JP2020021527A - 磁気ディスク基板用研磨剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨速度を維持しながら、研磨後の基板のうねり低減およびロールオフ低減を実現する。【解決手段】研磨剤組成物は、アルミナ粒子と、水溶性高分子化合物と、有機硫酸エステル塩化合物と、を少なくとも含有する水系組成物である。ここで、水溶性高分子化合物は、カルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とを含む混合物、および/またはカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体である。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体、ハードディスクといった磁気記録媒体などの電子部品の研磨に使用される研磨剤組成物に関する。特にガラス磁気ディスク基板やアルミニウム磁気ディスク基板などの磁気記録媒体用基板の表面研磨に使用される研磨剤組成物に関する。さらには、アルミニウム合金製の基板表面に無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成した磁気記録媒体用アルミニウム磁気ディスク基板の表面研磨に使用される研磨剤組成物に関する。
従来、アルミニウム磁気ディスク基板の無電解ニッケル−リンめっき皮膜表面を研磨するための研磨剤組成物として、生産性の観点から、高い研磨速度を実現し得るアルミナ粒子を水に分散させた研磨剤組成物が使用されてきた。
研磨速度向上、うねり低減やロールオフ低減といった目的で、アルミナ系砥粒を使用した研磨剤組成物で種々の結晶構造のアルミナ粒子を使用することにより、研磨速度向上とうねりやロールオフの低減といった高い研磨面品質とを両立させようとする提案がなされている。
特許文献1には、γ、δ、θ型の所定の大きさのアルミナ砥粒を含む研磨剤組成物を使用することにより、研磨速度を大きくして、従来よりも高品質の研磨面を得ることができるとの提案がなされている。
特許文献2には、α−アルミナ以外のアルミナである中間アルミナを含む研磨剤組成物を用いることにより、表面欠陥を低下させ、研磨速度を向上させることができるとの提案がなされている。
特許文献3には、α−アルミナ、中間アルミナを含む研磨剤組成物を使用することにより、高い研磨速度を達成し、うねりを低減できるとの提案がなされている。しかしながら、うねり低減効果は不十分であり、改善が求められている。
特許文献4には、研磨材と研磨助剤と水を含む研磨材組成物を用いて磁気記録媒体基板を研磨する際に、研磨助剤として脂肪族系有機硫酸塩を用いることにより、研磨速度向上と表面粗さ低減が図れるとの提案がなされている。しかしながら、この提案では研磨速度向上と表面粗さ低減は不十分であり、改善が求められている。
特開平11−268911号公報 特開2001−89746号公報 特開2005−23266号公報 国際公開第1998/021289号
しかしながら、特許文献1〜4のように、中間アルミナを添加した研磨剤組成物により、磁気ディスク基板を研磨すると、研磨後のうねり悪化などの製品品質低下を招くことが問題となっている。
本発明の課題は、研磨速度を維持しながら、研磨後の基板のうねり低減およびロールオフ低減を実現することである。
本発明者は、上記課題に対して、各種エッチャントの添加を鋭意検討し、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の研磨剤組成物である。
[1] アルミナ粒子と、水溶性高分子化合物と、有機硫酸エステル塩化合物と、水とを含み、前記水溶性高分子化合物がカルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とを含む混合物、および/またはカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体であり、前記有機硫酸エステル塩化合物が下記一般式(1)で表される磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
R−O−SOM (1)
式中、Rは炭素数5〜21の直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキルアリール基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、または有機カチオンを表す。
[2] アルミナ粒子と、水溶性高分子化合物と、有機硫酸エステル塩化合物と、水とを含み、前記水溶性高分子化合物がカルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とを含む混合物、および/またはカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体であり、前記有機硫酸エステル塩化合物が下記一般式(2)で表される磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
R−O−(AO)−SOM (2)
式中、Rは炭素数5〜21の直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアルキルアリール基を表し、AOは炭素数2または3のオキシアルキレン基を表し、nは1〜30の自然数を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、または有機カチオンを表す。
[3] 前記水溶性高分子化合物であるカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体が、カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体およびアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体である前記[1]または[2]に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
[4] 前記アルミナ粒子はα−アルミナを含有し、平均粒子径が、0.1〜2.0μmであり、前記組成物中の濃度が1〜50質量%である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
