JP2010188514A - 磁気ディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減を実現できる磁気ディスク基板用研磨液組成物の提供
【解決手段】シリカ粒子と、複素環芳香族化合物と、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体と、酸とを含有し、前記複素環芳香族化合物は、複素環内に窒素原子を2個以上含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するために、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、平滑性・平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)と欠陥低減(スクラッチ、突起、ピット等の低減)に対する要求が厳しくなっている。このような要求に対し、スクラッチの低減が可能な研磨液組成物として、ベンゾトリアゾール(BTA)のようなアゾール類を含有する研磨液組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、一方で、同様にスクラッチの低減が可能な研磨液組成物として、磁気ディクス基板に期待される表面特性を得るために、カルボン酸基やスルホン酸基などの官能基を有する共重合体を含有する研磨液組成物が提案されている(例えば、特許文献2〜5参照)。
特開2007−92064号公報 特開2001−155332号公報 特開2001−64631号公報 特開2008−155368号公報 特開2007−231209号公報
磁気ディスクドライブのさらなる大容量化を実現するためには、従来の研磨液組成物によるスクラッチの低減だけでは不十分であり、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のナノ突起欠陥をよりいっそう低減する必要がある。
また、大容量化に伴い、磁気ディスクにおける記録方式が水平磁気記録方式から垂直磁気記録方式へと移行した。垂直磁気記録方式の磁気ディスクの製造工程では、水平磁気記録方式で磁化方向を揃えるために必要であったテクスチャ工程が不要となり、研磨後の基板表面に直接磁性層が形成されるため、基板表面品質に対する要求特性はさらに厳しくなっている。従来の研磨液組成物では、垂直磁気記録方式の基板表面に求められるナノ突起欠陥及びスクラッチの少なさを十分に満足することができない。
そこで、本発明は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減を実現できる磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法を提供する。
本発明は、シリカ粒子と、複素環芳香族化合物と、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体と、酸とを含有し、前記複素環芳香族化合物は、複素環内に窒素原子を2個以上含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
また、本発明の磁気ディスク基板の製造方法は、本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む磁気ディスク基板の製造方法に関する。
本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物によれば、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のナノ突起欠陥が低減された磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板を製造できるという効果が好ましくは奏される。
[ナノ突起欠陥]
本発明において「ナノ突起欠陥」とは、磁気ディスク基板の製造工程における研磨後の基板表面の欠陥であって、光学的に検出され得る10nm未満程度の大きさの凸欠陥をいう。磁気ディスクの高密度化・大容量化のためには、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔は10nm未満となる必要があるため、ナノ突起の残存は磁気ヘッドの消耗及び磁気ディスクドライブの記録密度の低下や不安定をもたらし得る。研磨後の基板においてナノ突起欠陥が低減されれば、磁気ヘッドの浮上量が低減でき、磁気ディスク基板の記録密度向上が可能となる。
[スクラッチ]
本発明において「スクラッチ」とは、深さが1nm以上、幅が100nm以上、長さが1000nm以上の基板表面の微細な傷で、光学式欠陥検出装置であるKLA Tencor社製のCandela6100シリーズや日立ハイテクノロジ−社製のNS1500シリーズで検出可能であり、スクラッチ数として定量評価できる。さらに、検出したスクラッチは原子間力顕微鏡(AFM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)で大きさや形状を解析することができる。
本発明は、シリカ粒子と、複素環芳香族化合物と、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体と、酸とを含有する磁気ディスク基板用研磨液組成物であって、前記複素環芳香族化合物は、複素環内に窒素原子を2個以上含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物(以下、「本発明の研磨液組成物」ともいう)に関する。
本発明の研磨液組成物によれば、研磨後の基板において、スクラッチの低減のみならず、研磨後の基板表面のナノ突起欠陥を低減するという効果を奏し得る。
本発明の研磨液組成物がスクラッチのみならず研磨後の基板表面のナノ突起欠陥を低減できるメカニズムの詳細は明らかでないが、研磨時において複素環芳香族化合物が被研磨基板上に保護膜を形成するとともに、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体が研磨パッドと被研磨基板との摩擦を低減して両者間の振動が低減し、その結果両者が単独で機能する場合よりも一層スクラッチを低減し、さらに、ナノ突起欠陥を低減することができると推定される。但し、本発明はこのメカニズムに限定されない。
[シリカ粒子]
本発明の研磨液組成物は、シリカ粒子を含有する。本発明の研磨液組成物に用いられるシリカ粒子は、例えばコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられるが、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、コロイダルシリカが好ましい。シリカ粒子は、市販のものでもよいし、ケイ酸水溶液から生成させる公知の製造方法等により得られたものでもよい。シリカ粒子の使用形態としては、操作性の観点からスラリー状であることが好ましい。なお、本発明に用いられるシリカ粒子は、1種類のシリカ粒子からなるものであっても、2種類以上のシリカ粒子を混合したものであってもよい。
本発明に使用されるシリカ粒子は、下記条件(a)及び(b)を満たすことが好ましい。
条件(a):透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)が1〜40nm;
条件(b):動的光散乱法により検出角30度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角30度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCV(変動係数)の値(CV30)と、動的光散乱法により検出角90度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角90度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCVの値(CV90)との差ΔCV(ΔCV=CV30−CV90)が0〜10%。
〔シリカ粒子の平均粒径〕
シリカ粒子の平均粒径には、2種類の平均粒径、すなわち、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)、及び、動的光散乱法により検出角90度で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径が用いられる。これらの平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
本発明に使用されるシリカ粒子の透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)は、生産性を損なうことなくスクラッチ、表面粗さ及びナノ突起欠陥を低減する観点から、好ましくは1〜40nmであり、より好ましくは5〜37nm、さらに好ましくは10〜35nmである。
本発明に使用されるシリカ粒子の動的光散乱法において検出角90度で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径は、生産性を損なうことなくスクラッチ、表面粗さ及びナノ突起欠陥を低減する観点から、1〜40nmが好ましく、5〜37nmがより好ましく、10〜35nmがさらに好ましい。
〔シリカ粒子のCV90〕
本発明において、シリカ粒子のCV値とは、動的光散乱法において散乱強度分布に基づく標準偏差を平均粒径で除して100を掛けた変動係数の値であって、上述のとおり、本明細書では特に、検出角90度(側方散乱)で測定されるCV値をCV90、検出角30度(前方散乱)で測定されるCV値をCV30という。シリカ粒子のCV値は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。シリカ粒子のCV90は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥を低減する観点から、1〜35%が好ましく、5〜34%がより好ましく、10〜33%がさらに好ましい。
〔シリカ粒子のΔCV値〕
