JP2014032718A - 磁気ディスク基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上の突起欠陥を低減できる磁気ディスク基板の製造方法の提供。
【解決手段】(1)アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを用いて被研磨基板の研磨対象面を研磨する工程、(2)工程1で得られた基板をリンス処理する工程、(3)シリカ粒子、及び水を含有する研磨液組成物Bを用いて工程2で得られた基板の研磨対象面を研磨する工程、(4)工程3で得られた基板を洗浄する工程、及び、(5)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物C用いて工程4で得られた基板の研磨対象面を研磨する工程を有し、前記工程1〜3を同一の研磨機で行い、前記工程5を前記研磨機とは別の研磨機で行い、リンス処理の研磨荷重は工程1の研磨荷重の30%以上150%以下であり、リンス処理に用いるリンス液組成物のpHは0.5以上12.5以下であり、リンス処理の時間は120秒未満である、磁気ディスク基板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気ディスク基板の製造方法及び磁気ディスク基板の研磨方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するためには、単位記録面積を縮小し、弱くなる磁気信号の検出感度を向上させる必要があり、そのため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板は、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、平滑性及び平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)や表面欠陥低減(残留砥粒、スクラッチ、突起、ピット等の低減)が厳しく要求されている。
このような要求に対して、より平滑で、傷が少ないといった表面品質向上と生産性の向上を両立させる観点から、ハードディスク基板の製造方法においては、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式が採用されることが多い(例えば、特許文献1〜2)。一般に、多段研磨方式の最終研磨工程、即ち、仕上げ研磨工程では、表面粗さの低減、スクラッチ、突起、ピット等の傷の低減という要求を満たすために、コロイダルシリカ粒子を含む仕上げ用研磨液組成物が使用され、仕上げ研磨工程より前の研磨工程(粗研磨工程ともいう)では、生産性向上の観点から、アルミナ粒子を含む研磨液組成物が使用される。
アルミナ粒子を砥粒として使用した場合、アルミナ粒子の基板への突き刺さりに起因するテキスチャースクラッチによって、メディアの欠陥を引き起こすことがある。このような問題を解決するために、平均二次粒子径が0.1〜0.7μmの酸化アルミニウム粒子(アルミナ粒子)及び酸を含有する研磨液組成物を用いて、所定の研磨荷重で基板を研磨する粗研磨工程、並びにコロイダル粒子を含有する研磨液組成物を用いて、粗研磨工程で得られた基板を所定の研磨量で研磨する仕上げ研磨工程を有する磁気ディスク基板の製造方法が提案されている。また、粗研磨工程において同一研磨機でアルミナ含有研磨液組成物を使用した研磨と、コロイダルシリカ含有研磨液組成物を使用した研磨を行う研磨方法が開示されている(特許文献3)。さらに、アルミナ含有研磨液組成物を使用した研磨とコロイダルシリカ含有研磨液組成物を使用した研磨との間に砥粒を含まない洗浄液を供給する研磨方法も開示されている(特許文献4)。
特開昭62−208869号公報 特開2006−95677号公報 特開2012−25873号公報 特開2012−43493号公報
磁気ディスクドライブの大容量化に伴い、基板の表面品質に対する要求特性はさらに厳しくなっており、磁気ディスク基板の製造工程において、アルミナ粒子の基板への残留(例えば、アルミナ突き刺さりや突起欠陥)をさらに低減することが求められている。
そこで、本発明は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減することができる磁気ディスク基板の製造方法を提供する。
本発明は、一態様において、下記(1)〜(5)の工程を有する磁気ディスク基板の製造方法(以下「本発明の基板製造方法」とも言う。)に関する。本発明の基板製造方法において、下記工程(1)〜(3)を同一の研磨機で行う。下記工程(5)を前記研磨機とは別の研磨機で行う。下記リンス処理の研磨荷重は工程(1)の研磨荷重の30%以上150%以下である。下記リンス処理に用いるリンス液組成物のpHは0.5以上12.5以下である。また、下記リンス処理の時間は120秒未満である。
(1)アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程(以下「工程(1)」とも言う)、
(2)工程(1)で得られた基板をリンス処理する工程(以下「工程(2)」とも言う)、
(3)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Bを工程(2)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程(以下「工程(3)」とも言う)、
(4)工程(3)で得られた基板を洗浄する工程(以下「工程(4)」とも言う)、
(5)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Cを工程(4)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程(以下「工程(5)」とも言う)。
本発明は、その他の態様において、下記(1)〜(5)の工程を有する磁気ディスク基板の研磨方法(以下「本発明の研磨方法」とも言う。)に関する。本発明の研磨方法において、下記工程(1)〜(3)を同一の研磨機で行う。下記工程(5)を前記研磨機とは別の研磨機で行う。下記リンス処理の研磨荷重は工程(1)の研磨荷重の30%以上150%以下である。下記リンス処理に用いるリンス液組成物のpHは0.5以上12.5以下である。また、下記リンス処理の時間は120秒未満である。
(1)アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、
(2)工程(1)で得られた基板をリンス処理する工程、
(3)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Bを工程(2)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、
(4)工程(3)で得られた基板を洗浄する工程、
(5)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Cを工程(4)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程。
本発明によれば、粗研磨工程(工程(1)〜工程(3))後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程(工程(5))後の基板上の突起欠陥が低減され基板品質が向上した基板を生産性よく製造できるという効果が奏されうる。
本発明は、粗研磨工程と仕上げ研磨工程とを含む磁気ディスク基板の製造方法において、前記粗研磨工程を、同一の研磨機において、アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを用いる第1の粗研磨と、第1の粗研磨後のリンス処理と、前記リンス処理後のシリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Bを用いる第2の粗研磨とをこの順で含む構成において前記リンス処理を所定の条件で行うことにより、粗研磨後の基板上のアルミナ突き刺さりを低減できるという知見に基づく。また、本発明は、前記粗研磨後の基板を洗浄した後に、シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Cを用いる仕上げ研磨をすることにより、仕上げ研磨後の基板上の突起欠陥を低減できるという知見に基づく。
本明細書において「アルミナ突き刺さり」とは、アルミナ粒子を研磨材として使用した研磨後の前記アルミナ粒子の基板への突き刺さりをいう。また、本明細書において「突起欠陥」とは、基板上に残留するアルミナなどの研磨粒子や、研磨中に発生する研磨屑をいう。アルミナ突き刺さり数及び/又は突起欠陥数は、例えば、研磨後に得られる基板表面の顕微鏡観察、走査型電子顕微鏡観察、表面欠陥検査装置により評価することができる。
本発明の基板製造方法を用いることにより粗研磨工程後のアルミナ突き刺さりが少なく、仕上げ研磨工程後の突起欠陥を効果的に低減できる理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように推定している。シリカ粒子を含有する研磨液組成物を用いた第2の粗研磨工程(3)において、研磨切削時の摩擦力が上昇する。このとき、基板に突き刺さったアルミナ粒子の効率的な引き抜きが起こる一方で、研磨パッドの凹部等に浮遊する残留アルミナが、シリカ粒子使用による摩擦力の上昇により新たなアルミナの突き刺さりを起こすと考えられる。しかし、本発明の基板製造方法では、所定の研磨パッドの荷重条件下、所定のpH条件で行う工程(2)の中間リンスによって、残留アルミナの分散性が助長され基板へのアルミナの付着量が減少し、工程(3)へのアルミナ粒子の持ち込み量を低減しておくことによって、工程(3)開始時より工程(3)での機械力によるアルミナ突き刺さりの頻度をより低減されると推定される。さらに、粗研磨した基板の洗浄(工程(4))後に工程(5)を行うことで、仕上げ研磨工程へのアルミナ粒子の持ち込み量が少なくなり、突起欠陥が低減されると推定される。但し、本発明はこれらのメカニズムに限定されない。
以下に、本発明の基板製造方法を説明する。一般に、磁気ディスクは、精研削工程を経たガラス基板やNi−Pメッキ工程を経たアルミニウム合金基板を、粗研磨工程及び仕上げ研磨工程にて研磨した後、記録部形成工程にて磁気ディスク化することにより製造される。
[被研磨基板]
本発明の基板製造方法における被研磨基板は磁気ディスク基板又は磁気ディスクに用いられる基板であり、例えば、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板が挙げられる。中でも、本発明で使用される被研磨基板としては、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板が好ましい。
上記被研磨基板の形状には特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状であればよい。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2〜95mm程度であり、その厚みは例えば0.5〜2mm程度である。
[工程(1):第1の粗研磨]
本発明の基板製造方法は、アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程(工程(1))を有する。工程(1)で使用される研磨機としては、特に限定されず、磁気ディスク基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
[工程(2):中間リンス処理]
粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、本発明の基板製造方法は、前記工程(1)の後に、同一の研磨機において、前記工程(1)で得られた基板をリンス処理する中間リンス処理工程(工程(2))を有する。中間リンス処理は、生産性の観点から、前記工程(1)で使用した研磨機から被研磨基板を取り出すことなく、同じ研磨機内で行うことが好ましい。工程(2)は、具体的には、リンス液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面をリンス処理することを含みうる。なお、工程(1)と(3)との間には後述する洗浄工程(4)のような洗浄工程は有さないことが好ましい。なお、本明細書において「リンス処理」とは、基板表面に残留した砥粒、研磨屑を排出することを目的とした処理をいい、基板表面を平坦化するために、基板表面を溶解しながら砥粒で削る(化学機械研磨)研磨処理とは異なる処理をいう。
[工程(2):中間リンス処理における研磨荷重]
工程(2)の中間リンス処理における研磨荷重は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、後述する工程(1)における粗研磨の研磨荷重の30%以上150%以下の研磨荷重である。中間リンス処理における研磨荷重は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、工程(1)における粗研磨の研磨荷重の100%以下が好ましく、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは85%以下、さらにより好ましくは75%以下、さらにより好ましくは65%以下である。また、中間リンス処理における研磨荷重は、同様の観点から、工程(1)における粗研磨の研磨荷重の40%以上が好ましく、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは55%以上である。中間リンス処理における研磨荷重は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、工程(1)における粗研磨の研磨荷重の30%〜150%であり、40%〜100%の研磨荷重が好ましく、より好ましくは40%〜90%、さらに好ましくは40%〜85%、さらにより好ましくは40%〜75%、さらにより好ましくは45%〜65%、さらにより好ましくは55%〜65%である。研磨荷重を上記範囲内に設定することでアルミナ粒子の基板への押し込みが抑制され、効果的にアルミナ突き刺さりが低減されると考えられる。
[工程(2):中間リンス処理に用いるリンス液組成物]
工程(2)の中間リンス処理に用いるリンス液組成物は水を含有する。リンス液組成物における水としては、特に制限されないが、製造コストの点からは蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等の水が使用され得る。リンス液組成物のpHは、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.5以上12.5以下であり、酸性又はアルカリ性であることが好ましく、アルカリ性であることがより好ましい。
酸性リンス液組成物のpHとしては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.5以上であり、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.5以上である。酸性リンス液組成物のpHは、同様の観点から、6.0以下が好ましく、より好ましくは5.5以下、さらに好ましくは5.0以下、さらにより好ましくは4.5以下である。また、酸性リンス液組成物のpHは、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.5〜6.0が好ましく、より好ましくは1.5〜5.5、さらに好ましくは2.5〜5.0、さらにより好ましくは3.5〜4.5である。酸性リンス液組成物は、一又は複数の実施形態において、所定pHまで、無機酸もしくは有機酸を添加して調製されうる。
アルカリ性リンス液組成物のpHとしては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、8.0以上が好ましく、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは10.0以上、さらにより好ましくは11.0以上である。アルカリ性リンス液組成物のpHは、同様の観点から、12.5以下であり、好ましくは12.0以下である。また、アルカリ性リンス液組成物のpHは、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、8.0〜12.5が好ましく、より好ましくは9.0〜12.5、さらに好ましくは10.0〜12.0、さらにより好ましくは11.0〜12.0である。アルカリ性リンス液組成物は、一又は複数の実施形態において、所定pHまで、無機塩基もしくは有機塩基を添加して調製されうる。
[工程(2):リンス液組成物の供給速度]
工程(2)におけるリンス液の供給速度は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、被研磨基板1cm2あたり0.25mL/分以上が好ましく、より好ましくは0.8mL/分以上、さらに好ましくは1mL/分以上であり、また、同様の観点から、被研磨基板1cm2あたり4mL/分以下が好ましく、より好ましくは2.5mL/分以下、さらに好ましくは2mL/分以下である。なお、工程(2)におけるリンス液組成物を研磨機へ供給する方法は、後述する研磨液組成物Aを研磨機へ供給する方法と同様に行うことができる。
[工程(2):中間リンス処理の処理時間]
本明細書において、中間リンス処理の処理時間とは、リンス液組成物の供給時間をいう。中間リンス処理の処理時間は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点及び生産性の観点から、120秒未満であって、好ましくは100秒以下、さらに好ましくは90秒以下、さらにより好ましくは80秒以下、さらにより好ましくは70秒以下、さらにより好ましくは65秒以下である。中間リンス処理の処理時間は、同様の観点から、好ましくは10秒以上、より好ましくは10秒を超える時間、さらに好ましくは15秒以上、さらにより好ましくは20秒以上、さらにより好ましくは30秒以上、さらにより好ましくは35秒以上である。また、中間リンス処理の処理時間は、10秒以上120未満が好ましく、より好ましくは10秒を超え100秒以下、さらに好ましくは15〜90秒、さらにより好ましくは20〜80秒、さらにより好ましくは30〜70秒、さらにより好ましくは35〜65秒である。
[工程(2):中間リンス処理工程における被研磨基板の線速度]
