以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
実施形態に係る点灯回路は、照明負荷を点灯させるための電力を発生する交流電源に前記照明負荷と共に直列接続されて、オンオフすることによって前記交流電源から得られる電力の前記照明負荷への供給を制御する自己保持性素子と;前記自己保持性素子に並列接続される雑音防止回路と;前記自己保持性素子のオンから所定期間だけ前記雑音防止回路にダンピング抵抗を並列接続するダンピング回路と;を具備する。
実施形態に係る点灯回路は、更に、前記自己保持性素子を介して前記交流電源からの電圧が印加される整流回路と;前記整流回路の出力端に前記前記ダンピング回路と共に並列接続されて前記照明負荷を駆動する定電流回路と;を具備する。
実施形態に係る点灯回路は、更に、前記ダンピング回路が;前記整流回路の出力をスライスするスライス部と;前記スライス部の出力を波形整形する第1のシュミットトリガ回路と;前記第1のシュミットトリガ回路の出力を微分する微分回路と;前記微分回路の出力を波形整形する第2のシュミットトリガ回路と;を具備する。
実施形態に係る照明装置は、点灯回路と;前記照明負荷と;を具備する。
また、実施形態に係る照明装置は、入力端子と;交流入力端が入力端子に接続した整流回路と;入力端が整流回路の直流出力端に接続したLED点灯回路と;前記入力端子に印加される電源電圧各半波の印加開始時に所定時間だけ前記整流回路の直流出力端に接続されるダンピング抵抗器と;を具備する。
LED点灯回路は、特段限定されない。好ましくは高周波動作をするコンバータを含んでいる。コンバータは、LEDの動作電圧が低いことから降圧形のコンバータであるのが好ましい。しかし、所望により昇圧形のコンバータなど他の既知の各種回路形式のコンバータであってもよい。
電源電圧各半サイクルにおける電圧印加開始時に短時間だけ整流回路の直流出力端に接続するダンピング抵抗器は、電源電圧印加開始時において、過渡振動電流を制動する手段として機能する。すなわち、位相制御式調光器により位相制御された急激に立ち上がる交流電圧の半サイクルの電圧が照明装置に印加されたときに、位相制御された急激な立ち上がり部分で過渡振動が発生してもこれに対する制動手段として機能するので、過渡振動が制動され、過渡振動電流のピーク値が低減する。その結果、位相制御された電源電圧各半サイクルの立ち上がり時に位相制御式調光器が誤動作するのを防止するのに効果的である。
ダンピング抵抗器が整流回路の直流出力端に接続する時間は、電源電圧各半サイクルの印加開始時から1ms以内であるのが好ましい。この程度の時間であれば、ダンピング抵抗器による発熱は少ないので、無視することができる。なお、ダンピング抵抗器の接続する時間が1msを超えても位相制御式調光器の誤動作防止効果はあるが、接続時間が上記より長くなるのに伴ってダンピング抵抗器による電力損失が増大し、それに伴う発熱が相応に多くなるので好ましくない。従って、少なくとも電源電圧の各半サイクルにおける位相制御式調光器の所定の導通期間より短い期間にする必要がある。
また、ダンピング抵抗器の接続時間は、位相制御式調光器によって位相制御された交流電圧の急激な立ち上がり時に発生する過渡振動の相対的にピーク値が高くて誤動作に影響する振動電圧が発生する期間を少なくとも含むようにするのがよい。したがって、ダンピング抵抗器の接続時間は、約10μs以上であるのが好ましい。そうすれば、一般的に用いられる雑音防止回路の共振周波数(30k〜100kHz)の1/2周期の大部分の期間にわたりダンピング抵抗器が接続するので、過渡振動電流に対する実質的な制動動作が得られる。なお、より好ましくは15μs以上である。また、より確実に位相制御式調光器の誤動作を防止するためには、共振周波数の1周期にわたりダンピング抵抗器を接続するのがよい。すなわち、10μs〜34μS以上とするのがよい。
ダンピング抵抗器を短時間接続するための手段は特段限定されない。しかし、所望によりスイッチ素子を用いてダンピング抵抗器の整流回路の直流出力端に対する接続時間を制御するように構成することができる。この態様において、スイッチ素子は、コンバータの制御用ICに内蔵させてもよいし、外付けにしてもよい。