シリカ粒子のΔCV値とは、上述のとおり、動的光散乱法による検出角30度(前方散乱)の散乱強度分布に基づく測定で得られる、標準偏差を平均粒径で除して100を掛けた変動係数の値(CV30)と、検出角90度(側方散乱)の散乱強度分布に基づく測定で得られる、標準偏差を平均粒径で除して100を掛けた変動係数の値(CV90)との差(ΔCV=CV30−CV90)であり、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。シリカ粒子のΔCV値は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥を低減する観点から、0〜10%が好ましく、0.01〜10%がさらに好ましく、0.01〜7%がさらにより好ましく、0.01〜5%がさらにより好ましい。
本発明者らは、研磨材のΔCV値と研磨材凝集体(非球状粒子)の含有量との間に相関関係があること、及びΔCV値が所定範囲の研磨材を用いることにより、研磨後のスクラッチ、ナノ突起欠陥、及び基板表面うねりを低減できることを見出した。係る効果が奏される理由は明らかではないが、ΔCV値を制御することで研磨材の一次粒子が凝集して生じた50〜200nmの研磨材凝集体(非球状粒子)が低減され、かかる凝集体が少ない研磨材を本発明の共重合体と組み合わせることで、研磨中に生じる前記凝集体の生成をより抑制し、かつ研磨時の摩擦振動を低減して研磨パッドの開孔部からの研磨材凝集体の脱落をより防止し、研磨後の基板のスクラッチに加え、研磨後のナノ突起欠陥及び基板表面うねりをより低減していると推定される。但し、本発明はこれらの推定メカニズムに限定されない。
すなわち、ΔCV値に着目することで、従来では検出することが困難であった粒子分散液試料中の非球状粒子の存在を容易に検出できるから、そのような非球状粒子を含む研磨液組成物を使用することを回避でき、その結果、スクラッチ及びナノ突起の低減を達成できると考えられる。
ここで、粒子分散液試料中の粒子が球状か非球状かは、一般に、動的散乱法により測定される拡散係数(D=Γ/q2)の角度依存性を指標とする方法(例えば、特開平10−195152号公報参照)により判断されている。具体的には散乱ベクトルq2に対するΓ/q2をプロットしたグラフにおいて示される角度依存性が小さいほどその分散液中の粒子の平均的な形状は真球状であると判断し、角度依存性が大きいほどその分散液中の粒子の平均的な形状は非球状であると判断される。すなわち、この、動的散乱法により測定される拡散係数の角度依存性を指標とする従来の方法は、系全体で均一の粒子が分散していると仮定して粒子の形状や粒径等を検出・測定する方法である。それゆえ、球状粒子が大勢を占める分散液試料中の一部に存在する非球状粒子は検出が困難となる。
一方、動的光散乱法では、原理的に200nm以下の真球状粒子分散溶液を測定した場合、散乱強度分布は検出角に関係なくほぼ一定の結果が得られるため測定結果は検出角に依存しない。しかし、非球状粒子を含む真球状粒子分散溶液の動的光散乱の散乱強度分布は非球状粒子の存在により検出角によって大きく変化し、低角の検出角ほど散乱強度分布は分布がブロードになる。そのため、動的光散乱の散乱強度分布の測定結果は検出角に依存することとなり、「動的光散乱法により測定される散乱強度分布の角度依存性」の指標の1つであるΔCV値を測定することで、球状粒子分散溶液中に存在するわずかな非球状粒子を測定できると考えられる。なお、本発明はこれらのメカニズムに限定されない。
散乱強度分布
本明細書において「散乱強度分布」とは、動的光散乱法(DLS:Dynamic Light Scattering)又は準弾性光散乱(QLS:Quasielastic Light Scattering)により求められるサブミクロン以下の粒子の3つの粒径分布(散乱強度、体積換算、個数換算)のうち散乱強度の粒径分布のことをいう。通常、サブミクロン以下の粒子は溶媒中でブラウン運動をしており、レーザー光を照射すると散乱光強度が時間的に変化する(ゆらぐ)。この散乱光強度のゆらぎを、例えば、光子相関法(JIS Z 8826)を用いて自己相関関数を求め、キュムラント(Cumulant)法解析により、ブラウン運動速度を示す拡散係数(D)を算出して、さらにアインシュタイン・ストークスの式を用い、平均粒径(d:流体力学的径)を求めることができる。また、粒径分布解析は、キュムラント法による多分散性指数(Polydispersity Index, PI)のほかに、ヒストグラム法(Marquardt法)、ラプラス逆変換法(CONTIN法)、非負最小2乗法(NNLS法)等がある。
動的光散乱法の粒径分布解析では、通常、キュムラント法による多分散性指数(Polydispersity Index, PI)が広く用いられている。しかしながら、粒子分散液中にわずかに存在する非球状粒子の検出を可能とする検出方法においては、ヒストグラム法(Marquardt法)やラプラス逆変換法(CONTIN法)による粒径分布解析から平均粒径(d50)と標準偏差を求め、CV値(Coefficient of variation:標準偏差を平均粒径で割って100をかけた数値)を算出し、その角度依存性(ΔCV値)を用いることが好ましい。
(参考資料)
第12回散乱研究会(2000年11月22日開催)テキスト、1.散乱基礎講座「動的光散乱法」(東京大学 柴山充弘)
第20回散乱研究会(2008年12月4日開催)テキスト、5.動的光散乱によるナノ粒子の粒径分布測定(同志社大学 森康維)
散乱強度分布の角度依存性
本明細書において「粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性」とは、動的光散乱法により異なる検出角で前記粒子分散液の散乱強度分布を測定した場合の、散乱角度に応じた散乱強度分布の変動の大きさをいう。例えば、検出角30度と検出角90度とでの散乱強度分布の差が大きければ、その粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性は大きいといえる。よって、本明細書において、散乱強度分布の角度依存性の測定は、異なる2つの検出角で測定した散乱強度分布に基づく測定値の差(ΔCV値)を求めることを含む。
散乱強度分布の角度依存性の測定で用いる2つの検出角の組合せとしては、非球状粒子の検出の確度向上の点からは、前方散乱と側方若しくは後方散乱との組合せが好ましい。前記前方散乱の検出角としては、同様の観点から、0〜80度が好ましく、0〜60度がより好ましく、10〜50度がさらに好ましく、20〜40度がさらにより好ましい。前記側方若しくは後方散乱の検出角としては、同様の観点から、80〜180度が好ましく、85〜175度がより好ましい。本発明においては、ΔCV値を求める2つの検出角として30度と90度を使用している。
シリカ粒子のΔCV値の調整方法としては、研磨液組成物の調製において50〜200nmのシリカ凝集物(非球状シリカ)を生成しないようにする下記の方法が挙げられる。
A)研磨液組成物のろ過による方法
B)シリカ粒子製造時の工程管理による方法
上記A)では、例えば、遠心分離や精密フィルターろ過(特開2006‐102829及び特開2006‐136996)により、50〜200nmのシリカ凝集体を除去することでΔCV値を低減できる。具体的には、シリカ濃度20重量%以下になるように適度に希釈したコロイダルシリカ水溶液を、stokesの式より算出した50nm粒子が除去できる条件(例えば、10,000G以上、遠沈管高さ約10cm、2時間以上)で遠心分離する方法や、孔径が0.05μmまたは0.1μmのメンブランフィルター(例えば、アドバンテック、住友3M、Millipore)を用いて加圧ろ過する方法等によりΔCV値を低減できる。
また、シリカ粒子は、通常、1)10重量%未満の3号ケイ酸ソーダと種粒子(小粒径シリカ)の混合液(シード液)を反応層に入れ、60℃以上に加熱し、2)そこに3号ケイ酸ソーダを陽イオン交換樹脂に通した酸性の活性ケイ酸水溶液とアルカリ(アルカリ金属又は第4級アンモニウム)とを滴下してpHを一定にして球状の粒子を成長させ、3)熟成後に蒸発法や限外ろ過法で濃縮することで得られる(特開昭47−1964、特公平1−23412、特公平4−55125、特公平4−55127)。しかし、同じ製造プロセスで少し工程を変えると非球状粒子の製造も可能であることが多く報告されている。例えば、活性ケイ酸は非常に不安定なため意図的にCaやMgなどの多価金属イオンを添加すると細長い形状のシリカゾルを製造できる。さらに、反応層の温度(水の沸点を越えると蒸発し気液界面でシリカが乾燥)、反応層のpH(9以下ではシリカ粒子の連結が起きやすい)、反応層のSiO2/M2O(Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム)、及びモル比(30〜60で非球状シリカを選択的に生成)などを変えることで非球状シリカが製造できる(特公平8−5657、特許2803134、特開2006−80406、特開2007−153671)。したがって、上記B)では、公知の球状シリカ製造プロセスにおいて、局部的に非球状シリカが生成する条件にならないように工程管理を行うことでΔCV値を小さく調整することができる。
また、本発明のシリカ粒子は、生産性を損なうことなく(研磨速度低下を引き起こすことなく)、スクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、下記条件(c)及び(d)を満たすことが好ましい。
条件(c):透過型電子顕微鏡観察により測定される真球率が0.75〜1;
条件(d):ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)と透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)とから算出される表面粗度(SA1/SA2)の値が1.3以上。
〔シリカ粒子の真球率〕
本明細書においてシリカ粒子の透過型電子顕微鏡観察により測定される真球率は、透過型電子顕微鏡により得られるシリカ粒子一個の投影面積(A1)と該粒子の周長を円周とする円の面積(A2)との比、すなわち、「A1/A2」の値であって、好ましくは、本発明の研磨液組成物における任意の50〜100個のコロイダルシリカについての「A1/A2」の値の平均値をいう。シリカ粒子の真球率は、具体的には、実施例に記載の方法により測定されうる。生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、本発明の研磨液組成物に使用されるシリカ粒子の真球率は、0.75〜1が好ましく、0.75〜0.95がより好ましく、0.75〜0.85がさらに好ましい。