本発明において、工程(2)中間リンス処理工程における被研磨基板の線速度とは、定盤と基板の相対的な平均移動速度を算出し、これを線速度とした。中間リンス処理工程における被研磨基板の線速度は、0.20m/sec以上が好ましく、0.30m/sec以上がより好ましく、0.50m/sec以上がさらに好ましく、0.60m/sec以上がさらにより好ましく、また、同様の観点から、1.00m/sec以下が好ましく、0.90m/sec以下がより好ましく、0.80m/sec以下がさらに好ましく、0.75m/sec以下がさらにより好ましい。
[工程(2):リンス液組成物の添加物]
リンス液組成物は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点及び生産性の観点から、アニオン性重合体を含有することが好ましい。
[リンス液組成物:アニオン性重合体]
リンス液組成物に用いられるアニオン性重合体は、本明細書においては、アニオン性基を有する重合体のことをいう。アニオン性重合体は、研磨時に研磨パッドに吸着して、研磨パッド表面に水和層を形成し、研磨パッドの振動を抑制するとともに、さらにアルミナ粒子の分散性を向上させて、アルミナの突き刺さりを抑制すると考えられる。なお、該アニオン性重合体は水溶性である。ここで「水溶性」とは、20℃の水100gに対する溶解度が2g以上であることをいう。
アニオン性重合体のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等が挙げられる。これらのアニオン性基は塩の形態であってもよい。アニオン性重合体は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性重合体が好ましい。
アニオン性基が塩を形成する場合、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの中でも、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、1A、3B、又は8族に属する金属やアンモニウムが好ましく、1A族に属する金属、アンモニウムがより好ましく、アンモニウム、ナトリウム及びカリウムがさらに好ましい。
アニオン性重合体は、例えば、スルホン酸基を有する単量体、カルボン酸基を有する単量体等のアニオン性基を有する単量体を重合することにより得られうる。これら単量体の重合は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでもよいが、ランダムが好ましい。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。リン酸エステル基又はホスホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルホスホン酸、メタクロイルオキシメチルリン酸、メタクロリルオキシエチルリン酸、メタクロイルオキシブチルリン酸、メタクロリルオキシヘキシルリン酸、メタクロリルオキシオクチルリン酸、メタクロリルオキシデシルリン酸、メタクロリルオキシラウリルリン酸、メタロイルオキシステアリルリン酸、メタクロイルオキシ1、4−ジメチルシクロヘキシルリン酸が挙げられる。
また、アニオン性重合体には、上記以外の単量体を用いることもできる。他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエン等の脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物が挙げられる。
アニオン性重合体の好ましい具体例としては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、マレイン酸/スチレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル/スチレンスルホン酸共重合体が挙げられるが、同様の観点から、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸、マレイン酸/スチレンスルホン酸共重合体、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる1種以上が好ましく、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる1種以上がより好ましい。
アニオン性重合体が(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体である場合、共重合体を構成する全構成単位中に占める2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸由来の構成単位の含有率は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、5モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、さらにより好ましくは40モル%以上であり、また、同様の観点から、98モル%以下が好ましく、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下、さらにより好ましくは50モル%以下である。また、(メタ)アクリル酸と2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との重合モル比((メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)は、同様の観点から、95/5〜2/98が好ましく、より好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜40/60、さらにより好ましくは60/40〜50/50である。
また、アニオン性重合体が、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体である場合、共重合体を構成する全構成単位中に占めるスチレンスルホン酸由来の構成単位の含有率は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、20モル%以上が好ましく、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上、さらにより好ましくは50モル%以上であり、また、同様の観点から、95モル%以下が好ましく、より好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは75モル%以下、さらにより好ましくは70モル%以下である。また、スチレンとスチレンスルホン酸との重合モル比(スチレン/スチレンスルホン酸)は、同様の観点から、80/20〜5/95が好ましく、より好ましくは70/30〜15/85、さらに好ましくは60/40〜25/75、さらにより好ましくは50/50〜30/70である。
アニオン性重合体の重量平均分子量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、500以上であることが好ましく、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは2000以上、さらにより好ましくは2500以上であり、また、同様の観点から、10万以下であることが好ましく、より好ましくは5万以下、さらに好ましくは3万以下、さらにより好ましくは2万以下である。該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて実施例に記載の方法により求めることができる。
リンス液組成物におけるアニオン性重合体の含有量は、特に限定されないが具体的な実施形態としては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点及び生産性の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.010質量%以上がさらに好ましく、また、同様の観点から、0.500質量%以下が好ましく、0.200質量%以下がより好ましく、0.100質量%以下がさらに好ましく、0.075質量%以下がさらにより好ましく、0.050質量%以下がさらにより好ましい。
[工程(3):第2の粗研磨]
本発明の基板製造方法は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Bを中間リンス処理工程(2)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程(工程(3))を有する。
生産性向上の観点、並びに、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、工程(1)〜(3)は、同一の研磨機で行う。
[工程(4):洗浄]
本発明の基板製造方法は、工程(3)で得られた基板を洗浄する工程(工程(4))を有する。工程(4)の洗浄は、前記粗研磨工程(工程(1)〜(3))が施された基板を、洗浄剤組成物を用いて洗浄することが好ましい。工程(4)における洗浄方法としては、例えば、(a)工程(3)で得られた基板を後述する洗浄剤組成物に浸漬する方法、及び/又は、(b)洗浄剤組成物を射出して前記基板の表面上に洗浄剤組成物を供給する方法が挙げられる。
前記方法(a)において、基板の洗浄剤組成物への浸漬条件としては、特に制限はないが、例えば、洗浄剤組成物の温度は、安全性及び操業性の観点から20〜100℃であると好ましく、20〜60℃であるとより好ましく、浸漬時間は、洗浄剤組成物による洗浄性と生産効率の観点から10秒〜30分間であると好ましく、2〜20分間であるとより好ましい。また、残留物の除去性及び残留物の分散性を高める観点から、洗浄剤組成物には超音波振動が付与されていると好ましい。超音波の周波数としては、好ましくは20〜2000kHz、より好ましくは30〜1800kHz、さらに好ましくは40〜1500kHzである。
前記方法(b)では、残留物の洗浄性や油分の溶解性を促進させる観点から、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出して、基板の表面に洗浄剤組成物を接触させて当該表面を洗浄するか、又は、洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に射出することにより供給し、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄することが好ましい。さらには、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出することにより洗浄対象の表面に供給し、かつ、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄することが好ましい。
洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に供給する手段としては、スプレーノズル等の公知の手段を用いることができる。また、洗浄用ブラシとしては、特に制限はなく、例えばナイロンブラシやPVA(ポリビニルアルコール)スポンジブラシ等の公知のものを使用することができる。超音波の周波数としては、前記方法(a)で好ましく採用される値と同様であればよい。
工程(4)では、前記方法(a)及び/又は前記方法(b)に加えて、揺動洗浄、スピンナー等の回転を利用した洗浄、パドル洗浄等の公知の洗浄を用いる工程を1つ以上含んでもよい。
[工程(5):仕上げ研磨]
本発明の基板製造方法は、シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Cを工程(4)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程(工程(5))を有する。
工程(5)で使用される研磨機は、仕上げ研磨工程へのアルミナの持ち込みを防止する観点から、工程(1)〜(3)で用いた研磨機とは別個の研磨機である。
本発明の基板製造方法は、前述の、第1の粗研磨工程(1)、中間リンス処理工程(2)、第2の粗研磨工程(3)、洗浄工程(4)、及び、仕上げ研磨工程(5)を含むことにより、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥が低減した基板を製造することができる。
[工程(1)〜(3)の研磨パッド]
工程(1)〜(3)の粗研磨工程で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度向上の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。スエードタイプの研磨パッドは、ベース層とベース層に垂直な紡錘状気孔を有する発泡層から構成される。ベース層の材質としては、綿等の天然繊維や合成繊維からなる不織布、スチレンブタジエンゴム等のゴム状物質を充填して得られるベース層等があげられるが、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を効果的に低減する観点から、ポリエステルフィルムが好ましく、高硬度な樹脂フィルムが得られるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがより好ましい。また、発泡層の材質としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルや、天然ゴム、合成ゴム等があげられるが、圧縮率等の物性のコントロール性や、研磨時の耐摩耗性向上の観点から、ポリウレタンが好ましく、ポリウレタンエラストマーがより好ましい。
また、工程(1)〜(3)で使用される研磨パッドの平均気孔径は、研磨速度向上の観点から、10μm以上が好ましく、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上、さらにより好ましくは35μm以上であり、また、同様の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは55μm以下である。
[工程(1)における研磨荷重]
本明細書において、研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力を意味する。工程(1)における研磨荷重は、アルミナ突き刺さりを低減する観点から、25kPa以下が好ましく、より好ましくは20kPa以下、さらに好ましくは15kPa以下、さらにより好ましくは11kPa以下である。また、前記研磨荷重は、研磨速度の向上の観点から、3kPa以上が好ましく、より好ましくは5kPa以上、さらに好ましくは7kPa以上、さらにより好ましくは9kPa以上である。また、前記研磨荷重は、好ましくは3〜25kPa、より好ましくは5〜20kPa、さらに好ましくは7〜15kPa、さらにより好ましくは9〜11kPaである。前記研磨荷重の調整は、定盤や基板等への空気圧や重りの負荷によって行うことができる。
また、工程(1)における研磨荷重は、アルミナ突き刺さりを低減する観点から、255g重/cm2以下が好ましく、より好ましくは204g重/cm2以下、さらに好ましくは153g重/cm2以下、さらにより好ましくは112g重/cm2以下である。また、前記研磨荷重は、研磨速度の向上の観点から、31g重/cm2以上が好ましく、より好ましくは51g重/cm2以上、さらに好ましくは71g重/cm2以上、さらにより好ましくは92g重/cm2以上である。また、前記研磨荷重は、好ましくは31〜255g重/cm2、より好ましくは51〜204g重/cm2、さらに好ましくは71〜153g重/cm2、さらにより好ましくは92〜112g重/cm2である。
[工程(1)における研磨量]
工程(1)における、被研磨基板の単位面積(1cm2)あたりの研磨量は、メッキ欠陥を低減する観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.4mg以上が好ましく、より好ましくは0.6mg以上、さらに好ましくは0.8mg以上である。一方、生産性向上の観点からは、2.6mg以下が好ましく、より好ましくは2.1mg以下、さらに好ましくは1.7mg以下である。また、前記研磨量は、好ましくは0.4〜2.6mg、より好ましくは0.6〜2.1mg、さらに好ましくは0.8〜1.7mgである。
[研磨液組成物Aの供給速度]
工程(1)における研磨液組成物Aの供給速度は、経済性の観点から、被研磨基板1cm2あたり0.25mL/分以下が好ましく、0.20mL/分以下がより好ましく、0.15mL/分以下がさらに好ましい。また、前記供給速度は、研磨速度の向上の観点から、被研磨基板1cm2あたり0.01mL/分以上が好ましく、0.025mL/分以上がより好ましく、0.05mL/分以上がさらに好ましい。また、前記供給速度は、被研磨基板1cm2あたり0.01〜0.25mL/分が好ましく、0.025〜0.2mL/分がより好ましく、0.05〜0.15mL/分がさらに好ましい。
[研磨液組成物Aを研磨機へ供給する方法]
研磨液組成物Aを研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物Aを研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物Aの保存安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、研磨液組成物Aとなる。
[工程(3)における研磨荷重]
工程(3)における研磨荷重は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、25kPa以下が好ましく、より好ましくは20kPa以下、さらに好ましくは15kPa以下、さらにより好ましくは11kPa以下である。また、前記研磨荷重は、研磨速度の向上の観点から、3kPa以上が好ましく、より好ましくは5kPa以上、さらに好ましくは7kPa以上、さらにより好ましくは9kPa以上である。また、前記研磨荷重は、好ましくは3〜25kPa、より好ましくは5〜20kPa、さらに好ましくは7〜15kPa、さらにより好ましくは9〜11kPaである。研磨荷重を上記範囲内に設定することでアルミナ粒子の基板への押し込みが抑制され、効果的にアルミナ突き刺さりが低減されると考えられる。
[工程(3)における研磨量]
工程(3)における、被研磨基板の単位面積(1cm2)あたりの研磨量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.0004mg以上が好ましく、より好ましくは0.004mg以上、さらに好ましくは0.01mg以上である。一方、生産性向上の観点から、好ましくは0.85mg以下、より好ましくは0.43mg以下、さらに好ましくは0.26mg以下、さらにより好ましくは0.1mg以下である。また、前記研磨量は、好ましくは0.0004〜0.85mg、より好ましくは0.004〜0.43mg、さらに好ましくは0.01〜0.26mg、さらにより好ましくは0.01〜0.10mgである。
