JP2015109128A - ガラスハードディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

ガラスハードディスク基板用研磨液組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス基板を酸性研磨液で研磨する工程と洗浄する工程を有するガラスハードディスク基板の製造方法において、研磨工程において研磨速度を維持したまま、洗浄工程におけるガラス基板の表面粗さの悪化を抑制できるガラスハードディスク基板用研磨液組成物の提供。【解決手段】シリカ粒子、両性金属の水溶性金属塩、及び水を含有する研磨液組成物であって、水溶性金属塩はアルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、鉛(Pb)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。【選択図】なし

Description

本開示は、ガラスハードディスク基板用研磨液組成物、ガラスハードディスク基板の製造方法、及び、ガラス基板の研磨方法に関する。
ハードディスクドライブに搭載されるハードディスクは高速で回転するため消費電力が高く、近年では環境への配慮から、低消費電力化が求められている。消費電力を低減するためには、ハードディスク1枚あたりの記録容量を増大させ、ドライブに搭載されるハードディスクの枚数を減らし、軽量化する方法がある。基板1枚の重量を軽量化するためには、基板の厚さを薄くする必要があり、この観点から、アルミ基板に比べて機械的強度が高いガラス基板の需要が高まり、近年の伸張は著しい。また、基板1枚あたりの記録容量を向上させるためには、単位記録面積を縮小する必要がある。しかし、単位記録面積を縮小すると磁気信号が弱くなる問題が発生する。そこで磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。ガラスハードディスク基板の研磨においては、この磁気ヘッドの低浮上化に対応するため、表面粗さや残留物の低減に対する要求が厳しくなっている。このような要求に対し、酸性の研磨液組成物でガラス基板を研磨する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
酸性の研磨液組成物でガラス基板を研磨する方法は、研磨中にガラス基板に含有されるアルカリイオンが溶出するリーチング作用が起こり、基板表面の硬度が低下して研磨速度が向上するという利点がある。しかしながら、酸性の研磨液組成物でガラス基板を研磨する方法は、pHが低いとリーチング作用が大きく働くため、脆いリーチング層が深くまで生成し、研磨工程後のアルカリ洗浄工程におけるアルカリエッチングにより表面粗さが著しく悪化するという問題があった。このような問題に対し、リーチング層の生成を抑制しながら、研磨速度を向上させるために、研磨液の電解質濃度を上げる添加剤を含有する弱酸性(pH4〜6)の研磨液でガラス基板を研磨する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献3及び4には、磁気ディスク用ガラス基板の製造に用いる研磨液の添加剤としてカルボン酸、多価アミン、アミノ酸、アミノポリカルボン酸、ホスホン酸類等が開示されている。
特開2005−138197号公報 特開2009−087439号公報 WO2010/038741 特開2012−107226号公報
しかし、前記特許文献2記載の方法では、弱酸性の研磨液組成物でガラス基板を研磨するため、研磨速度が遅く、生産性が低く、特許文献3及び4記載の方法においても、洗浄後の表面粗さ低減と研磨速度とがトレードオフの関係にあるという問題がある。
そこで、本開示は、一又は複数の実施形態において、ガラス基板を酸性研磨液で研磨する工程と洗浄する工程を有するガラスハードディスク基板の製造方法において、研磨工程において研磨速度を維持したまま、洗浄工程におけるガラス基板の表面粗さの悪化を抑制できるガラスハードディスク基板用研磨液組成物を提供する。
本開示は、一又は複数の実施形態において、シリカ粒子、両性金属の水溶性金属塩、及び水を含有する、ガラスハードディスク基板用研磨液組成物に関する。
本開示は、その他の一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を使用して被研磨ガラス基板を研磨する工程を含むガラスハードディスク基板の製造方法に関し、さらにその他の一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を被研磨ガラス基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨ガラス基板の少なくとも一方を動かして研磨することを含むガラス基板の研磨方法に関する。
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、研磨工程において研磨速度を維持しつつ、洗浄工程においてガラス基板の表面粗さの悪化を効果的に抑制できる。
本開示は、ガラス基板を酸性研磨液で研磨した後に洗浄をした場合であっても、前記研磨液に両性金属の水溶性金属塩が含まれていると、前記研磨液による研磨速度を維持しつつ、洗浄によるガラス基板の表面粗さの悪化を抑制できるという知見に基づく。
すなわち、本開示は一態様において、シリカ粒子、両性金属の水溶性金属塩、及び水を含有するガラスハードディスク基板用研磨液組成物(以下、「本開示の研磨液組成物」ともいう)に関する。
本開示の研磨液組成物により、研磨工程で研磨速度が維持され、かつ、洗浄によるガラス基板の表面粗さの悪化が抑制される理由は明らかではないが、アルカリ洗浄の場合には以下のように推定される。すなわち、研磨時のリーチング作用で溶出するガラス基板のアルカリイオンにかわり本開示の研磨液組成物に含まれる両性金属のイオンがガラス基板表層に吸着することで、生成したリーチング層(脆弱層)へのアルカリイオンの作用が抑制されるため、表面粗さの悪化が抑制されると推定される。但し、本開示は、これらのメカニズムに限定されて解釈されなくてもよい。
[両性金属の水溶性金属塩]
本開示において、「両性金属」とは、酸及びアルカリに溶解する金属をいう。両性金属は、一又は複数の実施形態において、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、鉛(Pb)又は、これらの組み合わせが挙げられる。本開示において、「組み合わせ」は、2又はそれ以上の要素の組み合わせをいう。一又は複数の実施形態において、研磨速度の維持及び洗浄後の表面粗さの悪化抑制の観点から、両性金属としては、亜鉛又はガリウムが好ましい。
本開示において、「水溶性」とは、20℃の水100gに対する溶解度が2g以上であることをいう。水溶性金属塩における両性金属の対イオン(陰イオン)としては、水溶性の塩を形成できれば特に限定されないが、一又は複数の実施形態において、硫酸、硝酸、塩酸等の無機陰イオン、又は、クエン酸、酒石酸、シュウ酸等の有機陰イオンが挙げられる。
両性金属の水溶性金属塩としては、一又は複数の実施形態において、無機酸又は有機酸と金属カチオンの組み合わせが挙げられるが、水溶性金属塩の量産性の観点から、無機酸と金属カチオンの組み合わせが好ましい。両性金属の水溶性金属塩の具体例としては、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、硫酸ガリウム、硝酸ガリウム、塩化ガリウム、クエン酸ガリウム、酒石酸ガリウム、シュウ酸ガリウム、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
