JP2011251959A - アンブロキソール含有製剤粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】そのまま顆粒剤や散剤として服用したり、ゼラチン硬カプセルに封入してカプセル剤としたり、他の賦形剤と混合し圧縮成形して錠剤とする場合に、それらの製剤が大型化しない適度なサイズを有し、その製造にも多大の時間を要せず、フィルムコーティングを施した場合には、アンブロキソール又はその塩の溶出を遅延させ、即放性のアンブロキソール含有粒子、例えば、フィルムコーティングを施していない製剤粒子と組み合わせることによって、アンブロキソールの薬効が投与直後から長時間に亘って持続する、アンブロキソール配合徐放性製剤を構成する製剤粒子を提供する。
【解決手段】賦形剤のみからなる核粒子がなく、アンブロキソール又はその塩と賦形剤とからなり、平均粒子径が400〜1000μmで、粒度分布の幾何標準偏差が1.5以下であることを特徴とする製剤粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、有効成分としてアンブロキソール又はその塩を含有する製剤粒子に関し、該製剤粒子に非水溶性基剤をベースとしたフィルムコーティングを施した場合に、アンブロキソールの溶出が遅延し、溶出の制御が可能な徐放性製剤の提供を可能とする製剤粒子の組成、該製剤粒子の製造方法及びフィルムコーティングを施した該製剤粒子に関する。
気道潤滑去痰剤であるアンブロキソール又はその塩(例えば、アンブロキソール塩酸塩)は去痰に効果があり、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、かぜや呼吸疾患等の治療において汎用されている。慢性呼吸疾患患者の喀痰症状には日内変動があることが知られており、喀痰症状が出やすい早朝の時間帯に気道を痰の滑りやすい状態にするため、夕方服用し、早朝に効果が発現する徐放性製剤が用いられている(非特許文献1参照)。
アンブロキソール塩酸塩の場合、日本薬局方一般試験法溶出試験法第2法(パドル法)によって、試験液水、パドル回転数50rpmの条件下に評価した場合、90分後の薬物溶出率が20〜50%、120分後の薬物溶出率が30〜60%、及び300分後の薬物溶出率が80%以上であることが好ましいとされている(非特許文献2参照)。
ここで、徐放性製剤とは、製剤の投与後長時間に亘って薬物の有効血中濃度を維持できるように薬物の溶出が制御されている製剤である。
一般的な徐放性製剤としては、コーティング製剤が挙げられるが(非特許文献3参照)、コーティング製剤では、結晶セルロースシード等のコーティング用の核粒子が必要となる。核粒子上に薬物を積層造粒させて薬物含有粒子を製し、本粒子にフィルムコーティングして徐放化粒子を製するが、核粒子上に薬物を積層造粒させるために製剤が大型化することに加えて工程に非常に多くの時間を有するといった課題があった。
徐放技術と用途展開,株式会社東レリサーチセンター,p55-58,(1997) オレンジブック総合版,塩酸アンブロキソール45mg徐放カプセルの公的溶出試験 PHARM TECH JAPAN, 22,p1483-1488(2006)
本発明は、そのまま顆粒剤や散剤として服用したり、ゼラチン硬カプセルに封入してカプセル剤としたり、他の賦形剤と混合し圧縮成形して錠剤とする場合に、それらの製剤が大型化しない適度なサイズを有し、その製造にも多大の時間を要せず、フィルムコーティングを施した場合には、アンブロキソール又はその塩の溶出を遅延させ、アンブロキソールの薬効が投与直後から長時間に亘って持続する、アンブロキソール配合徐放性製剤を構成する製剤粒子を提供することを課題とする。
本発明者は、1日当たりの配合量が多く、徐放化に適する薬物としてアンブロキソール塩酸塩を採択し、このアンブロキソール塩酸塩を含有する核粒子を製してコーティングを施し、溶出特性について鋭意検討を行った。その結果、アンブロキソール塩酸塩を含有する核粒子の調製方法として、ショ糖シードなど賦形剤核を使わずに、アンブロキソール塩酸塩と賦形剤とからなる核粒子に該当する製剤を調製し、この製剤にヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する保護膜をコーティングした後、エチルセルロース等の水不溶性高分子を基剤とするフィルムコーティングを施すことにより、アンブロキソールの溶出が遅延し、徐放化しうることを見出した。
かかる知見に基づき完成した本発明の態様は、賦形剤のみからなる核粒子がなく、アンブロキソール又はその塩と賦形剤とからなり、平均粒子径が400〜1000μmで、粒度分布の幾何標準偏差が1.5以下であることを特徴とする製剤粒子である。
本発明の他の態様は、賦形剤として、アメ粉、マルトース、タルク、結晶セルロース及びケイ酸の少なくとも1種を含有する前記製剤粒子である。
本発明の他の態様は、エチルセルロース又はアミノアルキルメタアクリレートを含有するフィルム層で被覆されていることを特徴とする前記製剤粒子である。
本発明により、賦形剤のみからなる核粒子がなく、アンブロキソール又はその塩を含有し、エチルセルロース又はアミノアルキルメタアクリレートを含有するフィルム層で被覆したときに、アンブロキソールの溶出が遅延する製剤粒子を提供することが可能となった。
