JP6546492B2 - アルミニウム磁気ディスク基板の製造方法 - Google Patents

アルミニウム磁気ディスク基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハードディスクといった磁気記録媒体の磁気記録媒体用基板として広く使用されている、アルミニウム磁気ディスク基板の製造方法に関する。特に、アルミニウム合金製の基板の表面に無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成した磁気記録媒体用アルミニウム磁気ディスク基板の製造方法に関する。
近年、ハードディスクは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。そこで、高記録密度磁気信号の検出感度を向上させる必要があり、磁気ヘッドの浮上高さをより低下させ、単位記録密度を増大させる技術開発が進められている。磁気ディスク基板は、磁気ヘッドの浮上高さの低下と記録面積の確保に対応するため、平滑性および平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)や表面欠陥低減(残留粒子、スクラッチ、突起、ピット等の低減)等の表面品質の向上が厳しく要求されている。
このような要求に対して、より平滑で、傷が少ないといった表面品質の向上と生産性の向上を両立させる観点から、磁気ディスク基板の製造方法においては、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式が採用されることが多い。一般に、多段研磨方式の最終研磨工程、すなわち、仕上げ研磨工程では、表面粗さの低減、スクラッチ、突起、ピット等の傷の低減という要求を満たすために、コロイダルシリカを含む仕上げ用研磨剤組成物が使用され、仕上げ研磨工程より前の研磨工程(粗研磨工程)では、生産性向上の観点から、アルミナ粒子を含む研磨剤組成物が使用されてきた。
しかし、アルミニウム磁気ディスク基板の研磨を行う場合、粗研磨工程で使用されるアルミナ粒子はアルミニウム磁気ディスク基板の無電解ニッケル−リンめっき皮膜に比べてかなり硬度が高いため、アルミナ粒子が基板に突き刺さることがある。この突き刺さった粒子が後段の仕上げ研磨工程に悪影響を与えることが問題となっていた。
このような問題の解決策として、アルミナ粒子とシリカ粒子を組み合わせた研磨剤組成物が提案されている(特許文献1〜6)。また、アルミナ粒子を使用せず、シリカ粒子のみで研磨する方法が提案されている(特許文献7〜13)。
特開2009−176397号公報 特開2011−204327号公報 特開2012−43493号公報 特開2014−29752号公報 特開2014−29753号公報 特開2014−32718号公報 特表2011−527643号公報 特開2014−29754号公報 特開2014−29755号公報 特開2014−116057号公報 特開2014−210912号公報 特表2003−514950号公報 特開2012−155785号公報
特許文献1〜3のように、アルミナ粒子とシリカ粒子を組み合わせることにより、基板に突き刺さったアルミナ粒子をある程度除去することは可能となる。しかしながら、このアルミナ粒子を含む研磨剤組成物を使用する限り、研磨剤組成物中に含まれるアルミナ粒子が基板に突き刺さる可能性は、依然として残っている。また、このような研磨剤組成物は、アルミナ粒子とシリカ粒子の両方を含むため、それぞれの粒子が有する特性を相互に打ち消し合い、研磨速度および表面平滑性が悪化するという問題が存在する。
また、特許文献4〜6では、最初にアルミナ粒子を使用して、その後リンス工程をはさんでシリカ粒子を使用するという方法が提案されているが、それでもアルミナ粒子の突き刺さりを完全に除去することは困難である。
そこで、アルミナ粒子を使用せずに、シリカ粒子のみで研磨する方法が提案されている。特許文献7では、コロイダルシリカと研磨促進剤の組み合わせが提案されている。特許文献8〜11では、コロイダルシリカや、ヒュームドシリカ、表面修飾されたシリカ、水ガラス法で製造されたシリカ等による研磨、特に特殊な形状のコロイダルシリカを使用する方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では研磨速度が不十分であり、改良が求められている。また、特許文献12では、コロイダルシリカとヒュームドシリカを組み合わせて使用する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、研磨速度の向上は見られるものの、ヒュームドシリカはかさ比重がとても小さいため、スラリー化等の作業性が非常に悪くなり、粉じんによる健康への影響の懸念もある。また、特許文献13では、破砕シリカ粒子を使用することにより、アルミナに近い研磨速度を出す方法が提案されている。しかしながら、この方法では、表面平滑性が悪化するという問題があり、改良が求められている。
また、仕上げ研磨工程において、表面平滑性を向上させるために、微細な研磨材粒子を使用することが考えられるが、研磨速度が低下してしまうことが問題となる。さらに、アルミニウム磁気ディスク基板の製造において、多数の基板を連続して研磨する場合、研磨回数の増大に伴って研磨速度が顕著に低下し、生産性が悪化する。この仕上げ研磨工程における連続多数回研磨時の研磨速度低下の改善も生産性向上の課題となっていた。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、アルミナ粒子を使用することなく、高い研磨速度を実現すると同時に、良好な表面平滑性を得ることを可能にする特定の粗研磨工程と表面平滑性を向上させ、かつ生産性を向上することができる特定の仕上げ研磨工程とを組み合わせたアルミニウム磁気ディスク基板の研磨方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、粗研磨工程においては、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ粒子とコロイダルシリカを組み合わせて使用し、さらに粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ粒子の平均粒径よりもコロイダルシリカの平均粒径を小さくすることにより、高い研磨速度と良好な表面平滑性を達成することが可能であることを見出し、優れた粗研磨工程を実現した。