本開示の研磨液組成物中における両性金属の水溶性金属塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の維持及び洗浄後の表面粗さの悪化抑制の観点から、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上、更により好ましくは0.06質量%以上である。また、本開示の研磨液組成物中における両性金属の水溶性金属塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。また、本開示の研磨液組成物中における両性金属の水溶性金属塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上7質量%以下、さらに好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である。なお、本開示において「研磨液組成物中における含有成分の含有量」とは、研磨液組成物を研磨に使用する時点での前記成分の含有量をいう(以下同じ)。したがって、本開示の研磨液組成物が濃縮物として作製された場合には、前記成分の含有量はその濃縮分だけ高くなりうる。
[シリカ砥粒]
本開示の研磨液組成物は、研磨速度向上の観点から、シリカ粒子を研磨砥粒として含有することが好ましい。本開示に使用されるシリカ粒子としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾したシリカ等のシリカが挙げられるが、一又は複数の実施形態において、研磨速度の維持及び洗浄後の表面粗さの悪化抑制の観点から、コロイダルシリカが好ましい。また、シリカ粒子の使用形態としては、一又は複数の実施形態において、スラリー状であることが好ましい。
前記コロイダルシリカは、一又は複数の実施形態において、珪酸ナトリウム等の珪酸アルカリ金属塩を原料とし、水溶液中で縮合反応させて粒子を成長させる水ガラス法で得られうる。あるいは、前記コロイダルシリカは、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランを原料とし、アルコール等の水溶性有機溶媒を含有する水溶液中で縮合反応させて成長させるアルコキシシラン法で得られうる。また、前記ヒュームドシリカは、一又は複数の実施形態において、四塩化珪素等の揮発性珪素化合物を原料とし、酸素水素バーナーによる1000℃以上の高温下で加水分解させて成長させる気相法で得られうる。
シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の維持及び洗浄後の表面粗さの悪化抑制の観点から、5nm以上200nm以下が好ましく、より好ましくは7nm以上100nm以下、さらに好ましくは9nm以上80nm以下、さらにより好ましくは10nm以上50nm以下である。ここで、シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は、実施例に記載の方法により測定される。
研磨液組成物中におけるシリカ粒子の含有量は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の維持及び洗浄後の表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは2質量%以上19質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上18質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以上16質量%以下である。
[酸]
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、研磨速度向上の観点から、酸を含有することが好ましい。使用される酸としては、無機酸及び有機酸の少なくとも一方が挙げられる。無機酸としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等が挙げられる。有機酸としては、メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、フェノールジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等の含硫黄有機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の含リン有機酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、ニトロトリ酢酸、ニトロ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、グリコール酸等の分子内に水酸基を有する有機カルボン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸等が挙げられる。一方、基板製造における排水による水質汚染の基準であるCOD値低減の観点から、無機酸の使用が好ましく、リン酸、硫酸がより好ましい。また循環研磨における研磨液の耐久性向上の観点から、多価カルボン酸、分子内に水酸基を有する有機カルボン酸、含リン無機酸及び含リン有機酸から選ばれる一種以上が好ましく、多価カルボン酸、分子内に水酸基を有する有機カルボン酸、及び含リン有機酸から選ばれる一種以上がより好ましく、さらに好ましくは多価カルボン酸、分子内に水酸基を有する有機カルボン酸である。具体的には、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸から選ばれる一種以上が好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、グリコール酸、リンゴ酸、及びクエン酸から選ばれる一種以上がより好ましく、入手容易性も考慮すると、グリコール酸、リンゴ酸、及びクエン酸から選ばれる一種以上がさらに好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
前記酸は塩の形態であってもよい。これらの酸の塩を用いる場合、特に限定はなく、具体的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。これらの中でも、研磨速度向上、粗さ低減の観点からアルカリ金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物における酸の含有量は、一又は複数の実施形態において、研磨速度向上の観点及び循環研磨における耐久性向上の観点から、0.05質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.15質量%以上である。また、前記酸の含有量は、研磨装置の腐食をさらに抑制できるため、10質量%以下が好ましく、より好ましくは7.5質量%以下、さらに好ましくは5.5質量%以下、さらにより好ましくは2質量%以下である。また、研磨液組成物における酸の含有量は、一又は複数の実施形態において、上述の観点から、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上7.5質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以上5.5質量%以下、さらにより好ましくは0.15質量%以上2質量%以下である。なお、上述の酸の含有量は、研磨液組成物中の酸が複数種類の場合、全ての酸の合計含有量を示す。
[アミン化合物]
