JP6251033B2 - 磁気ディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法、並びに磁気ディスク基板用被研磨基板の研磨方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するために、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、平滑性及び平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレ等の低減)と欠陥低減(スクラッチ、突起、ピット等の低減)に対する要求が厳しくなっている。
一方、磁気ディスク基板とは要求特性が異なる半導体デバイスのCMP加工プロセスにおいては、銅膜、タンタル化合物等からなるバリア層、及びSiO2からなる絶縁層を研磨除去するための研磨液組成物が開示されている。具体的には、ディッシングやエロージョンを改善できる研磨液組成物であって、コロイダルシリカ、酸化剤、及びヘキシルアミンのような1級脂肪族アミン化合物や2級脂肪族アミン化合物を含む研磨液組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、配線基板の研磨方法に使用され、配線金属(銅、銅合金、タングステン等の半導体の金属配線)を研磨する前に使用される研磨用前処理液であって、腐食抑制剤として、p-フェニレンジアミンやp-クロロアニリン等を含む研磨用前処理液が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、半導体中の金属の化学機械研磨に用いられる研磨液組成物であって、pHが4に調整され、保護膜形成剤として機能する添加剤としてベンゾトリアゾールを含む研磨液組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2010−251680号公報 特開2008−177180号公報 特開2005−347579号公報
磁気ディスクドライブのさらなる大容量化を実現するためには、磁性層の磁石の幅を狭め磁石数を増やす必要がある。磁石の幅を狭めると磁気信号が微弱化するので磁気を読み取るヘッドの高さを低減しなければならなくなり、そのため、基板表面品質に対する要求特性は更に厳しくなっている。従来の研磨液組成物では、垂直磁気記録方式の基板表面に求められるスクラッチについての要求を十分に満足することができない。
本発明は、研磨後の基板表面のスクラッチ低減を実現できる磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法並びに磁気ディスク基板用被研磨基板の研磨方法を提供する。
本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物は、シリカ粒子と、置換基を有するアニリン化合物と、酸とを含有し、pHが3未満であり、前記アニリン化合物は、ハロゲン、アミノ基、及びシアノ基から選択される少なくとも一つ以上の前記置換基を含み、更にアルキル基を前記置換基として含んでいてもよい。
本発明の磁気ディスク基板の製造方法は、本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む。
本発明の磁気ディスク基板用被研磨基板の研磨方法は、本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む。
本発明によれば、研磨後の基板表面のスクラッチが低減された磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板を製造できる。
<スクラッチ>
本発明において、スクラッチとは、深さが1nm以上、幅が100nm以上、長さが1000nm以上の基板表面の微細な傷であり、光学式欠陥検出装置であるKLA Tencor社製のCandela7100又は日立ハイテクノロジー社製のNS1500シリーズ等で検出できる。更に、検出したスクラッチは、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、及び透過型電子顕微鏡(TEM)によって、その形状を解析できる。
本発明は、含窒素化合物であるアニリンに着目し、検討を行った結果、特定の置換体を有するアニリン化合物を添加することによって見出されたものであり、本発明では、磁気ディスク基板用研磨液組成物が特定の置換体を有するアニリン化合物を含むことによってスクラッチ低減効果が飛躍的に向上する。本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物(以下、単に「研磨液組成物」と呼ぶ場合もある。)は、そのpHは3未満であり、シリカ粒子(成分A)と、置換基を有するアニリン化合物(成分B)と、酸(成分C)とを含有する。前記アニリン化合物(成分B)は、ハロゲン、アミノ基、及びシアノ基から選択される少なくとも一つ以上の前記置換基を含み、更にアルキル基を前記置換基として含んでいてもよい。本発明の研磨液組成物の使用によってスクラッチが低減されるメカニズムは、以下のように考えられる。
磁気ディスク基板には部分的に脆弱部位が存在する。脆弱部位は過剰腐食しやすい。本発明では、前記アニリン化合物(成分B)が特定の置換基を有することで前記脆弱部位に特異的に吸着して保護膜を形成することにより、スクラッチが低減されているものと考えられる。
<シリカ粒子(成分A)>
本発明の研磨液組成物に含まれるシリカ粒子(成分A)は、例えば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられるが、研磨後の基板のスクラッチ低減の観点から、コロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカは、1種類からなるものであっても、平均粒径、粒度分布が異なる2種類以上のコロイダルシリカを混合したものであってもよい。
シリカ粒子の、動的光散乱法において検出角90°で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径(以下、「散乱強度分布に基づく平均粒径」ともいう)は、研磨速度向上の観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは10nm以上である。また、シリカ粒子の散乱強度分布に基づく平均粒径は、スクラッチ数低減の観点から、好ましくは40nm以下、より好ましくは37nm以下、更に好ましくは35nm以下である。シリカ粒子の散乱強度分布に基づく平均粒径は、例えば以下の方法で測定できる。
研磨液組成物の調製に用いたシリカ粒子と、硫酸と、過酸化水素水とをイオン交換水に添加し、撹拌することにより、標準試料を作製する(pH1.5)。この標準試料を動的光散乱装置(大塚電子社製DLS−6500)等により、例えば200回積算した際の検出角90°におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒径を求め、シリカ粒子の平均粒径とすることができる。
シリカ粒子の一次粒子の平均粒径(D50)は、シリカが一種単独又は二種以上混合されているかどうかに関係なく、研磨速度向上の観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは3nm以上、更に好ましくは5nm以上である。また、シリカ粒子の一次粒子の平均粒径は、スクラッチを低減させる観点から、好ましくは40nm以下、より好ましくは35nm以下、更に好ましくは30nm以下、更により好ましくは25nm以下、更により好ましくは20nm以下である。尚、実施例に記載の通り、透過型電子顕微鏡で観察した画像を使い、一次粒子の小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径(D50)を、シリカ粒子の一次粒子の平均粒径(D50)として求めることができる。
