以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
(第1の実施の形態)まず、本発明の電源装置が適用される照明器具について簡単に説明する。図1及び図2において、1は器具本体で、この器具本体1は、アルミニウムのダイカスト製のもので、両端を開口した円筒状をしている。この器具本体1は、内部を仕切り部材1a、1bにより上下方向に3分割され、下方開口と仕切り部材1aの間の空間は、光源部2に形成されている。この光源部2には、半導体発光素子としての複数のLED2aと反射体2bが設けられている。複数のLED2aは、仕切り部材1a下面に設けられた円盤状の配線基板2cの円周方向に沿って等間隔に配置され実装されている。
器具本体1の仕切り部材1aと1bの間の空間は電源室3に形成されている。この電源室3は、仕切り部材1a上部に配線基板3aが配置されている。この配線基板3aには、前記複数のLED2aを駆動するための本発明の電源装置を構成する各電子部品が設けられている。この直流電源装置と複数のLED2aは、リード線4により接続されている。
器具本体1の仕切り板1bと上方開口の間の空間は、電源端子室5に形成されている。この電源端子室5は、仕切り板1bに電源端子台6が設けられている。この電源端子台6は、電源室3の電源装置に商用電源の交流電力を供給するための端子台で、電絶縁性の合成樹脂で構成されたボックス6aの両面に電源ケーブル用端子部となる差込口6b、送りケーブル用端子部となる差込口6c及び電源線及び送り線を切り離すリリースボタン6dなどを有している。
図3は、このように構成された照明器具の電源室3に組み込まれる本発明の第1の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示している。
図3において、11は交流電源で、この交流電源11は、不図示の商用電源からなっている。この交流電源11には、全波整流回路12の入力端子が接続されている。全波整流回路12は、交流電源11からの交流電力を全波整流した出力を発生する。
全波整流回路12の正負極の出力端子間には、リップル電流平滑用のコンデンサ13が接続されている。また、このコンデンサ13の両端には、フライバックトランスであるスイッチングトランス14の一次巻線14aとスイッチング手段としてのスイッチングトランジスタ15の直列回路が接続されている。スイッチングトランス14は、一次巻線14aと磁気的結合された二次巻線14bを有している。
スイッチングトランス14の二次巻線14bには、整流平滑手段として図示極性のダイオード16と平滑コンデンサ17からなる整流平滑回路18が接続されている。この整流平滑回路18は、スイッチングトランジスタ15、スイッチングトランス14とともに直流出力生成手段を構成し、スイッチングトランス14の二次巻線14bより発生する交流出力をダイオード16で整流し、この整流出力を平滑コンデンサ17により平滑して直流出力として発生する。
整流平滑回路18の平滑コンデンサ17の両端には、負荷として、半導体発光素子である複数個(図示例では3個)直列に接続された発光ダイオード19〜21(図2で述べたLED2aに相当する。)が接続されている。
発光ダイオード19〜21の直列回路には、電流検出回路22が直列に接続されている。この電流検出回路22は、インピーダンス素子である抵抗器221からなるもので、発光ダイオード19〜21に流れる電流を検出し、この電流検出値Iを検出信号として出力する。また、発光ダイオード19〜21の直列回路には、負荷電圧検出回路23が並列に接続されている。この負荷電圧検出回路23は、インピーダンス素子である抵抗器231,232の直列回路からなるもので、発光ダイオード19〜21に印加される負荷電圧を検出し、この負荷電圧Vを検出信号として出力する。
電流検出回路22及び負荷電圧検出回路23には、調光制御手段として調光制御部33が接続されている。調光制御部33は、比較器34、35及び基準信号出力部36を有している。比較器34は、電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)と基準信号出力部36の基準信号Vref1との比較結果を出力する。比較器35は、負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)と基準信号出力部36の基準信号Vref2との比較結果を出力する。そして、これら比較器34、35には、ダイオード37、38を各別に介して制御回路30が接続されている。