〔シリカ粒子の表面粗度〕
本明細書においてシリカ粒子の表面粗度は、ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)と、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)との比である「SA1/SA2」の値をいい、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。ここで、ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)は、シリカに対して水酸化ナトリウム溶液を滴定したときの水酸化ナトリウム溶液の消費量からシリカの比表面積を求めるものであり、実際の表面積を反映したものと言える。具体的には、シリカ表面に起伏又は疣状突起などに富むものである程、比表面積(SA1)は大きくなる。一方、透過型電子顕微鏡により測定される平均粒径(S2)から算出される比表面積(SA2)はシリカを理想的な球状粒子と仮定し、算出される。具体的には平均粒径(S2)が大きいほど、比表面積(SA2)は小さくなる。比表面積は単位質量あたりの表面積を示すものであって、表面粗度(SA1/SA2)の値については、シリカが球状であって、シリカ表面に多くの疣状突起を有する程、大きい値を示し、シリカ表面の疣状突起が少なく、平滑である程、小さい値を示し、その値は1に近づく。本発明の研磨液組成物に使用されるシリカ粒子の表面粗度は、生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、1.3以上が好ましく、1.3〜2.5がより好ましく、1.3〜2.2がさらに好ましい。
シリカ粒子の真球率、表面粗度(SA1/SA2)及び平均粒径(S2)は、従来公知のシリカ粒子の製造方法を用いて調整することができる。例えば、特開2008−137822号公報、特開2008−169102号公報に記載の製造方法を例示することができるが、本発明はこれに限定されない。
なお、シリカ粒子の粒径分布を調整する方法としては、特に限定されないが、その製造段階における粒子の成長過程で新たな核となる粒子を加えることにより所望の粒径分布を持たせる方法や、異なる粒径分布を有する2種以上のシリカ粒子を混合して所望の粒径分布を持たせる方法等が挙げられる。
研磨液組成物中におけるシリカ粒子の含有量は、研磨速度を向上させる観点から、0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、3重量%以上がさらに好ましく、4重量%以上がさらにより好ましい。また、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点からは、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、13重量%以下がさらに好ましく、10重量%以下がさらにより好ましい。すなわち、シリカ粒子の含有量は、0.5〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、3〜13重量%がさらに好ましく、4〜10重量%がさらにより好ましい。
[複素環芳香族化合物]
本発明の研磨液組成物に含有される複素環芳香族化合物は、研磨後の基板のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、複素環内に窒素原子を2個以上含む複素環芳香族化合物であり、複素環内に窒素原子を3個以上有することが好ましく、3〜9個がより好ましく、3〜5個がさらに好ましく、3又は4個がさらにより好ましい。
本発明の研磨液組成物に含有される複素環芳香族化合物は、研磨後の基板のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,5−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、3-アミノピラゾール、4−アミノピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、ピラゾール、2−アミノイミダゾール、4−アミノイミダゾール、5−アミノイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノー1,2,3−トリアゾール、5−アミノー1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノー1,2,4−トリアゾール、5−アミノー1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、5−アミノテトラゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1H−トリルトリアゾール、2−アミノベンゾトリアゾール、3−アミノベンゾトリアゾール、又はこられのアルキル置換体若しくはアミン置換体が好ましく、1H−ベンゾトリアゾール、1H−トリルトリアゾールがより好ましく、1H−ベンゾトリアゾールがさらに好ましい。前記アルキル置換体のアルキル基としては例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基が挙げられる。また、前記アミン置換体としては1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]トリルトリアゾールが挙げられる。
本発明の研磨液組成物における複素環芳香族化合物の含有量は、研磨後の基板のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、研磨液組成物全体の重量に対して0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜5重量%がより好ましく、0.1〜1重量%がさらに好ましい。なお、研磨液組成物中の複素環芳香族化合物は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
また、研磨液組成物中における、シリカ粒子と複素環芳香族化合物との濃度比[シリカ粒子の濃度(重量%)/複素環芳香族化合物の濃度(重量%)]は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、2〜100が好ましく、5〜50がより好ましく、10〜25がさらに好ましい。
[スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体]
本発明の研磨液組成物は、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体を含有する。スクラッチ及びナノ突起低減の観点から、該重合体はスルホン酸基を有することが好ましい。該重合体は、研磨パッドに吸着して研磨時の摩擦振動を低減し、研磨パッドの開孔部からのシリカ凝集体の脱落を防止し、前述の複素環芳香族化合物との相乗効果によって、研磨後の基板のスクラッチ及びナノ突起欠陥を顕著に低減するものと推定される。但し、本発明はこれらの推定メカニズムに限定されない。また、該重合体は、主鎖に二重結合を含まない、すなわち、主鎖が飽和炭化水素鎖であることが好ましい。主鎖に二重結合を有する(共)重合体に比べて耐加水分解性に優れ、研磨液組成物としての品質安定性が向上するという利点がある。
本発明において、「スルホン酸基」とはスルホン酸基及び又はその塩をいい、「カルボン酸基」とはカルボン酸基及び又はその塩をいう。これらの基が塩を形成する場合、その対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属等のイオンが挙げられる。これらの金属の中でも、ナノスクラッチ低減の観点から1A、3B、又は8族に属する金属のイオンが好ましく、1A族に属するナトリウム及びカリウムのイオンがより好ましい。アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のイオンが挙げられる。これらの中では、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩がより好ましい。
本発明のスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体は、スルホン酸基を有する単量体、カルボン酸基を有する単量体等のイオン性親水基を有する単量体を重合することにより得られたものであることが好ましい。これら単量体の重合は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでも良い。
スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
また、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体には、上記以外の単量体を用いることもできる。本発明の重合体に用いることができる他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、ビニルホスホン酸、メタクロイルオキシメチルリン酸、メタクロリルオキシエチルリン酸、メタクロイルオキシブチルリン酸、メタクロリルオキシヘキシルリン酸、メタクロリルオキシオクチルリン酸、メタクロリルオキシデシルリン酸、メタクロリルオキシラウリルリン酸、メタロイルオキシステアリルリン酸、メタクロイルオキシ1、4−ジメチルシクロヘキシルリン酸などのホスホン酸化合物等が挙げられる。これら単量体は1種又は2種以上使用できる。
スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体の好ましい具体例としては、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、スチレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、並びに、下記一般式(1)及び(2)で表される構成単位のいずれか一種以上と下記一般式(3)で表される構成単位とを有する共重合体が挙げられるが、同様の観点から、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、スチレンスルホン酸のホルマリン縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、並びに、下記一般式(1)及び(2)で表される構成単位のいずれか一種以上と下記一般式(3)で表される構成単位とを有する共重合体がさらに好ましく、下記一般式(1)で表される構成単位と下記一般式(3)で表される構成単位とを有する共重合体であることがさらにより好ましい。