シリカ粒子の一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合、シリカ粒子の二次粒子の平均粒径は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上である。また、シリカ粒子の二次粒子の平均粒径は、基板のスクラッチを低減させる観点から、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは80nm以下、更により好ましくは50nm以下、更により好ましくは30nm以下である。尚、シリカ粒子の二次粒子の平均粒径は、レーザー光散乱法を用いて体積平均粒径として測定できる。具体的には、シリカ粒子の二次粒子の平均粒径は、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920を用いて測定でき、小粒径側からの積算粒径分布(体積基準)が50%となる粒径である。
シリカ粒子の粒径分布を表わす指標であるD90/D50は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは1.2以上である。また、D90/D50は、スクラッチ数の低減、及び表面粗さ低減の観点から、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。尚、D90とは、透過型電子顕微鏡で観察した画像を使い、一次粒子の小粒径側からの累積体積頻度が90%となる粒径をいう。
研磨液組成物中におけるシリカ粒子(成分A)の含有量は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更により好ましくは3質量%以上、更により好ましくは4質量%以上である。また、研磨液組成物中におけるシリカ粒子の含有量は、スクラッチを低減させる観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは13質量%以下、更により好ましくは10質量%以下である。
<置換基を有するアニリン化合物(成分B)>
本発明の研磨液組成物は、置換基を有するアニリン化合物(成分B)を含有する。前記アニリン化合物(成分B)は、ハロゲン、アミノ基、及びシアノ基から選択される少なくとも一つ以上の前記置換基を含み、更にアルキル基を前記置換基として含んでいてもよい。
本発明の研磨液組成物に含有されるアニリン化合物(成分B)は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、アニリン化合物中の窒素原子の求電子性が強いものが好ましい。そのようなアニリン化合物(成分B)としては、例えば、o−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、2,3−ジクロロアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−アミノベンゾニトリル、2−クロロ−6−メチルアニリン及びこれらの基の水素が置換されたアルキル置換体又はアミン置換体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。前記アルキル置換体のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられ、好ましくは、メチル基又はエチル基が挙げられる。また、前記アミン置換体の置換基としては、アミノメチル基、アミノエチル基が挙げられる。アニリン化合物(成分B)は、スクラッチ低減の観点から、o−クロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、及びp−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、2,3−ジクロロアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、及びp−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。また、アニリン化合物(成分B)は、研磨速度の観点から、o−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、2,3−ジクロロアニリン、及びm−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、o−ブロモアニリン、2,3−ジクロロアニリン、及びm−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
本発明の研磨液組成物におけるアニリン化合物(成分B)の含有量は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、0.03質量%以上が好ましく、0.08質量%以上がより好ましく、0.12質量%以上が更に好ましい。また、本発明の研磨液組成物におけるアニリン化合物(成分B)の含有量は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.18質量%以下が更に好ましい。また、本発明の研磨液組成物におけるアニリン化合物(成分B)の含有量は、研磨速度向上の観点から、0.03質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、本発明の研磨液組成物におけるアニリン化合物(成分B)の含有量は、溶解性向上の観点から、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。研磨液組成物中のアニリン化合物は、1種単独で用いてもよいが、2種類以上併用してもよい。
<酸(成分C)>
本発明の研磨液組成物は、酸(成分C)を含有する。本明細書において、酸の使用は、酸及び/又はその塩の使用を含む。本発明の研磨液組成物に含まれる酸(成分C)は、研磨速度向上の観点から、pK1が、好ましくは2以下の化合物である。また、本発明の研磨液組成物に含まれる酸(成分C)は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、好ましくはpK1が1.5以下、より好ましくは1以下、更に好ましくはpK1で表せない程の強い酸性を示す化合物である。
酸(成分C)は、好ましくは、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸、2-ヒドロキシホスホノカルボン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、スクラッチ低減の観点から、無機酸、カルボン酸、有機ホスホン酸が好ましく、酸化剤の安定性向上及び廃液処理性向上の観点から、無機酸、有機ホスホン酸がより好ましく、無機酸が更に好ましい。また、無機酸の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸がより好ましく、リン酸、硫酸が更に好ましく、硫酸が更により好ましい。カルボン酸の中では、クエン酸、酒石酸、マレイン酸がより好ましく、クエン酸が更に好ましい。有機ホスホン酸の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸、2-ヒドロキシホスホノカルボン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらの塩がより好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸、2-ヒドロキシホスホノカルボン酸が更に好ましい。これらの酸及びその塩は単独で又は2種以上を混合して用いてもよいが、研磨速度の向上及び基板の洗浄性向上の観点から、2種以上を混合して用いることが好ましく、スクラッチ低減、酸化剤の安定性向上及び廃液処理性向上の観点から、リン酸、硫酸、クエン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸、及び2-ヒドロキシホスホノカルボン酸からなる群から選択される2種以上の酸を混合して用いることが更に好ましい。