実施例1のフィルム層で被覆された製剤粒子におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出率を示すグラフである。 実施例2のフィルム層で被覆された製剤粒子におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出率を示すグラフである。 比較例1のフィルム層で被覆された製剤粒子におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出率を示すグラフである。 比較例2のフィルム層で被覆された製剤粒子におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出率を示すグラフである。 実施例1のフィルム層で被覆された製剤粒子をゼラチンカプセルに封入し、40℃75%RH環境下にてアルミピロー包装して保存した場合におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出率を示すグラフである。
本発明における「製剤粒子」は、アンブロキソール又はその塩と賦形剤を含有し、平均粒子径が400〜1000μmで、粒度分布の幾何標準偏差が1.5以下の粒子である。該粒子はエチルセルロースやアミノアルキルメタアクリレートといった水不溶性のコーティング基剤を配合したフィルムコーティング液でコーティングし、フィルム層で被覆した場合に、有効成分であるアンブロキソールの溶出が遅延し、徐放性製剤を提供する際の徐放化粒子として好適である。該製剤粒子の具体的な物性は次のとおりである。
製剤粒子の平均粒子径は400μm以上1000μm以下、粒度分布の幾何標準偏差は1.5以下である。
「平均粒子径(mean particle diameter)」とは、質量平均径である。具体的には、サンプリングした粒子(例えば5g)を、10M(1700μm)、12M(1400μm)、16M(1000μm)、20M(850μm)、24M(710μm)、28M(600μm)、32M(500μm)及び35M(425μm)の順に積み重ねた篩上に置き、一定時間(例えば、3分間)振動を与えて分級し、10M篩残、12M篩残、16M篩残、20M篩残、24M篩残、28M篩残、32M篩残、35M篩残及び35M通過分の各質量を測定する。各質量に、予め算出しておいた各篩間の粒径区分の中央値を乗じ、その総和を全質量(5g)で除した値が求める質量平均径、すなわち、本発明における平均粒子径である。例えば、ロッボットシフター(株式会社セイシン企業)などを用いれば自動的に測定できる。なお、Mはメッシュを表す。
「粒度分布(粒径分布)」とは、ある粒径範囲に属する粒子の粉体全量に対する割合をいう。具体的には、前記と同様にサンプリングした粒子(例えば5g)を、10M(1700μm)、12M(1400μm)、16M(1000μm)、20M(850μm)、24M(710μm)、28M(600μm)、32M(500μm)及び35M(425μm)の順に積み重ねた篩上に置き、一定時間(例えば、3分間)振動を与えて分級し、10M篩残、12M篩残、16M篩残、20M篩残、24M篩残、28M篩残、32M篩残、35M篩残及び35M通過分の各質量を測定する。各質量を全質量(5g)で除し、100を乗じて質量%で表される。コーティング用核粒子としての用途を斟酌すると、その「幾何標準偏差(geometric standard deviation)」は、1.5以下が好ましい。ここに、幾何標準偏差は、対数正規分布により求められる積算通過分率84.13%のときの粒径を積算通過分率50%のときの粒径(中位径または幾何平均径)で除したときの値である。
「平衡相対湿度(ERH)」とは、本発明の固形製剤約0.1gを25℃の密閉容器内に置いた場合の、その密閉容器内空間が示す平衡相対湿度(ERH)を意味し、
式:平衡相対湿度(ERH)=(P/PS)×100[式中、Pは物質の表面上の水蒸気圧を示し、PSは物質と同じ温度における純水上の水蒸気圧を示す。]
で求めることができる。例えば、水分活性測定用装置TH−500(DKSHジャパン株式会社)などを用いれば自動的に測定できる。
なお、平均粒子径、粒度分布、幾何学標準偏差については、社団法人化学工学会編「現代の化学工学I」(1988年、朝倉書店、p.239〜p.245)に依った。
「アンブロキソール又はその塩」の含有(配合)量は製剤粒子全体の5.0〜90質量%である。5.0質量%未満では製剤中のアンブロキソールの配合量が少なすぎて、アンブロキソール高含有製剤を目的とする本発明を用いる意義に乏しく、90質量%を超えると賦形剤の配合量が少なすぎて、所望の大きさ、平均粒子径、粒子強度等を有し、フィルムコーティングに適する製剤粒子を得ることが極めて難しいからである。
本発明においてアンブロキソール又はその塩とともに配合される「賦形剤」としては、アメ粉、マルトース、タルク、結晶セルロース、ケイ酸、酸化チタン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースともいう)、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。このうち、アメ粉、マルトース、タルク、結晶セルロース及びケイ酸の少なくとも1種は粒子の形成及びその球形化のために配合することが好ましく、その製剤粒子中の含有(配合)量は10〜95質量%である。10質量未満であると、所望の大きさ、平均粒子径、粒子強度等を有し、フィルムコーティングに適する製剤粒子を得ることが難しく、95質量%を超えると、アンブロキソールの配合量が少なくなり、アンブロキソール高含有製剤を目的とする本発明を用いる意義に乏しいからである。
