JP4187206B2 - 研磨液組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨液組成物に関する。更に詳しくは、被研磨基板を高い研磨速度で、効率的に研磨することができ、特に酸化珪素膜の研磨において有用な研磨液組成物、ならびに、該研磨液組成物を用いる被研磨基板の研磨方法及び被研磨基板を研磨する速度を向上させる方法に関する。
現在、各種基板の製造において、種々の基板を研磨する工程が用いられている。例えば、半導体分野では、シリコンウエハ基板、ガリウム砒素、インジウムリン、窒化ガリウム等の化合物半導体ウエハ基板、さらにウエハ上に形成された酸化珪素膜、アルミニウム、銅、タングステン等の金属膜、窒化珪素、窒化タンタル、窒化チタン等の窒化膜等を研磨する工程が、ハードディスク分野では、アルミニウム基板やガラス基板を研磨する工程が、レンズや液晶等の表示デバイスの分野ではガラスの研磨がある。これら被研磨基板の研磨工程では、生産性を高めるため研磨速度が重要であり、研磨速度を向上するための技術が種々提案されている。
例えば、無機粒子と重合体粒子とを含有した凝集体を使用する研磨剤が開示されている(特許文献1、2、3参照)が、これらの研磨剤中では砥粒の分散安定性が悪く、スクラッチ発生のおそれがある。一方、無機粒子と重合体粒子とを含有する化学機械研磨用水系分散体が開示されている(特許文献4参照)が、この水系分散体は、スクラッチの低減効果には優れるものの、無機粒子の好ましい平均粒子径は0.1μm以上であり、具体的に記載された無機粒子も0.18μm、0.24μmと大きすぎるため、研磨速度向上効果が見られず、十分な研磨速度を達成しているとはいえない。
特開2000−269169号公報 特開2000−269170号公報 特開2001−115143号公報 特開2000−204353号公報
本発明の目的は、シリコン、ガラス、酸化物、窒化物、金属等の被研磨基板や被加工膜を高い速度で研磨することができ、しかもスクラッチの発生の少ない研磨液組成物、該研磨液組成物を用いた被研磨基板の研磨方法、及び該研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨速度を向上させる方法を提供することにある。
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕水系媒体中に重合体粒子及び無機粒子を含有し、該無機粒子の平均粒子径が5〜170nmであり、かつ前記重合体粒子の平均粒子径Dp(nm)と前記無機粒子の平均粒子径Di(nm)が下記式(1)を満足する研磨液組成物。
Dp≦Di+50nm (1)
〔2〕前記〔1〕記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する被研磨基板の研磨方法、並びに
〔3〕前記〔1〕記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する速度を向上させる方法
に関する。
本発明の研磨液組成物をシリコン、ガラス、酸化物、窒化物、金属等の被研磨基板や被加工膜の研磨に用いることにより、スクラッチの発生が少なく、高い速度で研磨することができるという効果が発現される。
本発明の研磨液組成物は、前記のように、水系媒体中に重合体粒子及び無機粒子を含有し、該無機粒子の平均粒子径が5〜170nmであり、かつ前記重合体粒子の平均粒子径Dp(nm)と前記無機粒子の平均粒子径Di(nm)が下記式(1):
Dp≦Di+50nm (1)
を満足するものである。
本発明においては、かかる構成を有することにより、シリコン、ガラス、酸化物、窒化物、金属等の被研磨基板や被加工膜を高い速度で研磨することができるという効果が発現される。
本発明に使用される重合体粒子としては、熱可塑性樹脂からなる粒子及び熱硬化性樹脂からなる粒子が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。該樹脂としては、研磨速度向上効果の点で、熱可塑性樹脂からなる粒子がより好ましく、中でもポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂からなる粒子が特に好ましい。
重合体粒子が熱可塑性樹脂からなる粒子である場合、研磨速度の向上効果が大きい。この理由は明確ではないが、研磨液組成物が研磨中に強い剪断力を受けると、重合体粒子が無機粒子を巻き込みながら凝集し、研磨力の高い凝集複合体粒子が生成すると推定しており(例えば、図1を参照)、重合体粒子が熱可塑性樹脂からなる粒子である場合、この凝集複合体粒子が生成及び成長しやすく、その結果、研磨速度の向上効果が大きくなると推定される。