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、洗浄後の表面粗さの低減の観点や研磨速度維持の観点、循環研磨における耐久性向上の観点、及び、ガラス基板の清浄性向上の観点から、アミン化合物を含有することが好ましく、多価アミン化合物を含有することがより好ましい。なお、本開示において清浄性とは研磨工程において基板表面に残留する物質を除去する性能を指す。研磨後に基板表面に残留する物質には、例えば砥粒、研磨中に発生する研磨クズ、研磨パッドのカス、ステンレスなどの研磨機に使用される部材などが挙げられる。
本開示の研磨液組成物に使用される多価アミン化合物中に含まれる窒素原子の数は、研磨速度を維持する観点から、10個以下が好ましく、8個以下がより好ましく、6個以下がさらに好ましく、4個以下がさらにより好ましく、洗浄工程における表面粗さの悪化を抑制する観点から、2個以上である。
本開示の研磨液組成物に使用される多価アミン化合物中に含まれる窒素原子の数は、清浄性を向上する観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。
また、前記多価アミン化合物の分子量は、研磨速度を維持する観点から、500以下が好ましく、400以下がより好ましく、300以下がさらに好ましく、200以下がさらにより好ましく、洗浄工程における表面粗さの悪化を抑制し、さらに清浄性を向上させる観点から、40以上が好ましく、60以上がより好ましく、80以上がさらに好ましく、100以上がさらにより好ましい。したがって、研磨速度を維持し、洗浄工程における表面粗さの悪化を抑制し、さらに清浄性を向上させる観点から、好ましくは40以上500以下、より好ましくは60以上400以下、さらに好ましくは80以上300以下、さらにより好ましくは100以上200以下である。研磨液組成物に含有される多価アミン化合物は、一種類でもよく、二種類以上でもよい。また、前記多価アミン化合物は、塩の形態であってもよく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、有機酸等との塩、アニオン性界面活性剤との塩が挙げられる。
前記多価アミン化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール(A−EA)、2−[メチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]エタノール、2,2′−(エチレンビスイミノ)ビスエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)−N′−(2−アミノエチル)エチレンジアミン、2,2′−(2−アミノエチルイミノ)ジエタノール、N1,N4−ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N1,N7−ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、ピペラジン、1−メチルピペラジン、3−(1−ピペラジニル)−1−プロパンアミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−メチルピペラジン−1−アミン、1−ピペラジンメタンアミン、4−エチル−1−ピペラジンアミン、1−メチル−4−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンが挙げられるが、研磨速度を維持し、洗浄工程での表面粗さの悪化を抑制し、清浄性を向上させる観点から、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンが好ましく、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミンがより好ましく、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミンがさらに好ましく、ジエチレントリアミンがさらにより好ましい。又、特に、研磨速度を維持する観点からは、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノールが好ましい。
研磨液組成物における、多価アミン化合物の含有量は、研磨速度の維持及び基板の清浄性向上の観点から、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下がさらにより好ましく、0.5質量%以下がさらにより好ましく、0.1質量%以下がさらにより好ましく、洗浄工程における表面粗さの悪化を抑制する観点、基板の清浄性向上の観点及び循環研磨における研磨液の耐久性向上の観点から、研磨液組成物における、多価アミン化合物の含有量は、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましい。したがって、研磨速度を維持し、洗浄工程における表面粗さの悪化を抑制する観点、基板の清浄性向上の観点及び循環研磨における研磨液の耐久性向上の観点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.005質量%以上4質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上3質量%以下がさらに好ましく、0.01質量%以上1質量%以下がさらにより好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下がさらにより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下がさらにより好ましい。なお、前記含有量は、研磨液組成物中の多価アミン化合物が複数種類の場合、全多価アミン化合物の合計含有量を示す。
研磨液組成物における多価アミン化合物と酸の質量比(多価アミン化合物の質量/酸の質量)は、研磨速度を維持し、洗浄工程における表面粗さの悪化を抑制する観点、清浄性の向上の観点、並びに循環研磨における耐久性向上の観点から、0.001以上1.0以下が好ましく、より好ましくは0.005以上0.5以下、さらに好ましくは0.01以上0.3以下である。
[水溶性高分子]
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、研磨速度向上の観点から、水溶性高分子を含有することが好ましく、アニオン性基を有する水溶性高分子(以下「アニオン性高分子」とも言う。)を含有することがより好ましい。
アニオン性高分子のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等が挙げられる。これらのアニオン性基は塩の形態であってもよい。アニオン性基が塩を形成する場合、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。中でも、作業性の観点からナトリウム塩が好ましい。
アニオン性高分子は、例えば、スルホン酸基を有する単量体、カルボン酸基を有する単量体等のアニオン性基を有する単量体を重合することにより得られうる。これら単量体の重合は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでもよい。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。リン酸エステル基又はホスホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルホスホン酸、メタクロイルオキシメチルリン酸、メタクロリルオキシエチルリン酸、メタクロイルオキシブチルリン酸、メタクロリルオキシヘキシルリン酸、メタクロリルオキシオクチルリン酸、メタクロリルオキシデシルリン酸、メタクロリルオキシラウリルリン酸、メタロイルオキシステアリルリン酸、メタクロイルオキシ1、4−ジメチルシクロヘキシルリン酸が挙げられる。