基準信号出力部36は、調光操作部39の調光信号kによる調光深度k1〜k7(ここでは、調光深度k1が最も浅く、調光深度k7に向かうほど深い)に応じて図4に示すような基準信号Vref1及び基準信号Vref2を出力する。この場合、基準信号Vref1は、全光時の最大電流に相当する信号値から調光深度が最も深い時の最小電流に相当する信号値まで変化する。また、基準信号Vref2は、全光時の最大電流時の負荷電圧に相当する信号値から調光深度が最も深い時の最小電流に相当する信号値まで変化する。この場合、電流が全く流れなくなる消灯状態に移行した時点でも発光ダイオードのオン電圧が残るために、基準信号Vref2はゼロとならない。つまり、この場合、図6に示すように発光ダイオードのV−I特性Aに対して電流制御レンジB及び電圧制御レンジCがそれぞれ得られるようにしている。
制御回路30は、基準信号Vref1、Vref2に応じた比較器34、35の出力によりスイッチングトランジスタ15のオンオフ動作を制御し、整流平滑回路18より発光ダイオード19〜21に供給される出力を制御する。これにより、電源装置として、図5に示すように調光信号kの調光深度k1、k2、…k7に応じて異なる負荷特性を得られる。この場合、調光深度k1、k2、…k7に対応するそれぞれの負荷特性は、電圧Vfの変化に対し電流Ifが一定で、電圧Vfが所定電圧に達すると電圧Vfを一定にする。また、調光深度k1、k2、…k7に対応する負荷特性は、発光ダイオード19〜21のV−I特性Aとの関係が、図5のようにも設定されている。この場合、調光深度k1〜k4に対応する負荷特性とV−I特性Aとの交点の動作点a1〜a4は電流モードの制御となり、調光深度k5に対応する負荷特性とV−I特性Aとの交点の動作点a5は臨界点、調光深度k6、k7に対応する負荷特性とV−I特性Aとの交点の動作点a6、a7は電圧モードの制御となる。
このような構成において、まず調光操作部31より、全光(例えば調光深度k1)の調光信号kが出力されると、この調光信号kに応じて図5に示す調光深度k1に対応する負荷特性が得られる。この場合、調光深度k1に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aの交点が発光ダイオード19〜21の動作点a1となる。また、基準信号出力部36は、図4に示すように調光深度k1により基準信号Vref1としてVra1、基準信号Vref2としてVrb1を設定する。
これにより、比較器34より電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)と基準信号出力部36の基準信号Vra1の比較結果が出力され、比較器35より負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)と基準信号出力部36の基準信号Vrb1の比較結果が出力されるが、この場合、基準信号はVra1>Vrb1の関係にあるので、比較器34の出力が優先して制御回路30に与えられる。この結果、電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)に基づいて発光ダイオード19〜21に流れる電流が一定になるようにスイッチングトランジスタ15のオンオフ動作が制御される。
次に、調光操作部31の操作により、例えば調光深度k5の調光信号kを出力すると、図5に示す調光深度k5に対応する負荷特性が得られる。この場合、調光深度k5に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aの交点が発光ダイオード19〜21の動作点a5となる。また、基準信号出力部36は、図4に示すように調光深度k5の設定により基準信号Vref1としてVra5、基準信号Vref2としてVrb5を設定する。
この場合も、比較器34から電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)と基準信号出力部36の基準信号Vra5との比較結果が出力され、また、比較器35より負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)と基準信号出力部36の基準信号Vrb5との比較結果が出力されるが、ここでの基準信号はVra5=Vrb5の関係にあり、比較器34と比較器35の出力は等しくなる。これにより制御回路30は、電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)及び負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)の両者に基づいてスイッチングトランジスタ15のオンオフ動作を制御する。