そして、仕上げ研磨工程で使用する研磨剤組成物に水溶性高分子化合物を存在させることにより、多数の基板を連続して研磨する場合でも研磨速度の低下を抑制できることを見出し、前述の粗研磨工程と組み合わせることにより本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下に示すアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法が提供される。
[1] 無電解ニッケル−リンめっき後のアルミニウム磁気ディスク基板の研磨において、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ粒子、第1のコロイダルシリカ、および水を含む第1の研磨剤組成物を用いて研磨する、最終段より前の粗研磨工程と、第2のコロイダルシリカ、水溶性高分子化合物、および水を含む第2の研磨剤組成物を用いて研磨する、最終段の仕上げ研磨工程と、を少なくとも含む2段階以上の研磨工程を有し、前記湿式法シリカ粒子の平均粒径よりも前記第1のコロイダルシリカの平均粒径が小さく、前記第1のコロイダルシリカの前記平均粒径よりも前記第2のコロイダルシリカの平均粒径が小さく、前記水溶性高分子化合物が、不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位を有し、疎水性単量体に由来する構成単位をさらに有する共重合体であり、前記粗研磨工程における前記第1の研磨剤組成物および前記仕上げ研磨工程における前記第2の研磨剤組成物のpH値が、0.5〜3.0であるアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法。
[2] 前記粗研磨工程において、前記湿式法シリカ粒子の平均粒径が0.1〜1.0μmであり、前記第1のコロイダルシリカの平均粒径が5〜200nmである前記[1]に記載のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法。
[3] 前記粗研磨工程において、前記湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカの合計濃度が、前記第1の研磨剤組成物中1〜50質量%であり、
前記第1の研磨剤組成物中のシリカ粒子全体に占める、前記湿式法シリカ粒子の割合が5〜95質量%であり、前記第1のコロイダルシリカの割合が5〜95質量%である前記[1]または[2]に記載のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法。
[4] 前記仕上げ研磨工程において、前記第2のコロイダルシリカの平均粒径が1〜50nmであり、前記第2の研磨剤組成物に含まれる前記第2のコロイダルシリカの濃度が1〜50質量%である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法。
[5] 前記仕上げ研磨工程において、前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量が500〜50000であり、前記第2の研磨剤組成物中の前記水溶性高分子化合物の濃度が0.0001〜1.0質量%である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法。
本発明のアルミニウム磁気ディスク基板の研磨方法は、特定の粗研磨工程と特定の仕上げ研磨工程の組み合わせにより、高い研磨速度と良好な表面平滑性を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
本発明のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法は、アルミニウム合金製の基板の表面に無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成したアルミニウム磁気ディスク基板を研磨する工程(以下、「研磨工程」ともいう)に特徴を有するものである。本発明のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法において、研磨工程は、最終段より前の粗研磨工程と、最終段の仕上げ研磨工程と、を少なくとも含む2段階以上の研磨工程を含むものである。
1.粗研磨工程
本発明のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法において、粗研磨工程は、2段階以上の研磨工程において、最終段である仕上げ研磨工程より前に行われる研磨工程のうちの、少なくとも1つの工程である。
1−1.第1の研磨剤組成物
粗研磨工程は、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ粒子、第1のコロイダルシリカ、および水を含む第1の研磨剤組成物の存在下で行われる。
粗研磨工程においては、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ粒子の平均粒径よりも、平均粒径が小さい第1のコロイダルシリカを使用する。これにより、それぞれのシリカ粒子を単独使用した場合と比較して、予想外の高い研磨速度を達成すると同時に、良好な表面平滑性を達成するものである。粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ粒子の平均粒径は0.1〜1.0μmであることが好ましく、第1のコロイダルシリカの平均粒径は5〜200nmであることが好ましい。なお、本願における平均粒径とは、メディアン径(D50)である。
一般的に、大粒径の粒子(本発明の場合の湿式法シリカ粒子)と小粒径の粒子(本発明の場合の第1のコロイダルシリカ)とを組み合わせて用いた場合、その研磨速度および表面平滑性は大粒径の粒子がもたらす研磨速度および表面平滑性に支配される傾向がある。すなわち、一般的に、研磨速度は大粒径の粒子による研磨速度を大きく超えることは無く、また、表面平滑性は大粒径の粒子の研磨による表面平滑性となり、小粒径の粒子による表面平滑性に劣る。ところが、本発明における粗研磨工程においては、湿式法シリカ粒子または第1のコロイダルシリカをそれぞれ単独使用した場合よりも、研磨速度が有意に高く、かつ、良好な表面平滑性を維持するものである。
