JP2007320031A - 研磨液組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】研磨後の被研磨基板の表面粗さが小さく、且つナノスクラッチを顕著に低減できる研磨液組成物、及び表面粗さが小さく、且つナノスクラッチが顕著に低減された基板を製造する方法を提供すること。
【解決手段】以下の条件を満たす研磨材と水とを含有する研磨液組成物:(1)標準試験Aにおける孔径0.5μmのフィルター通液量が3.7g/分・cm2以上;(2)研磨材の一次平均粒径が50nm以下;及び(3)研磨材の含有量が2〜40重量%;並びに該研磨液組成物を仕上げ研磨工程に用いる基板の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】以下の条件を満たす研磨材と水とを含有する研磨液組成物:(1)標準試験Aにおける孔径0.5μmのフィルター通液量が3.7g/分・cm2以上;(2)研磨材の一次平均粒径が50nm以下;及び(3)研磨材の含有量が2〜40重量%;並びに該研磨液組成物を仕上げ研磨工程に用いる基板の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、研磨液組成物、及び該研磨液組成物を用いる基板の製造方法に関する。
近年のメモリーハードディスクドライブには、高容量・小径化が求められ記録密度を上げるために磁気ヘッドの浮上量を低下させて、単位記録面積を小さくすることが求められている。それに伴い、磁気ディスク基板の製造工程においても研磨後に要求される基板の表面品質は年々厳しくなってきており、ヘッドの低浮上化に対応して、表面粗さ、微小うねり、ロールオフ及び突起を低減する必要があり、単位記録面積の減少に対応して、許容される基板面当たりのスクラッチ数は少なく、その大きさと深さはますます小さくなってきている。
また、半導体分野においても、高集積化と高速化が進んでおり、特に高集積化では配線の微細化が要求されている。その結果、半導体基板の製造プロセスにおいては、フォトレジストの露光の際の焦点深度が浅くなり、より一層の表面平滑性が望まれている。
このような要求に対して、表面平滑性を向上させた研磨液組成物が特許文献1に記載されているが、高容量又は高集積化に必要なスクラッチの低減及び高研磨速度の両立には不十分である。
特開2003―188122号公報
本発明の目的は、研磨後の被研磨基板の表面粗さが小さく、且つナノスクラッチを顕著に低減できる研磨液組成物、及び表面粗さが小さく、且つナノスクラッチが顕著に低減された基板を製造する方法を提供することにある。
本発明の要旨は、
〔1〕 以下の条件を満たす研磨材と水とを含有する研磨液組成物:
(1)標準試験Aにおける孔径0.5μmのフィルター通液量が3.7g/分・cm2以上、
(2)研磨材の一次平均粒径が50nm以下、及び
(3)研磨材の含有量が2〜40重量%、
〔2〕 前記〔1〕記載の研磨液組成物を仕上げ研磨工程に用いる基板の製造方法、
に関する。
〔1〕 以下の条件を満たす研磨材と水とを含有する研磨液組成物:
(1)標準試験Aにおける孔径0.5μmのフィルター通液量が3.7g/分・cm2以上、
(2)研磨材の一次平均粒径が50nm以下、及び
(3)研磨材の含有量が2〜40重量%、
〔2〕 前記〔1〕記載の研磨液組成物を仕上げ研磨工程に用いる基板の製造方法、
に関する。
本発明の研磨液組成物を、例えば、高密度化又は高集積化用の精密部品基板の研磨工程で用いることにより、研磨後基板の表面平滑性が優れ、且つ従来では検出できなかった微細なナノスクラッチを顕著に低減でき、表面性状に優れた高品質のメモリーハードディスク基板及び半導体基板等の精密部品基板を効率良く製造することができるという効果が奏される。
本発明の研磨液組成物は、研磨材と水とを含有するものであって、研磨材の一次平均粒径が50nm以下、研磨材の含有量が2〜40重量%、且つ孔径が0.5μmのメンブランフィルターをフィルターの面積1cm2当り1分間に3.7g(以下、3.7g/分・cm2)以上通液できるものである。かかる特徴を有することで、優れた表面品質を達成し、欠陥の原因となるナノスクラッチを顕著に低減することが可能である。このナノスクラッチは、例えば、メモリーハードディスク基板又は半導体基板において、高密度化又は高集積化に重要になる物性である。従って、本発明の研磨液組成物を用いることで、表面品質に優れた高品質のメモリーハードディスク基板又は半導体基板等の精密部品基板を製造することができる。
