JP6734146B2 - 磁気ディスク基板用研磨剤組成物 - Google Patents
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Description
本発明の磁気ディスク基板用研磨剤組成物は、コロイダルシリカと、水溶性高分子化合物と、水と、を含むものである。
本発明で使用される水溶性高分子化合物は、重量平均分子量が20,000〜10,000,000であり、好ましくは不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位と不飽和アミドに由来する構成単位とを含有する共重合体である。ここで、水溶性高分子化合物は、不飽和脂肪族カルボン酸および/またはその塩と、不飽和アミドとを必須単量体として共重合された高分子化合物であることが好ましい。
不飽和脂肪族カルボン酸およびその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの塩などが挙げられる。
不飽和アミドとしては、α,β−エチレン性不飽和アミドを用いることが好ましい。より具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミドなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミドが挙げられる。
本発明で使用される水溶性高分子化合物は、これらの単量体成分を組み合わせて重合することにより、共重合体とすることが好ましい。共重合の組み合わせとしては、アクリル酸および/またはその塩とN−アルキルアクリルアミドの組み合わせ、アクリル酸および/またはその塩とN−アルキルメタクリルアミドの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とN−アルキルアクリルアミドの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とN−アルキルメタクリルアミドの組み合わせが好ましく用いられる。なかでもN−アルキルアクリルアミドまたはN−アルキルメタクリルアミドのアルキル基が、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基からなる群より選択される少なくとも1つであるものが特に好ましく用いられる。
水溶性高分子化合物製造方法は特に制限されないが、水溶液重合法が好ましい。水溶液重合によれば、均一な溶液として水溶性高分子化合物を得ることができる。
水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、20,000〜10,000,000であり、好ましくは、50,000〜5,000,000である。さらに好ましくは、100,000〜1,000,000である。尚、水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリアクリル酸換算で測定したものである。水溶性高分子化合物の重量平均分子量が、20,000未満の場合は、スクラッチが悪化する。また、10,000,000を超える場合には、水溶液の粘度が高くなり取扱いが困難になる。
水溶性高分子化合物の研磨剤組成物中の濃度は、固形分換算で、0.0001質量%以上、2.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.001質量%以上、1.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.005質量%以上、0.5質量%以下である。水溶性高分子化合物の濃度が、0.0001質量%より少ない場合には、水溶性高分子化合物の添加効果が十分に得られず、2.0質量%より多い場合には、水溶性高分子化合物の添加効果は頭打ちとなり、必要以上の水溶性高分子化合物を添加することで経済的でない。
本発明で使用されるコロイダルシリカは、平均粒子径(D50)が1〜100nmであることが好ましい。より好ましくは、2〜80nmである。コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリ金属塩を原料とし、当該原料を水溶液中で縮合反応させて粒子を成長させる水ガラス法で得られる。またはテトラエトキシシラン等のアルコキシシランを原料とし、当該原料をアルコール等の水溶性有機溶媒を含有する水中で、酸またはアルカリでの加水分解による縮合反応によって粒子を成長させるアルコキシシラン法でも得られる。
本発明では、pH調整のために、または任意成分として酸および/またはその塩を使用することができる。使用される酸および/またはその塩としては、無機酸および/またはその塩と有機酸および/またはその塩が挙げられる。
本発明では、研磨促進剤として酸化剤を使用することができる。使用される酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、ハロゲンオキソ酸またはその塩、酸素酸またはその塩、それらの酸化剤を2種以上混合したもの、等を用いることができる。
本発明においては、さらに分子中に繰り返し単位とスルホン酸(塩)基とを有し、繰り返し単位の主鎖中に芳香族基を有する界面活性剤を研磨剤組成物中に含有することができる。
本発明の研磨剤組成物のpH値(25℃)は、好ましくは0.1〜4.0である。さらに好ましくは0.5〜3.0である。研磨剤組成物のpH値(25℃)が0.1以上であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。研磨剤組成物のpH値(25℃)が4.0以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。
本発明の研磨剤組成物は、アルミニウム磁気ディスクやガラス磁気ディスク基板等の磁気ディスク基板の研磨での使用に適している。特に、無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板の仕上げ研磨での使用に適している。
[GPC条件]
カラム:G4000PWXL(東ソー(株)製)+G2500PWXL(東ソー(株)製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/アセトニトリル=9/1(容量比)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
検出:210nm(UV)
サンプル:濃度5mg/ml(注入量100μl)
検量線用ポリマー:ポリアクリル酸 分子量(ピークトップ分子量:Mp)11.5万、2.8万、4100、1250(創和科学(株)、American Polymer Standards Corp.)
