JP4093239B2 - 発光ダイオード駆動装置並びにそれを用いた照明器具、車室内用照明装置、車両用照明装置 - Google Patents

発光ダイオード駆動装置並びにそれを用いた照明器具、車室内用照明装置、車両用照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、光源としての発光ダイオードを駆動する発光ダイオード駆動装置、並びにそれを用いた照明器具、車室内用照明装置、車両用照明装置に関するものである。
近年、ハロゲンランプや放電ランプなどに代えて発光ダイオードが自動車の車内灯(ルームランプ)や前照灯(ヘッドライト)、あるいは欧州などで採用が進んでいるデイタイム・ランニング・ライト(昼間に対向車などからの視認性を高めるための前照灯)などの光源に利用されつつある。例えば、特許文献1には自動車のリアコンビネーションランプに用いられる発光ダイオードを駆動する発光ダイオード駆動装置が記載されている。この従来装置は、図11に示すように自動車のバッテリからなる直流電源1から電源供給を受けて直列接続された複数個の発光ダイオードLD(以下、「発光部3」と呼ぶ)を駆動するものであり、直流電源1から供給される直流電源電圧を所望の直流電圧V2に昇圧して発光部3に印加する昇圧回路2’と、発光部3に流れる電流を検出する検出抵抗R1とを備え、直流電源1の電源電圧が変動しても昇圧回路2の出力電圧V2を変化させることで検出抵抗R1で検出する電流が略一定となるようにフィードバック制御を行っている。
特開2003−187614号公報
ところで上記従来例では、昇圧回路2’を用いていることから直流電源1の電源電圧が発光部3の両端電圧(複数個の発光ダイオードLDの順電圧Vfの合計)よりも低い場合にしか対応しておらず、発光部3の両端電圧よりも高い電源電圧を供給する直流電源1には使用できないという制約があった。つまり、直流電源1の電源電圧に応じて発光部3を構成する発光ダイオードLDの個数を増減する必要があり、発光ダイオード駆動装置としての汎用性が低かった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、直流電源の電源電圧が複数個の発光ダイオードの順電圧の合計より高い場合又は低い場合の何れにおいても発光ダイオードを定電流で駆動することが可能な発光ダイオード駆動装置並びにそれを用いた照明器具、車室内用照明装置、車両用照明装置を提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、直流電源から電源供給を受けて直列接続された複数個の発光ダイオードを駆動する発光ダイオード駆動装置であって、直流電源から供給される直流電源電圧を直流電源電圧よりも高い電圧から低い電圧までの所望の直流電圧発光ダイオードに印加する直流−直流変換手段と、直流−直流変換手段から発光ダイオードに印加する出力電圧を検出する電圧検出手段と、直流−直流変換手段から発光ダイオードへ供給する出力電流を検出する電流検出手段と、電圧検出手段で検出する検出電圧と電流検出手段で検出する検出電流から消費電力を求めるとともに該消費電力が所定の許容範囲内に収まるように直流−直流変換手段の出力を調整する制御手段とを備え、直流−直流変換手段の出力電圧が定常時よりも低いときに、予め発光ダイオードの電圧・電流特性のばらつきを調べておき、該電圧・電流特性に基づいて発光ダイオードの消費電力を求めるとともに該発光ダイオードの消費電力が所定の許容範囲内に収まるように直流−直流変換手段の出力を調整する制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、直流−直流変換手段は、スイッチング素子を高周波でオン・オフすることで所望の直流電圧に変換するものであって、制御手段は、電圧・電流特性の予測結果に応じて出力電圧及び出力電流の基準値を生成する基準値生成部と、電圧検出手段で検出する出力電圧並びに電流検出手段で検出する出力電流を基準値生成部で生成される基準値に一致させるように前記スイッチング素子をPWM制御するPWM制御部とを有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