JP6116888B2 - 磁気ディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

磁気ディスク基板用研磨液組成物 Download PDF

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Description

本発明は、磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化を目的として、単位記録面積を縮小したことによって弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、表面粗さ、うねり、端面ダレの低減に代表される平滑性・平坦性の向上とスクラッチ、突起、ピット等の低減に代表される欠陥低減に対する要求が厳しくなっている。このような要求に対して、特許文献1は、スルファミン酸等の化合物を含有する研磨用組成物を開示している。
また、その用途は研磨剤組成物ではなく、磁気ディスク基板用洗浄剤であるが、特許文献2は、砥粒や研磨屑に対する洗浄性を高めて高記録密度化に対応した高清浄度の実現を目的として、1分子内に1個以上のアミノ酸基及び1個以上のスルホン酸基を有する化合物又はその塩を含む洗浄剤を開示している。特許文献3は、アルキルスルホン酸等のスルホン酸化合物を研磨助剤として用いる、貴金属を有する基板を研磨する方法を、特許文献4は、両イオン性の水溶性有機低分子を含むCMP研磨剤を、特許文献5は、アニリン等の低分子添加剤を含むCMP研磨剤を、特許文献6は、分子構造中にドナー原子である窒素原子を1つ以上有する錯化剤、例えば、アミノベンゼンスルホン酸等を含むシリコンウエハ用の表面処理組成物を開示している。
特開2002−167575号公報 特開2012−109004号公報 特表2006−519490号公報 特開2001−7059号公報 特開2001−7061号公報 特開平9−111224号公報
しかし、磁気ディスクドライブの大容量化に伴い、基板の表面品質に対する要求特性は更に厳しくなっており、生産性を損なうことなく、更に欠陥を低減できる研磨液組成物の開発が求められている。
そこで、本発明は、生産性を損なうことなく、研磨後の基板表面の欠陥を低減できる磁気ディスク基板用研磨液組成物、並びにこれを用いた磁気ディスク基板の製造及び研磨方法を提供する。
本発明は一態様において、研磨材と、酸と、酸化剤と、スルファミン酸を除く、分子量が1000以下で、1分子内に1個以上のアミノ基と1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)とを含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
本発明はその他の態様において、本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物を、被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
本発明はその他の態様において、本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物を、被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の研磨方法に関する。
本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いれば、生産性を損なうことなく、研磨後の基板表面の欠陥が低減された磁気ディスク基板を製造できる。
本発明は、分子量が1000以下で、1分子内に1個以上のアミノ基と1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)(以下、「化合物(A)」ともいう。)を含有する研磨液組成物を、磁気ディスク基板の製造に使用すれば、生産性を損なうことなく、研磨後の基板表面の欠陥を低減できるという知見に基づく。
すなわち、本発明は、研磨材と、酸と、酸化剤と、スルファミン酸を除く、分子量が1000以下で、分子内に1個以上のアミノ基と1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)を含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物(以下、「本発明の研磨液組成物」ともいう)に関する。
本発明の研磨液組成物において、生産性を損なうことなく、研磨後の基板表面の欠陥を低減するメカニズムの詳細は明らかでないが、発明者は下記のとおりと推定している。しかし、本発明は下記のメカニズムに限定されない。
一般に被研磨基板の研磨に用いられる砥粒(研磨材)において、研磨時の液性によってはシリカ粒子やアルミナ粒子等は、正に帯電し、負に帯電した被研磨基板表面に吸着しやすく、突起欠陥の原因となる。しかし、スルホン酸基及びアミノ基を有する化合物(A)(以下「化合物(A)」と略称する場合もある。)の、強く負に帯電したスルホン酸基が正に帯電した砥粒に吸着することで、負に帯電した被研磨基板への砥粒の吸着が静電反発により抑制される。一方で、化合物(A)のアミノ基は負に帯電した被研磨基板近傍に引き寄せられる。即ち、正に帯電する砥粒は、化合物(A)を介して負に帯電した被研磨基板に作用するので、生産性を損なうことなく、且つ、研磨後の基板表面の欠陥が低減されるものと考えられる。
本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物の研磨対象である被研磨基板は、特に限定されるものではないが、本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物は、特に、下記の理由により、Ni−Pメッキを施されたアルミニウム基板の研磨に好適である。
本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物をNi−Pメッキを施されたアルミニウム基板の研磨に用いると、研磨時に発生する研磨屑であるNiが酸化されて、Ni系異物の1つであるNiO粒子が生成される。NiO粒子は一般的な研磨条件である酸性条件では正に帯電しているので、本発明の研磨液組成物に化合物(A)が含まれている場合には、強く負に帯電したスルホン酸基がNiO粒子に吸着することで、負に帯電したNi−P含有層へのNiO粒子の吸着が電荷反発により抑制される。そして、酸性下で行われる研磨後、研磨されたアルミニウム基板に対してリンス及び洗浄を行う際、アルミニウム基板に供給される液性が、酸性から中性又はアルカリ性に液性が変わるので、NiO粒子表面は等電点を越えることにより、正に帯電した表面は、負に帯電するようになる。その結果、化合物(A)はNiO粒子から離脱し、負に帯電したNiO粒子と負に帯電したNi−P含有層との電荷反発により、研磨屑であるNiO粒子のNi−P含有層への付着も抑制されるので、アルミニウム基板の洗浄性が良好となる。これらの結果、Ni−Pメッキを施されたアルミニウム基板の研磨に本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いた場合、特に顕著に生産性を損なうことなく、研磨後の基板表面の欠陥が低減することができるものと推定される。
[化合物(A)]
本発明の研磨液組成物に含まれる化合物(A)は、分子量が1000以下であり、且つ、1分子内に1個以上のアミノ基と1個以上のスルホン酸基を有する。化合物(A)は、アルミナ粒子等の研磨材の被研磨基板への付着防止剤として機能する。また、被研磨基板がNi−Pメッキを施された基板である場合、化合物(A)は、NiO粒子等のNi系異物の基板への付着防止剤として機能する。尚、本発明において、化合物(A)は、その塩を含む概念である。
本願において、化合物(A)の塩の種類について特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が挙げられるが、これらのなかでも、研磨材の経時的な凝集抑制の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩のうちの少なくとも1種が好ましい。