[研磨液組成物Bの供給速度]
工程(3)における研磨液組成物Bの供給速度は、前述の研磨液組成物Aの供給速度と同様に行うことができる。
[研磨液組成物Bを研磨機へ供給する方法]
研磨液組成物Bを研磨機へ供給する方法は、前述の研磨液組成物Aを研磨機へ供給する方法と同様に行うことができる。研磨液組成物Bは、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さりを低減する観点から、研磨液組成物Aを供給する供給手段とは異なる供給手段から供給することが好ましい。
粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり、並びに、仕上げ研磨工程へのアルミナの持ち込みを抑制し、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、工程(3)の終了時にも被研磨基板をリンス処理する工程を含むことが好ましい。リンス液としては、水、イオン交換水、蒸留水等が使用できる。
工程(3)に含まれるリンス処理工程における研磨荷重は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり、並びに、仕上げ研磨工程へのアルミナの持ち込みを抑制し、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、15kPa以下が好ましく、より好ましくは10kPa以下、さらに好ましくは5kPa以下、また、同様の観点から、0.2kPa以上が好ましく、より好ましくは0.5kPa以上、さらに好ましくは1kPa以上である。
工程(3)に含まれるリンス処理工程におけるリンス液の供給速度は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり、並びに、仕上げ研磨工程へのアルミナの持ち込みを抑制し、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、被研磨基板1cm2あたり0.25mL/分以上が好ましく、より好ましくは0.8mL/分以上、さらに好ましくは1mL/分以上であり、また、同様の観点から、4mL/分以下が好ましく、より好ましくは2.5mL/分以下、さらに好ましくは2mL/分以下である。また、リンス処理工程におけるリンス液の供給時間は、同様の観点から、5秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。
[工程(5)の研磨パッド]
工程(5)で使用される研磨パッドは、工程(1)〜(3)で使用される研磨パッドと同種の研磨パッドが使用されうる。工程(5)で使用される研磨パッドの平均気孔径は、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥、スクラッチ、表面粗さを低減する観点から、1μm以上が好ましく、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、また、同様の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、さらにより好ましくは10μm以下である。
[工程(5)における研磨荷重]
工程(5)における研磨荷重は、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、25kPa以下が好ましく、より好ましくは20kPa以下、さらに好ましくは15kPa以下、さらにより好ましくは11kPa以下である。また、前記研磨荷重は、研磨速度の向上の観点から、3kPa以上が好ましく、より好ましくは5kPa以上、さらに好ましくは7kPa以上、さらに好ましくは9kPa以上である。また、前記研磨荷重は、3〜25kPaが好ましく、より好ましくは5〜20kPa、さらに好ましくは7〜15kPa、さらに好ましくは9〜11kPaである。
[工程(5)における研磨量]
工程(5)における、被研磨基板の単位面積(1cm2)あたりの研磨量は、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.085mg以上が好ましく、より好ましくは0.1mg以上、さらに好ましくは0.13mg以上、さらにより好ましくは0.15mg以上である。また、生産性向上の観点からは、0.85mg以下が好ましく、より好ましくは0.7mg以下、さらに好ましくは0.5mg以下、さらにより好ましくは0.4mg以下である。また、前記研磨量は、0.085〜0.85mgが好ましく、より好ましくは0.1〜0.7mg、さらに好ましくは0.13〜0.5mg、さらにより好ましくは0.15〜0.4mgである。
[研磨液組成物Cの供給速度]
工程(5)における研磨液組成物Cの供給速度は、前述の研磨液組成物Aの供給速度と同様に行うことができる。
[研磨液組成物Cを研磨機へ供給する方法]
研磨液組成物Cを研磨機へ供給する方法は、前述の研磨液組成物Aを研磨機へ供給する方法と同様に行うことができる。
[研磨液組成物A]
工程(1)で使用される研磨液組成物Aは、研磨速度の向上の観点から、アルミナ粒子を含有する。
[研磨液組成物A:アルミナ粒子]
前記アルミナ粒子としては、αアルミナ、中間アルミナ、アモルファスアルミナ、ヒュームドアルミナ等が挙げられるが、研磨速度向上の観点からは、αアルミナが好ましく、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥低減の観点からは、中間アルミナが好ましい。
アルミナ粒子の平均二次粒子径は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.15μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上、さらにより好ましくは0.3μm以上、さらにより好ましくは0.4μm以上、さらにより好ましくは0.45μm以上であり、また、同様の観点から、0.8μm以下が好ましく、より好ましくは0.75μm以下、さらに好ましくは0.70μm以下、さらにより好ましくは0.68μm以下、さらにより好ましくは0.65μm以下である。該平均二次粒子径は、実施例に記載の方法により求めることができる。
研磨液組成物Aにおけるアルミナ粒子の含有量は、研磨速度向上の観点、並びに粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、さらにより好ましくは1質量%以上、さらにより好ましくは2質量%以上であり、また、同様の観点から、30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下である。また、研磨液組成物Aに含まれる研磨材全体に占めるアルミナ粒子の含有量は、研磨速度向上の観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、5質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上がさらにより好ましい。
〔αアルミナ〕
本明細書において、αアルミナとは、X線回折により結晶中にαアルミナ特有の構造が認められる結晶性アルミナ粒子の総称である。αアルミナ特有の構造は、例えば、X線回折スペクトルにおける2θ領域35.1〜35.3°(104面)、43.2〜43.4°(113面)、57.4〜57.6°(116面)などに頂点があるピークの有無により確認できる。なお、本明細書では特に指示しない限り、αアルミナ特有ピークというときは104面のピークを意味する。
前記αアルミナのα化率は、研磨速度の向上、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、50%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上であり、また、同様の観点から、99%以下であることが好ましく、より好ましくは98%以下、さらに好ましくは97%以下である。ここで、α化率とは、WA−1000(α化率99.9%のαアルミナ、昭和電工社製)を用いたX線回折法における2θ=35.1〜35.3°由来の104面のピーク面積を99.9%とした場合におけるαアルミナ特有ピークの相対面積の数値をいい、具体的には、実施例に記載の方法により求めることができる。なお、α化率が前記範囲内のαアルミナを複数種混合して使用してもよい。
αアルミナの平均二次粒子径は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点及び研磨速度の向上の観点から、0.10μm以上が好ましく、より好ましくは0.15μm以上、さらに好ましくは0.20μm以上、さらにより好ましくは0.30μm以上、さらにより好ましくは0.40μm以上、さらにより好ましくは0.50μm以上であり、また、同様の観点から、0.80μm以下が好ましく、より好ましくは0.75μm以下、さらに好ましくは0.70μm以下、さらにより好ましくは0.68μm以下、さらにより好ましくは0.65μm以下である。該平均二次粒子径は、実施例に記載の方法により求めることができる。
研磨液組成物Aにおけるαアルミナの含有量は、研磨速度向上の観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、さらにより好ましくは1質量%以上、さらにより好ましくは2質量%以上であり、また、同様の観点から、30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下である。
〔中間アルミナ〕
研磨液組成物Aは、研磨速度を向上する観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥の低減の観点から、中間アルミナを含有することが好ましい。中間アルミナとは、αアルミナ以外の結晶性アルミナ粒子の総称であり、具体的にはγアルミナ、δアルミナ、θアルミナ、ηアルミナ、κアルミナ、及びこれらの混合物等が挙げられる。中間アルミナの中でも、研磨速度を向上する観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、γアルミナ、δアルミナ、θアルミナ及びこれらの混合物が好ましく、より好ましくはγアルミナ及びθアルミナ、さらに好ましくはθアルミナである。
中間アルミナの平均二次粒子径は、研磨速度を向上する観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.10μm以上、さらにより好ましくは0.12μm以上であり、また、同様の観点から、0.6μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.4μm以下、さらにより好ましくは0.30μm以下、さらにより好ましくは0.20μm以下である。なお、該平均二次粒子径は、前述のαアルミナの場合と同様の方法により求めることができる。
また、研磨液組成物Aにおける中間アルミナの含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度向上の観点から、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、さらにより好ましくは0.2質量%以上、さらにより好ましくは0.3質量%以上であり、また、同様の観点から、27質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下、さらにより好ましくは2質量%以下である。
研磨液組成物Aは、研磨速度向上の観点、並びに、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、アルミナ粒子として、αアルミナと中間アルミナとを含有することが好ましく、αアルミナとθアルミナとを含有することがより好ましい。
αアルミナと中間アルミナとを使用する場合、αアルミナと中間アルミナの質量比(αアルミナの質量%/中間アルミナの質量%)は、研磨速度の向上の観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、90/10〜10/90が好ましく、より好ましくは85/15〜40/60、さらに好ましくは85/15〜50/50、さらにより好ましくは85/15〜60/40、さらにより好ましくは85/15〜70/30、さらにより好ましくは85/15〜75/25である。
[研磨液組成物A:シリカ粒子]
研磨液組成物Aは、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、さらにシリカ粒子を含有することが好ましい。シリカ粒子としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられる。中でも、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、コロイダルシリカが好ましい。
シリカ粒子の平均一次粒子径(D50)は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、好ましくは15nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上、さらにより好ましくは60nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは120nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは80nm以下、さらにより好ましくは75nm以下である。なお、該平均一次粒子径は、実施例に記載の方法により求めることができる。
また、シリカ粒子の一次粒子径の標準偏差は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、好ましくは8nm以上、より好ましくは20nm以上、さらにより好ましくは30nm以上、さらにより好ましくは40nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは80nm以下、より好ましくは70nm以下、さらにより好ましくは60nm以下、さらにより好ましくは55nm以下である。なお、該標準偏差は、実施例に記載の方法により求めることができる。
シリカ粒子の一次粒子径(D10)は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは25nm以上、さらに好ましくは35nm以上、さらにより好ましくは50nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは85nm以下、さらに好ましくは75nm以下、さらにより好ましくは70nm以下である。なお、該一次粒子径(D10)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
シリカ粒子の一次粒子径(D90)は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは60nm以上、さらにより好ましくは65nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは150nm以下、より好ましくは120nm以下、さらに好ましくは100nm以下、さらにより好ましくは85nm以下である。なお、該一次粒子径(D90)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
アルミナ粒子とシリカ粒子とを併用する場合、アルミナ粒子とシリカ粒子の質量比(アルミナ粒子質量/シリカ粒子質量)は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは30/70〜80/20、さらに好ましくは40/60〜75/25、さらにより好ましくは50/50〜70/30、さらにより好ましくは55/45〜65/35である。
アルミナ粒子とシリカ粒子を併用する場合、アルミナ粒子の平均二次粒子径とシリカ粒子の平均一次粒子径(D50)との比(アルミナ粒子径/シリカ粒子径)は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは5以上であり、また、同様の観点から、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは20以下である。
研磨液組成物Aに含まれるシリカ粒子の含有量としては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.3質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、さらにより好ましくは1.5質量%以上である。また、該含有量は、経済性、研磨速度の向上の観点から、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下である。
[研磨液組成物A:カチオン性重合体]
研磨液組成物Aは、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、カチオン性重合体を含有することが好ましい。カチオン性重合体は、研磨液中で正帯電となり、基板表面に吸着して保護膜を形成し、アルミナ突き刺さり及びアルミナ付着を抑制していると考えられる。
前記カチオン性重合体としては、研磨液組成物A中で正帯電となる重合体を使用でき、例えば、ジアリルアミン重合体、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらのなかでも、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、ジアリルアミン重合体及びポリエチレンイミンが好ましく、生産性を落とすことなく粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減できることから、ジアリルアミン重合体が好ましい。「ジアリルアミン重合体」とは、ジアリルアミン類のようなアリル基を2つ有するアミン化合物がモノマーとして導入された構成単位を有する重合体をいう。ポリエチレンイミンは、直鎖状、分岐状、環状構造のいずれのものであっても良い。また、本発明で用いられるジアリルアミン重合体及びポリエチレンイミンは水溶性である。ここで「水溶性」とは、20℃の水100gに対する溶解度が2g以上であることをいう。
〔ジアリルアミン重合体〕
前記ジアリルアミン重合体は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、下記一般式(I−a)、(I−b)、(I−c)及び(I−d)で表される構成単位から選択される1種以上の構成単位を有することが好ましい。