以下、本発明の粗研磨工程に使用される湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカについて、さらに詳細に説明する。
1−2.湿式法シリカ粒子
湿式法シリカ粒子は、ケイ酸アルカリ水溶液と無機酸または無機酸水溶液とを反応容器に添加することにより、沈殿ケイ酸として得られる湿式法シリカから調製される粒子である。本発明において湿式法シリカ粒子には、コロイダルシリカは含まれない。
湿式法シリカの原料であるケイ酸アルカリ水溶液としては、ケイ酸ナトリウム水溶液、ケイ酸カリウム水溶液、ケイ酸リチウム水溶液等が挙げられる。これらケイ酸アルカリ水溶液の中で、一般的には、ケイ酸ナトリウム水溶液が好ましく使用される。無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等を挙げることができる。これら無機酸の中で、一般的には、硫酸が好ましく使用される。反応終了後、反応液を濾過、水洗し、その後、乾燥機で水分が10%以下になるように乾燥を行う。乾燥機は、静置乾燥機、噴霧乾燥機、流動乾燥機のいずれでも良い。その後、ジェットミル等の粉砕機で粉砕し、さらに分級を行い、湿式法シリカ粒子を得る。
このように粉砕により解砕された湿式法シリカ粒子の粒子形状は、角部を有しており、球状に近い粒子よりも研磨能力が高い。
湿式法シリカ粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜1.0μmであり、より好ましくは0.2〜1.0μmであり、さらに好ましくは0.2〜0.8μmである。平均粒径が0.1μm以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。平均粒径が1.0μm以下であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。
1−3.第1のコロイダルシリカ
第1のコロイダルシリカの平均粒径は、好ましくは5〜200nmである。平均粒径が5nm以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。平均粒径が200nm以下であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。第1のコロイダルシリカの平均粒径は、より好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは20〜200nmである。
コロイダルシリカは球状、鎖状、金平糖型(表面に凸部を有する粒子状)、異形型等の形状が知られており、水中に一次粒子が単分散してコロイド状をなしている。本発明で使用されるコロイダルシリカとしては、球状、または球状に近いコロイダルシリカが特に好ましい。球状、または球状に近いコロイダルシリカを用いることで、表面平滑性をより向上させることができる。コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウムを原料とする水ガラス法、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランを酸またはアルカリで加水分解する方法等によって得られる。
1−4.湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカ
湿式法シリカ粒子の平均粒径と第1のコロイダルシリカの平均粒径の比は、好ましくは2.0〜30.0であり、より好ましくは2.5〜20.0であり、さらに好ましくは3.0〜16.0である。平均粒径の比が2.0以上であることにより、研磨速度を向上させることができる。平均粒径の比が30.0以下であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。
湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカの合計濃度は、粗研磨工程で使用する研磨剤組成物全体の1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜40質量%である。シリカ粒子の合計濃度が1質量%以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。シリカ粒子の合計濃度が50質量%以下であることにより、必要以上のシリカ粒子を使用することなく、十分な研磨速度を維持することができる。
シリカ粒子全体に占める湿式法シリカ粒子の割合は、5〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%である。湿式法シリカ粒子の割合が95質量%以下であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。湿式法シリカ粒子の割合が5質量%以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。
シリカ粒子全体に占める第1のコロイダルシリカの割合は、5〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%である。第1のコロイダルシリカの割合が5質量%以上であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。第1のコロイダルシリカの割合が95質量%以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。
1−5.その他の成分
第1の研磨剤組成物には、酸および/またはその塩や、酸化剤を好ましく用いることができる。
酸としては無機酸または有機酸、あるいはその両方を存在させてもよい。無機酸として、具体的には、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸が挙げられる。有機酸として、具体的には、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸等のカルボン酸が挙げられる。これらの酸を塩として用いる場合の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等の対イオンが挙げられる。
第1の研磨剤組成物に用いられる酸および/またはその塩の研磨剤組成物中の濃度は、第1の研磨剤組成物で設定されたpHに応じて決定することができる。
酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩等が挙げられる。具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。中でも過酸化水素が好ましい。
第1の研磨剤組成物に用いられる酸化剤の研磨剤組成物中の濃度は、研磨速度向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、粗研磨時の表面平滑性向上の観点からは、6質量%以下が好ましく、さらに好ましくは4質量%以下である。
第1の研磨剤組成物に用いられる水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、純水等が挙げられる。第1の研磨剤組成物中の水の含有量は、好ましくは、50〜99質量%であり、さらに好ましくは60〜98質量%である。
第1の研磨剤組成物のpH値は、0.1〜4.0であり、好ましくは0.5〜3.0である。pH値が0.1以上であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。pH値が4.0以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。なお、一般的に、無電解ニッケル−リンめっきは、通常pH値4〜6の条件下で実施される。pH値が4以下の条件ではニッケルが溶解傾向に向かうため、めっきが進行しにくくなる。一方、研磨においては、pH4以下の条件下でニッケルが溶解傾向となるため、研磨速度を高めることが容易となる。
2.仕上げ研磨工程
本発明のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法において、仕上げ研磨工程は、2段階以上の研磨工程において、最終段として行われる研磨工程である。
2−1.第2の研磨剤組成物
仕上げ研磨工程は、第2のコロイダルシリカ、水溶性高分子化合物、および水を含む第2の研磨剤組成物の存在下で行われる。
2−2.第2のコロイダルシリカ
第2の研磨剤組成物に用いられる第2のコロイダルシリカの平均粒径は、好ましくは1〜50nmである。平均粒径が1nm以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。平均粒径が50nm以下であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。第2のコロイダルシリカの平均粒径は、より好ましくは2〜40nmであり、さらに好ましくは3〜40nmである。
コロイダルシリカには、球状、鎖状、金平糖型(表面に凸部を有する粒子状)、異形型等の形状が知られており、水中に一次粒子が単分散してコロイド状をなしている。第2のコロイダルシリカとしては、球状、または球状に近いコロイダルシリカが好ましい。球状、または球状に近いコロイダルシリカを用いることで、表面平滑性をより向上させることができる。コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムを原料とする水ガラス法、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランを酸またはアルカリで加水分解する方法によって得られる。
粗研磨工程で使用する研磨剤組成物(第1の研磨剤組成物)に用いられる第1のコロイダルシリカの平均粒径よりも、仕上げ研磨工程で使用する研磨剤組成物(第2の研磨剤組成物)に用いられる第2のコロイダルシリカの平均粒径が小さい。これにより、仕上げ研磨工程後の表面平滑性が良好なものとなる。
第2のコロイダルシリカの濃度は、第2の研磨剤組成物全体の1〜50質量%であることが好ましく、さらに好ましくは2〜40質量%である。第2のコロイダルシリカの濃度が1質量%以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。第2のコロイダルシリカの濃度が50質量%以下であることにより、必要以上のコロイダルシリカを使用することなく、十分な研磨速度を維持することができる。
2−3.水溶性高分子化合物
第2の研磨剤組成物に含有される水溶性高分子化合物は、不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位を有する重合体または共重合体である。即ち、水溶性高分子化合物は、不飽和脂肪族カルボン酸および/またはその塩を単量体として重合された高分子化合物であり、不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位を必須の構成単位とする高分子化合物である。不飽和脂肪族カルボン酸およびその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの塩等が挙げられる。
不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位は、水溶性高分子化合物中、その少なくとも一部がカルボン酸の塩として含有されていても良い。カルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
水溶性高分子化合物中、不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位を、カルボン酸として含有させるには、不飽和脂肪族カルボン酸を単量体として重合しても良いし、不飽和脂肪族カルボン酸の塩を単量体として重合した後、陽イオン交換することによりカルボン酸へと変換しても良い。また、水溶性高分子化合物中、不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位をカルボン酸の塩として含有させるには、不飽和脂肪族カルボン酸の塩を単量体として重合しても良いし、不飽和脂肪族カルボン酸を単量体として重合した後、塩基で中和することによりカルボン酸の塩を形成しても良い。
水溶性高分子化合物中、カルボン酸として含有される構成単位と、カルボン酸の塩として含有される構成単位との割合を評価するには、水溶性高分子化合物の水溶液のpH値を用いることができる。水溶性高分子化合物水溶液のpH値が低い場合には、カルボン酸として含有される構成単位の含有割合が高いと評価できる。一方、水溶性高分子化合物水溶液のpH値が高い場合には、カルボン酸の塩として含有される構成単位の含有割合が高いと評価できる。本発明においては、例えば、濃度10質量%の水溶性高分子化合物水溶液におけるpH値が1〜13の範囲の水溶性高分子化合物を用いることができる。
