JP6148932B2 - 磁気ディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、磁気ディスク基板用研磨液組成物、磁気ディスク基板の製造方法、及び、磁気ディスク基板の研磨システムに関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。そこで、高記録密度磁気信号の検出感度を向上させる必要があり、磁気ヘッドの浮上高さをより低下し、単位記録面積を縮小する技術開発が進められている。磁気ディスク基板は、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、平滑性及び平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)や表面欠陥低減(残留砥粒、スクラッチ、突起、ピット等の低減)が厳しく要求されている。
このような要求に対して、より平滑で、傷が少ないといった表面品質向上と生産性の向上を両立させる観点から、ハードディスク基板の製造方法においては、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式が採用されることが多い。一般に、多段研磨方式の最終研磨工程、即ち、仕上げ研磨工程では、表面粗さの低減、スクラッチ、突起、ピット等の傷の低減という要求を満たすために、コロイダルシリカ粒子を含む仕上げ用研磨液組成物が使用され、仕上げ研磨工程より前の研磨工程(粗研磨工程ともいう)では、生産性向上の観点から、アルミナ粒子を含む研磨液組成物が使用される。しかしながら、アルミナ粒子を砥粒として使用した場合、アルミナ粒子の基板への突き刺さりに起因するテキスチャースクラッチによって、メディアの欠陥を引き起こすことがある。
一般的にシリカ粒子を用いた場合、アルミナ粒子と比較して研磨速度が低いことが知られている。そこで、これまでにシリカ粒子による速度向上検討が行われてきた(例えば、特許文献1〜3)。
また、研磨液組成物に添加剤(助剤)を添加することによる研磨後基板表面のうねりの低減(特許文献4)や研磨後の端面ダレ(ロールオフ)の低減(特許文献5)も試みられている。
特開2009−91197号公報 特開2010−192904号公報 特開2008−13655号公報 特開2004−204118号公報 特開2009−155469号公報
磁気ディスク基板の研磨工程においてアルミナ粒子を使用しない粗研磨工程及び仕上げ研磨工程を採用すれば、残留アルミナ(例えば、アルミナ付着、アルミナ突き刺さり)を無くすことができるから突起欠陥が低減する。しかし、アルミナ粒子に換えてシリカ粒子を砥粒とした研磨液組成物で粗研磨工程及び仕上げ研磨工程を行う場合には、粗研磨における長波長うねりを低減させるために研磨速度を著しく低下させる必要があるという問題がある。この問題に対して、所定のパラメータで規定される非球状シリカ粒子を砥粒として粗研磨を行えば、実質的にアルミナ粒子を含まない場合であっても、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減できるという知見が見出された(特願2012−267314、特願2012−267313)。
前述の所定の非球状シリカ粒子を砥粒として用いた粗研磨において、さらに長波長うねりを低減しようとした場合、ロールオフ(端面ダレ)が増加(悪化)するという問題がある。一般的に、長波長うねりとロールオフとはトレードオフの関係にあり、一方が改善すれば一方が悪化する。
そこで、本開示は、一態様において、前述の所定の非球状シリカ粒子を砥粒として含有する研磨液組成物であって、粗研磨における研磨速度を大きく損ねることなく、また、粗研磨後のロールオフを大きく悪化させることなく、粗研磨後の基板表面の長波長うねりを低減できる磁気ディスク基板用研磨液組成物を提供する。
本発明は、一態様において、非球状シリカ粒子、アルキレンオキサイド化合物、及び水を含む磁気ディスク基板用研磨液組成物であって、
前記非球状シリカ粒子は、2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状であり、
前記アルキレンオキサイド化合物が、グリセリン骨格を有するエチレンオキサイド(EO)及び/又はプロピレンオキサイド(PO)付加化合物であり、
前記アルキレンオキサイド化合物の水酸基1価に対するEOの平均付加モル数が1.00を超え6.67未満であるか、或いは、水酸基1価に対するPOの平均付加モル数が0.33を超え6.00以下である磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
本発明は、その他の態様において、
(1)本開示にかかる研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨対象面を研磨する工程、
(2)工程(1)で得られた基板を洗浄する工程、及び、
(3)シリカ粒子を含有する研磨液組成物を用いて工程(2)で得られた基板の研磨対象面研磨対象面を研磨する工程を有し、
前記工程(1)と(3)は別の研磨機で行う、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
本発明は、その他の態様において、本開示にかかる研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨する第一の研磨機と、前記第一研磨機で研磨した基板を洗浄する洗浄ユニットと、シリカ粒子を含有する研磨液組成物を用いて洗浄後の基板を研磨する第二の研磨機とを備える磁気ディスク基板の研磨システムに関する。
本発明の製造方法は、アルミナ粒子を使用しないから粗研磨後及び仕上げ研磨後の突起欠陥を大幅に低減できる。また、本発明の製造方法によれば、粗研磨における研磨速度を大きく損ねることなく、かつ、粗研磨後のロールオフを大きく悪化させることなく、粗研磨後の基板表面の長波長うねりを低減できるという効果が奏されうる。該効果が奏される作用機構の詳細は明らかではないが、以下のように推定される。すなわち、アルキレンオキサイド化合物が粒子表面に吸着し、基板と粒子間の切削摩擦を軽減することにより、基板端部にかかる過度な抵抗が特に軽減され、ロールオフの悪化を抑制できる。また、摩擦が軽減されることにより、研磨均一性が向上し、長波長うねりをより低減できる。但し、本発明はこれらのメカニズムに限定されない。
図1は、金平糖型コロイダルシリカ砥粒A(A1)の電子顕微鏡(TEM)観察写真の一例である。 図2は、異形型コロイダルシリカ砥粒A(A2)の電子顕微鏡(TEM)観察写真の一例である。 図3は、研磨システムの一実施形態を説明する図である。 図4は、磁気ディスク基板の製造方法の研磨工程の一実施形態を説明する図である。 図5は、本開示の実施例におけるロールオフ値の測定時の測定位置を示す断面図である。
本開示は、所定の非球状シリカ粒子を砥粒として含有する研磨液組成物に、グリセリン骨格を有するエチレンオキサイド(EO)及び/又はプロピレンオキサイド(PO)付加化合物を添加することにより、粗研磨における研磨速度を、及び、粗研磨後のロールオフを大きく悪化させることなく、粗研磨後の基板表面の長波長うねりを低減できるという知見に基づく。
本明細書において、基板の「うねり」とは、粗さよりも波長の長い基板表面の凹凸をいう。本明細書において「長波長うねり」とは、500〜5000μmの波長により観測されるうねりをいう。研磨後の基板表面のうねりが低減されることにより、磁気ヘッドの浮上量が低減でき、磁気ディスク基板の記録密度向上が可能となる。基板表面の長波長うねりは、例えば、実施例に記載の測定器を用いて測定できる。
[研磨液組成物A]
本開示は、一態様において、非球状シリカ粒子、アルキレンオキサイド化合物、及び水を含む磁気ディスク基板用研磨液組成物に関し、本開示において、研磨液組成物Aともいう。
[シリカ粒子A]
本開示にかかる研磨液組成物Aに含有される非球状シリカ粒子を、本開示において、シリカ粒子Aともいう。
シリカ粒子Aのシリカとしては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられる。粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点及び突起欠陥低減の観点から、コロイダルシリカが好ましく、下記のパラメータを満たす特定の形状をもったコロイダルシリカがより好ましい。また、シリカ粒子Aは、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点及び突起欠陥低減の観点から、火炎溶融法やゾルゲル法で製造されたものでも構わないが、水ガラス法で製造されたシリカ粒子であることが好ましい。
[シリカ粒子Aの形状]
シリカ粒子Aの形状は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点及び仕上げ研磨後の突起欠陥及び長波長うねりの低減の観点から、2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状である。シリカ粒子Aは、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、金平糖型のシリカ粒子A1、異形型のシリカ粒子A2、及び異形かつ金平糖型のシリカ粒子A3からなる群から選択される少なくとも1種類のシリカ粒子であることが好ましい。
本開示において、金平糖型のシリカ粒子A1は、球状の粒子表面に特異な疣状突起を有するシリカ粒子をいう。シリカ粒子A1は、一又は複数の実施形態において、最も小さいシリカ粒子の粒径を基準にして、粒径が5倍以上異なる2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状である。好ましくは該小さい粒子が該大きな粒子に一部埋没した状態である。なお、前記粒径は、電子顕微鏡(TEMなど)観察画像において1つの粒子内で測定される円相当径、すなわち、粒子の投影面積と同じ面積の等価円の長径として求められうる。シリカ粒子A2及びシリカ粒子A3における粒径も同様に求めることができる。
本開示において、異形型のシリカ粒子A2は、2つ以上の粒子、好ましくは2〜10個の粒子が凝集又は融着した形状のシリカ粒子をいう。シリカ粒子A2は、一又は複数の実施形態において、最も小さいシリカ粒子の粒径を基準にして、粒径が1.5倍以内の2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状である。
