JP5571926B2 - 磁気ディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するために、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、平滑性・平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)と欠陥低減(スクラッチ、突起、ピット等の低減)に対する要求が厳しくなっている。このような要求に対して、カルボキシル基やスルホン酸基などの官能基を有する共重合体を含有する研磨液組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1は、半導体部品の化学的機械研磨(CMP)に適した研磨液組成物であって、スルホン酸基を有する重合体を含有することにより被研磨物の表面を平坦にし、かつ研磨速度を高くできる研磨液組成物を開示する。
特許文献2は、化学的機械研磨(CMP)に適した半導体部品用研磨液組成物であって、カルボン酸基を有する重合体、スルホン酸基を有する重合体、及びホスホン酸基を有する重合体のうち少なくとも2種の重合体を含有することにより被研磨物の表面粗さを低く、かつ研磨速度を高くできる研磨液組成物を開示する。
特許文献3は、Ni金属含有基板の研磨用組成物であって、アルミナやシリカ等の無機砥粒に替えてスルホン酸基などの金属イオンに配位可能な官能基を有する共重合体樹脂粒子を含む、スクラッチや突起等の欠陥の発生を抑制できる研磨用組成物を開示する。
特開2001−64631号公報 特開2008−155368号公報 特開2007−231209号公報
磁気ディスクドライブのさらなる大容量化を実現するためには、従来の研磨液組成物によるスクラッチの低減だけでは不十分であり、スクラッチに加えて、基板表面のうねりやナノ突起欠陥をよりいっそう低減する必要がある。
また、大容量化に伴い、磁気ディスクにおける記録方式が水平磁気記録方式から垂直磁気記録方式へと移行した。垂直磁気記録方式の磁気ディスクの製造工程では、水平磁気記録方式で磁化方向を揃えるために必要であったテクスチャ工程が不要となり、研磨後の基板表面に直接磁性層が形成されるため、基板表面品質に対する要求特性はさらに厳しくなっている。従来の研磨液組成物では、垂直磁気記録方式の基板表面に求められる欠陥・スクラッチの少なさ及び表面うねりの低さを十分に満足することができない。
そこで、本発明は、研磨後の基板表面のうねりやナノ突起欠陥の低減を実現でき磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法を提供する。
本発明は、研磨材と、下記一般式(1)で表される構成単位及びスルホン酸基を有する構成単位を有する共重合体又はその塩とを含有する磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
Figure 0005571926
[式中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R2は炭素数1〜22の炭化水素鎖である。]
また、本発明の磁気ディスク基板の製造方法は、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む基板の製造方法に関する。
本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物によれば、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のうねりやナノ突起欠陥が低減された磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板を製造できるという効果が好ましくは奏される。
[ナノ突起欠陥]
本発明において「ナノ突起欠陥」とは、磁気ディスク基板の製造工程における研磨後の基板表面の欠陥であって、光学的に検出され得る10nm未満程度の大きさの凸欠陥をいう。磁気ディスクの高密度化・大容量化のためには、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔は10nm未満となる必要があるため、ナノ突起の残存は磁気ヘッドの消耗及び磁気ディスクドライブの記録密度の低下や不安定をもたらし得る。研磨後の基板においてナノ突起欠陥が低減されれば、磁気ヘッドの浮上量が低減でき、磁気ディスク基板の記録密度向上が可能となる。
[うねり]
本発明において基板の「うねり」とは、粗さよりも波長の長い基板表面の凹凸をいい、一般に、長波長うねり(波長0.4〜2mm)と短波長うねり(波長5〜50μm)を含むが、本明細書においては特に言及しない限り短波長うねりを指す。研磨後の基板表面のうねりが低減されることにより、磁気ヘッドの浮上量が低減でき、磁気ディスク基板の記録密度向上が可能となる。
[スクラッチ]
本発明において「スクラッチ」とは、深さが1nm以上、幅が100nm以上、長さが1000nm以上の基板表面の微細な傷で、光学式欠陥検出装置であるKLA Tencor社製のCandela6100シリーズや日立ハイテクノロジ−社製のNS1500シリーズで検出可能であり、スクラッチ数として定量評価できる。さらに、検出したスクラッチは原子間力顕微鏡(AFM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)で大きさや形状を解析することができる。
本発明は、前記スルホン酸基を有する構成単位とメタクリル酸メチル等の単量体に由来する疎水性の構成単位とを有する共重合体を含有する研磨液組成物を使用すれば、研磨後の基板のスクラッチの低減に加えて、研磨後の基板表面のナノ突起欠陥及びうねりの低減を達成できるという知見に基づく。
すなわち、本発明は、研磨材と、下記一般式(1)で表される構成単位及びスルホン酸基を有する構成単位を有する共重合体又はその塩とを含有する研磨液組成物に関する。
Figure 0005571926
[式中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R2は炭素数1〜22の炭化水素鎖である。]
本発明の研磨液組成物によれば、研磨後の基板において、スクラッチの低減のみならず、研磨後の基板表面のうねりやナノ突起欠陥を低減するという効果を奏し得る。
本発明の研磨液組成物がスクラッチのみならず研磨後の基板表面うねりやナノ突起欠陥を低減できるメカニズムの詳細は明らかでないが、共重合体におけるメタクリル酸メチル等の単量体に由来する疎水性構成単位が含まれることにより共重合体の研磨パッドへの吸着量が増加し、研磨パッドの振動が抑制され、その結果、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥が低減すると推定される。但し、本発明はこのメカニズムに限定されない。
[共重合体]
本発明の研磨液組成物は、上記一般式(1)で表される構成単位及びスルホン酸基を有する構成単位を有する共重合体又はその塩(以下、「本発明の共重合体」ともいう。)を含有する。以下、上記一般式(1)で表される構成単位を「疎水性構成単位」ともいう。なお、疎水性構成単位とスルホン酸基を有する構成単位の配列は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでも良い。また、後述するとおり、所定の含有量の範囲をすべて満たす範囲で、これら構成単位以外の構成単位を含んでいてもよい。
[疎水性構成単位]
本発明の共重合体における疎水性構成単位は、下記一般式(1)で表されるものである。下記一般式(1)のR1は共重合体の研磨パッドへの吸着量増加及び研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であって、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましい。下記一般式(1)のR2は共重合体の研磨パッドへの吸着量増加及び研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、炭素数1〜22の炭化水素鎖であり、炭素数は、1〜18が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8がさらに好ましく、1〜4がさらにより好ましい。また、炭化水素鎖としては、直鎖構造でも分岐鎖構造でも環状構造でもよく、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、又はシクロアルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。また、本発明の共重合体は、二種類以上の疎水性構成単位を含んでもよい。
