JP5630992B2 - 磁気ディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するために、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、平滑性・平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)と欠陥低減(スクラッチ、突起、ピット等の低減)に対する要求が厳しくなっている。このような要求に対して、研磨粒子としてコロイダルシリカの粒径分布を制御した研磨液組成物や研磨粒子の形状を規定した研磨液組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、特定の粒径分布を持つコロイダルシリカを用いた研磨液組成物が開示されており、この研磨液組成物によれば、コロイダルシリカの粒径を小さくし、その粒径分布をシャープにすることにより、メモリーハードディスク用基板の表面粗さを低減できることが記載されている。
特許文献2には、特定粒度分布を有する真球状の研磨粒子を含有する研磨液組成物が開示されており、この研磨液組成物によれば、真球状粒子を用いることにより、磁気ディスク基板の表面粗さや表面うねりを改善できることが記載されている。
特許文献3及び4には、金平糖状シリカ系微粒子を含有する研磨用組成物が開示されており、この研磨液組成物によれば、金平糖状シリカ微粒子を用いることにより、磁気ディスク基板の生産性(研磨速度)を改善できることが記載されている。
特開2004−204151号公報 特開2008−93819号公報 特開2008−137822号公報 特開2008−169102号公報
しかしながら、さらなる大容量化を実現するためには、生産性を維持しつつ(研磨速度低下を引き起こすことなく)、研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さをよりいっそう低減する必要がある。
さらに、大容量化に伴い、磁気ディスクにおける記録方式が水平磁気記録方式から垂直磁気記録方式へと移行した。垂直磁気記録方式の磁気ディスクの製造工程では、水平磁気記録方式で磁化方向を揃えるために必要であったテクスチャ工程が不要となり、研磨後の基板表面に直接磁性層が形成されるため、基板表面品質に対する要求特性はさらに厳しくなっている。従来の研磨液組成物では、垂直磁気記録方式の基板表面に求められるスクラッチ及び表面粗さを十分に満足することができない。
特許文献1の研磨液組成物では、基板の表面粗さを低減できるが、垂直磁気記録方式の基板表面に求められるスクラッチ及び表面粗さを十分に満足することができない。
特許文献2の研磨液組成物では、基板の表面粗さを低減できるが、研磨速度が十分とはいえず、生産性を満足することができない。
特許文献3及び4の研磨液組成物では、生産性を改善することはできるが、垂直磁気記録方式の基板表面に求められる表面粗さ(特に、表面粗さの最大高さ:Rmax)やスクラッチを十分に低減することができない。
そこで、本発明は、生産性を損なうことなく研磨後の基板の低スクラッチ及び表面粗さの低減を実現できる磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法を提供する。
本発明は、コロイダルシリカ、水、酸及び酸化剤を含有し、前記コロイダルシリカは下記(a)〜(d)の規定をすべて満たす磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
(a)透過型電子顕微鏡観察により測定される真球率が0.75〜1である。
(b)ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)と、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)とから算出される表面粗度(SA1/SA2)の値が1.3以上である。
(c)前記平均粒径(S2)が1〜40nmである。
(d)動的光散乱法により検出角30度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角30度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCV(変動係数)の値(CV30)と、動的光散乱法により検出角90度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角90度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCV値(CV90)との差であるΔCV値(ΔCV=CV30−CV90)が0〜10%である。
また、本発明は、本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて基板を研磨する工程を含む磁気ディスク基板の製造方法に関する。
本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物は、研磨速度を大きく損なうことなく、スクラッチ及び表面粗さが低減された磁気ディスク基板、中でも垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板を製造できるという効果を好ましくは奏しうる。
本発明は、コロイダルシリカを含む磁気ディスク基板用研磨液組成物において、特定のコロイダルシリカを用いることにより、研磨速度を生産性が損なわれないレベルで維持でき、研磨後の基板のスクラッチ、表面粗さを低減でき、記録容量の大容量化の要請に応え得るという知見に基づく。
具体的には、本発明者らは、従来から制御対象となっていた、真球率、表面粗度、及び平均粒径に加え、異なる2つの検出角におけるCV値の差(ΔCV値)に着目してコロイダルシリカを制御することで、研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さが大幅に低減されることを見出した。
すなわち、本発明は、一態様において、コロイダルシリカ、水、酸及び酸化剤を含有し、前記コロイダルシリカが下記(a)〜(d)の規定をすべて満たす磁気ディスク基板用研磨液組成物(以下、本発明の研磨液組成物ともいう)に関する。
(a)透過型電子顕微鏡観察により測定される真球率が0.75〜1であり、
(b)ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)と透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)とから算出される表面粗度(SA1/SA2)の値が1.3以上であり、
(c)前記平均粒径(S2)が1〜40nmであり、かつ、
(d)動的光散乱法により検出角30度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角30度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCV(変動係数)の値(CV30)と、動的光散乱法により検出角90度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角90度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCV値(CV90)との差であるΔCV値(ΔCV=CV30−CV90)が0〜10%である。
本発明の研磨液組成物によれば、生産性を損なうことなく(研磨速度低下を引き起こすことなく)、スクラッチ及び表面粗さが低減された磁気ディスク基板、中でも垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板を製造できるという効果が奏され得る。
