JP7356864B2 - 磁気ディスク基板用研磨剤組成物、及び磁気ディスク基板の研磨方法 - Google Patents
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Description
ホン酸、ビニルナフタレンスルホン酸、及びこれらの塩から選ばれる単量体である前記[5]または[6]に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
本発明の研磨剤組成物(磁気ディスク基板用研磨剤組成物)は、必須成分として固体中のAl含有量100mg/kg以下であるシリカ粒子或いは金属ケイ素を原料として合成されたシリカ粒子を含有するコロイダルシリカと、水とを含有する研磨剤組成物であり、好ましくは水溶性高分子化合物を含有し、その他の任意成分として酸及び/またはその塩、酸化剤を含有して構成されるものである。
本発明の研磨剤組成物に使用されるコロイダルシリカは、固体中のAl含有量が100mg/kg以下であるシリカ粒子を少なくとも3質量%以上含有するものである。或いは、金属ケイ素を原料として合成されたシリカ粒子を少なくとも3質量%以上含有するものである。
重合反応 :SiO3 2- + H2O → SiO2 +2OH- (2)
総括反応式:Si + 2H2O → SiO2 + 2H2↑ (3)
本発明で使用される水溶性高分子化合物は、好ましくはカルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体であり、更に好ましくは(a)カルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体、(b)カルボン酸基を有する単量体とスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体、(c)カルボン酸基を有する単量体とアミド基を有する単量体及びスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体等を挙げることができる。
カルボン酸基を有する単量体としては、不飽和脂肪族カルボン酸及びその塩が好ましく用いられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸及びこれらの塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
アミド基を有する単量体の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド等を使用することができる。N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミドの具体例としては、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-n-プロピルアクリルアミド、N-iso-プロピルアクリルアミド、N-n-ブチルアクリルアミド、N-iso-ブチルアクリルアミド、N-sec-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-iso-プロピルメタクリルアミド、N-n-ブチルメタクリルアミド、N-iso-ブチルメタクリルアミド、N-sec-ブチルメタクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、イソプレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ビニルナフタレンスルホン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。好ましくは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。
本発明の研磨剤組成物に好ましく含有されるカルボン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体について説明する。
本発明の研磨剤組成物において使用される水溶性高分子化合物の製造方法は特に制限されないが、例えば、水溶液重合法を用いて水溶性高分子化合物を製造することが好ましい。水溶液重合法によれば、均一な溶液として水溶性高分子化合物を得ることができる。
水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、好ましくは1,000~1,000,000であり、より好ましくは2,000~800,000であり、更に好ましくは3,000~600,000である。なお、水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリアクリル酸換算で測定したものである。水溶性高分子化合物の重量平均分子量が、1,000未満の場合は、研磨後のうねりが悪化する。また1,000,000を超える場合には、水溶液の粘度が高くなり取扱いが困難になる。
研磨剤組成物中の水溶性高分子化合物の濃度は、固形分換算で好ましくは0.0001~3.0質量%であり、より好ましくは0.0005~2.0質量%であり、更に好ましくは0.001~1.0質量%である。水溶性高分子化合物の濃度が0.0001質量%より少ない場合には、水溶性高分子化合物の添加効果が十分に得られず、3.0質量%より多い場合には、水溶性高分子化合物の添加効果は頭打ちとなり、必要以上の水溶性高分子化合物を添加することになるので、経済的でない。
研磨剤組成物のpH値調整のために、または任意成分として、酸及び/またはその塩を使用することができる。使用される酸及び/またはその塩としては、無機酸及び/またはその塩と有機酸及び/またはその塩が挙げられる。
本発明の研磨剤組成物は、研磨促進剤として酸化剤を含有してもよい。酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、ハロゲンオキソ酸またはその塩、酸素酸またはその塩、これらの酸化剤を2種以上混合したもの等を用いることができる。
発明の研磨剤組成物の25℃におけるpH値(以下、「pH値(25℃)」と称す。)は0.1~4.0であることが好ましく、より好ましくは0.5~3.0である。研磨剤組成物のpH値(25℃)が0.1以上であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。研磨剤組成物のpH値(25℃)が4.0以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。無電解ニッケル-リンめっきにおいて、pH値(25℃)が4.0以下の条件ではニッケルが溶解傾向に向かうため、めっきが進行しにくくなる。一方、研磨においては、例えば、pH値(25℃)が4.0以下の条件下でニッケルが溶解傾向となるため、本発明の研磨剤組成物を用いることにより、研磨速度を高めることが可能になる。
本発明の磁気ディスク基板の研磨方法は、アルミニウム合金基板の基板表面に無電解ニッケル-リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板(以下、「アルミディスク」と称す。)やガラス磁気ディスク基板等の磁気ディスク基板の研磨での使用に適している。特に、本発明の磁気ディスク基板の研磨方法は、磁気ディスク基板に対して複数回の研磨工程を繰り返す多段研磨方式を採用し、磁気ディスク基板に対する最終研磨工程でかかる研磨剤組成物を用いる、アルミディスク等の磁気ディスク基板での研磨に適している。
実施例1~16、及び比較例1~6で使用した研磨剤組成物は、表1の材料を表1に記載した含有量で含んだ研磨剤組成物である。これらの研磨剤組成物を使用して研磨試験を行った研磨を表2~4に示す。
水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリアクリル酸換算で測定したものであり、以下にGPC測定条件を示す。
GPC条件
カラム:TSKgel G4000PWXL(東ソー製)+G2500PWXL(東ソー製)+SHODEX OHpak SB-806M-HQ(昭和電工製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/アセトニトリル=9/1(容積比)
流速:1.0mL/min
温度:40℃
検出:示差屈折率(RI)
サンプル:濃度0.1wt%(注入量100μL)
検量線用ポリマー:ポリアクリル酸 分子量(Mp)11.5万、2.8万、4100、
1250(創和科学(株)、American Polymer Standards Corp.)