[5] 前記カルボン酸基を有する単量体が、アクリル酸またはその塩、メタクリル酸またはその塩から選ばれる単量体である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
[6] 前記スルホン酸基を有する単量体が、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ビニルナフタレンスルホン酸、およびこれらの塩から選ばれる1種または2種以上の単量体である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
[7] 前記アミド基を有する単量体が、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミドから選ばれる単量体である前記[3]に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
[8] 前記カルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体、前記スルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体、前記カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体および、前記カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体およびアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体の重量平均分子量がそれぞれ1,000〜1,000,000である前記[1]〜[7]のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
[9] 前記研磨剤組成物が酸および/またはその塩をさらに含有し、pH値(25℃)が0.1〜4.0の範囲にある前記[1]〜[8]のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
[10] 前記研磨剤組成物が酸化剤をさらに含有している前記[1]〜[9]のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
[11] 無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板の研磨に用いられる前記[1]〜[10]のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
本発明の磁気ディスク基板用研磨剤組成物は、研磨速度を維持しながら基板表面のうねり低減およびロールオフ低減を可能とするものである。
基板の表面を研磨した場合のロールオフの測定について説明するための基板の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
1.研磨剤組成物
本発明の研磨剤組成物は、アルミナ粒子と、水溶性高分子化合物と、有機硫酸エステル塩化合物と、を少なくとも含有する水系組成物である。ここで、水溶性高分子化合物は、カルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とを含む混合物、および/またはカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体である。
(1)アルミナ粒子
アルミナ粒子はα−アルミナおよび/または中間アルミナを含むことが好ましい。中間アルミナとしては、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナなどが挙げられる。またα−アルミナと中間アルミナの両方を含む場合の混合比(中間アルミナ/α−アルミナ、質量比)は、0.1〜2.0が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.0である。
アルミナを製造する際の原料としては、ギブサイト:Al・3HO、ベーマイト:Al・HO、擬ベーマイト:Al・nHO(n=1〜2)などが挙げられる。これらのアルミナ原料は、例えば以下のような方法で調製される。
ギブサイト:Al・3H
ボーキサイトを水酸化ナトリウムの熱溶液で溶解し、不溶成分をろ過により除去して得られた溶液を冷却し、その結果得られた沈殿物を乾燥することにより得られる。
ベーマイト:Al・H
金属アルミニウムとアルコールとの反応により得られるアルミニウムアルコキシド:Al(OR)を加水分解することにより得られる。
擬ベーマイト:Al・nHO(n=1〜2)
ギブサイトをアルカリ性雰囲気下、水蒸気で処理して得られる。
これらのアルミナ原料を焼成することにより、α−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナなどが得られる。
アルミナ粒子の平均粒子径(D50)は、好ましくは0.1〜2.0μmであり、より好ましくは0.2〜1.0μmである。アルミナ粒子の平均粒子径が0.1μm以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。アルミナ粒子の平均粒子径が2.0μm以下であることにより、研磨後のうねり悪化を抑制することができる。
アルミナ粒子の研磨剤組成物中の濃度は、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは2〜40質量%である。アルミナ粒子の濃度が1質量%以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。アルミナ粒子の濃度が50質量%以下であることにより、不必要にアルミナ粒子を使用することなく、経済的に有利に研磨することができる。
(2)水溶性高分子化合物
本発明で使用される水溶性高分子化合物は、カルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とを含む混合物、および/またはカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体である。また、これら以外の単量体も使用することができる。カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体以外の単量体としては、例えばアミド基を有する単量体が挙げられる。
(2−1)カルボン酸基を有する単量体
