JP2011259559A - 振動型アクチュエータの制御装置及び振動型アクチュエータの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の振動子に共通の交流信号を印加することにより複数の振動子の接触部に楕円運動を生じさせ、楕円運動により接触部に接触する被駆動体を複数の振動子に対して相対移動させる振動型アクチュエータの制御装置であって、
交流信号の駆動周波数を設定する周波数決定手段を備え、
周波数決定手段は、振動子毎に設定された楕円比変更周波数範囲が重複する周波数範囲内で、楕円運動の楕円比を変化させる際の交流信号の周波数を設定し、
楕円比変更周波数範囲は、
楕円比を変化させた時の最大の共振周波数を下限値とし、下限値よりも高い周波数であり被駆動体が相対移動する最大の周波数を上限値とし、上限値と下限値の間の周波数範囲として振動子毎に設定されている。
【選択図】 図1
Description
板状の振動子を有する振動型アクチュエータの基本的な構成としては、特許文献1に示すような構成が知られている。図8(a)は、特許文献1の振動型アクチュエータの基本的な構成の一例を示す外観斜視図である。
図8(a)に示すように、この振動型アクチュエータの振動子は、矩形の板状に形成された金属材料から成る弾性体4を備え、弾性体4の裏面には圧電素子(電気−機械エネルギー変換素子)5が接合されている。弾性体4の上面の所定位置には、複数の突起部6が設けられている。
この構成によれば、圧電素子5に交流電圧を印加することにより、弾性体4の長辺方向における2次の屈曲振動と、弾性体4の短辺方向における1次の屈曲振動とが同時に発生し、突起部6に楕円運動が励起される。
そして、突起部6の上部(接触部)に被駆動体7を加圧接触させることにより、被駆動体7を突起部6の楕円運動によって直線的に駆動することができるようになっている。つまり、突起部6がこの振動子の駆動部として作用する。
また、図9(a)、(b)は、弾性体4の振動モードを示す斜視図であり、図9(c)は、弾性体4の突起部6に励起する楕円運動を説明するための説明図である。
上記圧電素子5は、図8(b)に示すように、分極処理されており、2つの電極A1、A2を備えている。
上記2つの電極A1、A2に同相の交流電圧V1、V2を印加することにより、上記矩形の弾性体4において長辺方向と平行な方向に延びた2本の節を有する1次の屈曲振動を励振する。これが図9(a)に示す第1の振動モードとなる。
また、2つの電極A1、A2に逆相の交流電圧V1、V2を印加することにより、矩形の弾性体4の短辺方向と平行な方向に延びた3本の節を有する2次の屈曲振動を励振する。これが図9(b)に示す第2の振動モードとなる。
そして、上記第1の振動モードと第2の振動モードの組み合わせにより突起部6に楕円運動を励振し、このとき、突起部6に被駆動体を加圧接触させると、被駆動体を直線的に駆動することができるようになっている。
ここで、図9(a)に示す第1の振動モードによって、突起部6には、被駆動体と加圧接触する接触部の面(以下、接触面と記す。)と垂直な方向に変位する振幅(以下、Z軸振幅と記す。)が励起される。
また、図9(b)に示す第2の振動モードによって、突起部6には、接触面と平行な方向に変位する振幅(以下、X軸振幅と記す。)が励起される。
上記第1の振動モードと第2の振動モードの2つの振幅モードを組み合わせることにより、所定の突起部6に図9(c)に示すように楕円運動が励起することができる。以下Z軸振幅とX軸振幅の大きさの比を本明細書では楕円運動の楕円比と記す。
分極された圧電素子5における2つの電極A1、A2に印加する2相の交流電圧V1、V2の位相差を−180度〜180度に変化させたときの、第1の振動モードと第2の振動モード(P2)の振幅は、それぞれ図10(a)のP1とP2に示すようになる。
同図の横軸が位相差を示し、縦軸が第1の振幅モードと第2の振幅モードの振幅を示している。