(化合物(A)の分子量)
化合物(A)の分子量は、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、1000以下であり、900以下が好ましく、500以下がより好ましい。また、化合物(A)の分子量は、研磨後基板の欠陥低減の観点から、30以上が好ましく、50以上がより好ましく、80以上が更に好ましい。
化合物(A)としては、1分子内にアミノ基とスルホン酸基を併せもち、分子量が1000以下の化合物であり、具体的には、スルファニル酸(p−アミノベンゼンスルホン酸)、o−アミノベンゼンスルホン酸(2−アミノベンゼンスルホン酸)、メタニル酸(m−アミノベンゼンスルホン酸又は3−アミノベンゼンスルホン酸)、3-アミノ-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、6-アミノトルエン−3−スルホン酸;ジフェニルアミン-4-スルホン酸、2−アミノトルエン−4−スルホン酸、4−アミノトルエン−2−スルホン酸、2−アミノフェノールー4−スルホン酸、及び4−アミノフェノールー2−スルホン酸等のアミノベンゼンスルホン酸、ピリジンエタンスルホン酸等のアリールスルホン酸基を有する化合物、シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸、及びタウリン等が挙げられる。これらの中でも、化合物(A)は、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、アリールスルホン酸基を有しているとより好ましく、アミノベンゼンスルホン酸骨格を有しているとより好ましく、スルファニル酸(p−アミノベンゼンスルホン酸)、o−アミノベンゼンスルホン酸、及びメタニル酸(m−アミノベンゼンスルホン酸)からなる群から選ばれる少なくとも一種が更に好ましい。
本発明の研磨液組成物中における、化合物(A)の含有量は、生産性を損なわないように研磨速度を担保する観点及び研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、0.3質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましく、0.08質量%以下が更に好ましく、0.05質量%以下がより更に好ましく、0.04質量%以下がより更に好ましい。また、化合物(A)の含有量は、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、0.005質量%以上が好ましく、0.008質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.02質量%以上がより更に好ましい。
[研磨材]
本発明の研磨液組成物中に使用される研磨材としては、酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化セリウム(セリア)、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ゲルマニア、窒化珪素、及び炭化珪素からなる群から選ばれる1種類以上の材料を含む研磨粒子が、磁気ディスク基板等の精密部品用基板の研磨に適しているが、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、シリカ、アルミナ、セリアのうちの少なくとも1種が好ましく、コロイダルシリカ、コロイダルセリア、コロイダルアルミナがより好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。
〔研磨材の平均粒径〕
本明細書における「研磨材の平均粒径」とは、特に言及しない限り、動的光散乱法において検出角90°で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径をいう(以下、「散乱強度分布に基く平均粒径」ともいう)。研磨材の平均粒径は、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく,10nm以上が更に好ましく、15nm以上がより更に好ましい。また、研磨材の平均粒径は、生産性を損なわないように研磨速度を担保する観点から、40nm以下が好ましく、37nm以下がより好ましく、35nm以下が更に好ましく、30nm以下がより更に好ましい。尚、研磨材の平均粒径は、具体的には実施例に記載の方法により求めることができる。
前記研磨材のΔCV値は、生産性を損なわないように研磨速度を担保する観点から、0.05%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.5%以上が更に好ましく、1.0%以上がより更に好ましく、2.0%以上がより更に好ましい。また、前記ΔCV値は、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、7%以下が更に好ましく、5%以下がより更に好ましい。
〔ΔCV値〕
本明細書において研磨材のΔCV値は、動的光散乱法により検出角30°(前方散乱)の散乱強度分布に基づき測定される粒径の標準偏差を、動的光散乱法により検出角30°の散乱強度分布に基づき測定される平均粒径で除して100を掛けた変動係数(CV)の値(CV30)と、動的光散乱法により検出角90°(側方散乱)の散乱強度分布に基づき測定される粒径の標準偏差を、動的光散乱法により検出角90°の散乱強度分布に基づき測定される平均粒径で除して100を掛けた変動係数の値(CV90)との差(ΔCV=CV30−CV90)をいい、動的光散乱法により測定される散乱強度分布の角度依存性を示す値をいう。ΔCV値は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
研磨材の粒径分布を調整する方法は、特に限定されないが、その製造段階における粒子の成長過程で新たな核となる粒子を加えることにより所望の粒径分布を持たせる方法や、異なる粒径分布を有する2種以上の研磨材を混合して所望の粒径分布を持たせる方法等が挙げられる。
本発明の研磨液組成物中における研磨材の含有量は、生産性を損なわないように研磨速度を担保する観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、3質量%以上がより更に好ましく、4質量%以上がより更に好ましい。また、研磨材の含有量は、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、13質量%以下が更に好ましく、10質量%以下がより更に好ましく、7質量%以下がより更に好ましい。
[酸]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度向上の観点から、酸を含有する。本発明において、酸の使用は、酸及び又はその塩の使用を含む。本発明の研磨液組成物に使用される酸としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、ポリリン酸、トリポリリン酸、リン酸水素ニカリウム、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸、スルホサリチル酸等の有機スルホン酸等が挙げられる。中でも、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、無機酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸が好ましい。無機酸の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸が好ましく、オルトリン酸、ポリリン酸、リン酸水素ニカリウム等のリン酸、硫酸がより好ましく、硫酸が更に好ましい。有機ホスホン酸の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩が好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)がより好ましい。有機スルホン酸の中では、スルホサリチル酸が好ましい。