本発明者らは、メモリーハードディスク基板や半導体基板等の精密部品基板の高密度化又は高集積化に必要な表面平滑性を達成するための要件について、鋭意検討したところ、これまで検出できなかった「ナノスクラッチ」(深さが10nm以上、100nm未満、幅が5nm以上500nm未満、長さが100μm以上の基板表面の微細な傷)の発生がメモリーハードディスク基板では高密度化、また半導体基板では高集積化を阻害していることを初めて見出した。更に、前記ナノスクラッチを低減するには、研磨液組成物のフィルターを通過する通液量が特定量以上必要であることを初めて見出し、本発明を完成させるに至った。
前記ナノスクラッチの低減機構は、明らかでないが、特定の一次平均粒径を有する研磨材を特定量含有し、所定の通液量を有する研磨液組成物を用いることで、研磨布上への研磨液組成物の蓄積及び研磨屑の堆積が抑制されるためと推定される。
本発明の研磨液組成物のpHは、研磨速度を向上させる観点及びナノスクラッチの低減の観点から8以下が好ましく、例えば、研磨材として酸化珪素(シリカ)の場合、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2である。研磨液組成物のpHが低いほど、研磨材粒子間の粒子間引力が大きくなり、研磨中にスクラッチの原因と考えられる粗大粒子又は微細粒子の凝集体の基板表面への脱落が抑制されるため好ましい。
本発明の研磨液組成物の通液量は、以下の標準試験Aで測定したものをいう。
(1)試験温度:25℃
(2)吸引圧力:−100kPa
(3)ろ過フィルター:
メンブランフィルター:
(a5)材質:親水性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)
(b5)孔径:0.5μm(JIS K3832に記載の方法で、該フィルターを通して連続した気泡が出始める点の圧力が0.14MPa以上に相当)
(c5)厚さ:35μm
(d5)ろ過面積:17.3cm2 (直径=47mm)
(e5)多孔度:79%
多孔度=(PTFEの密度−メンブランフィルターの密度)/メンブランフィルターの密度×100(%)
メンブランフィルターの密度=フィルターの単位面積当たりの重量/メンブランフィルターの厚み
例えば、アドバンテック東洋社製「H050A047A」を使うことができる。
(1)試験温度:25℃
(2)吸引圧力:−100kPa
(3)ろ過フィルター:
メンブランフィルター:
(a5)材質:親水性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)
(b5)孔径:0.5μm(JIS K3832に記載の方法で、該フィルターを通して連続した気泡が出始める点の圧力が0.14MPa以上に相当)
(c5)厚さ:35μm
(d5)ろ過面積:17.3cm2 (直径=47mm)
(e5)多孔度:79%
多孔度=(PTFEの密度−メンブランフィルターの密度)/メンブランフィルターの密度×100(%)
メンブランフィルターの密度=フィルターの単位面積当たりの重量/メンブランフィルターの厚み
例えば、アドバンテック東洋社製「H050A047A」を使うことができる。
(4)操作:前記フィルターを装着した吸引濾過器に前記吸引圧力下、300gの研磨液組成物を2秒間で流し込み、その直後から1分間にフィルターを通過した研磨液組成物の重量を測定する。この重量を標準試験で用いたフィルターのろ過面積で除したものを通液量とする。
減圧の方法は特に限定はないが、例えば、水循環式のアスピレーターを用いることができる。
減圧の方法は特に限定はないが、例えば、水循環式のアスピレーターを用いることができる。
本発明の研磨液組成物の通液量は、標準試験Aにおいて、3.7g/分・cm2以上であることが必要であり、ナノスクラッチの低減の観点から、好ましくは4g/分・cm2以上、より好ましくは5g/分・cm2以上、更に好ましくは10g/分・cm2以上、更に好ましくは12g/分・cm2以上、更に好ましくは15g/分・cm2以上である。この通液量は、後述のように研磨液組成物の粘度を低減する、研磨液組成物中の研磨材の分散を高める、研磨液組成物中の研磨材の凝集物をろ過等で除く等の方法により調整することができる。
更に、本発明の研磨液組成物は、前記標準試験Aのメンブランフィルターを以下のものに置換えた標準試験Bにおける通液量が0.5g/分・cm2以上であることが好ましい。
(a2)材質:親水性PTFE
(b2)孔径:0.2μm(JIS K3832に記載の方法で、該フィルターを通して連続した気泡が出始める点の圧力が0.24MPa以上に相当する)