発明者は、コロイダルシリカのΔCV値とスクラッチ数との間には相関関係があること、及びコロイダルシリカのΔCV値とシリカ凝集体の含有量との間に相関関係があることを見出した。スクラッチ低減のメカニズムは明らかではないが、コロイダルシリカの一次粒子が凝集して生じた50〜200nmのシリカ凝集体がスクラッチ発生の原因物質であり、かかる凝集体が少ないためスクラッチが低減されると推定している。
すなわち、ΔCV値に着目することで、従来では検出することが困難であった粒子分散液試料中の非球状粒子の存在を容易に検出できるから、そのような非球状粒子を含む研磨液組成物を使用することを回避でき、その結果、スクラッチの低減を達成できると考えられる。
ここで、粒子分散液試料中の粒子が球状か非球状かは、一般に、動的光散乱法により測定される拡散係数(D=Γ/q2)の角度依存性を指標とする方法(例えば、特開平10−195152号公報参照)により判断されている。具体的には散乱ベクトルq2に対するΓ/q2をプロットしたグラフにおいて示される角度依存性が小さいほどその分散液中の粒子の平均的な形状は真球状であると判断し、角度依存性が大きいほどその分散液中の粒子の平均的な形状は非球状であると判断される。すなわち、この、動的光散乱法により測定される拡散係数の角度依存性を指標とする従来の方法は、系全体で均一の粒子が分散していると仮定して粒子の形状や粒径等を検出・測定する方法である。それゆえ、球状粒子が大勢を占める分散液試料中の一部に存在する非球状粒子は検出が困難となる。
一方、動的光散乱法では、原理的に200nm以下の真球状粒子分散溶液を測定した場合、散乱強度分布は検出角に関係なくほぼ一定の結果が得られるため測定結果は検出角に依存しない。しかし、非球状粒子を含む真球状粒子分散溶液の動的光散乱の散乱強度分布は非球状粒子の存在により検出角によって大きく変化し、低角の検出角ほど散乱強度分布は分布がブロードになる。そのため、動的光散乱の散乱強度分布の測定結果は検出角に依存することとなり、「動的光散乱法により測定される散乱強度分布の角度依存性」の指標の1つであるΔCV値を測定することで、球状粒子分散溶液中に存在するわずかな非球状粒子を測定できると考えられる。なお、本発明はこれらのメカニズムに限定されない。
[散乱強度分布]
本明細書において「散乱強度分布」とは、動的光散乱法(DLS:Dynamic Light Scattering)又は準弾性光散乱(QLS:Quasielastic Light Scattering)により求められるサブミクロン以下の粒子の3つの粒径分布(散乱強度、体積換算、個数換算)のうち散乱強度の粒径分布のことをいう。通常、サブミクロン以下の粒子は溶媒中でブラウン運動をしており、レーザー光を照射すると散乱光強度が時間的に変化する(ゆらぐ)。この散乱光強度のゆらぎを、例えば、光子相関法(JIS Z 8826)を用いて自己相関関数を求め、キュムラント(Cumulant)法解析により、ブラウン運動速度を示す拡散係数(D)を算出して、さらにアインシュタイン・ストークスの式を用い、平均粒径(d:流体力学的径)を求めることができる。また、粒径分布解析は、キュムラント法による多分散性指数(Polydispersity Index, PI)のほかに、ヒストグラム法(Marquardt法)、ラプラス逆変換法(CONTIN法)、非負最小2乗法(NNLS法)等がある。
動的光散乱法の粒径分布解析では、通常、キュムラント法による多分散性指数(Polydispersity Index, PI)が広く用いられている。しかしながら、粒子分散液中にわずかに存在する非球状粒子の検出を可能とする検出方法においては、ヒストグラム法(Marquardt法)やラプラス逆変換法(CONTIN法)による粒径分布解析から平均粒径(d50)と標準偏差を求め、CV値(Coefficient of variation:標準偏差を平均粒径で割って100をかけた数値)を算出し、その角度依存性(ΔCV値)を用いることが好ましい。
(参考資料)
第12回散乱研究会(2000年11月22日開催)テキスト、1.散乱基礎講座「動的光散乱法」(東京大学 柴山充弘)
第20回散乱研究会(2008年12月4日開催)テキスト、5.動的光散乱によるナノ粒子の粒径分布測定(同志社大学 森康維)
[散乱強度分布の角度依存性]
本明細書において「粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性」とは、動的光散乱法により異なる検出角で前記粒子分散液の散乱強度分布を測定した場合の、散乱角度に応じた散乱強度分布の変動の大きさをいう。例えば、検出角30度と検出角90度とでの散乱強度分布の差が大きければ、その粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性は大きいといえる。よって、本明細書において、散乱強度分布の角度依存性の測定は、異なる2つの検出角で測定した散乱強度分布に基づく測定値の差(ΔCV値)を求めることを含む。
散乱強度分布の角度依存性の測定で用いる2つの検出角の組合せとしては、非球状粒子の検出の確度向上の点からは、前方散乱と側方若しくは後方散乱との組合せが好ましい。前記前方散乱の検出角としては、同様の観点から、0〜80度が好ましく、0〜60度がより好ましく、10〜50度がさらに好ましく、20〜40度がさらにより好ましい。前記側方若しくは後方散乱の検出角としては、同様の観点から、80〜180度が好ましく、85〜175度がより好ましい。本発明においては、ΔCV値を求める2つの検出角として30度と90度を使用している。
[コロイダルシリカ]
本発明の研磨液組成物に用いられるコロイダルシリカは、ケイ酸水溶液から生成させる公知の製造方法等により得られたものでもよい。シリカ粒子の使用形態としては、操作性の観点からスラリー状であることが好ましい。
〔真球率〕
本明細書においてコロイダルシリカの透過型電子顕微鏡観察により測定される真球率は、透過型電子顕微鏡により得られるシリカ粒子一個の投影面積(A1)と該粒子の周長を円周とする円の面積(A2)との比、すなわち、「A1/A2」の値であって、好ましくは、本発明の研磨液組成物における任意の50〜100個のコロイダルシリカについての「A1/A2」の値の平均値をいう。コロイダルシリカの真球率は、具体的には、実施例に記載の方法により測定されうる。生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、本発明の研磨液組成物に使用されるコロイダルシリカの真球率は、0.75〜1であり、0.75〜0.95が好ましく、0.75〜0.85がより好ましい。
〔表面粗度〕
本明細書においてコロイダルシリカの表面粗度は、ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)と、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)との比である「SA1/SA2」の値をいい、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。ここで、ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)は、シリカに対して水酸化ナトリウム溶液を滴定したときの水酸化ナトリウム溶液の消費量からシリカの比表面積を求めるものであり、実際の表面積を反映したものと言える。具体的には、シリカ表面に起伏または疣状突起などに富むものである程、比表面積(SA1)は大きくなる。一方、透過型電子顕微鏡により測定される平均粒径(S2)から算出される比表面積(SA2)はシリカを理想的な球状粒子と仮定し、算出される。具体的には平均粒径(S2)が大きいほど、比表面積(SA2)は小さくなる。比表面積は単位質量あたりの表面積を示すものであって、表面粗度(SA1/SA2)の値については、シリカが球状であって、シリカ表面に多くの疣状突起を有する程、大きい値を示し、シリカ表面の疣状突起が少なく、平滑である程、小さい値を示し、その値は1に近づく。本発明の研磨液組成物に使用されるコロイダルシリカの表面粗度は、生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、1.3以上であり、1.3〜2.5が好ましく、1.3〜2.0がより好ましい。