、基準値生成部並びにPWM制御部がプログラムを搭載したマイコンで構成されたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、制御手段は、温度に起因した発光ダイオードの順電圧の変化を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に応じて基準値生成部で生成される基準値を補正する基準値補正部とを具備することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項2又は3の発明において、制御手段は、直流電源の電源電圧を検出する電源電圧検出手段と、電源電圧検出手段で検出する電源電圧に応じて基準値生成部で生成される基準値を補正する基準値補正部とを具備することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項2又は3の発明において、制御手段は、発光ダイオードの光量を調整するために外部から与えられる調光信号に応じて基準値生成部で生成される基準値を補正する基準値補正部を具備することを特徴とする。
請求項7の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜6の何れかに記載の発光ダイオード駆動装置と、複数個の発光ダイオードの直列回路からなる発光部と、発光ダイオード駆動装置並びに発光部を保持する器具本体とを備えたことを特徴とする。
請求項8の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜6の何れかに記載の発光ダイオード駆動装置と、複数個の発光ダイオードの直列回路を有し車室内に設けられる発光部とを備えたことを特徴とする。
請求項9の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜6の何れかに記載の発光ダイオード駆動装置と、複数個の発光ダイオードの直列回路を有し車両の周囲に光を照射する発光部とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、直流電源から供給される直流電源電圧を直流電源電圧よりも高い電圧から低い電圧までの所望の直流電圧発光ダイオードに印加する直流−直流変換手段を備え、制御手段が、電圧検出手段で検出する検出電圧と電流検出手段で検出する検出電流から消費電力を求めるとともに、直流−直流変換手段の出力電圧が定常時よりも低いときに、予め発光ダイオードの電圧・電流特性のばらつきを調べておき、該電圧・電流特性に基づいて発光ダイオードの消費電力を求めるとともに該発光ダイオードの消費電力が所定の許容範囲内に収まるように直流−直流変換手段の出力を調整するから、直流電源の電源電圧が複数個の発光ダイオードの順電圧の合計より高い場合又は低い場合の何れにおいても発光ダイオードを定電流で駆動することが可能になるという効果がある。
(実施形態1)
図1に本発明の実施形態1の概略回路構成図を示す。本実施形態は、自動車のバッテリのような直流電源1から電源スイッチSWを介して供給される直流電源電圧を所望の直流電圧V2に昇圧若しくは降圧して発光部3(発光ダイオードLD)に印加する直流−直流変換手段たるDC−DCコンバータ2と、DC−DCコンバータ2から発光ダイオードLDに印加する出力電圧V2を検出する電圧検出回路4と、DC−DCコンバータ2から発光部3へ供給する出力電流ILを検出する電流検出回路5と、電圧検出回路4で検出する検出電圧Vxと電流検出回路5で検出する検出電流(検出電圧)Vyから消費電力Wを求めるとともに消費電力Wが所定の許容範囲内に収まるようにDC−DCコンバータ2の出力を調整する制御回路部6とを備えている。