Figure 0005571926
本発明の共重合体を構成する全構成単位中に占める疎水性構成単位の含有率は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、5〜95モル%が好ましく、30〜95モル%がより好ましく、40〜90モル%がさらに好ましく、50〜85モル%がさらにより好ましく、60〜80モル%がさらに好ましい。
疎水性構成単位は、疎水性単量体に由来することが好ましい。ここで、疎水性単量体とは、20℃における水100gに対する溶解度が2g以下の単量体をいう。疎水性構成単位を提供する好ましい疎水性単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル(LMA)、メタクリル酸パルミチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル(SMA)、メタクリル酸イソステアリル(ISMA)、メタクリル酸ベヘニル(BMA)、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル(BzMA)、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸パルミチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸イソステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられ、これらのなかでも、反応性及び研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
[スルホン酸基を有する構成単位]
本発明の共重合体におけるスルホン酸基を有する構成単位は、例えば、スルホン酸基を有する単量体を重合することにより得られる。スルホン酸基を有する構成単位は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、下記一般式(2)で表されることが好ましい。下記一般式(2)のR3は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であって、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、メチル基がさらにより好ましい。下記一般式(2)のR4は共重合体の溶解・分散性及び研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、1又は複数のスルホン酸基を有するアリール基であり、1又は複数のスルホン酸基を有するフェニル基が好ましく、オルト、メタ、パラ位のいずれかで1つのスルホン酸基を有するフェニル基又はメタ位の2箇所でスルホン酸基を有するフェニル基がより好ましく、パラ位でスルホン酸基を有するフェニル基がさらに好ましい。本発明の共重合体は、二種類以上のスルホン酸基を有する構成単位を含んでもよい。なお、これらのスルホン酸基は中和された塩の形態を取ってもよい。
Figure 0005571926
[式(2)中、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R4は1又は複数のスルホン酸(塩)基で置換されたアリール基である。]
スルホン酸基の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等のイオンが挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの金属の中でも、表面粗さ及びナノスクラッチ低減の観点から1A、3B、又は8族に属する金属が好ましく、1A族に属するナトリウム及びカリウムがより好ましい。アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの塩の中では、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩がより好ましい。
本発明の共重合体を構成する全構成単位中に占めるスルホン酸基を有する構成単位の含有率は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、5〜95モル%が好ましく、5〜70モル%がより好ましく、10〜60モル%がさらに好ましく、15〜50モル%がさらにより好ましく、20〜40モル%がさらにより好ましい。
スルホン酸基を有する構成単位を提供する単量体としては、例えば、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルベンジルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸及びそれらの塩等が挙げられる。これらのなかでも、共重合体の保存安定性向上並びに研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、スチレンスルホン酸又はメチルスチレンスルホン酸及びそれらの塩が好ましく、スチレンスルホン酸及びその塩がより好ましい。あるいは、スルホン酸基を有する構成単位は、上述した疎水性構成単位を含む(共)重合体(ベースポリマー)を公知のスルホン化剤などによりスルホン化することで得てもよい。
本発明の共重合体を構成する全構成単位中に占める上記の疎水性構成単位及びスルホン酸基を有する構成単位の合計の含有率は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、70〜100モル%が好ましく、80〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましく、95〜100モル%がさらにより好ましい。
本発明の共重合体を構成する全構成単位中に占める上記の疎水性構成単位及びスルホン酸基を有する構成単位のモル比(疎水性構成単位のモル%/スルホン酸基を有する構成単位のモル%)は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、5/95〜95/5が好ましく、30/70〜95/5がより好ましく、40/60〜90/10がさらに好ましく、50/50〜85/15がさらにより好ましく、60/40〜80/20がさらにより好ましい。
[その他の構成単位]
本発明の共重合体は、上記の疎水性構成単位及びスルホン酸基を有する構成単位以外のその他の構成単位を有してもよい。その他の構成単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等のヒドロキシ基又はグリシジル基含有エチレン性単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ダイアセトンアクリルアミド等のエチレン性アミド;アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N,N−トリメチルアミノエチルアクリレート、N,N,N−トリメチルアミノエチルメタクリレート等のエチレン性アミン又はその塩などが挙げられる。本発明の共重合体を構成する全構成単位中に占めるその他の構成単位の含有率は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、0〜30モル%が好ましく、0〜20モル%がより好ましく、0〜10モル%がさらに好ましく、0〜5モル%がさらにより好ましく、さらには、実質的に0モル%が好ましい。
[共重合体の製造方法]