本開示において、異形かつ金平糖型のシリカ粒子A3は、2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状の粒子いう。シリカ粒子A3は、一又は複数の実施形態において、粒径が1.5倍以内の2つ以上の粒子が凝集又は融着した粒子に、さらに、凝集又は融着した前記粒子の最も小さいシリカ粒子の粒径を基準にして粒径が1/5以下の小さな粒子が凝集又は融着した形状である。
シリカ粒子Aは、一又は複数の実施形態において、シリカ粒子A1、A2、A3のいずれか1つ、シリカ粒子A1、A2、A3のいずれか2つ、又は、シリカ粒子A1、A2、及びA3のすべてを含む。シリカ粒子Aにおけるシリカ粒子A1、A2、及びA3の合計が占める割合(質量比)は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上である。
シリカ粒子Aがシリカ粒子A1及びA2を含む場合、A1/A2の質量比率は、一又は複数の実施形態において、好ましくは5/95〜95/5の範囲である。粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、A1/A2の質量比率は、より好ましくは20/80〜80/20であり、さらに好ましくは20/80〜60/40であり、さらにより好ましくは20/80〜40/60であり、さらにより好ましくは20/80〜30/70である。
[シリカ粒子Aの平均粒子径(D50)]
本発明のシリカ粒子Aの平均粒子径(D50)は、レーザー光散乱法で測定した体積平均粒子径(D50)である。シリカ粒子Aの平均粒子径(D50)は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、50nm以上が好ましく、より好ましくは60nm以上、さらに好ましくは100nm以上、さらにより好ましくは110nm以上である。シリカ粒子Aの平均粒子径(D50)は、同様に、500nm以下が好ましく、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下、さらにより好ましくは200nm以下、さらにより好ましくは150nm以下である。また、シリカ粒子Aの平均粒子径(D50)は、同様の観点から、好ましくは50〜500nmであり、より好ましくは60〜400nm、さらに好ましくは100〜300nm、さらにより好ましくは110〜200nm、さらにより好ましくは110〜150nmである。また、シリカ粒子Aの平均粒子径(D50)は研磨速度向上の観点から、50nm以上が好ましく、より好ましくは60nm以上、さらに好ましくは100nm以上、さらにより好ましくは110nm以上である。同様に、500nm以下が好ましく、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下、さらにより好ましくは200nm以下、さらにより好ましくは180nm以下である。また、シリカ粒子Aの平均粒子径(D50)は、同様の観点から、好ましくは50〜500nmであり、より好ましくは60〜400nm、さらに好ましくは100〜300nm、さらにより好ましくは110〜200nm、さらにより好ましくは110〜180nmである。
[シリカ粒子Aの絶対最大長]
本開示において、粒子の絶対最大長とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離の最大値の長さをいう。シリカ粒子Aの絶対最大長は、電子顕微鏡観察で得られる。シリカ粒子Aの絶対最大長の平均値(以下、「平均絶対最大長」ともいう。)は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、80nm以上であり、好ましくは90nm以上、さらに好ましくは100nm以上、さらにより好ましくは110nm以上、さらにより好ましくは120nm以上である。シリカ粒子Aの平均絶対最大長は、同様の観点から、500nm以下であり、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは200nm以下、さらにより好ましくは150nm以下である。また、シリカ粒子Aの平均絶対最大長は、同様に、好ましくは80〜500nmであり、より好ましくは90〜400nm、さらに好ましくは90〜300nm、さらにより好ましくは90〜150nmである。また、シリカ粒子Aの平均絶対最大長は、研磨速度向上の観点から、80nm以上であり、好ましくは90nm以上、さらに好ましくは100nm以上、さらにより好ましくは110nm以上、さらにより好ましくは120nm以上である。シリカ粒子Aの平均絶対最大長は、同様の観点から、500nm以下であり、好ましくは450nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは380nm以下、さらにより好ましくは350nm以下である。また、シリカ粒子Aの平均絶対最大長は、同様に、好ましくは80〜500nmであり、より好ましくは90〜450nm、さらに好ましくは100〜400nm、さらにより好ましくは110〜380nm、さらにより好ましくは120〜350nmである。また、シリカ粒子Aの平均絶対最大長は、粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、80nm以上であり、好ましくは83nm以上、さらに好ましくは85nm以上である。シリカ粒子Aの平均絶対最大長は、同様の観点から、500nm以下であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは100nm以下である。また、シリカ粒子Aの平均絶対最大長は、同様の観点から、好ましくは80〜500nmであり、より好ましくは83〜300nm、さらに好ましくは85〜100nmである。なお、平均絶対最大長は、実施例に記載の方法により求めることができる。
[シリカ粒子Aの面積率(b/a×100)]
本開示において、面積率(b/a×100)とは、粒子の絶対最大長を直径とする円の面積bを、電子顕微鏡観察で得られる該粒子の投影面積aで除して100を乗じた値(%)をいう。
シリカ粒子Aは、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、シリカ粒子Aを構成する個々のシリカ粒子の面積率(b/a×100)が110〜200%であるシリカ粒子を、全シリカ粒子A中に、30質量%以上含有し、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%、さらにより好ましくは80〜100質量%、さらにより好ましくは90〜100質量%含有する。なお、個々のシリカ粒子の質量は、電子顕微鏡観察で得られる該粒子の投影面積aを球断面積として球に換算して体積を求め、さらにシリカ粒子の密度を2.2g/cm3として計算して得られる。
シリカ粒子Aの面積率(b/a×100)の平均値は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、110%以上であることが好ましい。また、同様の観点から、シリカ粒子Aの面積率(b/a×100)の平均値は、200%以下であることが好ましく、より好ましくは180%以下、さらに好ましくは150%以下、さらにより好ましくは140%以下である。シリカ粒子Aの面積率(b/a×100)の平均値は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、好ましくは110〜200%であり、より好ましくは110〜180%、さらに好ましくは110〜150%、さらにより好ましくは110〜140%である。また、シリカ粒子Aの面積率(b/a×100)の平均値は、研磨速度向上と長波長うねり低減の両立の観点から、好ましくは110〜200%であり、より好ましくは120〜200%、さらに好ましくは130〜200%、さらにより好ましくは140〜200%である。
[シリカ粒子AのBET比表面積]
シリカ粒子AのBET比表面積は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、10〜200m2/gが好ましく、より好ましくは20〜100m2/g、さらに好ましくは30〜80m2/gである。
[研磨液組成物A中のシリカ粒子Aの含有量]
研磨液組成物Aに含まれるシリカ粒子Aの含有量は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上がさらにより好ましい。また、該含有量は、経済性の観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下がさらにより好ましい。したがって、シリカ粒子の含有量は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、並びに経済性の観点から、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましく、2〜15質量%がさらにより好ましい。
[アルキレンオキサイド化合物]
研磨液組成物Aに含まれるアルキレンオキサイド化合物は、グリセリン骨格を有するエチレンオキサイド(EO)及び/又はプロピレンオキサイド(PO)付加化合物である。一又は複数の実施形態において、グリセリン骨格を有するEO及び/又はPO付加物は、グリセリン骨格を有する3価以上の多価アルコールのEO及び/又はPO付加物である。グリセリン骨格を有する3価以上の多価アルコールとしては、一又は複数の実施形態において、一分子中の水酸基の価数が3〜8価、3〜6価又は3〜4価である。粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなくかつ粗研磨後のロールオフを大幅に悪化させることなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、グリセリン骨格を有する3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンが挙げられる。
アルキレンオキサイド化合物は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなくかつ粗研磨後のロールオフを大幅に悪化させることなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、水酸基1価に対するEOの平均付加モル数が1.00を超え6.67未満であるか、或いは、水酸基1価に対するPOの平均付加モル数が0.33を超え6.00以下である。