これらの酸の塩の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等のイオンが挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物中における前記酸(成分C)の含有量は、研磨速度向上及び研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、0.0015質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上であり、更により好ましくは0.1質量%以上である。研磨液組成物中における前記酸(成分C)の含有量は、研磨速度向上及び研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、5質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、更により好ましくは2.0質量%以下である。
<水系媒体>
本発明の研磨液組成物は、媒体として水系媒体を含むことができ、前記水系媒体として、蒸留水、イオン交換水、超純水等の水を使用できるが、本発明の効果を阻害しない範囲内でアルコール等の有機溶剤が含まれていてもよい。水系媒体は、被研磨基板の表面清浄性の観点から、イオン交換水又は超純水が好ましく、超純水がより好ましい。研磨液組成物中の水系媒体の含有量は、60〜99.4質量%が好ましく、70〜98.9質量%がより好ましい。
<酸化剤(成分D)>
本発明の研磨液組成物には、酸化剤が更に含まれていると好ましい。酸化剤(成分D)としては、研磨速度向上、及び研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
前記過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等が挙げられる。過マンガン酸又はその塩としては、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。クロム酸又はその塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等が挙げられる。ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等が挙げられる。酸素酸又はその塩としては、次亜塩素、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。金属塩類としては、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。
酸化剤(成分D)としては、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、好ましくは、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等であり、より好ましくは、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素である。
研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。従って、表面品質を保ちつつ研磨速度を向上させるためには、上記含有量は、好ましくは0.01〜4質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%である。
<アニオン性基を有する水溶性高分子(成分E)>
本発明の研磨液組成物は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、アニオン性基を有する水溶性高分子(成分E)を含有することが好ましい。アニオン性基を有する水溶性高分子(以下「アニオン性高分子」とも言う。)は、研磨時の摩擦振動を低減して研磨パッドの開孔部からのシリカ凝集体の脱落を防止し、研磨後の基板表面のスクラッチを低減する機能を有するものと推定される。
アニオン性高分子(成分E)のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等が挙げられる。これらのアニオン性基は中和された塩の形態を取ってもよい。アニオン性高分子は、スクラッチ低減の観点から、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有していると好ましく、スルホン酸基を有しているとより好ましい。アニオン性高分子は、研磨パッドに吸着して研磨時の摩擦振動を低減し、研磨パッドの開孔部からのシリカ凝集体の脱落を防止し、前述の複素環芳香族化合物との相乗効果によって、研磨後の基板表面のスクラッチ欠陥を顕著に低減するものと推定される。但し、本発明はこれらの推定メカニズムに限定されない。
本明細書において、「スルホン酸基」とはスルホン酸基及び/又はその塩をいい、「カルボン酸基」とはカルボン酸基及び/又はその塩をいう。スルホン酸基又はカルボン酸基が塩の形態を取る場合の対イオンについて、特に限定はないが、具体的には、金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン等が挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属等が挙げられる。これらの金属の中でも、ナノスクラッチ低減の観点から1A、3B、又は8族に属する金属が好ましく、1A族に属するナトリウム及びカリウムがより好ましい。アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの中でも、アンモニウム、ナトリウム及びカリウムがより好ましい。
スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子は、スルホン酸基を有する単量体、カルボン酸基を有する単量体等のイオン性親水基を有する単量体を重合することにより得られたものであることが好ましい。これら単量体の重合は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでも良い。
スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
また、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子には、スルホン酸基を有する単量体及びカルボン酸基を有する単量体以外の単量体を用いることもできる。アニオン性高分子の重合に用いることができる他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエン等の脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、ビニルホスホン酸、メタクロイルオキシメチルリン酸、メタクロリルオキシエチルリン酸、メタクロイルオキシブチルリン酸、メタクロリルオキシヘキシルリン酸、メタクロリルオキシオクチルリン酸、メタクロリルオキシデシルリン酸、メタクロリルオキシラウリルリン酸、メタロイルオキシステアリルリン酸、メタクロイルオキシ1、4−ジメチルシクロヘキシルリン酸等のホスホン酸化合物等が挙げられる。これらの単量体は1種又は2種以上使用できる。
スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子の好ましい具体例としては、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、スチレンスルホン酸のホルマリン縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、及び、下記一般式(1)で表される構成単位及び下記一般式(2)で表される構成単位からなる群から選ばれる一種以上の構成単位と下記一般式(3)で表される構成単位とを含む共重合体が挙げられる。これらのアニオン性高分子の中でも、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、スチレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、及び、下記一般式(1)で表される構成単位及び下記一般式(2)で表される構成単位からなる群から選ばれる一種以上の構成単位と下記一般式(3)で表される構成単位を含む共重合体が更に好ましく、下記一般式(1)で表される構成単位と下記一般式(3)で表される構成単位とを含む共重合体が更により好ましい。
Figure 0006251033
上記一般式(1)及び上記一般式(2)中のR1は、共重合体の研磨パッドへの吸着量増加及び研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましい。
上記一般式(1)のR2は、共重合体の研磨パッドへの吸着量増加及び研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、アリール基又は1つ又は複数の炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいアリール基であり、フェニル基又は1つ又は複数の炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。尚、前記炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造でも分岐鎖構造でもよい。
上記一般式(2)のR3は、共重合体の研磨パッドへの吸着量増加及び研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子(1/2原子)、アンモニウム若しくは有機アンモニウム、又は炭素数1〜22の炭化水素鎖であり、炭化水素鎖の炭素数は、1〜18が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8が更に好ましく、1〜4が更により好ましい。また、炭化水素鎖は、直鎖構造でも分岐鎖構造でもよく、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
また、共重合体は、二種類以上の疎水性構成単位を含んでもよい。
共重合体が上記一般式(1)で表される構成単位と上記一般式(2)で表される構成単位の一方又は両方を含む場合、共重合体を構成する全構成単位中に占める上記一般式(1)で表される構成単位と上記一般式(2)で表される構成単位の合計の含有率は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、5モル%以上が好ましく、95モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましい。
Figure 0006251033
上記一般式(3)のR4は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基がより好ましく、水素原子、又はメチル基が更に好ましく、メチル基が更により好ましい。
上記一般式(3)のR5は、アニオン性高分子の研磨液組成物への溶解性向上及び研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、1又は複数のスルホン酸基を有するアリール基であり、1又は複数のスルホン酸基を有するフェニル基が好ましく、オルト、メタ、パラ位のいずれかで1つのスルホン酸基を有するフェニル基がより好ましく、パラ位でスルホン酸基を有するフェニル基が更に好ましい。スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子は、スルホン酸基を有する構成単位を二種類以上含んでもよい。
共重合体を構成する全構成単位中に占める上記一般式(3)で表される構成単位の含有率は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、5モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上が更に好ましく、60モル%以上が更により好ましい。また、共重合体を構成する全構成単位中に占める上記一般式(3)で表される構成単位の含有率は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましく、80モル%以下が更により好ましい。
スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子を構成する全構成単位中に占める上記一般式(1)で表される構成単位と上記一般式(2)で表される構成単位と上記一般式(3)で表される構成単位の合計の含有率は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、70〜100モル%が好ましく、80〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%が更に好ましく、95〜100モル%が更により好ましい。
共重合体を構成する全構成単位中に占める上記一般式(1)で表される構成単位及び上記一般式(2)で表される構成単位からなる群から選ばれる一種以上の構成単位と、上記一般式(3)で表される構成単位とのモル比(上記一般式(1)で表される構成単位及び上記一般式(2)で表される構成単位からなる群から選ばれる一種以上の構成単位のモル%/一般式(3)で表される構成単位のモル%)は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましく、40/60〜90/10が更に好ましい。
[アニオン性高分子の重量平均分子量]
スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子の重量平均分子量は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、500が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上が更により好ましい。また、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子の重量平均分子量は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、12万以下が好ましく、10万以下がより好ましく、3万以下が更に好ましく、1万以下が更により好ましく、8000以下が更により好ましい。尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて実施例に記載の方法により測定した値である。
スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子のアニオン性基の一部は、中和された塩の形態を取ってもよい。アニオン性基の一部が塩の形態を取る場合の対イオンとしては、特に限定はなく、金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン等が挙げられる。
研磨液組成物におけるアニオン性高分子の含有量は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更により好ましくは0.01質量%以上である。また、研磨液組成物におけるスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子の含有量は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下、更により好ましくは0.1質量%以下、更により好ましくは0.075質量%以下である。