さらに、ダンピング抵抗器を電圧依存性の非直線性抵抗器によって構成することができる。この非直線性抵抗器として、例えばサージ吸収素子を用いることができる。なお、サージ吸収素子は、一般に雷サージなどの外来サージを吸収する目的で使用される。したがって、このような場合にはブレークダウン電圧が定格交流電源電圧の約4倍程度の高いものを使用する。これに対して、実施形態において電圧依存性の非直線性抵抗器を採用してダンピング抵抗器自体をして接続時間を制御させるためには、ブレークダウン電圧が交流電源電圧のピーク値近傍の値すなわち定格交流電源電圧のピーク値の1.5〜1.6倍、好ましくは1.5〜1.55倍であるのが好ましい。
上記態様においては、位相制御式調光器などによって形成される交流電圧各半サイクルの電圧の急激な立ち上がり時に発生する過渡振動により電圧依存性の非直線性抵抗器がブレークダウンしたときに、過渡振動電圧のブレークダウン電圧を超える部分を吸収するので、その結果過渡振動電流のピーク値が低下する。したがって、ダンピング抵抗器として電圧依存性の非直線性抵抗器を用いた場合には、電圧依存性の非直線性抵抗器がブレークダウンしているときにダンピング抵抗器が整流回路の直流出力端に実質的に接続していることになる。
照明装置は、LEDを光源とする照明装置であるから、どのような形態を有していてもよいことは当業者が本発明の性質上容易に理解できるであろう。なお、家庭用の位相制御式調光器と組み合わせて用いる場合は、電球形LEDランプの場合が多い。
実施形態の照明装置は、位相制御式調光器を経由して交流電源に接続するLED照明システムに効果的である。しかしながら、実施形態の照明装置を直接交流電源に接続して使用しても問題なくLEDを点灯することができるから、上記システムでなくても別段差し支えない。
実施形態に係る照明装置は、更に、前記整流回路の直流出力端を構成する正極性出力端と負極性出力端との間に前記ダンピング抵抗器と共に直列接続されるスイッチと;前記整流回路の直流出力端の電圧を検出して前記スイッチのオンオフを制御して前記ダンピング抵抗器を前記整流回路の直流出力端に接続させる制御部と;を具備する。
実施形態に係る照明装置は、更に、前記制御部は、前記電源電圧各半サイクルの印加開始時に所定の短時間だけ出力を生じる単安定回路の出力によって前記スイッチをオンさせる。
実施形態に係る照明装置は、更に、前記ダンピング抵抗器は、電圧依存性の非直線抵抗器により構成される。
実施形態に係る照明装置は、更に、前記制御部は、前記電源電圧各半サイクルの印加後1ms以内に前記スイッチをオフさせる。
実施形態に係る照明装置は、更に、入力端が交流電源に接続され、出力端が前記入力端子に接続される位相制御式調光器;を具備する。
実施形態に係る電球形LEDランプは、上記照明装置を具備する。
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係る点灯回路を備えた照明装置を示す回路図である。また、図2は図1中のインピーダンス可変回路13の具体的な回路構成を示す回路図である。
図1に示す照明装置は、2線式の配線によって電源11からの電力を端子I1,I2間に接続される照明負荷器具に供給するものである。本実施形態における照明負荷器具は、照明負荷15としてLEDを採用したものである。
電源11と端子I1,I2に接続する照明負荷器具との間には位相制御を行うトライアックTが設けられ、電源11、トライアックT及び照明負荷器具は直列に接続される。電源11は、例えば交流100V等の交流電源電圧を発生する。なお、本実施形態においては位相制御を行うための素子としてトライアックを用いる例を説明するが、トライアックと同様に自己保持性素子であるサイリスタ或いはその他のスイッチング装置を用いてもよい。
図3は横軸に時間をとり縦軸に電圧をとって、電源11の交流電源電圧とトライアックTの制御を説明するための波形図である。
交流電源11と端子I1との間には、トライアックTが接続され、トライアックTには並列に可変抵抗VR及びコンデンサC2の直列回路が接続される。可変抵抗VRとコンデンサC2との接続点は、双方向ダイオード(以下、ダイアックという)Dを介してトライアックTの制御端に接続される。