DC−DCコンバータ2は従来周知のフライバック型のものであって、パワーMOSFETなどからなり制御回路部6によってオン・オフされるスイッチング素子Qと、1次巻線の一端が電源スイッチSWを介して直流電源1の正極に接続されるとともに1次巻線の他端がスイッチング素子Qを介して直流電源1の負極に接続されたトランスTと、トランスTの2次巻線の一端にアノードが接続されたダイオードD1と、ダイオードD1のカソードと2次巻線の他端との間に接続された平滑コンデンサC0とを有している。つまり、制御回路部6によりスイッチング素子Qがオンしているとき、1次巻線に電流が流れてトランスTにエネルギが蓄えられ、スイッチング素子QがオフしたときにトランスTに蓄えられているエネルギが2次巻線よりダイオードD1を介して平滑コンデンサC0に供給されるのであって、制御回路部6によりスイッチング素子QをPWM制御することで直流電源1の電源電圧よりも高い電圧から低い電圧まで所望の出力電圧V2を得ることができる。
電圧検出回路4は、DC−DCコンバータ2の出力端間(平滑コンデンサC0の両端間)に直列接続された分圧抵抗R1,R2からなり、出力電圧V2を分圧した検出電圧Vx(=R2/(R1+R2)×V2)を制御回路部6に出力している。また電流検出回路5は発光部3と電圧検出回路4との間に挿入された検出抵抗R3からなり、検出抵抗R3の両端に生じる電圧降下を出力電流ILの検出値(検出電圧)Vy(=R3×IL)として制御回路部6に出力している。
ここで、本実施形態の基本動作について説明する。電源スイッチSWが投入されると制御回路部6がDC−DCコンバータ2を動作させて直流電圧V2を出力し、この直流電圧V2が発光部3に印加されて直流電流ILが流れる。そして、制御回路部6は電流検出回路5の検出値Vyが一定となるようにスイッチング素子QをPWM制御してDC−DCコンバータ2の出力電圧V2を調整する。例えば、発光部3が4個の発光ダイオードLDの直列回路からなり、各発光ダイオードLDの順電圧Vfの定格値が3.5Vとすると、定常時においては、DC−DCコンバータ2の出力電圧V2を3.5V×4=14Vに設定すれば、発光部3に定格の順電流ILを流すことができる。また本実施形態におけるDC−DCコンバータ2は制御回路部6によって昇圧動作及び降圧動作の何れも可能であるから、直流電源1である自動車バッテリの電源電圧が12Vの場合であればDC−DCコンバータ2を昇圧動作させ、自動車バッテリの電源電圧が24Vや48Vの場合であればDC−DCコンバータ2を降圧動作させることにより、直流電源1の電源電圧にかかわらず発光部3を定電流駆動することができる。
しかしながら、発光ダイオードLDの順電圧Vfと順電流Ifの関係(以下、「電圧・電流特性」という)にはばらつき(個体差)が存在するから、定格の順電流Ifを流したときの順電圧Vfが高い発光ダイオードLDを含む発光部3に定格電圧を印加した場合に消費電力が増大して発光ダイオードLDの発熱量も増加し、発光ダイオードLDに過大な熱的ストレスを与えてしまうことになる。また発光ダイオードLDの順電圧Vfは発熱による温度上昇に起因して変化するから、定常時における電圧検出回路4の検出電圧Vxから発光ダイオードLDの電圧・電流特性のばらつきを知ることは困難である。
そこで、本実施形態においては、発光ダイオードLDを駆動する初期に比較的小さい電流ILを流した状態で発光部3の両端電圧(DC−DCコンバータ2の出力電圧V2)を検出し、その検出電圧Vxと検出電流(検出電圧)Vyから発光部3の電圧・電流特性を予測して、定常時における出力電圧V2が発光部3の電圧・電流特性に対応した適切な値となるように制御回路部6でDC−DCコンバータ2を制御している。つまり、発光部3を定電流駆動したとき、図3に示すように発光部3の電圧・電流特性のばらつきに応じてDC−DCコンバータ2の出力電圧V2にばらつきが生じ、定常時における電圧・電流特性が定格値(平均値)にほぼ一致する場合の特性が曲線bで表されるとすれば、同一の順電流Ifに対する順電圧Vfが高い場合の特性が曲線aで表されるとともに順電圧Vfが低い場合の特性が曲線cで表されるから、DC−DCコンバータ2の出力電圧V2が定常時よりも十分に低いとき(例えば、V2=V21)に発光部3に流れる直流電流ILを検出し、その検出値(検出電圧Vy)から発光部3の電圧・電流特性を予測し、その予測結果に基づいて、図4に示すように発光部3の消費電力Wが所定範囲に収まるように定常時におけるDC−DCコンバータ2の出力電圧V2を調整するものである。
以下、上述の制御を行うための制御回路部6の構成について詳しく説明する。
