JP2016117855A - 研磨液組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示に係る研磨液組成物は、研磨後の基板表面のスクラッチ低減の観点から、ベンゾトリアゾール(BTA)及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。本開示において、BTAは、1H−ベンゾトリアゾールである。本開示において、BTA誘導体としては、一又は複数の実施形態において、1H−トリルトリアゾール、2−アミノベンゾトリアゾール、3−アミノベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、及び、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]トリルトリアゾールが挙げられ、貯蔵安定性向上の観点、及び、研磨後の基板表面欠陥の低減の観点から、1H−トリルトリアゾールが好ましい。
本開示に係る研磨液組成物は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、ジアミン及びトリアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。本開示において、ジアミン及びトリアミンとしては、一又は複数の実施形態において、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−(2−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N−メチル−N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2、5−ジメチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、N−メチルピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、及びヒドロキシエチルピペラジンが挙げられる。本開示において、ジアミン及びトリアミンとしては、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点、及び、貯蔵安定性向上の観点から、好ましくは親水基を有するものであり、より好ましくはヒドロキシ基を有するものであり、更に好ましくはN−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−(2−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N−メチル−N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、及びN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンが挙げられる。
本開示に係る研磨液組成物は、貯蔵安定性向上の観点から、BTA又はその誘導体の変質抑制物質を含有する。前記変質抑制物質は、貯蔵安定性向上の観点から、分子内に窒素原子を含まない有機ホスホン酸、及び、分子内に窒素原子を含まない縮合リン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である。前記変質抑制物質は、一又は複数の実施形態において、貯蔵安定性向上の観点から、1−ヒドロキシエチリデン−1’1−ジホスホン酸(HEDP)、ヒドロキシホスホノ酢酸(HPAA)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、ピロリン酸、及びポリリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、HEDP、HPAA及び1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。
本開示に係る研磨液組成物は、研磨材としてシリカ粒子を含有する。本開示に係る研磨液組成物に用いられるシリカ粒子は、例えばコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられるが、研磨後の基板のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、コロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカは、1種類からなるものであっても、2種類以上のコロイダルシリカを混合したものであってもよい。
コロイダルシリカの散乱強度分布に基づく平均粒径は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥を低減する観点から、1nm以上40nm以下が好ましく、より好ましくは5nm以上37nm以下、さらに好ましくは10nm以上35nm以下である。コロイダルシリカの散乱強度分布に基づく平均粒径は、動的光散乱法において検出角90°で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径をいい、実施例に記載の方法で測定できる。
本開示に係る研磨液組成物は、酸を含有する。本開示において、酸の使用は、酸及び又はその塩の使用を含む。本開示に係る研磨液組成物に使用される酸としては、研磨速度の向上の観点から、その酸のpK1が2以下の化合物が好ましく、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、好ましくはpK1が1.5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくはpK1で表せない程の強い酸性を示す化合物である。好ましい酸は、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。中でも、スクラッチ低減の観点から、無機酸、カルボン酸、有機ホスホン酸が好ましく、酸化剤の安定性向上及び廃液処理性向上の観点から、無機酸、有機ホスホン酸がより好ましい。また、無機酸の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸がより好ましく、リン酸、硫酸がさらに好ましい。カルボン酸の中では、クエン酸、酒石酸、マレイン酸がより好ましく、クエン酸がさらに好ましい。有機ホスホン酸の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシホスホノ酢酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩がより好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ヒドロキシホスホノ酢酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸がさらに好ましい。これらの酸及びその塩は単独で又は2種以上を混合して用いてもよいが、研磨速度の向上、ナノ突起低減及び基板の洗浄性向上の観点から、2種以上を混合して用いることが好ましく、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥低減、貯蔵安定性向上、酸化剤の安定性向上及び廃液処理性向上の観点から、リン酸、硫酸、クエン酸及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸からなる群から選択される2種以上の酸を混合して用いることがさらに好ましい。ここで、pK1とは有機化合物又は無機化合物の第一酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は例えば改訂4版化学便覧(基礎編)II、pp316−325(日本化学会編)等に記載されている。
本開示に係る研磨液組成物は、酸化剤を含む。本開示に係る研磨液組成物に使用できる酸化剤としては、研磨速度向上、並びに研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。
本開示に係る研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。被研磨基板の表面清浄性の観点からイオン交換水及び超純水が好ましく、超純水がより好ましい。研磨液組成物中の水の含有量は、好ましくは60質量%以上99.4質量%以下、より好ましくは70質量%以上98.9質量%以下である。また、本開示の効果を阻害しない範囲内でアルコール等の有機溶剤を配合してもよい。
本開示に係る研磨液組成物は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、アニオン性基を有する水溶性高分子を含有してもよい。前記水溶性高分子のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等が挙げられる。これらのアニオン性基は中和された塩の形態を取ってもよい。スクラッチ及びナノ突起低減の観点から、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子が好ましく、スルホン酸基を有するアニオン性高分子がより好ましい。
本開示に係る研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。研磨液組成物中のこれら他の任意成分の含有量は、0〜10質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。但し、本開示に係る研磨液組成物は、他の成分、とりわけ界面活性剤を含むことなく、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減効果を発揮し得る。さらに、本開示に係る研磨液組成物は、アルミナ砥粒を含ませることができ、最終研磨工程より前の粗研磨工程に使用することもできる。
本開示に係る研磨液組成物のpHは、研磨速度向上、貯蔵安定性向上の観点から3.5以下が好ましく、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下、さらにより好ましくは2.0以下である。また研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥を低減する観点から、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上、さらにより好ましくは1.2以上である。また、研磨液組成物の廃液pHは、研磨速度向上の観点から3以下が好ましく、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2.2以下、さらにより好ましくは2.0以下である。また、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥低減、貯蔵安定性向上の観点から、研磨液組成物の廃液pHは、0.8以上が好ましく、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.2以上、さらにより好ましくは1.5以上である。なお、廃液pHとは、研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨廃液、即ち、研磨機より排出された直後の研磨液組成物のpHをいう。
本開示に係る研磨液組成物は、例えば、研磨材(シリカ粒子を含む)、酸、酸化剤、複素環芳香族化合物(ベンゾトリアゾール又はその誘導体を含む)、脂肪族アミン化合物(ジアミン及びトリアミンを含む)、及び水を、さらに所望により他の成分を含めて、公知の方法で混合することにより調製できる。この際、研磨材は、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。本開示に係る研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、上述した範囲であるが、その他の態様として、本開示に係る研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。
上記の様に調製された研磨液組成物は、組成物として安定であり、研磨液組成物の保存方法を提供することにもなる。保存方法の条件としては研磨液組成物として上述したシリカ濃度やpH以外に以下の態様が挙げられる。
保持温度: シリカの凝集抑制又は安定性、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥低減、貯蔵安定性向上の観点から研磨剤組成物の温度は、1℃以上50℃以下が好ましい。より好ましくは5℃以上45℃以下であり、更に好ましくは10℃以上40℃以下である。また、同様の観点から温度変化は、50℃以内に抑えるのが好ましく、より好ましくは40℃以下であり、更に好ましくは30℃以下である。
容器: 研磨剤組成物の保存に用いる容器の材質は拘らないが、シリカの凝集抑制又は安定性、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥低減、貯蔵安定性向上の観点からUV遮断能を有する容器、温度変化を受けにくい容器が挙げられる。具体的には、高分子樹脂材料(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロイチレン)等)や金属性材料(SUS等)が挙げられる。また、容器形態についても拘らないが、シリカ凝集抑制、研磨後の表面欠陥のスクラッチ及びナノ突起欠陥低減、貯蔵安定性向上の観点から、蓋付きの密閉できる容器が好ましい。