研磨液組成物中における、シリカ粒子(成分A)とアニオン性高分子(成分E)との濃度比[シリカ粒子の濃度(質量%)/アニオン性高分子の濃度(質量%)]は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、25以上が更に好ましい。また、濃度比[シリカ粒子の濃度(質量%)/アニオン性高分子の濃度(質量%)]は、5000以下が好ましく、1000以下がより好ましく、500以下が更に好ましい。
研磨液組成物中における、アニリン化合物(成分B)とアニオン性高分子(成分E)との濃度比[アニリン化合物の濃度(質量%)/アニオン性高分子の濃度(質量%)]は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。また、濃度比[アニリン化合物の濃度(質量%)/アニオン性高分子の濃度(質量%)]は、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。
[脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(成分F)]
本発明の研磨液組成物は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(成分F)を含有することが好ましい。研磨液組成物中の脂肪族アミン化合物は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。研磨液組成物中の脂環式アミン化合物は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の分子内の窒素原子数は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、2個以上である。また、脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の分子内の窒素原子数は、研磨速度の維持の観点から、4個以下であり、3個以下が好ましく、2個以下がより好ましい。
前記脂肪族アミン化合物は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−アミノエチルイソプロパノールアミン、N−アミノエチル−N−メチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミンからなる群から選択される1種以上であると好ましく、エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−アミノエチルイソプロパノールアミン、及びN−アミノエチル−N−メチルエタノールアミンからなる群から選択される1種以上がより好ましく、N−アミノエチルエタノールアミンが更に好ましい。
前記脂環式アミン化合物は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2、5−ジメチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、N−メチルピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、及びヒドロキシエチルピペラジンからなる群から選択される1種以上であると好ましく、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2、5−ジメチルピペラジン、N−メチルピペラジン、及びヒドロキシエチルピペラジンからなる群から選択される1種以上であるとより好ましい。
本発明の研磨液組成物における、脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(成分F)の含有量は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい。また、本発明の研磨液組成物における、脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(成分F)の含有量は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
研磨液組成物中における、シリカ粒子(成分A)と脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(成分F)との濃度比[シリカ粒子の濃度(質量%)/脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の濃度(質量%)]は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、5以上が好ましく、25以上がより好ましく、50以上が更に好ましい。また、濃度比[シリカ粒子の濃度(質量%)/脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の濃度(質量%)]は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、500以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下が更に好ましい。
研磨液組成物中における、アニリン化合物(成分B)と脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(成分F)との濃度比[アニリン化合物の濃度(質量%)/脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の濃度(質量%)]は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、0.1以上が好ましく、1以上がより好ましく、3以上が更に好ましい。濃度比[アニリン化合物の濃度(質量%)/脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の濃度(質量%)]は、研磨後の基板表面のスクラッチの低減の観点から、50以下が好ましく、25以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。
[その他の成分(任意成分)]
本発明の研磨液組成物には、必要に応じてその他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。研磨液組成物中の任意成分の含有量は、0〜10質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。但し、本発明の研磨液組成物は、これらの任意成分、とりわけ界面活性剤を含むことなく、研磨後の基板表面のスクラッチの低減効果を発揮し得る。
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物の25℃におけるpHは、研磨速度向上の観点から、3.5以下が好ましく、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下、更により好ましくは1.8以下である。また、本発明の研磨液組成物のpHは、研磨後の基板表面のスクラッチを低減する観点から、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは1.0以上、更により好ましくは1.2以上である。
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物は、例えば、研磨材(成分A)、アニリン化合物(成分B)、酸(成分C)、酸化剤(成分D)、水、及び、更に所望により他の成分を、公知の方法で混合することにより調製できる。この際、研磨材は、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。本発明の研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、上述した範囲であるが、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。その場合には、液の安定性や操作性の観点から4倍〜12倍に濃縮するのが好ましい。