制御回路部6は、図2に示すように電圧検出回路4並びに電流検出回路5から出力される検出電圧Vx,Vyをそれぞれ増幅する増幅器61a,61bからなる増幅回路部61と、後述するように増幅回路部61で増幅された後の検出電圧Vx,Vyに基づいて基準値を生成する基準値生成部62と、電圧検出回路4の検出電圧Vxと電流検出回路5の検出電圧Vyと基準値生成部62で生成される基準値とに基づいてスイッチング素子Qのオンデューティ比を調整するためのPWM信号を出力するPWM制御部63と、PWM制御部63から出力されるPWM信号に応じたオンデューティ比でスイッチング素子Qをオン・オフするドライバ部64と、直流電源1の電源電圧から各部の動作電源を作成する制御電源部65とを備えている。基準値生成部62は、図3に示すように電源スイッチSWがオンした時点(時刻t=0)から出力電圧V2が所定値V21に達するまでの過渡期に直線的に増加する第1の基準電圧値Vr1を出力する第1の基準電圧値生成回路62aと、出力電圧V2が所定値V21に達した時点における検出電流(検出電圧Vy)に対応した第2の基準電圧値Vr2を出力する第2の基準電圧値生成回路62cと、出力電圧V2が所定値V21に達した時点における検出電圧Vxに対応した基準電流値ILr(実際には基準電流値ILrに応じた第3の基準電圧値Vr3)を出力する基準電流値生成回路62bとを具備している。尚、第1の基準電圧値生成回路62aの出力端子がダイオードD2のアノードに接続され、第2の基準電圧値生成回路62cの出力端子がダイオードD3のアノードに接続されるとともに、これら2つのダイオードD2,D3のカソード同士が接続されている。
またPWM制御部63は、増幅器61aの出力端子と2つのダイオードD2,D3のカソードがそれぞれ一対の入力端子に接続された第1の誤差増幅器63aと、増幅器61bの出力端子と基準電流値生成回路62bの出力端子がそれぞれ一対の入力端子に接続された第2の誤差増幅器63bと、第1の誤差増幅器63aの出力端子にアノードが接続されたダイオードD4と、第2の誤差増幅器63bの出力端子にアノードが接続されたダイオードD5と、三角波の基準信号を発振する発振器63cと、発振器63cから出力する基準信号が一方の入力端子に入力され、第1又は第2の誤差増幅器63a,63bの出力がダイオードD4又はD5を介して他方の入力端子に入力される比較器63dとを具備している。すなわち、発振器63cが出力する基準信号のレベルが第1又は第2の誤差増幅器63a,63bの出力レベルを超えている間だけ比較器63dの出力がHレベルとなってドライバ部64によりスイッチング素子Qがオンされるから、第1又は第2の誤差増幅器63a,63bの出力レベルの増減に逆比例する形でスイッチング素子Qのオンデューティ比が増減され、いわゆるPWM制御が行われることになる。尚、スイッチング素子Qのオン・オフ周期(スイッチング周波数)は発振器63cの発振周波数で決定される。
そして、電源スイッチSWが投入されて直流電源1から電源供給が開始されると、第1の基準電圧値生成回路62aから直線的に増加する第1の基準電圧値Vr1が出力され、DC−DCコンバータ2の出力電圧V2及び出力電流ILがまだ低い間は第1の基準電圧値Vr1のみで比較器63dの出力(スイッチング素子Qのオンデューティ比)が決定される。第2の基準電圧値生成回路62cは、検出電圧Vxを監視して出力電圧V2が所定値V21に達した時点における検出電流(検出電圧Vy)に対応した第2の基準電圧値Vr2を出力する。すなわち、図5に示すように出力電圧V2が所定値V21に達した時点で流れる直流電流ILの電流値は発光部3の電圧・電流特性によって異なっているが、予め発光部3の電圧・電流特性のばらつきを調べておけば、出力電圧V2が所定値V21に達した時点における検出電流(検出電圧Vy)に基づいて定格の順電流Ifを流すために必要な出力電圧V2の目標値(第2の基準電圧値Vr2)を決定することができる。第2の基準電圧値Vr2は当然に第1の基準電圧値Vr1よりも高いから、第1の誤差増幅器63aには第2の基準電圧値Vr2が入力され、出力電圧V2の検出電圧Vxと第2の基準電圧値Vr2の差分に応じた出力が第1の誤差増幅器63aから比較器64dに出力され、出力電圧V2を増大する方向へオンデューティ比が制御される。尚、図3及び図5に示した3種類の電圧・電流特性(曲線a,b,c)に対応する第2の基準電圧値Vr2をそれぞれVr2a,Vr2b,Vr2cとすれば、これらの間にはVr2a>Vr2b>Vr2cの関係が成立する。