アルキレンオキサイド化合物における水酸基1価に対するEOの平均付加モル数としては、一又は複数の実施形態において、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなくかつ粗研磨後のロールオフを大幅に悪化させることなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、1.00を超え、好ましくは1.25以上、より好ましくは1.50以上、さらに好ましくは2.00以上、さらにより好ましくは3.00以上であり、又は、6.67未満であり、好ましくは6.00以下、より好ましくは5.00以下、さらに好ましくは4.50以下、さらにより好ましくは4.00以下であり、又は、1.00を超え6.67未満、好ましくは1.25以上6.00以下、より好ましくは1.50以上5.00以下、さらに好ましくは2.00以上4.50以下、さらにより好ましくは3.00以上4.00以下である。
アルキレンオキサイド化合物における水酸基1価に対するPOの平均付加モル数としては、一又は複数の実施形態において、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなくかつ粗研磨後のロールオフを大幅に悪化させることなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、0.33を超え、好ましくは0.50以上、より好ましくは1.00以上、さらに好ましくは2.00以上、さらにより好ましくは2.25以上であり、又は、6.00以下であり、好ましくは5.00以下、より好ましくは4.50以下、さらに好ましくは4.00以下、さらにより好ましくは3.50以下であり、又は、0.33を超え6.00以下、好ましくは0.50以上5.00以下、より好ましくは1.00以上4.50以下、さらに好ましくは2.00以上4.00以下、さらにより好ましくは2.25以上3.50以下である。
アルキレンオキサイド化合物における水酸基1価に対する平均付加モル数でEOとPOが混在する場合には、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなくかつ粗研磨後のロールオフを大幅に悪化させることなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、上記EO付加モル数と上記PO付加モル数の付加モル数の割合に応じた付加モル数が好ましい。例えば、好ましいEO部分の付加モル数は、EO付加モル数とPO付加モル数の合計におけるEOの好ましいモル割合を乗じた値となる。PO部分の付加モル数の好ましい範囲も同様である。
粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく、粗研磨後のロールオフ及び長波長うねりを低減する観点からは、研磨液組成物Aに含まれるアルキレンオキサイド化合物は、一又は複数の実施形態において、グリセリンのEO及び/又はPO付加物が好ましい。また、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなくかつ粗研磨後のロールオフを大幅に悪化させることなく、粗研磨後の長波長うねりをいっそう低減する観点からは、研磨液組成物Aに含まれるアルキレンオキサイド化合物は、一又は複数の実施形態において、ジグリセリンのEO及び/又はPO付加物が好ましい。
グリセリンのEO及び/又はPO付加物は、一又は複数の実施形態において、下記式(I)で表されるものであり、ジグリセリンのEO及び/又はPO付加物は、一又は複数の実施形態において、下記式(II)で表されるものである。
式(I)及び(II)において、PO/EOは、プロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイドであり、POとEOとが共存する場合には、POとEOは、順序にとりきめはなく、ブロックで配置されてよくランダムで配置されてもよい。x、y、z、p、q、r、sはそれぞれ付加モル数を表し、付加モル数がゼロのとき、PO/EOは水素原子を表す。
[平均付加モル数]
本開示において、アルキレンオキサイド化合物における水酸基1価に対するEO及び/又はPOの平均付加モル数は、グリセリン骨格を有する化合物の水酸基1価に対してのEO及び/又はPOの付加モル数の平均値をいう。したがって、前記式(I)で表されるグリセリンのEO及び/又はPO付加物の平均付加モル数は、「(x+y+z)/3」と考えることができ、前記式(II)で表されるジグリセリンのEO及び/又はPO付加物の平均付加モル数は、「(p+q+r+s)/4」と考えることができる。したがって、グリセリンのEO付加物におけるEOの付加モル数が3のとき、当該化合物の水酸基1価に付加されるEOの平均付加モル数は1となる。同様に、ジグリセンリンのPO付加物におけるPOの付加モル数が3のとき、当該化合物の水酸基1価に付加されるEOの平均付加モル数は0.75となる。
本開示において、グリセリン骨格を有するEO又はPO付加物の製造は、一又は複数の実施形態において、オートクレーブ等の反応容器に、グリセリンやジグリセリン等と水酸化ナトリウム等の触媒を入れて好ましくは窒素置換を行なった後、120℃〜150℃程度に加熱しながら、EOもしくはPOを徐々に導入して付加反応を行なう。反応後、100℃以下に冷却し、酢酸などの酸を加えて中和して得ることができる。
[研磨液組成物A中のアルキレンオキサイド化合物の含有量]
研磨液組成物A中のアルキレンオキサイド化合物の含有量は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなくかつ粗研磨後のロールオフを大幅に悪化させることなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、0.0025〜0.1質量%が好ましく、0.005〜0.05質量%が更に好ましく、0.01〜0.03質量%がより好ましい。
[水]
研磨液組成物Aは、媒体として水を含有する。水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。研磨液組成物A中の水の含有量は、研磨液組成物の取扱いが容易になるため、61〜99質量%が好ましく、より好ましくは70〜98質量%、さらに好ましくは80〜97質量%、さらにより好ましくは85〜97質量%である。
[アルミナ砥粒]
研磨液組成物Aは、突起欠陥低減の観点からアルミナ砥粒を実質的に含まないことが好ましい。本明細書において「アルミナ砥粒を実質的に含まない」とは、一又は複数の実施形態において、アルミナ粒子を含まないこと、砥粒として機能する量のアルミナ粒子を含まないこと、又は、研磨結果に影響を与える量のアルミナ粒子を含まないこと、を含みうる。具体的なアルミナ粒子の含有量は、特に限定されるわけではないが、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、実質的に0%であることがさらにより好ましい。
[研磨液組成物A中の酸]
研磨液組成物Aは、研磨速度の向上の観点から、酸を含有することが好ましい。研磨液組成物Aにおける酸の使用は、酸及び又はその塩の使用を含む。使用される酸としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、ヒドロキシホスホノ酢酸、フィチン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。中でも、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩がより好ましく、硫酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩がさらに好ましく、硫酸がさらにより好ましい。
これらの酸及びその塩は単独で又は2種以上を混合して用いてもよいが、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、2種以上を混合して用いることが好ましく、リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)からなる群から選択される2種以上の酸を混合して用いることがさらに好ましい。
これらの酸の塩を用いる場合は、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物A中における前記酸の含有量は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、0.001〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜4質量%、さらに好ましくは0.05〜3質量%、さらにより好ましくは0.1〜2質量%である。
[研磨液組成物A中の酸化剤]
前記研磨液組成物Aは、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、酸化剤を含有することが好ましい。酸化剤としては、研磨速度及び残留アルミナ低減の観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩等が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が好ましく、研磨速度向上の観点、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から、過酸化水素がより好ましい。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物A中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。また、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、上記含有量は、好ましくは0.01〜4質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜1.5質量%である。
[研磨液組成物A中のその他の成分]
研磨液組成物Aには、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、研磨速度向上剤、界面活性剤、高分子化合物等が挙げられる。研磨液組成物A中のこれら他の任意成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で配合されることが好ましく、0〜10質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。