Figure 2014032718
前記一般式(I−a)及び(I−b)において、R1は水素原子、水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基を示し、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、水素原子又は水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。ここで、水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、水酸基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、さらに好ましくはメチル基、エチル基であり、さらにより好ましくはメチル基である。また、炭素数7〜10のアラルキル基としては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、ベンジル基、フェネチル基などが好ましく挙げられる。これらの中でも、同様の観点から、R1は水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。ジアリルアミン重合体が、上記一般式(I−a)及び(I−b)の構成単位を有する場合、R1は同一であってもよく異なっていてもよい。
前記一般式(I−a)及び(I−b)で表される構成単位は、酸付加塩の形態であってもよい。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、アミド硫酸塩、メタンスルホン酸塩などが挙げられる。これらの中でも、塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩が好ましい。
前記一般式(I−c)及び(I−d)において、R2は、水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基を示す。水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基の好ましい形態は、前記R1で説明したとおりである。
また、前記一般式(I−c)及び(I−d)において、R3は、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基を示し、D-は、一価の陰イオンを示す。
前記炭素数1〜4のアルキル基は直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基が挙げられ、中でも粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、メチル基、エチル基が好ましい。前記炭素数7〜10のアラルキル基としては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり低減の観点から、ベンジル基、フェネチル基などが好ましく挙げられる。D-で表される一価の陰イオンとしては、例えばハロゲンイオン、メチルサルフェートイオン、エチルサルフェートイオンを挙げることができる。
一般式(I−c)及び(I−d)において、>N+23・D-で表される部分構造(第四級アンモニウム塩構造単位の部分構造)の具体例としては、N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジエチルアンモニウムクロリド、N,N−ジプロピルアンモニウムクロリド、N,N−ジブチルアンモニウムクロリド、N−メチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N−エチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N−メチル−N−エチルアンモニウムクロリド及びこれらのクロリド類に対応するブロミド類、ヨージド類、メチルサルフェート類、エチルサルフェート類などを挙げることができる。中でも、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジエチルアンモニウムクロリド、N,N−ジエチルアンモニウムエチルサルフェート、N−メチル−N−エチルアンモニウムエチルサルフェートが好ましく、N,N−ジメチルアンモニウムクロリドがより好ましい。
前記一般式(I−a)、(I−b)、(I−c)及び(I−d)で表される構成単位のうち、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、前記一般式(I−a)及び(I−c)で表される構成単位から選ばれる一種以上を有することが好ましく、前記一般式(I−c)で表される構成単位を有することがより好ましい。
前記ジアリルアミン重合体の全構成単位中における前記一般式(I−a)、(I−b)、(I−c)及び(I−d)で表される構成単位の合計含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、30モル%以上が好ましく、より好ましくは35モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上であり、また、同様の観点から、100モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下、さらにより好ましくは60モル%以下である。
前記ジアリルアミン重合体は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、さらに下記一般式(II)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2014032718
前記ジアリルアミン重合体の全構成単位中における前記一般式(II)で表される構成単位の含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、さらにより好ましくは40モル%以上であり、また、同様の観点から、70モル%以下が好ましく、より好ましくは60モル%以下である。
前記ジアリルアミン重合体の全構成単位中における、一般式(I−a)〜(I−d)の構成単位と、一般式(II)の構成単位とのモル比(一般式(I−a)〜(I−d)/一般式(II))は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、100/0〜30/70が好ましく、90/10〜30/70がより好ましく、さらに好ましくは80/20〜40/60、さらにより好ましくは70/30〜40/60、さらにより好ましくは60/40〜40/60である。
前記ジアリルアミン重合体の全構成単位中における、前記一般式(I−a)〜(I−d)及び一般式(II)の構成単位の合計含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらにより好ましくは80モル%以上、さらにより好ましくは90モル%以上、さらにより好ましくは95モル%以上、さらにより好ましくは97モル%以上、さらにより好ましくは100モル%である。
前記ジアリルアミン重合体は、前記一般式(I−a)〜(I−d)及び一般式(II)以外の構成単位を有していてもよい。その他の構成単位としては、エチレン性不飽和スルホン酸化合物由来の構成単位や、エチレン性不飽和カルボン酸化合物由来の構成単位、アクリルアミド化合物由来の構成単位が挙げられる。
前記エチレン性不飽和スルホン酸化合物としては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点及び研磨速度の向上の観点から、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びそれらのナトリウム塩が好ましい。
前記エチレン性不飽和カルボン酸化合物としては、研磨速度を向上する観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、2-プロペン酸、3−ブテン酸、3−ブテン2酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸及びその塩が好ましい。
前記アクリルアミド化合物の構成としては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミドが好ましい。
前記ジアリルアミン重合体の具体例としては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥の低減、並びに研磨速度の向上の観点から、ジアリルジメチルアンモニウム塩−二酸化硫黄、ジアリルジエチルアンモニウム塩−二酸化硫黄の共重合体が好ましい。
前記ジアリルアミン重合体の全構成単位中における、一般式(I−a)〜(I−d)の構成単位及び一般式(II)の構成単位以外の構成単位の含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、研磨速度の向上の観点から、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下がさらにより好ましく、実質的に含有しないことがさらにより好ましい。
〔前記ジアリルアミン重合体の製造方法〕
前記水溶性ジアリルアミン重合体は、極性溶媒中において、ラジカル開始剤の存在下、ジアリルアミン類の酸付加塩及び/又は第四級アンモニウム塩と、必要に応じて二酸化硫黄及びその他の構成単位を導入するための前記化合物とを重合させることにより製造することができる。
前記極性溶媒としては、例えば水、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸など)の水溶液、無機酸の金属塩(塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)の水溶液、有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸など)又はその水溶液、あるいは極性有機溶媒(アルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなど)等を挙げることができるが、これらの混合物でもよい。また、これらの中で水系溶媒が好ましい。
前記ラジカル開始剤としては、例えば分子中にアゾ基を有する水溶性ラジカル開始剤や過硫酸塩系ラジカル開始剤を好ましく用いることができ、過硫酸塩系ラジカル開始剤がより好ましい。
前記ジアリルアミン類の酸付加塩としては、ジアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、N−エチルジアリルアミン、N−プロピルジアリルアミン、N−ブチルジアリルアミン、N−2−ヒドロキシエチルジアリルアミン、N−2−ヒドロキシプロピルジアリルアミン、N−3−ヒドロキシプロピルジアリルアミンなどの塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、アミド硫酸塩、メタンスルホン酸塩が挙げられる。前記ジアリルアミン類の第四級アンモニウム塩としては、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、臭化ジアリルジメチルアンモニウム、沃化ジアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアリルジエチルアンモニウム、臭化ジアリルジエチルアンモニウム、沃化ジアリルジエチルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルジエチルアンモニウム、エチル硫酸ジアリルジエチルアンモニウム、塩化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、臭化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、沃化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルメチルベンジルアンモニウム、エチル硫酸ジアリルメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアリルエチルベンジルアンモニウム、臭化ジアリルエチルベンジルアンモニウム、沃化ジアリルエチルベンジルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルエチルベンジルアンモニウム、エチル硫酸ジアリルエチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。これらの中でも、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点及び研磨速度向上の観点から、ジアリルアミン、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアリルジエチルアンモニウム、塩化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、エチル硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ジアリルジエチルアンモニウムが好ましく、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアリルジエチルアンモニウム、エチル硫酸ジアリルジエチルアンモニウムが好ましく、塩化ジアリルジメチルアンモニウムがより好ましい。
研磨液組成物Aにおけるカチオン性重合体の重量平均分子量は、研磨速度の向上、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、300以上が好ましく、より好ましくは500以上であり、また、同様の観点から、200000以下が好ましく、より好ましくは100000以下、さらに好ましくは50000以下、さらにより好ましくは10000以下である。
研磨液組成物Aにおけるカチオン性重合体としてポリエチレンイミンを用いる場合、ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、研磨速度の向上、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、300以上が好ましく、より好ましくは500以上であり、また、同様の観点から、50000以下が好ましく、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下、さらにより好ましくは3000以下である。
研磨液組成物Aにおけるカチオン性重合体としてジアリルアミン重合体を用いる場合、ジアリルアミン重合体の重量平均分子量は、研磨速度の向上、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、500以上が好ましく、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは2000以上、さらにより好ましくは3000以上であり、また、同様の観点から、150000以下が好ましく、より好ましくは50000以下、さらに好ましくは15000以下、さらにより好ましくは8000以下である。なお、該重量平均分子量は、実施例に記載の条件により求めることができる。
研磨液組成物Aに含まれるジアリルアミン重合体の含有量は、研磨速度の向上、並びに粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.008質量%以上であり、また、同様の観点から、1.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
研磨液組成物A中におけるジアリルアミン重合体とアルミナ粒子の含有量比(ジアリルアミン重合体の含有量/アルミナ含有量)は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、0.001以上が好ましく、より好ましくは0.002以上であり、また、同様の観点から、0.05以下が好ましく、より好ましくは0.02以下、さらに好ましくは0.01以下である。
[研磨液組成物A:酸]
研磨液組成物Aは、研磨速度を向上する観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、酸を含有することが好ましい。研磨液組成物Aにおける酸の使用は、酸及び又はその塩の使用を含む。使用される酸としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。中でも、研磨速度の向上、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥の低減の観点から、リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩がより好ましく、硫酸、クエン酸及びそれらの塩がさらに好ましい。
これらの酸及びその塩は単独で又は2種以上を混合して用いてもよいが、研磨速度の向上、並びに粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥の低減の観点から、2種以上を混合して用いることが好ましく、リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸からなる群から選択される2種以上の酸を用いることがより好ましく、硫酸とクエン酸を用いることがさらに好ましい。
これらの酸の塩を用いる場合は、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、入手容易性の観点から、1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物A中における前記酸の含有量は、研磨速度の向上、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、さらにより好ましくは0.10質量%以上であり、また、同様の観点から、5質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さらにより好ましくは2質量%以下、さらにより好ましくは1質量%以下である。
[研磨液組成物A:酸化剤]