Figure 2010188514
上記一般式(1)及び(2)のR1は、共重合体の研磨パッドへの吸着量増加及び研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であって、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましい。上記一般式(1)のR2は、共重合体の研磨パッドへの吸着量増加及び研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、アリール基又は1つ又は複数の炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいアリール基であり、フェニル基又は1つ又は複数の炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。なお、前記炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造でも分岐鎖構造でもよい。上記一般式(2)のR3は、共重合体の研磨パッドへの吸着量増加及び研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子(1/2原子)、アンモニウム若しくは有機アンモニウム、又は炭素数1〜22の炭化水素鎖であることが好ましく、炭化水素鎖の炭素数は、1〜18が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8がさらに好ましく、1〜4がさらにより好ましい。また、炭化水素鎖としては、直鎖構造でも分岐鎖構造でもよく、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。また、共重合体は、二種類以上の疎水性構成単位を含んでもよい。
共重合体を構成する全構成単位中に占める上記一般式(1)及び(2)で表される構成単位の含有率は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、5〜95モル%が好ましく、5〜70モル%がより好ましく、10〜60モル%がさらにより好ましく、15〜50モル%がさらにより好ましく、20〜40モル%がさらにより好ましい。
Figure 2010188514
上記一般式(3)のR4は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であって、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、メチル基がさらにより好ましい。上記一般式(3)のR5は、重合体の研磨液組成物への溶解性向上及び研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、1又は複数のスルホン酸基を有するアリール基であり、1又は複数のスルホン酸基を有するフェニル基が好ましく、オルト、メタ、パラ位のいずれかで1つのスルホン酸基を有するフェニル基がより好ましく、パラ位でスルホン酸基を有するフェニル基がさらに好ましい。スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体は、スルホン酸基を有する構成単位を二種類以上含んでもよい。
共重合体を構成する全構成単位中に占める上記一般式(3)で表される構成単位の含有率は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、5〜95モル%が好ましく、40〜90モル%がより好ましく、50〜85モル%がさらに好ましく、60〜80モル%がさらにより好ましい。
スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体を構成する全構成単位中に占める上記一般式(1)及び(2)で表される構成単位と上記一般式(3)で表される構成単位の合計の含有率は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、70〜100モル%が好ましく、80〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましく、95〜100モル%がさらにより好ましい。
本発明の共重合体を構成する全構成単位中に占める上記一般式(1)及び(2)で表される構成単位と、上記一般式(3)で表される構成単位とのモル比(一般式(1)及び(2)で表される構成単位のモル%/一般式(3)で表される構成単位のモル%)は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜60/40がより好ましく、15/85〜50/50がさらに好ましく、20/80〜40/60がさらにより好ましい。
[共重合体の製造方法]
上記一般式(1)及び(2)で表される構成単位のいずれか一種以上と上記一般式(3)で表される構成単位とを有する共重合体の製造方法は、単量体の共重合法、ポリマーにスルホン化剤を用いて得られる方法等が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。好ましくは、単量体の共重合法である。単量体の共重合法は、公知の塊状重合、溶液重合等の重合法を用いることができる。本発明の共重合体を得るための重合溶媒は、水に対する溶解度(20℃)が10重量%以上であれば何れでもよい。水、アルコール系、ケトン系、エーテル系等が挙げられる。アルコール系溶剤は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第2級ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶剤は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロへキサノン等が挙げられる。エーテル系溶剤は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、セロソルブ類等が挙げられる。これらを1種類以上混合して用いることが出来る。重合開始剤としては、公知のラジカル開始剤が用いられる。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムに代表される過硫酸化類、t−ブチルヒドロペルオキシドに代表されるヒドロ過酸化物類、過酸化ジt−ブチルに代表される過酸化ジアルキル類、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイルに代表される過酸化ジアシル類、メチルエチルケトンペルオキシドに代表されるケトンペルオキシド類、及びアゾ系重合開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤は1種類以上を使用することが出来る。開始剤濃度は、スクラッチ及びナノ突起低減の観点から、単量体に対して、1〜100mol%が好ましく、3〜50mol%がより好ましく、5〜30mol%がさらに好ましい。また、必要に応じて連鎖移動剤を使用できる。重合時の単量体濃度は、スクラッチ及びナノ突起低減の観点から、0.5〜90重量%が好ましく、1.0重量%〜50重量%がより好ましく、3.0〜30重量%がさらに好ましい。重合温度は、スクラッチ及びナノ突起低減の観点から、40〜300℃が好ましく、50〜250℃がより好ましく、60〜200℃がさらに好ましい。
スクラッチ及びナノ突起低減の観点から、共重合体を製造する際、重合反応の開始から終了までの単量体の転化率比を0.5〜2.0の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは0.7〜1.3の範囲、さらに好ましくは0.8〜1.2の範囲、さらにより好ましくは、0.9〜1.1の範囲である。単量体の転化率を等しくすると、重合体の組成比率に偏りが少なくなるため、スクラッチ及びナノ突起低減がさらに低減できる。このため、滴下重合を行うことが好ましい。滴下速度、滴下時間は、転化率比が上記範囲内となるよう適宜調整して行う。ここで、単量体の転化率とは、単量体が重合体に変化した割合であり、以下の式で表される。
単量体の転化率(%)=((仕込み単量体量)−(未反応の単量体量))/(仕込み単量体量)×100
また、転化率比は、例えば2種類の単量体(単量体AおよびB)を用いて共重合体を製造する場合、下記式を用いて計算される。
転化率比=単量体Aの転化率/単量体Bの転化率
[重合体の重量平均分子量]
スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体の重量平均分子量は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、500〜12万であることが好ましく、1000〜10万がより好ましく、1000〜3万がさらに好ましく、1000〜1万がさらにより好ましくは、1500〜8000がさらにより好ましい。該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて実施例に記載の方法により測定した値である。
スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体が塩を少なくとも部分的に形成している場合、その対イオンとしては、特に限定はなく、上述の親水性構成単位の場合と同様に、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。
研磨液組成物におけるスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体の含有量は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、0.001〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜0.5重量%、さらに好ましくは0.01〜0.2重量%、さらにより好ましくは0.01〜0.1重量%、さらにより好ましくは0.01〜0.075重量%である。