前記酸は単独で又は2種以上を混合して用いてもよいが、研磨速度の向上及び基板の洗浄性向上の観点から、2種以上を混合して用いることが好ましく、欠陥低減、酸化剤の安定性向上、及び廃液処理性向上の観点から、リン酸、硫酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、及びスルホサリチル酸からなる群から選択される2種以上の酸を混合して用いることが更に好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、及びスルホサリチル酸からなる群から選択される1種以上の酸と硫酸とを混合して用いることがより更に好ましい。
前記酸の塩の塩としては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨後の基板表面の欠陥低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物中における前記酸及びその塩の含有量は、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上がより更に好ましく、0.4質量%以上がより更に好ましい。また、前記酸及びその塩の含有量は、5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下が更に好ましく、2.0質量%以下がより更に好ましく、1.0質量%以下がより更に好ましい。
[酸化剤]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度の向上、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、酸化剤を含有する。本発明の研磨液組成物に使用できる酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類等が挙げられる。
前記過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等が挙げられ、過マンガン酸又はその塩としては、過マンガン酸カリウム等が挙げられ、クロム酸又はその塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等が挙げられ、ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等が挙げられ、酸素酸又はその塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、金属塩類としては、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。
研磨後の基板表面の欠陥の低減の観点から好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。より好ましい酸化剤としては、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、研磨後の基板表面の欠陥の低減の観点から、4質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
[水]
本発明の研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。被研磨基板の表面の清浄化の向上の観点から、水は、イオン交換水及び超純水が好ましく、超純水がより好ましい。研磨液組成物中の水の含有量は、76〜99.4質量%が好ましく、80〜98.9質量%がより好ましい。また、本発明の効果を阻害しない範囲内で、本発明の研磨液組成物中は、アルコール等の有機溶剤を更に含んでいてもよい。
[その他の成分]
本発明の研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、金属防食剤、アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。研磨液組成物中のこれら他の任意成分の総含有量は、0〜10質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。更に、本発明の研磨液組成物は、アルミナ砥粒を含ませることができ、最終研磨工程より前の粗研磨工程に使用することもできる。
次に、金属防食剤、及びアミノ基を有しない水溶性高分子の具体例について説明する。
[金属防食剤]
本発明の研磨液組成物には、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、金属防食剤として、複素環芳香族化合物を含んでいると好ましい。腐食に弱い部分が金属防食剤の膜で被覆されることにより、研磨後の基板表面の欠陥が低減される。複素環芳香族化合物は、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、複素環内に含まれる窒素原子の数が2個以上であると好ましく、3個以上であるとより好ましく、3〜9個であると更に好ましく、3〜5個がより更により好ましく、3又は4個がより更に好ましい。
前記複素環芳香族化合物は、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、3-アミノピラゾール、4−アミノピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、ピラゾール、2−アミノイミダゾール、4−アミノイミダゾール、5−アミノイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノー1,2,3−トリアゾール、5−アミノー1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノー1,2,4−トリアゾール、5−アミノー1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、5−アミノテトラゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1H−トリルトリアゾール、2−アミノベンゾトリアゾール、3−アミノベンゾトリアゾール、又はこられのアルキル置換体若しくはアミン置換体等のアゾール類;ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,5−トリアジン、1,3,5−トリアジン、又はこられのアルキル置換体若しくはアミン置換体が好ましく、アゾール類がより好ましく、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、及びベンゾトリアゾールがより好ましい。また、前記アルキル置換体のアルキル基としては例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基が挙げられる。また、前記アミン置換体の例としては1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]トリルトリアゾールが挙げられる。
本発明の研磨液組成物中における金属防食剤の含有量は、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、0.07質量%以上がより更に好ましく、0.08質量%以上がより更に好ましい。また、金属防食剤の含有量は、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましく、0.5質量%以下がより更に好ましく、0.3質量%以下がより更に好ましい。なお、研磨液組成物中の複素環芳香族化合物は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
[アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子]