前記研磨液組成物Aは、粗研磨時の長波長うねり低減の観点、研磨パッドライフ向上の観点から、摩擦低減剤を含有することが好ましい。摩擦低減剤としては、研磨速度の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムやアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムやポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム等が好ましく、研磨速度向上の観点、研磨パッドライフ向上の観点から、ポリオキシエチレン(EO(3))ラウリルエーテル硫酸エステルナトリウムがより好ましい。これらの摩擦低減剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物A中における前記摩擦低減剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.0025質量%以上、さらに好ましくは0.005質量%以上であり、粗研磨時の長波長うねり低減の観点、研磨パッドライフ向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。また、粗研磨時の長波長うねり低減の観点、研磨パッドライフ向上の観点の観点から、上記含有量は、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.0025〜0.1質量%、さらに好ましくは0.005〜0.1質量%である。
[研磨液組成物A中の速度向上剤]
研磨液組成物A中には、速度向上の観点から硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄からなる群より選択される少なくとも1種類の塩を含有しても良い。粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、上記含有量は、好ましくは0.005〜5.0質量%、より好ましくは0.05〜3.0質量%、さらに好ましくは0.07〜2.0質量%、よりさらに好ましくは0.1〜1.0質量%である。なお、これらの化合物は、酸化剤と反応して活性化する。研磨液組成物A中で酸化剤と長期にわたり共存することで酸化剤の安定性が損なわれることを回避する観点から、研磨を行う直前に前記化合物と研磨液組成物Aとを混合することが好ましい。あるいは、同様の観点から、研磨機上に2つの研磨液供給口を設け研磨時に同時に研磨液組成物Aと前記化合物を供給することにより研磨機内で混合する方法が好ましい。
[研磨液組成物AのpH]
研磨液組成物AのpHは、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、前述の酸や公知のpH調整剤を用いて、pH0.5〜6.0に調整することが好ましく、より好ましくはpH0.7〜4.0、さらに好ましくはpH0.9〜3.0、さらにより好ましくはpH1.0〜3.0、さらにより好ましくはpH1.0〜2.0である。なお、上記のpHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、電極の研磨液組成物への浸漬後2分後の数値である。
[研磨液組成物Aの調製方法]
研磨液組成物Aは、例えば、シリカ粒子A及び水と、さらに所望により、酸化剤、酸及び他の成分とを公知の方法で混合することにより調製できる。その他の態様として、研磨液組成物Aを濃縮物として調製してもよい。前記混合は、特に制限されず、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。
[被研磨基板]
研磨液組成物Aを用いて粗研磨される被研磨基板としては、磁気ディスク基板又は磁気ディスク基板に用いられる基板であり、例えば、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板が挙げられる。中でも、本開示で使用される被研磨基板としては、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板が好ましい。上記被研磨基板の形状には特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状であればよい。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2〜95mm程度であり、その厚みは例えば0.5〜2mm程度である。
[磁気ディスク基板の製造方法]
一般に、磁気ディスクは、精研削工程を経たガラス基板やNi−Pメッキ工程を経たアルミニウム合金基板を、粗研磨工程及び仕上げ研磨工程にて研磨した後、記録部形成工程にて磁気ディスク化することにより製造される。本開示に係る研磨液組成物(研磨液組成物A)は、一又は複数の実施形態において、下記(1)〜(3)の工程を有する磁気ディスク基板の研磨方法及び/又は製造方法に用いられうる。したがって、本発明は、一態様において、下記(1)〜(3)の工程を有する磁気ディスク基板の製造方法に関する。
(1)粗研磨工程:本開示に係る研磨液組成物(研磨液組成物A)を用いて被研磨基板の研磨対象面を研磨する工程、
(2)洗浄工程:工程(1)で得られた基板を洗浄する工程、及び、
(3)仕上げ研磨:シリカ粒子を含有する研磨液組成物を用いて工程(2)で得られた基板の研磨対象面研磨対象面を研磨する工程であって、前記工程(1)と(3)は別の研磨機で行う工程。
[工程(1):粗研磨工程]
工程(1)は、一又は複数の実施形態において、シリカ粒子A及び水を含む研磨液組成物Aを被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程である。工程(1)で使用される研磨機としては、特に限定されず、磁気ディスク基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
[工程(1):研磨パッド]
工程(1)の粗研磨工程で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度向上の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。スエードタイプの研磨パッドは、ベース層とベース層に垂直な紡錘状気孔を有する発泡層から構成される。ベース層の材質としては、綿等の天然繊維や合成繊維からなる不織布、スチレンブタジエンゴム等のゴム状物質を充填して得られるベース層等があげられるが、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、ポリエステルフィルムが好ましく、高硬度な樹脂フィルムが得られるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがより好ましい。また、発泡層の材質としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルや、天然ゴム、合成ゴム等があげられるが、圧縮率等の物性のコントロール性や、研磨時の耐摩耗性向上の観点から、ポリウレタンが好ましく、ポリウレタンエラストマーがより好ましい。
また、工程(1)で使用される研磨パッドの平均気孔径は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、10〜100μmが好ましく、より好ましくは15〜80μm、さらに好ましくは20〜60μm、さらにより好ましくは25〜55μmである。
[工程(1):研磨荷重]
本明細書において、研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力を意味する。工程(1)における研磨荷重は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、30kPa以下が好ましく、より好ましくは25kPa以下、さらに好ましくは20kPa以下、さらにより好ましくは18kPa以下、さらにより好ましくは16kPa以下、さらにより好ましくは14kPa以下である。また、前記研磨荷重は粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、3kPa以上が好ましく、より好ましくは5kPa以上、さらに好ましくは7kPa以上、さらにより好ましくは8kPa以上、さらにより好ましくは9kPa以上である。また、前記研磨荷重は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、好ましくは3〜30kPa、より好ましくは5〜25kPa、さらに好ましくは7〜20kPa、さらにより好ましくは8〜18kPa、さらにより好ましくは9〜16kPa、さらにより好ましくは9〜14kPaである。前記研磨荷重の調整は、定盤や基板等への空気圧や重りの負荷によって行うことができる。
[工程(1):研磨量]
工程(1)における、被研磨基板の単位面積(1cm2)あたりの研磨量は、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、0.20mg以上が好ましく、より好ましくは0.30mg以上、さらに好ましくは0.40mg以上である。一方、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、2.50mg以下が好ましく、より好ましくは2.00mg以下、さらに好ましくは1.50mg以下である。また粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、前記研磨量は、好ましくは0.20〜2.50mg、より好ましくは0.30〜2.00mg、さらに好ましくは0.40〜1.50mgである。
[工程(1):研磨速度低下率]
本明細書において「研磨速度低下率」とは、研磨液組成物が研磨パッドに保持される程度の尺度であって、研磨機内で研磨液組成物を4分間流した時の研磨速度を基準速度とし、4分経過以降は研磨液の供給を停止させたまま研磨を継続して供給停止の1分後の研磨速度を停止後速度とし、前記基準速度と前記停止後速度の差を前記基準速度で除して100を乗じた値(%)である。具体的な研磨条件は、後述する実施例における工程(1)の研磨条件とすることができる。