前記研磨液組成物Aは、研磨速度の向上、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、酸化剤を含有することが好ましい。酸化剤としては、研磨速度及び粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類等が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が好ましく、研磨速度向上の観点、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から、過酸化水素がより好ましい。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物A中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点、並びに粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また、同様の観点から、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下、さらにより好ましくは1質量%以下である。また、好ましくは0.01〜4質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜1.5質量%、さらにより好ましくは0.1〜1質量%である。
[研磨液組成物A:水]
研磨液組成物Aは、媒体として水を含有する。水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。研磨液組成物A中の水の含有量は、研磨液組成物の取扱いが容易になるため、55質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは85質量%以上であり、また、同様の観点から、99質量%以下が好ましく、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは97質量%以下である。
[研磨液組成物A:その他の成分]
研磨液組成物Aには、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤、高分子化合物等が挙げられる。研磨液組成物A中のこれら他の任意成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で配合されることが好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
[研磨液組成物A:pH]
前記研磨液組成物AのpHは、研磨速度を向上する観点、並びに粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、前述の酸や公知のpH調整剤を用いて、pH1.0〜6.0に調整することが好ましく、より好ましくはpH1.0〜4.0、さらに好ましくはpH1.0〜3.0、さらにより好ましくはpH1.0〜2.0である。なお、上記のpHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、電極の浸漬後40分後の数値である。
[研磨液組成物A:調製方法]
研磨液組成物Aは、例えば、アルミナ粒子及び水と、さらに所望により、シリカ粒子、カチオン性重合体、酸化剤、酸及び他の成分とを公知の方法で混合することにより調製できる。シリカ粒子を混合する場合、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。その他の態様として、研磨液組成物Aを濃縮物として調製してもよい。前記混合は、特に制限されず、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。
[研磨液組成物B]
工程(3)で使用される研磨液組成物Bは、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、シリカ粒子及び水を含有する。使用されるシリカ粒子は、研磨液組成物Aで使用されるシリカ粒子と同様であり、好ましくはコロイダルシリカである。
[研磨液組成物B:シリカ粒子]
研磨液組成物Bに用いられるシリカ粒子の平均一次粒子径(D50)は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上、さらにより好ましくは20nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは120nm以下であり、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは90nm以下、さらにより好ましくは80nm以下、さらにより好ましくは70nm以下である。シリカ粒子の平均一次粒子径(D50)が前記範囲内であると、研磨切削時の摩擦力が上昇して、効果的にアルミナ突き刺さりが低減されると考えられる。なお、該平均一次粒子径は、実施例に記載の方法により求めることができる。
また、研磨液組成物Bに用いられるシリカ粒子の一次粒子径の標準偏差は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、好ましくは8nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは12nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは60nm以下、さらにより好ましくは50nm以下である。一次粒子径の標準偏差が前記範囲内であると、研磨切削時の摩擦力がさらに向上して、工程(1)で突き刺さったアルミナ粒子の効率的な引き抜きが起こり、アルミナ突き刺さりが低減されると考えられる。なお、該標準偏差は実施例に記載の方法により求めることができる。
研磨液組成物Bに用いられるシリカ粒子の一次粒子径(D10)は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥の低減の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上、さらにより好ましくは18nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは80nm以下、より好ましくは70nm以下、さらに好ましくは65nm以下、さらにより好ましくは62nm以下である。なお、該一次粒子径(D10)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
研磨液組成物Bに用いられるシリカ粒子の一次粒子径(D90)は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは20nm以上、さらにより好ましくは25nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは150nm以下、より好ましくは130nm以下、さらに好ましくは90nm以下、さらにより好ましくは80nm以下である。なお、該一次粒子径(D90)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
研磨液組成物Bに含まれるシリカ粒子の含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上がさらにより好ましい。また、該含有量は、経済性の観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、6質量%以下がさらにより好ましい。
また、研磨液組成物Bに含まれる研磨材全体に占めるシリカ粒子の含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%がさらにより好ましい。なお、研磨液組成物Bに含まれる研磨材全体に占めるアルミナ粒子の含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、40質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは実質的にアルミナ粒子を含有しない。
[研磨液組成物B:アニオン性重合体]
研磨液組成物Bは、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、アニオン性重合体を含有することが好ましい。研磨液組成物Bに用いられるアニオン性重合体は、本明細書においては、アニオン性基を有する重合体のことをいう。アニオン性重合体は、研磨時に研磨パッドに吸着して、研磨パッド表面に水和層を形成し、研磨パッドの振動を抑制するとともに、さらにアルミナ粒子の分散性を向上させて、アルミナの突き刺さりを抑制すると考えられる。なお、該アニオン性重合体は水溶性である。ここで「水溶性」とは、20℃の水100gに対する溶解度が2g以上であることをいう。
アニオン性重合体のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等が挙げられる。これらのアニオン性基は塩の形態であってもよい。アニオン性重合体は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性重合体が好ましい。
アニオン性基が塩を形成する場合、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの中でも、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、1A、3B、又は8族に属する金属やアンモニウムが好ましく、1A族に属する金属、アンモニウムがより好ましく、アンモニウム、ナトリウム及びカリウムがさらに好ましい。
アニオン性重合体は、例えば、スルホン酸基を有する単量体、カルボン酸基を有する単量体等のアニオン性基を有する単量体を重合することにより得られうる。これら単量体の重合は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでもよいが、ランダムが好ましい。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。リン酸エステル基又はホスホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルホスホン酸、メタクロイルオキシメチルリン酸、メタクロリルオキシエチルリン酸、メタクロイルオキシブチルリン酸、メタクロリルオキシヘキシルリン酸、メタクロリルオキシオクチルリン酸、メタクロリルオキシデシルリン酸、メタクロリルオキシラウリルリン酸、メタロイルオキシステアリルリン酸、メタクロイルオキシ1、4−ジメチルシクロヘキシルリン酸が挙げられる。
また、アニオン性重合体には、上記以外の単量体を用いることもできる。他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエン等の脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物が挙げられる。
アニオン性重合体の好ましい具体例としては、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、マレイン酸/スチレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル/スチレンスルホン酸共重合体が挙げられるが、同様の観点から、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸、マレイン酸/スチレンスルホン酸共重合体、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる1種以上が好ましく、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる1種以上がより好ましい。
アニオン性重合体が(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体である場合、共重合体を構成する全構成単位中に占める2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸由来の構成単位の含有率は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、5モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、さらにより好ましくは40モル%以上であり、また、同様の観点から、98モル%以下が好ましく、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下、さらにより好ましくは50モル%以下である。また、(メタ)アクリル酸と2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との重合モル比((メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)は、同様の観点から、95/5〜2/98が好ましく、より好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜40/60、さらにより好ましくは60/40〜50/50である。
また、アニオン性重合体が、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体である場合、共重合体を構成する全構成単位中に占めるスチレンスルホン酸由来の構成単位の含有率は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、20モル%以上が好ましく、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上、さらにより好ましくは50モル%以上であり、また、同様の観点から、95モル%以下が好ましく、より好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは75モル%以下、さらにより好ましくは70モル%以下である。また、スチレンとスチレンスルホン酸との重合モル比(スチレン/スチレンスルホン酸)は、同様の観点から、80/20〜5/95が好ましく、より好ましくは70/30〜15/85、さらに好ましくは60/40〜25/75、さらにより好ましくは50/50〜30/70である。
アニオン性重合体の重量平均分子量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、500以上であることが好ましく、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは2000以上、さらにより好ましくは2500以上であり、また、同様の観点から、10万以下であることが好ましく、より好ましくは5万以下、さらに好ましくは3万以下、さらにより好ましくは2万以下である。該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて実施例に記載の方法により求めることができる。
研磨液組成物B中におけるアニオン性重合体の含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.008質量%以上、さらにより好ましくは0.01質量%以上であり、また、同様の観点から、1.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、さらにより好ましくは0.05質量%以下である。
また、研磨液組成物Bにおける、シリカ粒子とアニオン性重合体との含有量比[シリカ粒子含有量(質量%)/アニオン性重合体含有量(質量%)]は粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは5以上、さらにより好ましくは50以上であり、また、同様の観点から、30000以下が好ましく、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下、さらにより好ましくは500以下である。
[研磨液組成物B:複素環化合物]
研磨液組成物Bは、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、複素環化合物を含有することが好ましい。研磨液組成物Bに使用される「複素環化合物」は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、正電荷を有することが好ましく、含窒素複素環化合物であることがより好ましい。前記正電荷が、基板表面及び残留アルミナ粒子に吸着して保護膜を形成し、アルミナの再付着を防止すると考えられる。本明細書において「複素環化合物」は、脂肪族複素環化合物(限定されない一又は複数の実施形態において、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びこられのアルキル置換体若しくはアミン置換体など)及び芳香族複素環化合物を含み、前記芳香族複素環化合物として、五員芳香族複素環化合物(限定されない一又は複数の実施形態において、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール及びこられのアルキル置換体若しくはアミン置換体など)、六員芳香族複素環化合物(限定されない一又は複数の実施形態において、ピリジン、ピリダジン及びこられのアルキル置換体若しくはアミン置換体など)、及び、多環芳香族複素環化合物(限定されない一又は複数の実施形態において、ベンゾトリアゾール及びこられのアルキル置換体若しくはアミン置換体など)を含みうる。
研磨液組成物Bに使用される「複素環化合物」は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピリジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,5−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、3-アミノピラゾール、4−アミノピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、ピラゾール、2−アミノイミダゾール、4−アミノイミダゾール、5−アミノイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノー1,2,3−トリアゾール、5−アミノー1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノー1,2,4−トリアゾール、5−アミノー1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、5−アミノテトラゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1H−トリルトリアゾール、2−アミノベンゾトリアゾール、3−アミノベンゾトリアゾール、又はこられのアルキル置換体若しくはアミン置換体が挙げられる。前記アルキル置換体のアルキル基としては例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基が挙げられる。また、前記アミン置換体としては1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]トリルトリアゾールが挙げられる。これらの中でも、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、入手容易性の観点から、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、1H−ベンゾトリアゾールが好ましく、ピリジン、ピラゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1H−ベンゾトリアゾールがより好ましく、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1H−ベンゾトリアゾールがさらに好ましく、1H−ベンゾトリアゾールがさらにより好ましい。なお、複素環化合物は、1種でも、2種以上を使用してもよい。