本発明の共重合体の製造方法は、モノマーの共重合法、ポリマーにスルホン化剤を用いて得られる方法等が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。好ましくは、モノマーの共重合法である。モノマーの共重合法は、公知の塊状重合、溶液重合等の重合法を用いることができる。本発明の共重合体を得るための重合溶媒は、水に対する溶解度(20℃)が10重量%以上であれば何れでもよい。水、アルコール系、ケトン系、エーテル系等が挙げられる。アルコール系溶剤は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第2級ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶剤は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロへキサノン等が挙げられる。エーテル系溶剤は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、セロソルブ類等が挙げられる。これらを1種類以上混合して用いることが出来る。重合開始剤としては、公知のラジカル開始剤が用いられる。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムに代表される過硫酸化類、t−ブチルヒドロペルオキシドに代表されるヒドロ過酸化物類、過酸化ジt−ブチルに代表される過酸化ジアルキル類、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイルに代表される過酸化ジアシル類、メチルエチルケトンペルオキシドに代表されるケトンペルオキシド類、およびアゾ系重合開始剤が挙げられる。必要に応じて連鎖移動剤を使用し、窒素ガス気流下、40〜300℃で溶剤還流させ溶液重合を行うことで得られる。
[共重合体の重量平均分子量]
本発明の共重合体の重量平均分子量は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、500以上12万以下が好ましく、1000以上10万以下がより好ましく、1000以上3万以下がさらに好ましく、1000以上1万以下がさらにより好ましく、1500以上8000以下がさらにより好ましい。該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて実施例に記載の条件で測定した値とする。
本発明の共重合体が塩を少なくとも部分的に形成している場合、その対イオンとしては、特に限定はなく、上述のスルホン酸塩基の場合と同様に、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等のイオンが挙げられる。
研磨液組成物における本発明の共重合体の含有量は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、0.001〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜0.5重量%、さらに好ましくは0.01〜0.2重量%、さらにより好ましくは0.01〜0.1重量%、特に好ましくは0.01〜0.075重量%である。
[研磨材]
本発明に使用される研磨材としては、研磨用に一般的に使用されている研磨材を使用することができ、金属、金属若しくは半金属の炭化物、窒化物、酸化物、又はホウ化物、ダイヤモンド等があげられる。金属又は半金属元素は、周期律表(長周期型)の2A、2B、3A、3B、4A、4B、5A、6A、7A又は8族由来のものである。研磨材の具体例としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、炭化珪素、ダイヤモンド、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ等が挙げられ、これらの1種以上を使用することは研磨速度を向上させる観点から好ましい。中でもアルミナ、コロイダルシリカが、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から好ましく、コロイダルシリカがさらに好ましい。
コロイダルシリカは、ケイ酸水溶液から生成させる公知の製造方法等により得られたものでもよい。シリカ粒子の使用形態としては、操作性の観点からスラリー状であることが好ましい。本発明は、好ましくは、後述する所定のシリカ粒子を上述の共重合体と組み合わせることによりさらにいっそう研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥を低減できるという知見に基づく。
具体的には、本発明は、好ましい態様において、従来から制御対象となっていた平均粒径に加え、異なる2つの検出角におけるCV値の差(ΔCV値)に着目し、これらの2つのパラメータを用いて制御された研磨材を上述の共重合体と組み合わせることで、研磨後のスクラッチに加え、基板表面のうねりとナノ突起欠陥をいっそう低減できるという知見に基づく。
[研磨材の平均粒径]
〔動的光散乱法において検出角90度で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径〕
本明細書において研磨材の平均粒径には、2種類の平均粒径、すなわち、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)、及び、動的光散乱法において検出角90度で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径が用いられ、具体的には実施例に記載の方法により測定される。動的光散乱法において検出角90度で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥を低減する観点から、1〜40nmが好ましく、5〜37nmがより好ましく、10〜35nmがさらに好ましい。
[研磨材のΔCV値]
本明細書において研磨材のΔCV値は、動的光散乱法により検出角30度(前方散乱)の散乱強度分布に基づき測定される粒径の標準偏差を、動的光散乱法により検出角30度の散乱強度分布に基づき測定される平均粒径で除して100を掛けた変動係数(CV)の値(CV30)と、動的光散乱法により検出角90度(側方散乱)の散乱強度分布に基づき測定される粒径の標準偏差を、動的光散乱法により検出角90度の散乱強度分布に基づき測定される平均粒径で除して100を掛けた変動係数の値(CV90)との差(ΔCV=CV30−CV90)をいい、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。本発明の研磨液組成物に使用される研磨材のΔCV値は、生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、0〜14%が好ましく、0〜10%がより好ましく、0〜7%がさらに好ましく、0〜5%がさらにより好ましい。
[研磨材のCV値]
本明細書においてコロイダルシリカのCV値は、動的光散乱法における散乱強度分布に基づく標準偏差を平均粒径で除して100を掛けた変動係数の値であって、上述のとおり、特に、検出角90度(側方散乱)で測定されるCV値をCV90、検出角30度(前方散乱)で測定されるCV値をCV30といい、具体的には実施例に記載の方法により得ることができる。本発明の研磨液組成物に使用されるコロイダルシリカのCV90は、生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、1〜35%が好ましく、5〜34%がより好ましく、10〜33%がさらに好ましい。
本発明者は、研磨材のΔCV値と研磨材凝集体(非球状粒子)の含有量との間に相関関係があること、及びΔCV値が所定範囲の研磨材を用いることにより、研磨後の基板のスクラッチ、研磨後の基板表面のうねり及びナノ突起欠陥を低減できることを見出した。係る効果が奏される理由は明らかではないが、ΔCV値を制御することで研磨材の一次粒子が凝集して生じた50〜200nmの研磨材凝集体(非球状粒子)が低減され、かかる凝集体が少ない研磨材を本発明の共重合体と組み合わせることで、研磨中に生じる前記凝集体の生成をより抑制し、かつ研磨時の摩擦振動を低減して研磨パッドの開孔部からの研磨材凝集体の脱落をより防止し、研磨後の基板のスクラッチに加え、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥をより低減していると推定される。但し、本発明はこれらの推定メカニズムに限定されない。