研磨液組成物A及びシリカ粒子Aは、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねりを低減する観点から、研磨速度低下率が15.0%以下を満たすことが好ましく、より好ましくは12.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下、さらにより好ましくは5.0%以下である。
[工程(1):研磨後の基板の長波長うねり]
工程(1)の研磨は、仕上げ研磨後の基板の長波長うねりを低減する観点から、被研磨基板の研磨対象面の長波長うねりが3.5Å(0.35nm)以下となるまで行うことが好ましく、より好ましくは3.4Å以下、さらに好ましくは3.2Å以下、さらにより好ましくは3.0Å以下、さらにより好ましくは2.7Å以下、さらにより好ましくは2.4Å以下である。したがって、本発明は、一又複数の実施形態において、工程(1)で研磨された被研磨基板又は工程(2)の洗浄後の基板の少なくとも1枚について、500〜5000μmの波長のうねり(長波長うねり)を測定すること、及び、前記うねりが3.5Å(0.35nm)以下、好ましくは3.4Å以下、より好ましくは3.2Å以下、さらに好ましくは3.0Å以下、さらにより好ましくは2.7Å以下、さらにより好ましくは2.4Å以下である場合に工程(3)を行うことを含む、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
[工程(1):研磨液組成物Aの供給速度]
工程(1)における研磨液組成物Aの供給速度は、経済性の観点から、被研磨基板1cm2あたり2.5mL/分以下が好ましく、より好ましくは2.0mL/分以下、さらに好ましくは1.5mL/分以下、さらにより好ましくは1.0mL/分以下、さらにより好ましくは0.5mL/分以下、さらにより好ましくは0.2mL/分以下である。また、前記供給速度は、研磨速度の向上の観点から、被研磨基板1cm2あたり0.01mL/分以上が好ましく、より好ましくは0.03mL/分以上、さらに好ましくは0.05mL/分以上である。また、前記供給速度は、経済性の観点及び研磨速度の向上の観点から、被研磨基板1cm2あたり0.01〜2.5mL/分が好ましく、より好ましくは0.03〜2.0mL/分、さらに好ましくは0.03〜1.5mL/分、さらにより好ましくは0.03〜1.0mL/分、さらにより好ましくは0.05〜0.5mL/分、さらにより好ましくは0.05〜0.2mL/分である。
[工程(1):研磨液組成物Aを研磨機へ供給する方法]
研磨液組成物Aを研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物Aを研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物Aの保存安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、研磨液組成物Aとなる。
[工程(2):洗浄工程]
工程(2)は、工程(1)で得られた基板を洗浄する工程である。工程(2)は、一又は複数の実施形態において、工程(1)の粗研磨が施された基板を、洗浄剤組成物を用いて洗浄する工程である。工程(2)における洗浄方法は、特に限定されないが、一又は複数の実施形態において、工程(1)で得られた基板を洗浄剤組成物に浸漬する方法(洗浄方法a)、及び、洗浄剤組成物を射出して工程(1)で得られた基板の表面上に洗浄剤組成物を供給する方法(洗浄方法b)が挙げられる。
[工程(2):洗浄方法a]
前記洗浄方法aにおいて、基板の洗浄剤組成物への浸漬条件としては、特に制限はないが、例えば、洗浄剤組成物の温度は、安全性及び操業性の観点から20〜100℃であることが好ましく、浸漬時間は、洗浄剤組成物による洗浄性と生産効率の観点から10秒〜30分間であることが好ましい。また、残留物の除去性及び残留物の分散性を高める観点から、洗浄剤組成物には超音波振動が付与されていると好ましい。超音波の周波数としては、好ましくは20〜2000kHz、より好ましくは40〜2000kHz、さらに好ましくは40〜1500kHzである。
[工程(2):洗浄方法b]
前記洗浄方法bでは、残留物の洗浄性や油分の溶解性を促進させる観点から、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出して、基板の表面に洗浄剤組成物を接触させて当該表面を洗浄するか、又は、洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に射出により供給し、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄することが好ましい。さらには、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出により洗浄対象の表面に供給し、かつ、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄することが好ましい。
洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に供給する手段としては、スプレーノズル等の公知の手段を用いることができる。また、洗浄用ブラシとしては、特に制限はなく、例えばナイロンブラシやPVA(ポリビニルアルコール)スポンジブラシ等の公知のものを使用することができる。超音波の周波数としては、前記方法(a)で好ましく採用される値と同様であればよい。
工程(2)では、洗浄方法a及び/又は洗浄方法bに加えて、揺動洗浄、スピンナー等の回転を利用した洗浄、パドル洗浄、スクラブ洗浄等の公知の洗浄を用いる工程を1つ以上含んでもよい。
[工程(2):洗浄剤組成物]
工程(2)の洗浄剤組成物としては、一又は複数の実施形態において、アルカリ剤、水、及び必要に応じて各種添加剤を含有するものが使用できる。
[工程(2):洗浄剤組成物中のアルカリ剤]
前記洗浄剤組成物で使用されるアルカリ剤は、無機アルカリ剤及び有機アルカリ剤のいずれであってもよい。無機アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウム等が挙げられる。有機アルカリ剤としては、例えば、ヒドロキシアルキルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、及びコリンからなる群より選ばれる一種以上が挙げられる。これらのアルカリ剤は、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。洗浄剤組成物の基板上の残留物の分散性の向上、保存安定性の向上の観点から、前記アルカリ剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、及びアミノエチルエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
洗浄剤組成物中におけるアルカリ剤の含有量は、洗浄剤組成物の基板上の残留物に対する高い洗浄性を発現させ、かつ、取扱時の安全性を高める観点から、0.05〜10質量%であると好ましく、0.08〜5質量%であるとより好ましく、0.1〜3質量%であるとさらに好ましい。
洗浄剤組成物のpHは、基板上の残留物の分散性を向上させる観点から、8〜14であることが好ましく、より好ましくは9〜13、さらに好ましくは10〜13、さらにより好ましくは11〜13である。なお、上記のpHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、電極の洗浄剤組成物への浸漬後40分後の数値である。
[工程(2):洗浄剤組成物中の各種添加剤]
前記洗浄剤組成物には、アルカリ剤以外に、非イオン界面活性剤、キレート剤、エーテルカルボキシレートもしくは脂肪酸、アニオン性界面活性剤、水溶性高分子、消泡剤(成分に該当する界面活性剤は除く。)、アルコール類、防腐剤、酸化防止剤等が含まれていていても良い。
前記洗浄剤組成物に含まれる水以外の成分の含有量は、作業性、経済性や保存安定性向上に対し充分な効果が発現される濃縮度である事と保存安定性向上との両立の観点から、水の含有量と水以外の成分の含有量の合計を100質量%とすると、好ましくは10〜60質量%であり、より好ましくは15〜50質量%であり、さらに好ましくは15〜40質量%である。
前記洗浄剤組成物は、希釈して用いられる。希釈倍率は、洗浄効率を考慮すると、好ましくは10〜500倍、より好ましくは20〜200倍、さらに好ましくは50〜100倍である。希釈用の水は、前述の研磨液組成物と同様のものでよい。前記洗浄剤組成物は、前記希釈倍率を前提とした濃縮物とすることができる。
[工程(3):仕上げ研磨工程]
工程(3)は、シリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物を工程(2)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程である。工程(3)で使用される研磨機は、研磨後の長波長うねりを低減する観点、突起欠陥低減の観点、及び、その他の表面欠陥を効率よく低減するため粗研磨とポア径の異なるパッドを使用する観点から、工程(1)で用いた研磨機とは別の研磨機である。工程(3)で使用される研磨液組成物を、本開示において研磨液組成物Bともいう。また、研磨液組成物Bに含有されるシリカ粒子を、本開示において、シリカ粒子Bともいう。
本態様の磁気ディスク基板の製造方法は、工程(1)の粗研磨工程、工程(2)の洗浄工程、及び、工程(3)の仕上げ研磨工程を含むことにより、粗研磨の研磨時間を大幅に長期化することなく粗研磨後の長波長うねり及び突起欠陥が低減され、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥が低減された基板を効率的に製造することができる。
[工程(3):研磨液組成物B]
工程(3)で使用される研磨液組成物Bは、仕上げ研磨後の突起欠陥及び長波長うねりの低減の観点から砥粒としてシリカ粒子(シリカ粒子B)を含有する。使用されるシリカ粒子Bは、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、好ましくはコロイダルシリカである。また、研磨液組成物Bは、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、アルミナ砥粒を実質的に含まないことが好ましい。