一方、定常時における出力電圧V2と直流電流ILとの関係は、図6に示すように順電圧Vfの定格値が平均的な値の場合に曲線b、平均的な値よりも高い場合に曲線a、平均的な値よりも低い場合に曲線cのように表され、直線Pと各曲線a,b,cとの交点が一定の消費電力Wsに対応する動作点となる。従って、基準電流値生成回路62bは出力電圧V2の検出電圧Vxで消費電力の目標値Wsを除算する(Ws/Vx)ことによって直線P上の動作点、つまり直流電流ILの基準電流値ILrを決定し、その基準電流値ILrに対応した第3の基準電圧値Vr3を第2の誤差増幅器63bの入力端に入力する。第2の誤差増幅器63bは基準電流値生成回路62bで決定された第3の基準電圧値Vr3と電流検出回路5の検出電圧Vyとの差分を増幅しているが、第1の誤差増幅器63aの出力端と第2の誤差増幅器63bの出力端とがダイオードD4,D5を介して比較器63dの一方の入力に共通接続されているため、比較器63dの出力、つまりスイッチング素子Qのオンデューティ比は第2の基準電圧値Vr2と検出電圧Vxの差分と、第3の基準電圧Vr3と検出電圧Vyの差分とのうちで差分の絶対値が大きい方によって支配される。このため、発光部3が順電圧Vfの定格値が相対的に高い電圧・電流特性を有する場合でも消費電力が目標値Wsに近付くように出力電圧V2が調整され、過大な電力が消費されるのを防ぐことができる。
尚、基準値生成部62並びにPWM制御部63をマイコンと制御用プログラムで実現することも可能であり、このような構成であれば、基準電圧値Vr1,Vr2,Vr3等をより細かく設定することができて制御が容易になるという利点がある。
(実施形態2)
ところで、発光ダイオードの順電圧Vfは温度の上昇によって低下する傾向にあり、DC−DCコンバータ2の出力電圧V2が一定であると温度上昇によって直流電流ILが増大し、それに伴って、順電圧Vfがさらに低下するという悪循環に陥る虞がある。例えば、図8に示すように、定常時において電圧・電流特性(実線イ)と出力特性(実線ロ)との交点xでDC−DCコンバータ2を動作させているときに何らかの原因で発光部3の温度が上昇して順電圧Vfが低下した場合、電圧・電流特性が破線ハに変化して動作点がxからyへ移動し直流電流ILが増大してしまうので、このような場合に出力特性を実線ロから破線ニへ変更することで動作点をzへ移動させれば、直流電流ILの増大を抑えることができる。
そこで本実施形態では、発光部3の順電圧Vfの低下を検出するためのセンサ部66と、センサ部66の検出出力に応じて基準値生成部62の基準電流値生成回路62bで生成する第3の基準電圧値Vr3を補正する基準値補正部67とを制御回路部6に設け、センサ部66の検出出力から電圧・電流特性の変化を推測し、基準値補正部67によって直流電流ILの増大を抑える方向へ第3の基準電圧値Vr3を補正している。但し、他の構成及び基本的な動作は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
センサ部66は、例えば、太陽電池を用いて発光部3が発する光出力を感知することで間接的に発光部3の順電圧Vfの低下を検出するもの、あるいは、サーミスタ測温素子を用いて発光部3の温度を感知することで間接的に発光部3の順電圧Vfの低下を検出するものなどである。また基準値補正部67は、センサ部66の検出出力に応じて消費電力の目標値Wsを低い値に補正して基準電流値生成回路62bに与えるものである。すなわち、基準値補正部67によって消費電力の目標値Wsが低い値に補正されれば、基準電流値生成回路62bで生成する第3の基準電圧値Vr3も補正されて直流電流ILの増大を抑えることができる。