カルボン酸基を有する単量体としては、不飽和脂肪族カルボン酸およびその塩が好ましく用いられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
水溶性高分子化合物中で、カルボン酸基を有する単量体が、酸の状態で存在する割合が多いか、塩の状態で存在する割合が多いかについては、水溶性高分子化合物のpH値で評価できる。酸として存在する割合が多ければpH値は低くなるし、塩として存在する割合が多ければpH値は高くなる。本発明においては、例えば、濃度10質量%の水溶性高分子化合物水溶液におけるpH値(25℃)が0.1〜13の範囲の水溶性高分子化合物を用いることができる。
(2−2)スルホン酸基を有する単量体
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ビニルナフタレンスルホン酸、およびこれらの塩などが挙げられる。これらの中から、1種または2種以上を選択し、単量体として使用できる。好ましくは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびこれらの塩などが挙げられる。
(2−3)その他の単量体
本発明で使用される水溶性高分子化合物は、カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体が必須単量体であるが、これら以外の単量体も使用することができる。例えば、アミド基を有する単量体も使用することができる。具体的にはアクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミドなどを使用することができる。
N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミドの具体例としては、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−iso−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−iso−ブチルアクリルアミド、N−sec−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−iso−プロピルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−iso−ブチルメタクリルアミド、N−sec−ブチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
(2−4)重合体の混合物
本発明で使用される水溶性高分子化合物が、カルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とを含む混合物であってもよい。その場合、混合物を構成する重合体として、カルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体としては、カルボン酸基を有する単量体を重合して得られる重合体、カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体との共重合体、カルボン酸基を有する単量体とその他の単量体との共重合体、カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体とその他の単量体との共重合体などが挙げられる。
また、スルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体としては、スルホン酸基を有する単量体を重合して得られる重合体、カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体との共重合体、スルホン酸基を有する単量体とその他の単量体との共重合体、カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体とその他の単量体との共重合体などが挙げられる。
カルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とを含む混合物は、これらのカルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体から、それぞれ一種以上の重合体の混合物である。混合物中のカルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体の割合は、5〜95質量%が好ましく、8〜92質量%がより好ましく、10〜90質量%がさらに好ましい。混合物中のスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体の割合は、5〜95質量%が好ましく、8〜92質量%がより好ましく、10〜90質量%がさらに好ましい。
(2−5)共重合体
本発明で使用される水溶性高分子化合物は、カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体であってもよい。共重合体中の、カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位の割合は、5〜95mol%が好ましく、8〜92mol%がより好ましく、10〜90mol%がさらに好ましい。スルホン酸基を有する単量体に由来する構成単位の割合は、5〜95mol%が好ましく、8〜92mol%がより好ましく、10〜90mol%がさらに好ましい。
(2−6)水溶性高分子化合物の製造方法
水溶性高分子化合物の製造方法は特に制限されないが、水溶液重合法が好ましい。水溶液重合法によれば、均一な溶液として水溶性高分子化合物を得ることができる。上記水溶液重合の重合溶媒としては、水性溶媒であることが好ましく、特に好ましくは水である。また、上記単量体成分の溶媒への溶解性を向上させるために、各単量体の重合に悪影響を及ぼさない範囲で有機溶媒を適宜加えてもよい。上記有機溶媒としては、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下に、上記水性溶媒を用いた水溶性高分子化合物の製造方法を説明する。重合反応では、公知の重合開始剤を使用できるが、特にラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。ラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、過酸化水素等の水溶性過酸化物、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類等の油溶性過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等のアゾ化合物が挙げられる。これらの過酸化物系のラジカル重合開始剤は、1種類のみ使用しても、または2種類以上併用してもよい。上述した過酸化物系のラジカル重合開始剤の中でも、生成する水溶性高分子化合物の分子量の制御が容易に行えることから、過硫酸塩やアゾ化合物が好ましく、アゾビスイソブチロニトリルが特に好ましい。