第1の振動モードと第2の振動モードの組み合わせにより突起部6に楕円運動が励起し、印加する交流電圧V1、V2の位相差を変更することにより、所定の突起部6の励起する楕円運動の楕円比を調整することができる。
さらに、位相差を任意の値から正負の符号を含めて連続的に切り替える(例えば、位相差を正負の符号を含めて90度から−90度まで連続的に変更する)ことにより、駆動方向と速度が連続的に変化させることが可能になる。
駆動速度においては図10(b)に示すように共振周波数を速度のピークとし、共振周波数よりも高周波数側ではなだらかに駆動速度が減少し、かつ低周波数側では急激に速度が減少する現象(以下、崖落ち現象と記す)が生じてしまう。
また、圧電素子に印加する交流電圧の周波数を共振周波数に近づけることにより、速度を速くすることができ、印加する交流電圧の周波数を共振周波数から遠ざけることにより、速度を遅くすることができることが一般的に知られている。
このような振動型アクチュエータにおいて、振動子を複数用いることにより駆動力を高めた装置を構成することが可能である。
振動型アクチュエータの制御装置の回路構成を簡単にするため、複数のそれぞれの振動子に共通の周波数を印加する場合、各々の振動子の共振周波数にズレがあると、動作が不安定になる。このため、不安定な部分を使用せずに駆動することが必要がある。
本発明の振動型アクチュエータの制御装置は、複数の振動子に共通の交流信号を印加することにより前記複数の振動子の接触部に楕円運動を生じさせ、前記楕円運動により前記接触部に接触する被駆動体を前記複数の振動子に対して相対移動させる振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記交流信号の駆動周波数を設定する周波数決定手段を備え、
前記周波数決定手段は、振動子毎に設定された楕円比変更周波数範囲が重複する周波数範囲内で、前記楕円運動の楕円比を変化させる際の前記交流信号の周波数を設定し、
前記楕円比変更周波数範囲は、
前記楕円比を変化させた時の最大の共振周波数を下限値とし、前記下限値よりも高い周波数であり前記被駆動体が相対移動する最大の周波数を上限値とし、前記上限値と前記下限値の間の周波数範囲として前記振動子毎に設定されていることを特徴とする。
また、本発明の振動型アクチュエータの制御方法は、複数の振動子に共通の交流信号を印加することにより前記複数の振動子の接触部に楕円運動を生じさせ、前記楕円運動により前記接触部に接触する被駆動体を前記複数の振動子に対して相対移動させる振動型アクチュエータの制御方法であって、
振動子毎に設定された楕円比変更周波数範囲が重複する周波数範囲内で、前記楕円運動の楕円比を変化させる際の前記交流信号の周波数を設定するにあたり、
前記楕円比を変化させた時の最大の共振周波数を下限値とし、前記下限値よりも高い周波数であり前記被駆動体が相対移動する最大の周波数を上限値とし、前記上限値と前記下限値の間の周波数範囲を前記楕円比変更周波数範囲として前記振動子毎に設定することを特徴とする。
それぞれの振動子の共振周波数にズレがあっても、安定して駆動することが可能となる振動型アクチュエータの制御装置及び制御方法を実現することができる。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態における振動型アクチュエータの制御装置の構成を、図1を用いて説明する。
本実施形態の振動型アクチュエータは、少なくとも電気−機械エネルギー変換素子と弾性体とを有する振動子を複数備えている。
そして、前記複数の振動子におけるそれぞれの前記電気−機械エネルギー変換素子に対し共通の駆動周波数による交流信号を印加することによって、前記複数の振動子の接触部を介して接触している被駆動体を駆動するように構成されている。