コロイダルシリカの粒子径(Heywood径)は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製、透過型電子顕微鏡JEM2000FX(200kV))を用いて倍率10万倍の視野の写真を撮影し、この写真を解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac-View Ver.4.0)を用いて解析することによりHeywood径(投射面積円相当径)として測定した。コロイダルシリカの平均一次粒子径は、前述の方法で2000個程度のコロイダルシリカの粒子径を解析し、小粒径側からの積算粒径分布(累積体積基準)が50%となる粒径を上記解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac-View Ver.4.0)を用いて算出した平均一次粒子径(D50)である。
コロイダルシリカのAl含有量は、コロイダルシリカを含む分散液を乾燥した後、固形分をすべて溶解した後、ICP発光分光分析装置を用いてコロイダルシリカ固形分中のAl含有量を測定した。
無電解ニッケル-リンめっき被膜を形成した外径95mmのアルミニウム磁気ディスク基板(基板)を粗研磨したものを研磨対象として多数回研磨を行った。
研磨機:スピードファム(株)製、9B両面研磨機
研磨パッド:(株)FILWEL社製 P2用パッド
定盤回転数:上定盤 -8.3min-1
下定盤 25.0min-1
研磨剤組成物供給量: 50ml/min
研磨時間: 300秒
加工圧力: 14kPa
(研磨速度比)
研磨速度は、研磨後に減少したアルミニウム磁気ディスク基板の質量を測定し、下記式に基づいて計算した。
研磨速度(mg/min)=アルミニウム磁気ディスク基板の質量減少(mg)/研磨時間(min)
基板の長波長うねりは、アメテック(株)製、3次元光学プロファイラーNew View 8300 を使用して測定した。
測定条件は以下の通りである。
レンズ 1.4倍 ZWF型
ZOOM 2.0倍
Measurement Type Surface
Measure Mode CSI
Scan Length 5μm
Camera Mode 1024×1024
Filter Band Pass
Cut Off Short 500.000μm
Long 1000.000μm
測定ポイント
半径 30.00mm
角度 30°毎に12点
ハレーションは、基板全表面欠陥検査機(株)日立ハイテクファインシステムズ社製NS2000Hを使用して測定した。測定条件は以下の通りである。
PMT/APD Power Control Voltage
Hi-Light 1 OFF
Hi-Light 2 821V
Scan Pitch 3μm
Inner/Outer Radius 18.0000-47.0000mm
Positive Level 77mV
H2 White Spot Level 80.0mV
ハレーション比は、比較例で20回目の基板を研磨した時に上記方法を用いて求めたハレーションカウントを1(基準)とした場合の相対値である。なお、表2では比較例1で20回目の基板を研磨した時の値を1とし、表3では比較例3で20回目の基板を研磨したときの値を1とし、表4では比較例5で20回目の基板を研磨した時の値を1とした。
表2の実施例1と比較例1との対比から、固体中のAl含有量が100mg/kg以下であるシリカ粒子或いは金属ケイ素を原料として合成されたシリカ粒子を含有するコロイダルシリカを使用することにより、多数回研磨において研磨速度の低下が抑制され、長波長うねりが改善され、ハレーションも改善されることがわかる。
Claims (11)
- 平均一次粒子径が1~100nmのコロイダルシリカと、
酸及び/またはその塩と、
水と
を含有し、
25℃におけるpH値が0.1~4.0の範囲にあり、
前記コロイダルシリカは、
金属ケイ素を原料として、水と反応させることにより合成されたシリカ粒子を少なくとも3質量%以上含む磁気ディスク基板用研磨剤組成物。 - 前記コロイダルシリカは、
前記金属ケイ素を原料として、水と反応させることにより合成されたシリカ粒子を少なくとも10質量%以上含有する請求項1に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。 - 水溶性高分子化合物を更に含有する請求項1または2に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記水溶性高分子化合物は、
カルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体であり、
重量平均分子量が1,000~1,000,000である請求項3に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。 - 前記水溶性高分子化合物は、
カルボン酸基を有する単量体及びスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体であり、
重量平均分子量が1,000~1,000,000である請求項3に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。 - 前記水溶性高分子化合物は、
カルボン酸基を有する単量体、アミド基を有する単量体、及びスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体であり、
重量平均分子量が1,000~1,000,000である請求項3に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。 - 前記カルボン酸基を有する単量体は、
アクリル酸またはその塩、または、メタクリル酸またはその塩から選ばれる単量体である請求項4~6のいずれか一項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。 - 前記アミド基を有する単量体は、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、及びN-アルキルメタクリルアミドから選ばれる1種または2種以上の単量体である請求項4または6に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。 - 前記スルホン酸基を有する単量体は、
イソプレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ビニルナフタレンスルホン酸、及びこれらの塩から選ばれる単量体である請求項5または6に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。 - 酸化剤を更に含有する請求項1~9のいずれか一項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 請求項1~10のいずれか一項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物を用いた磁気ディスク基板の研磨方法であって、アルミニウム合金基板の基板表面にニッケル-リンめっき皮膜を形成した磁気ディスク基板を研磨対象とし、前記磁気ディスク基板に対して複数回の研磨工程を繰り返す多段研磨方式が採用され、前記磁気ディスク基板に対する最終研磨工程で前記磁気ディスク基板用研磨剤組成物を用いる磁気ディスク基板の研磨方法。
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