上記ラジカル重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、水溶性高分子化合物の全単量体合計質量に基づいて、0.1〜15質量%、特に0.5〜10質量%の割合で使用することが好ましい。この割合を0.1質量%以上にすることにより、共重合率を向上させることができ、15質量%以下とすることにより、水溶性高分子化合物の安定性を向上させることができる。
また、場合によっては、水溶性高分子化合物は、水溶性レドックス系重合開始剤を使用して製造してもよい。レドックス系重合開始剤としては、酸化剤(例えば上記の過酸化物)と、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、ハイドロサルファイトナトリウム等の還元剤や、鉄明礬、カリ明礬等の組み合わせを挙げることができる。
水溶性高分子化合物の製造において、分子量を調整するために、連鎖移動剤を重合系に適宜添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノールおよびチオフェノール等が挙げられる。
水溶性高分子化合物を製造する際の重合温度は、特に制限されないが、重合温度は60〜100℃で行うのが好ましい。重合温度を60℃以上にすることで、重合反応が円滑に進行し、かつ生産性に優れるものとなり、100℃以下とすることで、着色を抑制することができる。
また、重合反応は、加圧または減圧下で行うことも可能であるが、加圧あるいは減圧反応用の設備にするためのコストが必要になるので、常圧で行うことが好ましい。重合時間は2〜20時間、特に3〜10時間程度で行うことが好ましい。
重合反応後、必要に応じて塩基性化合物で中和を行う。中和に使用する塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類等が挙げられる。
中和後のpH値(25℃)は、水溶性高分子化合物濃度が10質量%の水溶液の場合、2〜9が好ましく、さらに好ましくは3〜8である。
(2−7)重量平均分子量
本発明で使用される水溶性高分子化合物を構成する、カルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体、スルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体および、カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体、カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体およびアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体の重量平均分子量は、それぞれ1,000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜800,000であり、さらに好ましくは5,000〜600,000である。なお、水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリアクリル酸換算で測定したものである。水溶性高分子化合物の重量平均分子量が、1,000未満の場合は、研磨後のうねりが悪化する。また1,000,000を超える場合には、水溶液の粘度が高くなり取扱いが困難になる。
(2−8)濃度
水溶性高分子化合物の研磨剤組成物中の濃度は、固形分換算で0.0001〜3.0質量%であり、好ましくは0.001〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.005〜1.0質量%である。水溶性高分子化合物の濃度が0.0001質量%より少ない場合には、水溶性高分子化合物の添加効果が十分に得られず、3.0質量%より多い場合には、水溶性高分子化合物の添加効果は頭打ちとなり、必要以上の水溶性高分子化合物を添加することになるので、経済的でない。
(3)有機硫酸エステル塩化合物
本発明の研磨剤組成物においては、有機硫酸エステル塩化合物を、必須成分として含有する。有機硫酸エステル塩化合物としては、下記の第一の態様と第二の態様のいずれかのものを含有することができる。
(3−1)有機硫酸エステル塩化合物(第一の態様)
本発明の研磨剤組成物で用いられる有機硫酸エステル塩化合物の第一の態様としては、下記一般式(1)で表される化合物である。
R−O−SOM (1)
式中、Rは炭素数5〜21の直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアルキルアリール基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、または有機カチオンを表す。
上記一般式(1)においてRの炭素数が5に満たないと研磨により発生した研磨屑の分散除去能や再付着防止能が不足してしまうことがあり、21を超えると有機硫酸エステル塩化合物自身の研磨剤組成物中での溶解性・分散安定性が低下し、研磨剤組成物の使用中に溶解性・分散安定性が低下してしまうことがある。Rの炭素数は8〜14であることが好ましく、10〜14であることがさらに好ましい。
具体的にRが示すアルキル基の例としては、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、t−ブチル基、イソオクチル基、イソドデシル基等が挙げられる。また、アルケニル基の例としては、オレイル基等が挙げられる。また、アリール基の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、アルキルアリール基の例としては、トリル基、キシリル基、オクチルフェニル基等が挙げられる。Rは酸化安定性、分解安定性の点からアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(1)におけるMの例としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニウムイオン、4級アンモニウムイオンやトリエタノールアミン等の有機アミンが挙げられる。
