JP6659449B2 - 無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物 - Google Patents
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Description
本発明の無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物は、コロイダルシリカと、リン含有化合物と、水溶性高分子化合物と、水と、を含むものである。
本発明で使用される水溶性高分子化合物は、不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位と不飽和アミドに由来する構成単位とを含有する共重合体である。即ち、水溶性高分子化合物は、不飽和脂肪族カルボン酸および/またはその塩と、不飽和アミドとを必須単量体として共重合された高分子化合物である。つまり、本発明で使用される水溶性高分子化合物は、不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位および不飽和アミドに由来する構成単位を必須の構成単位とする高分子化合物である。
不飽和脂肪族カルボン酸およびその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの塩などが挙げられる。
不飽和アミドとしては、α,β−エチレン性不飽和アミドを用いることが好ましい。より具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミドなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミドが挙げられる。
本発明で使用される水溶性高分子化合物は、これらの単量体成分を組み合わせて重合することにより、共重合体とすることが好ましい。共重合の組み合わせとしては、アクリル酸および/またはその塩とN−アルキルアクリルアミドの組み合わせ、アクリル酸および/またはその塩とN−アルキルメタクリルアミドの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とN−アルキルアクリルアミドの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とN−アルキルメタクリルアミドの組み合わせが好ましく用いられる。なかでも、N−アルキルアクリルアミドまたはN−アルキルメタクリルアミドのアルキル基が、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基からなる群より選択される少なくとも1つであるものが特に好ましく用いられる。
水溶性高分子化合物の製造方法は特に制限されないが、水溶液重合法が好ましい。水溶液重合によれば、均一な溶液として水溶性高分子化合物を得ることができる。
水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、500以上、50,000以下であることが好ましく、より好ましくは1,000以上、30,000以下である。なお、水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリアクリル酸換算で測定したものである。
水溶性高分子化合物の研磨剤組成物中の濃度は、固形分換算で、0.0001質量%以上、2.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.001質量%以上、1.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.005質量%以上、0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.01質量%以上、0.3質量%以下である。
本発明で使用されるコロイダルシリカは、平均粒子径(D50)が1〜100nmであることが好ましい。より好ましくは2〜80nmである。コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリ金属塩を原料とし、当該原料を水溶液中で縮合反応させて粒子を成長させる水ガラス法で得られる。またはテトラエトキシシラン等のアルコキシシランを原料とし、当該原料をアルコール等の水溶性有機溶媒を含有する水中で、酸またはアルカリでの加水分解による縮合反応によって粒子を成長させるアルコキシシラン法等でも得られる。
本発明ではpH調整のために、または任意成分として酸および/またはその塩を使用することができる。
本発明で使用されるリン含有化合物は、無機リン化合物、有機ホスホン酸および/またはその塩から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが好ましい。
本発明では、研磨促進剤として酸化剤を使用することができる。使用される酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、ハロゲンオキソ酸またはその塩、酸素酸またはその塩、それらの酸化剤を二種以上混合したもの、等を用いることができる。
本発明においては、さらに分子中に繰り返し単位とスルホン酸(塩)基とを有し、繰り返し単位の主鎖中に芳香族基を有する界面活性剤を研磨剤組成物中に含有することができる。
本発明の研磨剤組成物のpH値(25℃)は、好ましくは0.1〜4.0である。さらに好ましくは0.5〜3.0である。研磨剤組成物のpH値(25℃)が0.1以上であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。研磨剤組成物のpH値(25℃)が4.0以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。
本発明の研磨剤組成物は、アルミニウム磁気ディスク基板やガラス磁気ディスク基板等の磁気ディスク基板の研磨での使用に適している。特に、無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板の仕上げ研磨での使用に適している。
実施例1〜4、参考例1〜4、比較例1〜6で使用した研磨剤組成物は、表1に記載の材料を、表1に記載の含有量または添加量で含んだ研磨剤組成物である。