水溶性高分子化合物が不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位を有する共重合体である場合、不飽和脂肪族カルボン酸および/またはその塩と組み合わせて共重合に用いられる単量体として、例えば疎水性単量体が挙げられる。疎水性単量体としてはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル等の不飽和脂肪族カルボン酸エステル、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド等のN−置換不飽和アミド(N−置換α,β−エチレン性不飽和アミド)、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、N−フェニルマレイミド等の芳香族単量体等が挙げられる。疎水性単量体の好ましい具体例としては、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、N−n−ブチルアクリルアミド、N−iso−ブチルアクリルアミド、N−sec−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−iso−ブチルメタクリルアミド、N−sec−ブチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。なかでも、N−n−ブチルアクリルアミド、N−iso−ブチルアクリルアミド、N−sec−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−iso−ブチルメタクリルアミド、N−sec−ブチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミドが特に好ましい。
これらの単量体成分をいずれか単独または組み合わせて重合することにより、重合体または共重合体とすることが好ましい。共重合の組み合わせとしては、アクリル酸および/またはその塩とアクリル酸エステルの組み合わせ、アクリル酸および/またはその塩とメタクリル酸エステルの組み合わせ、アクリル酸および/またはその塩とN−アルキルアクリルアミドの組み合わせ、アクリル酸および/またはその塩とN−アルキルメタクリルアミドの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とアクリル酸エステルの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とメタクリル酸エステルの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とN−アルキルアクリルアミドの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とN−アルキルメタクリルアミドの組み合わせが好ましく用いられる。なかでも、アクリル酸および/またはその塩とN−アルキルアクリルアミドの組み合わせ、アクリル酸および/またはその塩とN−アルキルメタクリルアミドの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とN−アルキルアクリルアミドの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とN−アルキルメタクリルアミドの組み合わせが更に好ましく、N−アルキルアクリルアミドまたはN−アルキルメタクリルアミドのアルキル基が、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基からなる群より選択される少なくとも1つであるものが特に好ましく用いられる。
水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、500以上、50000以下であることが好ましく、より好ましくは1000以上、30000以下である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリアクリル酸換算で測定したものである。
水溶性高分子化合物の研磨剤組成物中の濃度は、固形分換算で、0.0001質量%以上、1.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.001質量%以上、0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.005質量%以上、0.2質量%以下である。特に好ましくは0.01質量%以上、0.1質量%以下である。
2−4.その他の成分
第2の研磨剤組成物には、酸および/またはその塩や、酸化剤を好ましく用いることができる。
酸としては無機酸または有機酸、あるいはその両方を存在させてもよい。無機酸として、具体的には、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸が挙げられる。有機酸として、具体的には、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸等のカルボン酸が挙げられる。これらの酸を塩として用いる場合の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等の対イオンが挙げられる。
第2の研磨剤組成物に用いられる酸および/またはその塩の研磨剤組成物中の濃度は、第2の研磨剤組成物で設定されたpHに応じて決定することができる。
酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩等が挙げられる。具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。中でも過酸化水素が好ましい。
第2の研磨剤組成物に用いられる酸化剤の研磨剤組成物中の濃度は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、仕上げ研磨工程後の表面平滑性の観点から、好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。
第2の研磨剤組成物に用いられる水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、純水等が挙げられる。第2の研磨剤組成物中の水の含有量は、好ましくは、50〜99質量%、さらに好ましくは60〜98質量%である。
