片面研磨装置であってもよい。上記研磨工程が予備研磨工程である場合、いくつかの態様において、該研磨工程を行う研磨装置として両面研磨装置を好ましく採用し得る。一次研磨工程の後に仕上げ研磨工程を行う場合、該仕上げ研磨工程を行う研磨装置としては、片面研磨装置を好ましく採用し得る。
上述のような研磨工程は、磁気ディスク基板、例えばニッケルリン基板の製造プロセスの一部であり得る。したがって、この明細書によると、上記研磨工程を含む磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法が提供される。
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物の予備研磨工程、例えば一次研磨工程に好ましく使用され得る。この明細書によると、上述したいずれかの研磨用組成物を用いて予備研磨を行う工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法が提供される。上記方法は、ここに開示される研磨用組成物を研磨対象物に供給して該研磨対象物を研磨する工程(1)を含む。上記方法は、上記予備研磨工程の後に仕上げ研磨工程を含み得る。仕上げ研磨工程に使用する研磨用組成物は特に限定されない。したがって、この明細書により開示される事項には、ここに開示される砥粒を含む研磨用組成物で研磨対象物を研磨する工程(1)と、工程(1)で用いられる研磨用組成物とは異なる研磨用組成物で研磨対象物を研磨する工程(2)とをこの順で含む、磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法が含まれる。かかる製造方法によると、磁気ディスク基板を効率よく製造することができる。
この明細書により開示される事項には以下のものが含まれる。
(1) 砥粒としてのシリカ粒子を用いて磁気ディスク基板の一次研磨を実施した後の基板上のシリカ残留を低減する方法であって、
砥粒としてのシリカ粒子と、酸と、酸化剤と、リン酸エステル、亜リン酸エステルおよび有機ホスホン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種であって、温度30℃において100mLの純水に対して1gが完全に溶解する水溶解性を有するシリカ残低減剤と、水とを含む研磨用組成物を用いて、研磨対象基板を研磨する工程を含む、シリカ残低減方法。
(2) 前記シリカの残留は、前記研磨後の記基板を洗浄機を用いて洗浄した後、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡「SU8000」を用いて、洗浄後の基板表面(両面)を50000倍の倍率で一面あたり10視野観察し、三谷商事社製の画像解析ソフトウエア「WinROOF」を用いて、各視野における残留シリカ粒子個数を測定し、1視野あたりの残留シリカ粒子個数の平均値から評価される、上記(1)に記載の方法。
(3) 磁気ディスク基板の製造方法であって、
砥粒としてのシリカ粒子と、酸と、酸化剤と、リン酸エステル、亜リン酸エステルおよび有機ホスホン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種であって、温度30℃において100mLの純水に対して1gが完全に溶解する水溶解性を有するシリカ残低減剤と、水とを含む研磨用組成物を用いて、研磨対象基板を一次研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
(4) 磁気ディスク基板の研磨方法であって、
砥粒としてのシリカ粒子と、酸と、酸化剤と、リン酸エステル、亜リン酸エステルおよび有機ホスホン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種であって、温度30℃において100mLの純水に対して1gが完全に溶解する水溶解性を有するシリカ残低減剤と、水とを含む研磨用組成物を用いて、研磨対象基板を一次研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の研磨方法。
(5) 前記砥粒の平均アスペクト比は1.1以上である、上記(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 前記砥粒は、光透過式遠心沈降法により得られる重量基準の粒度分布に基づく累積99%粒子径(D99)が150nm以上である、上記(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 前記シリカ残低減剤として、前記リン酸エステルおよび/または前記亜リン酸エステルを含み、
前記リン酸エステルおよび/または前記亜リン酸エステルは、そのリン酸エステル結合で結合した有機基を有しており、該有機基は、エーテル結合を含んでよい炭素原子数が6以下の有機基である、上記(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
(8) 前記シリカ残低減剤が有する前記有機基は、炭素原子数が4以下であるアルキル基、または、炭素原子数が6以下であるアルコキシアルキル基である、上記(7)に記載の方法。
(9) 前記シリカ残低減剤として前記有機ホスホン酸化合物を含み、
前記有機ホスホン酸化合物はニトリロトリス(メチレンホスホン酸)を含む、上記(1)~(8)のいずれかに記載の方法。
