JP2019119782A - 研磨液組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、(a)酸化剤、(b)リン酸基又は亜リン酸基を有する、前記酸化剤の作用の調節剤、(c)ホスホン酸基を有する第一促進剤、(d)アミン基又はアンモニウム基を有する第二促進剤、及び(e)水、を含有するpH2.5〜2.6の組成物中に、粒径15〜80nmの研磨材粒子が分散している分散液を含む、CMP組成物が開示されている。
特許文献3には、水性媒体、研磨材及び所定の研磨促進剤を含有する化学機械的研磨組成物が開示されている。
特許文献4には、70〜90重量%の水性媒体と1〜25重量%の研磨材と0.1〜20重量%の研磨促進剤とを含み、該研磨促進剤がモノカルボキシ基又はアミド基を有する化合物を含む、半導体プロセス用化学機械的研磨材組成物が開示されている。
特許文献5には、尿素、及び少なくとも1種の金属酸化物研磨材を含んでなる化学的・機械的研磨用スラリーの前躯体組成物が開示されている。
特許文献6には、砥粒、酸、酸化剤、及び欠陥低減剤を含有してなり、前記欠陥低減剤がグアニジン骨格を有する化合物である、ニッケルリンめっき磁気ディスク用基板の研磨用組成物が開示されている。
本開示の研磨液組成物では、所定の尿素誘導体(成分B)が、表面が負に帯電しているNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板に吸着することで、該基板の表面が正電荷に改質されると考えられる。そして、表面改質された基板と、負に帯電しているシリカ粒子との接触頻度が向上し、研磨速度の向上に寄与すると考えられる。さらに、尿素誘導体(成分B)が基板に吸着するため、保護膜のように働き、スクラッチ低減にも寄与すると考えられる。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示の研磨液組成物は、研磨材(砥粒)としてシリカ粒子(成分A)を含有する。成分Aとしては、一又は複数の実施形態において、研磨速度の確保及びスクラッチ低減の観点から、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、粉砕シリカ、それらを表面修飾したシリカ等が挙げられ、コロイダルシリカが好ましい。成分Aは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示の研磨液組成物に含まれる成分Bは、尿素誘導体(但し、尿素を除く)である。成分Bの尿素誘導体としては、例えば、分子内に下記式(I)で表される尿素骨格を少なくとも1つ有する、尿素以外の化合物が挙げられる。成分Bは、1種単独でもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
前記炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよく、また、直鎖でも分岐鎖でもよい。
前記炭化水素基の炭素数は、研磨速度の確保及びスクラッチ低減の観点から、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。より具体的には、前記炭化水素の炭素数は、1以上20以下が好ましく、2以上15以下がより好ましく、3以上10以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物は、酸(成分C)を含有する。本開示において、酸の使用は、酸及び/又はその塩の使用を含む。成分Cは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示の研磨液組成物は、媒体として水を含有する。水としては、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられる。本開示の研磨液組成物中の水の含有量は、成分A、成分B、成分C及び後述する任意成分を除いた残余とすることができる。
本開示の研磨液組成物は、研磨速度の確保及びスクラッチ低減の観点から、さらに酸化剤(以下、「成分D」ともいう)を含有してもよい。成分Dは、一又は複数の実施形態において、ハロゲン原子を含まない酸化剤である。成分Dは、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
本開示の研磨液組成物は、複素環芳香族化合物(その塩も含む)(成分E)をさらに含有してもよい。成分Eは1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
本開示の研磨液組成物は、スクラッチ低減の観点から、脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物(成分F)をさらに含有してもよい。スクラッチ低減の観点から、成分Fの分子内の窒素原子数又はアミノ基若しくはイミノ基の併せた数は、2個以上4個以下が好ましい。成分Fは1種単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
本開示の研磨液組成物は、スクラッチ低減の観点から、水溶性高分子(成分G)をさらに含有してもよい。成分Gは、1種単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、必要に応じてさらにその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、成分B以外の研磨速度向上剤、増粘剤、分散剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。