研磨材のΔCV値の調整方法としては、研磨液組成物の調製において50〜200nmの研磨材凝集物(非球状粒子)を生成しないようにする下記の方法が挙げられる。
A)研磨液組成物のろ過による方法
B)研磨材製造時の工程管理による方法
研磨材がコロイダルシリカの場合、上記A)では、例えば、遠心分離や精密フィルターろ過(特開2006‐102829及び特開2006‐136996)により、50〜200nmのシリカ凝集体を除去することでΔCV値を低減できる。
また、コロイダルシリカ粒子は、通常、1)10重量%未満の3号ケイ酸ソーダと種粒子(小粒径シリカ)の混合液(シード液)を反応層に入れ、60℃以上に加熱し、2)そこに3号ケイ酸ソーダを陽イオン交換樹脂に通した酸性の活性ケイ酸水溶液とアルカリ(アルカリ金属又は第4級アンモニウム)とを滴下してpHを一定にして球状の粒子を成長させ、3)熟成後に蒸発法や限外ろ過法で濃縮することで得られる(特開昭47−1964、特公平1−23412、特公平4−55125、特公平4−55127)。しかし、同じ製造プロセスで少し工程を変えると非球状粒子の製造も可能であることが多く報告されている。例えば、活性ケイ酸は非常に不安定なため意図的にCaやMgなどの多価金属イオンを添加すると細長い形状のシリカゾルを製造できる。さらに、反応層の温度(水の沸点を越えると蒸発し気液界面でシリカが乾燥)、反応層のpH(9以下ではシリカ粒子の連結が起きやすい)、反応層のSiO2/M2O(Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム)、及びモル比(30〜60で非球状シリカを選択的に生成)などを変えることで非球状シリカが製造できる(特公平8−5657、特許2803134、特開2006−80406、特開2007−153671)。したがって、上記B)では、公知の球状コロイダルシリカ製造プロセスにおいて、局部的に非球状シリカが生成する条件にならないように工程管理を行うことでΔCV値を小さく調整することができる。
[研磨材の真球率]
本明細書において研磨材の透過型電子顕微鏡観察により測定される真球率は、透過型電子顕微鏡により得られる研磨材粒子一個の投影面積(A1)と該粒子の周長を円周とする円の面積(A2)との比、すなわち、「A1/A2」の値であって、例えば、本発明の研磨液組成物における任意の50〜100個の研磨材についての「A1/A2」の値の平均値として求めることができる。研磨材の真球率は、具体的には、実施例に記載の方法により測定されうる。生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、本発明の研磨液組成物に使用される研磨材の真球率は、0.75〜1であり、0.75〜0.95が好ましく、0.75〜0.85がより好ましい。
[研磨材の表面粗度]
本明細書において研磨材の表面粗度は、ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)と透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)との比である「SA1/SA2」の値をいい、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。ナトリウム滴定法を適用する場合、研磨材はシリカであることが好ましい。ここで、ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)とは、研磨材に対して水酸化ナトリウム溶液を滴定したときの水酸化ナトリウム溶液の消費量から求められるものであり、実際の表面積を反映したものと言える。具体的には、研磨材表面に起伏または疣状突起などに富むものである程、比表面積(SA1)は大きくなる。一方、透過型電子顕微鏡により測定される平均粒径(S2)から算出される比表面積(SA2)は研磨材を理想的な球状粒子と仮定し、算出される。具体的には平均粒径(S2)が大きいほど、比表面積(SA2)は小さくなる。比表面積は単位質量あたりの表面積を示すものであって、表面粗度(SA1/SA2)の値については、研磨材が球状であって、研磨材表面に多くの疣状突起を有する程、大きい値を示し、研磨材表面の疣状突起が少なく、平滑である程、小さい値を示し、その値は1に近づく。
生産性を損なうことなくスクラッチ及び表面粗さを低減する観点から、本発明の研磨液組成物に使用される研磨材の表面粗度は、1.3以上であり、1.3〜2.5が好ましく、1.3〜2.0がより好ましい。
研磨材の真球率、表面粗度(SA1/SA2)及び平均粒径は、従来公知の研磨材の製造方法を用いて調整することができる。例えば、特開2008−137822号公報、特開2008−169102号公報に記載の製造方法を例示することができるが、本発明はこれに限定されない。
なお、研磨材の粒径分布を調整する方法としては、特に限定されないが、その製造段階における粒子の成長過程で新たな核となる粒子を加えることにより所望の粒径分布を持たせる方法や、異なる粒径分布を有する2種以上の研磨材粒子を混合して所望の粒径分布を持たせる方法等が挙げられる。
研磨液組成物中における研磨材の含有量は、研磨速度を向上させる観点から、0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、3重量%以上がさらに好ましく、4重量%以上がさらにより好ましい。また、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点からは、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、13重量%以下がさらに好ましく、10重量%以下がさらにより好ましい。すなわち、研磨材の含有量は、0.5〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、3〜13重量%がさらに好ましく、4〜10重量%がさらにより好ましい。
また、研磨液組成物中における、研磨材と共重合体との濃度比[研磨材の濃度(重量%)/共重合体の濃度(重量%)]は、研磨後の基板表面のうねりとナノ突起欠陥の低減の観点から、5〜5000が好ましく、10〜1000がより好ましく、25〜500がさらに好ましい。
[水]
本発明の研磨液組成物は、媒体として水を含むことができ、前記水として蒸留水、イオン交換水、超純水等を使用できる。被研磨基板の表面清浄性の観点からイオン交換水及び超純水が好ましく、超純水がより好ましい。研磨液組成物中の水の含有量は、60〜99.4重量%が好ましく、70〜98.9重量%がより好ましい。また、本発明の効果を阻害しない範囲内でアルコール等の有機溶剤を配合してもよい。
[酸]
本発明の研磨液組成物は、酸及び/又はその塩を含むことが好ましい。本発明の研磨液組成物に使用される酸としては、研磨速度の向上の観点から、その酸のpK1が2以下の化合物が好ましく、スクラッチを低減する観点から、好ましくはpK1が1.5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくはpK1で表せない程の強い酸性を示す化合物である。好ましい酸としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。中でも、スクラッチ低減の観点から、無機酸、カルボン酸、有機ホスホン酸が好ましい。また、無機酸の中では、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸がより好ましく、リン酸、硫酸がさらに好ましい。カルボン酸の中では、クエン酸、酒石酸、マレイン酸がより好ましく、クエン酸がさらに好ましい。有機ホスホン酸の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)がより好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)がさらに好ましい。これらの酸及びその塩は単独で又は2種以上を混合して用いてもよいが、研磨速度の向上、ナノ突起低減及び基板の洗浄性向上の観点から、2種以上を混合して用いることが好ましく、リン酸、硫酸、クエン酸及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸からなる群から選択される2種以上の酸を混合して用いることがさらに好ましい。ここで、pK1とは有機化合物又は無機化合物の第一酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は例えば改訂4版化学便覧(基礎編)II、pp316−325(日本化学会編)等に記載されている。