次に、調光操作部31より、例えば調光深度k6の調光信号kを出力すると、図5に示す調光深度k6に対応する負荷特性が得られる。この場合、調光深度k6に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aの交点が発光ダイオード19〜21の動作点a6となる。また、基準信号出力部36は、図4に示すように調光深度k6の設定により基準信号Vref1としてVra6、基準信号Vref2としてVrb6を設定する。
これにより、比較器34から電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)と基準信号出力部36の基準信号Vra6との比較結果が出力され、また、比較器35より負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)と基準信号出力部36の基準信号Vrb6との比較結果が出力されるが、この場合、基準信号はVrb1>Vra1の関係にあるので、比較器35の出力が優先して制御回路30に与えられる。この結果、負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)に基づいて発光ダイオード19〜21の負荷電圧が一定になるようにスイッチングトランジスタ15のオンオフ動作が制御される。
したがって、このようにすれば、調光信号kの調光深度k1、k2、…k7に応じて全光時の最大電流に相当する信号値から調光深度が最も深い時の最小電流に相当する信号値まで変化する基準信号Vref1、全光時の最大電流時の負荷電圧に相当する信号値から調光深度が最も深い時の最小電流に相当する信号値まで変化する基準信号Vref2を用意し、調光深度が浅い全光に近い領域では、基準信号Vref1を選択して電流制御モードにより発光ダイオード19〜21を定電流制御し、調光深度が深い領域では基準信号Vref2を選択して電圧制御モードにより発光ダイオード19〜21を定電圧制御するようにした。このようにすれば調光信号kの調光深度k1、k2、…k7に応じて定電流制御と定電圧制御をスムーズに切り替えることができるので、調光深度の浅い領域から深い領域までの広い範囲の調光制御を安定して行うことができる。また、調光制御にパルス幅の制御が用いられないことから、特許文献1のパルス幅により調光制御を行うものと比べ、発光ダイオードの光出力にフリッカが発生するのを防止でき、また、調光制御のためのスイッチ素子などを必要としないことで回路構成を簡単にして部品点数を減らすことができ、装置の小型化及び低廉化を実現することができ、さらに回路効率の低下も抑制することができる。
(第2の実施の形態)次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示すもので、図3と同一部分には同符号を付している。
この場合、電流検出回路22及び負荷電圧検出回路23には、調光制御手段として調光制御部41が接続されている。調光制御部41は、電流検出回路22に第1のオペアンプ42の正極入力端子が接続されている。この第1のオペアンプ42は、負極入力端子が抵抗43を介して接地されるとともに、抵抗44を介して出力端子に接続されている。また、第1のオペアンプ42の出力端子は、ダイオード45を介して比較器46の一方入力端子に接続されている。また、負荷電圧検出回路23には、第2のオペアンプ47の正極入力端子が接続されている。この第2のオペアンプ47は、負極入力端子が出力端子に接続されるとともに、ダイオード48を介して比較器46の一方入力端子に接続され、さらに抵抗49を介して第3のオペアンプ50の正極入力端子が接続されている。第3のオペアンプ50は、正極入力端子を、第1のオペアンプ42の出力端子と接地との間に接続された抵抗51,52の直列回路の接続点に接続され、また、負極入力端子が接地されている。さらに第3のオペアンプ50は、出力端子をダイオード53を介して比較器46の一方入力端子に接続されている。比較器46は、他方の入力端子に調光操作部39より調光信号kが入力され、これら入力端子に与えられる信号の比較結果を制御回路30に入力する。
このような構成において、調光操作部31より、調光信号kを入力すると、このときの調光深度k1〜k5に応じて図8に示すような負荷特性が得られる。この場合、調光深度k1、k2、…k5に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aとの関係は図8のようになっている。