コロイダルシリカの粒子径(Heywood径)は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製、透過型電子顕微鏡 JEM2000FX(200kV))を用いて倍率10万倍の視野の写真を撮影し、この写真を解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac−View Ver.4.0)を用いて解析することによりHeywood径(投射面積円相当径)として測定した。コロイダルシリカの平均粒子径は前述の方法で2000個程度のコロイダルシリカの粒子径を解析し、小粒子径側からの積算粒径分布(累積体積基準)が50%となる粒子径を上記解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac−View Ver.4.0)を用いて算出した平均粒子径(D50)である。
無電解ニッケル−リンめっきした外径95mmのアルミニウム磁気ディスク基板を粗研磨したものを研磨対象として研磨を行った。
研磨機:スピードファム(株)製、9B両面研磨機
研磨パッド:(株)FILWEL社製 P2用パッド
定盤回転数:上定盤 −8.3min−1
下定盤 25.0min−1
研磨剤組成物供給量: 100ml/min
研磨時間: 300秒
加工圧力: 11kPa
[研磨速度比]
研磨速度は、研磨後に減少したアルミニウム磁気ディスク基板の質量を測定し、下記式に基づいて算出した。
研磨速度(μm/min)=アルミニウム磁気ディスク基板の質量減少(g)/研磨時間(min)/アルミニウム磁気ディスク基板の片面の面積(cm2)/無電解ニッケル−リンめっき皮膜の密度(g/cm3)/2×104
(ただし、上記式中、アルミニウム磁気ディスク基板の片面の面積は65.9cm2,無電解ニッケル−リンめっき皮膜の密度は8.0g/cm3)
研磨速度比は、比較例3で10枚目の基板を研磨した時に上記式を用いて求めた研磨速度を1(基準)とした場合の相対値である。尚、比較例3で10枚目の基板を研磨した時の研磨速度は0.0985μm/minであった。
スクラッチ本数は(有)ビジョンサイテック製のMicroMAX VMX−4100を用いて、基板にあるスクラッチの本数を、測定条件チルト角−5°、倍率20倍で測定した。スクラッチ比は、比較例3で10枚目の基板を研磨したときのスクラッチ本数を1(基準)とした場合の相対値である。
各研磨剤組成物を600リットル調製し、100時間連続して目開き0.45μmのフィルターに通液し、フィルターカートリッジの差圧が0.2MPaまで上昇した段階で新しいフィルターに交換した。表2に各研磨剤組成物のフィルター交換回数を示した。回数が少ない程フィルター閉塞が起こりにくいことを示す。つまり、フィルター交換回数が少ないものは、コロイダルシリカの凝集を抑制できたことを示す。
比較例1と比較例3の対比、および比較例2と比較例4の対比から、アクリル酸(塩)の単独重合体添加(アクリルポリマーC)により、研磨速度は向上するものの、スクラッチが悪化することがわかる。
Claims (10)
- コロイダルシリカと、リン含有化合物と、水溶性高分子化合物と、水と、を含み、前記リン含有化合物が、無機リン化合物、有機ホスホン酸および/またはその塩、からなる群のそれぞれから1種以上が選択される2種以上の化合物であり、前記水溶性高分子化合物が不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位と不飽和アミドに由来する構成単位とを含有する共重合体であって、前記不飽和脂肪族カルボン酸が、アクリル酸および/またはその塩、メタクリル酸および/またはその塩から選ばれる少なくとも1種以上であり、前記不飽和アミドが、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−iso−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−iso−ブチルアクリルアミド、N−sec−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−iso−プロピルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−iso−ブチルメタクリルアミド、N−sec−ブチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種以上である、無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記コロイダルシリカの平均粒子径(D50)が1〜100nmであり、組成物中の濃度が1〜50質量%である請求項1に記載の無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記水溶性高分子化合物は、不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位と不飽和アミドに由来する構成単位の量比が、mol比で95:5〜5:95の範囲にある共重合体である請求項1または2に記載の無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量が500〜50,000である請求項1〜3のいずれか一項に記載の無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記水溶性高分子化合物の濃度が0.0001〜2.0質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記無機リン化合物が、リン酸、およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記有機ホスホン酸および/またはその塩が、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- さらに、分子中に繰り返し単位とスルホン酸(塩)基とを有し、繰り返し単位の主鎖中に芳香族基を有する界面活性剤を含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記界面活性剤がナフタレンスルホン酸系化合物、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物およびこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項8に記載の無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
- 前記ナフタレンスルホン酸系化合物が、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、およびこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項9に記載の無電解ニッケル−リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
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