これらの酸の塩を用いる場合、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、スクラッチ低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物中における前記酸及び/又はその塩の含有量は、研磨速度向上、表面粗さ及びスクラッチ低減の観点から、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜4重量%であり、さらに好ましくは0.05〜3重量%、さらにより好ましくは0.1〜2.0重量%である。
[酸化剤]
本発明の研磨液組成物は、酸化剤を含むことが好ましい。本発明の研磨液組成物に使用できる酸化剤としては、研磨速度を向上させる観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。
前記過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等が挙げられ、過マンガン酸又はその塩としては、過マンガン酸カリウム等が挙げられ、クロム酸又はその塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等が挙げられ、ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等が挙げられ、酸素酸又はその塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、金属塩類としては、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。
好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。より好ましい酸化剤としては、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、表面粗さ、うねり及びスクラッチ低減の観点から、好ましくは4重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。従って、表面品質を保ちつつ研磨速度を向上させるためには、上記含有量は、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
[その他の成分]
本発明の研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。研磨液組成物中のこれら他の任意成分の含有量は、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。但し、本発明の研磨液組成物は、他の成分、とりわけ界面活性剤を含むことなく、研磨後の基板表面のうねりやナノ突起欠陥の低減効果を発揮し得る。さらに、本発明の研磨液組成物は、アルミナ砥粒を含ませることができ、最終研磨工程より前の粗研磨工程に使用することもできる。
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物のpHは、研磨速度向上の観点から4以下が好ましく、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3以下、さらにより好ましくは2.5以下である。また、表面粗さ低減の観点から、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上、さらにより好ましくは1.2以上である。また、研磨液組成物の廃液pHは、研磨速度向上の観点から4以下が好ましく、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.5以下、さらにより好ましくは3.0以下である。また、表面粗さ低減の観点から、研磨液組成物の廃液pHは、0.8以上が好ましく、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.2以上、さらにより好ましくは1.5以上である。なお、廃液pHとは、研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨廃液、即ち、研磨機より排出された直後の研磨液組成物のpHをいう。
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物は、例えば、水と、研磨材と、共重合体と、さらに所望により、酸及び/又はその塩と、酸化剤と、他の成分とを公知の方法で混合することにより調製できる。この際、研磨材は、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。本発明の研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、上述した範囲であるが、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。
[磁気ディスク基板の製造方法]
本発明は、その他の態様として、磁気ディスク基板の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう。)に関する。本発明の製造方法は、上述した本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう。)を含む磁気ディスク基板の製造方法である。これにより、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のうねりやナノ突起欠陥が低減された磁気ディスク基板を提供できる。本発明の製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。よって、本発明の製造方法は、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程を含む垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法である。
本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する方法の具体例としては、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する方法が挙げられる。
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。また使用した研磨液を再利用する循環研磨においても、本発明の研磨液組成物は使用できる。なお、研磨機としては、特に限定されず、磁気ディスク基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
[研磨パッド]
本発明で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
研磨パッドの表面部材の平均気孔径は、スクラッチ低減及びパッド寿命の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、さらにより好ましくは35μm以下である。パッドの研磨液保持性の観点から、気孔で研磨液を保持し液切れを起こさないようにするために、平均気孔径は0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは1μm以上、さらにより好ましくは10μm以上である。また、研磨パッドの気孔径の最大値は、研磨速度維持の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