研磨液組成物Bにおける複素環化合物の含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.0005質量%以上が好ましく、より好ましくは0.001質量%以上、さらに好ましくは0.005質量%以上、さらにより好ましくは0.008質量%以上であり、また、同様の観点から、5質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、さらにより好ましくは0.1質量%以下、さらにより好ましくは0.05質量%以下である。
また、研磨液組成物Bにおける、シリカ粒子と芳香族複素環化合物との含有量比[シリカ粒子の含有量(質量%)/複素環化合物の含有量(質量%)]は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.01以上が好ましく、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは5以上、さらにより好ましくは50以上、さらにより好ましくは100以上であり、また、同様の観点から、3000以下が好ましく、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下、さらにより好ましくは400以下、さらにより好ましくは350以下である。
[研磨液組成物B:含窒素化合物]
研磨液組成物Bは、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、含窒素化合物を含有することが好ましい。研磨液組成物Bに使用される「含窒素化合物」は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、水溶液中で正電荷を有することが好ましい。前記正電荷が、基板表面及び残留アルミナ粒子に吸着して保護膜を形成し、アルミナの再付着を防止すると考えられる。本明細書において、「含窒素化合物」は、脂肪族アミン化合物を含む。前記脂肪族アミン化合物は、脂肪族第一級アミン化合物(R-NH2で表わされるもの;例えば、エチルアミン、プロピルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなど)、脂肪族第二級アミン化合物(R2NHで表わされるもの;例えば、エチルメチルアミン、メチルエタノールアミン、ジエタノールアミンなど)、及び脂肪族第三級アミン化合物(R3Nで表わされるもの;例えば、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなど)を含みうる。また、本明細書において脂肪族アミン化合物は、好ましい一態様において、鎖式化合物である。
研磨液組成物Bに使用される含窒素化合物は、粗研磨工程における研磨速度を維持する観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、エチルアミン、プロピルアミン、エタノールアミン、エチルメチルアミン、メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−アミノエチルイソプロパノールアミン、N−アミノエチル−N−メチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、及びポリエチレンイミンが挙げられる。これらの中でも、粗研磨工程における研磨速度を維持する観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、及びポリエチレンイミンがさらにより好ましく、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンがさらにより好ましく、エチレンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、ジエチレントリアミンがさらにより好ましく、N−アミノエチルエタノールアミンがさらにより好ましい。なお、含窒素化合物は、1種でも、2種以上を使用してもよい。
研磨液組成物Bにおける含窒素化合物の含有量は、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.0005質量%以上が好ましく、より好ましくは0.001質量%以上、さらに好ましくは0.002質量%以上、さらにより好ましくは0.008質量%以上であり、粗研磨工程における研磨速度を維持する観点から、5質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下、さらにより好ましくは0.08質量%以下、さらにより好ましくは0.03質量%以下である。
また、研磨液組成物Bにおける、シリカ粒子と含窒素化合物との含有量比[シリカ粒子の含有量(質量%)/含窒素化合物の含有量(質量%)]は、粗研磨工程における研磨速度を維持する観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.01以上が好ましく、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは5以上、さらにより好ましくは50以上、さらにより好ましくは100以上であり、また、同様の観点から、3000以下が好ましく、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下、さらにより好ましくは400以下、さらにより好ましくは350以下である。
研磨液組成物Bは、研磨速度を向上する観点、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、酸、酸化剤を含有することが好ましい。好ましい酸、酸化剤については、前述の研磨液組成物Aの場合と同様であり、さらに酸としては硫酸が好ましい。また、研磨液組成物Bに用いられる水、その他成分、研磨液組成物BのpH、研磨液組成物Bの調製方法についても、前述の研磨液組成物Aの場合と同様である。
[研磨液組成物C]
工程(5)で使用される研磨液組成物Cは、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点及び研磨速度向上の観点から、シリカ粒子を含有する。使用されるシリカ粒子は、研磨液組成物Bで使用されるシリカ粒子と同様であり、好ましくはコロイダルシリカである。また、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、アルミナ粒子を含有しないことが好ましい。
研磨液組成物Cに用いられるシリカ粒子の平均一次粒子径(D50)は、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上、さらにより好ましくは20nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは120nm以下であり、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、さらにより好ましくは30nm以下、さらにより好ましくは25nm以下である。なお、該平均一次粒子径は、実施例に記載の方法により求めることができる。
また、シリカ粒子の一次粒子径の標準偏差は、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、好ましくは8nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは12nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは80nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは30nm以下、さらにより好ましくは20nm以下である。なお、該標準偏差は実施例に記載の方法により求めることができる。
シリカ粒子の一次粒子径(D10)は、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上、さらにより好ましくは18nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは80nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは30nm以下、さらにより好ましくは25nm以下である。なお、該一次粒子径(D10)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
シリカ粒子の一次粒子径(D90)は、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点、並びに研磨速度の向上の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは20nm以上、さらにより好ましくは25nm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは150nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは40nm以下、さらにより好ましくは30nm以下である。なお、該一次粒子径(D90)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
研磨液組成物Cに含まれるシリカ粒子の含有量は、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、2.5質量%以上がさらにより好ましく、また、同様の観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がさらにより好ましい。
研磨液組成物Cは、仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥を低減する観点から、複素環化合物、含窒素化合物、及びアニオン性重合体から選ばれる1種以上を含有することが好ましく、2種以上含有することがより好ましく、複素環化合物、含窒素化合物、及びアニオン性重合体を含有することがさらに好ましい。研磨液組成物Cに用いられる複素環化合物、含窒素化合物、及びアニオン性重合体の好ましい態様は研磨液組成物Bの場合と同様である。
研磨液組成物Cは、研磨速度を向上する観点から、酸、酸化剤を含有することが好ましい。酸、酸化剤の好ましい使用態様については、前述の研磨液組成物Aの場合と同様であり、さらに酸としては硫酸が好ましい。また、研磨液組成物Cに用いられる水、その他成分、研磨液組成物CのpH、研磨液組成物Cの調製方法については、前述の研磨液組成物Aの場合と同様である。
[洗浄剤組成物]
工程(4)の洗浄では、洗浄剤組成物を用いることが好ましい。前記洗浄剤組成物としては、アルカリ剤、水、及び必要に応じて各種添加剤を含有するものが使用できる。
〔アルカリ剤〕
前記洗浄剤組成物で使用されるアルカリ剤は、無機アルカリ剤及び有機アルカリ剤のうちのいずれであってもよい。無機アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウム等が挙げられる。有機アルカリ剤としては、例えば、ヒドロキシアルキルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、及びコリンからなる群より選ばれる一種以上が挙げられる。これらのアルカリ剤は、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
洗浄剤組成物の基板上の残留物の分散性の向上、保存安定性の向上の観点から、前記アルカリ剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、及びアミノエチルエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
洗浄剤組成物中におけるアルカリ剤の含有量は、洗浄剤組成物の基板上の残留物に対する高い洗浄性を発現させ、かつ、取扱時の安全性を高める観点から、0.05質量%以上であると好ましく、0.1質量%以上であるとより好ましく、また、同様の観点から、10質量%以下であると好ましく、3質量%以下であるとより好ましい。
洗浄剤組成物のpHは、基板上の残留物の分散性を向上させる観点から、8以上であることが好ましく、より好ましくは9以上、さらに好ましくは10以上、さらにより好ましくは11以上であり、また、同様の観点から、13以下であることが好ましい。なお、上記のpHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定でき、電極の洗浄剤組成物への浸漬後40分後の数値である。
〔各種添加剤〕
前記洗浄剤組成物には、アルカリ剤以外に、非イオン界面活性剤、キレート剤、エーテルカルボキシレートもしくは脂肪酸、アニオン性界面活性剤、水溶性高分子、消泡剤(成分に該当する界面活性剤は除く。)、アルコール類、防腐剤、酸化防止剤等が含まれていていても良い。
前記洗浄剤組成物に含まれる水以外の成分の含有量は、基板上の残留物の分散性の向上及び、濃縮時・使用時の保存安定性の向上の観点から、水の含有量と水以外の成分の含有量の合計を100質量%とすると、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、また、同様の観点から、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。
前記洗浄剤組成物は、希釈して用いられる。希釈倍率は、洗浄効率を考慮すると、好ましくは10倍以上、より好ましくは20倍以上、さらに好ましくは50倍以上であり、また、同様の観点から、好ましくは500倍以下、より好ましくは200倍以下、さらに好ましくは100倍以下である。希釈用の水は、前述の研磨液組成物と同様のものでよい。
本発明の基板製造方法によれば、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥が低減された磁気ディスク基板を提供できるため、高度の表面平滑性が要求される垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板の研磨に好適に用いることができる。
[研磨方法]
本発明は、さらにその他の態様として、下記(1)〜(5)の工程を有し、下記工程(1)〜(3)を同一の研磨機で行い、下記工程(5)を前記研磨機とは別の研磨機で行う磁気ディスク基板の研磨方法であって、下記リンス処理の研磨荷重は工程(1)の研磨荷重の30%以上150%以下であり、下記リンス処理に用いるリンス液組成物のpHは0.5以上12.5以下であり、下記リンス処理の時間は120秒未満である磁気ディスク基板の研磨方法に関する。
(1)アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、(2)工程(1)で得られた基板をリンス処理する工程、(3)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Bを工程(2)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、(4)工程(3)で得られた基板を洗浄する工程、(5)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Cを工程(4)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程。
なお、本発明の研磨方法における被研磨基板、研磨パッド、研磨液組成物A〜Cの組成、リンス処理の方法、洗浄剤組成物、並びに、研磨の方法及び条件については、上述の本発明の基板製造方法と同様とすることができる。
本態様の研磨方法によれば、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥が低減された基板を効率的に製造することができ、製品歩留まりの低下を抑制して基板品質が向上した磁気ディスク基板を生産性よく製造できるという効果が奏されうる。
本発明の研磨方法を使用することにより、粗研磨工程後の基板上のアルミナ突き刺さり及び仕上げ研磨工程後の基板上の突起欠陥が低減して品質が向上した磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板が好ましくは提供される。本発明の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。
本発明はさらに以下の限定されない一又は複数の実施形態に関する。
<1> 下記(1)〜(5)の工程を有し、下記工程(1)〜(3)を同一の研磨機で行い、下記工程(5)を前記研磨機とは別の研磨機で行う、磁気ディスク基板の製造方法であって、下記リンス処理の研磨荷重は工程(1)の研磨荷重の30%以上150%以下であり、下記リンス処理に用いるリンス液組成物のpHは0.5以上12.5以下であり、下記リンス処理の時間は120秒未満である、磁気ディスク基板の製造方法。
(1)アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、
(2)工程(1)で得られた基板をリンス処理する工程、
(3)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Bを工程(2)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、
(4)工程(3)で得られた基板を洗浄する工程、
(5)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Cを工程(4)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程。