上記一般式(1)で表される有機硫酸エステル塩化合物の具体例としては、ヘプチル硫酸塩、オクチル硫酸塩、ラウリル硫酸塩、高級アルコール(ヤシ油)硫酸塩、ステアリル硫酸塩等が挙げられ、オクチル硫酸塩、ラウリル硫酸塩、ステアリル硫酸塩を用いることが好ましい。上記一般式(1)で表される有機硫酸エステル塩化合物は、本発明の研磨剤組成物中に1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
研磨剤組成物中の上記一般式(1)で表される有機硫酸エステル塩化合物の含有量は、通常0.0001〜2.0質量%であり、好ましくは0.0005〜1.0質量%である。
(3−2)有機硫酸エステル塩化合物(第二の態様)
本発明の研磨剤組成物で用いられる有機硫酸エステル塩化合物の第二の態様としては、下記一般式(2)で表される化合物である。
R−O−(AO)−SOM (2)
式中、Rは炭素数5〜21の直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアルキルアリール基を表し、AOは炭素数2または3のオキシアルキレン基を表し、nは1〜30の自然数を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、または有機カチオンを表す。
上記一般式(2)で表される有機硫酸エステル塩化合物において、Rは炭素数5〜21の直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキルアリール基である。Rの炭素数は8〜14であることが好ましく、10〜14であることがさらに好ましい。また、Rはアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(2)においてAOは炭素数2または3のオキシアルキレン基である。
上記一般式(2)においてnは1〜30の自然数であり、好ましくは2〜4である。
上記一般式(2)においてMの具体例としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニウムイオン、4級アンモニウムイオンやトリエタノールアミン等の有機アミンが挙げられる。
上記一般式(2)で表される有機硫酸エステル塩化合物としては、アニオン界面活性剤として一般に知られている水溶性のものが用いられる。本発明において、上記一般式(2)で表される有機硫酸エステル塩化合物とは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩およびポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩のいずれも含むものとする。
さらに具体的には、上記一般式(2)で表される有機硫酸エステル塩化合物としては、オキシエチレントリデシルエーテル硫酸塩(1分子当たりのオキシエチレン基が2個または3個)、オキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩(1分子当たりオキシエチレン基が2個または3個)、オキシエチレンノニルエーテル硫酸塩(1分子当たりオキシエチレン基が3個)、オキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸塩(1分子当たりオキシエチレン基が3個)、オキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩(1分子当たりオキシエチレン基が3個)などが挙げられる。これらのうち、特に、オキシエチレントリデシルエーテル硫酸塩(1分子当たりのオキシエチレン基が3個)、オキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩(1分子当たり、オキシエチレン基が3個)、オキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸塩(1分子当たりオキシエチレン基が3個)、オキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩(1分子当たりオキシエチレン基が3個)を用いることが好ましい。
上記一般式(2)で表される有機硫酸エステル塩化合物は、本発明の研磨剤組成物中に1種または2種以上を組み合わせて含有させることができる。また、上記一般式(1)で表される有機硫酸エステル塩化合物と組み合わせて用いることもできる。
研磨剤組成物中の上記一般式(2)で表される有機硫酸エステル塩化合物の含有量は、通常0.0001〜2.0質量%であり、好ましくは0.0005〜1.0質量%である。
(4)酸および/またはその塩
本発明では、pH調整のために、または任意成分として、酸および/またはその塩を使用することができる。使用される酸および/またはその塩としては、無機酸および/またはその塩と有機酸および/またはその塩が挙げられる。
無機酸および/またはその塩としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホスホン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の無機酸および/またはその塩が挙げられる。
有機酸および/またはその塩としては、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸および/またはその塩、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸等のカルボン酸および/またはその塩、有機ホスホン酸および/またはその塩が挙げられる。これらの酸および/またはその塩は、1種あるいは2種以上を用いることができる。
有機ホスホン酸および/またはその塩としては、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸、およびその塩から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が挙げられる。
上記の化合物は、2種以上を組み合わせて使用することも好ましい実施態様であり、具体的には、硫酸および/またはその塩と有機ホスホン酸および/またはその塩の組み合わせ、リン酸および/またはその塩と有機ホスホン酸および/またはその塩の組み合わせなどが挙げられる。