[研磨荷重]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、好ましくは5.9kPa以上、より好ましくは6.9kPa以上、さらに好ましくは7.5kPa以上である。これにより、研磨速度の低下を抑制できるため、生産性の向上が可能となる。なお、本発明の製造方法において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は、研磨荷重は20kPa以下が好ましく、より好ましくは18kPa以下、さらに好ましくは16kPa以下である。これにより、スクラッチの発生を抑制することができる。したがって、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程において研磨圧力は5.9〜20kPaが好ましく、6.9〜18kPaがより好ましく、7.5〜16kPaがさらに好ましい。研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
[研磨液組成物の供給]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における本発明の研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05〜15mL/分であり、より好ましくは0.06〜10mL/分であり、さらに好ましくは0.07〜1mL/分、さらにより好ましくは0.08〜0.5mL/分、さらにより好ましくは0.12〜0.5mL/分である。
本発明の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本発明の研磨液組成物となる。
[被研磨基板]
本発明において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板が好適である。特にNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、アルミノシリケートガラスが適している。アルミノシリケートガラスは、結晶構造を有しているもの、化学強化処理を施したものが含まれる。化学強化処理は研磨後に行ってもよい。
また、本発明によれば、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のうねりやナノ突起欠陥が低減された磁気ディスク基板を提供できるため、高度の表面平滑性が要求される垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板の研磨に好適に用いることができる。
上記被研磨基板の形状には特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状であればよい。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2〜95mm程度であり、その厚みは例えば0.5〜2mm程度である。
[研磨方法]
本発明は、その他の態様として、上述した研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨することを含む被研磨基板の研磨方法に関する。本発明の研磨方法を使用することにより、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のうねりやナノ突起欠陥が低減された磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板が好ましくは提供される。本発明の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。なお、具体的な研磨の方法及び条件は、上述のとおりとすることができる。
[実施例1〜7、比較例1〜3]
共重合体であるメタクリル酸メチル/スチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(MMA/NaSS)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(NaSS)、アクリル酸/スチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(AA/NaSS)、又はアクリル酸/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(AA/AMPS)と、研磨材として下記表1に示すコロイダルシリカa〜cとを使用して研磨液組成物を調製し、被研磨基板の研磨を行い、研磨後の基板のうねり、スクラッチ及びナノ突起欠陥を評価した。なお、下記表1に示すコロイダルシリカの平均粒径は、動的光散乱法において検出角90度で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径である。評価結果を下記表2に示す。共重合体の製造方法、研磨液組成物の調製方法、各パラメータの測定方法、研磨条件(研磨方法)及び評価方法は以下のとおりである。
Figure 0005571926
[共重合体の製造方法]
下記表2の(共)重合体は、それぞれ、公知の溶液重合で製造された(共)重合体を使用した。なお、実施例1で使用した共重合体の製造方法を代表例として示す。
〔実施例1記載の共重合体の製造法〕
1Lの四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール225g(キシダ化学製)、イオン交換水225g、メタクリル酸メチル15g(和光純薬工業製)、スチレンスルホン酸ナトリウム35g(和光純薬工業製)を仕込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩8.3g(V−50、和光純薬工業製)を反応開始剤として、83±2℃で2時間重合し、更に2時間熟成を行い、その後、減圧下で溶剤を除去することで、白色粉のメタクリル酸メチル/スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体(50/50モル%)を得た。この共重合体の重量平均分子量は15000であった。
実施例2〜7、比較例2の各共重合体は、上記記載の方法に従い、モノマー比率を変更して重合を行った。比較例1にはポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(NaSS、東ソー社製)、比較例3にはアクリル酸/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(AA/AMPS、東亞合成社製)を用いた。各(共)重合体の重合比及び重量平均分子量は下記表2のとおりである。なお、重量平均分子量は、下記測定条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
〔MMA/NaSSのGPC条件〕
カラム :TSKgel α−M+TSKgel α−M(東ソー製)
ガードカラム:TSKguardcolumn α(東ソー製)
溶離液 :60mmol/L リン酸,50mmol/L LiBr/DMF
温度 :40℃
流速 :1.0mL/min
試料サイズ:3mg/mL
検出器 :RI
換算標準 :ポリスチレン
〔NaSSのGPC条件〕
カラム :TSKgel GMPWXL+TSKgel GMPWXL(東ソー製)
溶離液 :0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=7/3体積比
温度 :40℃
流速 :1.0mL/min
試料サイズ:2mg/mL
検出器 :RI
換算標準 :ポリエチレングリコール
〔AA/NaSS、及び、AA/AMPSのGPC条件〕
カラム :TSKgel G4000PWXL+TSKgel G2500PWXL(東ソー製)
溶離液 :0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1体積比
温度 :40℃
流速 :1.0mL/min
試料サイズ:5mg/mL
検出器 :RI
換算標準 :ポリアクリル酸Na
[研磨液組成物の調製方法]
上記表1に示すコロイダルシリカa〜cと、上記共重合体と、硫酸(和光純薬工業社製 特級)と、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ソルーシア・ジャパン製 ディクエスト2010)と、過酸化水素水(旭電化製 濃度:35重量%)とをイオン交換水に添加し、これらを混合することにより、下記表2に示すコロイダルシリカ及び共重合体を含む実施例1〜7及び比較例1〜4の研磨液組成物を調製した。研磨液組成物中におけるコロイダルシリカ、硫酸、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ、4.5重量%、0.4重量%、0.1重量%、0.4重量%とし、共重合体の含有量は、下記表2に示すとおりとした。