図1は、2つの振動子により1つの被駆動体を相対駆動させる振動型アクチュエータであり、直線状に延びる被駆動体の長手方向に被駆動体を相対移動させるよう構成されている。これらの2つの振動子により、2倍の推力を発生させることができる。
図1に示す振動子8aと振動子8bは不図示のホルダにより一体となって被駆動体3と相対移動する構成とされている。
図1に示すように、この振動型アクチュエータの振動子8aは、矩形の板状に形成された金属材料から成る弾性体4aを備え、弾性体4aの裏面には圧電素子(電気−機械エネルギー変換素子)5aが接合されている。
弾性体4aの上面の所定位置には、2つの突起部6aが設けられている。
図1に示す振動子は突起部に楕円運動を生じさせ、突起部の上部(接触部)に摩擦接触する被駆動体を駆動する。同様に振動子8bは、弾性体4bには圧電素子5bが接合されており、弾性体4bの所定位置には2つの突起6bが設けられている。
この構成による振動子は印加する2相の交流電圧(交流信号)の位相差を変更することにより、図1に示す突起部6a、6bに励起する楕円運動の楕円比を変更することができる。
また、印加する交流電圧の周波数を共振周波数から遠ざけることにより、速度を遅くすることができる。
また、共振周波数を速度のピークとし、共振周波数よりも高周波数側ではなだらかに駆動速度が減少し、且つ低周波数側では急激に駆動速度が減少するような特性となる。
また、突起部6a、6bに励起する楕円運動のX軸振幅を大きくすることにより、被駆動体の移動速度を速くすることができる。
また、X軸振幅を小さくすると共に、Z軸振幅を所定の振幅に保つことにより、被駆動体の移動速度を安定的に遅くすることができる。
また、2相の交流電圧の位相差を切り替えることにより、被駆動体の相対移動の向きを切り替えることができる。
図10(a)の下部に、横軸の位相差に応じた楕円形状を示す。
位相差を正負の符号を含めて90度から−90度まで連続的に変更することにより、駆動方向と速度が連続的に変化させることが可能になる。
上記の構成によって、図1の振動子8a、および8bそれぞれに振動を励振することにより、被駆動体(スライダ)3を駆動することが可能となる。
また、本発明の振動子は、上記形態に限られず、突起部にZ軸振幅を励起する振動モードの振動と、突起部にX軸振幅を励起する振動モードの振動と、の組み合わせにより突起部に楕円運動を生じさせる振動子であればよい。具体的には、上記形態の他に、振動子の長手方向の伸縮振動と曲げ振動とを組み合わせて突起部に楕円運動を生じさせる形態でもよい。
図2は、1つの振動子と1つの被駆動体で駆動した場合の、電極A1と電極A2(図8(b)参照)に印加する交流電圧の位相差と駆動周波数と駆動速度の関係を示すグラフである。例えば、図2に示すように、位相差が90度から0度に近づくほど、第2の振幅モードの振幅が小さくなることにより駆動速度が小さくなる。また、位相差が90度から0度に近づくほど、共振周波数が高くなる。
ここで位相差を変更する際の駆動特性を説明する。
例えば、位相差60度のときの共振周波数に値に駆動周波数を設定し、位相差を90度から低位相差側にシフトした場合、位相差90度から位相差60度までは共振周波数よりも高周波側で駆動しているため崖落ち現象は生じない。ところが、位相差を60度よりも小さくシフトさせると、突然崖落ち現象が発生することになる。つまり、位相差60度のときの共振周波数の値に駆動周波数を設定し、位相差を変更する際は位相差60度より低位相差側は不安定な動作となる。
しかしながら、位相差10度のときの共振周波数の値に駆動周波数を設定し、位相差を90度から低位相差側にシフトした場合、位相差90度から位相差10度までは位相差10度の共振周波数よりも高周波数側で駆動しているため崖落ち現象は生じない。
つまり、駆動周波数を固定して位相差を変更して駆動する場合、位相差が低い値の場合の共振周波数より高周波数側で駆動することが崖落ち現象の発生を少なくすることができる。
上述の位相差が0度の時の共振周波数24が最も高い共振周波数となるので、この周波数を位相差を変化させる制御を行う際の下限値とする。