可変抵抗VRは調光制御に応じた抵抗値に設定されるようになっている。トライアックTがオフの場合には、交流電源11によって可変抵抗VRを介してコンデンサC2が充電される。コンデンサC2の充電開始から、可変抵抗VR及びコンデンサC2の時定数に基づく所定の遅延時間後に、コンデンサC2の端子電圧は、ダイアックDをオンにする電圧に到達する。これにより、ダイアックDにパルスが発生してトライアックTの制御端にパルスが供給される。こうして、トライアックTが導通する。
トライアックTは電源11から電流が供給されて導通を維持する。トライアックTのオン期間には、コンデンサC2は放電されており、トライアックTは保持電流が維持されなくなるとオフする。トライアックTに印加される電源電圧の極性が反転すると、コンデンサC2が再び充電され、遅延時間の後ダイアックDがオンする。これにより、交流電源電圧のゼロクロス点から所定の遅延時間後に、トライアックTがオンする。以後同様の動作が繰返されて、電源周期から遅延時間を除く期間(以下、電力供給期間という)において、電源11からの電力がトライアックTを介して照明負荷器具に供給される。
図3の交流波形は電源11が発生する電圧を示しており、斜線部がトライアックTが導通する電力供給期間を示している。遅延時間は、可変抵抗VRの抵抗値を変化させることで調整可能である。
トライアックTの両端にはコンデンサC1及びコイルLによる雑音防止回路が接続されている。この雑音防止回路によって、ノイズが電源11側に漏れることが防止されるようになっている。
端子I1,I2相互間には、整流回路12が設けられている。整流回路12は例えば、ダイオードブリッジによって構成される。整流回路12は、端子I1,I2に供給される電圧を整流して出力する。
整流回路12の一方出力端及び他方出力端に現れる出力が定電流回路14に供給される。定電流回路14は整流回路12の出力から定電流を発生して、端子O1,O2を介して照明負荷15に供給するようになっている。照明負荷15としては例えばLEDが採用される。トライアックTによって整流回路12に対する電圧供給の時間が制御されて、定電流回路14からの定電流値は、トライアックTのオン時間に応じて変化する。これにより、照明負荷15の明るさが調光制御されるようになっている。
ところで、電源ノイズの漏れを防止するために挿入された雑音防止回路は共振回路を構成し、トライアックTのオン時には、トライアックTに共振電流を流してしまう。
図4は横軸に時間をとり縦軸に電圧及び電流をとって、共振電圧(破線)と共振電流(実線)を示す波形図である。また、図5は共振電流の影響を説明するための回路図である。図5は図1を簡略化して示したものであり、端子I1,I2間に照明負荷器具16が接続されるものとして示している。
雑音防止回路による共振周波数は30kHz〜100kHz程度であり、共振周期は電源11の交流周期に比べて十分に短い。図5に示すように、トライアックTのオン時には、電源11からトライアックTに電流aが流れる期間において、電流aと同一方向の共振電流b及び逆方向の共振電流cが流れる。図3の斜線部に示す電力供給期間であっても、電流aと共振電流cとの和の電流がトライアックTの保持電流以下になると、トライアックTはオフしてしまう。
図4に示すように、遅延時間が経過してトライアックTがオンになった直後における共振電流のレベルは比較的大きく、また、照明負荷器具としてLEDを用いた場合には照明負荷器具の抵抗値が比較的大きいことから、トライアックTがオンした直後においては、共振電流によってトライアックTがオフする。コンデンサC2の充電によって再びトライアックTがオンとなるので、電力供給期間であっても共振電流のレベルに応じた期間だけトライアックTはオン,オフを繰返すことになる。なお、図4の共振電流、共振電圧波形は、雑音防止回路の共振状態のみを表しており、電源11からトライアックTを介して照明負荷15に流れる電流成分(図5のa)は除いてある。従って、トライアックTに実際に流れる電流波形は、図4の共振電流波形に電源11からの成分aを足したものとなっている。
また、トライアックの保持電流は、数十mA(30〜50mA)である。交流電圧のゼロクロス点近傍の期間においては、トライアックTに流れる電流は比較的小さくなる。しかし、照明負荷として電球を用いた場合には、調光時における電球の抵抗も小さくなるので、調光時においてもトライアックTには十分な電流が流れて保持電流が維持される。