また、アニオン性高分子には、上記以外の単量体を用いることもできる。他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエン等の脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物が挙げられる。
アニオン性高分子としては、一又は複数の実施形態において、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(AA−AMPS)、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル/スチレンスルホン酸共重合体が挙げられるが、研磨速度の維持及び洗浄後の表面粗さの悪化抑制の観点から、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる1種以上が好ましく、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる1種以上がより好ましい。
水溶性高分子の重量平均分子量は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の維持及び洗浄後の表面粗さの悪化抑制の観点から、500以上12万以下であることが好ましく、1000以上10万以下がより好ましく、1000以上3万以下がさらに好ましく、1000以上1万以下がさらにより好ましく、1500以上8000以下がさらにより好ましい。該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて実施例に記載の方法により求めることができる。
研磨液組成物における水溶性高分子の含有量は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の維持及び洗浄後の表面粗さの悪化抑制の観点から、0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上0.5質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.2質量%以下、さらにより好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下、さらにより好ましくは0.015質量%以上0.075質量%以下、さらにより好ましくは0.02質量%以上0.075質量%以下である。
[水]
本開示の研磨液組成物は、媒体として水を含有する。水は、一又は複数の実施形態において、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。本開示の研磨液組成物中の水の含有量は、研磨液組成物の取扱いがさらに容易になるため、55質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上である。また、前記水の含有量は、研磨速度向上の観点から、99質量%以下が好ましく、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは97質量%以下である。したがって、前記媒体の含有量は、55質量%以上99質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以上98質量%以下、さらに好ましくは80質量%以上97質量%以下、さらにより好ましくは85質量%以上97質量%以下である。
[その他の成分]
本開示の研磨液組成物は、さらに、殺菌剤、抗菌剤、増粘剤、分散剤、防錆剤等を含んでもよい。これらの成分の研磨液組成物中の含有量は、研磨特性の観点から、5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
[研磨液組成物のpH]
本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度向上及び洗浄工程での表面粗さ低減の観点、循環研磨における耐久性向上の観点、研磨機の腐食防止及び作業者の安全性向上の観点から、1.0以上4.7以下であり、好ましくは1.0以上4.5未満、より好ましくは1.5以上4.3以下、さらに好ましくは1.6以上4.1以下、さらにより好ましくは1.7以上4.1以下、さらにより好ましくは1.8以上4.1以下である。なお、上記のpHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定でき、電極の研磨液組成物への浸漬後3分後の数値である。詳しくは実施例に記載の方法により求めることができる。
[研磨液組成物の調製方法]
本開示の研磨液組成物は、各成分を公知の方法で混合することにより、調製することができる。研磨液組成物は、経済性の観点から、通常、濃縮液として製造され、これを使用時に希釈する場合が多い。研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮液であれば希釈して使用すればよい。濃縮液を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、前記濃縮液における各成分の濃度(研磨材の含有量等)や研磨条件等に応じて適宜決定できる。
研磨液組成物のpHは、前記成分の混合後、所定のpHに調整してもよいし、混合前にそれぞれ調整していてもよい。pHの調整は、酸、水溶性金属塩、多価アミン化合物、及びそれら以外のpH調整剤により行うことができる。
[被研磨ガラス基板]
本開示の研磨液組成物の研磨対象である被研磨ガラス基板は、一又は複数の実施形態において、ガラスハードディスク基板の製造工程にあるガラス基板である。前記ガラス基板としては、アルミノ珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス、化学強化工程でナトリウムがカリウムに置換されたアルミノ珪酸ガラス等のSi以外の金属原子を含有するガラスが挙げられるが、研磨速度向上の観点から、アルミノ珪酸ガラス基板、及び化学強化工程でナトリウムがカリウムに置換されたアルミノ珪酸ガラスが好ましく、アルミノ珪酸ガラス基板がより好ましい。また、本発明に用いられる被研磨ガラスハードディスク基板は、一又は複数の実施形態において、水平磁気記録用基板、垂直磁気記録用基板、熱アシスト記録(HAMR)用基板のいずれにも用いることができる。
アルミノ珪酸ガラス基板は、その構成元素としてO(酸素)以外ではSiを最も多く含み、次いでAl(アルミニウム)を多く含む。通常、Siの含有量は15〜40質量%であり、Alの含有量は2〜25質量%で、他にもNa、K、Ti、Zn、S、Ca、P、B、Zr、Fe、Sr、Nb、Ba、Niなどを含むことがある。ハードディスク用として用いられる場合には、アルミノ珪酸ガラス基板は、研磨速度の向上及び基板の透明性維持の観点から、Alの含有量は、3質量%以上20質量%以下が好ましく、4質量%以上15質量%以下がより好ましい。なお、アルミノ珪酸ガラス基板中に含まれるSi及びAlの含有量は実施例に示す方法により求めることができる。
[ガラスハードディスク基板の製造方法]
一般に、ガラスハードディスク基板は、溶融ガラスの型枠プレス又はシートガラスから切り出す方法によってガラス基材を得る工程から、形状加工工程、端面研磨工程、粗研削工程、精研削工程、粗研磨工程、仕上げ研磨工程、化学強化工程を経て製造される。化学強化工程は仕上げ研磨工程の前に施しても良い。また各工程の間には洗浄工程が含まれることがある。研磨工程後のガラスハードディスク基板は、磁性膜の形成を含む記録部形成工程を経ることで磁気ディスク化されたガラスハードディスク基板となる。本開示の研磨液組成物は、仕上げ研磨工程における研磨に使用されることが好ましい。