本開示に係る研磨液組成物が研磨の対象とする被研磨基板は、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板である。本開示において「Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板」とは、磁気ディスク基板用アルミニウム合金板材の表面を研削後、無電解Ni−Pメッキ処理したものをいう。Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板の表面を本開示に係る研磨液組成物で研磨することを含む研磨工程の後、さらに、スパッタ等でその基板表面に磁性膜を形成する工程を行うことにより磁気ディスク基板を製造することができる。本開示に係る研磨液組成物をNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板の研磨に使用することで、研磨後の基板表面のスクラッチの低減とともに、研磨後の基板表面のナノ突起欠陥の低減という効果を奏する。
本開示は、その他の態様として、磁気ディスク基板の製造方法(以下、本開示に係る製造方法ともいう。)に関する。本開示に係る製造方法は、上述した本開示に係る研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む磁気ディスク基板の製造方法である。これにより、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のナノ突起欠陥が低減された磁気ディスク基板を好ましくは提供できる。本開示に係る製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。
本開示で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、好ましくは5.9kPa以上、より好ましくは6.9kPa以上、さらに好ましくは7.5kPa以上である。これにより、研磨速度の低下を抑制できるため、生産性の向上が可能となる。なお、本開示に係る製造方法において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程において、研磨荷重は20kPa以下が好ましく、より好ましくは18kPa以下、さらに好ましくは16kPa以下である。これにより、スクラッチの発生を抑制することができる。したがって、本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程において研磨荷重は5.9〜20kPaが好ましく、6.9〜18kPaがより好ましく、7.5〜16kPaがさらに好ましい。研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
本開示に係る研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05〜15mL/分であり、より好ましくは0.06〜10mL/分であり、さらに好ましくは0.07〜1mL/分、さらにより好ましくは0.08〜0.5mL/分、さらにより好ましくは0.12〜0.5mL/分である。
本開示は、その他の態様として、本開示に係る研磨液組成物を用いて被研磨基板であるNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板を研磨する工程を有する研磨方法に関する。該研磨方法は、一又は複数の実施形態において、研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨することを含む被研磨基板の研磨方法が挙げられる。具体的な研磨の方法及び条件は、上述のとおりとすることができる。
実施例1〜14、及び比較例1〜6の研磨液組成物を調製し、60℃で1日保存した後に、貯蔵安定性及びフィルター通液量を評価するとともに、被研磨基板の研磨を行って研磨後の基板のスクラッチ及びナノ突起欠陥を評価した。評価結果を下記表1に示す。使用した重合体、研磨液組成物の調製方法、各パラメータの測定方法、研磨条件(研磨方法)及び評価方法は以下のとおりである。なお、下記表1において、BTAは1H−ベンゾトリアゾール、TTAはトリルトリアゾール、AEEAはN−(2−アミノエチル)エタノールアミン、DETAはジエチレントリアミン、TEAはトリエタノールアミン、AEPは、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、HEDPはヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、HPAAはヒドロキシホスホノ酢酸、PBTCは1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、ATMPはニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、HQSはヒドロキノンスルホン酸カリウム塩を表す。
下記表1に記載のコロイダルシリカ(平均粒径=25nm、日揮触媒化成社製)、酸、酸化剤、BTA、アミン、有機ホスホン酸/縮合リン酸、及び水を用いて実施例1〜14、及び比較例1〜6の研磨液組成物を調製した(pH=1.5)。
コロイダルシリカと、硫酸と、過酸化水素水とをイオン交換水に添加し、これらを混合することにより、標準試料を作製した。標準試料中におけるコロイダルシリカ、硫酸、過酸化水素の含有量は、それぞれ5.0質量%、0.5質量%、0.4質量%であった。この標準試料を大塚電子社製動的光散乱装置DLS−6500により、同メーカーが添付した説明書に従って、200回積算した際の検出角90°におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒径を求め、シリカ粒子の平均粒径とした。
(DLS−6500の測定条件)
検出角:90°
Sampling time : 4(μm)
Correlation Channel : 256(ch)
Correlation Method : TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
検出角:30°
Sampling time : 10(μm)
Correlation Channel : 1024(ch)
Correlation Method : TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