本発明の研磨液組成物には、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子(以下、「アニオン性水溶性高分子」ともいう。)が更に含まれていてもよい。ここで「水溶性」とは、20℃の水100gに対する溶解度が2g以上であることをいう。アニオン性水溶性高分子は、研磨時の摩擦振動を低減して研磨パッドの開孔部からの研磨材の脱落を防止することにより、基板表面の欠陥を低減しているものと推定される。
アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等が挙げられる。これらのアニオン性基は塩の形態であってもよい。アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子は、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性重合体が好ましく、スルホン酸基を有するアニオン性重合体がより好ましい。
アニオン性基が塩である場合の塩は、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの中でも、アニオン性基が塩である場合の塩は、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、1A、3B、又は8族に属する金属やアンモニウムとの塩が好ましく、1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩がより好ましく、アンモニウム、ナトリウム又はカリウムとの塩がさらに好ましい。
本発明のアミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子は、例えば、スルホン酸基を有する単量体、カルボン酸基を有する単量体等のアニオン性基を有する単量体を重合することにより得られる。これら単量体の配列は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでもよいが、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、ランダムが好ましい。
本発明のアミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子の好適な例として、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、以下に示される、スルホン酸基を有する単量体に由来の構成単位を含む重合体またはその塩が好ましい。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。また、カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。リン酸エステル基又はホスホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルホスホン酸、メタクロイルオキシメチルリン酸、メタクロリルオキシエチルリン酸、メタクロイルオキシブチルリン酸、メタクロリルオキシヘキシルリン酸、メタクロリルオキシオクチルリン酸、メタクロリルオキシデシルリン酸、メタクロリルオキシラウリルリン酸、メタロイルオキシステアリルリン酸、メタクロイルオキシ1、4−ジメチルシクロヘキシルリン酸が挙げられる。これらの中でも、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましい。
また、本発明におけるアミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子には、上記以外の単量体に由来の構成単位が含まれていてもよい。他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエン等の脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物が挙げられる。これらの中でも、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。したがって、本発明におけるアミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子として、(メタ)アクリル酸と2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体が好ましい。
また、本発明におけるアミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子の他の好適な例として、スルホン酸基を有し、且つ、その主鎖及び側鎖のそれぞれに芳香族環を有している水溶性高分子が好ましい。スルホン酸基を有する化合物と、アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子の主鎖及び側鎖の双方に芳香族環を導入しうる化合物とを、ホルムアルデヒド存在下で付加縮合法等の公知の手段で重合することにより製造できる。具体的には、特開2012−135863号公報に開示されている化合物が挙げられる。上記アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子の他の好適な例の中でも、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンと4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸のホルムアルデヒド付加縮合物が好ましい。
本発明におけるアミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子の重量平均分子量は、生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、500〜10万が好ましく、より好ましくは1000〜5万、さらに好ましくは1500〜3万、さらにより好ましくは1500〜2万である。例えば、該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて求めることができる。
本発明の研磨液組成物におけるアミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子の含有量は、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.002質量%以上がより好ましく、0.005質量%以上が更に好ましく、0.008質量%以上がより更に好ましい。生産性を損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、0.1質量%以下が好ましく、0.08質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下が更に好ましく、0.03質量%以下がより更に好ましい。
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物のpHは、研磨速度向上の観点から、4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましく、2.5以下が更により好ましく、2.0以下が更により好ましい。また、研磨後の基板表面の欠陥の低減観点から、0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、1.0以上が更に好ましく、1.2以上が更により好ましい。
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物は、例えば、水と、研磨材と、酸と、酸化剤と、化合物(A)と、更に所望により、金属防食剤と、アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子等の他の成分とを公知の方法で混合することにより調製できる。この際、研磨材は、濃縮されたスラリーの状態で他の成分と混合されてもよいし、当該スラリーを水等で希釈してから他の成分と混合されてもよい。本発明の研磨液組成物中における各成分の好ましい含有量や濃度は、上述した範囲であるが、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。この場合、製造及び輸送コストを更に低くできる等の経済性の観点から好ましい。濃縮液は、必要に応じて前述の水系媒体で適宜希釈して使用すればよい。濃縮倍率としては、希釈した後の研磨時の濃度を確保できれば、特に限定するものではないが、製造及び輸送コストを更に低くできる等の経済性の観点から、1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましく、4倍以上が更に好ましく、また、25倍以下が好ましく、20倍以下がより好ましく、10倍以下が更に好ましい。