また、研磨液組成物中における、シリカ粒子と前記重合体との濃度比[シリカ粒子の濃度(重量%)/重合体の濃度(重量%)]は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、5〜5000が好ましく、10〜1000がより好ましく、25〜500がさらに好ましい。
さらに、研磨液組成物中における、複素環芳香族化合物と前記重合体との濃度比[複素環芳香族化合物の濃度(重量%)/重合体の濃度(重量%)]は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びナノ突起欠陥の低減の観点から、1〜100が好ましく、2〜50がより好ましく、2.5〜25がさらに好ましい。
[酸]
本発明の研磨液組成物は、酸を含む。本発明において、酸には、酸及び/又はその塩が含まれる。本発明の研磨液組成物に使用される酸としては、研磨速度の向上の観点から、その酸のpK1が2以下の化合物が好ましく、スクラッチを低減する観点から、好ましくはpK1が1.5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくはpK1で表せない程の強い酸性を示す化合物である。その例としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸及びその塩、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸及びその塩、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸及びその塩、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸及びその塩等が挙げられる。中でも、スクラッチ低減の観点から、無機酸や有機ホスホン酸及びそれらの塩が好ましい。また、無機酸及びその塩の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸及びそれらの塩がより好ましく、硫酸がさらに好ましい。有機ホスホン酸及びその塩の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩がより好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)がさらに好ましい。これらの酸及びその塩は単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。ここで、pK1とは有機化合物又は無機化合物の第一酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は例えば改訂4版化学便覧(基礎編)II、pp316−325(日本化学会編)等に記載されている。
これらの酸の塩を用いる場合の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等のイオンが挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、スクラッチ低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物中における前記酸及びその塩の含有量は、研磨速度向上、表面粗さ及びスクラッチ低減の観点から、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜4重量%であり、さらに好ましくは0.05〜3重量%、さらにより好ましくは0.1〜2.0重量%である。
[水]
本発明の研磨液組成物は、媒体として水を含むことができ、前記水として蒸留水、イオン交換水、超純水等を使用できる。被研磨基板の表面清浄性の観点からイオン交換水及び超純水が好ましく、超純水がより好ましい。研磨液組成物中の水の含有量は、60〜99.4重量%が好ましく、70〜98.9重量%がより好ましい。また、本発明の効果を阻害しない範囲内でアルコール等の有機溶剤を配合してもよい。
[酸化剤]
本発明の研磨液組成物は、酸化剤を含むことが好ましい。本発明の研磨液組成物に使用できる酸化剤としては、研磨速度を向上させる観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。
前記過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等が挙げられ、過マンガン酸又はその塩としては、過マンガン酸カリウム等が挙げられ、クロム酸又はその塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等が挙げられ、ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等が挙げられ、酸素酸又はその塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、金属塩類としては、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。
好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。より好ましい酸化剤としては、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、表面粗さ、うねり及びスクラッチ低減の観点から、好ましくは4重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。従って、表面品質を保ちつつ研磨速度を向上させるためには、上記含有量は、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
[その他の成分]
本発明の研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。研磨液組成物中のこれら他の任意成分の含有量は、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。但し、本発明の研磨液組成物は、他の成分、とりわけ界面活性剤を含むことなく、研磨後の基板表面のナノ突起欠陥の低減効果を発揮し得る。さらに、本発明の研磨液組成物は、アルミナ砥粒を含ませることができ、最終研磨工程より前の粗研磨工程に使用することもできる。
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物のpHは、研磨速度向上の観点から3.5以下が好ましく、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下、さらにより好ましくは2.0以下である。また、表面粗さ低減の観点から、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上、さらにより好ましくは1.2以上である。また、研磨液組成物の廃液pHは、研磨速度向上の観点から3以下が好ましく、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2.2以下、さらにより好ましくは2.0以下である。また、表面粗さ低減の観点から、研磨液組成物の廃液pHは、0.8以上が好ましく、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.2以上、さらにより好ましくは1.5以上である。なお、廃液pHとは、研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨廃液、即ち、研磨機より排出された直後の研磨液組成物のpHをいう。
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物は、例えば、水と、シリカ粒子と、複素環芳香族化合物と、(共)重合体と、酸と、さらに所望により、他の成分とを公知の方法で混合することにより調製できる。この際、シリカ粒子は、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。本発明の研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、上述した範囲であるが、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。
[磁気ディスク基板の製造方法]
本発明は、その他の態様として、磁気ディスク基板の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう。)に関する。本発明の製造方法は、上述した本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう。)を含む磁気ディスク基板の製造方法である。これにより、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のナノ突起欠陥が低減された磁気ディスク基板を好ましくは提供できる。本発明の製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。よって、本発明の製造方法は、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程を含む垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法である。
本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する方法の具体例としては、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する方法が挙げられる。
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。なお、研磨機としては、特に限定されず、磁気ディスク基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
[研磨パッド]
本発明で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