上記のように調製した実施例1〜14及び比較例1〜6の研磨液組成物(それぞれ、下記貯蔵安定性評価試験(60℃、24h保存)の前後のもの)を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨された基板のナノ突起欠陥、及びスクラッチを以下に示す条件に基づいて測定し、評価を行った。結果を下記表1に示す。下記表1に示すデータは、各実施例及び各比較例につき4枚の被研磨基板を研磨した後、各被研磨基板の両面について測定し、4枚(表裏合わせて計8面)のデータの平均とした。
被研磨基板としては、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nm、長波長うねり(波長0.4〜2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50〜400μm)の振幅は2nmであった。
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径10μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.072mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:12.0kPa
研磨時間:6分間
研磨前後の各基板の重さを質量計(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の質量変化を求め、10枚の平均値を質量減少量とし、それを研磨時間で割った値を質量減少速度とした。この質量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。
研磨速度(μm/min)=質量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積:6597mm2、Ni−Pメッキ密度:7.99g/cm3として算出)
測定機器:KLA Tencor社製、OSA7100
評価:研磨試験機に投入した基板の中、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してナノ突起欠陥及びスクラッチを測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのナノ突起欠陥及びスクラッチの数を算出した。その結果を、下記表1に、比較例1を100とした相対値として示す。なお、下記表1において、「測定不能」とは、研磨速度が低いために粗研磨で発生した傷や研磨剤残渣が除去しきれなかったことに起因し、ナノ突起欠陥又はスクラッチの数が測定上限を超えたことを示す。
調製した研磨液を60℃の恒温槽中に24時間保管し、保管前後のBTA,BTA誘導体の含有量をHPLC(日立製作所製 型番:LaChrom Elite)にて測定し、下記式により残存率の算出を実施した。
<残存率の算出方法>
残存率(%)=(保管後のBTA(誘導体)/保管前のBTA(誘導体))x100
<測定条件>
カラム: L−column ODS
カラム温度: 40℃
溶離液: トリフルオロ酢酸0.1%、メタノール30% 水溶液
測定時間: 20分
流量: 1.0ml/min
注入量: 20μl
検出: UV275nm
調製した研磨液を一定圧力(0.3MPa)の下、シリンジフィルター(アドバンテック東洋社製:親水性PTFE 0.45μm)に通液し、閉塞するまで通液させ、通液量を測定することにより評価した。
Claims (8)
- シリカ粒子、酸、酸化剤、ベンゾトリアゾール(BTA)及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種、ジアミン及びトリアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種、BTA又はその誘導体の変質抑制物質、及び水を含有し、
前記変質抑制物質が、分子内に窒素原子を含まない、有機ホスホン酸及び縮合リン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板用の研磨液組成物。 - 前記変質抑制物質が、1−ヒドロキシエチリデン−1’1−ジホスホン酸、ヒドロキシホスホノ酢酸、ホスホノブタントリカルボン酸、ピロリン酸、及びポリリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1記載の研磨液組成物。
- 前記BTA誘導体がトリルトリアゾールである、請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
- 前記ジアミン及びトリアミンが、親水基を有するものである、請求項1から3のいずれかに記載の研磨液組成物。
- 前記ジアミン及びトリアミンが、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−(2−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N−メチル−N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン、及びN−(2−アミノエチル)ピペラジンである、である、請求項1から3のいずれかに記載の研磨液組成物。
- シリカ粒子、酸、酸化剤、ベンゾトリアゾール(BTA)及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種、ジアミン及びトリアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種、及び水を含有する研磨液組成物に対し、分子内に窒素原子を含まない、有機ホスホン酸及び縮合リン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種からなるBTA又はその誘導体の変質抑制物質を添加することによるNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板用の研磨液組成物の保存方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の研磨液組成物を用いてNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板を研磨する工程を有する、磁気ディスク基板の製造方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の研磨液組成物を用いてNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板を研磨する工程を有する、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板の研磨方法。
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