まず、調光操作部31の操作により全光(例えば調光深度k1)の調光信号kが入力されると、この調光信号kに応じて図8に示す調光深度k1に対応する負荷特性が得られる。この場合、調光深度k1に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aとの交点が発光ダイオード19〜21の動作点a1であり、この動作点a1では、電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)に応じた第1のオペアンプ42の出力が比較器46に入力され、発光ダイオード19〜21は定電流制御される。
次に、調光操作部31より調光深度k5の調光信号kが入力されると、この調光信号kに応じて図8の調光深度k5に対応する負荷特性が得られる。この場合、調光深度k5に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aとの交点が発光ダイオード19〜21の動作点a5となり、この動作点a5では、負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)に応じた第2のオペアンプ47の出力が比較器46に入力され、制御回路30により発光ダイオード19〜21は定電圧制御される。
次に、調光操作部31より調光深度k3の調光信号kが入力されると、この調光信号kに応じて図8の調光深度k3に対応する負荷特性の出力が得られる。この場合、調光深度k3に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aの交点が発光ダイオード19〜21の動作点a3となり、この動作点a3では、電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)と負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)に応じた第3のオペアンプ50の出力が比較器46に入力され、制御回路30により発光ダイオード19〜21は、電力制御される。
したがって、このようにすれば、発光ダイオード19〜21の動作点が電流制御モードと電圧制御モードの中間に位置するような場合は、電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)と負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)に応じた第3のオペアンプ50の出力により発光ダイオード19〜21を電力制御するようにしたので、電流制御モードと電圧制御モード間での制御の移行をさらにスムーズに行うことができる。
(第3の実施の形態)次に、第3の実施の形態を説明する。この場合、第3の実施の形態にかかる電源装置の概略構成は、図3を援用するものとする。
ところで、第1の実施の形態では、基準信号出力部36により基準信号Vref1と基準信号Vref2を別々に出力したが、この第3の実施の形態では、基準信号Vref1と基準信号Vref2を一つの基準信号Vrefとして出力するようにしている。この基準信号Vrefは、図9(a)に示すように電流制御モードの領域で用いられる基準信号Vref1を発生する第1の信号発生器55と電圧制御モードの領域で用いられる基準信号Vref2を発生する第2の信号発生器56を設け、これら第1及び第2の信号発生器55、56の基準信号Vref1、Vref2をそれぞれダイオード57、58を各別に介して出力することにより図9(b)に示す基準信号Vrefを出力するようにしている。この場合、基準信号Vref1は、図10(a)に示すように全光時の最大電流に相当する信号値から調光深度が最も深い時の最小電流に相当する信号値まで変化する。また、電圧制御モードの領域の基準信号Vref2は、図10(b)に示すように全光時の最大電流時の負荷電圧に相当する信号値から調光深度が最も深い時の最小電流に相当する信号値まで変化するが、電流が全く流れなくなる消灯状態に移行した時点でも等価回路上の発光ダイオードのオン電圧が残るために、基準信号Vref2はゼロとならない。そして、図9(b)に示すように、これら基準信号Vref1、Vref2のうち大きい信号を優先させて電流制御モード及び電圧制御モードの各領域での基準信号Vrefを生成し、この基準信号Vrefを比較器34、35の基準信号とする。
このようにしても、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
(変形例)上述では基準信号Vref1、Vref2のうち大きい信号を優先させて基準信号Vrefを生成するようにしたが、電流制御モードと電圧制御モードの領域の切り替えがスムーズに行かないことがある。そこで、図11(a)に示すように第1の信号発生器55と第2の信号発生器56の他に、基準信号Vref1と基準信号Vref2の中間的ゲインを有する基準信号Vref3を発生する第3の信号発生器59を設け、これら第1乃至第3の信号発生器55、56の基準信号Vref1、Vref2、Vref3をそれぞれダイオード57、58、60を各別に介して出力することにより図11(b)に示す基準信号Vrefを出力させる。このようにして電流制御モードと電圧制御モードの各領域の間で基準信号Vrefaと基準信号Vrefbのそれぞれのゲインの中間的な変化をする基準信号Vref3を介在させることにより、電流制御モードと電圧制御モードの各領域間での制御モードの移行をスムーズにできる。