(5)酸化剤
本発明では、研磨促進剤として酸化剤を使用することができる。使用される酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、ハロゲンオキソ酸またはその塩、酸素酸またはその塩、これらの酸化剤を2種以上混合したもの、等を用いることができる。
具体的には、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、過酸化カリウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸の金属塩、ジクロム酸の金属塩、過硫酸、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキソリン酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。中でも過酸化水素、過硫酸およびその塩、次亜塩素酸およびその塩などが好ましく、さらに好ましくは過酸化水素である。
研磨剤組成物中の酸化剤含有量は、0.01〜10.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.1〜5.0質量%である。
2.研磨剤組成物の物性(pH)
本発明の研磨剤組成物のpH値(25℃)の範囲は、好ましくは0.1〜4.0である。より好ましくは0.5〜3.0である。研磨剤組成物のpH値(25℃)が0.1以上であることにより、表面荒れを抑制することができる。研磨剤組成物のpH値(25℃)が4.0以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。
本発明の研磨剤組成物は、ハードディスクといった磁気記録媒体などの種々の電子部品の研磨に使用することができる。特に、アルミニウム磁気ディスク基板の研磨に好適に用いられる。さらに好適には、無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板の研磨に用いることができる。無電解ニッケル−リンめっきは、通常、pH値(25℃)が4〜6の条件下でめっきされる。pH値(25℃)が4以下の条件下で、ニッケルが溶解傾向に向かうため、めっきしにくくなる。一方、研磨においては、例えば、pH値(25℃)が4.0以下の条件下でニッケルが溶解傾向となるため、本発明の研磨剤組成物を用いることにより、研磨速度を高めることができる。
3.磁気ディスク基板の研磨方法
本発明の研磨剤組成物は、アルミニウム磁気ディスク基板やガラス磁気ディスク基板等の磁気ディスク基板の研磨での使用に適している。特に、無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板(以下、アルミディスク)の研磨での使用に適している。
本発明の研磨剤組成物を適用することが可能な研磨方法としては、例えば、研磨機の定盤に研磨パッドを貼り付け、研磨対象物(例えばアルミディスク)の研磨する表面または研磨パッドに研磨剤組成物を供給し、研磨する表面を研磨パッドで擦り付ける方法(ポリッシングと呼ばれている)がある。例えば、アルミディスクのおもて面と裏面を同時に研磨する場合には、上定盤および下定盤それぞれに研磨パッドを貼り付けた両面研磨機を用いる方法がある。この方法では、上定盤および下定盤に貼り付けた研磨パッドでアルミディスクを挟み込み、研磨面と研磨パッドの間に研磨剤組成物を供給し、2つの研磨パッドを同時に回転させることによって、アルミディスクのおもて面と裏面を研磨する。研磨パッドは、ウレタンタイプ、スウェードタイプ、不織布タイプ、その他いずれのタイプも使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでなく、本発明の技術範囲に属する限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
[研磨剤組成物の調製方法]
実施例1〜15、比較例1〜9で使用した研磨剤組成物は、表1に記載の材料を、表1に記載の含有量で含んだ研磨剤組成物である。また、各実施例と各比較例の研磨試験の結果は表2、表3に示す。なお、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウムは、第二の態様の有機硫酸エステル塩化合物、ラウリル硫酸ナトリウムは、第一の態様の有機硫酸エステル塩化合物である。また、合成番号1〜5が、カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体の水溶性高分子化合物である。合成番号6、7は、単独重合体である。また、実施例11、12は、水溶性高分子化合物がカルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体を含む混合物である。合成番号8が、カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体およびアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体の水溶性高分子化合物である。
Figure 2020021527
[平均粒子径]
アルミナ粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定機((株)島津製作所製 SALD2200)を用いて測定した。アルミナ粒子の平均粒子径は、体積を基準とした小粒径側からの積算粒径分布が50%となる平均粒子径(D50)である。
[重量平均分子量]
水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリアクリル酸換算で測定したものであり、以下にGPC測定条件を示す。
[GPC条件]
カラム:G4000PWXL(東ソー(株)製)+G2500PWXL(東ソー(株)製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/アセトニトリル=9/1(容積比)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
検出:210nm(UV)
サンプル:濃度5mg/ml(注入量100μl)
検量線用ポリマー:ポリアクリル酸 分子量(ピークトップ分子量:Mp)11.5万、2.8万、4100、1250(創和科学(株)、American Polymer Standards Corp.)