これに対し、照明負荷として高抵抗素子であるLEDを採用した場合には、調光時においてはトライアックTに流れる電流が比較的小さくなるので、トライアックTに流れる共振電流の影響が大きくなる。
そこで、本実施形態においては、共振電流の影響を抑制するダンピング回路としてのインピーダンス可変回路13を設けている。本実施形態においては、インピーダンス可変回路13は、整流回路12の一方出力端及び他方出力端相互間に、即ち、雑音防止回路により構成される共振回路に並列に設けられている。
インピーダンス可変回路13は、例えば、スイッチ素子と抵抗素子とを備えており、スイッチ素子がオンの期間にのみ抵抗素子を整流回路12の一方出力端及び他方出力端相互間に接続するようになっている。例えば、スイッチ素子を電力供給期間の開始から共振周期の1周期分だけオンさせて、共振電流を抵抗素子に流すことで、共振を制動し共振電流のピーク値を小さくできるので、共振電流が電流aと逆向き(電流c)であってもトライアックTに保持電流を超える十分な電流を流すことを可能にしている。
図2はスイッチ素子としてFETQ1を採用し、抵抗素子として抵抗R4を採用した例を示している。100V交流電源用の100W型の電球は、100%調光時の抵抗値は100Ωであり、冷間抵抗はその約1/10〜1/20である。つまり調光時には、電球の抵抗値は数十Ωであり、電球はダンピング抵抗として作用する。本実施形態においては、抵抗R4の抵抗値は、調光時における電球の抵抗値と同様の抵抗値とする。これにより、抵抗R4はダンピング抵抗として作用し、共振電流の影響を十分に抑制することができる。
図2において、整流回路12の一方出力端と他方出力端との間には、抵抗R4及びFETQ1のドレイン・ソース路が接続されている。また、整流回路12の一方出力端と他方出力端との間には、ダイオードD1、抵抗R1及びツェナーダイオードZDの直列回路も接続されている。ツェナーダイオードZDには抵抗R2及びコンデンサC3が並列接続されている。
抵抗R1とツェナーダイオードZDとの接続点(以下、A点という)は、抵抗R3を介して負論理のシュミットトリガ回路S1に接続される。整流回路12の出力はダイオードD1及び抵抗R1を介してA点に現れる。なお、A点の電圧は、ツェナーダイオードD1及びコンデンサC3によって所定のレベルにスライスされる。
シュミットトリガ回路S1は、入力電圧を波形整形し、整流回路12の出力の立ち上がりで立ち下がり、ゼロクロス点で立ち上がる矩形波を出力する。シュミットトリガ回路S1の出力端は、コンデンサC4及び可変抵抗VR2を介して電源端子に接続される。可変抵抗VR2にはダイオードD2が並列接続される。コンデンサC4、可変抵抗VR2及びダイオードD2によって微分回路が構成され、コンデンサC4と可変抵抗VR2との接続点(以下、B点という)には、シュミットトリガ回路S1の出力を微分した波形が現れる。
B点の波形は負論理のシュミットトリガ回路S2の入力端に供給される。シュミットトリガ回路S2は、入力電圧を波形整形し、微分回路の出力の立ち下がりで立上るパルスを出力する。なお、シュミットトリガ回路S2の出力パルスのパルス幅は、可変抵抗VR2の抵抗値を変化させることで調整することができる。
シュミットトリガ回路S2の出力はFETQ1のゲートに供給される。FETQ1は、ゲートに供給されるハイレベルのパルスによってオンとなり、抵抗R4を整流回路12の一方出力端と他方出力端との間に接続するようになっている。即ち、抵抗R4は、整流回路12の出力の立ち上がりから微分回路の定数によって定まる期間だけ、整流回路12の一方出力端と他方出力端との間に接続されることになる。
次に、このように構成された実施形態の動作について図6のタイミングチャートを参照して説明する。図6(a)は整流回路12の入力を示し、図6(b)は整流回路12の出力を示し、図6(c)はA点の波形を示し、図6(d)はシュミットトリガ回路S1の出力を示し、図6(e)は微分回路の出力(B点の波形)を示し、図6(f)はシュミットトリガ回路S2の出力を示している。