<2> 前記リンス処理の研磨荷重が、100%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは75%以下、さらにより好ましくは65%以下であり、又は、40%以上、好ましくは45%以上、より好ましくは55%以上であり、又は、40%〜100%、好ましくは40%〜90%、より好ましくは40%〜85%、さらに好ましくは40%〜75%、さらにより好ましくは45%〜65%、さらにより好ましくは55%〜65%である、<1>記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<3> 前記リンス処理の時間が、100秒以下、好ましくは90秒以下、より好ましくは80秒以下、さらにより好ましくは70秒以下、さらにより好ましくは65秒以下であり、又は、10秒以上、好ましくは10秒を超える時間、より好ましくは15秒以上、さらにより好ましくは20秒以上、さらにより好ましくは30秒以上、さらにより好ましくは35秒以上であり、又は、10秒以上120未満、好ましくは10秒を超え100秒以下、より好ましくは15〜90秒、さらに好ましくは20〜80秒、さらにより好ましくは30〜70秒、さらにより好ましくは35〜65秒である、<1>又は<2>に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<4> 前記リンス液組成物が、酸性又はアルカリ性であり、酸性の場合前記リンス液組成物のpHが、0.5以上であり、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.5以上であり、又は、6.0以下、好ましくは5.5以下、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.5以下であり、又は、0.5〜6.0、好ましくは1.5〜5.5、より好ましくは2.5〜5.0、さらに好ましくは3.5〜4.5であり、アルカリ性の場合前記リンス液組成物のpHが、8.0以上、好ましくは9.0以上、より好ましくは10.0以上、さらに好ましくは11.0以上であり、又は、12.5以下、好ましくは12.0以下であり、又は、8.0〜12.5、好ましくは9.0〜12.5、より好ましくは10.0〜12.0、さらに好ましくは11.0〜12.0である、<1>から<3>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<5> 前記リンス処理のリンス液の供給速度が、被研磨基板1cm2あたり0.25mL/分以上、好ましくは0.8mL/分以上、より好ましくは1mL/分以上であり、又は、被研磨基板1cm2あたり4mL/分以下、好ましくは2.5mL/分以下、より好ましくは2mL/分以下であり、被研磨基板1cm2あたり0.25〜4mL/分であり、好ましくは0.8〜2.5mL/分であり、より好ましくは1〜2mL/分である、<1>から<4>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<6> 前記リンス処理の被研磨基板の線速度が、0.20m/sec以上、好ましくは0.30m/sec以上、より好ましくは0.50m/sec以上、さらに好ましくは0.60m/sec以上であり、又は、1.00m/sec以下、好ましくは0.90m/sec以下、より好ましくは0.80m/sec以下、さらに好ましくは0.75m/sec以下である、<1>から<5>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<7> 前記リンス液組成物が、さらに、アニオン性重合体を含有する、<1>から<6>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<8> 前記アニオン性重合体が(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体である場合、共重合体を構成する全構成単位中に占める2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸由来の構成単位の含有率が、5モル%以上、好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、さらにより好ましくは40モル%以上であり、又は、98モル%以下、好ましくは80モル%以下、より好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下あり、又は、(メタ)アクリル酸と2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との重合モル比((メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)が、95/5〜2/98、好ましくは80/20〜20/80、より好ましくは70/30〜40/60、さらに好ましくは60/40〜50/50である、<7>記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<9> 前記アニオン性重合体がスチレン/スチレンスルホン酸共重合体である場合、共重合体を構成する全構成単位中に占めるスチレンスルホン酸由来の構成単位の含有率が、20モル%以上、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上、又は、95モル%以下、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下であり、又は、スチレンとスチレンスルホン酸との重合モル比(スチレン/スチレンスルホン酸)が、80/20〜5/95、好ましくは70/30〜15/85、より好ましくは60/40〜25/75、さらに好ましくは50/50〜30/70である、<7>記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<10> 前記アニオン性重合体の重量平均分子量が、500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、さらに好ましくは2500以上であり、又は、10万以下、好ましくは5万以下、より好ましくは3万以下、さらに好ましくは2万以下である、<7>から<9>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<11> リンス液組成物における前記アニオン性重合体の含有量が、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.010質量%以上であり、又は、0.500質量%以下、好ましくは0.200質量%以下、より好ましくは0.100質量%以下、さらに好ましくは0.075質量%以下、さらにより好ましくは0.050質量%以下である、<7>から<10>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<12> 前記研磨液組成物Aが、カチオン性重合体を含有する、<1>から<11>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<13> 前記研磨液組成物Bが、スルホン酸基及び/又はカルボン酸基を有する構成単位を含むアニオン性重合体を含有する、<1>から<12>ののいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<14> 前記研磨液組成物Bが、脂肪族複素環化合物又は芳香族複素環化合物を含有する、<1>から<13>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<15> 前記研磨液組成物Bが、ヒドロキシ基数が1以上である含窒素化合物を含有する、<1>から<14>ののいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<16> 前記研磨液組成物Aが、さらにシリカ粒子を含有する、<1>から<15>ののいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<17> 前記被研磨基板が、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板である、<1>から<16>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<18> 下記(1)〜(5)の工程を有し、下記工程(1)〜(3)を同一の研磨機で行い、下記工程(5)を前記研磨機とは別の研磨機で行う、磁気ディスク基板の研磨方法であって、下記リンス処理の研磨荷重は工程(1)の研磨荷重の30%以上150%以下であり、下記リンス処理に用いるリンス液組成物のpHは0.5以上12.5以下であり、下記リンス処理の時間は120秒未満である、磁気ディスク基板の研磨方法。
(1)アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、
(2)工程(1)で得られた基板をリンス処理する工程、
(3)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Bを工程(2)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、
(4)工程(3)で得られた基板を洗浄する工程、
(5)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Cを工程(4)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程。
<19> 前記リンス処理の研磨荷重が、100%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは75%以下、さらにより好ましくは65%以下であり、又は、40%以上、好ましくは45%以上、より好ましくは55%以上であり、又は、40%〜100%、好ましくは40%〜90%、より好ましくは40%〜85%、さらに好ましくは40%〜75%、さらにより好ましくは45%〜65%、さらにより好ましくは55%〜65%である、<18>記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<20> 前記リンス処理の時間が、100秒以下、好ましくは90秒以下、より好ましくは80秒以下、さらにより好ましくは70秒以下、さらにより好ましくは65秒以下であり、又は、10秒以上、好ましくは10秒を超える時間、より好ましくは15秒以上、さらにより好ましくは20秒以上、さらにより好ましくは30秒以上、さらにより好ましくは35秒以上であり、又は、10秒以上120未満、好ましくは10秒を超え100秒以下、より好ましくは15〜90秒、さらに好ましくは20〜80秒、さらにより好ましくは30〜70秒、さらにより好ましくは35〜65秒である、<18>又は<19>に記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<21> 前記リンス液組成物が、酸性又はアルカリ性であり、酸性の場合前記リンス液組成物のpHが、0.5以上であり、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.5以上であり、又は、6.0以下、好ましくは5.5以下、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.5以下であり、又は、0.5〜6.0、好ましくは1.5〜5.5、より好ましくは2.5〜5.0、さらに好ましくは3.5〜4.5であり、アルカリ性の場合前記リンス液組成物のpHが、8.0以上、好ましくは9.0以上、より好ましくは10.0以上、さらに好ましくは11.0以上であり、又は、12.5以下、好ましくは12.0以下であり、又は、8.0〜12.5、好ましくは9.0〜12.5、より好ましくは10.0〜12.0、さらに好ましくは11.0〜12.0である、<18>から<20>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<22> 前記リンス処理のリンス液の供給速度が、被研磨基板1cm2あたり0.25mL/分以上、好ましくは0.8mL/分以上、より好ましくは1mL/分以上であり、又は、被研磨基板1cm2あたり4mL/分以下、好ましくは2.5mL/分以下、より好ましくは2mL/分以下であり、被研磨基板1cm2あたり0.25〜4mL/分であり、好ましくは0.8〜2.5mL/分であり、より好ましくは1〜2mL/分である、<18>から<21>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<23> 前記リンス処理の被研磨基板の線速度が、0.20m/sec以上、好ましくは0.30m/sec以上、より好ましくは0.50m/sec以上、さらに好ましくは0.60m/sec以上であり、又は、1.00m/sec以下、好ましくは0.90m/sec以下、より好ましくは0.80m/sec以下、さらに好ましくは0.75m/sec以下である、<18>から<22>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<24> 前記リンス液組成物が、さらに、アニオン性重合体を含有する、<18>から<23>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<25> 前記アニオン性重合体が(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体である場合、共重合体を構成する全構成単位中に占める2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸由来の構成単位の含有率が、5モル%以上、好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、さらにより好ましくは40モル%以上であり、又は、98モル%以下、好ましくは80モル%以下、より好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下あり、又は、(メタ)アクリル酸と2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との重合モル比((メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)が、95/5〜2/98、好ましくは80/20〜20/80、より好ましくは70/30〜40/60、さらに好ましくは60/40〜50/50である、<24>記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<26> 前記アニオン性重合体がスチレン/スチレンスルホン酸共重合体である場合、共重合体を構成する全構成単位中に占めるスチレンスルホン酸由来の構成単位の含有率が、20モル%以上、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上、又は、95モル%以下、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下であり、又は、スチレンとスチレンスルホン酸との重合モル比(スチレン/スチレンスルホン酸)が、80/20〜5/95、好ましくは70/30〜15/85、より好ましくは60/40〜25/75、さらに好ましくは50/50〜30/70である、<24>記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<27> 前記アニオン性重合体の重量平均分子量が、500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、さらに好ましくは2500以上であり、又は、10万以下、好ましくは5万以下、より好ましくは3万以下、さらに好ましくは2万以下である、<24>から<26>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<28> リンス液組成物における前記アニオン性重合体の含有量が、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.010質量%以上であり、又は、0.500質量%以下、好ましくは0.200質量%以下、より好ましくは0.100質量%以下、さらに好ましくは0.075質量%以下、さらにより好ましくは0.050質量%以下である、<24>から<27>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<29> 前記研磨液組成物Aが、カチオン性重合体を含有する、<18>から<28>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<30> 前記研磨液組成物Bが、スルホン酸基及び/又はカルボン酸基を有する構成単位を含むアニオン性重合体を含有する、<18>から<29>ののいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<31> 前記研磨液組成物Bが、脂肪族複素環化合物又は芳香族複素環化合物を含有する、<18>から<30>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<32> 前記研磨液組成物Bが、ヒドロキシ基数が1以上である含窒素化合物を含有する、<18>から<31>ののいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<33> 前記研磨液組成物Aが、さらにシリカ粒子を含有する、<18>から<32>ののいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
<34> 前記被研磨基板が、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板である、<18>から<33>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
下記のとおりに研磨液組成物A、B及びC、並びに、リンス液組成物を調製し、下記の条件で工程(1)〜(5)を含む被研磨基板の研磨を行った。研磨液組成物の調製方法、使用した添加剤、各パラメーターの測定方法、研磨条件(研磨方法)及び評価方法は以下のとおりである。
1.研磨液組成物A〜C、及びリンス液組成物の調製
[工程(1)で使用する研磨液組成物Aの調製]