研磨液組成物Bに用いられるシリカ粒子Bの平均粒子径(D50)は、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、5〜50nmが好ましく、より好ましくは10〜45nm、さらに好ましくは15〜40nm、さらにより好ましくは20〜35nmである。また、シリカ粒子Bの平均粒子径(D50)は、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、シリカ粒子Aの平均粒子径(D50)より小さいことが好ましい。なお、該平均粒子径は、実施例に記載の方法により求めることができる。
また、シリカ粒子Bの粒子径の標準偏差は、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、5〜40nmが好ましく、より好ましくは10〜35nm、さらに好ましくは15〜30nmである。なお、該標準偏差は実施例に記載の方法により求めることができる。
研磨液組成物Bに含まれるシリカ粒子Bの含有量は、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、0.5〜20質量%が好ましく、1.0〜15質量%がより好ましく、3.0〜13質量%がさらに好ましく、4.0〜10質量%がさらにより好ましい。
研磨液組成物Bは、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、複素環芳香族化合物、多価アミン化合物、及びアニオン性基を有する高分子から選ばれる1種以上を含有することが好ましく、2種以上含有することがより好ましく、複素環芳香族化合物、多価アミン化合物、及びアニオン性基を有する高分子を含有することがさらに好ましい。
研磨液組成物Bは、研磨速度を向上する観点から、酸、酸化剤を含有することが好ましい。酸、酸化剤の好ましい使用態様については、前述の研磨液組成物Aの場合と同様である。また、研磨液組成物Bに用いられる水、研磨液組成物BのpH、研磨液組成物Bの調製方法については、前述の研磨液組成物Aの場合と同様である。
[工程(3):研磨パッド]
工程(3)で使用される研磨パッドは、工程(1)で使用される研磨パッドと同種の研磨パッドが使用されうる。工程(3)で使用される研磨パッドの平均気孔径は、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、1〜50μmが好ましく、より好ましくは2〜40μm、さらに好ましくは3〜30μmである。
[工程(3):研磨荷重]
工程(3)における研磨荷重は、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、16kPa以下が好ましく、より好ましくは14kPa以下、さらに好ましくは13kPa以下である。仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、7.5kPa以上が好ましく、より好ましくは8.5kPa以上、さらに好ましくは9.5kPa以上である。また、前記研磨荷重は、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、7.5〜16kPaが好ましく、より好ましくは8.5〜14kPa、さらに好ましくは9.5〜13kPaである。
[工程(3):研磨量]
工程(3)における、被研磨基板の単位面積(1cm2)あたりかつ研磨時間1分あたりの研磨量は、仕上げ研磨後の長波長うねり及び突起欠陥を低減する観点から、0.02mg以上が好ましく、より好ましくは0.03mg以上、さらに好ましくは0.04mg以上である。また、生産性向上の観点からは、0.15mg以下が好ましく、より好ましくは0.12mg以下、さらに好ましくは0.10mg以下である。したがって、前記研磨量は、前記と同様の観点から、0.02〜0.15mgが好ましく、より好ましくは0.03〜0.12mg、さらに好ましくは0.04〜0.10mgである。
また、工程(3)における研磨液組成物Bの供給速度及び研磨液組成物Bを研磨機へ供給する方法については、前述の研磨液組成物Aの場合と同様である。
本発明の製造方法によれば、長波長うねり及び突起欠陥が低減された磁気ディスク基板を提供できるため、高度の表面平滑性が要求される垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板の研磨に好適に用いることができる。
[研磨方法]
本発明は、その他の態様として、上述した工程(1)、工程(2)、工程(3)を有する研磨方法に関する。工程(1)〜(3)における被研磨基板、研磨パッド、研磨液組成物A、シリカ粒子A、研磨液組成物B、シリカ粒子B、研磨方法及び条件、洗浄剤組成物、並びに洗浄方法については、上述の本発明の磁気ディスク基板の製造方法と同様とすることができる。
本発明は、さらにその他の態様として、下記(1)〜(3)の工程を有し、下記工程(1)と下記工程(3)とは別の研磨機で行う磁気ディスク基板の研磨方法に関する。工程(1)〜(3)における被研磨基板、研磨パッド、研磨液組成物A、シリカ粒子A、研磨液組成物B、シリカ粒子B、研磨方法及び条件、洗浄剤組成物、並びに洗浄方法については、上述の本発明の磁気ディスク基板の製造方法と同様とすることができる。
(1)シリカ粒子A及び水を含有する研磨液組成物Aを被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程。
(2)工程(1)で得られた基板を洗浄する工程。
(3)シリカ粒子B及び水を含有する研磨液組成物Bを工程(2)で得られた基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして前記研磨対象面を研磨する工程。
本発明の研磨方法を使用することにより、長波長うねり及び突起欠陥が低減された磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板が好ましくは提供される。それにより、製品歩留まりの低下を抑制して基板品質が向上した磁気ディスク基板を研磨速度の著しい低下がなく、また、粗研磨の研磨時間が大幅な長期化することなく、生産性よく製造できるという効果が奏されうる。
本発明にかかる磁気ディスク基板の製造方法及び研磨方法は、一又は複数の実施形態において、図3に示すような、研磨液組成物Aを用いて被研磨基板の研磨する第一の研磨機と、前記第一研磨機で研磨した基板を洗浄する洗浄ユニットと、研磨液組成物Bを用いて洗浄後の基板を研磨する第二の研磨機とを備える磁気ディスク基板の研磨システムにより行うことができる。したがって、本発明は、一態様において、研磨液組成物Aを用いて被研磨基板の研磨する第一の研磨機と、前記第一研磨機で研磨した基板を洗浄する洗浄ユニットと、研磨液組成物Bを用いて洗浄後の基板を研磨する第二の研磨機とを備える磁気ディスク基板の研磨システムに関する。研磨液組成物A及び研磨液組成物Bは前述のとおりであり、被研磨基板、各研磨機で使用される研磨パッド、研磨方法及び条件、洗浄剤組成物、並びに洗浄方法については、上述の本発明の磁気ディスク基板の製造方法と同様とすることができる。
本発明にかかる研磨システムは、一又は複数の実施形態において、第一研磨機で研磨された被研磨基板の少なくとも1枚について、500〜5000μmの波長のうねり(長波長うねり)が3.5Å(0.35nm)以下、好ましくは3.4Å以下、より好ましくは3.2Å以下、さらに好ましくは3.0Å以下であることを確認する手段を有してもよい。該手段は、一又は複数の実施形態において、図4に示すように、所定のうねりの値以下である場合に第一研磨機における研磨の終了若しくは洗浄ユニットへの移行を判断又は実行し、所定のうねりの値に達していない場合に第一研磨機における研磨の継続若しくは研磨の中止を判断又は実行する。
本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関する。
<1> 非球状シリカ粒子、アルキレンオキサイド化合物、及び水を含み、
前記非球状シリカ粒子は、2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状であり、
前記アルキレンオキサイド化合物が、グリセリン骨格を有するエチレンオキサイド(EO)及び/又はプロピレンオキサイド(PO)付加化合物であり、
前記アルキレンオキサイド化合物の水酸基1価に対するEOの平均付加モル数が1.00を超え6.67未満であるか、或いは、水酸基1価に対するPOの平均付加モル数が0.33を超え6.00以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<2> 前記非球状シリカ粒子は、金平糖型のシリカ粒子A1、異形型のシリカ粒子A2、及び異形かつ金平糖型のシリカ粒子A3からなる群から選択される少なくとも1種類のシリカ粒子であって、
金平糖型のシリカ粒子A1は、最も小さいシリカ粒子の粒径を基準にして、粒径が5倍以上異なる2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状であり、
異形型のシリカ粒子A2は、最も小さいシリカ粒子の粒径を基準にして、粒径が1.5倍以内の2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状であり、
異形かつ金平糖型のシリカ粒子A3は、粒径が1.5倍以内の2つ以上の粒子が凝集又は融着した粒子に、さらに、凝集又は融着した前記粒子の最も小さいシリカ粒子の粒径を基準にして粒径が1/5以下の小さな粒子が凝集又は融着した形状である、<1>記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<3> 前記非球状シリカ粒子の電子顕微鏡観察で得られる粒子の絶対最大長の平均が、80.0〜500.0nmである、<1>又は<2>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<4> 電子顕微鏡観察で得られる粒子の絶対最大長を直径とする円の面積bを電子顕微鏡観察で得られる該粒子の投影面積aで除して100を乗じた面積率(b/a×100)が110.0〜200.0%であるシリカ粒子を全シリカ粒子に対して30.0質量%以上含有する、<1>から<3>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<5> 前記アルキレンオキサイド化合物が、下記式(I)又は(II)で表される、<1>から<4>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