電源11からの交流電圧が2線式の配線によりトライアックTを介して端子I1,I2間の照明負荷器具に供給される。トライアックTは、電源電圧のゼロクロス点から、可変抵抗VR及びコンデンサC2の時定数に基づく遅延時間の後導通し、電力供給期間に電力を照明負荷器具に与える。
いま、トライアックTから、図6(a)の斜線に示す電力供給期間の間、電力が端子I1,I2間に供給されるものとする。整流回路12は、図6(b)に示すように、正極性の電圧を出力する。この整流回路12の出力がインピーダンス可変回路13に与えられる。
インピーダンス可変回路13のA点には、整流回路12の出力をツェナーダイオードZD及びコンデンサC3に基づく所定レベルでスライスした波形(図6(c))が現れる。この波形は、抵抗R3を介してシュミットトリガ回路S1に供給される。シュミットトリガ回路S1は入力波形を波形整形し、入力波形の立ち上がりで立ち下がりゼロクロス点で立ち上がる波形を出力する。
シュミットトリガ回路S1の出力は、コンデンサC4、可変抵抗VR2及びダイオードD2により構成される微分回路に供給される。微分回路は、シュミットトリガ回路S1の出力の立ち下がりで、コンデンサC4及び可変抵抗VR2の時定数に基づいた傾斜で立ち下がると共に立ち上がる波形(図6(e))を出力する。なお、ダイオードD2により、シュミットトリガ回路S1の出力の立ち上がりにおいては、微分回路の出力は変化しない。
微分回路によって、整流回路12の出力の立ち上がりタイミング、即ち、トライアックTがオンとなるタイミングが検出される。微分回路の出力はシュミットトリガ回路S2に供給され、シュミットトリガ回路S2は、微分回路の出力の立ち下がり及び立ち上がりで、立ち上がると共に立ち下がるパルス状の波形(図6(f))を出力する。なお、シュミットトリガ回路S2の出力パルスのパルス幅は、微分回路の出力の傾斜、即ち、可変抵抗VR2の抵抗値によって調整可能である。
シュミットトリガ回路S2の出力がFETQ1に供給され、FETQ1は、シュミットトリガ回路S2の正のパルス期間にオンとなって、整流回路12の一方出力端と他方出力端との間に抵抗R4を接続する。
従って、抵抗R4は、トライアックTのオンから微分回路の時定数により定まる期間までの間ハイレベルとなる図6(f)のパルス期間に、整流回路12の一方出力端と他方出力端との間に、即ち、共振回路に並列に接続される。抵抗R4の抵抗値は、例えば、照明負荷として電球を用いた場合における調光時の抵抗値と同等の抵抗値に設定されており、コンデンサC1及びコイルLによる共振回路の共振電流を流すダンピング抵抗として作用する。これにより、トライアックTに流れる共振電流が抑制され、トライアックTのオンを維持することができる。
共振電流は、時間と共に減衰するので、トライアックTのオンから所定期間にのみダンピング抵抗としての抵抗R4を共振回路に並列に接続すればよい。特に、図4に示す共振電流の発生から1周期の間だけ抵抗R4を共振回路に並列に接続することで、効果的に共振電流の影響を抑制することができる。
なお、図4に示すように、共振電流の正極性時には、電源11からトライアックTに流れる電流と同じ向きに共振電流が流れるので、トライアックTのオンと同時に抵抗R4を共振回路に並列に接続する必要はなく、トライアックTのオンから共振電流の半周期経過するまでに抵抗R4を共振回路に並列に接続すればよい。
抵抗R4は図6(f)の正のパルス期間にのみ整流回路12の一方出力端と他方出力端との間に接続されるので、抵抗R4によって無駄に電力が消費されることを最小限に抑制することができる。
このように本実施形態においては、トライアックがオンになると、例えば共振電流の1周期程度の所定期間、ダンピング用の抵抗を共振回路に並列に挿入するようになっており、トライアックに流れる共振電流を抑制して、トライアックが共振電流の影響によってオフすることを防止することができる。これにより、トライアックは、調光制御に対応した電力供給期間の間連続的にオンとなり、ちらつきのない照明光を得ることができる。
なお、上記実施形態においては、インピーダンス可変回路を整流回路の出力端に設けた例を示したが、インピーダンス可変回路は、共振回路に並列に挿入すればよく、例えば、整流回路の入力側、即ち、端子I1,I2間に設けるようにしてもよいことは明らかである。