(c2)厚さ:35μm
(d2)ろ過面積:63.6cm2 (直径=90mm)
(e2)多孔度:71%
(a2)材質:親水性PTFE
(b2)孔径:0.2μm(JIS K3832に記載の方法で、該フィルターを通して連続した気泡が出始める点の圧力が0.24MPa以上に相当する)
(c2)厚さ:35μm
(d2)ろ過面積:63.6cm2 (直径=90mm)
(e2)多孔度:71%
ナノスクラッチの低減の観点から、より好ましくは0.8g/分・cm2以上、1g/分・cm2以上、さらに好ましくは2g/分・cm2以上である。孔径が0.2μmのメンブランフィルターとしては、例えば、アドバンテック東洋社製「H020A090C」を用いることができる。
更に、本発明の研磨液組成物は、前記標準試験Aのメンブランフィルターを以下のものに置換えた標準試験Cにおける通液量が0.13g/分・cm2以上であることが好ましい。
(a1)材質:親水性PTFE
(b1)孔径:0.1μm(JIS K3832に記載の方法で、該フィルターを通して連続した気泡が出始める点の圧力が0.38MPa以上に相当する)
(c1)厚さ:35μm
(d1)ろ過面積:63.6cm2 (直径=90mm)
(e1)多孔度:71%
(a1)材質:親水性PTFE
(b1)孔径:0.1μm(JIS K3832に記載の方法で、該フィルターを通して連続した気泡が出始める点の圧力が0.38MPa以上に相当する)
(c1)厚さ:35μm
(d1)ろ過面積:63.6cm2 (直径=90mm)
(e1)多孔度:71%
ナノスクラッチの低減の観点から、より好ましくは0.15g/分・cm2以上、更に好ましくは0.2g/分・cm2以上、更に好ましくは0.4g/分・cm2以上、更に好ましくは0.45g/分・cm2以上である。孔径が0.1μmのメンブランフィルターとしては、例えば、アドバンテック東洋社製「H010A090C」を用いることができる。
本発明における研磨材としては、研磨用に一般的に使用されている研磨材を使用することができ、金属、金属若しくは半金属の炭化物、窒化物、酸化物、又はホウ化物、ダイヤモンド等が挙げられる。金属又は半金属元素は、周期律表(長周期型)の2A、2B、3A、3B、4A、4B、5A、6A、7A又は8族由来のものである。研磨材の具体例としては、シリカ、酸化アルミニウム(以下、アルミナという)、炭化珪素、ダイヤモンド、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等、またこれら研磨材の表面を官能基で修飾あるいは表面改質したもの、界面活性剤や研磨材で複合粒子化したもの等が挙げられ、これらを二種以上使用することは表面粗さを低減させる観点から好ましい。更に、ナノスクラッチの低減の観点から、コロイダル粒子とヒュームド粒子が好ましく、より好ましくはコロイダル粒子、たとえばコロイダルシリカ、コロイダルセリア、コロイダルアルミナであり、中でもコロイダルシリカ、例えば、ケイ酸水溶液から生成させる製法により得られるコロイダルシリカが好ましい。
本発明の研磨液組成物に含有される研磨材の一次粒子の平均粒径(一次平均粒径ともいう)は、研磨材が二種以上混合されているかどうかに関係なく、50nm以下であり、研磨速度の観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは3nm以上、さらに好ましくは5nm以上、また、表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra、Peak to Valley値:Rmax)を低減する観点から、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下、更に好ましくは20nm以下、更に好ましくは15nm以下である。従って、経済的に表面粗さを低減する観点から該一次粒子の平均粒径は、好ましくは1〜40nm、より好ましくは3〜30nm、更に好ましくは、5〜20nm、更に好ましくは5〜15nmである。更に、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合は、同様に研磨速度を向上させる観点及び基板の表面粗さを低減させる観点から、その二次粒子の平均粒径は、たとえば5〜150nm、好ましくは5〜100nm、より好ましくは5〜80nm、更に好ましくは5〜50nm、更に好ましくは5〜30nmである。