したがって、本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を使用して被研磨ガラス基板を研磨する工程を含むガラスハードディスク基板の製造方法(以下、「本開示の基板製造方法」ともいう)に関する。
[ガラス基板の研磨工程]
本開示の基板製造方法における被研磨ガラス基板を研磨する工程は、一又は複数の実施形態において、被研磨ガラス基板の研磨対象面に本開示の研磨液組成物を供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、所定の圧力(荷重)をかけながら、研磨パッドや被研磨基板を動かすこと等によって行う工程である。上述したとおり、この工程は、ガラスハードディスク基板の研磨工程の最終工程である仕上げ研磨工程であることが好ましい。また、仕上げ研磨工程では、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を用いて循環研磨してもよい。本開示において、循環研磨とは、ガラス基板の研磨工程において、使用した研磨液を再度研磨機に投入し、研磨液を研磨機内で循環させて再利用する手法をいう。研磨後の廃液を一度全量回収してから研磨機に再投入してもよいし、廃液を回収タンクに戻しながら連続的に研磨機に再投入してもよい。
[研磨機]
ガラス基板の研磨に用いられる研磨機としては、特に制限はなく、被研磨基板を保持する冶具(キャリア:アラミド製等)と研磨布(研磨パッド)とを備える研磨機を用いることができる。中でも、両面研磨機が好適に用いられる。
[研磨パッド]
研磨パッドの材質としては、有機高分子等が挙げられ、前記有機高分子としては、ポリウレタン等が挙げられる。前記研磨パッドの形状は、不織布状が好ましい。例えば、粗研磨工程ではスウェード調のウレタン製硬質パッド、仕上げ研磨工程ではスウェード調のウレタン製軟質パッドが好適に用いられる。
研磨機を用いる研磨は、一又は複数の実施形態において、被研磨ガラス基板をキャリアで保持し研磨パッドを貼り付けた1対の研磨定盤で挟み込み、本開示の研磨液組成物を研磨パッドと被研磨基板との間に供給し、所定の圧力の下で研磨定盤及び/又は被研磨基板を動かすことにより、本開示の研磨液組成物を被研磨ガラス基板に接触させながら被研磨基板を研磨する方法が挙げられる。
被研磨ガラス基板を研磨する工程における研磨荷重は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは3kPa以上、4kPa以上がより好ましく、5kPa以上がさらに好ましく、6kPa以上がさらにより好ましい。研磨中に研磨機に振動が発生しないように安定に研磨できるという観点から、好ましくは40kPa以下、30kPa以下がより好ましく、20kPa以下がさらに好ましく、15kPa以下がさらにより好ましい。従って、研磨速度を維持し、安定に研磨できるという観点から、好ましくは3kPa以上40kPa以下、より好ましくは4kPa以上30kPa以下、さらに好ましくは5kPa以上20kPa以下、さらにより好ましくは6kPa以上15kPa以下である。ここで、「研磨荷重」とは、研磨時に被研磨基板を挟み込む定盤から被研磨ガラス基板の研磨対象面に加えられる圧力をいう。
本開示の研磨液組成物の供給方法は、予め本開示の研磨液組成物の構成成分が十分に混合された状態で研磨パッドとガラス基板の間にポンプ等で供給する方法、研磨の直前の供給ライン内等で構成成分を混合して供給する方法、シリカ粒子スラリーと両性金属の水溶性金属塩を含有する水溶液とを別々に研磨装置に供給する方法等を用いることができる。
本開示の研磨液組成物の供給速度は、コスト低減の観点及び研磨速度の向上の観点から、被研磨基板1cm2あたり0.01mL/分以上1.0mL/分以下が好ましく、より好ましくは0.025mL/分以上0.6mL/分以下、さらに好ましくは0.05mL/分以上0.4mL/分以下、さらにより好ましくは0.1mL/分以上0.4mL/分以下である。また循環研磨をする場合であれば研磨液組成物を再利用できるので供給流量は上記記載の流量よりも多くなってもよい。
[ガラス基板の洗浄工程]
本開示の基板製造方法は、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を用いた研磨が施されたガラス基板(被洗浄基板)を、上述の洗浄剤組成物を用いて洗浄する工程を含む。洗浄工程における被洗浄基板には、本開示の研磨液組成物を使用した研磨工程の直後のガラス基板や、研磨工程後に乾燥を防ぐための水等への浸漬工程、予備洗浄として水洗浄工程や酸洗浄工程等を経たガラス基板が含まれる。この洗浄工程は、一又は複数の実施形態において、(a)被洗浄基板を洗浄剤組成物に浸漬するか、及び/又は、(b)洗浄剤組成物を射出して被洗浄基板の表面上に洗浄剤組成物を供給することにより行われる。
前記方法(a)において、被洗浄基板の洗浄剤組成物への浸漬条件としては、特に制限はないが、例えば、洗浄剤組成物の温度は、安全性及び操業性の観点から20℃以上100℃以下であると好ましく、浸漬時間は、洗浄剤組成物による洗浄性と生産効率の観点から10秒以上30分以内であると好ましい。また、残留物の除去性及び残留物の分散性を高める観点から、洗浄剤組成物には超音波振動が付与されていると好ましい。超音波の周波数としては、好ましくは20kHz以上2000kHz以下であり、より好ましくは40kHz以上2000kHz以下であり、さらに好ましくは40kHz以上1500kHz以下である。
前記方法(b)では、残留物の洗浄性や油分の溶解性を促進させる観点から、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出して、被洗浄基板の表面に洗浄剤組成物を接触させて当該表面を洗浄するか、又は、洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に射出により供給し、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄することが好ましい。さらには、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出により洗浄対象の表面に供給し、かつ、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄することが好ましい。
洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に供給する手段としては、スプレーノズル等の公知の手段を用いることができる。また、洗浄用ブラシとしては、特に制限はなく、例えばナイロンブラシやPVA(ポリビニルアルコール)スポンジブラシ等の公知のものを使用することができる。超音波の周波数としては、前記方法(a)で好ましく採用される値と同様であればよい。
洗浄工程では、前記方法(a)及び/又は前記方法(b)に加えて、揺動洗浄、スピンナー等の回転を利用した洗浄、パドル洗浄等の公知の洗浄を用いる工程を1つ以上含んでもよい。
[洗浄剤組成物]
洗浄剤組成物は、アルカリ剤、水、及び必要に応じて各種添加剤を含有するものが使用できる。
[アルカリ剤]