また、端子I1,I2は、端子金具を備えている形態であってもよいし、単なる導線の形態であってもよい。照明装置が口金を備えた電球形LEDランプの場合には、当該口金が入力端子として機能する。
<第2の実施形態>について説明する。
第2の実施形態は、図7に示すように、照明装置が、入力端子t1、t2、整流回路Rec、LED点灯回路LOC、負荷のLEDLSおよびダンピング抵抗器Rdを具備している。
入力端子t1、t2は、交流電源AC、例えば商用100V交流電源に照明装置を接続する手段である。照明装置に接続する交流電源ACは、前述のように図示しない既知の位相制御式調光器を経由してもよいし、しなくてもよい。
また、入力端子t1、t2は、端子金具を備えている形態であってもよいし、単なる導線の形態であってもよい。照明装置が口金を備えた電球形LEDランプの場合には、当該口金が入力端子として機能する。
整流回路Recは、交流を直流に変換する手段であり、交流入力端および直流出力端を備えている。そして、交流入力端が入力端子t1、t2に接続する。なお、図示しない雑音フィルタを介して入力端子t1、t2に接続することは当業者に周知であるから、これを許容するのいうまでもない。
また、整流回路Recは、図示のようにブリッジ形全波整流回路に限定されるものでなく、所望により既知の各種回路形態の整流回路を適宜選択して用いることを許容する。さらに、整流回路Recは、平滑手段を備えることができる。例えば、図示のような電解コンデンサなどからなる平滑コンデンサC11をLED点灯回路LOCに対する直流出力端に直接または図示のようにダイオードD11を直列に介して接続することができる。
LED点灯回路LOCは、後述するLEDLSを点灯する回路手段であればよく、その具体的な構成は特段限定されない。しかし、回路効率を高くできるとともに制御が容易になるなどの理由から、コンバータCONVを主体とする構成を採用するのが好ましい。図示のコンバータCONVは、降圧チョッパの例を示している。
降圧チョッパからなるコンバータCONVは、第1および第2の回路AA、BBと、制御部CCとを備えている。第1および第2の回路AA、BBは、スイッチング素子Q11、インダクタL11、ダイオードD12、出力コンデンサC12および電流検出素子CDを構成要素としている。
第1の回路AAは、スイッチング素子Q11、インダクタL11、電流検出素子CDおよび出力コンデンサC12の直列回路が整流回路Recの出力電圧が平滑化された直流出力端に接続している。そして、スイッチング素子Q11がオンしたときに整流回路Recの直流出力端から直線的に増加する増加電流が流れてインダクタL11に電磁エネルギーが蓄積する。電流検出素子CDは、上記増加電流を検出可能なように図7に示す位置に接続している。
第2の回路BBは、インダクタL11、ダイオードD12および出力コンデンサC12の閉回路により構成されている。そして、第1の回路AAのスイッチング素子Q11がオフしているときにインダクタL11に蓄積された電磁エネルギーを放出して減少電流がその閉回路内を流れる。
LEDLSは、コンバータCONVの出力コンデンサC12に並列接続する。
図8は図7中の制御IC21内の回路の一部を示す回路図である。
ダンピング抵抗器Rdは、整流回路Recの非平滑の直流出力端間に図8に示すスイッチ素子Q12を介して接続している。そして、その抵抗値は、照明装置が商用100V交流電源用の場合、数100Ω程度に設定することができる。なお、スイッチ素子Q12は、図8に示すように制御IC21に内蔵されていてもよく、後述するように制御IC21の外付け部品であってもよい。
制御部CCは、本実施形態において、LED点灯回路LOCおよびダンピング抵抗器Rdを制御する手段である。そして、制御部CCは、制御IC21および制御電源22により構成されている。
制御IC21は、複数のピン端子を有していて、ピンVDCが整流回路Recの平滑コンデンサC11の正極に、ピンVinがダンピング抵抗器Rdの正極側に、ピンVccが制御電源22の正極に、ピンGがコンバータCONVのスイッチ素子Q11に、ピンCSが電流検出素子CDの検出出力端に、ピンInrがダンピング抵抗器Rdの負極側に、ピンGNDが制御電源22の負極に、それぞれ接続している。