本発明の研磨液組成物は、磁気ディスク基板の研磨に適している。
本発明において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、本発明の研磨液組成物は、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板の研磨に好適である。中でも、本発明の研磨液組成物は、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板等のNi―P含有層を有する基板や、アルミノシリケートガラス基板の研磨に適しており、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板等のNi―P含有層を有する基板の研磨に更に適している。アルミノシリケートガラス基板には、結晶構造を有しているもの、化学強化処理が施されたものが含まれる。化学強化処理は研磨後に行ってもよい。
[基板の製造方法]
本発明は、その他の態様として、基板の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)に関する。本発明の製造方法は、磁気ディスク基板用研磨液組成物を、被研磨基板の研磨対象面に供給し、研磨対象面に研磨パッドを接触させ、研磨パッド及び/又は被研磨基板を動かして、研磨対象面を研磨する工程(以下、「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう。)を含む基板の製造方法である。これにより、研磨後の基板表面の欠陥が低減された基板を提供できる。本発明の製造方法は、磁気ディスク基板の製造方法に適しており、とりわけ、Ni―P含有層を有する垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。よって、本発明の製造方法は、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程を含む磁気ディスク基板の製造方法であり、より好ましくは垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法であり、さらに好ましくはNi―P含有層を有する磁気ディスク基板の製造方法である。
本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する方法の具体例としては、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する方法が挙げられる。
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。また使用した研磨液組成物を再利用する循環研磨においても、本発明の研磨液組成物は使用できる。なお、研磨機としては、特に限定されず、基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
[研磨パッド]
本発明で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度の向上の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
研磨パッドの表面部材の平均開孔径は、研磨後の基板表面の欠陥の低減及びパッド寿命の延命の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以下、更に好ましくは40μm以下、更により好ましくは35μm以下である。パッドの研磨液保持性の観点から、開孔で研磨液を保持し液切れを起こさないようにするために、平均開孔径は0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは1μm以上、更により好ましくは10μm以上である。また、研磨パッドの開孔径の最大値は、研磨速度維持の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
[研磨荷重]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、研磨速度の低下を抑制する観点から、5.0kPa以上が好ましく、6.5kPa以上がより好ましく、7.0kPa以上が更に好ましく、7.5kPa以上がより更に好ましい。なお、本発明の製造方法において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、研磨荷重は20kPa以下が好ましく、18kPa以下がより好ましく、16kPa以下が更に好ましく、10kPa以下がより更に好ましい。研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
[研磨液組成物の供給]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における本発明の研磨液組成物の供給速度は、研磨後の基板表面の欠陥を低減する観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05mL/分以上であり、より好ましくは0.06mL/分以上、更に好ましくは0.07mL/分以上であり、好ましくは15mL/分以下であり、より好ましくは10mL/分以下、更に好ましくは1mL/分以下、更により好ましくは0.5mL/分以下である。
本発明の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本発明の研磨液組成物となる。
本発明の製造方法における被研磨基板としては、本発明の研磨液組成物が用いられる前記被研磨基板が挙げられる。本発明によれば、研磨後の基板表面の欠陥が低減された基板を提供できるため、高度の表面平滑性が要求される磁気ディスク基板、とりわけ垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板の製造に好適に用いることができる。
上記被研磨基板の形状には特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状であればよい。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2〜95mm程度であり、内径は例えば、1〜90mm程度であり、その厚みは例えば0.5〜2mm程度である。
[研磨方法]
本発明は、その他の態様として、上述した研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、研磨対象面に研磨パッドを接触させ、研磨パッド及び/又は被研磨基板を動かして、研磨対象面を研磨する工程を含む被研磨基板の研磨方法に関する。本発明の研磨方法を使用することにより、研磨後の基板表面の欠陥が低減された基板が提供される。本発明の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述の磁気ディスク基板が挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板が好ましい。なお、具体的な研磨の方法及び条件は、上述のとおりとすることができる。
本発明は、さらに以下の磁気ディスク基板用研磨液組成物、磁気ディスク基板の製造方法、磁気ディスク基板の研磨方法を開示する。
<1>
研磨材と、酸と、酸化剤と、スルファミン酸を除く、分子量が1000以下で、1分子内に1個以上のアミノ基と1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)を含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<2>