研磨パッドの表面部材の平均気孔径は、スクラッチ低減及びパッド寿命の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、さらにより好ましくは35μm以下である。パッドの研磨液保持性の観点から、気孔で研磨液を保持し液切れを起こさないようにするために、平均気孔径は0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは1μm以上、さらにより好ましくは10μm以上である。また、研磨パッドの気孔径の最大値は、研磨速度維持の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
[研磨荷重]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、好ましくは5.9kPa以上、より好ましくは6.9kPa以上、さらに好ましくは7.5kPa以上である。これにより、研磨速度の低下を抑制できるため、生産性の向上が可能となる。なお、本発明の製造方法において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程において、研磨荷重は20kPa以下が好ましく、より好ましくは18kPa以下、さらに好ましくは16kPa以下である。これにより、スクラッチの発生を抑制することができる。したがって、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程において研磨荷重は5.9〜20kPaが好ましく、6.9〜18kPaがより好ましく、7.5〜16kPaがさらに好ましい。研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
[研磨液組成物の供給]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における本発明の研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05〜15mL/分であり、より好ましくは0.06〜10mL/分であり、さらに好ましくは0.07〜1mL/分、さらにより好ましくは0.08〜0.5mL/分、さらにより好ましくは0.12〜0.5mL/分である。
本発明の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本発明の研磨液組成物となる。
[被研磨基板]
本発明において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板が好適である。特にNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板に適しており、中でもNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板が適している。
また、本発明によれば、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のナノ突起欠陥が低減された磁気ディスク基板を提供できるため、高度の表面平滑性が要求される垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板の研磨に好適に用いることができる。
上記被研磨基板の形状には特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状であればよい。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2〜95mm程度であり、その厚みは例えば0.5〜2mm程度である。
[研磨方法]
本発明は、その他の態様として、上述した研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨することを含む被研磨基板の研磨方法に関する。本発明の研磨方法を使用することにより、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のナノ突起欠陥が低減された磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板が好ましくは提供される。本発明の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。なお、具体的な研磨の方法及び条件は、上述のとおりとすることができる。
<実施例1〜31、比較例1〜6:研磨液組成物の調製及び研磨>
下記のように研磨液組成物を調製して被研磨基板の研磨を行い、研磨後の基板のスクラッチ及びナノ突起欠陥を評価した。評価結果を下記表3に示す。使用した重合体、研磨液組成物の調製方法、各パラメータの測定方法、研磨条件(研磨方法)及び評価方法は以下のとおりである。
[重合体]
研磨液組成物に使用したスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体は下記の重合体A−重合体F6である。重合体とその重量平均分子量を下記表1に示す。なお、これらの重合体の重量平均分子量は下記の条件で測定した。
重合体A:アクリル酸/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(AA/AMPS、モル比90/10、東亞合成社製);
重合体B:アクリル酸/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(AA/AMPS、モル比95/5、東亞合成社製);
重合体C:スチレン/スチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(St/NaSS、モル比60/40、下記方法により合成);
重合体D1:スチレン/スチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(St/NaSS、モル比50/50、下記方法により合成);
重合体D2:スチレン/スチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(St/NaSS、モル比50/50、下記方法により合成);
重合体E:スチレン/スチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(St/NaSS、モル比30/70、下記方法により合成);
重合体F1:ポリアクリル酸(PAA、東亞合成社製);
重合体F2:ポリアクリル酸(PAA、東亞合成社製);
重合体F3:ポリアクリル酸(PAA、東亞合成社製);
重合体F4:ポリアクリル酸(PAA、日本触媒社製);
重合体F5:ポリアクリル酸(PAA、花王社製);
重合体F6:ポリアクリル酸(PAA、日本触媒社製)
〔スチレン/スチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩の製造方法〕
1Lの四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール180g(キシダ化学製)、イオン交換水270g、スチレン10g(キシダ化学製)、スチレンスルホン酸ナトリウム40g(和光純薬工業製)を仕込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩7.2g(V−50、和光純薬工業製)を反応開始剤として、83±2℃で2時間かけて滴下重合し、更に2時間熟成を行い、その後、減圧下で溶剤を除去することで、白色粉の重合体Eを得た。重合体C、D1及びD2は、単量体種及び単量体比率を変更して前記記載の方法にて重合を行った。
[重合体の重量平均分子量の測定方法]
上記の重合体の重量平均分子量は、下記測定条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。なお、各重合体の重量平均分子量は下記表1及び3のとおりである。
〔St/NaSSのGPC条件〕
カラム :TSKgel α−M+TSKgel α−M(東ソー製)
ガードカラム:TSKguardcolumn α(東ソー製)
溶離液 :60mmol/L リン酸,50mmol/L LiBr/DMF
温度 :40℃
流速 :1.0mL/min
試料サイズ:3mg/mL
検出器 :RI
換算標準 :ポリスチレン(分子量(Mw):590、3600、3万、9.64万、92.9万、842万(東ソー、西尾工業、chemco製))
〔PAA及びAA/AMPSのGPC条件〕
カラム :TSKgel G4000PWXL+TSKgel G2500PWXL(東ソー製)
ガードカラム:TSKguardcolumn PWXL(東ソー製)
溶離液 :0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1(体積比)
温度 :40℃
流速 :1.0mL/min
試料サイズ:5mg/mL
検出器 :RI
換算標準 :ポリアクリル酸Na(分子量(Mp):11.5万、2.8万、4100、1250(創和科学及びAmerican Polymer Standards Corp.製))
[研磨液組成物の調製方法]
下記に示す組成で、複素環芳香族化合物、上記の重合体、コロイダルシリカ(シリカa〜c、いずれも日揮触媒化成社製、下記表2)、硫酸、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)、過酸化水素水(酸化剤)等をイオン交換水に添加し、これらを混合することにより、実施例1〜31及び比較例1〜6の研磨液組成物を調製した。具体的には、研磨液組成物中の各成分の濃度は、以下のように調製した。
実施例1〜31:複素環芳香族化合物(表3記載の濃度)、重合体0.05重量%、シリカ粒子5重量%、硫酸0.5重量%、HEDP0.1重量%、過酸化水素0.5重量%(pH1.4〜1.5);
比較例1:複素環芳香族化合物(表3記載の濃度)、シリカ粒子5重量%、オルトリン酸2重量%、K2HPO4 0.8重量%、過酸化水素0.62重量%(pH2);
比較例2:重合体0.05重量%、シリカ粒子10重量%、EDTA−Fe2.5重量%(pH8〜9);
比較例3:重合体0.05重量%、シリカ粒子5重量%、オルトリン酸2重量%、K2HPO4 0.8重量%、過酸化水素0.62重量%(pH2);