[式(I)及び(II)において、PO/EOは、プロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイドであり、x、y、z、p、q、r、sはそれぞれ付加モル数を表す。]
<6> 前記アルキレンオキサイド化合物の研磨液組成物中の含有量が、0.0025〜0.1質量%である、<1>から<5>のいずれかに記載のディスク基板用研磨液組成物。
<7> シリカ粒子が水ガラス法で製造されたシリカ粒子である、<1>から<6>のいずれかに記載のディスク基板用研磨液組成物。
<8> レーザー光散乱法で測定したシリカ粒子の体積平均粒子径(D50)が、50〜500nmである、<1>から<7>のいずれかに記載のディスク基板用研磨液組成物。
<9> シリカ粒子が金平糖型のシリカ粒子A1及び異形型のシリカ粒子A2を含み、A1/A2の質量比率が5/95〜95/5の範囲にあり、シリカ粒子における前記粒子A1及びA2の合計量が80質量%以上である、<2>から<8>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<10> pHが0.5〜6.0である、<1>から<9>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<11> (1)研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨対象面を研磨する工程、(2)工程(1)で得られた基板を洗浄する工程、及び、(3)シリカ粒子を含有する研磨液組成物を用いて工程(2)で得られた基板の研磨対象面研磨対象面を研磨する工程を有し、前記工程(1)と(3)は別の研磨機で行う研磨方法における工程(1)の研磨に用いられる、<1>から<10>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<12> 工程(3)の研磨液組成物に含有されるシリカ粒子のレーザー光散乱法で測定した体積平均粒子径(D50)が、工程(1)の研磨液組成物に含有されるシリカ粒子のレーザー光散乱法で測定した体積平均粒子径(D50)より小さいシリカ粒子である、<11>記載のディスク基板用研磨液組成物。
<13> 磁気ディスク基板が、Ni−Pめっきアルミニウム合金基板である、<1>から<12>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<14> (1)<1>から<13>のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨対象面を研磨する工程、
(2)工程(1)で得られた基板を洗浄する工程、及び、
(3)シリカ粒子を含有する研磨液組成物を用いて工程(2)で得られた基板の研磨対象面を研磨する工程を有し、
前記工程(1)と(3)は別の研磨機で行う、磁気ディスク基板の製造方法。
<15> <1>から<13>に記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨する第一の研磨機と、
前記第一研磨機で研磨した基板を洗浄する洗浄ユニットと、
シリカ粒子を含有する研磨液組成物を用いて洗浄後の基板を研磨する第二の研磨機とを備える磁気ディスク基板の研磨システム。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
下記のとおりに工程(1)に用いる研磨液組成物A及び工程(3)に用いる研磨液組成物Bを調製し、下記の条件で工程(1)〜(3)を含む被研磨基板の研磨を行った。研磨液組成物の調製方法、使用した添加剤、各パラメータの測定方法、研磨条件(研磨方法)及び評価方法は以下のとおりである。
1.研磨液組成物の調製
[工程(1)に用いる研磨液組成物Aの調製]
表1のシリカ砥粒A(コロイダルシリカ粒子)、表2の添加剤、硫酸、過酸化水素、及び水を用い、工程(1)に用いる研磨液組成物Aを調製した(実施例1〜12、15〜18、参考例1〜14、比較例1〜3)(表3)。研磨液組成物Aにおける各成分の含有量は、コロイダルシリカ粒子:4質量%、添加剤0.01質量%、硫酸:0.5質量%、過酸化水素:0.5質量%とした。研磨液組成物AのpHは1.4であった。なお、シリカ砥粒Aのコロイダルシリカ粒子は、水ガラス法で製造されたものである。また、実施例10の研磨液水溶液Aと添加剤濃度が異なる実施例10−2〜10−5の研磨液組成物Aを調製した(表4)。
表1のシリカ砥粒のタイプは、一又は複数の実施形態において、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察写真及びそれを用いた分析で判別されうる分類である。
「金平糖型シリカ粒子」とは、球状の粒子表面に特異な疣状突起を有するシリカ粒子をいう。金平糖型シリカ粒子は、一又は複数の実施形態において、粒径が5倍以上異なる2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状の粒子をいう。
「異形型シリカ粒子」とは、2つ以上の粒子が凝集又は融着したような形状の粒子をいう。異形型シリカ粒子は、一又は複数の実施形態において、粒径が1.5倍以内の2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状の粒子をいう。
「異形かつ金平糖型シリカ粒子」とは、前記金平糖型と前記異形型の中間の形状及び/又は前記金平糖型と前記異形型の双方の特徴を備えるシリカ粒子をいう。
「球状シリカ粒子」とは、真球に近い球形状の粒子(一般的に市販されているコロイダルシリカ)をいう。
「鎖状シリカ粒子」とは、2つ以上の同粒径粒子が2次元的にランダムで繋がった数珠形状の粒子をいう。
なお、前記粒径は、電子顕微鏡(TEM)観察画像において1つの粒子内で測定される円相当径、すなわち、粒子の投影面積と同じ面積の等価円の長径として求められる粒径である。
金平糖型コロイダルシリカ砥粒A1の電子顕微鏡(TEM)観察写真の一例を図1に、異形型コロイダルシリカ砥粒A2の電子顕微鏡(TEM)観察写真の一例を図2に示す。
[工程(3)に用いる研磨液組成物Bの調製]
前記表1のコロイダルシリカ粒子(シリカ砥粒B)、硫酸、過酸化水素、及び水を用い、研磨液組成物Bを調製した。研磨液組成物Bにおける各成分の含有量は、コロイダルシリカ粒子:5.0質量%、硫酸:0.5質量%、過酸化水素:0.5質量%とした。研磨液組成物BのpHは1.4であった。
2.各パラメータの測定方法
[シリカ砥粒の体積平均粒子径]
シリカ砥粒をイオン交換水で1%分散液に希釈し、下記測定装置内に投入し、平均粒子径を測定した。
測定機器 :マルバーン ゼータサイザー ナノ「Nano S」
測定条件 :サンプル量 1.5mL
:レーザー He―Ne、3.0mW、633nm
:散乱光検出角 173°
得られた体積分布粒径の累積体積頻度が50%となる粒径をシリカ粒子の体積平均粒子径(D50)とした。
[シリカ砥粒の形状及び面積率の測定方法]
シリカ砥粒を日本電子製透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名「JEM-2000FX」、80kV、1〜5万倍)で観察した写真をパソコンにスキャナで画像データとして取込み、解析ソフト「WinROOF(Ver.3.6)」(販売元:三谷商事)を用いて1000〜2000個のシリカ粒子データについて1個1個のシリカ粒子の絶対最大長を求め、絶対最大長の平均値(平均絶対最大長)を得た。絶対最大長を直径とする円の面積bを電子顕微鏡観察で得られる該粒子の投影面積aで除し100を乗じて、面積率(b/a×100)(%)を算出した。また、面積率(b/a×100)が110〜200%である粒子のシリカ砥粒に対する割合を算出した。さらに、平均絶対最大長の円面積bを前記投影面積aの平均値で除し100を乗じた値を平均面積率(b/a×100)として算出した。
[アルミナ粒子の平均二次粒子径の測定]
0.5%ポイズ530(花王社製)水溶液を分散媒として、下記測定装置内に投入し、続いて透過率が75〜95%になるようにサンプルを投入し、その後、5分間超音波を掛けた後、粒径を測定した。
測定機器 :堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 LA920
循環強度 :4
超音波強度:4
3.研磨条件
被研磨基板の研磨を工程(1)〜(3)に従い行った。各工程の条件を以下に示す。なお、工程(3)は、工程(1)で使用した研磨機とは別個の研磨機で行った。
[被研磨基板]
被研磨基板は、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚み1.27mm、直径95mmであった。
[工程(1):粗研磨]
研磨機:両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム社製)
研磨液:研磨液組成物(表2〜表4に示す)
研磨パッド:スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー)、
厚み0.82mm
平均気孔径30μm (Fujibo社製)
定盤回転数:45rpm
研磨荷重:9.8kPa(設定値)
研磨液供給量:100mL/分(0.076mL/(cm2・分))
研磨時間:5分(表3、4の実施例及び比較例1−9)、4又は10分(表3の比較例10−12)
研磨量:0.1〜1.6mg/cm2
投入した基板の枚数:10枚
[工程(2):洗浄]
工程(1)で得られた基板を、下記条件で洗浄した。
1. 0.1質量%のKOH水溶液からなるpH12のアルカリ性洗浄剤組成物の入った槽内に、工程(1)で得られた基板を5分間浸漬する。
2. 浸漬後の基板を、イオン交換水で20秒間すすぎを行う。
3. すすぎ後の基板を洗浄ブラシがセットされたスクラブ洗浄ユニットに移送し洗浄する。
[工程(3):仕上げ研磨]
研磨機:両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム社製)、工程(1)で使用した研磨機とは別個の研磨機
研磨液:研磨液組成物B
研磨パッド:スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー)、厚み1.0mm、平均気孔径5μm(FILWEL社製)
定盤回転数:40rpm
研磨荷重:9.8kPa
研磨液供給量:100mL/分(0.076mL/(cm2・分))
研磨時間:2分(比較例12のみ6分)
研磨量:0.04〜0.10mg/(cm2・分)
投入した基板の枚数:10枚
工程(3)後に、洗浄を行った。洗浄条件は、前記工程(2)と同条件で行った。