コロイダルシリカの粒子径(Heywood径)は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製、透過型電子顕微鏡 JEM2000FX(200kV))を用いて倍率10万倍の視野を撮影し、この写真を解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac−View Ver.4.0)を用いて解析することによりHeywood径(投射面積円相当径)として測定した。コロイダルシリカの平均粒子径は前述の方法で2000個程度のコロイダルシリカの粒子径を解析し、小粒径側からの積算粒径分布(累積体積基準)が50%となる粒子径を上記解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac−View Ver. 4.0)を用いて算出した平均粒子径(D50)である。
無電解ニッケル−リンめっきされた外径95mmのアルミニウム磁気ディスク基板を粗研磨したものを研磨対象として研磨を行った。
研磨パッド:(株)FILWEL社製 P2用パッド
定盤回転数:上定盤 −8.3min−1
下定盤 25.0min−1
研磨剤組成物供給量: 100ml/min
研磨時間: 300秒
加工圧力: 11kPa
[研磨速度比]
研磨速度は、研磨後に減少したアルミニウム磁気ディスク基板の質量を測定し、下記式に基づいて計算した。
研磨速度(μm/min)=アルミニウム磁気ディスク基板の質量減少(g)/研磨時間(min)/アルミニウム磁気ディスク基板の片面の面積(cm2)/無電解ニッケル−リンめっき皮膜の密度(g/cm3)/2×104
(ただし、上記式中、アルミニウム磁気ディスク基板の片面の面積は65.9cm2,無電解ニッケル−リンめっき皮膜の密度は8.0g/cm3)
研磨速度比は、比較例1で10枚目の基板を研磨した時に上記式を用いて求めた研磨速度を1(基準)とした場合の相対値である。尚、比較例1で10枚目の基板を研磨した時の研磨速度は0.1052μm/minであった。
スクラッチ本数は、(有)ビジョンサイテック製のMicroMAX VMX−4100を用いて、基板にあるスクラッチの本数を、測定条件:チルト角−5°、倍率20倍で測定した。スクラッチ比は、比較例1で10枚目の基板を研磨した時のスクラッチ本数を1(基準)とした場合の相対値である。
比較例1と比較例3の対比、および比較例2と比較例4の対比から、重量平均分子量が6,000のアクリル酸(塩)の単独重合体添加(アクリルポリマーV)により、研磨速度は向上するものの、スクラッチが悪化することがわかる。これに対して、参考例1と比較例1の対比、および参考例2と比較例2の対比から、重量平均分子量が300,000のアクリル酸(塩)の単独重合体添加(アクリルポリマーIV)により、研磨速度が向上し、スクラッチも改善されることがわかる。
Claims (11)
- コロイダルシリカと、水溶性高分子化合物と、水とを含み、前記水溶性高分子化合物が、不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位と不飽和アミドに由来する構成単位の2種の構成単位を含有し、前記2種の構成単位の量比が、mol比で95:5〜5:95の範囲にある共重合体であり、前記不飽和アミドがN−アルキルアクリルアミドまたはN−アルキルメタクリルアミドのいずれかであり、前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量が20,000〜10,000,000であり、前記水溶性高分子化合物の濃度が0.0001〜2.0質量%である磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記コロイダルシリカの平均粒子径(D50)が1〜100nmであり、前記磁気ディスク基板用研磨剤組成物中の前記コロイダルシリカの濃度が1〜50質量%である請求項1に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記共重合体がアクリル酸および/またはその塩とN−アルキルアクリルアミドの共重合体、アクリル酸および/またはその塩とN−アルキルメタクリルアミドの共重合体、メタクリル酸および/またはその塩とN−アルキルアクリルアミドの共重合体、メタクリル酸および/またはその塩とN−アルキルメタクリルアミドの共重合体からなる群より選ばれる請求項1または2に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量が50,000〜5,000,000である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量が100,000〜1,000,000である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記研磨剤組成物のpH値(25℃)が0.1〜4.0の範囲にある請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- さらに有機ホスホン酸および/またはその塩から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記有機ホスホン酸および/またはその塩が、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸、およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である請求項7に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- さらに、分子中に繰り返し単位とスルホン酸(塩)基とを有し、繰り返し単位の主鎖中に芳香族基を有する界面活性剤を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記界面活性剤がナフタレンスルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物およびこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項9に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記ナフタレンスルホン酸系化合物が、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、およびこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項10に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
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