〔平均粒径〕
本明細書においてコロイダルシリカの平均粒径には、2種類の平均粒径、すなわち、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)、及び、動的光散乱法により測定される平均粒径が用いられる。これらの平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
本発明に使用されるコロイダルシリカの透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)は、生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、1〜40nmであり、5〜37nmが好ましくは、10〜35nmがより好ましい。また、動的光散乱法により測定される散乱強度分布に基づくコロイダルシリカの平均粒径は、生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さの最大値(AFM‐Rmax)を低減する観点から、1〜40nmが好ましく、より好ましくは5〜37nm、さらに好ましくは10〜35nmである。
〔ΔCV値〕
本明細書においてコロイダルシリカのΔCV値は、動的光散乱法により検出角30度(前方散乱)の散乱強度分布に基づき測定される粒径の標準偏差を、動的光散乱法により検出角30度の散乱強度分布に基づき測定される平均粒径で除して100を掛けた変動係数(CV)の値(CV30)と、動的光散乱法により検出角90度(側方散乱)の散乱強度分布に基づき測定される粒径の標準偏差を、動的光散乱法により検出角90度の散乱強度分布に基づき測定される平均粒径で除して100を掛けた変動係数の値(CV90)との差(ΔCV=CV30−CV90)をいい、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。本発明の研磨液組成物に使用されるコロイダルシリカのΔCV値は、生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、0〜10%であり、好ましくは0.01〜10%、より好ましくは0.01〜7%、さらにより好ましくは0.1〜5%である。
なお、本明細書においてコロイダルシリカのCV値は、動的光散乱法における散乱強度分布に基づく標準偏差を平均粒径で除して100を掛けた変動係数の値であって、上述のとおり、CV90、及びCV30で表し、具体的には実施例に記載の方法により得ることができる。本発明の研磨液組成物に使用されるコロイダルシリカのCV90は、生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、1〜35%が好ましく、5〜34%がより好ましく、10〜33%がさらに好ましい。
コロイダルシリカの真球率、表面粗度(SA1/SA2)及び平均粒径は、従来公知のコロイダルシリカの製造方法を用いて調整することができる。例えば、特開2008−137822号公報、特開2008−169102号公報に記載の製造方法を例示することができるが、本発明はこれに限定されない。
コロイダルシリカのΔCV値の調整方法としては、研磨液組成物の調製で50〜200nmのシリカ凝集物を生成しないようにする下記A及びBの方法が挙げられる。
A)研磨液組成物のろ過による方法
B)コロイダルシリカ製造時の工程管理による方法
上記A)では、例えば、遠心分離や精密フィルターろ過(特開2006‐102829及び特開2006‐136996)により、50〜200nmのシリカ凝集体を除去することでΔCV値を低減できる。具体的には、シリカ濃度20重量%以下になるように適度に希釈したコロイダルシリカ水溶液を、stokesの式より算出した50nm粒子が除去できる条件(例えば、10,000G以上、遠沈管高さ約10cm、2時間以上)で遠心分離する方法や、孔径が0.05μmまたは0.1μmのメンブランフィルター(例えば、アドバンテック、住友3M、Millipore)を用いて加圧ろ過する方法等によりΔCVを低減できる。
また、コロイダルシリカ粒子は、通常、1)10重量%未満の3号ケイ酸ソーダと種粒子(小粒径シリカ)の混合液(シード液)を反応層に入れ、60℃以上に加熱し、2)そこに3号ケイ酸ソーダを陽イオン交換樹脂に通した酸性の活性ケイ酸水溶液とアルカリ(アルカリ金属または第4級アンモニウム)とを滴下してpHを一定にして球状の粒子を成長させ、3)熟成後に蒸発法や限外ろ過法で濃縮することで得られる(特開昭47−1964、特公平1−23412、特公平4−55125、特公平4−55127)。しかし、同じ製造プロセスで少し工程を変えるとシリカ凝集体の製造も可能であることが多く報告されている。たとえば、活性ケイ酸は非常に不安定なため意図的にCaやMgなどの多価金属イオンを添加すると細長い形状のシリカゾルを製造できる。さらに、反応層の温度(水の沸点を越えると蒸発し気液界面でシリカが乾燥)、反応層のpH(9以下ではシリカ粒子の連結が起きやすい)、反応層のSiO2/M2O(Mはアルカリ金属または第4級アンモニウム)、及びモル比(30〜60で非球状シリカを選択的に生成)などを変えることでシリカ凝集体が製造できる(特公平8−5657、特許2803134、特開2006−80406、特開2007−153671)。したがって、上記B)では、公知の球状コロイダルシリカ製造プロセスにおいて、局部的にシリカ凝集体が生成する条件にならないように工程管理を行うことでΔCV値を小さく調整することができる。
コロイダルシリカの粒径分布を調整する方法は、特に限定されないが、その製造段階における粒子の成長過程で新たな核となる粒子を加えることにより所望の粒径分布を持たせる方法や、異なる粒径分布を有する2種以上のシリカ粒子を混合して所望の粒径分布を持たせる方法等が挙げられる。
本発明の研磨液組成物中におけるコロイダルシリカ粒子の含有量は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上、さらにより好ましくは4重量%以上であり、また、基板表面の平坦性をより向上させる観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは13重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下である。すなわち、上記シリカ粒子の含有量は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜13重量%、さらにより好ましくは4〜10重量%である。
[水]
本発明の研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。被研磨基板の表面清浄性の観点からイオン交換水及び超純水が好ましく、超純水がより好ましい。研磨液組成物中の水の含有量は、60〜99.4重量%が好ましく、70〜98.9重量%がより好ましい。また、本発明の効果を阻害しない範囲内でアルコール等の有機溶剤を配合してもよい。
[酸]