[研磨条件]
無電解ニッケル−リンめっきした外径95mmのアルミディスクを研磨対象として、下記研磨条件で研磨を行った。
研磨機:スピードファム(株)製、9B両面研磨機
研磨パッド:(株)FILWEL社製、P1パッド
定盤回転数:上定盤 −7.5rpm
下定盤 22.5rpm
研磨剤組成物供給量: 100ml/min
研磨時間: 4.5分
加工圧力: 100g/cm
上記研磨条件で研磨試験を行った結果を、表2、表3に示す。
[研磨速度比]
研磨速度は、研磨後に減少したアルミディスクの質量を測定し、下記式に基づいて算出した。
研磨速度(μm/min)=アルミディスク質量減少量(g)/研磨時間(min)/アルミディスク片面の面積(cm)/無電解ニッケル−リンめっき皮膜の密度(g/cm)/2×10
(ただし、上記式中、アルミディスク片面の面積は65.9cm、無電解ニッケル−リンめっき皮膜の密度は、8.0g/cm
研磨速度比は、上記式を用いて求めた比較例1の研磨速度を1(基準)とした場合の相対値である。比較例1の実測値は0.354μm/minであった。
[うねり]
アルミディスクのうねりは、アメテック社製の走査型白色干渉法を利用した三次元表面構造解析顕微鏡を用いて測定した。測定条件は、アメテック社製の測定装置(New View 8300(レンズ:1.4倍、ズーム:1.0倍)、波長500〜1000μmとし、測定エリアは、6mm×6mmとし、アメテック社製の解析ソフト(Mx)を用いて解析を行った。尚、表2、表3に示した値は、比較例1のうねりを1(基準)とした場合の相対値である。比較例1の実測値は1.9Åであった。
[ロールオフ比]
端面形状の評価として、端面だれの度合いを数値化したロールオフを測定した。ロールオフはアメテック社製の測定装置(New View 8300(レンズ:1.4倍、ズーム:1.0倍)とアメテック社製の解析ソフト(Mx)を用いて測定した。
ロールオフの測定方法について図1を用いて説明する。図1は、研磨の対象物である無電解ニッケル−リンめっきをした外径95mmのアルミディスクの、ディスクの中心を通過し研磨した表面に対して垂直な断面図を表す。ロールオフの測定にあたり、まずディスクの外周端に沿って垂線hを設け、垂線hから研磨した表面上のディスクの中心に向かって垂線hに対して平行で垂線hからの距離が3.90mmである線jを設け、ディスクの断面の線が線jと交わる位置を点Aとした。また、垂線hに対して平行で垂線hからの距離が0.30mmである線kを設け、ディスクの断面の線が線kと交わる位置を点Bとした。点Aと点Bを結んだ線mを設け、さらに線mに垂直な線tを設け、ディスクの断面の線が線tと交わる位置を点C、線mが線tと交わる位置を点Dとした。そして、点C−D間の距離が最大となるところでの距離をロールオフとして測定した。
ロールオフ比は、上記方法を用いて測定した比較例1のロールオフを1(基準)とした場合の相対値である。比較例1の実測値は913Åであった。
Figure 2020021527
Figure 2020021527
[考察]
実施例1は比較例1に対して、有機硫酸エステル塩化合物を添加した実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。また、実施例1は比較例2に対しては、水溶性高分子化合物を添加した実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。さらに実施例1は比較例3に対しては、水溶性高分子化合物として単独重合体に代えて共重合体を用いた実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。実施例2は、実施例1の水溶性高分子化合物の分子量を変化させた実験である。
実施例3は比較例1に対して、有機硫酸エステル塩化合物を添加した実験であるが、研磨速度は同等、うねりとロールオフは改善されている。また、実施例3は比較例4に対しては、水溶性高分子化合物を添加した実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。さらに実施例3は比較例5に対しては、水溶性高分子化合物として単独重合体に代えて共重合体を用いた実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。実施例4は、実施例3の水溶性高分子化合物の分子量を変化させた実験である。
実施例5は比較例6に対して、有機硫酸エステル塩化合物を添加した実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。実施例6は、実施例5の水溶性高分子化合物の分子量を変化させた実験である。
実施例7は比較例6に対して、有機硫酸エステル塩化合物を添加した実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。実施例8は、実施例7の水溶性高分子化合物の分子量を変化させた実験である。
実施例9は比較例7に対して、水溶性高分子化合物として単独重合体に代えて共重合体を用いた実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。実施例10は比較例8に対して、水溶性高分子化合物として単独重合体に代えて共重合体を用いた実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。
実施例11は、比較例3が水溶性高分子化合物としてAA(アクリル酸)単独重合体のみを用いた実験であるのに対して、AA単独重合体とATBS(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)単独重合体の混合物を用いた実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。また、比較例7はATBS単独重合体のみを用いた実験であるが、これに対しても実施例11は研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。
実施例12は、比較例5がAA単独重合体のみを用いた実験であるのに対して、AA単独重合体とATBS単独重合体の混合物を用いた実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。また、比較例8はATBS単独重合体のみを用いた実験であるが、これに対しても実施例12は研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。
実施例13は、比較例9に対して、有機硫酸エステル塩化合物を添加した実験であるが、研磨速度、うねり、ロールオフの全てが改善されている。