4.評価方法
[工程(1)の研磨量の測定方法]
研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius社製、「BP−210S」)を用いて測定し、下記式に導入することにより、研磨量を求めた。
重量減少量(g)={研磨前の重量(g)−研磨後の重量(g)}
研磨量(μm)=重量減少量(g)/基板片面面積(mm2)/2/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積は、6597mm2、Ni−Pメッキ密度8.4g/cm3として算出)
[工程(1)後の基板表面長波長うねりの評価方法]
工程(1)後研磨後の10枚の基板から任意に2枚を選択し、選択した各基板の両面を120°おきに4点(計16点)について、下記の条件で測定した。その16点の測定値の平均値を基板のうねりとして算出した。
機器 :Zygo NewView5032
レンズ :2.5倍 Michelson
ズーム比 :0.5
リムーブ :Cylinder
フィルター:FFT Fixed Band Pass、うねり波長:0.5〜5.0mm
エリア :4.33mm×5.77mm
[工程(1)後の基板のロールオフの評価方法]
[ロールオフの評価]
研磨後の10枚の基板から任意に1枚を選択し、研磨後の基板のロールオフ値について、Zygo社製 New View 5032(レンズ:2.5倍、ズーム:0.5倍)を用いて下記のとおりに測定した。
ロールオフ値の測定条件;
図5のように、基板表面の中心から外周方向に向かって43.0mm及び44.0mmとなる位置をそれぞれA点及びB点とし、A点とB点を結ぶ延長線上において基板表面の中心から46.6mmとなる位置をC点とする。そして、研磨後の基板(1枚)のC点の位置を表裏3箇所ずつ(計6箇所)算出し、それぞれのC点から基板表面までの基板の厚み方向の距離を測定し、それらの平均をロールオフ値(nm)とした。各測定点についての位置の算出にはZygo社製解析ソフト(Metro Pro)を用いた。なお、ロールオフ値が正の値になるほど、研磨によるロールオフ低減性能は良好である。
[工程(3)後の突起欠陥の評価方法]
測定機器:OSA7100(KLA Tencor社製)
評価:研磨液組成物Bを用いて研磨を行い、その後、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射して砥粒突き刺さり数を測定した。その4枚の基板の各々両面にある砥粒突き刺さり数(個)の合計を8で除して、基板面当たりの砥粒突き刺さり数(突起欠陥数)(相対値)を算出した。
5.結果
実施例1〜12、15〜18、参考例1〜14、比較例1〜3の研磨液組成物Aを用いる粗研磨工程(1)、洗浄工程(2)、及び仕上げ研磨工程(3)を含む研磨を、前記研磨条件で行った(表3)。粗研磨工程(1)での研磨速度、研磨時間、ロールオフ、及び長波長うねり、ならびに、仕上げ研磨工程後の突起欠陥数を評価した。その結果を表3に示す。
表3に示すとおり、実施例1〜12、15〜18では、参考例1〜14に比べて、工程(1)における研磨速度を大きく損ねることなく、また、工程(1)研磨後の基板のロールオフを大きく悪化させることなく、研磨後の基板表面のうねり(長波長うねり)を低減できた。
次に、実施例10の研磨液組成物Aの添加剤の含有量を変化させた実施例10−2〜10−5にかかる研磨液組成物Aを用いる粗研磨工程(1)、洗浄工程(2)、及び仕上げ研磨工程(3)を含む研磨を、実施例10と同様の研磨条件で行った(表4)。粗研磨工程(1)での研磨速度、研磨時間、ロールオフ、及び長波長うねり、ならびに、仕上げ研磨工程後の突起欠陥数を評価した。その結果を表4に示す。
前記表4に示すとおり、ジグリセンリンのPO付加物を添加することで、長波長うねりが大幅に改善されることが確認された。
今回は砥粒としてシリカ砥粒A2異形を用いたが、シリカ砥粒A1金平糖型を用いた場合にも同様の長波長うねりの改善が認められる。
本開示は、例えば、高記録密度の磁気ディスク基板の製造に好適に用いることができる。

Claims (14)

  1. 非球状シリカ粒子、アルキレンオキサイド化合物、及び水を含み、
    前記非球状シリカ粒子は、金平糖型のシリカ粒子A1、異形型のシリカ粒子A2、及び異形かつ金平糖型のシリカ粒子A3からなる群から選択される少なくとも1種類のシリカ粒子であって、2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状であり、
    金平糖型のシリカ粒子A1は、最も小さいシリカ粒子の粒径を基準にして、粒径が5倍以上異なる2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状であり、
    異形型のシリカ粒子A2は、最も小さいシリカ粒子の粒径を基準にして、粒径が1.5倍以内の2つ以上の粒子が凝集又は融着した形状であり、
    異形かつ金平糖型のシリカ粒子A3は、粒径が1.5倍以内の2つ以上の粒子が凝集又は融着した粒子に、さらに、凝集又は融着した前記粒子の最も小さいシリカ粒子の粒径を基準にして粒径が1/5以下の小さな粒子が凝集又は融着した形状であり、
    前記アルキレンオキサイド化合物が、グリセリン又はジグリセリンのエチレンオキサイド(EO)及び/又はプロピレンオキサイド(PO)付加化合物であり、
    前記アルキレンオキサイド化合物が、グリセリンのEO付加化合物及び/又はPO付加化合物である場合、前記アルキレンオキサイド化合物の水酸基1価に対するEOの平均付加モル数が1.00を超え6.67未満であるか、或いは、水酸基1価に対するPOの平均付加モル数が0.33を超え6.00以下であ
    前記アルキレンオキサイド化合物が、ジグリセリンのEO付加化合物及び/又はPO付加化合物である場合、前記アルキレンオキサイド化合物の水酸基1価に対するEOの平均付加モル数が1.00を超え6.67未満であるか、或いは、水酸基1価に対するPOの平均付加モル数が0.33を超え4.00以下である、
    磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  2. 前記非球状シリカ粒子の電子顕微鏡観察で得られる粒子の絶対最大長の平均が、80.0〜500.0nmである、請求項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  3. 電子顕微鏡観察で得られる粒子の絶対最大長を直径とする円の面積bを電子顕微鏡観察で得られる該粒子の投影面積aで除して100を乗じた面積率(b/a×100)が110.0〜200.0%であるシリカ粒子を全シリカ粒子に対して30.0質量%以上含有する、請求項1又は2に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  4. 前記アルキレンオキサイド化合物が、下記式(I)又は(II)で表される、請求項1からのいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
    [式(I)及び(II)において、PO/EOは、プロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイドであり、x、y、z、p、q、r、sはそれぞれ付加モル数を表す。]
  5. 前記アルキレンオキサイド化合物の研磨液組成物中の含有量が、0.0025〜0.1質量%である、請求項1からのいずれかに記載のディスク基板用研磨液組成物。
  6. シリカ粒子が水ガラス法で製造されたシリカ粒子である、請求項1からのいずれかに記載のディスク基板用研磨液組成物。
  7. レーザー光散乱法で測定したシリカ粒子の体積平均粒子径(D50)が、50〜500nmである、請求項1からのいずれかに記載のディスク基板用研磨液組成物。
  8. シリカ粒子が金平糖型のシリカ粒子A1及び異形型のシリカ粒子A2を含み、A1/A2の質量比率が5/95〜95/5の範囲にあり、シリカ粒子における前記粒子A1及びA2の合計量が80質量%以上である、請求項からのいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  9. pHが0.5〜6.0である、請求項1からのいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  10. (1)研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨対象面を研磨する工程、(2)工程(1)で得られた基板を洗浄する工程、及び、(3)シリカ粒子を含有する研磨液組成物を用いて工程(2)で得られた基板の研磨対象面研磨対象面を研磨する工程を有し、前記工程(1)と(3)は別の研磨機で行う研磨方法における工程(1)の研磨に用いられる、請求項1からのいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  11. 工程(3)の研磨液組成物に含有されるシリカ粒子のレーザー光散乱法で測定した体積平均粒子径(D50)が、工程(1)の研磨液組成物に含有されるシリカ粒子のレーザー光散乱法で測定した体積平均粒子径(D50)より小さいシリカ粒子である、請求項10記載のディスク基板用研磨液組成物。
  12. 磁気ディスク基板が、Ni−Pめっきアルミニウム合金基板である、請求項1から11のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  13. (1)請求項1から12のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨対象面を研磨する工程、
    (2)工程(1)で得られた基板を洗浄する工程、及び、
    (3)シリカ粒子を含有する研磨液組成物を用いて工程(2)で得られた基板の研磨対象面を研磨する工程を有し、
    前記工程(1)と(3)は別の研磨機で行う、磁気ディスク基板の製造方法。
  14. 請求項1から12に記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨する第一の研磨機と、
    前記第一研磨機で研磨した基板を洗浄する洗浄ユニットと、
    シリカ粒子を含有する研磨液組成物を用いて洗浄後の基板を研磨する第二の研磨機とを備える磁気ディスク基板の研磨システム。
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