第2の研磨剤組成物のpH値は、0.1〜4.0であり、好ましくは0.5〜3.0である。pH値が0.1以上であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。pH値が4.0以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。
3.粗研磨工程および仕上げ研磨工程の研磨方法
研磨方法としては、研磨機の定盤に研磨パッドを貼りつけ、アルミニウム磁気ディスク基板の研磨する表面または研磨パッドに研磨剤組成物を供給し、研磨する表面を研磨パッドで擦りつける方法(ポリッシングと呼ばれている)が一般的であり、片面研磨と両面研磨の両方法を採用することができる。
両面研磨の場合は、まず、研磨パッドを貼りつけた研磨定盤を2つ用意し、一方の研磨定盤の研磨パッドを基板のおもて面にあて、もう一方の研磨定盤の研磨パッドを基板の裏面にあてることにより、研磨パッドで基板を挟み込んだ状態とする。そして、この状態のままで、研磨パッドと基板の表面(おもて面または裏面)との間に研磨材を分散させたスラリー状の研磨剤組成物を供給し、同時に研磨定盤や基板を動かすことによって、基板の表面上を研磨パッドで擦る。片面研磨は、1つの研磨定盤を用いて、研磨パッドを基板のおもて面または裏面にあて、片面ずつ研磨する方法である。
この動作によって、研磨材が対象物の表面上を転がりながら、あるいは研磨パッドに保持された状態で動きながら、対象物の表面の凸状の部分を削り落としていく。その結果、基板のおもて面と基板の裏面が同時に研磨される。
研磨パッドは、ウレタンタイプ、スエードタイプ、不織布タイプ、これらを積層した二層タイプ等、その他いずれのタイプも使用することができる。また、研磨パッドにカーボン、セリア等の種々の添加剤を含有させたものも使用することができる。
本発明において、研磨工程は、最終段より前の粗研磨工程と、最終段の仕上げ研磨工程と、を少なくとも含む2段階以上の研磨工程を有するものである。すなわち、研磨工程は、最終段の仕上げ研磨工程より前に、少なくとも1つの粗研磨工程を有するものである。なお、最後の粗研磨工程における第1のコロイダルシリカの平均粒径よりも、仕上げ工程における第2のコロイダルシリカの平均粒径が小さいことが必要である。粗研磨工程の回数は特に制限されないが、作業効率の観点から、通常1〜3回である。
粗研磨工程と仕上げ研磨工程の間、すなわち、仕上げ研磨工程の前には、リンス工程および/または洗浄工程をはさんでも良い。リンス工程および/または洗浄工程をはさむことにより、粗研磨工程で発生した研磨屑や残留粒子等が除去され、仕上げ研磨工程の作業性を向上させることができる。また、リンス工程および/または洗浄工程は、同一研磨工程(粗研磨工程または仕上げ研磨工程)の途中で、研磨剤組成物をリンスまたは洗浄する目的で行うこともできる。例えば、任意の粗研磨工程において、第1の研磨剤組成物を用いて粗研磨し、リンス工程および/または洗浄工程を行い、その後、上記第1の研磨剤組成物と同一もしくは別の第1の研磨剤組成物を用いて、更に粗研磨することができる。或いは、仕上げ研磨工程において、第2の研磨剤組成物を用いて仕上げ研磨し、リンス工程および/または洗浄工程を行い、その後、上記第2の研磨剤組成物と同一もしくは別の第2の研磨剤組成物を用いて、更に仕上げ研磨することもできる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の態様で実施することができる。
以下の各実施例および比較例における仕上げ研磨工程は、各々対応する実施例および比較例における粗研磨工程の条件で研磨された基板を用いて実施した。
[第1の研磨剤組成物の調製方法]
実施例1〜8および比較例1〜4で使用した粗研磨工程で使用する研磨剤組成物(第1の研磨剤組成物)は、下記の成分と水からなる研磨剤組成物である。これらの研磨剤組成物を用いて、研磨を実施した結果を表1に示す。
Figure 0006546492
(実施例1、2、8および比較例1、4)
湿式法シリカ粒子(平均粒径(D50):0.3μm、市販の湿式法シリカ)3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(平均粒径(D50):51nm、市販のコロイダルシリカ)3.0質量%(湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸0.7質量%、過酸化水素1.2質量%。
(実施例3)
湿式法シリカ粒子(平均粒径(D50):0.3μm、市販の湿式法シリカ)4.2質量%、第1のコロイダルシリカ(平均粒径(D50):51nm、市販のコロイダルシリカ)1.8質量%(湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカの質量比は7:3、合計濃度は6.0質量%)、硫酸0.7質量%、過酸化水素1.2質量%。
(実施例4)
湿式法シリカ粒子(平均粒径(D50):0.3μm、市販の湿式法シリカ)1.8質量%、第1のコロイダルシリカ(平均粒径(D50):51nm、市販のコロイダルシリカ)4.2質量%(湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカの質量比は3:7、合計濃度は6.0質量%)、硫酸0.7質量%、過酸化水素1.2質量%。
(実施例5)
湿式法シリカ粒子(平均粒径(D50):0.4μm、市販の湿式法シリカ)3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(平均粒径(D50):51nm、市販のコロイダルシリカ)3.0質量%(湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸0.7質量%、過酸化水素1.2質量%。
(実施例6)
湿式法シリカ粒子(平均粒径(D50):0.8μm、市販の湿式法シリカ)3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(平均粒径(D50):51nm、市販のコロイダルシリカ)3.0質量%(湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸0.7質量%、過酸化水素1.2質量%。
(実施例7)