実施例14は、実施例1で用いられる水溶性高分子化合物の組成を変化させて、3種類の単量体成分からなる共重合体を用いた実験である。
実施例15は、実施例3で用いられる水溶性高分子化合物の組成を変化させて、3種類の単量体成分からなる共重合体を用いた実験である。
以上のことから、本発明の研磨剤組成物を用いることにより、研磨速度、うねり、ロールオフの全てを改善できることが明らかである。本発明により、研磨速度を維持しながら基板表面のうねり低減およびロールオフ低減が可能となる。
本発明の研磨剤組成物は、半導体、ハードディスクといった磁気記録媒体などの電子部品の研磨に使用することができる。特にガラス磁気ディスク基板やアルミニウム磁気ディスク基板などの磁気記録媒体用基板の表面研磨に使用することができる。さらには、アルミニウム合金製の基板表面に無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成した磁気記録媒体用アルミニウム磁気ディスク基板の表面研磨に使用することができる。

Claims (11)

  1. アルミナ粒子と、水溶性高分子化合物と、有機硫酸エステル塩化合物と、水とを含み、
    前記水溶性高分子化合物がカルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とを含む混合物、および/またはカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体であり、
    前記有機硫酸エステル塩化合物が下記一般式(1)で表される磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
    R−O−SOM (1)
    式中、Rは炭素数5〜21の直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキルアリール基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、または有機カチオンを表す。
  2. アルミナ粒子と、水溶性高分子化合物と、有機硫酸エステル塩化合物と、水とを含み、
    前記水溶性高分子化合物がカルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体とを含む混合物、および/またはカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体であり、
    前記有機硫酸エステル塩化合物が下記一般式(2)で表される磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
    R−O−(AO)−SOM (2)
    式中、Rは炭素数5〜21の直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアルキルアリール基を表し、AOは炭素数2または3のオキシアルキレン基を表し、nは1〜30の自然数を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、または有機カチオンを表す。
  3. 前記水溶性高分子化合物であるカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体が、カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体およびアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体である請求項1または2に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  4. 前記アルミナ粒子はα−アルミナを含有し、平均粒子径が、0.1〜2.0μmであり、前記組成物中の濃度が1〜50質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  5. 前記カルボン酸基を有する単量体が、アクリル酸またはその塩、メタクリル酸またはその塩から選ばれる単量体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  6. 前記スルホン酸基を有する単量体が、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ビニルナフタレンスルホン酸、およびこれらの塩から選ばれる1種または2種以上の単量体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  7. 前記アミド基を有する単量体が、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミドから選ばれる単量体である請求項3に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  8. 前記カルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体、前記スルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする重合体、前記カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体および、前記カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体およびアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体の重量平均分子量がそれぞれ1,000〜1,000,000である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  9. 前記研磨剤組成物が酸および/またはその塩をさらに含有し、pH値(25℃)が0.1〜4.0の範囲にある請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  10. 前記研磨剤組成物が酸化剤をさらに含有している請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  11. 無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板の研磨に用いられる請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
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