ポリスチレン樹脂としては、ポリスチレン及びスチレン系共重合体等が挙げられる。スチレン系共重合体は、スチレンと各種エチレン性不飽和単量体からなる共重合体であり、共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボン酸系単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、スチレンスルホン酸ナトリウム、アクリルアミドt−ブチルスルホン酸(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)等のスルホン酸系単量体、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ビニルピリジン等のアミノ系単量体、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩系単量体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等のノニオン系単量体、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の架橋性単量体等が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル系共重合体等が挙げられる。アクリル系共重合体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系の単量体の1種以上と各種エチレン性不飽和単量体からなる共重合体であり、共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、スチレン系共重合体の場合と同様の単量体が挙げられる。
中でも、重合体粒子がポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂からなる場合、重合体粒子を架橋して用いることが可能である。架橋は前記共重合可能な架橋性単量体を適宜共重合することにより行うことができる。この架橋の程度は、架橋度により表され、重合体粒子の添加量あたりの研磨速度向上効果の観点から、架橋度は低い方が好ましく、具体的には50以下、好ましくは30以下が望ましい。重合体粒子が架橋度50以下の樹脂からなる粒子である場合、研磨速度の向上効果が大きい。この理由は、明確ではないが、重合体粒子が架橋度50以下の樹脂からなる粒子である場合、研磨液組成物が研磨中に強い剪断力を受けると、重合体粒子が無機粒子を巻き込みながら凝集し、研磨力の高い凝集複合体粒子が生成及び成長し易く、その結果、研磨速度の向上効果が大きくなると推定される(例えば、図1を参照)。また、被研磨面の面内均一性向上の観点から、架橋度は高い方が好ましく、具体的には、0.5以上、好ましくは1以上が望ましい。ここで架橋度とは、重合体あたりの共重合可能な架橋性単量体の仕込み重量%である。
重合体粒子を構成する樹脂は、研磨速度向上効果の点で、そのガラス転移温度が200℃以下のものが好ましく、180℃以下がより好ましく、150℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度が200℃以下の樹脂としては、ポリエチレン(−120℃)、ポリプロピレン(−10℃)、ポリスチレン(100℃)、ポリメチルアクリレート(3℃)、ポリメチルメタクリレート(115℃:シンジオタクチック、45℃:イソタクチック)、ポリブチルメタクリレート(21℃)、ポリ塩化ビニル(87℃)、ポリクロロプレン(−50℃)、ポリビニルアセテート(28℃)等の樹脂が挙げられる。なお、ガラス転移温度の値は、「高分子と複合材料の力学的性質」(株)化学同人のp316〜318に記載された値である。重合体粒子がガラス転移温度200℃以下の樹脂からなる粒子である場合、研磨速度の向上効果が大きい。この理由は、明確ではないが、重合体粒子がガラス転移温度200℃以下の樹脂からなる粒子である場合、研磨液組成物が研磨中に強い剪断力を受けると、重合体粒子が無機粒子を巻き込みながら凝集し、研磨力の高い凝集複合体粒子が生成及び成長しやすく、その結果、研磨温度の向上効果が大きくなると推定される(例えば、図1を参照)。
重合体粒子は、乳化重合、沈殿重合、懸濁重合によりエチレン性不飽和単量体から直接粒子を得る方法、重合体を乳化分散する方法、又は塊状の樹脂を粉砕する方法により得ることができ、さらにこのようにして得られた重合体粒子は、必要に応じて分級して用いることができる。なかでも本発明で有用な粒子径の重合体粒子を容易に得ることができる点で、乳化重合が好ましい。
重合体粒子の平均粒子径は、研磨速度向上の観点、また、重合体粒子の沈降・分離を防止する観点から、10〜220nmが好ましく、20〜180nmがより好ましい。なお、平均粒子径は、光散乱法又は光回折法で測定することができる。
本発明において、無機粒子としては、研磨用に一般に使用される研磨材を使用することができ、例えば、金属、金属又は半金属の炭化物、金属又は半金属の窒化物、金属又は半金属の酸化物、金属又は半金属のホウ化物、ダイヤモンド等が挙げられる。金属又は半金属元素は周期律表の3A、4A、5A、3B、4B、5B、6A、7A又は8族に属するものが挙げられる。その例としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、二酸化マンガン、炭化ケイ素、酸化亜鉛、ダイヤモンド及び酸化マグネシウムが挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び酸化セリウムが好ましく、この具体例として、二酸化ケイ素としては、コロイダルシリカ粒子、フュームドシリカ粒子、表面修飾したシリカ粒子等;酸化アルミニウムとしては、α−アルミナ粒子、γ−アルミナ粒子、δ−アルミナ粒子、θ−アルミナ粒子、η−アルミナ粒子、無定型アルミナ粒子、その他の製造法の異なるフュームドアルミナ粒子やコロイダルアルミナ粒子等;酸化セリウムとしては、酸化数が3価又は4価のもの、結晶系が、六方晶系、等軸晶系又は面心立方晶系のもの等が挙げられる。