而して、発光ダイオードLDのばらつきによって順電圧Vfが低くなる場合と、温度上昇によって順電圧Vfが低くなる場合とでは特性が異なっており、上述のように温度上昇による順電圧Vfの低下を検知して発光部3の動作点を変更することで消費電力の増加を防ぐことができるものである。尚、直流電源1の電源電圧を監視して電源電圧の変動に応じて基準値補正部67が基準値を補正したり、あるいは、発光部3の光量を調整するための調光信号が外部から入力されたときに当該光量に応じて基準値補正部67が基準値を補正するようにしてもよい。
(実施形態3)
図9に本実施形態の概略回路構成図を示す。本実施形態の構成は、DC−DCコンバータ2の構成が異なる点以外は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるDC−DCコンバータ2は、直流電源1の正極に一端が接続されたスイッチング素子2aと、スイッチング素子2aの他端と直流電源1の負極との間に接続されたインダクタ2bと、インダクタ2bと直流電源1の負極との接続点にアノードが接続されたダイオード2cと、ダイオード2cのカソードに高電位側の一端が接続されるとともにスイッチング素子2aとインダクタ2bとの接続点に他端が接続された平滑コンデンサ2dとを具備している。実施形態1と同様に制御回路部6によってスイッチング素子2aが高周波でオン・オフされ、スイッチング素子2aがオンしているとき、直流電源1からインダクタ2bに電流が流れてエネルギが蓄えられ、スイッチング素子2aがオフしたときにインダクタ2bに蓄えられているエネルギがダイオード2cを介して平滑コンデンサ2dに供給されるのであって、制御回路部6によりスイッチング素子2aをPWM制御することで直流電源1の電源電圧よりも高い電圧から低い電圧まで所望の出力電圧V2を得ることができる。尚、制御回路部6の構成及び動作は実施形態1と共通であるから図示並びに説明は省略する。
(実施形態4)
図10に本実施形態の概略回路構成図を示す。本実施形態の構成は、DC−DCコンバータ2の構成が異なる点以外は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるDC−DCコンバータ2はいわゆる絶縁型であって、直流電源1の正極に1次巻線の一端が接続されたトランス21と、トランス21の1次巻線に直列接続されたスイッチング素子22と、トランス21の2次巻線の一端にアノードが接続されたダイオード23と、ダイオード23のカソードと2次巻線の他端との間に接続されたコンデンサ24とを具備している。実施形態1と同様に、制御回路部6によりスイッチング素子22がオンしているときに直流電源1から1次巻線に電流が流れてトランス21にエネルギが蓄えられ、スイッチング素子22がオフしたときにトランス21に蓄えられているエネルギが2次巻線よりダイオード23を介してコンデンサ24に供給されるのであって、制御回路部6によりスイッチング素子22をPWM制御することで直流電源1の電源電圧よりも高い電圧から低い電圧まで所望の出力電圧V2を得ることができる。尚、発光部3に流れる直流電流ILは、スイッチング素子22と直流電源1の負極との間に挿入された検出抵抗5aで検出し、出力電圧V2はトランス21に設けた3次巻線、3次巻線に誘起される電圧を整流するダイオード4a、ダイオード4aで整流された誘起電圧を平滑するコンデンサ4bからなる電圧検出回路4によって検出している。尚、制御回路部6の構成及び動作は実施形態1と共通であるから図示並びに説明は省略する。
上述のように絶縁型のDC−DCコンバータ2を用いれば、DC−DCコンバータ2の停止中は出力端と直流電源1が絶縁されるため、発光部3の交換やメンテナンス等の作業時、あるいは充電部が露出している場合の安全が確保できるという利点がある。尚、発光部3の構成は実施形態1〜4に限定されるものではなく、複数個の発光ダイオードLDの直列回路を互いに並列接続するとともに各直列回路間において個々の発光ダイオードLDのカソード同士及びアノード同士を並列接続する構成としても構わない。
ところで、本発明に係る発光ダイオード駆動装置と、発光部3と、発光ダイオード駆動装置並びに発光部3を保持する器具本体とで照明器具を構成したり、発光部3が自動車等の車室内に設けられた車室内用照明装置を構成したり、あるいは高輝度の発光ダイオードLDの直列回路からなる発光部3が自動車等の車両の前照灯に用いられた車両用照明装置(前照灯装置)を構成することも可能である。