(第4の実施の形態)次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。図12は、本発明の第4の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示すもので、図3と同一部分には同符号を付している。
この場合、電流検出回路22及び負荷電圧検出回路23には、調光制御手段として調光制御部24が接続されている。調光制御部24は、乗算器26、加算器27、比較器28を有している。乗算器26は、負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)と調光操作部31の調光信号kを乗算した信号を出力する。加算器27は、乗算器26の出力と電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)を加算した出力aを発生する。比較器28は、加算器27の出力aと基準値(一定)29との比較結果を出力する。
比較器28には、調光制御部24とともに制御手段を構成する制御回路30が接続されている。制御回路30は、不図示の電源部により駆動されるもので、その動作によりスイッチングトランジスタ15をオンオフさせてスイッチングトランス14をスイッチング駆動して整流平滑回路18より発光ダイオード19〜21に供給される出力を制御する。この場合、制御回路30は、調光制御部24の比較器28の出力に基づいて、つまり負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)と調光信号kの積と、電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)の和より得られる値aに基づいて、この値aが常に一定になるように発光ダイオード19〜21に供給される出力を制御する。
調光操作部31は、例えばパルス状信号のデューティ比を変えることで異なる調光深度の調光信号kを出力するもので、ここでは、調光深度k1、k2、…k7(調光深度k1が最も浅く、調光深度k7に向かうほど深い)の調光信号kを出力する。
これにより、電源装置として、図13に示すように調光信号kの調光深度k1、k2、…k7に応じて異なる負荷特性を得られる。この場合、調光深度k1、k2、…k7に対応するそれぞれの負荷特性は、電流軸上の一定値a(負荷インピーダンス0の位置)を中心に放射状となり、If=a−k(Vf)の一次関数で表される。これによりIf+k(Vf)=a…(1)の関係、つまり、電流検出回路22の電流検出値Iと、調光信号kと負荷電圧Vの積の和が常に一定の値aとなる関係が得られる。
次に、このように構成した実施の形態の作用を説明する。
この場合、調光深度k1、k2、…k7に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aが、図13に示す関係にあるものとする。
まず、調光操作部31より、全光(例えば調光深度k1)の調光信号kが出力されると、この調光信号kに応じて図13に示す調光深度k1に対応する負荷特性が得られる。この場合、調光深度k1に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aとの交点が発光ダイオード19〜21の動作点a11となる。
そして、この状態で、制御回路30によるスイッチングトランジスタ15のオンオフによりスイッチングトランス14がスイッチング駆動され、スイッチングトランジスタ15のオンでスイッチングトランス14の一次巻線14aに電流を流してエネルギーを蓄積し、スイッチングトランジスタ15のオフで、一次巻線14aに蓄積したエネルギーを二次巻線14bを通して放出する。これにより整流平滑回路18を介して直流出力が発生し、この直流出力により発光ダイオード19〜21が点灯される。
この場合、負荷電圧検出回路23の検出信号(負荷電圧V)と調光信号kを乗算器26で乗算し、この乗算器26の出力と電流検出回路22の検出信号(電流検出値I)を加算器27で加算して出力aを発生し、この出力aと基準値(一定)29との比較結果を比較器28より出力し、この出力に基づいて出力aが常に一定値になるように、制御回路30により発光ダイオード19〜21に供給される出力が制御される。