本発明の研磨液組成物は、酸を含有する。本明細書において、酸の使用は、酸及び又はその塩の使用を含む。本発明の研磨液組成物に使用される酸としては、研磨速度の向上の観点から、その酸のpK1が2以下の化合物が好ましく、スクラッチを低減する観点から、好ましくはpK1が1.5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくはpK1で表せない程の強い酸性を示す化合物である。好ましい酸は、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。中でも、スクラッチ低減の観点から、無機酸、カルボン酸、有機ホスホン酸が好ましい。また、無機酸の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸がより好ましく、リン酸、硫酸がさらに好ましい。カルボン酸の中では、クエン酸、酒石酸、マレイン酸がより好ましく、クエン酸がさらに好ましい。有機ホスホン酸の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩がより好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)がさらに好ましい。これらの酸及びその塩は単独で又は2種以上を混合して用いてもよいが、研磨速度の向上、ナノ突起低減及び基板の洗浄性向上の観点から、2種以上を混合して用いることが好ましく、リン酸、硫酸、クエン酸及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸からなる群から選択される2種以上の酸を混合して用いることがさらに好ましい。ここで、pK1とは有機化合物または無機化合物の第一酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は例えば改訂4版化学便覧(基礎編)II、pp316−325(日本化学会編)等に記載されている。
これらの酸の塩を用いる場合の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等のイオンが挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、スクラッチ低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物中における前記酸及びその塩の含有量は、研磨速度向上、表面粗さ及びスクラッチ低減の観点から、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜4重量%であり、さらに好ましくは0.05〜3重量%、さらにより好ましくは0.1〜2.0重量%である。
[酸化剤]
本発明の研磨液組成物は、酸化剤を含む。本発明の研磨液組成物に使用できる酸化剤としては、研磨速度を向上させる観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。
前記過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等が挙げられ、過マンガン酸又はその塩としては、過マンガン酸カリウム等が挙げられ、クロム酸又はその塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等が挙げられ、ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等が挙げられ、酸素酸又はその塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、金属塩類としては、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。
好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。より好ましい酸化剤としては、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、表面粗さ、うねり及びスクラッチ低減の観点から、好ましくは4重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。従って、表面品質を保ちつつ研磨速度を向上させるためには、上記含有量は、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
[アニオン性基を有する水溶性高分子]
本発明の研磨液組成物は、研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さの最大値(AFM‐Rmax)の低減の観点から、アニオン性基を有する水溶性高分子(以下、アニオン性水溶性高分子ともいう)を含有することが好ましい。該高分子は、研磨パッドに吸着して研磨時の摩擦振動を低減し、研磨パッドの開孔部からのシリカ凝集体の脱落を防止して、研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さを低減するものと推定される。
アニオン性水溶性高分子のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等が挙げられる。これらの内、スクラッチ低減の観点から、カルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有するものがより好ましい。なお、これらのアニオン性基は中和された塩の形態を取っていてもよい。
カルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有する水溶性高分子としては、カルボン酸基を有する単量体由来の構成単位及びスルホン酸基を有する単量体由来の構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位を有する重合体又はその塩が挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸及びそれらの塩等が挙げられる。アニオン性水溶性高分子には、カルボン酸基を有する単量体由来の構成単位、及び、スルホン酸基を有する単量体由来の構成単位は、それぞれ、2種類以上含まれてもよい。
これらの中でも、アニオン性水溶性高分子としては、生産性を損なうことなく研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さの最大値(AFM‐Rmax)を低減する観点から、下記一般式(1)で表される構成単位を有する重合体が好ましい。
Figure 0005630992
[上記式中、Rは水素原子、メチル基又はエチル基であり、Xは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子(1/2原子)、アンモニウム基又は有機アンモニウム基である。]
上記一般式(1)で表される構成単位を有する(メタ)アクリル酸系重合体としては、(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸及びそれらの塩が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸及びそれらの塩である。アニオン性水溶性高分子は、これらの重合体が1種類からなるものでもよく、2種類以上を含むものでもよい。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を指す。
(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体は、(メタ)アクリル酸由来の構成単位とスルホン酸基含有単量体由来の構成単位とを含む共重合体をいう。(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体は、スルホン酸基含有単量体に由来する構成単位を、2種以上含んでいてもよい。
前記スルホン酸基含有単量体としては、スクラッチ低減の観点から、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましく、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸がより好ましい。なお、本発明において、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又は2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を指す。