また、前記研磨材の一次粒子の平均粒径は、研磨材が二種以上混合されているかどうかに関係なく、透過型電子顕微鏡で観察した画像を使い、粒子を真球とみなして一次粒子の小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径(D50)を求め、この値を一次平均粒径とする。また、二次粒子の平均粒径はレーザー光散乱法を用いて体積平均粒径として測定することができる。
更に、研磨材の粒径分布としては、研磨材が一種以上混合されているかどうかに関係なく、ナノスクラッチの低減、表面粗さの低減及び高い研磨速度を達成する観点から、D90/D50は、好ましくは1〜3、より好ましくは1.3〜3である。尚、D90とは、透過型電子顕微鏡で観察した画像を使い、粒子を真球とみなして一次粒子の小粒径側からの累積体積頻度が90%となる粒径をいう。
研磨液組成物中における研磨材の含有量は2〜40重量%であり、研磨速度を向上させる観点から好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上であり、また、表面品質を向上させる観点から、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。すなわち、経済的に表面品質を向上させる観点から、好ましくは2.5〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、更に好ましくは5〜10重量%である。
本発明の研磨液組成物中の媒体には水が使用される。水にはイオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。また、本発明においては、水に加えて、水溶性有機溶剤も媒体として使用することができる。水溶性有機溶剤としては一級〜三級アルコール、グリコール等が挙げられる。これらの媒体の含有量は、研磨液組成物中、60〜99重量%が好ましく、65〜99重量%がより好ましい。
また、本発明の研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。例えば、硫酸、硝酸等の無機酸又は1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)等の有機酸;アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基又は有機塩基;酸性塩、中性塩又は塩基性塩;界面活性剤;過酸化水素等の酸化剤;ラジカル捕捉剤;包摂化合物;防錆剤;並びに消泡剤及び抗菌剤等が挙げられる。中でも、研磨速度を向上させる観点から及び基板の表面粗さを低減させる観点から、無機酸、有機酸、酸性塩、過酸化水素等の酸化剤が好ましい。これらの他の成分の含有量としては、研磨液組成物中、研磨速度を向上させる観点及び基板の表面粗さを低減させる観点から、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。
本発明の研磨液組成物は、前記成分を適宜混合することにより、調製することができる。尚、前記研磨液組成物中の各成分の濃度は、該組成物製造時の濃度及び使用時の濃度のいずれであってもよい。通常、濃縮液として研磨液組成物は製造され、これを使用時に希釈して用いる場合が多い。
また、本発明の研磨液組成物は、前記各成分の混合液の製造後又は使用時に、例えば、公知のフィルターを使って調製するこができる。例えば、バグフィルター、メンブランフィルター、デプスフィルター、プリーツフィルター等が挙げられ、これらを単独で、又は組み合わせて用いることができる。ナノスクラッチを低減する観点から、好ましくは前記フィルターを組み合わせることであり、より好ましくは少なくともメンブランフィルターを1個以上組み合わせることである。
本発明の研磨液組成物の粘度は、ナノスクラッチを低減する観点から、B型粘度(25℃、12r/min)で、好ましくは20mPa・s以下であり、より好ましくは10mPa・s以下、更に好ましくは5mPa・s以下である。
本発明におけるナノスクラッチとは、深さが10nm以上、100nm未満、幅が5nm以上500nm未満、長さが100μm以上の基板表面の微細な傷で、原子間力顕微鏡(AFM)で検出することができ、後述の実施例に記載の目視検査装置である「MicroMax」による測定でスクラッチ本数として定量評価できる。
また、表面平滑性の尺度である表面粗さは、評価方法に限定はないが、本発明では、AFMにおける波長10μm以下の短い波長で測定可能な粗さとして評価し、中心線平均粗さ(AFM―Ra)として表す。具体的には後述の実施例に記載の方法で得られる。