さらにこれらの中でも、粒子の形状が球形に近く、一次粒子の状態で長期間安定に分散できるコロイダルシリカ粒子が特に好ましい。コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸アルカリ金属塩を原料とする水ガラス(珪酸ナトリウム)法又はテトラエトキシシラン等を原料とするアルコキシシラン法で得ることができる。これらの無機粒子は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
無機粒子の平均粒径は、5〜170nmであるが、研磨速度向上の観点、また、無機粒子の沈降・分離を防止する観点から、10〜160nmが好ましく、20〜130nmがより好ましく、20〜95nmが更に好ましい。なお無機粒子の平均粒子径は、ヒュームドシリカ等のように二次凝集しているものについては光散乱法又は光回折法で測定される二次粒子の平均粒子径であり、コロイダルシリカ等のように粒子が単粒子で存在するものは、BET法で測定した比表面積を用いて、算出した一次粒子の平均粒径である。なお、BET法より求める粒子径(nm)は、6000/(比重/比表面積)〔比重(g/cm3 )、比表面積(m2 /g)〕の式により算出される。ただし、無機粒子の表面形状が多孔質であり、BET法では正しい粒子径が得られない場合は、超遠心分析法により求めた平均粒子径である。超遠心分析法としては、Particle & Particle Systems Characterization 12(1995)148-157に記載された方法が挙げられる。
また、重合体粒子の平均粒子径Dp(nm)は、無機粒子の平均粒子径Di(nm)に対して、Dp≦Di+50nmを満たすが、研磨速度向上の観点から、好ましくはDp≦Di+40nm、より好ましくはDp≦Di+30nmである。また、重合体粒子の入手の容易さの観点から、Dp≧0.1Diが好ましく、より好ましくはDp≧0.2Diである。ただしDp、Diは、重合体粒子、無機粒子の平均粒子径をそれぞれnm単位で表した値である。
重合体粒子と無機粒子は、単に混合した場合、凝集体を形成しないことが好ましい。重合体粒子と無機粒子を単に混合した場合に、重合体粒子と無機粒子とが凝集すると粗大粒子が形成され、粗大粒子の沈降・分離が原因となるスクラッチ発生及び研磨速度の変動を引き起こす可能性がある。このようなスクラッチ発生及び研磨速度の変動を防止する点から、水系媒体中で逆符号のゼータ電位を有する重合体粒子と無機粒子を用いることは好ましくない。即ち、重合体粒子と無機粒子は、0又は同符号のゼータ(ξ)電位を有することが好ましい。
無機粒子のゼータ電位の符号は、水系媒体のpHによって決定され、低pH域ではゼータ電位が正、高pH域ではゼータ電位が負である場合が多い。一方、重合体粒子のゼータ電位は、重合体表面に特定の官能基を存在させることによって広範囲のpH域にわたって正又は負に調整することができる。そのため、実際に研磨を行う場合の研磨液組成物のpHにおいて、無機粒子が示すゼータ電位と逆符号にならないよう重合体粒子のゼータ電位を調整することが好ましい。具体的には、無機粒子のゼータ電位が0又は負である場合、ゼータ電位が0又は負に調整された重合体粒子を使用し、無機粒子のゼータ電位が0又は正である場合、ゼータ電位が0又は正に調整された重合体粒子を使用することが好ましい。
ゼータ電位が負に調整された重合体粒子は、粒子表面にカルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩のうち少なくとも1種を導入することで得ることができる。上記官能基を導入するためには、上記官能基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合する方法、アニオン性活性剤を用いて乳化重合する方法、重合開始剤にアニオン性の官能基を有する剤を用いて乳化重合する方法等を用いることができる。上記エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、アクリルアミドt−ブチルスルホン酸(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)等の化合物を用いることができる。また、上記アニオン性活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を用いることができる。上記重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等を用いることができる。