[被研磨基板]
本発明において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。本発明の研磨液組成物は、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板の研磨に好適である。本発明の研磨液組成物は、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板の研磨により適しており、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板の研磨に特に適している。尚、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板とは、磁気ディスク基板用アルミニウム合金板材の表面を研削後、無電解Ni−Pメッキ処理したものをいう。Ni―P含有層には部分的にNi微結晶の部分が存在し、アニリン化合物(成分B)は、このNi微結晶部分に吸着して保護膜を形成することによりスクラッチの低減に寄与していると考えられる。一方、本発明の研磨液組成物に、脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(成分F)が含まれる場合、成分Fは、アモルファス構造のNi−Pメッキ層に吸着して保護膜を形成していると考えられる。故に、脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(成分F)を含む本発明の一形態では、Ni−Pメッキ層全体に保護膜が形成され、研磨後の基板表面のスクラッチをいっそう低減可能とする。但し、本発明の一態様はこのメカニズムに限定されない。
本発明によれば、基板表面のスクラッチ数が少ない磁気ディスク基板を提供できるため、本発明の研磨液組成物を用いて研磨された被研磨基板は、高度の表面平滑性が要求される垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板として好適に用いることができる。
上記被研磨基板の形状には特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状であればよい。中でも、本発明において、被研磨基板の形状はディスク状に適している。被研磨基板の形状がディスク状である場合、その外径は例えば2〜95mm程度が好ましく、その厚みは例えば0.5〜2mm程度が好ましい。
[磁気ディスク基板の製造方法]
本発明は、その他の態様として、磁気ディスク基板の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう。)に関する。本発明の製造方法は、被研磨基板を研磨する工程(以下、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程ともいう。)を含む。本発明の製造方法によれば、研磨後の基板表面のスクラッチが低減された磁気ディスク基板を提供できる。
本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する方法の具体例としては、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を、被研磨基板の研磨されるべき面に供給するために研磨機に供給しながら、定盤及び/又は被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する方法が挙げられる。
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程で使用した研磨材や研磨液組成物が、次工程で使用する研磨液組成物に混入することを避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよい。また、それぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。尚、研磨機としては、特に限定されず、磁気ディスク基板の製造に使用される公知の研磨機が使用できる。
[研磨パッド]
本発明で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用できるが、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
研磨パッドの表面部材の平均気孔径は、スクラッチ低減及びパッド寿命の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以下、更に好ましくは40μm以下、更により好ましくは35μm以下である。パッドの研磨液保持性の観点から、気孔で研磨液を保持し液切れを起こさないようにするために、平均気孔径は、0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは1μm以上、更により好ましくは10μm以上である。また、研磨パッドの気孔径の上限は、研磨速度維持の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
[研磨荷重]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、好ましくは5.9kPa以上、より好ましくは6.9kPa以上、更に好ましくは7.5kPa以上である。この研磨荷重により、研磨速度の低下を抑制できるため、生産性の向上が可能となる。尚、本発明の製造方法において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程において、研磨荷重は20kPa以下が好ましく、より好ましくは18kPa以下、更に好ましくは16kPa以下である。これにより、スクラッチの発生を抑制することができる。研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
[研磨液組成物の供給]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における本発明の研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05mL/分以上、より好ましくは0.06mL/分以上、更に好ましくは0.07mL/分以上、更により好ましくは0.08mL/分以上、更により好ましくは0.12mL/分である。また、本発明の研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは15mL/分以下、より好ましくは10mL/分以下、更に好ましくは1mL/分以下、更により好ましくは0.5mL/分以下である。
本発明の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本発明の研磨液組成物となる。
[研磨方法]
本発明は、その他の態様として、上述した研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨することを含む被研磨基板の研磨方法に関する。本発明の研磨方法を使用することにより、研磨後の基板表面のスクラッチが低減された磁気ディスク基板、特に、垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板が好ましくは提供される。本発明の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられ、中でも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。尚、具体的な研磨の方法及び条件は、上述のとおりとすることができる。
上述した実施形態に関し、本開示は更に以下の一又は複数の実施形態にかかる組成物、製造方法、或いは用途を開示する。