本発明において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質、アルミナ、ニ酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板に好適である。例えば、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板や結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板により適しており、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板が更に適している。
被研磨基板の形状は特に制限が無く、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が本発明の研磨液組成物を用いた研磨の対象となる。その中でも、ディスク状の被研磨基板の研磨に特に適している。
本発明の研磨液組成物は、精密部品基板の研磨に好適に用いられる。例えば、メモリーハードディスク基板等の磁気ディスク、光磁気ディスク等の磁気記録媒体の基板、フォトマスク基板、光学レンズ、光ディスク、光学ミラー、光学プリズム、半導体基板等の精密部品基板の研磨に適している。中でも、本発明の研磨液組成物は、高密度化、高集積化において重要なナノスクラッチを顕著に低減し得るものであるため、メモリーハードディスク基板等の磁気ディスクや半導体基板の研磨により好適であり、磁気ディスク基板の研磨に特に適している。
メモリーハードディスク基板や半導体基板の研磨は、シリコンウェハ(ベアウェハ)のポリッシング工程、埋め込み金属配線の形成工程、層間絶縁膜の平坦化工程、埋め込みキャパシタ形成工程等において行われる。
上記のように本発明の研磨液組成物を用いることで基板のナノスクラッチを有意に低減することができる。従って、本発明は、前記研磨液組成物を用いる基板のナノスクラッチの低減方法及び基板の製造方法に関する。
本発明の基板のナノスクラッチの低減方法又は基板の製造方法は、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を有する方法である。この研磨工程としては、具体的には、不織布状の有機高分子系研磨布等を貼り付けた研磨盤で基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を基板表面に供給し、一定荷重を加えながら研磨盤や基板を動かすことにより研磨する方法等が挙げられる。なお、研磨液組成物の供給量、研磨荷重、研磨盤や基板を動かす回転数等の条件は、公知の範囲であればよい。
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程に供する前の基板の表面品質は特に限定しないが、例えば、中心線平均粗さが1nm以下の表面品質を有する基板が適する。
前記研磨工程は、複数の研磨工程がある場合、第2工程以降に行われるのが好ましく、より好ましくは一つ又は二つ以上の仕上げ研磨工程、更に好ましくは最終研磨工程に行われることが望ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、段階毎に基板を洗浄することが好ましい。なお、研磨機としては、特に限定はない。
本発明の研磨液組成物は、研磨工程において特に効果があるが、これ以外の研磨工程、例えば、ラッピング工程等にも同様に適用することができる。
以上のようにして、本発明の研磨液組成物又は本発明の基板の製造方法を用いて製造された基板は、表面平滑性に優れ、中心線平均粗さ(AFM−Ra)が例えば0.3nm以下、0.2nm以下、好ましくは0.15nm以下、0.13nm以下、より好ましくは0.1nm以下、更に好ましくは0.08nm以下のものが得られる。
また、製造された基板はナノスクラッチが極めて少ないものである。従って、該基板が、例えば、メモリーハードディスク基板である場合には、例えば、記録密度120G bits/inch2、更には160G bits/inch2のものにも対応することができ、半導体基板である場合には、例えば、配線幅65nm、更には45nmのものにも対応することができる。
被研磨基板として、Ni−Pメッキされた基板を、アルミナ研磨材を含有する研磨液であらかじめ粗研磨し、中心線平均粗さ(タリーステップ−Ra)を1nmとした、厚さ1.27mmの外周95mmφで内周25mmφのアルミニウム合金基板を用いて研磨評価を行った。