また、第2の実施形態において、制御IC21は、ダンピング抵抗器Rdの整流回路Recの出力端に対する接続時間を制御するが、スイッチ素子Q12を内蔵しているとともに、スイッチ素子Q12の後述する制御回路を内蔵している。
スイッチ素子Q12の制御回路は、図8に示すように、ピンVinから入力する整流回路Recの非平滑直流出力電圧をコンパレータCOM1で検出し、タイマTIMおよびドライバGSD1を経由して電源電圧各半サイクルの立ち上がり時に所定の短時間だけスイッチ素子Q12をオンさせるように構成している。例えば、図8の制御回路は、電源電圧各半サイクルの印加後1m秒以内にスイッチ素子Q12をオフさせる。
また、コンパレータCOM1は、図8に示すように、フィルタF、コンパレータCOM2およびドライバGSD2を経由してコンバータCONVのスイッチング素子Q11を制御して電源電圧各半サイクルの導通角に対応してコンバータCONVの出力を加減制御する。フィルタFの出力(電圧)は、図10に示すように導通位相角に応じて変化するように構成されており、このフィルタFの出力電圧がコンパレータCOM2の基準電圧となる。電流検出素子CDからの検出値が前記基準電圧に達すると、コンバータCONVのスイッチング素子Q11をオフするようになっている。
制御電源22は、コンバータCONVのインダクタL11に磁気結合する2次巻線w2を備えていて、インダクタL11に増加電流が流れたときに生じる2次巻線w2の誘起電圧をダイオードD13で整流し、コンデンサC13で平滑化して制御電圧を制御IC21のピンVccおよびピンGNDの間に出力するように構成されている。
次に、回路動作を説明する。
制御部CCの制御IC21は、照明装置の交流電源が投入されると、最初にピンVDCから制御電源の供給を受けてコンバータCONVが起動するように作用する機能が付与されているので、コンバータCONVは速やかに起動する。コンバータCONVがいったん起動すると、スイッチング素子Q11のゲートには制御IC21のピンGからゲート信号が供給されてコンバータCONVが降圧チョッパ動作を開始する。そして、増加電流がインダクタL11に流れることによってインダクタL11に磁気結合する2次巻線w2に電圧が誘起されるので、以後は制御電源22から制御電源が供給されて連続動作を行う。
その結果、コンバータCONVの出力コンデンサC12に並列接続するLEDLSが駆動されて点灯する。なお、コンバータCONVは、電流検出素子CDの検出出力が制御IC21のピンCSから制御入力すると、制御IC21の内部で増加電流に対して負帰還制御動作が行われる。そうして、コンバータCONVの出力電流は、増加電流に比例するので、LEDLSは、定電流制御により点灯する。
一方、交流電源電圧が投入されると、制御IC21内のタイマTIMは、コンパレータCOM1が非平滑直流出力電圧を検出すると同時にドライバGSD1からゲート信号を発生してスイッチ素子Q12をオンさせるので、電源投入の直後にダンピング抵抗器Rdが整流回路Recの直流出力端間に接続する。
その結果、交流電源ACと本実施形態の照明装置との間に位相制御式調光器が介在することによって、電源電圧各半サイクルが急激な立ち上がりをしたときに、前述の理由により過渡振動が発生したとしても、ダンピング抵抗器Rdが過渡振動を制動する。これにより、過渡振動電流のピーク値が低下するので、位相制御式調光器が誤動作を起こさなくなり、所望の調光照明を行うことができる。
そうして、電源電圧各半サイクルの電圧印加開始時から所定の短時間が経過すると、タイマTIMは、ドライバGSD1のゲート信号発生を停止させるので、ダンピング抵抗器Rdが整流回路Recの直流出力端間から開放される。このため、ダンピング抵抗器Rdでの消費電力による発熱は頗る少ないものとなる。
次に、位相制御式調光器による導通角制御に対応してLED点灯回路LOCが出力を加減制御してLEDLSを調光点灯させる動作について図8ないし図10を参照して説明する。