前記(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体は、本発明の効果を奏する範囲内で、スルホン酸基含有単量体及び(メタ)アクリル酸単量体以外の単量体に由来する構成単位成分を含有していてもよい。
(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体又はその塩の各々を構成する全構成単位中に占めるスルホン酸基含有単量体由来の構成単位の含有率は、スクラッチ低減の観点から、5〜95モル%であることが好ましく、より好ましくは50〜95モル%、さらに好ましくは70〜90モル%である。なお、ここでスルホン酸基を含む(メタ)アクリル酸単量体は、スルホン酸基含有単量体として数える。
好ましい(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体としては、スクラッチ低減の観点から、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体は、(メタ)アクリル酸由来の構成単位とマレイン酸由来の構成単位とを含む共重合体をいう。
前記(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体は、本発明の効果を奏する範囲内で、マレイン酸単量体及び(メタ)アクリル酸単量体以外の単量体に由来する構成単位成分を含有していてもよい。
(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体を構成する全構成単位中に占めるマレイン酸由来の構成単位の含有率は、ナノスクラッチ低減の観点から、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜70モル%である。
前記重合体は、例えば、ジエン構造あるいは芳香族構造を含むベースポリマーを、公知の方法、例えば、(社)日本化学会編集、新実験化学講座14(有機化合物の合成と反応III、1773頁、1978年)などに記載された方法により得られる。
また、カルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有する水溶性高分子として、下記一般式(2)で表される構成単位を有する重合体も好ましく用いられる。
Figure 0005630992
上記一般式(2)で表される構成単位を有する重合体としては、スクラッチ低減及び研磨速度の向上の観点から、該重合体の全構成単位中に占める上記一般式(2)で表される構成単位の割合が50モル%を超えることが好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、97モル%以上がさらにより好ましく、上記一般式(2)で表される構成単位の繰り返し構造のみで表わされる重合体であることがさらにより好ましい。さらに該重合体の分子末端が水素で封鎖されていることが好ましい。
上記一般式(2)中、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子(1/2原子)、アンモニウム基又は有機アンモニウム基であり、アルカリ金属としては、ナトリウム及びカリウムが好ましい。また、上記一般式(2)中、nは1又は2であり、スクラッチ低減の向上の観点からは、1であることが好ましい。また、「上記一般式(2)で表される構成単位を主とする重合体」全体としては、nはその平均値が0.5以上1.5位以下であることが好ましい。さらに、上記一般式(2)中、スルホン酸基(−SO3M)はナフチレン基のうち何れの位置に結合していてもよいが、スクラッチ低減の向上の観点からは、6位又は7位に結合していることが好ましく、特に6位に結合していることが好ましい。本明細書においてナフタレン基の6位及び7位の場所は、上記一般式(2)を参照できる。
上記一般式(2)で表される構成単位を有する重合体は、公知の方法、例えば、ナフタレンモノマーに濃硫酸等のスルホン化剤を用いてスルホン酸基を導入し、次いで縮合用の水とホルマリン水とを加えて縮合させ、さらにCa(OH)2やNa2SO4等の無機塩で中和することにより合成できる。上記一般式(2)で表される構成単位を主とする重合体として、市販品(例えば、商品名:ディモールN、及び、商品名:マイティ150、いずれも花王株式会社製)を用いることもできる。上記一般式(2)で表される構成単位を有する重合体は、文献[特開平9−279127、特開平11−188614、及び特開2008−227098]を参照できる。
また、アニオン性水溶性高分子は、上記以外の構成単位成分を含有することができる。その他の構成単位成分として使用できる単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、リン酸化合物が挙げられる。これら単量体は1種または2種以上使用できる。その他の構成単位成分を有するカルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有する水溶性高分子の好ましい共重合体としては、スクラッチ低減の観点から、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体が挙げられる。
アニオン性基を有する水溶性高分子の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等のイオンが挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの金属の中でも、表面粗さ及びナノスクラッチ低減の観点から1A、3B、又は8族に属する金属が好ましく、1A族に属するナトリウム及びカリウムがより好ましい。アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの塩の中では、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩がより好ましい。
アニオン性水溶性高分子の重量平均分子量は、スクラッチ低減及び生産性維持の観点から、500以上10万以下が好ましく、より好ましくは500以上5万以下、さらに好ましくは500以上2万以下、さらにより好ましくは1000以上1万以下、特に好ましくは1500以上5000以下である。該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でのポリアクリル酸換算の重量平均分子量をいう。以下にGPC測定条件を示す。
〔GPC条件〕
カラム:G4000PWXL(東ソー社製)+G2500PWXL(東ソー社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/アセトニトリル=9/1(容量比)
流速:1.0mL/min
温度:40℃
検出:210nm
サンプル:濃度5mg/mL(注入量100μL)
検量線用ポリマー:ポリアクリル酸 分子量(Mp):11.5万、2.8万、4100、1250(創和科学(株)及びAmerican Polymer Standards Corp.社製)
研磨液組成物中における、アニオン性水溶性高分子の含有量は、スクラッチ低減と生産性との両立の観点から、0.001〜1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.005〜0.5重量%、さらに好ましくは0.01〜0.2重量%、さらにより好ましくは0.01〜0.1重量%、特に好ましくは0.01〜0.075重量%である。