[コロイダルシリカの平均粒径、CV90、ΔCV値の測定方法]
〔平均粒径及びCV90〕
下記表1に示すコロイダルシリカと、硫酸と、HEDPと、過酸化水素水とをイオン交換水に添加し、これらを混合することにより、標準試料を作製した。標準試料中におけるコロイダルシリカ、硫酸、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ4.5重量%、0.4重量%、0.1重量%、0.4重量%であった。この標準試料を大塚電子社製動的光散乱装置DLS−6500により、同メーカーが添付した説明書に従って、200回積算した際の検出角90度におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒径を求め、コロイダルシリカの平均粒径とした。また、CV90は上記測定法に従って測定した散乱強度分布における標準偏差を前記平均粒径で除して100をかけた値をCV90とした。
〔ΔCV値〕
検出角30度におけるコロイダルシリカ粒子のCV値(CV30)を上記測定法に倣って測定し、CV30からCV90を引いた値を求め、ΔCV値とした。CV90及びCV30の測定条件は以下のとおりである。
(DLS−6500の測定条件)
検出角:90°
Sampling time : 4(μm)
Correlation Channel : 256(ch)
Correlation Method : TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
検出角:30°
Sampling time : 10(μm)
Correlation Channel : 1024(ch)
Correlation Method : TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
[研磨材(コロイダルシリカ)の真球率の測定方法]
コロイダルシリカを含む試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)商品名「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍、日本電子社製)により当該製造業者が添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて粒子一個の投影面積(A1)と該粒子の周長を円周とする円の面積(A2)を計測し、前記粒子の投影面積(A1)と前記粒子の周長から求めた面積(A2)との比(A1/A2)を真球率として算出した。なお、上記表1の数値は、100個のシリカ粒子の真球率を求めた後これらの平均値を算出したものである。
[研磨材(コロイダルシリカ)の表面粗度の測定方法]
下記に示すとおり、ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)及び透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)を得て、それらの比(SA1/SA2)を算出して表面粗度とした。
〔ナトリウム滴定法によりコロイダルシリカの比表面積(SA1)を得る方法〕
1)SiO2として1.5gに相当するコロイダルシリカを含む試料をビーカーに採取して恒温反応槽(25℃)に移し、純水を加えて液量を90mlにする。以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行う。
2)pH3.6〜3.7になるように0.1モル/L塩酸溶液を加える。
3)塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mlに希釈し、10分間攪拌する。
4)pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液を滴下して、pH4.0に調整する。
5)pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH8.7〜9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとして、検量線を作る。
6)下記式(1)からSiO21.5g当たりのpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の消費量V(ml)を求め、次の〔a〕〜〔b〕に従って比表面積SA1[m2/g]を求める。
〔a〕下記式(2)にて、SA1の値を求め、その値が80〜350m2/gの範囲にある場合は、その値をSA1とする。
〔b〕下記式(2)によるSA1の値が350m2/gを超える場合は、改めて下記式(3)にて、SA1を求め、その値をSA1とする。
V=(A×f×100×1.5)/(W×C) ・・・(1)
SA1=29.0V−28 ・・・(2)
SA1=31.8V−28 ・・・(3)
但し、上記式(1)における記号の意味は次の通りである。
A:SiO21.5g当たりpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量(ml)
f:0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の力価
C:試料のSiO2濃度(%)
W:試料採取量(g)
〔透過型電子顕微鏡観察により平均粒径(S2)および比表面積(SA2)を求める方法〕
コロイダルシリカを含む試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)商品名「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍、日本電子社製)により当該製造業者が添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影する。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて個々のシリカ粒子の円相当径を求め、それを粒子径とする。このようにして、1000個以上のシリカ粒子の粒子径を求めた後、その平均値を算出し、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)とする。次に、上記にて求められた平均粒径(S2)の値を下記式(4)に代入し、比表面積(SA2)を得る。
SA2=6000/(S2×ρ) ・・・(4) (ρ:試料の密度)
ρ:2.2(コロイダルシリカの場合)
[研磨]
上記のように調製した実施例1〜7及び比較例1〜3の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨された基板のうねり、ナノ突起欠陥、及びスクラッチを以下に示す条件に基づいて測定し、評価を行った。結果を下記表2に示す。下記表2に示すデータは、各実施例及び各比較例につき4枚の被研磨基板を研磨した後、各被研磨基板の両面について測定し、4枚(表裏合わせて計8面)のデータの平均とした。
[被研磨基板]
被研磨基板としては、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nm、長波長うねり(波長0.4〜2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50〜400μm)の振幅は2nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径30μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.072mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:7.9kPa
研磨時間:4分間
[ナノ突起欠陥及びスクラッチの評価方法]
測定機器:Candela Instruments社製、OSA6100
評価:研磨試験機に投入した基板の中、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してナノ突起欠陥及びスクラッチを測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのナノ突起欠陥及びスクラッチの数を算出した。その結果を、下記表2に、比較例1を100とした相対値として示す。