被研磨基板が、好ましくはNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である、前記<1>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<3>
磁気ディスク基板用研磨液組成物のpHが、好ましくは0.5以上4.0以下であって、3.5以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましく、2.5以下が更により好ましく、2.0以下が更により好ましく、0.8以上がより好ましく、1.0以上が更に好ましく、1.2以上が更により好ましい、前記<1>又は<2>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<4>
前記化合物(A)の、前記磁気ディスク基板用研磨液組成物中における含有量が、好ましくは0.3質量%以下であって、0.15質量%以下がより好ましく、0.08質量%以下が更に好ましく、0.05質量%以下がより更に好ましく、0.04質量%以下がより更に好ましく、0.005質量%以上が好ましく、0.008質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.02質量%以上がより更に好ましい、前記<1>から<3>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<5>
前記研磨材が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、窒化珪素、及び炭化珪素からなる群から選ばれる1種類以上の材料を含む研磨粒子である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<6>
前記研磨材が、コロイダルシリカである、前記<1>から<5>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<7>
前記研磨材の平均粒径が、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく,10nm以上が更に好ましく、15nm以上がより更に好ましく、40nm以下が好ましく、37nm以下がより好ましく、35nm以下が更に好ましく、30nm以下がより更に好ましい、前記<1>から<6>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<8>
前記研磨材のΔCV値が、0.05%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.5%以上が更に好ましく、1.0%以上がより更に好ましく、2.0%以上がより更に好ましく、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、7%以下が更に好ましく、5%以下がより更に好ましい、前記<1>から<7>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<9>
前記研磨材の、前記磁気ディスク基板用研磨液組成物中における含有量が、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、3質量%以上がより更に好ましく、4質量%以上がより更に好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、13質量%以下が更に好ましく、10質量%以下がより更に好ましく、7質量%以下がより更に好ましい、前記<1>から<8>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<10>
前記酸が、硫酸、オルトリン酸、ポリリン酸、リン酸水素ニカリウム、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、及びスルホサリチル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸である、前記<1>から<9>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<11>
前記磁気ディスク基板用研磨液組成物は、更に、金属防食剤を含む、前記<1>から<10>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<12>
前記金属防食剤が、アゾール類である、前記<11>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<13>
前記金属防食剤が、ベンゾトリアゾール、1,2,3-トリアゾール、及び1,2,4-トリアゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<11>又は<12>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<14>
前記磁気ディスク基板用研磨液組成物は、更に、アミノ基は有しておらずアニオン性基を有する水溶性高分子を含む、前記<1>から<13>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<15>
前記アミノ基は有しておらずアニオン性基を有する水溶性高分子が、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、及びホスホン酸基のうちの少なくとも1つのアニオン性基を有するアニオン性重合体であり、より好ましくはスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有するアニオン性重合体であり、更に好ましくはスルホン酸基を有するアニオン性重合体である、前記<14>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<16>
アミノ基は有しておらずアニオン性基を有する水溶性高分子が、スルホン酸基を有し、且つ、その主鎖及び側鎖のそれぞれに芳香族環を有している水溶性高分子であると好ましく、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンと4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸のホルムアルデヒド付加縮合物であるとより好ましい、前記<14>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<17>
前記化合物(A)の分子量が、900以下が好ましく、500以下がより好ましく、30以上が好ましく、50以上がより好ましく、80以上が更に好ましい、前記<1>〜<16>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<18>
前記化合物(A)が、アリールスルホン酸基を有する、前記<1>から<17>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<19>
前記化合物(A)が、アミノベンゼンスルホン酸骨格を含む、前記<1>から<18>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<20>
前記化合物(A)が、好ましくは、スルファニル酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、及びメタニル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、前記<19>に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
<21>
前記<1>から<20>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を、被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