また、研磨液組成物中における、コロイダルシリカとアニオン性水溶性高分子との濃度比[シリカの濃度(重量%)/アニオン性水溶性高分子の濃度(重量%)]は、研磨速度向上、表面粗さ及びスクラッチ低減の観点から、5〜5000が好ましく、10〜1000がより好ましく、25〜500がさらに好ましい。
[その他の成分]
本発明の研磨液組成物には、必要に応じてさらに他の成分を配合することができる。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。研磨液組成物中のこれら他の任意成分の含有量は、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物のpHは、研磨速度向上の観点から3.0以下が好ましく、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2.0以下、さらにより好ましくは1.8以下である。また、表面粗さ低減の観点から、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上、さらにより好ましくは1.2以上である。また、研磨液組成物の廃液pHは、研磨速度向上の観点から3以下が好ましく、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2.2以下、さらにより好ましくは2.0以下である。また、表面粗さ低減の観点から、研磨液組成物の廃液pHは、0.8以上が好ましく、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.2以上、さらにより好ましくは1.5以上である。なお、廃液pHとは、研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨廃液、即ち、研磨機より排出された直後の研磨液組成物のpHをいう。
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物は、例えば、水と、コロイダルシリカと、酸と、酸化剤と、さらに所望により、アニオン性水溶性高分子と、他の成分とを公知の方法で混合することにより調製できる。この際、コロイダルシリカは、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。本発明の研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、上述した範囲であるが、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。
[磁気ディスク基板の製造方法]
本発明は、その他の態様として、磁気ディスク基板の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう。)に関する。本発明の製造方法は、上述した本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう。)を含む磁気ディスク基板の製造方法である。これにより、研磨速度の低下を抑制でき、生産性及び研磨後の基板の表面粗さを大きく損なうことなく、研磨後の基板のスクラッチが低減された磁気ディスク基板を好ましくは提供できる。本発明の製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。よって、本発明の製造方法は、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程を含む垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法である。
本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する方法の具体例としては、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する方法が挙げられる。
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。また使用した研磨液を再利用する循環研磨においても、本発明の研磨液組成物は使用できる。なお、研磨機としては、特に限定されず、磁気ディスク基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
[研磨パッド]
本発明で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
研磨パッドの表面部材の平均気孔径は、スクラッチ低減及びパッド寿命の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、さらにより好ましくは35μm以下である。パッドの研磨液保持性の観点から、気孔で研磨液を保持し液切れを起こさないようにするために、平均気孔径は0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは1μm以上、さらにより好ましくは10μm以上である。また、研磨パッドの気孔径の最大値は、研磨速度維持の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。よって、本発明の製造方法は、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を用いた工程で使用される研磨パッドの表面部材の平均気孔径が10〜50μmである製造方法である。
[研磨荷重]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、好ましくは5.9kPa以上、より好ましくは6.9kPa以上、さらに好ましくは7.5kPa以上である。これにより、研磨速度の低下を抑制できるため、生産性の向上が可能となる。なお、本発明の製造方法において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は、研磨荷重は20kPa以下が好ましく、より好ましくは18kPa以下、さらに好ましくは16kPa以下である。これにより、スクラッチの発生を抑制することができる。したがって、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程において研磨圧力は5.9〜20kPaが好ましく、6.9〜18kPaがより好ましく、7.5〜16kPaがさらに好ましい。研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
[研磨液組成物の供給]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における本発明の研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05〜15mL/分であり、より好ましくは0.06〜10mL/分であり、さらに好ましくは0.07〜1mL/分、さらにより好ましくは0.08〜0.5mL/分、さらにより好ましくは0.12〜0.5mL/分である。
本発明の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本発明の研磨液組成物となる。
[被研磨基板]
本発明において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板が好適である。特にNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板に適しており、中でもNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板が適している。
また、本発明によれば、生産性を損なうことなく研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さの最大値が高度に低減された磁気ディスク基板を提供できるため、高度の表面平滑性が要求される垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板の研磨に好適に用いることができる。