比較例4:重合体0.05重量%、シリカ粒子5重量%、硫酸0.5重量%、HEDP0.1重量%、過酸化水素0.5重量%(pH1.4〜1.5);
比較例5:複素環芳香族化合物(表3記載の濃度)、シリカ粒子5重量%、硫酸0.5重量%、HEDP0.1重量%、過酸化水素0.5重量%(pH1.4〜1.5);
比較例6:重合体0.05重量%、シリカ粒子5重量%、硫酸0.5重量%、HEDP0.1重量%、過酸化水素0.5重量%(pH1.4〜1.5)
なお、使用したシリカa〜cの物性値(比表面積SA1及びSA2、平均粒径S2、表面粗度、真球率、並びにΔCV値)は下記方法で測定し、その結果は下記表2に示す。
〔ナトリウム滴定法によりシリカ粒子の比表面積(SA1)を得る方法〕
1)SiO2として1.5gに相当するコロイダルシリカを含む試料をビーカーに採取して恒温反応槽(25℃)に移し、純水を加えて液量を90mLにする。以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行う。
2)pH3.6〜3.7になるように0.1モル/L塩酸溶液を加える。
3)塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mLに希釈し、10分間攪拌する。
4)pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液を滴下して、pH4.0に調整する。
5)pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH8.7〜9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとして、検量線を作る。
6)下記式(1)からSiO21.5g当たりのpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の消費量V(mL)を求め、次の〔a〕〜〔b〕に従って比表面積SA1[m2/g]を求める。
〔a〕下記式(2)にて、SA1の値を求め、その値が80〜350m2/gの範囲にある場合は、その値をSA1とする。
〔b〕下記式(2)によるSA1の値が350m2/gを超える場合は、改めて下記式(3)にて、SA1を求め、その値をSA1とする。
V=(A×f×100×1.5)/(W×C) ・・・(1)
SA1=29.0V−28 ・・・(2)
SA1=31.8V−28 ・・・(3)
但し、上記式(1)における記号の意味は次の通りである。
A:SiO21.5g当たりpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナト
リウム溶液の滴定量(mL)
f:0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の力価
C:試料のSiO2濃度(%)
W:試料採取量(g)
〔透過型電子顕微鏡観察によるシリカ粒子の平均粒径(S2)および比表面積(SA2)を求める方法〕
コロイダルシリカを含む試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)商品名「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍、日本電子社製)により当該製造業者が添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影する。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて個々のシリカ粒子の円相当径を求め、それを粒子径とする。このようにして、1000個以上のシリカ粒子の粒子径を求めた後、その平均値を算出し、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)とする。次に、上記にて求められた平均粒径(S2)の値を下記式(5)に代入し、比表面積(SA2)を得る。
SA2=6000/(S2×ρ) ・・・(5) (ρ:試料の密度)
ρ:2.2(コロイダルシリカ)
〔シリカ粒子の表面粗度の測定方法〕
下記に示すとおり、ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)及び透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)を得て、それらの比(SA1/SA2)を算出して表面粗度とした。
〔シリカ粒子の真球率の測定方法〕
コロイダルシリカを含む試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)商品名「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍、日本電子社製)により当該製造業者が添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて粒子一個の投影面積(A1)と該粒子の周長を円周とする円の面積(A2)を計測し、前記粒子の投影面積(A1)と前記粒子の周長から求めた面積(A2)との比(A1/A2)を真球率として算出した。なお、下記表2の数値は、100個のシリカ粒子の真球率を求めた後これらの平均値を算出したものである。
〔動的光散乱法で測定されるシリカ粒子の平均粒径、CV90、ΔCV値の測定方法〕
〔平均粒径及びCV90〕
コロイダルシリカと、硫酸と、HEDPと、過酸化水素水とをイオン交換水に添加し、これらを混合することにより、標準試料を作製した。標準試料中におけるコロイダルシリカ、硫酸、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ5.0重量%、0.5重量%、0.1重量%、0.4重量%であった。この標準試料を大塚電子社製動的光散乱装置DLS−6500により、同メーカーが添付した説明書に従って、200回積算した際の検出角90度におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒径を求め、シリカ粒子の平均粒径とした。また、検出角90度におけるコロイダルシリカのCV値(CV90)を、上記測定法に従って測定した散乱強度分布における標準偏差を前記平均粒径で除して100をかけた値として算出した。
〔ΔCV値〕
上記CV90の測定法と同様に、検出角30度におけるコロイダルシリカのCV値(CV30)を測定し、CV30からCV90を引いた値を求め、シリカ粒子のΔCV値とした。
(DLS−6500の測定条件)
検出角:90°
Sampling time : 4(μm)
Correlation Channel : 256(ch)
Correlation Method : TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
検出角:30°
Sampling time : 10(μm)
Correlation Channel : 1024(ch)
Correlation Method : TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
[研磨]
上記のように調製した実施例1〜31及び比較例1〜6の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨された基板のナノ突起欠陥、及びスクラッチを以下に示す条件に基づいて測定し、評価を行った。結果を下記表3に示す。下記表3に示すデータは、各実施例及び各比較例につき4枚の被研磨基板を研磨した後、各被研磨基板の両面について測定し、4枚(表裏合わせて計8面)のデータの平均とした。
[被研磨基板]
被研磨基板としては、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nm、長波長うねり(波長0.4〜2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50〜400μm)の振幅は2nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径30μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.072mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:7.9kPa
研磨時間:8分間
[研磨速度の測定方法]
研磨前後の各基板の重さを重量計(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の平均値を重量減少量とし、それを研磨時間で割った値を重量減少速度とした。この重量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積:6597mm2、Ni−Pメッキ密度:7.99g/cm3として算出)
[ナノ突起欠陥及びスクラッチの評価方法]
測定機器:KLA Tencor社製、OSA6100
評価:研磨試験機に投入した基板の中、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してナノ突起欠陥及びスクラッチを測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのナノ突起欠陥及びスクラッチの数を算出した。その結果を、下記表3に、比較例1を100とした相対値として示す。
Figure 2010188514
Figure 2010188514
Figure 2010188514
上記表3に示すように、実施例1〜31の研磨液組成物を用いると、比較例1〜6に比べ、研磨後の基板のスクラッチに加えて、基板表面のナノ突起を低減できた。
<実施例32〜33、比較例7:保存試験の評価方法>
300cm3のポリ容器に、硫酸3g、過酸化水素3g、共重合体0.5g、イオン交換水93.5gを混合して研磨液組成物を調製し、80℃で1週間保存した。保存前後での重量平均分子量を測定し、及び、被研磨基板の研磨を行った。