実施例1〜9
表1に示すように、コロイダルシリカとしては、コロイダルシリカスラリー A(デュポン社製、D90/D50=2.5)、B(Akzo Nobel社製、D90/D50=1.2)、C(デュポン社製、D90/D50=1.4)及びD(デュポン社製、D90/D50=1.4)を用いた。プリーツフィルター(「MCP―JX―E10S」、孔径:1μm、アドバンテック東洋社製)とプリーツフィルター(「MCS−045−E10S」、孔径:0.45μm、アドバンテック東洋社製)とを直列に接続し、送液ポンプを用いてこの順に上記コロイダルシリカのスラリーを通液させた。フィルターを通過したろ液に、表1に記載のHEDP(60重量%水溶液)と過酸化水素(35重量%水溶液)と硫酸(98重量%)あるいはアンモニア水(28重量%)とイオン交換水との混合液を攪拌下混合し、所定のpHの研磨液組成物を得た。
表1に示すように、コロイダルシリカとしては、コロイダルシリカスラリー A(デュポン社製、D90/D50=2.5)、B(Akzo Nobel社製、D90/D50=1.2)、C(デュポン社製、D90/D50=1.4)及びD(デュポン社製、D90/D50=1.4)を用いた。プリーツフィルター(「MCP―JX―E10S」、孔径:1μm、アドバンテック東洋社製)とプリーツフィルター(「MCS−045−E10S」、孔径:0.45μm、アドバンテック東洋社製)とを直列に接続し、送液ポンプを用いてこの順に上記コロイダルシリカのスラリーを通液させた。フィルターを通過したろ液に、表1に記載のHEDP(60重量%水溶液)と過酸化水素(35重量%水溶液)と硫酸(98重量%)あるいはアンモニア水(28重量%)とイオン交換水との混合液を攪拌下混合し、所定のpHの研磨液組成物を得た。
実施例10〜11
表1に示すように、コロイダルシリカとしては、コロイダルシリカスラリーA及びCを用いた。デプスフィルター(「TCPD―03A―S1FE」、孔径:3μm、アドバンテック東洋社製)とプリーツフィルター(「MCP―JX―E10S」、孔径:1μm、アドバンテック東洋社製)とプリーツフィルター(「MCP−JX−E10S」、孔径:1μm、アドバンテック東洋社製)とを直列に接続し、送液ポンプを用いてこの順に上記コロイダルシリカのスラリーを通液させた。フィルターを通過したろ液に、表1に記載のHEDP(60重量%水溶液)と硫酸(98重量%)と過酸化水素(35重量%水溶液)とイオン交換水との混合液を攪拌下混合し、所定のpHの研磨液組成物を得た。
表1に示すように、コロイダルシリカとしては、コロイダルシリカスラリーA及びCを用いた。デプスフィルター(「TCPD―03A―S1FE」、孔径:3μm、アドバンテック東洋社製)とプリーツフィルター(「MCP―JX―E10S」、孔径:1μm、アドバンテック東洋社製)とプリーツフィルター(「MCP−JX−E10S」、孔径:1μm、アドバンテック東洋社製)とを直列に接続し、送液ポンプを用いてこの順に上記コロイダルシリカのスラリーを通液させた。フィルターを通過したろ液に、表1に記載のHEDP(60重量%水溶液)と硫酸(98重量%)と過酸化水素(35重量%水溶液)とイオン交換水との混合液を攪拌下混合し、所定のpHの研磨液組成物を得た。
実施例12
表1に示すように、コロイダルシリカとしては、コロイダルシリカスラリー Aを用いた。プリーツフィルター(「MCP―HX―E10S」、孔径:2μm、アドバンテック東洋社製)とプリーツフィルター(「MCP−HX−E10S」、孔径:2μm、アドバンテック東洋社製)とを直列に接続し、送液ポンプを用いてこの順に上記コロイダルシリカのスラリーを通液させた。フィルターを通過したろ液に、表1に記載のHEDP(60重量%水溶液)と硫酸(98重量%)と過酸化水素(35重量%水溶液)とイオン交換水との混合液を攪拌下混合し、所定のpHの研磨液組成物を得た。
表1に示すように、コロイダルシリカとしては、コロイダルシリカスラリー Aを用いた。プリーツフィルター(「MCP―HX―E10S」、孔径:2μm、アドバンテック東洋社製)とプリーツフィルター(「MCP−HX−E10S」、孔径:2μm、アドバンテック東洋社製)とを直列に接続し、送液ポンプを用いてこの順に上記コロイダルシリカのスラリーを通液させた。フィルターを通過したろ液に、表1に記載のHEDP(60重量%水溶液)と硫酸(98重量%)と過酸化水素(35重量%水溶液)とイオン交換水との混合液を攪拌下混合し、所定のpHの研磨液組成物を得た。
比較例1