上記被研磨基板の形状には特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状であればよい。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2〜95mm程度であり、その厚みは例えば0.5〜2mm程度である。
[研磨方法]
本発明は、その他の態様として、上述した研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨することを含む被研磨基板の研磨方法に関する。本発明の研磨方法を使用することにより、生産性を損なうことなく、被研磨基板の研磨が可能となり、表面粗さ及びスクラッチがともに低減された磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板が好ましくは提供される。本発明の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。なお、具体的な研磨の方法及び条件は、上述のとおりとすることができる。
本発明によれば、生産性を損なわずにスクラッチ及び表面粗さが低減された磁気ディスク基板を提供できる。とりわけ、本発明によれば、スクラッチを低減するとともに、磁気ディスク基板表面を原子間力顕微鏡(AFM)観察して得られた表面粗さの最大高さRmaxを好ましくは2nm未満、より好ましくは1.5nm未満に改善することができ、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板を好ましくは提供しうる。
コロイダルシリカ及び下記表1に示したアニオン性水溶性高分子を用いて研磨液組成物を調製し、被研磨基板の研磨を行い、研磨速度、研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さを評価した。評価結果を下記表2に示す。研磨液組成物の調製方法、各パラメータの測定方法、研磨条件(研磨方法)、及び、評価方法は、以下のとおりである。
[研磨液組成物の調製方法]
コロイダルシリカ(下記表2のID:a1−a3、b、c1−2、d、e、f1−2、g−l;日揮触媒化成工業社製)と、硫酸(和光純薬工業社製)と、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP、ソルーシア・ジャパン製)と、過酸化水素水(旭電化製)と、選択的に下記表1に示したアニオン性水溶性高分子A−Cとをイオン交換水に添加し、これらを混合することにより、下記表2に示す実施例1−13及び比較例1−10の研磨液組成物を調製した。研磨液組成物中におけるコロイダルシリカ、アニオン性水溶性高分子、硫酸、HEDP及び過酸化水素の含有量は、それぞれ、5重量%、0.05重量%(添加した場合)、0.5重量%、0.1重量%及び0.5重量%であった。なお、コロイダルシリカa1−3は、SA1、SA2、表面粗度及び真球率が同一であるが、ΔCV値が異なるものである。コロイダルシリカc1−2、及びf1−2も同様である。
Figure 0005630992
[コロイダルシリカの真球率の測定方法]
コロイダルシリカを含む試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)商品名「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍、日本電子社製)により当該製造業者が添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて粒子一個の投影面積(A1)と該粒子の周長を円周とする円の面積(A2)を計測し、前記粒子の投影面積(A1)と前記粒子の周長から求めた面積(A2)との比(A1/A2)を真球率として算出した。なお、下記表2の数値は、100個のシリカ粒子の真球率を求めた後これらの平均値を算出したものである。
[コロイダルシリカの表面粗度の測定方法]
下記に示すとおり、ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)及び透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)を得て、それらの比(SA1/SA2)を算出して表面粗度とした。
〔ナトリウム滴定法によりコロイダルシリカの比表面積(SA1)を得る方法〕
1)SiO2として1.5gに相当するコロイダルシリカを含む試料をビーカーに採取して恒温反応槽(25℃)に移し、純水を加えて液量を90mlにする。以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行う。
2)pH3.6〜3.7になるように0.1モル/L塩酸溶液を加える。
3)塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mlに希釈し、10分間攪拌する。
4)pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液を滴下して、pH4.0に調整する。
5)pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH8.7〜9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとして、検量線を作る。
6)下記式(1)からSiO21.5g当たりのpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の消費量V(ml)を求め、次の〔a〕〜〔b〕に従って比表面積SA1[m2/g]を求める。
〔a〕下記式(2)にて、SA1の値を求め、その値が80〜350m2/gの範囲にある場合は、その値をSA1とする。
〔b〕下記式(2)によるSA1の値が350m2/gを超える場合は、改めて下記式(3)にて、SA1を求め、その値をSA1とする。
V=(A×f×100×1.5)/(W×C) ・・・(1)
SA1=29.0V−28 ・・・(2)
SA1=31.8V−28 ・・・(3)
但し、上記式(1)における記号の意味は次の通りである。
A:SiO21.5g当たりpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナト
リウム溶液の滴定量(ml)
f:0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の力価
C:試料のSiO2濃度(%)
W:試料採取量(g)
〔透過型電子顕微鏡観察により平均粒径(S2)および比表面積(SA2)を求める方法〕
コロイダルシリカを含む試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)商品名「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍、日本電子社製)により当該製造業者が添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影する。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて個々のシリカ粒子の円相当径を求め、それを粒子径とする。このようにして、1000個以上のシリカ粒子の粒子径を求めた後、その平均値を算出し、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)とする。次に、上記にて求められた平均粒径(S2)の値を下記式(4)に代入し、比表面積(SA2)を得る。
SA2=6000/(S2×ρ) ・・・(4) (ρ:試料の密度)