前記洗浄剤組成物で使用されるアルカリ剤は、無機アルカリ剤及び有機アルカリ剤のうちのいずれであってもよい。無機アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウム等が挙げられる。有機アルカリ剤としては、例えば、ヒドロキシアルキルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、及びコリンからなる群より選ばれる一種以上が挙げられる。これらのアルカリ剤は、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
ヒドロキシアルキルアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン、メチルジプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等が挙げられる。なかでも、製品安定性及び環境保全性を向上させる観点から、モノエタノールアミン、メチルジエタノールアミン及びアミノエチルエタノールアミンが好ましく、モノエタノールアミン及びアミノエチルエタノールアミンがより好ましい。これらのヒドロキシアルキルアミンは単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。
前記アルカリ剤のうち、洗浄剤組成物の基板上の残留物の分散性の向上、保存安定性の向上、及び特にガラスに対するエッチング制御の容易化の観点から、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、及びアミノエチルエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
洗浄剤組成物中におけるアルカリ剤の含有量は、洗浄剤組成物の基板上の残留物に対する洗浄性を発現させ、かつ、取扱時の安全性を高める観点から、0.1質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であるとより好ましい。
洗浄剤組成物のpHは、基板上の残留物の分散性を向上させる観点から、8.0以上13.0以下であり、好ましくは9.0以上13.0以下、より好ましくは10.0以上13.0以下、さらに好ましくは11.0以上13.0以下である。なお、上記のpHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定でき、電極の洗浄剤組成物への浸漬後3分後の数値である。
[各種添加剤]
前記洗浄剤組成物には、アルカリ剤以外に、非イオン界面活性剤、キレート剤、エーテルカルボキシレート、脂肪酸、アニオン性界面活性剤、水溶性高分子、消泡剤(成分に該当する界面活性剤は除く。)、アルコール類、防腐剤、酸化防止剤等が含まれていても良い。
前記洗浄剤組成物に含まれる水以外の成分の含有量は、コスト低減や各種添加剤の充分な効果が発現される濃縮度である事と保存安定性向上との両立の観点から、水の含有量と水以外の成分の含有量の合計を100質量%とすると、好ましくは10質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上40質量%以下である。
前記洗浄剤組成物は、希釈して用いられる。希釈倍率は、洗浄効率を考慮すると、好ましくは10倍以上500倍以下、より好ましくは20倍以上200倍以下、更に好ましくは50倍以上100倍以下である。希釈用の水は、下記と同様のものでよい。
[水]
前記洗浄剤組成物に含まれる水は、溶媒としての役割を果たすことができるものであれば特に制限はなく、例えば、超純水、純水、イオン交換水、又は蒸留水等を挙げることができるが、超純水、純水、又はイオン交換水が好ましく、超純水がより好ましい。尚、純水及び超純水は、例えば、水道水を活性炭に通し、イオン交換処理し、さらに蒸留したものを、必要に応じて所定の紫外線殺菌灯を照射、又はフィルターに通すことにより得ることができる。尚、洗浄剤組成物は、溶媒として上記水に加えて水系溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)をさらに含んでいてもよいが、洗浄剤組成物に含まれる溶媒は水のみからなると好ましい。
[磁性膜の形成工程]
本開示の基板製造方法は、一又は複数の実施形態において、被研磨ガラス基板の研磨工程及び洗浄工程後のガラス基板上に磁性膜を形成する工程、或いは、磁性膜の形成を含む記録部形成工程を有してもよい。
[ガラス基板の研磨方法]
本開示は、その他の態様において、被研磨ガラス基板の研磨対象面に本開示の研磨液組成物を供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨することを含むガラス基板の研磨方法に関する。本開示の研磨方法における、研磨液組成物の供給方法、研磨条件、実施形態は、上述の研磨工程における研磨と同様とすることができる。
上述した実施形態に関し、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態にかかる組成物、製造方法、或いは用途を開示する。
<1> シリカ粒子、両性金属の水溶性金属塩、及び水を含有する、ガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<2> 研磨液組成物中における両性金属の水溶性金属塩の含有量は、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上である、<1>記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<3> 研磨液組成物中における両性金属の水溶性金属塩の含有量は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である、<1>又は<2>記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<4> 研磨液組成物中における両性金属の水溶性金属塩の含有量は、0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上7質量%以下、さらに好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である、<1>から<3>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<5> シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は、5nm以上200nm以下が好ましく、より好ましくは7nm以上100nm以下、さらに好ましくは9nm以上80nm以下、さらにより好ましくは10nm以上50nm以下である、<1>から<4>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<6> 研磨液組成物中におけるシリカ粒子の含有量は、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは2質量%以上19質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上18質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以上16質量%以下である、<1>から<5>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<7> 両性金属の水溶性金属塩が、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、鉛(Pb)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属の水溶性金属塩である、<1>から<6>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<8> さらに酸を含有する、<1>から<7>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<9> 酸が、無機酸、有機酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸である、<8>記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<10> さらにアミン化合物及び水溶性高分子の少なくとも一方を含有する、<1>から<9>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<11> アルミノ珪酸ガラス基板を研磨するための、<1>から<10>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<12> ガラス基板が熱アシスト記録(HAMR)用アルミノ珪酸ガラス基板である、<1>から<11>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