この場合、図13に示す動作点a11では、上述の(1)式においてaを決定するk(Vf)成分は略ゼロで、If成分のみで(図13の(a0−a)参照)となる。これにより発光ダイオード19〜21は、電流制御モードが強調されて点灯制御される。
次に、調光操作部31より、例えば調光深度k2に対応する調光信号kが出力されると、このときの調光信号kに応じて図13に示す調光深度k2に対応する負荷特性が得られる。これにより、調光深度k2に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aとの交点が動作点a12となる。
この場合も、上述したと同様に制御回路30によるスイッチングトランジスタ15のオンオフにより発光ダイオード19〜21が点灯されるが、図13に示す動作点a12では、上述の(1)式においてaを決定するk(Vf)成分は図13に示す(a−a1)、If成分は図13に示す(a0−a1)となり、この場合も、If成分が大部分を占め、これにより発光ダイオード19〜21は、電流制御モードが強調されて点灯制御される。
その後、調光操作部31より、深い調光、例えば調光深度k6に対応する調光信号kが出力されると、このときの調光信号kに応じて図13に示す調光深度k6に対応する負荷特性が得られる。これにより、調光深度k6に対応する負荷特性と発光ダイオード19〜21のV−I特性Aとの交点が動作点a16となる。
この場合も、上述したと同様に制御回路30によるスイッチングトランジスタ15のオンオフにより発光ダイオード19〜21が点灯されるが、図13に示す動作点a16では、上述の(1)式においてaを決定するk(Vf)成分は図13に示す(a−a6)、If成分は図13に示す(a0−a6)となる。この状態では、If成分は僅かで、大部分を占めるk(Vf)成分によりaが決定されるようになり、発光ダイオード19〜21は、電圧制御モードが強調されて点灯制御される。
ここでは、動作点a11、a12、a16についてのみ述べたが、他の動作点a13〜a15、a17についても同様である。
したがって、このようにすれば、調光信号kにより調光深度をk1、k2、…k7の範囲で調整すると、これら調光深度k1、k2、…k7に応じた負荷特性により調光深度が浅い全光に近い領域では、電流制御モードになって発光ダイオード19〜21を点灯制御し、調光深度が深くなるにつれて電流制御モードから電圧制御モードに徐々に移行させて発光ダイオード19〜21を点灯制御とするようにした。これにより、調光信号の調光深度に応じて電流制御モード及び電圧制御モードによる調光制御方式の移行をスムーズに行うことができるとともに、調光深度の浅い領域から深い領域までの広い範囲の調光制御を安定して行うことができる。また、調光制御にパルス幅の制御が用いられないことから、特許文献1のパルス幅により調光制御を行うものと比べ、発光ダイオードの光出力にフリッカが発生するのを防止でき、また、調光制御のためのスイッチ素子などを必要としないことで回路構成を簡単にして部品点数を減らすことができ、装置の小型化及び低廉化を実現することができ、さらに回路効率の低下も抑制することができる。
また、発光ダイオード19〜21のV−I特性は、図14に示すように指数関数的に立ち上がる領域を有し、また、素子のバラツキや温度特性による動作点のばらつきによりAcenを中心にAmaxとAminの間で変動することが知られている。この場合、調光深度が浅く比較的大きな電流が流れる領域では、上述したように電流制御モードが選択されるため、図15(a)に示すようにΔI/ΔVが小さな領域でのばらつきB11に対しΔI/ΔVが大きな領域でのばらつきB12を小さくできる。また、調光深度が深く小さな電流が流れる領域では、上述したように電圧制御モードが選択されるため、図15(b)に示すようにΔI/ΔVが大きな領域でのばらつきB21に対しΔI/ΔVが小さな領域でのばらつきB22を小さくできる。これにより、発光ダイオード19〜21のばらつきや温度特性による動作点のばらつきに起因する光出力の変動を極力抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、アナログ回路の例を述べたが、マイコンやデジタル処理を用いた制御方式を採用することもできる。また、調光深度の切替えは、連続的に調光するものや段階的に調光するものも含み、また、電源電圧の導通期間を制御して負荷への実効電圧を可変させる位相制御でもよい。さらに、調光信号は、専用信号線を用いたり、電源電線に調光信号を重畳させた電力線信号を用いることもできる。
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。