表1に示すように、コロイダルシリカとしては、コロイダルシリカスラリー ST−50(日産化学工業社製、D90/D50=1.1)をイオン交換水撹拌下に加えて、コロイダルシリカ濃度を24重量%に調整したものを用いた。更に、それをセルロースアセテート製メンブランフィルター(「C045A090C」、孔径:0.45μm、直径:90mm、アドバンテック東洋社製)で吸引濾過し、所定のpHの研磨液組成物を得た。
表1に示すように、コロイダルシリカとしては、コロイダルシリカスラリー ST−50(日産化学工業社製、D90/D50=1.1)をイオン交換水撹拌下に加えて、コロイダルシリカ濃度を24重量%に調整したものを用いた。更に、それをセルロースアセテート製メンブランフィルター(「C045A090C」、孔径:0.45μm、直径:90mm、アドバンテック東洋社製)で吸引濾過し、所定のpHの研磨液組成物を得た。
比較例2
表1に示すように、コロイダルシリカとしては、コロイダルシリカスラリーDに、表1記載のHEDP(60重量%水溶液)と硫酸(98重量%)と過酸化水素(35重量%水溶液)とイオン交換水との混合液を攪拌下混合し、所定のpHの研磨液組成物を得た。
表1に示すように、コロイダルシリカとしては、コロイダルシリカスラリーDに、表1記載のHEDP(60重量%水溶液)と硫酸(98重量%)と過酸化水素(35重量%水溶液)とイオン交換水との混合液を攪拌下混合し、所定のpHの研磨液組成物を得た。
実施例1〜12及び比較例1〜2で得られた研磨液組成物について、フィルター通液量、ナノスクラッチ及びAFMを用いて測定した表面粗さ(AFM―Ra)を以下の方法に基づいて測定・評価した。得られた結果を表2に示す。なお、タリーステップ−Raの測定条件も以下に示す。
1.通液量の測定条件
(1)吸引圧力設定手段:水循環式アスピレーター(「CIRCULATING ASPIRATOR WJ−15」、柴田科学器械工業社製)を用い、アスピレーターと吸引濾過器との間(吸引濾過器から20cm離れた位置)に圧力計を接続して、濾過中の圧力を−100kPaに調整した。
(2)吸引濾過器:減圧濾過用フィルターホルダー(型番:KGS−47、アドバンテック東洋社製)付の1L吸引瓶
(3)フィルター:メンブランフィルターA(「H050A047A」、アドバンテック東洋社製)材質:親水性PTFE、孔径:0.5μm、厚さ:35μm、ろ過面積:17.3cm2 (直径=47mm)、多孔度:79%。メンブランフィルターB(「H020A090C」、アドバンテック東洋社製)材質:親水性PTFE、孔径:0.2μm、厚さ:35μm、ろ過面積:63.6cm2 (直径=90mm)、多孔度:71%)。メンブランフィルターC(「H010A090C」、アドバンテック東洋社製)材質:親水性PTFE、孔径:0.1μm、厚さ:35μm、ろ過面積:63.6cm2 (直径=90mm)、多孔度:71%)。
(1)通液時間:1分(300gの研磨液組成物を2秒間でフィルター上に入れ終わった時点から1分)
(2)通液量:通液1分後の吸引瓶中の研磨液組成物の重量(g)をフィルターのろ過面積で除して求めた。
(1)吸引圧力設定手段:水循環式アスピレーター(「CIRCULATING ASPIRATOR WJ−15」、柴田科学器械工業社製)を用い、アスピレーターと吸引濾過器との間(吸引濾過器から20cm離れた位置)に圧力計を接続して、濾過中の圧力を−100kPaに調整した。
(2)吸引濾過器:減圧濾過用フィルターホルダー(型番:KGS−47、アドバンテック東洋社製)付の1L吸引瓶
(3)フィルター:メンブランフィルターA(「H050A047A」、アドバンテック東洋社製)材質:親水性PTFE、孔径:0.5μm、厚さ:35μm、ろ過面積:17.3cm2 (直径=47mm)、多孔度:79%。メンブランフィルターB(「H020A090C」、アドバンテック東洋社製)材質:親水性PTFE、孔径:0.2μm、厚さ:35μm、ろ過面積:63.6cm2 (直径=90mm)、多孔度:71%)。メンブランフィルターC(「H010A090C」、アドバンテック東洋社製)材質:親水性PTFE、孔径:0.1μm、厚さ:35μm、ろ過面積:63.6cm2 (直径=90mm)、多孔度:71%)。
(1)通液時間:1分(300gの研磨液組成物を2秒間でフィルター上に入れ終わった時点から1分)
(2)通液量:通液1分後の吸引瓶中の研磨液組成物の重量(g)をフィルターのろ過面積で除して求めた。
2.研磨条件
(1)研磨試験機:スピードファム社製両面9B研磨機
(2)研磨布:フジボウ社製パッド(厚さ0.9mm、開孔径30μm)