例えば、位相差を90度に設定した状態で、共振周波数より高周波数側に駆動周波数をスイープアップすると駆動速度が徐々に小さくなり、突然、駆動速度が下がり動作しなくなる部分23がある。このように、下限値よりも高周波数側であって、被駆動体が相対移動しなくなる周波数を、位相差制御の際の上限値とする。また、上限値としては、上記したスイープアップした際に被駆動体が動作しなくなる部分23ではなく、共振周波数より十分に高周波数側から駆動周波数をスイープダウンした場合に速度が急激に立ち上がる部分の周波数を上限値としても良い。つまり、本発明においては、スイープダウン又はスイープアップの際に、下限値よりも高周波数側であって被駆動体が相対移動しなくなる周波数を上限値に設定すればよい。
上述の周波数の上限値と下限値の間の周波数範囲を図2に示す楕円比変更周波数範囲と設定する。この楕円比変更の周波数範囲内で楕円比を変更することにより、崖落ち現象や駆動速度が下がり動作しなくなる部分を避けて駆動することができる。
この制御装置は、被駆動体の目標値を生成する位置指令生成手段17を有し、その出力側には、比較手段18を介して操作量決定手段22が接続されている。
比較手段18は、位置指令生成手段17から出力された目標値と、位置検出手段16から出力された被駆動体の現在位置とを比較する。
操作量決定手段22は、比較手段18の比較結果から、振動型アクチュエータの操作量eを演算する。
操作量決定手段22はPI制御器、またはPID制御器で構成されている。位置検出手段16は、被駆動体3の位置を検出するものであり、例えば、リニアスケールやエンコーダにて構成される。
振動子8aは、上記図1に示した構成の振動子であり、矩形の板状に形成された金属材料から成る弾性体4aの裏面に圧電素子5aが接合され、弾性体4aの表面に複数の突起部6aが設けられた振動子を備えている。
同様に、振動子8bは図1に示した構成の振動子であり、矩形の板状に形成された金属材料から成る弾性体4bの裏面に圧電素子5bが接合され、弾性体4bの表面に駆動部としての複数の突起部6bが設けられた振動子を備えている。
被駆動体3は、図1に示す被駆動体3であり、振動子8a及び振動子8bの出力側に被駆動体3が接続されている。
操作量決定手段22の出力側には、上記した楕円運動における楕円の比率を設定する楕円比決定手段19と、交流信号の周波数を設定する周波数決定手段20が接続されている。
駆動周波数決定手段20は操作量決定手段22の出力から、振動子8a、振動子8bに印加する交流電圧の駆動周波数を設定可能に構成されている。
さらに、楕円比決定手段19及び駆動周波数決定手段20の出力側が駆動信号生成手段21に接続されている。
駆動信号生成手段21は、周波数決定手段20で決定された周波数で、かつ楕円比決定手段19で決定された位相差を有する2相の交流信号を生成する。
駆動信号生成手段21の出力側には昇圧回路25が接続されている。昇圧回路25は駆動信号生成手段21で生成された2相の交流信号を昇圧し、昇圧された2相の交流信号は振動子8a、8bの圧電素子に印加する。
昇圧回路25は、電力増幅器、スイッチング素子、DC/DC回路、またはトランス回路で構成されてもよい。
図4の中のグラフにおいて、横軸が操作量eであり、縦軸がそれぞれ位相差θ、駆動周波数frを表わしている。
操作量決定手段22から出力された操作量eを楕円比決定手段19の入力値とする。
そして、この入力値により、楕円比決定手段19がグラフで表された設定に基づいて楕円比を決定する。
駆動周波数決定手段20にも操作量決定手段22から出力された操作量eが入力されており、グラフで表された設定に基づいて駆動周波数frを決定する。
図4のグラフで示したように、操作量eの絶対値が小さい時は楕円比決定手段19で決定される位相差が変化し、操作量eの絶対値が大きい時は周波数決定手段20で決定される周波数が変化する。