[うねりの評価方法]
研磨後の8枚の基板から任意に3枚を選択し、下記の条件で測定した。その3枚の測定値の平均値を基板の短波長うねりとして算出した。その結果を、下記表2に、比較例1を100とした相対値として示す。
測定機:ThoT model M4224(ThoTテクノロジー社製)
振動計:レーザードップラー振動計(ヨウ素安定化He−Neレーザー:633nm)
測定波長:5〜50μm(短波長うねり)
測定位置:基板中心より半径20mmから46mmの全面
基板回転速度:6000rpm
ゲイン:16
フィルター:10kHz
レーザーレンジ:5mm/s/V
トラックピッチ:0.01mm
Figure 0005571926
表2に示すように、実施例1〜7の研磨液組成物を用いると、比較例1〜3に比べ、研磨後の基板のスクラッチに加えて、基板表面のうねり及びナノ突起を低減できた。
[実施例8、比較例4〜5:ガラス基板の研磨]
下記のように調製した実施例8及び比較例4〜5の研磨液組成物を用いて、下記の研磨条件でガラス基板を研磨した。ナノ突起欠陥及びうねりの評価は下記の方法により行った。結果を下記表3に示す。下記表3に示すデータは、各実施例及び各比較例につき10枚の被研磨基板を研磨した後、無作為に4枚を選択し、各々の基板の両面について測定し、表裏合わせて計8面のデータの平均とした。
[研磨液組成物の調製方法]
前記コロイダルシリカa(表1)と、下記表3に示す(共)重合体と、硫酸(和光純薬工業社製 特級)と、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ソルーシア・ジャパン社製 ディクエスト2010)とをイオン交換水に添加し、これらを混合することにより、実施例4及び比較例4〜5の研磨液組成物を調製した。研磨液組成物中におけるコロイダルシリカ、硫酸、HEDPの含有量は、それぞれ、8.0重量%、0.4重量%、0.13重量%であり、共重合体の含有量は、下記表3に示すとおりとした。
実施例8の共重合体は、実施例1の共重合体と同様に製造されたものである。また、比較例4にはポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(NaSS、 東ソー社製)、比較例5にはアクリル酸/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(AA/AMPS、東亞合成社製)を用いた。各(共)重合体の重合比及び重量平均分子量は下記表3のとおりである。なお、重量平均分子量は、前述の測定条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
[ガラス基板]
ガラス基板は、セリア砥粒を含有する研磨液であらかじめ粗研磨したアルミノシリケートガラス基板を用いた。なお、このガラス基板は、厚さが0.635mm、外径が65mm、内径が20mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが3nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径30μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:約0.3mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:8.4kPa
[ナノ突起欠陥の評価方法]
ナノ突起欠陥は前述の方法と同様に行った。なお、表3中の値は、比較例4を100としたときの相対値である。
[うねりの評価方法]
研磨量が17mg以上になるように研磨した基板と、17mg以下になるように研磨した基板を下記条件でそれぞれ測定し、うねりの値を得た。それらの値から内挿して17mg減少した際のうねりの値を算出した。うねりは各研磨時間につき3枚測定し、平均値を基板のうねりとして算出した。その結果を、下記表3に、比較例4を100とした相対値として示す。
測定機:New View 5032(Zygo社製)
レンズ:2.5倍
ズーム:0.5倍
測定波長:159〜500μm(中波長うねり)
測定位置:基板中心より半径27mm
解析ソフト:Zygo Metro Pro(Zygo社製)
Figure 0005571926
表3に示すように、実施例8の研磨液組成物を用いると、比較例4〜5に比べ、研磨後の基板の基板表面のうねり及びナノ突起を低減できた。
本発明によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。

Claims (9)

  1. 研磨材と、下記一般式(1)で表される構成単位及びスルホン酸基を有する構成単位を有する共重合体又はその塩とを含有し、前記共重合体の重量平均分子量が、1000以上10000以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
    Figure 0005571926
    [式中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R2は炭素数1〜22の炭化水素鎖である。]
  2. スルホン酸基を有する構成単位が下記一般式(2)で表される、請求項1記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
    Figure 0005571926
    [式(2)中、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R4は1又は複数のスルホン酸基を有するアリール基である。]
  3. 前記共重合体を構成する全構成単位中における前記一般式(1)で表される構成単位とスルホン酸基を有する構成単位とのモル比が5/95〜95/5である、請求項1又は2記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  4. 研磨材が下記(a)及び(b)の条件を満たす、請求項1から3のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物;
    (a)動的光散乱法により検出角90度で測定される平均粒径が1〜40nm、
    (b)動的光散乱法により検出角30度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角30度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCV(変動係数)の値(CV30)と、動的光散乱法により検出角90度で測定される粒径の標準偏差を動的光散乱法により検出角90度で測定される平均粒径で除して100を掛けたCV値(CV90)との差ΔCV(ΔCV=CV30−CV90)が0〜10%。
  5. 研磨材が下記(c)の条件を満たす、請求項1から4のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物;
    (c)透過型電子顕微鏡観察により測定される真球率が0.75〜1。
  6. 研磨材が下記(d)の条件を満たす、請求項1から5のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物;
    (d)ナトリウム滴定法により測定される比表面積(SA1)を、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均粒径(S2)から換算される比表面積(SA2)で除した表面粗度(SA1/SA2)の値が、1.3以上。
  7. 磁気ディスク基板がNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板である、請求項1から6のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  8. 磁気ディスク基板がガラス基板である、請求項1から6のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
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