ゼータ電位が正に調整された重合体粒子は、粒子表面にアミノ基、四級アンモニウム塩基のうち少なくとも1種を導入することで得ることができる。上記官能基を導入するためには、上記官能基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合する方法、カチオン性活性剤を用いて乳化重合する方法、重合開始剤にカチオン性の官能基を有する剤を用いて乳化重合する方法等を用いることができる。上記エチレン性不飽和単量体としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ビニルピリジン、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド等の化合物を用いることができる。また、上記カチオン性活性剤としては、アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン等を用いることができる。上記重合開始剤としては、V−50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩)等を用いることができる。
研磨液組成物中の重合体粒子の含有量は、研磨速度向上の観点から、0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜15重量%がより好ましく、0.3〜10重量%が更に好ましい。
研磨液組成物中の無機粒子の含有量は、研磨速度向上の観点、及びコストの観点から、0.1〜50重量%が好ましく、0.5〜40重量%がより好ましく、1〜30重量%が更に好ましい。
また、研磨液組成物中の重合体粒子の含有量(Cp)と無機粒子の含有量(Ci )との比(Cp/Ci)は、研磨速度向上の観点から、0.03〜2が好ましく、0.03〜1.5がより好ましく0.04〜1が更に好ましく、特に、
(I)Dp/Diが1.0未満のとき、0. 3−0. 3Dp/Di≦Cp/Ci≦2であることが好ましく、
(II)Dp/Diが1.0以上で、かつ、Dpが70nm未満のとき、Cp/Ci≦4−2Dp/Diであることが好ましく、
(III) Dp/Diが1.0以上で、かつ、Dpが70nm以上のとき、Cp/Ci≦0.8−0.4Dp/Diであることが好ましい。
平均粒子径が5〜170nmの無機粒子のみを含有する研磨液組成物の研磨速度は低いが、前記のような重合体粒子及び無機粒子の含有量の比と、前記重合体粒子及び無機粒子の平均粒径の比との関係を満たす場合、研磨速度が大きく向上する。この理由は、明確ではないが、研磨液組成物が研磨中に強い剪断力を受けると、重合体粒子が無機粒子を巻き込みながら凝集し、研磨力の高い凝集複合体粒子が生成するためと推定される(例えば、図1を参照)。
一方、前記重合体粒子及び無機粒子の平均粒子径の関係の範囲から外れる場合、すなわち重合体粒子の粒径が無機粒子の粒径よりも過度に大きい場合は、研磨中に生成する凝集複合体粒子の形状が、無機粒子が重合体粒子に埋もれたような状態となり、逆に研磨力が低下し、研磨速度向上効果が発現しなくなると推定される。また、前記のような重合体粒子及び無機粒子の含有量の比から外れる場合、すなわち、重合体粒子が過度に少ない場合は、研磨中の凝集複合体粒子の生成量が少なすぎて、研磨速度向上効果が発現せず、重合体粒子が過度に多い場合は、研磨中に生成する凝集複合体粒子の形状が、無機粒子が重合体粒子に埋もれたような状態となり、逆に研磨力が低下し、研磨速度向上効果が発現しないと推定される。
前記(I)〜(III) の中でも、表面粗さ低減の観点から、研磨液組成物中においては、Dp/Diが1.0以上で、かつ、Dpが70nm未満のとき、Cp/Ci≦4−2Dp/Diであることが好ましい。
本発明において水系媒体としては、水、及びアルコール等の水と混じり合う溶媒との混合媒体物を使用することができるが、イオン交換水等の水を用いることが好ましい。研磨液組成物中の水系媒体の含有量は、研磨速度向上の観点及び無機粒子又は重合体粒子の沈降・分離を防止する観点から、50〜99.8重量%が好ましく、60〜99重量%がより好ましい。
本発明の研磨液組成物は、重合体粒子と無機粒子とを水系媒体に配合することにより調製することができる。具体的には、重合体粒子を含む水分散体と無機粒子を含む水分散体とを混合すること、重合体粒子を含む水分散体に無機粒子を配合すること、無機粒子を含む水分散体に重合体粒子を配合することにより調製することができる。なかでも、重合体粒子を含む水分散体と無機粒子を含む水分散体とを混合する方法が、容易であり好ましい。
重合体粒子を含む水分散体は、例えば、以下の方法によって調製することができる。水系媒体を用いてエチレン性不飽和単量体を重合させ、あるいは必要に応じて他の単量体と共重合させ、生成する重合体粒子とそれを含む水系媒体を、そのまま得る方法。有機溶媒を用いてエチレン性不飽和単量体を重合させ、あるいは必要に応じて他の単量体と共重合させ、生成する重合体粒子とそれを含む有機溶媒を、蒸留等によりそのまま水系媒体に溶媒置換し、水分散体を得る方法。水系媒体あるいは有機溶媒を用いて重合し、得られた重合体を乾燥及び粉砕等を行った後、得られる粉末を水系媒体に再分散させ、水分散体を得る方法。中でも、水系媒体を用いてエチレン性不飽和単量体を重合させ、あるいは必要に応じて他の単量体と共重合させ、生成する重合体粒子とそれを含む水系媒体を、そのまま水分散体として得る方法が、簡便であり、得られる重合体粒子の平均粒径の制御も容易であり好ましい。