本発明の実施形態1を示す概略回路構成図である。 同上における制御回路部の回路構成図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 本発明の実施形態2を示す概略回路構成図である。 同上の動作説明図である。 本発明の実施形態3を示す概略回路構成図である。 本発明の実施形態4を示す概略回路構成図である。 従来例を示す概略回路構成図である。
符号の説明
1 直流電源
2 DC−DCコンバータ
3 発光部
4 電圧検出回路
5 電流検出回路
6 制御回路部
LD 発光ダイオード

Claims (9)

  1. 直流電源から電源供給を受けて直列接続された複数個の発光ダイオードを駆動する発光ダイオード駆動装置であって、直流電源から供給される直流電源電圧を直流電源電圧よりも高い電圧から低い電圧までの所望の直流電圧発光ダイオードに印加する直流−直流変換手段と、直流−直流変換手段から発光ダイオードに印加する出力電圧を検出する電圧検出手段と、直流−直流変換手段から発光ダイオードへ供給する出力電流を検出する電流検出手段と、電圧検出手段で検出する検出電圧と電流検出手段で検出する検出電流から消費電力を求めるとともに該消費電力が所定の許容範囲内に収まるように直流−直流変換手段の出力を調整する制御手段とを備え、直流−直流変換手段の出力電圧が定常時よりも低いときに、予め発光ダイオードの電圧・電流特性のばらつきを調べておき、該電圧・電流特性に基づいて発光ダイオードの消費電力を求めるとともに該発光ダイオードの消費電力が所定の許容範囲内に収まるように直流−直流変換手段の出力を調整する制御手段とを備えたことを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
  2. 直流−直流変換手段は、スイッチング素子を高周波でオン・オフすることで所望の直流電圧に変換するものであって、制御手段は、電圧・電流特性の予測結果に応じて出力電圧及び出力電流の基準値を生成する基準値生成部と、電圧検出手段で検出する出力電圧並びに電流検出手段で検出する出力電流を基準値生成部で生成される基準値に一致させるように前記スイッチング素子をPWM制御するPWM制御部とを有することを特徴とする請求項1記載の発光ダイオード駆動装置。
  3. 基準値生成部並びにPWM制御部がプログラムを搭載したマイコンで構成されたことを特徴とする請求項2記載の発光ダイオード駆動装置。
  4. 制御手段は、温度に起因した発光ダイオードの順電圧の変化を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に応じて基準値生成部で生成される基準値を補正する基準値補正部とを具備することを特徴とする請求項2又は3記載の発光ダイオード駆動装置。
  5. 制御手段は、直流電源の電源電圧を検出する電源電圧検出手段と、電源電圧検出手段で検出する電源電圧に応じて基準値生成部で生成される基準値を補正する基準値補正部とを具備することを特徴とする請求項2又は3記載の発光ダイオード駆動装置。
  6. 制御手段は、発光ダイオードの光量を調整するために外部から与えられる調光信号に応じて基準値生成部で生成される基準値を補正する基準値補正部を具備することを特徴とする請求項2又は3記載の発光ダイオード駆動装置。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の発光ダイオード駆動装置と、複数個の発光ダイオードの直列回路からなる発光部と、発光ダイオード駆動装置並びに発光部を保持する器具本体とを備えたことを特徴とする照明器具
  8. 請求項1〜6の何れかに記載の発光ダイオード駆動装置と、複数個の発光ダイオードの直列回路を有し車室内に設けられる発光部とを備えたことを特徴とする車室内用照明装置
  9. 請求項1〜6の何れかに記載の発光ダイオード駆動装置と、複数個の発光ダイオードの直列回路を有し車両の周囲に光を照射する発光部とを備えたことを特徴とする車両用照明装置。
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