(10) 前記酸は、リン酸、ホスホン酸、マレイン酸、塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される少なくとも1種である、上記(1)~(9)のいずれかに記載の方法。
(11) 前記酸化剤は過酸化水素を含む、上記(1)~(10)のいずれかに記載の方法。
(12) 砥粒としてのシリカ粒子を用いて磁気ディスク基板の一次研磨を実施した後に発生するシリカ残留を低減することが可能なシリカ残低減剤(本願明細書に記載の研磨用組成物であり、シリカ残低減性組成物ともいう。なお、ここでいうシリカ残低減剤は広義のシリカ残低減剤であり、本願明細書に記載のシリカ残低減剤(化合物)とは異なるものとして把握される。)であって、
砥粒としてのシリカ粒子と、酸と、酸化剤と、リン酸エステル、亜リン酸エステルおよび有機ホスホン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種であって、温度30℃において100mLの純水に対して1gが完全に溶解する水溶解性を有するシリカ残低減剤と、水とを含む、シリカ残低減剤。
(13) 前記シリカの残留は、前記研磨後の記基板を洗浄機を用いて洗浄した後、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡「SU8000」を用いて、洗浄後の基板表面(両面)を50000倍の倍率で一面あたり10視野観察し、三谷商事社製の画像解析ソフトウエア「WinROOF」を用いて、各視野における残留シリカ粒子個数を測定し、1視野あたりの残留シリカ粒子個数の平均値から評価される、上記(12)に記載のシリカ残低減剤。
(14) 前記砥粒の平均アスペクト比は1.1以上である、上記(12)または(13)に記載のシリカ残低減剤。
(15) 前記砥粒は、光透過式遠心沈降法により得られる重量基準の粒度分布に基づく累積99%粒子径(D99)が150nm以上である、上記(12)~(14)のいずれかに記載のシリカ残低減剤。
(16) 前記化合物として、前記リン酸エステルおよび/または前記亜リン酸エステルを含み、
前記リン酸エステルおよび/または前記亜リン酸エステルは、そのリン酸エステル結合で結合した有機基を有しており、該有機基は、エーテル結合を含んでよい炭素原子数が6以下の有機基から選択される、上記(12)~(15)のいずれかに記載のシリカ残低減剤。
(17) 前記化合物が有する前記有機基は、炭素原子数が4以下であるアルキル基、または、炭素原子数が6以下であるアルコキシアルキル基である、上記(16)に記載のシリカ残低減剤。
(18) 前記化合物として前記有機ホスホン酸化合物を含み、
前記有機ホスホン酸化合物は、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)を含む、上記(12)~(17)のいずれかに記載のシリカ残低減剤。
(19) 前記酸は、リン酸、ホスホン酸、マレイン酸、塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される少なくとも1種である、上記(12)~(18)のいずれかに記載のシリカ残低減剤。
(20) 前記酸化剤は過酸化水素を含む、上記(12)~(19)のいずれかに記載のシリカ残低減剤。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1~13および比較例1~12>
[研磨用組成物の調製]
シリカ砥粒と、リン酸と、31%過酸化水素水と、添加剤と、脱イオン水とを混合して、各例に係る研磨用組成物を調製した。上記研磨用組成物のpHは1.5であった。シリカ砥粒としては、粒度分布およびアスペクト比が異なる複数種類のシリカ粒子を混合し、平均アスペクト比が1.11であり、光透過式遠心沈降法により得られた重量基準の粒度分布に基づく累積50%粒子径(D50)が85nm、累積99%粒子径(D99)が274nmのものを使用した。研磨用組成物中のシリカ粒子の濃度は7重量%、リン酸濃度は0.14mol/L、過酸化水素濃度は0.4mol/Lまたは0.5mol/L(表1参照)であった。各例で使用した添加剤(シリカ残低減剤および比較添加剤)の種類および含有量は表1に示すとおりである。また、使用した添加剤の水溶解性を表1に示す。添加剤1gが温度30℃の条件下、純水100gに完全に溶解したものを「○」、完全に溶解しなかったものを「×」と記載した。「-」は未測定を表す。
[ディスクの研磨]
各例に係る研磨用組成物をそのまま研磨液として使用して、下記の条件で、研磨対象物の研磨を行った。研磨対象物としては、表面に無電解ニッケルリンめっき層を備えたハードディスク用アルミニウム基板を使用した。上記研磨対象物(研磨対象基板)の直径は3.5インチ(外径約95mm、内径約25mmのドーナツ型)、厚さは1.75mmであり、研磨前における表面粗さRa(Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS-3000WRC」により測定したニッケルリンめっき層の算術平均粗さ)は130Åであった。
(研磨条件)
研磨装置:システム精工社製の両面研磨機、型式「9.5B-5P」
研磨パッド:スウェードパッド(初期表面線粗さ平均:10μm以上、ポアサイズ:50μm)