無機粒子を含む水分散体は、例えば、以下の方法によって調製することができる。粉末状の無機粒子を、必要に応じてさらに粉砕し、水系媒体中に配合し、超音波、攪拌、混練等の機械力により強制的に分散する方法。水系媒体中で無機粒子を成長させる方法。中でも、水系媒体中で無機粒子を成長させる方法は、得られる無機粒子が一次粒子の状態で安定に分散しており、さらに粒径の制御も容易であり好ましい。
研磨液組成物を調製する際は、無機粒子と重合体粒子が、水系媒体中で常に逆符号のゼータ電位を有しないようにすることが好ましい。例えば、無機粒子の水分散体と重合体粒子の水分散体を混合する場合、混合により無機粒子の水分散体のpHが変化して等電点を通過して、無機粒子のゼータ電位が重合体粒子と逆符号とならないよう、混合前に予め、pHを調整することが好ましい。
本発明の研磨液組成物には、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、pH調整剤、分散安定化剤、酸化剤、キレート剤、防腐剤等が挙げられる。
pH調整剤としては、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水溶性有機アミン等の塩基性物質、酢酸、シュウ酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸等の有機酸及び、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸等の酸性物質が挙げられる。
分散安定化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、あるいは、ポリアクリル酸又はその塩、アクリル酸共重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体(プルロニック類)等の高分子分散剤等が挙げられる。
酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、硝酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硫酸等が挙げられる。
キレート剤としては、シュウ酸、コハク酸、フタル酸、トリメリット酸等の多価カルボン酸;グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸;ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミン四酢酸等のポリアミノカルボン酸;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等の多価ホスホン酸等が挙げられる。
防腐剤としては、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
研磨液組成物のpHは、被研磨物の種類や要求品質等に応じて適宜決定することが好ましい。例えば、研磨液組成物のpHは、被研磨基板の洗浄性及び加工機械の腐食防止性、作業者の安全性の観点から、2〜12が好ましい。また、被研磨物が半導体ウエハや半導体素子等、特にシリコン基板、ポリシリコン基板、酸化珪素膜等である場合は、研磨速度向上と表面品質の向上の観点から、研磨液組成物のpHは、7〜12がより好ましく、8〜12がさらに好ましく、9〜11が特に好ましい。さらにNi-Pメッキされたアルミニウム合金基板等の金属を主対象とした精密部品用基板である場合、研磨速度向上と表面品質の向上の観点から、2〜9がより好ましく、3〜8が特に好ましい。該pHは、必要により、先に挙げたpH調整剤を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
本発明の被研磨基板の研磨方法は、本発明の研磨液組成物を用いて、あるいは本発明の研磨液組成物の組成となるように各成分を混合して組成物を調製して被研磨基板を研磨する工程を有しており、特に精密部品用基板を好適に製造することができる。
本発明の対象である被研磨基板に代表される被研磨物の材質は、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属又は半金属、及びこれらの金属を主成分とした合金、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質、アルミナ、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化タンタル、窒化チタン等のセラミック材料、ポリイミド樹脂等の樹脂などが挙げられる。特に、ガラスやPE−TEOS膜等の被研磨基板上に形成された二酸化ケイ素を有する基板を研磨する際に本発明の研磨液組成物を用いた場合、研磨速度の向上効果が高く好ましい。
これらの被研磨物の形状には特に制限がなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が本発明の研磨液組成物を用いた研磨の対象となる。その中でも、ディスク状の被研磨物の研磨に特に優れている。