<13> <1>から<12>のいずれかに記載の研磨液組成物を使用して被研磨ガラス基板を研磨する工程を含む、ガラスハードディスク基板の製造方法。
<14> さらに、前記研磨工程の後のガラス基板を、洗浄剤組成物を用いて洗浄する工程を含む、<13>記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<15> さらに、ガラス基板上に磁性膜を形成する工程を含む、<13>又は<14>に記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<16> 被研磨ガラス基板の研磨対象面に<1>から<12>のいずれかに記載の研磨液組成物を供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨ガラス基板の少なくとも一方を動かして研磨することを含む、ガラス基板の研磨方法。
<17> 前記研磨液組成物を循環使用して被研磨ガラス基板を研磨する工程を含む、<16>記載のガラス基板の研磨方法。
[実施例1〜36及び比較例1〜14]
1.被研磨ガラス基板の調製
セリア砥粒を含有する研磨液組成物であらかじめ粗研磨したアルミノ珪酸ガラス基板を被研磨ガラス基板として用意した。基板中に含まれる構成元素は、Siの含有量は20質量%、Alの含有量は5質量%であった。構成元素は、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)法を用い以下の測定条件で測定した。
〔ESCA測定条件〕
・試料作製
アルミノ珪酸ガラス基板を1cm×1cmに切断し、カーボン製両面テープ上に乗せ固定した。表面のゴミ等を除くためにArスパッタを加速電圧2kVで6分間かけ、ESCA測定を実施した。
・測定
機器:アルバックファイ製 PHI Quantera SXM
X線源:単色化AlKα線、1486.6eV、25W、15kV
ビーム径:100μm
X線入射角:45°
測定範囲:500×500(μm2
Pass energy:280.0(survey)、140.0eV(narrow)
Step size:1.00(survey)、0.250eV(narrow)
測定元素:C,N,O,Na,Mg,Al,Si,S,K,Ti,Zr,Nb
帯電補正:Neutralizer及びAr+照射
2.研磨液組成物の調製
イオン交換水に下記表1に示す有機酸(クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、又は酒石酸のいずれか、和光純薬工業社製、1.0質量%)を添加した後、下記の添加剤を下記表1の添加量になるように添加し、さらにコロイダルシリカ(平均粒子径:25nm)を研磨液組成物中8質量%になるよう添加し、硫酸(和光純薬工業社製)を用いてpHを1.9に調整して実施例1〜27及び比較例1〜5の研磨液組成物を得た。
また、イオン交換水に下記の添加剤を下記表2〜4の添加量になるように添加し、さらにコロイダルシリカ(平均粒子径:25nm)を研磨液組成物中8質量%になるよう添加し、下記表2〜4記載の有機酸(クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、又は酒石酸のいずれか、和光純薬工業社製)を用いて所定のpHに調整して実施例28〜36及び比較例6〜14の研磨液組成物を得た。
〔添加剤〕
実施例1〜6、25〜36:硫酸亜鉛7水和物(和光純薬工業社製)
実施例7:硝酸亜鉛(和光純薬工業社製)
実施例8:塩化亜鉛(和光純薬工業社製)
実施例9〜14:硝酸ガリウム(ナカライテスク社製)
実施例15:硫酸ガリウム(高純度化学研究所製)
実施例16:塩化ガリウム(和光純薬工業社製)
実施例17:クエン酸亜鉛2水和物(三津和化学薬品社製)
実施例18:クエン酸ガリウムn水和物(三津和化学薬品社製)
実施例19:酒石酸亜鉛(関東化学社製)
実施例20:シュウ酸亜鉛2水和物(関東化学社製)
実施例21:硫酸亜鉛7水和物(和光純薬工業社製)+硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)
実施例22:硫酸亜鉛7水和物(和光純薬工業社製)+硫酸マグネシウム(和光純薬工業社製)
実施例23:硫酸亜鉛7水和物(和光純薬工業社製)+AA−AMPS[アクリル酸/アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(共重合モル比89/11、重量平均分子量2,000、東亞合成社製)]
実施例24:硫酸亜鉛7水和物(和光純薬工業社製)+A−EA[2−アミノエチルエタノールアミン、日本乳化剤社製]
比較例1:なし
比較例2:硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)
比較例3:硫酸マグネシウム(和光純薬工業社製)
比較例4:AA−AMPS[アクリル酸/アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(共重合モル比89/11、重量平均分子量2,000、東亞合成社製)]
比較例5:A−EA[2−アミノエチルエタノールアミン、日本乳化剤社製]
〔シリカ粒子の一次粒子平均粒子径の測定方法〕
コロイダルシリカを含む試料を、透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍、日本電子社製)により当該製造業者が添付した説明書に従って試料を観察し、TEM(Transmission Electron Microscope)像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて、個々のシリカ粒子の円相当径を計測し、粒子径を求めた。このようにして、1000個のシリカ粒子の粒子径を求めた後、これらの平均値を算出し、この平均値を一次粒子の平均粒子径とした。
〈重合平均分子量の測定〉
水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を下記の条件で適用して得たクロマトグラム中のピークに基づき算出した。
装置:HLC−8320 GPC(東ソー株式会社製、検出器一体型)
カラム:TSKgel α−M+TSKgel α−M(カチオン、東ソー株式会社製)
溶離液:エタノール/水(=3/7)に対して、LiBr(50mmol/L(0.43質量%))、CH3COOH(166.7mmol/L(1.0質量%))を添加
流量:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