本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度の確保及びスクラッチ低減の観点から、2.3以下であって、2.2以下が好ましく、2以下がより好ましく、そして、1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物のpHは、1以上2.3以下が好ましく、1.2以上2.2以下がより好ましく、1.5以上2以下が更に好ましい。pHは、前述の酸(成分C)や公知のpH調整剤等を用いて調整することができる。上記のpHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、好ましくはpHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値である。
本開示の研磨液組成物は、例えば、成分A、成分B、成分C及び水と、さらに所望により、成分D〜G及びその他の成分とを公知の方法で配合することにより製造できる。すなわち、本開示は、その他の態様において、少なくとも成分A、成分B、成分C及び水を配合する工程を含む、研磨液組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A、成分B、成分C及び水、並びに必要に応じて成分D〜G及びその他の成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。成分Aが複数種類のシリカ粒子からなる場合、複数種類のシリカ粒子は、同時に又はそれぞれ別々に配合できる。成分Bが複数種類の尿素誘導体からなる場合、複数種類の尿素誘導体は、同時に又はそれぞれ別々に配合できる。成分Cが複数種類の酸からなる場合、複数種類の酸は、同時に又はそれぞれ別々に配合できる。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。研磨液組成物の製造方法における各成分の好ましい配合量は、上述した本開示の研磨液組成物中の各成分の好ましい含有量と同じとすることができる。
本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を製造するための研磨液キット(以下、「本開示の研磨液キット」ともいう)に関する。
本開示の研磨液キットの一実施形態としては、例えば、成分A及び水を含むシリカ分散液と、成分B及び成分Cを含む添加剤水溶液とを相互に混合されない状態で含み、これらが使用時に混合され、必要に応じて水を用いて希釈される研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。前記シリカ分散液及び前記添加剤水溶液にはそれぞれ必要に応じて上述した任意成分(成分D〜G及びその他の成分)が含まれていてもよい。本開示の研磨液キットによれば、研磨速度を確保しつつ、研磨後の基板表面のスクラッチを低減できる研磨液組成物が得られうる。
本開示の研磨液組成物を用いて研磨される被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板であり、例えば、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板が挙げられる。本開示において「Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板」とは、アルミニウム合金基材の表面を研削後、無電解Ni−Pメッキ処理したものをいう。被研磨基板の表面を本開示の研磨液組成物を用いて研磨する工程の後、スパッタ等でその基板表面に磁性層を形成する工程を行うことにより磁気ディスク基板を製造できる。
一般に、磁気ディスクは、研削工程を経た被研磨基板が、粗研磨工程、仕上げ研磨工程を経て研磨され、記録部形成工程にて磁気ディスク化されて製造される。本開示における研磨液組成物は、磁気ディスク基板の製造方法における、被研磨基板を研磨する研磨工程、好ましくは仕上げ研磨工程に使用されうる。すなわち、本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう)を含む、磁気ディスク基板の製造方法(以下、「本開示の基板製造方法」ともいう)に関する。本開示の基板製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。
本開示は、その他の態様として、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含む、基板の研磨方法(以下、「本開示の研磨方法」ともいう)に関する。本開示の研磨方法を使用することにより、研磨後の基板表面のスクラッチが低減された、高品質の磁気ディスク基板を高収率で、生産性よく製造できるという効果が奏されうる。本開示の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。具体的な研磨の方法及び条件は、上述した本開示の基板製造方法と同じ方法及び条件とすることができる。
シリカ粒子(成分A)、表1に示す尿素誘導体(成分B、非成分B)、リン酸(成分C)、表1に示す添加剤(成分D、成分E、成分F、成分G,その他の成分)及びイオン交換水を配合して撹拌することにより、実施例1〜16及び比較例1〜20の研磨液組成物を調製した。各研磨液組成物中の各成分の含有量(有効量)は、表1に示すとおりである。イオン交換水の含有量は、成分A、成分B又は非成分B、成分C、及び添加剤を除いた残余である。
コロイダルシリカ[平均一次粒子径15nm、平均二次粒子径18nm、日揮触媒化成社製](成分A)
N−エチル尿素[和光純薬工業社製](成分B)
N−ブチル尿素[和光純薬工業社製](成分B)
1,3−ジエチル尿素[和光純薬工業社製](成分B)
テトラメチル尿素[和光純薬工業社製](成分B)
ビウレット[和光純薬工業社製](成分B)
尿素[和光純薬工業社製](非成分B)
リン酸[和光純薬工業社製、特級](成分C)
過酸化水素水[濃度35質量%、ADEKA社製](成分D)
BTA[和光純薬工業社製](成分E)
ピペラジン[和光純薬工業社製](成分F)