ρ:2.2(コロイダルシリカの場合)
[コロイダルシリカの動的光散乱法で測定される平均粒径、CV値、及びΔCV値の測定方法]
〔平均粒径及びCV値〕
上記に示すコロイダルシリカと、硫酸と、HEDPと、過酸化水素水とをイオン交換水に添加し、これらを混合することにより、標準試料を作製した。標準試料中におけるコロイダルシリカ、硫酸、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ5重量%、0.4重量%、0.1重量%、0.4重量%であった。この標準試料を大塚電子社製動的光散乱装置DLS−6500により、同メーカーが添付した説明書に従って、200回積算した際の検出角90度におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒径を求め、コロイダルシリカの平均粒径とした。また、CV値は上記測定法に従って測定した散乱強度分布における標準偏差を前記平均粒径で除して100をかけた値をCV値(CV90)とした。
〔ΔCV値〕
上記測定法に従って測定した、検出角30度におけるコロイダルシリカ粒子のCV値(CV30)から検出角90度におけるコロイダルシリカ粒子のCV値(CV90)を引いた値を求め、ΔCV値とした。
(DLS−6500の測定条件)
検出角:90°
Sampling time: 4(μm)
Correlation Channel: 256(ch)
Correlation Method: TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
検出角:30°
Sampling time: 10(μm)
Correlation Channel: 1024(ch)
Correlation Method: TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
[研磨]
上記のように調製した実施例1−13及び比較例1−10の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨された基板のスクラッチ及び表面粗さを以下に示す条件に基づいて測定し、評価を行った。結果を下記表2に示す。下記表2に示すデータは、各実施例および各比較例につき4枚の被研磨基板を研磨した後、各被研磨基板の両面について測定し、4枚(表裏合わせて計8面)のデータの平均とした。なお、下記表2に示すスクラッチ、表面粗さ、研磨速度の測定方法についても、以下に示す。
[被研磨基板]
被研磨基板としては、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nm、長波長うねり(波長0.4〜2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50〜400μm)の振幅は2nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径30μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.07
2mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:7.9kPa
研磨時間:8分間
[スクラッチの測定方法]
測定機器:KLA Tencor社製、Candela OSA6100
評価:研磨試験機に投入した基板の中、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してスクラッチを測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。その結果を、下記表2に、比較例1を100とした相対値として示す。なお、比較例7〜9では、スクラッチ数が測定上限を超過したため測定できなかった。
[表面粗さの測定方法]
AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)を用いて、以下に示す条件にて各基板の内周縁と外周縁との中央部分を表裏1箇所ずつ測定し、中心線平均粗さAFM‐Ra及び最大高さAFM‐Rmaxについて、4枚(表裏合わせて計8面)の平均値をそれぞれ表2に示すAFM‐Ra及びAFM‐Rmaxとした。
(AFMの測定条件)
Mode: Tapping mode
Area: 1×1μm
Scan rate: 1.0Hz
Cantilever: NCH−10V
Line: 512×512
[研磨速度の測定方法]
研磨前後の各基板の重さを重量計(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の平均値を重量減少量とし、それを研磨時間で割った値を重量減少速度とした。この重量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積:6597mm2、Ni−Pメッキ密度:7.99g/cm3として算出)
Figure 0005630992
表2に示すように、実施例1−13の研磨液組成物を用いると、比較例1−10に比べ、研磨速度を低下させることなく、研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さを低減できた。
本発明によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。

Claims (5)

  1. コロイダルシリカ、水、酸及び酸化剤を含有し、前記コロイダルシリカは下記(a)〜(d)の規定をすべて満たす、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
    (a)透過型電子顕微鏡観察により測定される真球率が0.75〜1であり、
    (b)ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)と、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)とから算出される表面粗度(SA1/SA2)の値が1.3以上であり、
    (c)前記平均粒径(S2)が1〜40nmであり、かつ、
    (d)動的光散乱法により検出角30度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角30度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCV(変動係数)の値(CV30)と、動的光散乱法により検出角90度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角90度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCV値(CV90)との差であるΔCV値(ΔCV=CV30−CV90)が0〜10%である。
  2. さらに、アニオン性基を有する水溶性高分子を含有する、請求項1記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  3. アニオン性基を有する水溶性高分子が、下記一般式(1)で表される構成単位を有する重合体である、請求項2記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
    Figure 0005630992
    (式中、Rは水素原子、メチル基又はエチル基であり、Xは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
  5. 基板がNi−Pめっきアルミニウム合金基板である、請求項4記載の磁気ディスク基板の製造方法。
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