湿式法シリカ粒子(平均粒径(D50):0.3μm、市販の湿式法シリカ)3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(平均粒径(D50):80nm、市販のコロイダルシリカ)3.0質量%(湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸0.7質量%、過酸化水素1.2質量%。
(比較例2)
コロイダルシリカ(平均粒径(D50):51nm、市販のコロイダルシリカ)6.0質量%、硫酸0.7質量%、過酸化水素1.2質量%。
(比較例3)
湿式法シリカ粒子(平均粒径(D50):0.3μm、市販の湿式法シリカ)6.0質量%、硫酸0.7質量%、過酸化水素1.2質量%。
[第2の研磨剤組成物の調製方法]
実施例1〜8および比較例1〜4で使用した仕上げ研磨工程で使用する研磨剤組成物(第2の研磨剤組成物)は、下記の成分と水からなる研磨剤組成物である。これら第2の研磨剤組成物を使用して、各々対応する実施例および比較例の粗研磨工程の条件で研磨された基板に対して、仕上げ研磨工程を実施した結果を表2に示す。
なお、仕上げ研磨工程では、予め所定の実施例または比較例の粗研磨工程の条件で研磨された基板100枚を用意して、1枚目から100枚目まで連続して仕上げ研磨を実施した。この連続仕上げ研磨における途中の10枚目と50枚目、および最後の100枚目の基板について、仕上げ研磨した際の研磨速度とスクラッチの評価結果を表2に示し、各実施例および比較例における、仕上げ研磨工程の研磨速度とスクラッチの推移を比較した。
Figure 0006546492
以下に水溶性高分子化合物として実施例に使用されるアクリルポリマーを示す。
アクリルポリマー1(アクリル酸/N−tert−ブチルアクリルアミド=86/14(mol比)、重量平均分子量9000)
アクリルポリマー1の10質量%水溶液のpH値は、通常3.8である。実施例1、3〜8、比較例2、4において、この通常のアクリルポリマー1を用いた。
アクリルポリマー2(アクリル酸/N−tert−ブチルアクリルアミド=86/14(mol比)、重量平均分子量4000)
アクリルポリマー2の10質量%水溶液のpH値は、通常3.4である。実施例2において、この通常のアクリルポリマー2を用いた。
(実施例1、3〜7および比較例2)
第2のコロイダルシリカ(平均粒径(D50):29nm、市販のコロイダルシリカ)5.6質量%、リン酸2.0質量%、過酸化水素0.6質量%、アクリルポリマー1 0.02質量%。
(実施例2)
第2のコロイダルシリカ(平均粒径(D50):29nm、市販のコロイダルシリカ)5.6質量%、リン酸2.0質量%、過酸化水素0.6質量%、アクリルポリマー2 0.02質量%。
(実施例8)
第2のコロイダルシリカ(平均粒径(D50):21nm、市販のコロイダルシリカ)5.6質量%、リン酸2.0質量%、過酸化水素0.6質量%、アクリルポリマー1 0.02質量%。
(比較例1)
コロイダルシリカ(平均粒径(D50):29nm、市販のコロイダルシリカ)5.6質量%、リン酸2.0質量%、過酸化水素0.6質量%。
(比較例3)
粗研磨でピット多発のため、仕上げ研磨工程は実施せず。
(比較例4)
コロイダルシリカ(平均粒径(D50):80nm、市販のコロイダルシリカ)5.6質量%、リン酸2.0質量%、過酸化水素0.6質量%、アクリルポリマー1 0.02質量%。
表1および表2中、湿式法シリカ粒子の平均粒径、第1のコロイダルシリカ、第2のコロイダルシリカの平均粒径は、以下の方法で測定したものである。
湿式法シリカ粒子の平均粒径は、0.4μm以下の粒子については、動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラックUPA)を用いて測定した。また、0.4μmより大きい粒子については、レーザー回折式粒度分布測定機((株)島津製作所製、SALD2200)を用いて測定した。湿式法シリカ粒子の平均粒径は、体積を基準とした小粒径側からの積算粒径分布が50%となる平均粒径(D50)である。
コロイダルシリカの粒子径(Heywood径)は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製、透過型電子顕微鏡 JEM2000FX(200kV))を用いて倍率10万倍の視野の写真を撮影し、この写真を解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac−View Ver.4.0)を用いて解析することにより、Heywood径(投射面積円相当径)として測定した。コロイダルシリカの平均粒径は前述の方法で2000個程度のコロイダルシリカの粒子径を解析し、小粒径側からの積算粒径分布(累積体積基準)が50%となる粒径を上記解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac−View Ver.4.0)を用いて算出した平均粒径(D50)である。
[粗研磨工程の研磨条件]
無電解ニッケル−リンめっきした外径95mmのアルミニウム磁気ディスク基板を研磨対象として、下記研磨条件で研磨を行った。
研磨機:システム精工(株)製、9B両面研磨機
研磨パッド:(株)FILWEL社製、P1用パッド
定盤回転数:上定盤 −13.0min−1
下定盤 16.0min−1
研磨剤組成物供給量: 70ml/min
研磨時間: 研磨量が1.2〜1.5μm/片面となる時間まで研磨する。
(130〜1500秒)
加工圧力: 12kPa
[仕上げ研磨工程の研磨条件]
上記の粗研磨工程で研磨されたアルミニウム磁気ディスク基板を研磨対象として、下記研磨条件で研磨を行った。
研磨機:スピードファム(株)製、9B両面研磨機
研磨パッド:(株)FILWEL社製 P2用パッド
定盤回転数:上定盤 −8.3min−1
下定盤 25.0min−1
研磨剤組成物供給量: 100ml/min
研磨時間: 300秒
加工圧力: 11kPa
[研磨したディスク表面の評価]
[研磨速度比(粗研磨工程、仕上げ研磨工程)]
研磨速度は、研磨後に減少したアルミニウム磁気ディスク基板の質量を測定し、下記式に基づいて算出した。
研磨速度(μm/min)=アルミニウム磁気ディスク基板の質量減少(g)/研磨時間(min)/アルミニウム磁気ディスク基板の片面の面積(cm)/無電解ニッケル−リンめっき皮膜の密度(g/cm)/2×10 ・・・(式)
(ただし、上記式中、アルミニウム磁気ディスク基板の片面の面積は65.9cm,無電解ニッケル−リンめっき皮膜の密度は8.0g/cm