研磨対象基板の投入枚数:15枚(3枚/キャリア ×5キャリア)
研磨液の供給レート:135mL/分
研磨荷重:120g/cm
上定盤回転数:27rpm
下定盤回転数:36rpm
サンギヤ(太陽ギヤ)回転数:8rpm
研磨時間:4分
[加工性]
各例に係る研磨用組成物を用いて上記研磨条件で研磨対象基板を研磨したときの両面における研磨レートを算出した。研磨レートは、下記の計算式に基づいて求めた。得られた結果を、比較例1の研磨レートを100%とした相対値で、表1に示す。加工性が95[%]以上であれば、実用的な加工性を有すると判定される。
研磨レート[μm/min]=研磨による基板の重量減少量[g]/(基板の面積[cm]×ニッケルリンめっきの密度[g/cm]×研磨時間[min])×10
[残留シリカ粒子個数]
上記研磨レートの測定と同じ条件で研磨した基板をクレセン社製の洗浄機を用いて洗浄した後、基板表面に残留したシリカ粒子の個数を測定した。具体的には、ブラシと洗浄剤を使用せずに、下記条件で流水中で基板を洗浄し、基板に付着した水滴をスピンドライヤにより払い落として乾燥させた。
(洗浄条件)
洗浄剤塗布時間:0秒
第1洗浄時間(流水のみ):15秒
第2洗浄時間(流水のみ):20秒
超音波洗浄時間(流水のみ):20秒
スピンドライ乾燥時間:20秒
次に、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡「SU8000」を用いて、洗浄後の基板表面(両面)を50000倍の倍率で一面あたり10視野観察した。そして、三谷商事社製の画像解析ソフトウエア「WinROOF」を用いて、各視野における残留シリカ粒子個数を測定し、1視野あたりの残留シリカ粒子個数の平均値を算出した。得られた値を、比較例1の残留シリカ粒子個数を100%とした相対値で、表1中の「シリカ残」の欄に示した。シリカ残が95[%]以下であれば、シリカ残低減効果が得られたといえる。
Figure 0007319157000001
表1に示されるように、シリカ砥粒と、酸と、酸化剤とを含み、さらにシリカ残低減剤を含む研磨用組成物を使用した実施例1~13では、シリカ残低減剤を含まない研磨用組成物を用いた比較例1と比べて、シリカ残が低減し、かつ加工性を維持または向上することができた。一方、水溶解性を有しないリン酸エステルを含む研磨用組成物を用いた比較例3では、シリカ残留を低減することができず、加工性も低下傾向であった。また、比較例4で使用したリン酸エステルは、純水に対して混和せず白濁が認められた。研磨用組成物においても、上記リン酸エステル2.5mM濃度で混和せず泡立ち、シリカ粒子が沈降したため、研磨評価を実施するに至らなかった。さらに、シリカ残低減剤に該当しない非リン系化合物を使用した比較例5~12は、比較例1,2との対比からわかるように、いずれもシリカ残留を低減できず、加工性維持とシリカ残留低減とを両立するものではなかった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (8)

  1. 磁気ディスク基板の一次研磨用組成物であって、
    砥粒としてのシリカ粒子、酸、酸化剤および水を含み、
    研磨後の基板上のシリカ残を低減するシリカ残低減剤をさらに含み、
    前記シリカ残低減剤は、リン酸エステル、亜リン酸エステルおよび有機ホスホン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種であって、温度30℃において100mLの純水に対して1gが完全に溶解する水溶解性を有する、研磨用組成物。
  2. 前記砥粒の平均アスペクト比は1.1以上である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記砥粒は、光透過式遠心沈降法により得られる重量基準の粒度分布に基づく累積99%粒子径(D99)が150nm以上である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記シリカ残低減剤として、前記リン酸エステルおよび/または前記亜リン酸エステルを含み、
    前記リン酸エステルおよび/または前記亜リン酸エステルは、そのリン酸エステル結合で結合した有機基を有しており、該有機基は、エーテル結合を含んでよい炭素原子数が6以下の有機基から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  5. 前記シリカ残低減剤が有する前記有機基は、炭素原子数が4以下であるアルキル基、または、炭素原子数が6以下であるアルコキシアルキル基である、請求項4に記載の研磨用組成物。
  6. 前記シリカ残低減剤として前記有機ホスホン酸化合物を含み、
    前記有機ホスホン酸化合物はニトリロトリス(メチレンホスホン酸)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  7. 前記酸は、リン酸、ホスホン酸、マレイン酸、塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  8. 前記酸化剤は過酸化水素を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
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