<22>
被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である前記<21>に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<23>
前記研磨対象面を研磨する工程において、前記磁気ディスク基板用研磨液組成物の供給量は、前記被研磨基板1cm2あたり0.05〜15mL/分である、前記<21>又は<22>に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<24>
前記研磨対象面を研磨する工程において、研磨荷重が、5.0〜20kPaである、前記<21>から<23>のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
<25>
前記<1>から<20>のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を、前記被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の研磨方法。
<26>
前記被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である前記<25>に記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
[実施例1〜35及び比較例1〜8]
実施例1〜35及び比較例1〜8の研磨液組成物を調製して被研磨基板の研磨を行い、純水で洗浄して評価用基板とした。研磨速度、評価用基板表面の欠陥の評価を行った。研磨液組成物の調製方法、使用した化合物(A)、化合物(A)の比較化合物、及びアミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子の詳細、各パラメーターの測定方法、研磨条件(研磨方法)及び評価方法は以下のとおりである。
1.研磨液組成物の調製
研磨材(コロイダルシリカ)と、表1及び表2に示す化合物(A)又は比較化合物と、酸と、酸化剤(過酸化水素水、濃度:35質量%)と、必要に応じて金属防食剤とアミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子とを、イオン交換水に添加し、撹拌し、必要に応じて、硫酸及び水酸化ナトリウムをさらに添加してpH1.5の実施例1〜35及び比較例1〜8の研磨液組成物を調製した。研磨液組成物中における研磨材、酸化剤の含有量は、それぞれ、5質量%、0.5質量%であった。また、必要に応じて使用した、金属防食剤、アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子の含有量は、それぞれ、0.1質量%、0.01質量%であった。残余は水である。また、研磨材の平均粒径、ΔCV値、酸、研磨液組成物中の酸の含有量、化合物(A)及び比較化合物の含有量は下記表1及び表2に示す。2種以上の酸を用いる場合の、含有量の内訳は表1に記載のとおりとした。
[化合物(A)]
・スルファニル酸(分子量:128.17、和光純薬工業株式会社製)
・o-アミノベンゼンスルホン酸(分子量:173.19、和光純薬工業株式会社製)
・メタニル酸(分子量:173.19、和光純薬工業株式会社製)
・3-アミノ-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸(分子量:189.19、和光純薬工業株式会社製)
・2-アミノトルエン-5-スルホン酸(分子量:187.22、和光純薬工業株式会社製)
・ジフェニルアミン-4-スルホン酸ナトリウム(分子量:271.27、和光純薬工業株式会社製)
・4−ピリジンエタンスルホン酸(分子量:188.23、和光純薬工業株式会社製)
・シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸ナトリウム(分子量:207.29、ナカライテスク株式会社製)
・N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(分子量:229.25、メルク株式会社製)
・タウリン(分子量:125.15、和光純薬工業株式会社製)
[比較化合物]
・アニリン(和光純薬工業株式会社製)
・ベンゼンスルホン酸(和光純薬工業株式会社製)
・スルファミン酸(和光純薬工業株式会社製)
・ラウリル硫酸ナトリウム(商品名 エマール0、花王株式会社 製)
・エタノールアミン(和光純薬工業株式会社製)
・プロパンスルホン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)
・アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物
(重量平均分子量=12,500、商品名:フローリックSF200S、フローリック社製)
[アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子]
表1及び表2に示した、アミノ基を有しないアニオン性基を有する水溶性高分子の詳細は下記のとおりである。
・アクリル酸/アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(以下AA−AMPSという、重量平均分子量=2,000(カタログ値)、商品名:アロンA-6016A、東亜合成社製)
・ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンと4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸のホルムアルデヒド付加縮合物(以下BisS/PhSという、重量平均分子量=5,000(カタログ値)、商品名 WSR-SP28e、小西化学工業社製)
〔アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物の重量平均分子量の測定方法〕
カラム:TSKgel GMPWXL+TSKgel GMPWXL(東ソー社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=7/3(体積比)
温度:40℃
流速:1.0ml/分
試料サイズ:2mg/ml
検出器:RI
標準物質:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量:1,100、3,610、14,900、152,000、POLMER STANDARDS SERVICE社製)
[研磨材の平均粒径、ΔCV値の測定方法]
〔平均粒径〕
研磨液組成物の調製に用いたコロイダルシリカと、硫酸と、HEDPと、過酸化水素水とをイオン交換水に添加し、撹拌することにより、標準試料を作製した(pH1.5)。標準試料中におけるコロイダルシリカ、硫酸、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ5質量%、0.5質量%、0.1質量%、0.5質量%とした。この標準試料を動的光散乱装置「DLS-6500」(大塚電子社製)により、同メーカーが添付した説明書に従って、200回積算した際の検出角90°におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒径を求め、コロイダルシリカの平均粒径とした。
〔ΔCV値〕
上記と同様の試料、測定装置を用いて、検出角30°におけるコロイダルシリカ粒子のCV値(CV30)を測定し、これから検出角90°におけるコロイダルシリカ粒子のCV値(CV90)を引いた値を求め、ΔCV値とした。
(DLS−6500の測定条件)
検出角:90°
Sampling time: 4(μm)
Correlation Channel: 256(ch)
Correlation Method: TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
検出角:30°
Sampling time: 10(μm)