本発明の研磨液組成物は、精密部品用基板の研磨に好適に用いられる。例えば、半導体基板、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の磁気記録媒体の基板、フォトマスク基板、液晶ガラス、光学レンズ、光学ミラー、光学プリズム等の研磨に適している。半導体基板の研磨は、シリコンウェハ(ベアウェハ)のポリッシング工程、埋め込み素子分離膜の形成工程、層間絶縁膜の平坦化工程、埋め込み金属配線の形成工程、埋め込みキャパシタ形成工程等において行われる研磨がある。
本発明の研磨液組成物を用いる被研磨基板の研磨方法としては、例えば、不織布状の有機高分子系の研磨布等を張り付けた研磨盤に、上記被研磨基板を固定した冶具を押しつけ、あるいは、研磨布を張り付けた研磨盤に、上記被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨面に供給し、一定の圧力を加えながら研磨盤や基板を動かすことにより被研磨基板を研磨する方法が挙げられる。
以上のように、本発明の研磨液組成物を用いることで、研磨速度を向上させることができる。
本発明の研磨液組成物は、ポリッシング工程において特に効果があるが、これ以外の研磨工程、例えば、ラッピング工程等にも同様に適用することができる。
以下の実施例中の「重量%」は、重合体粒子の水分散体全量又は研磨液組成物全量に対してである。「部」は、重量部を示す。また、重合体粒子の平均粒子径は、光散乱法(大塚電子(株)製、商品名:レーザーゼータ電位計 ELS8000)にて測定した値であり、無機粒子については、Levasil50CK (商品名、バイエル製、有効分30重量%、平均粒子径85nm)は超遠心分析法で求めた値であり、他はすべてBET法にて求めた値である。
合成例1(重合体粒子(a) の合成)
スチレン9.5部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名:ネオペレックスF−25、有効分25重量%)15.2部、アルキルベンゼンエチレンオキサイド付加物(花王(株)製、商品名:エマルゲン920)0.95部、イオン交換水74.1部を2L容のセパラブルフラスコに仕込み、フラスコ内を窒素ガスで置換し、65℃に昇温した。フラスコに0.19部の過硫酸カリウムを投入し、3時間重合し、重合体粒子の水分散液を得た。この重合体粒子の平均粒子径は40nmであった。
合成例2(重合体粒子(b) の合成)
スチレン15部、脂肪酸カリウム(花王(株)製、商品名:KSソープ)3部、イオン交換水82部を2L容のセパラブルフラスコに仕込み、フラスコ内を窒素ガスで置換し、65℃に昇温した。フラスコに0.023部の過硫酸カリウムを投入し、3時間重合し、重合体粒子の水分散液を得た。この重合体粒子の平均粒子径は54nmであった。
合成例3(重合体粒子(c) の合成)
スチレン30部、脂肪酸カリウム(花王(株)製、商品名:KSソープ)1.5部、イオン交換水68.5部を2L容のセパラブルフラスコに仕込み、フラスコ内を窒素ガスで置換し、65℃に昇温した。フラスコに0.06部の過硫酸カリウムを投入し、3時間重合し、重合体粒子の水分散液を得た。この重合体粒子の平均粒子径は80nmであった。
合成例4(重合体粒子(d) の合成)
スチレン29.4部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム6.0部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名:ネオペレックスF−25、有効分25重量%)6.0部、過硫酸カリウム0.06部、イオン交換水25.5部をホモミキサーで混合攪拌し、単量体乳化液を調製した。次に2L容のセパラブルフラスコにイオン交換水38.5部、過硫酸カリウム0.03部、先に調製した単量体乳化液の6.2部を仕込み、フラスコ内を窒素ガスで置換し、85℃に昇温し、単量体乳化液を反応させた。その後先に調製した単量体乳化液の残り55.4部を2.5時間かけて一定速度で供給し、重合体粒子の水分散液を得た。この重合体粒子の平均粒子径は102nmであった。
合成例5(重合体粒子(e) の合成)
スチレン30部、脂肪酸カリウム(花王(株)製、商品名:KSソープ)1.5部、過硫酸カリウム0.06部、イオン交換水60部をホモミキサーで混合攪拌し、単量体乳化液を調製した。次に2L容のセパラブルフラスコにイオン交換水8.5部、過硫酸カリウム0.017部、先に調製した単量体乳化液の4.6部を仕込み、フラスコ内を窒素ガスで置換し、80℃に昇温し、単量体乳化液を反応させた。その後先に調製した単量体乳化液の残り86.9部を5時間かけて一定速度で供給し、重合体粒子の水分散液を得た。この重合体粒子の平均粒子径は138nmであった。
合成例6(重合体粒子(f) の合成)
スチレン27部、55%ジビニルベンゼン3部、脂肪酸カリウム(花王(株)製、商品名:KSソープ)1.5部、イオン交換水68.5部を2L容のセパラブルフラスコに仕込み、フラスコ内を窒素ガスで置換し、65℃に昇温した。フラスコに0.06部の過硫酸カリウムを投入し、3時間重合し、重合体粒子の水分散液を得た。この重合体粒子の平均粒子径は71nmであった。
本実施例で用いた無機粒子水分散液の粒子径、固形分(無機粒子有効分)を表1に示す。
Figure 0004187206
実施例1(参考例)