<1> シリカ粒子と、置換基を有するアニリン化合物と、酸とを含有し、pHが3未満であり、前記アニリン化合物は、ハロゲン、アミノ基、及びシアノ基から選択される一つ以上の前記置換基を含み、更にアルキル基を前記置換基として含んでいてもよい、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<2> 前記アニリン化合物が、好ましくは、o−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、2,3−ジクロロアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−アミノベンゾニトリル、2−クロロ−6−メチルアニリン及びこれらの基の水素が置換されたアルキル置換体又はアミン置換体から選択される1種以上の化合物である、前記<1>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<3> 前記アニリン化合物は、o−クロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、及びp−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、2,3−ジクロロアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、及びp−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい、前記<1>又は<2>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<4> 前記アニリン化合部は、o−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、2,3−ジクロロアニリン、及びm−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、o−ブロモアニリン、2,3−ジクロロアニリン、及びm−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい、前記<1>又は<2>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<5> 前記研磨組成物中における前記アニリン化合物(成分B)の含有量は、0.03質量%以上が好ましく、0.08質量%以上がより好ましく、0.12質量%以上が更に好ましく、0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.18質量%以下が更に好ましい、前記<1>〜<4>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<6> 前記研磨組成物中における前記アニリン化合物(成分B)の含有量は、0.03質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい、前記<1>〜<4>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<7> 更に、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子化合物を含有する、前記<1>〜<6>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<8> 更に、脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、前記<1>〜<7>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<9> 前記研磨液組成物の25℃におけるpHは、3.5以下が好ましく、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下であり、更により好ましくは1.8以下であり、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは1.0以上、更により好ましくは1.2以上である、前記<1>〜<8>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<10> 前記シリカ粒子がコロイダルシリカである、前記<1>〜<9>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<11> 被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である、前記<1>〜<10>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<12> 前記<1>〜<11>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
<13> 前記被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である、前記<12>に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<14> 前記<1>〜<11>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板用被研磨基板の研磨方法。
<15> 前記被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である、前記<14>に記載の磁気ディスク基板用被研磨基板の研磨方法。
[研磨液組成物の調製]
下記表1に記載のアニリン化合物、コロイダルシリカ(日揮触媒化成社製、D50=31nm、D90=37nm、D90/D50=1.2)、及びアニオン性高分子、脂肪族アミン化合物、並びに、酸(硫酸)及び酸化剤(過酸化水素)を用いて実施例1〜13、及び比較例1〜6の研磨液組成物を調製した。
尚、アニリン化合物の含有量は、表1に記載の通りとした。全ての実施例及び比較例の研磨液組成物においてコロイダルシリカの含有量は5質量%とした。実施例4及び比較例1では、アニオン性高分子は使用しなかった。その他の実施例及び比較例の研磨液組成物におけるアニオン性高分子の含有量は0.03質量%とした。脂肪族アミン化合物は実施例6でのみ使用し、脂肪族アミン化合物の含有量は0.05質量%とした。硫酸の含有量は、実施例5、比較例4、及び比較例5では各々、0.21質量%、0.2質量%、0.1質量%とし、比較例6では硫酸は使用しなかった。その他の実施例及び比較例の研磨液組成物における硫酸の含有量は0.5質量%とした。過酸化水素の含有量は、全ての実施例及び比較例の研磨液組成物において0.5質量%とした。残余は水である。下記表1中、AEEAはN−アミノエチルエタノールアミンを示す。
〔研磨液組成物のpHの測定方法〕
研磨液組成物のpHは、pHメーター(東亜電波工業(株)製、ガラス式水素イオン濃度指数計「HM−30G」)を用い、25℃の研磨液組成物に2分間電極を浸漬させた後のpHを測定した。
[シリカ粒子のD50,D90の測定]
シリカ粒子を、日本電子製透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名「JEM-2000FX」、80kV、1〜5万倍)で観察した写真をパソコンにスキャナで画像データとして取込み、解析ソフト「WinROOF(Ver.3.6)」(販売元:三谷商事)を用いて1000〜2000個以上のシリカ粒子データについて1個1個のシリカ粒子の円相当径を求め、それを直径とし、表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社製)にて、体積基準の粒径の標準偏差(標本標準偏差)を得た。また、前記表計算ソフト「EXCEL」にて、粒子直径から粒子体積に換算して得られるシリカ粒子の粒径分布データに基づき、全粒子中における、ある粒径の粒子の割合(体積基準%)を小粒径側からの累積頻度として表し、累積体積頻度(%)を得た。得られたシリカ粒子の粒径及び累積体積頻度データに基づき、粒径に対して累積体積頻度をプロットすることにより、粒径対累積体積頻度グラフが得られる。前記グラフにおいて、小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径をシリカ粒子の一次粒子径(D50)とした。また、小粒径側からの累積体積頻度が90%となる粒径をシリカ粒子の一次粒子径(D90)とした。