このとき、周波数が変化する時には位相差が変化せず、位相差が変化する時は周波数が変化しないように、周波数、位相差が一定となる領域が設けられている。位相差が変化する時に固定される周波数を楕円比制御時周波数(fe)と記すことにする。
図5は、共振周波数のズレている2つの振動子の1つの振動子と1つの被駆動体で駆動した場合の駆動周波数、位相差、駆動速度の関係を表している。
この図5は図8(b)に示す圧電素子に印加する2相の電圧V1とV2の位相差を変更した場合の駆動速度を示すグラフである。
振動子8aの位相差を90〜10度と変更したときの駆動周波数対駆動速度は図5に示す90度a〜10度aである。
振動子8aの位相差0度の共振周波数は図5に示す位相差0度の共振周波数24aである。同様に、振動子8bの位相差を90〜10度と変更したときの駆動周波数対駆動速度は図5に示す90度b〜10度bである。振動子8bの位相差0度の共振周波数は図5に示す位相差0度の共振周波数24bである。また、振動子8aで被駆動体を相対移動させる際に、被駆動体が相対移動しなくなる最大の周波数が23aであり、振動子8bで被駆動体を相対移動させる際に、被駆動体が相対移動しなくなる最大の周波数が23bである。
すなわち、楕円比変更周波数範囲aは、前述したように、位相差を0度にしたときの共振周波数を下限値(楕円比決定手段により楕円比を変更した際に最大となる共振周波数を下限値)としている。
また、下限値よりも高い駆動周波数で被駆動体を駆動する際に該被駆動体を駆動することができる最大の駆動周波数を上限値としている。
楕円比変更周波数範囲aは、このようにして決定された下限値と上限値との間の周波数範囲である。
同様に、楕円比変更周波数範囲bは、振動子8bの特性に基づいて決定した範囲である。
ここで、振動子8aと振動子8bにより1つの被駆動体を駆動する場合について説明する。
例えば、振動子8aと振動子8bにより1つの被駆動体を駆動する場合、振動子8aの30度の共振周波数において振動子8bは位相差を変更しても崖落ち現象が発生しない。
ところが、振動子8aの位相差を90度から低位相差側に変更した場合、崖落ち現象が発生してしまう。
これにより、振動子8aの駆動速度が急激に減少し振動子8bの駆動速度にブレーキをかける状態となる。
また、駆動速度が不安定な状態に陥る。この状態を避けて駆動することが前述した本発明で課題としていることである。
つまり、楕円比変更周波数範囲cより下側の周波数で駆動した場合、複数の振動子の内で比較する共振周波数の高い振動子が崖落ち現象を発生する可能性がある。
逆に、楕円比変更周波数範囲cより上側の周波数で駆動した場合、複数の振動子の内の共振周波数の低い振動子の駆動速度が下がり動作しなくなる部分を超えてしまう可能性がある。
具体的には、図4に示す楕円比制御時周波数(fe)は2つの振動子の楕円比変更範囲の重複する範囲である楕円比変更周波数範囲cとなるように設定する。
これにより、1つの被駆動体を相対駆動し複数の振動子に共通の周波数を印加する場合、駆動速度が不安定な状態を避けて駆動することが可能となる。
第2の実施形態として、振動型アクチュエータの駆動に用いる周波数帯域のうち、最も高周波となる楕円比変更周波数上限と最も低周波となる楕円比変更周波数下限を設定する構成例について説明する。
本実施形態では、複数の振動子により1つの被駆動体を駆動させる振動型アクチュエータの制御方法において、複数の振動子の各々の特性を特性検出装置において各々に特性検出を行う。
そして、その各々の振動子の特性の検出結果に基づいて、複数の振動子により1つの被駆動体を駆動させる際の周波数帯域のうち、最も高周波となる楕円比変更周波数の上限値と最も低周波となる楕円比変更周波数の下限値を設定する。
なお、本実施形態における複数の振動子により1つの被駆動体を駆動させる振動型アクチュエータの制御装置の構成は、第1の実施形態の構成と同様であり説明は省略する。