合成例1において得られた重合体粒子(a)の水分散液10部(重合体粒子は3部)にイオン交換水23.3部を加え、混合撹拌する。撹拌状態で、さらにコロイダルシリカの水分散液(1) (触媒化成工業(株)製、商品名:Cataloid SI-30、有効分30重量%、平均粒子径11nm)66.7部(無機粒子は20部)を加え、研磨液組成物を得た。必要に応じて、研磨液組成物のpHは、10.5〜11.5となるよう水酸化カリウム水溶液で調整した。
このようにして調製した研磨液組成物を用い、以下の条件で研磨試験を行い、評価した。
(1) 研磨条件
被研磨基板として、8インチ(200mm)シリコン基板上にプラズマTEOS法により酸化珪素膜を2000nm成膜し、40mm角に切断したものを使用した。研磨装置は、片面研磨機(品番:MA-300、ムサシノ電子(株)製)を使用した。研磨パッドはIC-1000 050(P)Type52/S400 12"PJ (商品名、ロデール・ニッタ(株)製)を使用した。また、研磨荷重は39.2kPa、研磨液組成物の供給量は50ml/minである。定盤回転数は90r/min 、ヘッドの回転数は90r/min であり、定盤とヘッドは同一方向に回転させた。研磨時間は2minである。
(2) 研磨速度の算出
研磨速度は、上記条件下で研磨を行い、研磨前後の被研磨基板上の酸化珪素膜の膜厚を測定し、それを下記式により、研磨時間で除することにより求めた。膜厚は光干渉式膜厚計(商品名:ラムダエースVM-1000 、大日本スクリーン製造(株))で測定した。
Figure 0004187206
実施例2〜7(但し、実施例7は参考例)、比較例1〜6〔無機粒子の平均粒径の影響〕
表2に示す含有量(重量%)に従い、無機粒子及び重合体粒子を実施例1と同様にして混合することにより研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物を用いて、実施例1と同様に、酸化珪素膜を研磨し、評価した。
Figure 0004187206
表2の結果から、実施例1〜7の無機粒子と重合体粒子とを併用した組成物は、比較例1〜6の無機粒子のみの組成物に比べ研磨速度が大きく向上していることがわかる。
実施例2、3、5、8〜11、比較例2〜4、7〜10
表3に示す含有量(重量%)に従い、無機粒子及び重合体粒子を実施例1と同様にして混合することにより研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物を用いて、実施例1と同様に、酸化珪素膜を研磨し、評価した。
Figure 0004187206
表3の結果から、実施例2、3、5、8〜11の組成物では、比較例2〜4の無機粒子のみの組成物に比べ研磨速度が大きく向上していることがわかる。しかし、重合体粒子の平均粒子径DpがDi+50より大きい比較例7〜10では、重合体粒子を配合しているにもかかわらず、研磨速度は無機粒子のみの場合とほぼ同等か、逆に低下していることがわかる。
また、実施例1〜3、5〜11及び比較例7〜10における重合体粒子の平均粒子径Dp、無機粒子の平均粒子径Diと研磨速度との結果を図2に示す。図2より、Dp≦Di+50nmを満たす実施例1〜3、5〜11は、いずれも研磨速度が向上するのに対し、前記式を満たさない比較例7〜10はいずれも研磨速度が同等又は低下することがわかる。
実施例2、3、9〜20、比較例2〜4
表4に示す含有量(重量%)に従い、無機粒子及び重合体粒子を実施例1と同様にして混合することにより研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物を用いて、実施例1と同様に、酸化珪素膜を研磨し、評価した。
Figure 0004187206
表4の結果から、実施例2、3、9〜20の組成物では、比較例2〜4の無機粒子のみの組成物に比べ研磨速度が大きく向上していることがわかる。
実施例21
重合体粒子の水分散液(g)(日本ペイント(株)製、アクリル架橋系樹脂微粒子、商品名:E−151、平均粒子径74nm)13.6部(重合体粒子は3部)にイオン交換水56.4部を加え、混合撹拌する。撹拌状態で、さらにコロイダルシリカの水分散液(バイエル製、商品名:Levasil50CK 、有効分30重量%、平均粒子径85nm)30部(無機粒子は13部)を加え、研磨液組成物を得た。
このようにして調製した研磨液組成物を用い、以下の条件で研磨試験を行い、評価した。
(1) 研磨条件
被研磨基板として、厚さ0.8 mmの95mmφのアルミニウム合金基板をNi−Pでメッキしたものを使用した。研磨装置は、両面9B研磨機(スピードファム社製)を使用した。研磨パッドはBelatrix N0058(商品名、鐘紡(株)製)を使用した。また、研磨荷重は7.8kPa、定盤回転数は35r/min である。基板の投入枚数は10枚、研磨液組成物の供給量は40ml/min、研磨時間は4分間である。
(2) 研磨速度の算出
下記式に基づき、研磨前と研磨後の基板の重量減より算出した。
重量減少速度(g/min) ={研磨前の重量(g) −研磨後の重量(g) }/研磨時間(min)
研磨速度( μm/min)=重量減少速度(g/min) /基板片面面積(mm 2 )
/Ni-Pメッキ密度(g/cm 3 ) ×1000000
尚、Ni−Pメッキ密度は、7.9g/cm3 を用いた。
比較例11