[アニオン性高分子]
研磨液組成物の調整に使用したアニオン性高分子は、アクリル酸/アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(モル比90/10、重量平均分子量2000、東亞合成社製)である。尚、この重合体は、下記表1においてAA/AMPSと示す。また、この重合体の重量平均分子量は下記の条件で測定した。
[重合体の重量平均分子量の測定方法]
上記の重合体の重量平均分子量は、下記測定条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
〔AA/AMPSのGPC条件〕
カラム :TSKgel G4000PWXL+TSKgel G2500PWXL(東ソー製)
ガードカラム:TSKguardcolumn PWXL(東ソー製)
溶離液 :0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1(体積比)
温度 :40℃
流速 :1.0mL/min
試料サイズ:5mg/mL
検出器 :RI
換算標準 :ポリアクリル酸Na(分子量(Mp):11.5万、2.8万、4100、1250(創和科学及びAmerican Polymer Standards Corp.製))
[研磨]
上記のように調製した実施例1〜13及び比較例1〜6の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。
[被研磨基板]
被研磨基板としては、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。尚、この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmである。被研磨基板の、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaは1nm、長波長うねり(波長0.4〜2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50〜400μm)の振幅は2nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径30μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.072mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:9.8kPa
研磨時間:6分間
[研磨速度の測定方法]
研磨前後の各基板の重さを重量計(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の平均値を重量減少量とし、それを研磨時間で割った値を重量減少速度とした。この重量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。その結果を、下記表1に、比較例1を100とした相対値として示す。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積:6597mm2、Ni−Pメッキ密度:7.99g/cm3として算出)
次いで、両面研磨された基板のスクラッチ数を以下に示す条件に基づいて測定した。
[スクラッチの評価方法]
測定機器:KLA Tencor社製、OSA7100
評価:研磨試験機に投入した基板の中、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してスクラッチを測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチの数を算出した。その結果を、下記表1に、比較例1を100とした相対値として示す。
Figure 0006251033
上記表1に示すように、実施例1〜13の研磨液組成物を用いると、比較例1〜6に比べ、研磨後の基板のスクラッチを低減できる。
本発明によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。

Claims (10)

  1. シリカ粒子と、置換基を有するアニリン化合物と、酸とを含有し、pHが3未満であり、前記アニリン化合物は、ハロゲン、アミノ基、及びシアノ基から選択される一つ以上の前記置換基を含み、更にアルキル基を前記置換基として含んでいてもよい、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  2. 前記アニリン化合物が、o−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、2,3−ジクロロアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−アミノベンゾニトリル、2−クロロ−6−メチルアニリン及びこれらの基の水素が置換されたアルキル置換体又はアミン置換体から選択される1種以上の化合物である、請求項1に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  3. 前記アニリン化合物が、o−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、2,3−ジクロロアニリン、及びm−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である、請求項1に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  4. 更に、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性高分子化合物を含有する、請求項1から3のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  5. 更に、脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項1からのいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  6. 被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である、請求項1からのいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  7. 請求項1からのいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
  8. 前記被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である、請求項に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  9. 請求項1からのいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板用被研磨基板の研磨方法。
  10. 前記被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である、請求項に記載の磁気ディスク基板用被研磨基板の研磨方法。
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