研磨速度比は、粗研磨工程(表1)においては、上記式を用いて求めた比較例2の研磨速度を1(基準)とした場合の相対値であり、仕上げ研磨工程(表2)においては、比較例1で10枚目の基板を仕上げ研磨したときに上記式を用いて求めた研磨速度を1(基準)とした場合の相対値である。なお、粗研磨工程における比較例2の研磨速度は、0.131μm/minであり、仕上げ研磨工程における比較例1で10枚目の基板を仕上げ研磨したときの研磨速度は、0.102μm/minであった。
[ピット(粗研磨工程)]
ピットはZygo社製の走査型白色干渉法を利用した三次元表面構造解析顕微鏡を用いて測定した。Zygo社製の測定装置(New View 5032(レンズ:2.5倍、ズーム:0.5倍))とZygo社製の解析ソフト(Metro Pro)を用いて測定した。得られた形状プロファイルにおいて、ピットがほとんど認められない場合に「○(良)」と評価した。ピットが認められた場合に「×(不可)」と評価した。評価が「×(不可)」の場合には、目視でもピットを観察することができた。
[スクラッチ比(仕上げ研磨工程)]
スクラッチ本数は(有)ビジョンサイテック製のMicroMAX VMX−4100を用いて、基板にあるスクラッチの本数を、測定条件チルト角 −5°、倍率20倍で測定した。スクラッチ比は、比較例1で10枚目の基板を仕上げ研磨したときのスクラッチ本数を1(基準)とした場合の相対値である。
[考察]
粗研磨工程(表1)において、実施例1と比較例2の対比、および実施例1と比較例3の対比から、第1の研磨剤組成物として、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ粒子とコロイダルシリカとを組み合わせて使用することにより、それぞれのシリカ粒子を単独使用した場合よりも研磨速度が向上し、ピットも良好であった。
仕上げ研磨工程(表2)において、実施例1と比較例1の対比、および実施例2と比較例1の対比から、第2の研磨剤組成物中に水溶性高分子化合物が存在することにより、研磨速度の初期値も向上し、かつ連続多数回研磨においても研磨速度の低下が抑制された。加えて、スクラッチが減少しており、面質改善効果も確認された。
本発明のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法において、水溶性高分子化合物が仕上げ研磨工程で使用する研磨剤組成物(第2の研磨剤組成物)中に存在することにより、研磨パッドの目詰まり等の汚れが抑制されたため、連続多数回研磨の場合でも研磨速度を高く維持できると推定される。
仕上げ研磨工程(表2)において、実施例1と比較例4の対比により、第2の研磨剤組成物に使用される第2のコロイダルシリカとして、粗研磨工程で使用される第1のコロイダルシリカよりも平均粒径の大きなコロイダルシリカを用いると、研磨速度の向上はみられるものの、スクラッチが大幅に悪化した。
以上のことから、特定の粗研磨工程と特定の仕上げ研磨工程との組み合わせにより、アルミニウム磁気ディスク基板の製品品質を悪化させずに研磨工程の生産性を向上できることがわかる。
本発明のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法は、アルミニウム合金基板の表面にニッケル−リンめっき皮膜を形成した磁気記録媒体用基板の表面研磨に使用することができる。

Claims (5)

  1. 無電解ニッケル−リンめっき後のアルミニウム磁気ディスク基板の研磨において、
    粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ粒子、第1のコロイダルシリカ、および水を含む第1の研磨剤組成物を用いて研磨する、最終段より前の粗研磨工程と、
    第2のコロイダルシリカ、水溶性高分子化合物、および水を含む第2の研磨剤組成物を用いて研磨する、最終段の仕上げ研磨工程と、
    を少なくとも含む2段階以上の研磨工程を有し、
    前記湿式法シリカ粒子の平均粒径よりも前記第1のコロイダルシリカの平均粒径が小さく、
    前記第1のコロイダルシリカの前記平均粒径よりも前記第2のコロイダルシリカの平均粒径が小さく、
    前記水溶性高分子化合物が、不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位を有し、疎水性単量体に由来する構成単位をさらに有する共重合体であり、
    前記粗研磨工程における前記第1の研磨剤組成物および前記仕上げ研磨工程における前記第2の研磨剤組成物のpH値が、0.5〜3.0であるアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法。
  2. 前記粗研磨工程において、前記湿式法シリカ粒子の平均粒径が0.1〜1.0μmであり、前記第1のコロイダルシリカの平均粒径が5〜200nmである請求項1に記載のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法。
  3. 前記粗研磨工程において、前記湿式法シリカ粒子と第1のコロイダルシリカの合計濃度が、前記第1の研磨剤組成物中1〜50質量%であり、
    前記第1の研磨剤組成物中のシリカ粒子全体に占める、前記湿式法シリカ粒子の割合が5〜95質量%であり、前記第1のコロイダルシリカの割合が5〜95質量%である請求項1または2に記載のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法。
  4. 前記仕上げ研磨工程において、前記第2のコロイダルシリカの平均粒径が1〜50nmであり、前記第2の研磨剤組成物に含まれる前記第2のコロイダルシリカの濃度が1〜50質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法。
  5. 前記仕上げ研磨工程において、前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量が500〜50000であり、前記第2の研磨剤組成物中の前記水溶性高分子化合物の濃度が0.0001〜1.0質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム磁気ディスク基板の製造方法。
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