標準物質:ポリエチレングリコール
3.研磨方法
実施例1〜36、比較例1〜14の研磨液組成物を用いた研磨は、下記の標準研磨試験の条件で行った。
〔研磨条件〕
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:スウェードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径30μm、材質:発泡ウレタン)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:約0.3mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:8.4kPa
キャリア:アラミド製、厚さ0.45mm
研磨時間:20分
被研磨基板:アルミノ珪酸ガラス基板(外径65mm、内径20mm、厚さ0.635mm)
投入基板枚数:10枚
リンス条件:荷重=2.0kPa、時間=2分、イオン交換水供給量=約2L/分
研磨後の基板を下記洗浄条件で洗浄し評価を実施した。
4.洗浄方法
研磨したアルミノ珪酸ガラス基板を、洗浄装置にて以下の条件で洗浄した。
(1)洗浄−1:KOH水溶液からなるpH12.0のアルカリ性洗浄剤組成物を入れた樹脂槽(40℃)に被洗浄基板を浸漬し、超音波を照射しながら120秒間洗浄する。
(2)すすぎ−1:被洗浄基板を、超純水を入れた樹脂槽(40℃)に移し、超音波(120kHz)を照射しながら120秒間すすぎを行う。
(3)再度(1)と(2)を繰り返す。
(4)洗浄−2:樹脂槽内から被洗浄基板を、洗浄ブラシがセットされたスクラブ洗浄ユニットに移し、洗浄ブラシに常温の洗浄剤組成物を射出し、該洗浄剤組成物の存在下で洗浄ブラシを該基板の両面に400rpmで回転させながら押し当てることにより、洗浄を5秒間行う。洗浄剤組成物には、「(1)洗浄−1」で用いた洗浄剤組成物と同組成のものを用いる。
(5)すすぎ−2:次のスクラブ洗浄ユニットに被洗浄基板を移し、常温の超純水を射出し、洗浄ブラシを該基板の両面に400rpmで回転させながら押し当てることにより、すすぎを5秒間行う。
(6)再度(4)と(5)を繰り返す。
(7)すすぎ−3:超純水を入れた樹脂槽に移し、10分間すすぎを行う。
(8)乾燥:温純水(60℃)を入れた樹脂槽に移し、60秒間浸漬した後、250mm/分の速度で被洗浄基板を引き上げ、420秒間放置し、完全に基板表面を乾燥させる。
5.評価方法
研磨速度、及び表面粗さの評価は、以下のように行った。
〔研磨速度の測定方法〕
研磨前後の基板の質量差(g)を該基板の密度(2.46g/cm3)、基板の表面積(30.04cm2)、及び研磨時間(分)で除した単位時間当たりの研磨量を計算し、研磨速度(μm/分)を算出した。実施例1〜実施例27及び比較例1〜5の研磨速度については、下記表1に、比較例1を100とした相対値として示す。実施例28〜31及び比較例6〜9の研磨速度については、下記表2に、比較例6を100とした相対値として示す。実施例32〜33及び比較例10〜11の研磨速度については、下記表3に、比較例10を100とした相対値として示す。実施例34〜36及び比較例12〜14の研磨速度については、比較例12を100とした相対値として示す。
〔表面粗さの測定方法〕
前述の研磨方法により得られた同じ研磨処理を施した基板10枚のうち、無作為に3枚選択し、洗浄剤組成物を用いた洗浄を行い、それぞれの表面粗さを測定した。表面粗さは、各々の基板の両面を、以下に示す条件にて、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)を用いて測定し、平均値を算出した。実施例1〜27及び比較例1〜5の表面粗さ(AFM−Ra)については、下記表1に、比較例1を100とした相対値として示す。実施例28〜31及び比較例6〜9の表面粗さ(AFM−Ra)については、下記表2に、比較例6を100とした相対値として示す。実施例32〜33及び比較例10〜11の表面粗さ(AFM−Ra)については、下記表3に、比較例10を100とした相対値として示す。実施例34〜36及び比較例12〜14の表面粗さ(AFM−Ra)については、比較例12を100とした相対値として示す。
(AFMの測定条件)
Mode: Tapping mode
Area: 1×1μm
Scan rate: 1.0Hz
Cantilever: NCH−10V
Line: 512×512
Figure 2015109128
Figure 2015109128
Figure 2015109128
Figure 2015109128
上記表1〜4に示すとおり、実施例1〜36の研磨液組成物は、比較例1〜14に比べて優れた研磨速度が維持され、かつ、洗浄後の基板表面の表面粗さの悪化が抑制された。

Claims (12)

  1. シリカ粒子、両性金属の水溶性金属塩、及び水を含有する、ガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  2. 両性金属の水溶性金属塩が、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、鉛(Pb)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属の水溶性金属塩である、請求項1記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  3. さらに酸を含有する、請求項1又は2に記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  4. 酸が、無機酸、有機酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸である、請求項3記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  5. さらにアミン化合物及び水溶性高分子の少なくとも一方を含有する、請求項1から4のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  6. アルミノ珪酸ガラス基板を研磨するための、請求項1から5のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  7. ガラス基板が熱アシスト記録用アルミノ珪酸ガラス基板である、請求項1から6のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の研磨液組成物を使用して被研磨ガラス基板を研磨する工程を含む、ガラスハードディスク基板の製造方法。
  9. さらに、前記研磨工程の後のガラス基板を、洗浄剤組成物を用いて洗浄する工程を含む、請求項8記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
  10. さらに、ガラス基板上に磁性膜を形成する工程を含む、請求項8又は9に記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
  11. 被研磨ガラス基板の研磨対象面に請求項1から7のいずれかに記載の研磨液組成物を供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨ガラス基板の少なくとも一方を動かして研磨することを含む、ガラス基板の研磨方法。
  12. 前記研磨液組成物を循環使用して被研磨ガラス基板を研磨する工程を含む、請求項11記載のガラス基板の研磨方法。
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