HEP[N−ヒドロキシエチルピペラジン、和光純薬工業社製](成分F)
AEA[N−アミノエチルエタノールアミン、和光純薬工業社製](成分F)
AA/AMPS[アクリル酸Na/2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸Na共重合体(モル比90/10)](成分G)
2−ピロリドン[和光純薬工業社製]
クエン酸[和光純薬工業社製]
HEDP[1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、イタルマッチ・ジャパン製のディクエスト2010]
水酸化アンモニウム[和光純薬工業社製]
アミノグアニジン炭酸塩[和光純薬工業社製]
アセトン[和光純薬工業社製]
過酸化水素−尿素複合体[和光純薬工業社製]
(1)シリカ粒子の平均一次粒子径
まず、コロイダルシリカスラリーを固形分で1.5g分を200mLビーカーに採取し、イオン交換水100mLを加えてこれらをスターラーで混合し混合液を得る。次に、電位差滴定装置を用いて、0.1mol/Lの塩酸標準溶液で混合液のpHを3.0に調整する。pH調製された混合液に、塩化ナトリウム30.0gを加えスターラーで溶解し、さらにビーカーの150mLの標線までイオン交換水を加えスターラーで混合する。得られた試料液を恒温水槽(20±2℃)に約30分間浸漬する。電位差滴定装置を用いて、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム標準溶液で滴定をおこない、試料液のpHが4.0から9.0まで変化するときに使用された水酸化ナトリウム標準溶液の量(g)(A)を読み取る。一方、コロイダルシリカスラリーを200mLビーカーに入れないこと以外は上記と同様にして行う空試験を行い、空試験の滴定に要した水酸化ナトリウム標準溶液の量(g)(B)を読み取る。そして、下記計算式により平均一次粒子径(nm)を算出する。
平均一次粒子径(nm)=3100÷26.5×(A−B)÷試料採取量(g)
シリカ粒子をイオン交換水で希釈し、シリカ粒子を0.02質量%含有する分散液を調製して試料とし、動的光散乱装置(大塚電子社製「DLS−7000」)を用いて、下記の条件で測定した。得られた重量換算での粒度分布の面積が全体の50%となる粒径(D50)を平均二次粒子径とした。
<測定条件>
試料量:30mL
レーザー:He−Ne、3.0mW、633nm
散乱光検出角:90°
積算回数:200回
前記のように調製した実施例1〜16及び比較例1〜20の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨速度及びスクラッチ数を測定した。その結果を表1に示す。
被研磨基板として、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nmであった。
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(発砲層:ポリウレタンエラストマー、厚さ0.9mm、平均開孔径10μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.076mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:13.0kPa
研磨時間:6分間
基板の枚数:10枚
[研磨速度の評価]
研磨前後の各基板1枚当たりの重さを計り(Sartorius社製、「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の質量変化から質量減少量を求めた。全10枚の平均の質量減少量を研磨時間で割った値を研磨速度とし、下記式により算出した。下記表1に、比較例1を100とした相対値として示す。
質量減少量(g)={研磨前の質量(g)− 研磨後の質量(g)}
研磨速度(mg/min)=質量減少量(mg)/ 研磨時間(min)
測定機器:KLA ・テンコール社製、「Candela OSA7100」
評価:研磨試験機に投入した基板のうち、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10,000rpmにてレーザーを照射してスクラッチ数を測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。その結果を、下記表1に、比較例1を100とした相対値として示す。
Claims (7)
- シリカ粒子(成分A)と、尿素誘導体(但し、尿素を除く)(成分B)と、酸(成分C)と、水と、を含有し、
25℃におけるpHが2.3以下である、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板用研磨液組成物。 - 成分Bの含有量は、0.1質量%未満である、請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
- 酸化剤をさらに含有する、請求項1から3のいずれかに記載の研磨液組成物。
- 複素環芳香族化合物、脂肪族アミン化合物、脂環式アミン化合物、及び水溶性高分子から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する、請求項1から4のいずれかに記載の研磨液組成物。
- 請求項1から5のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する研磨工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含み、前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法。
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