実施例32としてスチレン/スチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(St/NaSS、モル比33/67)の共重合体を使用し、実施例33としてメタクリル酸メチル/スチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(MMA/NaSS、モル比43/57)の共重合体を使用し、比較例7として主鎖中に二重結合を有するCS1106(スチレン/イソプレンスルホン酸Na共重合体 JSR社製)を使用した。なお、実施例32及び33の重合体は、単量体種及び単量体比率を変更して前記重合体Eの調製方法と同様に合成した。被研磨基板、研磨条件、分子量の測定方法、並びにスクラッチ及びナノ突起数の測定方法も前述と同様に行った。分子量測定結果、並びに研磨後のスクラッチ及びナノ突起数を下記表4に、各実験例の保存前を100とした相対値で示す。
Figure 2010188514
上記表4に示すとおり、実施例32及び33では、保存前後で共重合体の分子量低下はほとんどみられず、研磨結果はいずれも良好であった。一方、主鎖中に二重結合を有する共重合体を用いた比較例7では、保存後に共重合体の分子量低下を生じ、保存後の研磨実験では、スクラッチ数、ナノ突起欠陥数がともに増加した。
<製造例1及び2:単量体の転化率の評価>
各反応時間における、未反応のスチレンもしくは、スチレンスルホン酸Na量を下記条件にて測定した。経時でのスチレンスルホン酸Naの転化率をCss、スチレンの転化率をCstとし、スチレンの転化率(Cst)に対するスチレンスルホン酸Naの転化率の割合(Css/Cst)が1.0であれば、転化率は同じであることを示し、1.0より大きい場合は、スチレンスルホン酸Naの転化率が、スチレンよりも高いことを示す。また、1.0よりも小さい場合は、スチレンの転化率が、スチレンスルホン酸Naよりも転化率が高いことを示す。以下の製造例1、2で製造した共重合体のCss/Cstと、研磨評価結果を下記表5に示す。
[未反応スチレンの定量法]
10mlメスフラスコにポリマーを400mgとり、酢酸メチルでメスアップ後、0.45μmPTFEフィルターで濾過後、以下のGC条件にて、未反応のスチレンを算出した。
〔GC条件〕
カラム:HP−FFAP サイズ30m×0.530mm 1.00μm (Agilent Technologies社製)
カラム流量:1.0mL/min
検出器:FID
注入口温度:220℃
試料サイズ:40mg/mL
オーブン温度:35℃(10min)→10℃/min→220℃
[未反応スチレンスルホン酸Naの定量法]
10mlメスフラスコにポリマー40mgとり、0.2Mリン酸バッファーでメスアップ後、以下のHPLC条件にて、未反応のスチレンスルホン酸Naを算出した。
〔HPLC条件〕
カラム:Lichro CART 250−4.0 RP−18(5μm) メルク社製
カラム流量:1.0mL/min
検出:UV210nm
試料サイズ:4.0mg/mL
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/メタノール=60/40vol%
製造例1
1Lの四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール91g(キシダ化学製)、イオン交換水137g、スチレン10g(キシダ化学製)、スチレンスルホン酸ナトリウム40g(和光純薬工業製)を仕込み、83℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム6.6g(和光純薬工業製)を反応開始剤として投入して2時間重合し、更に2時間熟成を行い、その後、減圧下で溶剤を除去することで、スチレン/スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体(33/67モル%)を得た。この共重合体の重量平均分子量は16000であった。なお、製造例1では、過硫酸アンモニウムを投入した時点から、5分後、20分後、60分後にサンプリングを行い、未反応モノマー量を前述の方法で測定した。
製造例2
1Lの四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール230g(キシダ化学製)、イオン交換水345g、スチレン10g(キシダ化学製)、スチレンスルホン酸ナトリウム40g(和光純薬工業製)を仕込み、過硫酸アンモニウム6.6g(和光純薬工業製)を反応開始剤として投入し、65±5℃で6時間かけて全反応液の70重量%を滴下重合し、さらに2時間熟成を行い、その後、減圧下で溶剤を除去することで、スチレン/スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体(33/67モル%)を得た。この共重合体の重量平均分子量は11000であった。製造例2では、滴下を開始した時点から、5分後、20分後、60分後にサンプリングを行い、未反応モノマー量を前述の方法で測定した。
製造例1及び2の共重合体を用いて研磨実験を行った。研磨液組成は、製造例1及び2の共重合体を用いた以外は前述の実施例3と同様とした。被研磨基板、研磨条件、分子量の測定方法、並びにスクラッチ及びナノ突起数の測定方法も前述と同様に行った。スクラッチ及びナノ突起数の測定結果を、前述の比較例1を100とした相対値で示す。
Figure 2010188514
上記表5に示すとおり、モノマー転化率比を1.0に調整して製造された共重合体を用いて基板を研磨した場合、スクラッチ及びナノ突起数が更に低減できることが示された。
本発明によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。

Claims (6)

  1. シリカ粒子と、複素環芳香族化合物と、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体と、酸とを含有し、
    前記複素環芳香族化合物は、複素環内に窒素原子を2個以上含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  2. 前記複素環芳香族化合物が、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,5−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、3-アミノピラゾール、4−アミノピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、ピラゾール、2−アミノイミダゾール、4−アミノイミダゾール、5−アミノイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノー1,2,3−トリアゾール、5−アミノー1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノー1,2,4−トリアゾール、5−アミノー1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、5−アミノテトラゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1H−トリルトリアゾール、2−アミノベンゾトリアゾール、3−アミノベンゾトリアゾール及びこられのアルキル置換体からなる群から選択される、請求項1記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  3. スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する重合体が、
    ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、スチレンスルホン酸のホルマリン縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、並びに、
    下記一般式(1)及び(2)で表される構成単位のいずれか一種以上と下記一般式(3)で表される構成単位とを有する共重合体
    Figure 2010188514
    [式(1)及び(2)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R2は、アリール基又は1つ又は複数の炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいアリール基であり、R3は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子(1/2原子)、アンモニウム若しくは有機アンモニウム、又は炭素数1〜22の炭化水素鎖である]
    Figure 2010188514
    [式(3)中、R4は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R5は、1又は複数のスルホン酸基を有するアリール基である]
    からなる群から選択される一種以上の重合体である、請求項1又は2に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  4. 重合体の重量平均分子量が1000〜100000である、請求項1から3いずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  5. シリカ粒子が下記(a)及び(b)の条件を満たす、請求項1から4のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
    (a)透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)が1〜40nm、
    (b)動的光散乱法により検出角30度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角30度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCV(変動係数)の値(CV30)と、動的光散乱法により検出角90度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角90度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCVの値(CV90)との差ΔCV(ΔCV=CV30−CV90)が0〜10%。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
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