まず、STEP1では図1に示す振動子8aと振動子8bにより1つの被駆動体3を駆動させる振動型アクチュエータの振動子8aを不図示の特性検出装置にセットする。
不図示の特性検出装置は図8(a)に示すような振動子1つと被駆動体1つとで構成された状態で駆動特性を検知するセンサ等を含む装置である。
次に、STEP2において、振動子8aへ印加する周波数を予め決められた十分高い周波数に設定する。
次に、STEP3において、振動子8aの位相差を90度に設定する。
ここで設定する位相差は位相差を変化させた時に振動型アクチュエータの駆動速度が最大になる位相差である。
次に、STEP4において、STEP2、3で設定された周波数と位相差を振動子8aに印加して駆動を開始する。
次に、STEP5において、速度検出を行う。ここで検出される速度は振動子8aと被駆動体の相対駆動の速度である。
また、STEP5で検出した速度がゼロの場合は、被駆動体と振動子が相対移動しない状態と判断してSTEP7に進む。
次に、STEP7において、周波数を下げてSTEP5に進む。
ここで、被駆動体と振動子が相対移動しない状態である場合は、STEP5〜STEP7の動作を繰り返している。
次に、STEP8において、振動子8aに印加している周波数を楕円比変更周波数上限値として不図示のメモリに記憶する。
次に、STEP9においては、振動子に印加する位相差を1度にセットする。
これは振動子の共振周波数が位相差を90度から低位相差側にシフトすると共振周波数が大きくなることから、なるべく小さい位相差で共振周波数を検知するためである。
ここでは、十分小さい位相差である1度にセットする。
続くSTEP10において、駆動速度が急激に低下する崖落ち現象が起きているかを検出する。ここで崖落ちしていない場合はSTEP11に進み、崖落ちしている場合はSTEP12に進む。
STEP11では周波数を下げる。ここで、崖落ちが検出されない場合は、STEP10〜STEP11の動作を繰り返している。
STEP12において、振動子8aに印加している周波数を不図示のメモリの楕円比変更周波数下限値に記憶する。
次に、STEP13において、特性検出装置にセットしている振動子を振動子aから振動子bに変更している。その後STEP2に進み前述の動作を繰り返している。この動作により、振動子8aの出力特性を検出した後に振動子8bの出力特性を検出できる。
STEP1〜STEP14の方法において、振動子8aの出力特性を検出した後に、振動子8bの出力特性を検出することで、図5に示すような、各々の振動子の出力特性を検出することができる。
次に、STEP15において、STEP1〜STEP14で検出された、振動子8aを特性検出装置にセットした場合の上限値と下限値との間の周波数範囲である楕円比変更周波数範囲を求める。また、振動子8bを特性検出装置にセットした場合の上限値と下限値との間の周波数範囲である楕円比変更周波数範囲を求める。そして、それぞれの楕円比変更周波数範囲が重複する範囲(共通範囲)を算出する。
これらにより、第1の実施形態に示す振動子毎の楕円比変更周波数範囲a,bが重複する楕円比変更周波数範囲cを算出することができる。
次に、STEP16において、図1に示す2つの振動子により1つの被駆動体を相対駆動する振動型アクチュエータに振動子8aと振動子8bを組み込み、STEP15で算出された値に基づいて第1の実施形態と同様に制御駆動することができる。
これにより、各々の楕円比変更周波数範囲の重なりあう部分から楕円比変更周波数範囲cを設定することができる。
これにより、複数の振動子により1つの被駆動体を相対駆動する場合、予め各々の振動子の楕円比変更周波数範囲を検出することにより、容易に複数の振動子により1つの被駆動体を相対駆動する際の楕円比変更周波数範囲を設定することができる。
第3の実施形態として、3つの振動子によりリング形状の被駆動体を回転駆動させるようにした構成例について、図7を用いて説明する。