下記表1に示すアルミナ粒子を含むアルミナ砥粒1又は2、クエン酸、硫酸、過酸化水素、水、並びに、場合によって下記表2に示すコロイダルシリカ粒子を含むコロイダルシリカ砥粒a、及び、下記表3の添加剤Aを用いて研磨液組成物Aを調製した(下記表4)。研磨液組成物Aの砥粒とその含有量は、実施例1〜18、参考例1、及び比較例1においてアルミナ砥粒1を5.0質量%とした。実施例19〜23では、アルミナ砥粒2を3.0質量%に、さらにコロイダルシリカ粒子aを2.0質量%とした。また、研磨液組成物Aにおけるその他の各成分の含有量は、クエン酸0.3質量%、硫酸0.4質量%、過酸化水素0.6質量%であり、研磨液組成物AのpHは1.4であった。添加剤の含有量は、実施例19〜23において、添加剤Aを0.01質量%とした。なお、上記のpHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用い、電極の浸漬後40分後の数値である(以下同様)。
[工程(3)で使用する研磨液組成物Bの調製]
下記表2に示すコロイダルシリカ粒子を含むコロイダルシリカ砥粒a〜cのいずれか、硫酸、過酸化水素、及び水、並びに場合によって添加剤B、E、Fを用い、研磨液組成物Bを調製した(下記表4)。研磨液組成物Bにおける各成分の含有量は、コロイダルシリカ粒子3.0質量%、硫酸0.2質量%、過酸化水素0.1質量%とした。また、添加剤は実施例10〜19及び23で添加剤Bを0.03質量%とし、実施例20で添加剤Bを0.03質量%、添加剤Eを0.01質量%とし、実施例21及び22で添加剤Bを0.03質量%、添加剤Eを0.01質量%、添加剤Fを0.01質量%とした。なお、研磨液組成物BのpHは1.6であった。
[工程(5)で使用する研磨液組成物Cの調製]
下記表2に示すコロイダルシリカ粒子を含むコロイダルシリカ砥粒c、硫酸、過酸化水素、及び水を用い研磨液組成物Cを調製した。研磨液組成物Cにおける各成分の含有量は、コロイダルシリカ砥粒a3.0質量%、硫酸0.5質量%、過酸化水素0.3質量%であり、研磨液組成物CのpHは1.3であった。
[リンス液組成物の調製]
リンス処理工程(2)に使用するリンス液組成物は次のように調製した。pH7のリンス液組成物は、イオン交換水を使用した。必要に応じて、添加剤B、C又はDを0.03質量%で添加した。pH2及び4のリンス液組成物は、硫酸0.04質量%及び0.0006質量%を調整し作製した。pH10及び12のリンス液組成物は、NaOH0.01質量%及び0.05質量%を調整し作製した。
Figure 2014032718
Figure 2014032718
Figure 2014032718
2.各パラメーターの測定方法
[アルミナ粒子の平均二次粒子径の測定]
0.5質量%ポイズ530(花王社製;特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)水溶液を分散媒として、下記測定装置内に投入し、続いて透過率が75〜95%になるようにサンプルを投入し、その後、5分間超音波を掛けた後、粒径を測定した。
測定機器 :堀場製作所社製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 LA920
循環強度 :4
超音波強度:4
[アルミナのα化率の測定方法]
アルミナスラリー20gを105℃で5時間乾燥させ、得られた乾燥物を乳鉢で解砕して粉末X線回折用サンプルを得た。各サンプルを粉末X線回折法にて分析し、104面におけるピーク面積を比較した。粉末X線回折法による測定条件は下記のとおりとした。
測定条件;
装置:(株)リガク社製、粉末X線解析装置 RINT2500VC
X線発生電圧:40kV
放射線:Cu−Kα1線(λ=0.154050nm)
電流:120mA
Scan Speed:10度/分
測定ステップ:0.02度/分
α化率(%)=αアルミナ特有ピーク面積÷WA−1000のピーク面積×100
また、各ピークの面積は、得られた粉末X線回折スペクトルから、粉末X線回折装置付属の粉末X線回折パターン総合解析ソフトJADE(MDI社)を用いて算出した。上記ソフトによる算出処理は、上記ソフトの取扱説明書(Jade(Ver.5)ソフトウェア、取扱説明書 Manual No.MJ13133E02、(株)リガク社製)に基づいて算出した。なお、WA−1000はα化率99.9%のα−アルミナ(昭和電工社製)である。
[シリカ粒子の平均一次粒子径及び一次粒子径の標準偏差の測定]
シリカ粒子を日本電子社製透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名「JEM-2000FX」、80kV、1〜5万倍)で観察した写真をパソコンにスキャナで画像データとして取込み、解析ソフト「WinROOF(Ver.3.6)」(販売元:三谷商事)を用いて1000〜2000個のシリカ粒子データについて1個1個のシリカ粒子の円相当径を求め、それを直径とし、表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社製)にて、体積基準の粒径の標準偏差(標本標準偏差)を得た。また、前記表計算ソフト「EXCEL」にて、粒子直径から粒子体積に換算して得られるシリカ粒子の粒径分布データに基づき、全粒子中における、ある粒径の粒子の割合(体積基準%)を小粒径側からの累積頻度として表し、累積体積頻度(%)を得た。得られたシリカ粒子の粒径及び累積体積頻度データに基づき、粒径に対して累積体積頻度をプロットすることにより、粒径対累積体積頻度グラフが得られる。前記グラフにおいて、小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径をシリカ粒子の平均一次粒子径(D50)とした。また、小粒径側からの累積体積頻度が10%となる粒径をシリカ粒子の一次粒子径(D10)とし、小粒径側からの累積体積頻度が90%となる粒径をシリカ粒子の一次粒子径(D90)とした。
[添加剤A−D:重量平均分子量の測定]
添加剤A〜Dの共重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。標準サンプルを用いて較正曲線を求め、その較正曲線を基に重合体の重量平均分子量(Mw)を求めた。
〔添加剤AのGPC条件〕
・測定装置:L−6000形 高速液体クロマトグラフ(日立製作所社製)
・カラム:アサヒパックGS−220HQ+ GS−620HQ(昭和電工社製)
・カラム温度:30℃
・溶離液:0.4mol/L塩化ナトリウム水溶液
・流速:1.0mL/分
・試料サイズ:5mg/mL
・検出器:RI(ショーデックスRISE−61、昭和電工社製)
・換算標準:ポリエチレングリコール(分子量106、194、440、600、1470、4100、7100、10300、12600、23000 American Polymer Standards Corp.製)
〔添加剤BのGPC条件〕
カラム :TSKgel G4000PWXL+TSKgel G2500PWXL(東ソー社製)
ガードカラム:TSKguardcolumn PWXL(東ソー社製)
溶離液 :0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1(体積比)
温度 :40℃
流速 :1.0mL/min
試料サイズ:5mg/mL
検出器 :RI
換算標準 :ポリアクリル酸Na(分子量(Mp):11.5万、2.8万、4100、1250(創和科学社及びAmerican Polymer Standards Corp.製))
〔添加剤CのGPC条件〕
カラム :TSKgel α−M+TSKgel α−M(東ソー社製)
ガードカラム:TSKguardcolumn α(東ソー社製)
溶離液 :60mmol/L リン酸,50mmol/L LiBr/DMF
温度 :40℃
流速 :1.0mL/min
試料サイズ:3mg/mL
検出器 :RI
換算標準 :ポリスチレン(分子量(Mw):590、3600、3万、9.64万、92.9万、842万(東ソー社、西尾工業社、chemco社製))
〔添加剤DのGPC条件〕
測定装置 :HLC−8220GPC(東ソー社製)
・カラム :G4000SWXL+G2500SWXL(東ソー社製)
・溶離液 :30mM 酢酸ナトリウム/CH3CN=6/4体積比 (pH6.9)
・温度 :40℃
・流速 :1.0mL/min
・試料サイズ:5mg/mL
・注入量 :100μL
・検出器 :UV280nm(東ソー社製)
・標準物質:ポリスチレン(分子量(Mw):4000、3万、9.64万、90万、842万(東ソー社、西尾工業社、chemco社製))
3.研磨条件
[被研磨基板]
被研磨基板は、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚み1.27mm、直径95mm(中心部直径25mmの穴あきドーナツ型)であった。
[被研磨基板の研磨]
工程(1)〜(5)を含む被研磨基板の研磨を行った。各工程の条件を以下に示す。なお、工程(1)〜(3)を同一の研磨機で行い、工程(5)を前記研磨機とは別個の研磨機で行った。
[工程(1):第1の粗研磨]
研磨機:両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム社製)
研磨パッド:スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー)、厚み1.04mm、平均気孔径43μm(FILWEL社製)
定盤回転数:45rpm
研磨荷重:9.8kPa(=100g重/cm2)(設定値)
研磨液供給量:100mL/分(0.076mL/(cm2・分))、3分間
研磨量:1.0〜1.2mg/cm2
投入した基板の枚数:10枚(両面研磨)
[工程(2):中間リンス]
リンス条件:
研磨機及び研磨パッド:工程(1)と同じ
定盤回転数:45rpm、23rpm、52rpm
研磨荷重:100、40、60、80、150g重/cm2(設定値)
(=9.8、3.92、5.88、7.84、14.7kPa)
イオン交換水供給量:2L/分(1.52mL/(cm2・分))で10、20、40、60、90、120秒間
[工程(3):第2の粗研磨]
研磨機及び研磨パッド:工程(1)と同じ
定盤回転数:45rpm
研磨荷重:9.8kPa(設定値)
研磨液供給量:100mL/分(0.076mL/(cm2・分))、1分間
研磨量:0.02〜0.04mg/cm2
工程(3)は上記の条件で研磨した後、下記の条件によるリンス工程を含む。
リンス条件:
定盤回転数:20rpm
研磨荷重:1.4kPa
イオン交換水供給量:2L/分で15秒間
[工程(4):洗浄]
工程(3)で得られた基板を、下記条件で洗浄した。
1. 0.1質量%のKOH水溶液からなるpH12のアルカリ性洗浄剤組成物の入った槽内に、工程(3)で得られた基板を5分間浸漬する。
2. 浸漬後の基板を、イオン交換水で20秒間すすぎを行う。
3. すすぎ後の基板を洗浄ブラシがセットされたスクラブ洗浄ユニットに移送し洗浄する。
[工程(5):仕上げ研磨]
研磨機:両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム社製)、工程(1)〜(3)で使用した研磨機とは別個の研磨機
研磨パッド:スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー)、厚み1.0mm、平均気孔径5μm(FILWEL社製)
定盤回転数:40rpm
研磨荷重:9.8kPa(設定値)
研磨液供給量:100mL/分(0.076mL/(cm2・分))、4分間
研磨量:0.2〜0.3mg/cm2
投入した基板の枚数:10枚(両面研磨)
工程(5)後に、リンス及び洗浄を行った。リンスは、前記工程(3)と同条件で行い、洗浄は前記工程(4)と同条件で行った。
4.評価方法
[洗浄工程(4)後のアルミナ突き刺さりの評価方法]
測定機器:OSA7100(KLA Tencor社製)
評価:洗浄工程(4)で得られた基板を、研磨量0.05mg/cm2とした以外は、工程(5)と同一の条件にて、研磨液組成物Cを用いて研磨を行い、リンス及び洗浄を行った後、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してアルミナ突き刺さり数を測定した。その4枚の基板の各々両面にあるアルミナ突き刺さり数(個)の合計を8で除して、基板面当たりのアルミナ突き刺さり数(個)を算出した。その結果を、下記表4に、比較例1を100とした相対値として示す。なお、リンス条件は、前記工程(3)における条件と同様であり、洗浄条件は、前記工程(4)と同条件で行った。
[仕上げ研磨工程(5)後の突起欠陥数の評価方法]
測定機器:OSA7100(KLA Tencor社製)
評価:仕上げ研磨工程(5)の後に、前記工程(4)と同じ条件でスクラブ洗浄を行った基板のうち、無作為に4枚を選択し、各々の基板を8000rpmにてレーザーを照射して突起欠陥数を測定した。その4枚の基板の各々両面にある突起欠陥数(個)の合計を8で除して、基板面当たりの突起欠陥数を算出した。その結果を、下記表4に、比較例1を100とした相対値として示す。
Figure 2014032718
表4に示すとおり、中間リンス処理工程(2)を有する実施例1〜23は、リンス処理をしない比較例1に比べて、工程(4)後(粗研磨終了後)の基板上のアルミナ突き刺さり、及び、工程(5)後(仕上げ研磨終了後)の基板上の突起欠陥が著しく低減した。また、実施例1〜23は、参考例1に比べリンス処理時間が短いにもかかわらず、参考例1と同等かそれ以上の工程(4)後(粗研磨終了後)の基板上のアルミナ突き刺さり、及び、工程(5)後(仕上げ研磨終了後)の基板上の突起欠陥の低減を示した。
また、実生産においては、仕上げ研磨後、突起欠陥が多い場合には、磁気ディスク用基板として用いることができないため、再研磨又は廃棄されることから、本発明の仕上げ研磨後の突起欠陥数を低減する効果は基板収率の向上を期待することができる。
本発明の磁気ディスク基板の製造方法は、例えば、高記録密度の磁気ディスク基板の製造に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 下記(1)〜(5)の工程を有し、下記工程(1)〜(3)を同一の研磨機で行い、下記工程(5)を前記研磨機とは別の研磨機で行う、磁気ディスク基板の製造方法であって、下記リンス処理の研磨荷重は工程(1)の研磨荷重の30%以上150%以下であり、下記リンス処理に用いるリンス液組成物のpHは0.5以上12.5以下であり、下記リンス処理の時間は120秒未満である、磁気ディスク基板の製造方法。
    (1)アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、
    (2)工程(1)で得られた基板をリンス処理する工程、
    (3)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Bを工程(2)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、
    (4)工程(3)で得られた基板を洗浄する工程、
    (5)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Cを工程(4)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程。
  2. 前記リンス処理の研磨荷重が、工程(1)の研磨荷重の40%〜85%である、請求項1記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  3. 前記リンス処理の時間が、10秒以上である、請求項1又は2記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  4. 前記リンス液組成物のpHが、0.5〜6.0又は8.0〜12.5である、請求項1から3のいずれかに記載の磁気ディスクの製造方法。
  5. 前記研磨液組成物Aが、カチオン性重合体を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  6. 前記研磨液組成物Bが、スルホン酸基及び/又はカルボン酸基を有する構成単位を含むアニオン性重合体を含有する、請求項1から5のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  7. 前記研磨液組成物Bが、脂肪族複素環化合物又は芳香族複素環化合物を含有する、請求項1から6のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  8. 前記研磨液組成物Bが、ヒドロキシ基数が1以上である含窒素化合物を含有する、請求項1から7のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  9. 前記研磨液組成物Aが、さらにシリカ粒子を含有する、請求項1から8のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  10. 前記被研磨基板が、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板である、請求項1から9のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  11. 下記(1)〜(5)の工程を有し、下記工程(1)〜(3)を同一の研磨機で行い、下記工程(5)を前記研磨機とは別の研磨機で行う、磁気ディスク基板の研磨方法であって、下記リンス処理の研磨荷重は工程(1)の研磨荷重の30%以上150%以下であり、下記リンス処理に用いるリンス液組成物のpHは0.5以上12.5以下であり、下記リンス処理の時間は120秒未満である、磁気ディスク基板の研磨方法。
    (1)アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、
    (2)工程(1)で得られた基板をリンス処理する工程、
    (3)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Bを工程(2)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程、
    (4)工程(3)で得られた基板を洗浄する工程、
    (5)シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Cを工程(4)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程。
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