(3)研磨盤回転数:32.5r/min
(4)研磨液組成物供給量:100mL/min
(5)研磨時間:4分
(6)研磨荷重(定盤圧力):7.8kPa
(7)投入した基板の枚数:10枚
(1)研磨試験機:スピードファム社製両面9B研磨機
(2)研磨布:フジボウ社製パッド(厚さ0.9mm、開孔径30μm)
(3)研磨盤回転数:32.5r/min
(4)研磨液組成物供給量:100mL/min
(5)研磨時間:4分
(6)研磨荷重(定盤圧力):7.8kPa
(7)投入した基板の枚数:10枚
3.ナノスクラッチの測定条件
(1)測定機器:VISION PSYTEC社製、「MicroMax VMX−2100CSP」
(2)光源:2Sλ(250W)及び3Pλ(250W)共に100%
(3)チルド角:−6°
(4)倍率:最大(視野範囲:全面積の120分の1)
(5)観察領域:全面積(外周95mmφで内周25mmの基板)
(6)アイリス:notch
(7)評価:研磨試験機に投入した10枚の基板の中、無作為に4枚を選択し、その4枚の基板の各々両面にあるナノスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのナノスクラッチ数(本/面)を算出した。また、表に記載したナノスクラッチの評価は比較例1のナノスクラッチ数(295本/面)に対する相対評価で行った。
(1)測定機器:VISION PSYTEC社製、「MicroMax VMX−2100CSP」
(2)光源:2Sλ(250W)及び3Pλ(250W)共に100%
(3)チルド角:−6°
(4)倍率:最大(視野範囲:全面積の120分の1)
(5)観察領域:全面積(外周95mmφで内周25mmの基板)
(6)アイリス:notch
(7)評価:研磨試験機に投入した10枚の基板の中、無作為に4枚を選択し、その4枚の基板の各々両面にあるナノスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのナノスクラッチ数(本/面)を算出した。また、表に記載したナノスクラッチの評価は比較例1のナノスクラッチ数(295本/面)に対する相対評価で行った。
4.表面粗さ(AFM−Ra)の測定条件
(1)測定機器:Veeco社製、「TM−M5E」
(2)モード:ノンコンタクト
(3)Scanrate:1.0Hz
(4)Scanarea:10×10μm
(5)評価:基板の両面について、内周と外周間の中心を120°毎に3点測定し、計6点の平均値を求めた。
(1)測定機器:Veeco社製、「TM−M5E」
(2)モード:ノンコンタクト
(3)Scanrate:1.0Hz
(4)Scanarea:10×10μm
(5)評価:基板の両面について、内周と外周間の中心を120°毎に3点測定し、計6点の平均値を求めた。
5.表面粗さ(タリーステップ−Ra)の測定条件
(1)測定機器:ランク・テーラー・ボブソン社製、タリーステップ
(2)ハイパスフィルター:80μm
(3)測定長さ:0.64mm
(1)測定機器:ランク・テーラー・ボブソン社製、タリーステップ
(2)ハイパスフィルター:80μm
(3)測定長さ:0.64mm
表2に示した結果から、実施例1〜12の研磨液組成物を用いて得られた基板は、比較例1〜2のそれらに比べ、ナノスクラッチの発生が顕著に抑制されていることがわかる。また、実施例1〜12で得られる基板ではその表面粗さも低いものであることがわかる。
本発明の研磨液組成物は、精密部品基板、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク等の磁気記録媒体の基板、フォトマスク基板、光学レンズ、光ディスク、光学ミラー、光学プリズム、半導体基板等の精密部品基板の研磨などに好適に使用することができる。
Claims (2)
- コロイダルシリカと水とを含有する混合液をプリーツフィルターで処理する工程を含む、以下の条件を満たすコロイダルシリカと水とを含有する、pH1〜3の研磨液組成物の調製方法:
(1)標準試験Aにおける孔径0.5μmのフィルター通液量が10g/分・cm2以上、
(2)コロイダルシリカの一次平均粒径が50nm以下、及び
(3)コロイダルシリカの含有量が2〜40重量%。 - 前記研磨液組成物が、さらに、以下の条件を満たす、請求項1記載の調製方法:
(4)標準試験Cにおける孔径0.1μmのフィルター通液量が0.4g/分・cm2以上。
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