イオン交換水70部に撹拌状態で、コロイダルシリカの水分散液(バイエル製、商品名:Levasil50CK 、有効分30重量%、平均粒子径85nm)30部(無機粒子は13部)を加え、研磨液組成物を得た。得られた研磨液組成物を用いて、実施例21と同様に、アルミニウムのメッキ基板を研磨し、評価した。
Figure 0004187206
表5の結果から、重合体粒子を併用した研磨液組成物(実施例21)では、無機粒子のみの組成物(比較例11)に比べ研磨速度が大きく向上していることがわかる。
実施例22
合成例6において得られた重合体粒子(f)の水分散液3.3部(重合体粒子は1部)にイオン交換水56.7部を加え、混合攪拌した。攪拌状態でさらにコロイダルシリカの水分散液(デュポン(株)製、Syton HT−50F、有効分50重量%、平均粒子径45nm)40部(無機粒子は20部)を加えて、研磨液組成物を得た。必要に応じて、研磨液組成物のpHは、10〜11になるように水酸化ナトリウム水溶液で調整した。
このようにして調製した研磨液組成物を用い、以下の条件で研磨試験を行い、評価した。
(1) 研磨条件
被研磨基板として、厚さ0.6mm、直径65mmの結晶化ガラス基板を使用した。研磨装置は、片面研磨機(品番:MA−300、ムサシノ電子(株)製)を使用した。研磨パッドはBelatrix N0012(商品名、鐘紡(株)製)を使用した。また、研磨荷重は14.7kPa、研磨液組成物の供給量は50mL/minであった。定盤回転数は90r/min、ヘッドの回転数は90r/minであり、定盤とヘッドは同一方向に回転させた。研磨時間は10分間であった。
(2) 研磨速度の算出
下記式に基づき、研磨前と研磨後の基板の重量減より算出した。
重量減少速度(g/min) ={研磨前の重量(g) −研磨後の重量(g) }/研磨時間(min)
研磨速度( μm/min)=重量減少速度(g/min) /基板片面面積(mm 2 )
/ガラス密度(g/cm 3 ) ×1000000
尚、ガラス密度は、2.4g/cm3 を用いた。
実施例23〜25、比較例12、13
表6に示す含有量(重量%)に従い、無機粒子及び重合体粒子を実施例22と同様にして混合することにより研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物を用いて、実施例22と同様に、結晶化ガラス基板を研磨し、評価した。
Figure 0004187206
表6の結果から、重合体粒子を併用した研磨液組成物(実施例22〜25)では、無機粒子のみの組成物(比較例12、13)に比べ研磨速度が大きく向上していることがわかる。
本発明の研磨液組成物は、精密部品用基板、例えば、半導体基板、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の磁気記録媒体の基板、フォトマスク基板、液晶ガラス、光学レンズ、光学ミラー、光学プリズム等の研磨に好適に使用できる。
図1は、研磨中に強い剪断力を受けた場合の研磨液組成物中における重合体粒子と無機粒子とが凝集複合体粒子を生成するまでの段階的な概略図である。
図2は、実施例1〜3、5〜11及び比較例7〜10における重合体粒子の平均粒子径Dp、無機粒子の平均粒子径Diと研磨速度との関係を示す概略図である。図2中、「実」は実施例、「比」は比較例をそれぞれ示す。 また、「○」は研磨速度が重合体粒子無添加の無機粒子のみの研磨液組成物に対して向上することを示し、「×」は研磨速度が重合体粒子無添加の無機粒子のみの研磨液組成物と同等か又は低下していることを示す。

Claims (9)

  1. 水系媒体中に重合体粒子及びコロイダルシリカ粒子を含有し、該コロイダルシリカ粒子の平均粒子径が20〜130nmであり、かつ前記重合体粒子の平均粒子径Dp(nm)と前記コロイダルシリカ粒子の平均粒子径Di(nm)が下記式(1)を満足し、
    Dp≦Di+50nm (1)
    重合体粒子の含有量(Cp)とコロイダルシリカ粒子の含有量(Ci )との比Cp/Ciが0.04〜0.77である、pHが7〜12の、シリコン基板、ポリシリコン基板又は酸化珪素膜用の研磨液組成物。
  2. 重合体粒子が熱可塑性樹脂からなる粒子である、請求項1記載の研磨液組成物。
  3. 重合体粒子がガラス転移温度が200℃以下の樹脂からなる粒子である、請求項1又は2記載の研磨液組成物。
  4. 重合体粒子が架橋度50以下の樹脂からなる粒子である、請求項1〜3いずれか記載の研磨液組成物。
  5. 重合体粒子の平均粒子径が20〜180nmである請求項1〜4いずれか記載の研磨液組成物。
  6. 研磨液組成物中の重合体粒子の含有量が、0.1〜20重量%である請求項1〜5いずれか記載の研磨液組成物。
  7. 研磨液組成物中のコロイダルシリカ粒子の含有量が、0.1〜50重量%である請求項1〜6いずれか記載の研磨液組成物
  8. 請求項1〜いずれか記載の研磨液組成物を用いて、シリコン基板、ポリシリコン基板又は酸化珪素膜を研磨する研磨方法。
  9. シリコン基板、ポリシリコン基板又は酸化珪素膜の研磨において、請求項1〜いずれか記載の研磨液組成物を用いることを特徴とする、研磨速度の向上方法。
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