すなわち、図8において、電源電圧各半サイクルが入力端子間に印加されて、整流回路Recの非平滑直流出力電圧が制御ICのピンVinから入力すると、コンパレータCOM1、フィルタF、コンパレータCOM2およびドライバGSD2を経由してスイッチング素子Q11に対してゲート信号が供給され、スイッチング素子Q11が駆動されてオンする。スイッチング素子Q11がオンすると、コンバータCONVの第1の回路AAに増加電流が流れ、電流検出素子CDがこの増加電流を検出するから、制御ICのピンCSからその検出出力が入力される。
一方、フィルタFは、電源電圧の半サイクルを積算して実効値変換を行い、前述のように図10の関係の電圧を出力する。そして、ピンCSの検出出力がフィルタFの出力電圧に一致した時点でコンパレータCOM2がドライバGSD2からのゲート信号の送出を停止させる。その結果、コンバータCONVのスイッチング素子Q11がオフする。これにより、インダクタL11から減少電流が第2の回路BB内を流れる。本実施形態において、図9に示すスイッチング素子Q11のオフ時間Toffは固定されていて、このオフ時間が経過すると、ドライバGSD2が動作してスイッチング素子Q11が再びオンする。以後、以上の動作を繰り返すので、コンバータCONVが動作を継続して電源電圧の導通角に対応した出力を発生する。
図9(a)は、電源電圧の導通角が180°すなわち位相角0°の場合における制御ICのピンCSの波形の例を示している。
図9(b)は、電源電圧の導通角が90°すなわち位相角90°の場合における制御ICのピンCSの波形の例を示している。
上記いずれの例においても、電流検出素子CDの検出出力(ピンCSへの入力)が図中の点線で示すフィルタFの出力電圧レベルになったときにコンパレータCOM2がドライバGSD2からのゲート信号の送出を停止させるので、コンバータCONVの出力が電源電圧の導通角に対応して変化することが理解できる。
図10は、電源電圧の位相角とフィルタの出力の関係を示すグラフであり、本実施形態において、両者は比例関係となるように設定されている。
<第3の実施形態>について説明する。
第3の実施形態は、図11および図12に示すように、ダンピング抵抗器Rdの接続時間を制御するスイッチ素子Q12が制御IC21に対して外付けになっている。したがって、ダンピング抵抗器Rdの制御回路のみが制御IC21に内蔵されている。なお、各図において、図7および図8と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
<第4の実施形態>について説明する。
第4の実施形態は、図13に示すように、ダンピング抵抗器Rdの制御回路およびコンバータCONVが第2および第3の実施形態とは相違している。なお、図において、図7と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
ダンピング抵抗器Rdの制御回路は、電源電圧各半サイクルの印加開始時に所定の短時間だけ出力を生じる単安定回路ASMの出力でスイッチ素子Q12をオンさせるように構成されている。
コンバータCONVは、フライバックトランス方式である。すなわち、制御IC21に内蔵されている図示されていないスイッチング素子、フライバックトランスFT、ダイオードD14、電流検出素子CDおよび制御IC21を主構成要素として降圧形フライバック方式のコンバータCONVが構成されている。なお、スイッチング素子は、フライバックトランスFTの1次巻線の整流回路Recの直流出力端への接続をオン、オフさせる。ダイオードD14は、フライバックトランスFTの2次巻線に誘起される電圧を整流して直流出力を得る。電流検出素子CDは、フライバックトランスFTの2次側から得る出力電流を、フォトカプラPCを介して制御IC21に帰還する。制御IC21は、コンバータCONVを定電流制御してLEDLSを点灯させる。
<第5の実施形態>について説明する。
第5の実施形態は、図14に示すように、ダンピング抵抗器Rdが電圧依存性の非直線抵抗器からなる点で第2ないし第4の実施形態とは相違している。なお、図において、図13と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態において、電圧依存性の非直線抵抗器は、ブレークダウン電圧が電圧各半サイクルの急激な立ち上がり時に発生する過渡振動電圧のうち電源電圧のピーク値より高い電圧を吸収するようにブレークダウン電圧が設定されたサージ吸収素子である。