第1及び第2の実施形態では、2つの振動子により1つの被駆動体を相対駆動させる振動型アクチュエータを例にあげて説明を行った。
本実施形態では、図7に示すように、3つの振動子によりリング形状の被駆動体を回転駆動可能に構成されている。
リング形状の被駆動体は不図示のガイドで回転以外の動作はできないようになっている。
この構成において、第1の実施形態と同様な方法で各々の楕円被変更周波数範囲の重複する部分で駆動することにより、駆動速度が不安定な状態を避けて駆動することができる。
また、第2の実施形態と同様な方法で、最も高周波となる楕円比変更周波数上限値と最も低周波となる楕円比変更周波数下限値を設定することができる。
具体的には、各々の特性を別の特性検出装置において各々に特性検出を行う。
そして、その各々の振動子の特性結果に基づいて振動子8c、8d、8eの振動子により1つの被駆動体2を駆動させる振動型アクチュエータの駆動に用いる周波数帯域のうち、楕円比変更周波数における最も高周波となる上限値と下限値を設定する。
これにより、複数の振動子により1つの被駆動体を相対駆動する場合、予め各々の振動子の楕円比変更周波数範囲を検出することにより、容易に複数の振動子により1つの被駆動体を相対駆動する際の楕円比変更周波数範囲を設定することができる。
すなわち、各々の振動子の共振周波数にズレがあっても、各々の振動子の楕円比変更周波数範囲の重複した部分で駆動することにより安定して駆動することができる。
また、各々の出力特性から楕円比変更周波数範囲を調整することにより安定して駆動することができる。
4a、4b:弾性体
5a、5b:圧電素子
6a、6b:突起部
8a、8b:振動子
Claims (4)
- 複数の振動子に共通の交流信号を印加することにより前記複数の振動子の接触部に楕円運動を生じさせ、前記楕円運動により前記接触部に接触する被駆動体を前記複数の振動子に対して相対移動させる振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記交流信号の駆動周波数を設定する周波数決定手段を備え、
前記周波数決定手段は、振動子毎に設定された楕円比変更周波数範囲が重複する周波数範囲内で、前記楕円運動の楕円比を変化させる際の前記交流信号の周波数を設定し、
前記楕円比変更周波数範囲は、
前記楕円比を変化させた時の最大の共振周波数を下限値とし、前記下限値よりも高い周波数であり前記被駆動体が相対移動する最大の周波数を上限値とし、前記上限値と前記下限値の間の周波数範囲として前記振動子毎に設定されていることを特徴とする振動型アクチュエータの制御装置。 - 前記交流信号は、2相の交流信号であり、
前記楕円比を設定し、前記2相の交流信号の位相差を決定する楕円比決定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータの制御装置。 - 複数の振動子に共通の交流信号を印加することにより前記複数の振動子の接触部に楕円運動を生じさせ、前記楕円運動により前記接触部に接触する被駆動体を前記複数の振動子に対して相対移動させる振動型アクチュエータの制御方法であって、
振動子毎に設定された楕円比変更周波数範囲が重複する周波数範囲内で、前記楕円運動の楕円比を変化させる際の前記交流信号の周波数を設定するにあたり、
前記楕円比を変化させた時の最大の共振周波数を下限値とし、前記下限値よりも高い周波数であり前記被駆動体が相対移動する最大の周波数を上限値とし、前記上限値と前記下限値の間の周波数範囲を前記楕円比変更周波数範囲として前記振動子毎に設定することを特徴とする振動型アクチュエータの制御方法。 - 前記振動子毎に前記下限値と前記上限値を検出することにより、前記振動子毎に前記楕円比変更周波数範囲を求める工程を有することを特徴とする請求項3に記載の振動型アクチュエータの制御方法。
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