Correlation Channel: 1024(ch)
Correlation Method: TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
2.研磨方法
前記のように調製した実施例1〜35及び比較例1〜8の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨し、研磨後の基板を下記条件で洗浄した。次いで、研磨された基板表面の欠陥、及び研磨速度を以下に示す条件で測定し、評価を行った。
[被研磨基板]
被研磨基板として、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScopeIIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nm、長波長うねり(波長0.4〜2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50〜400μm)の振幅は2nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径30μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.07
2mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:7.9kPa
研磨時間:5分間
[洗浄条件]
実施例1〜35及び比較例1〜8の研磨液組成物を用いた研磨後の基板を、下記条件で洗浄した。
1) 基板を超純水中に浸漬し、超音波照射(950kHz)を1分間行う。
2) 超音波照射後の基板を洗浄ブラシがセットされたスクラブ洗浄ユニットに移送し洗浄する。
[欠陥の測定方法]
測定機器:OSA6100(Candela Instruments社製)
評価:研磨試験機に投入した基板のうち、無作為に4枚を選択し、前記洗浄条件による洗浄後に、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射して欠陥を測定した。その4枚の基板の各々両面にある欠陥数(本)の合計を8で除して、基板面当たりの欠陥数を算出した。その結果を、下記表1および表2に、比較例1を100とした相対値として示す。
[研磨速度の測定方法]
研磨前後の各基板の重さを重量計「BP-210S」(Sartorius社製)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の基板の平均値を重量減少量とし、それを研磨時間で割った値を重量減少速度とした。この重量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。その結果を、下記表1及び表2に示す。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積:6597mm2、Ni−Pメッキ密度:7.99g/cm3として算出)
Figure 0006116888
Figure 0006116888
上記表1及び表2に示すとおり、実施例1〜35の研磨液組成物は、比較例1〜8の研磨液組成物に比べて、生産性を顕著に損なわないように研磨速度を担保しつつ、研磨後の基板表面の欠陥を効果的に低減することが示された。
本発明によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。

Claims (18)

  1. 研磨材と、酸と、酸化剤と、スルファミン酸を除く、分子量が1000以下で、1分子内に1個以上のアミノ基と1個以上のスルホン酸基を有する化合物(A)を含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  2. 被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である請求項1に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  3. pHが0.5以上4.0以下である、請求項1又は2に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  4. 前記化合物(A)の、前記磁気ディスク基板用研磨液組成物中における含有量が、0.3質量%以下である、請求項1から3のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  5. 前記研磨材が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、窒化珪素、及び炭化珪素からなる群から選ばれる1種類以上の材料を含む研磨粒子である、請求項1から4のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  6. 前記研磨材が、コロイダルシリカである、請求項1から5のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  7. 更に、金属防食剤を含む、請求項1から6のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  8. 前記金属防食剤が、アゾール類である、請求項7に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  9. 前記金属防食剤が、ベンゾトリアゾール、1,2,3-トリアゾール、及び1,2,4-トリアゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7又は8に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  10. 更に、アミノ基は有しておらずスルホン酸基を有する水溶性高分子を含む、請求項1から9のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  11. 前記化合物(A)が、アリールスルホン酸基を有する、請求項1から10のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  12. 前記化合物(A)が、アミノベンゼンスルホン酸骨格を含む、請求項1から11のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  13. 請求項1から12のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を、被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
  14. 被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である請求項13に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  15. 前記研磨対象面を研磨する工程において、前記磁気ディスク基板用研磨液組成物の供給量は、前記被研磨基板1cm2あたり0.05〜15mL/分である、請求項13又は14に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  16. 前記研磨対象面を研磨する工程において、研磨荷重が、5.0〜20kPaである、請求項13から15のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  17. 請求項1から12のいずれかの項に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を、被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の研磨方法。
  18. 前記被研磨基板がNi―P含有層を有する磁気ディスク基板である請求項17に記載の磁気ディスク基板の研磨方法。
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