本発明の製剤粒子はそのままではアンブロキソールの溶出遅延を生じない。徐放化粒子として提供するためには、フィルムコーティングを施す必要がある。一般的に顆粒や錠剤にフィルムコーティングを施して薬物の溶出を遅延させる作用を有する基剤であれば、どのような基剤であっても構わないが、エチルセルロースやアミノアルキルメタアクリレートのような水不溶性のコーティング基剤が好ましい。そして、被覆量が多くなり、フィルム層が厚くなれば、アンブロキソールの溶出は遅延するので、フィルムコーティングしていない製剤粒子とフィルム層で被覆された1種又は2種以上の製剤粒子を適宜に組み合わせることにより、溶出パターンの異なる、アンブロキソールの薬効が持続する徐放性製剤を提供することができる。
製剤粒子の製造方法としては、例えば、アンブロキソール塩酸塩、タルク、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、糖類系賦形剤を混合、粉砕して造粒用粉末を調製する。該造粒用粉末を転動(撹拌)流動層造粒機中に転動(撹拌)流動させ、該造粒用粉末に水に結合剤を溶解させた結合液を噴霧し、乾燥、分級して目的とする製剤粒子を調製するという方法が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、該製剤粒子に他の有効成分及び公知の添加剤を配合することができる。公知の添加剤としては、日本医薬品添加剤協会編「医薬品添加物事典2007」(2007年、薬事日報社)に収載されている添加剤等が挙げられる。
また、フィルム層で被覆された製剤粒子とフィルム層で被覆されていない製剤粒子を混合して、散剤又は顆粒剤として徐放性製剤を提供できる他、これをゼラチンや高分子のハードカプセルに充填し、徐放性のカプセル剤として提供したり、フィルム層で被覆された製剤粒子を他の賦形剤等と混合し、これを圧縮成形(打錠)することによって、徐放性の錠剤として提供することも可能である。
以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
(1)造粒用粉末の調製
アンブロキソール塩酸塩 495.0g
タルク 99.0g
軽質無水ケイ酸 10.0g
結晶セルロース 198.0g
アメ粉 198.0g
上記成分を秤量後、混合・粉砕し、均一な造粒用粉末を得た。
(2)結合液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース) 84.0g
精製水 1036.0g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース;以下、「HPMC」と略記する。)を溶解させ、結合液を得た。
(3)製剤粒子の調製
造粒用粉末を転動流動コーティング装置(商品名:マルチプレックス;パウレック社製)に167g充填し、前記結合液と造粒用粉末333gを噴霧しながら造粒し、乾燥後1700μmの篩で分級して、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、平均粒子径432μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.348であった。
(4)1次コーティング液の調製
HPMC 20.0g
タルク 5.0g
精製水 287.5g
精製水にHPMCを溶解させ、タルクを分散させて1次コーティング液を調製した。
(5)1次コーティング層(保護膜)の被覆
上記で得られた製剤粒子500gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記1次コーティング液を313gスプレー噴霧し、1次フィルム層(保護膜)を施した。
(6)2次コーティング液の調製
エチルセルロース 36.75g
HPMC 5.25g
タルク 10.50g
エタノール 525.60g
精製水 131.40g
エタノールと精製水の混液にエチルセルロースとHPMCを溶解させ、タルクを分散させて2次コーティング液を調製した。
(7)フィルム層で被覆された製剤粒子の調製(2次フィルム層(徐放膜)の被覆)
1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子525gを微粒子コーティング装置に充填し、前記2次コーティング液を709.5gスプレー噴霧し、2次フィルム層(徐放膜)を施して、フィルム層で被覆された製剤粒子を得た。
得られたフィルム層で被覆された製剤粒子は、平均粒子径404μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.369であった。
なお、製剤粒子をゼラチンカプセルに封入し、40℃75%RH環境下にてアルミピロー包装して保存した場合における平衡相対湿度(ERH)は、製造直後27.7%、1カ月後29.7%、3カ月後31.7%、6カ月後35.5%であった。
実施例2
(1)造粒用粉末の調製
アンブロキソール塩酸塩 495.0g
タルク 99.0g
軽質無水ケイ酸 10.0g
結晶セルロース 198.0g
アメ粉 198.0g
上記成分を秤量後、混合・粉砕し、均一な造粒用粉末を得た。
(2)結合液の調製
HPMC 84.0g
精製水 1036.0g
精製水にHPMCを溶解させ、結合液を得た。
(3)製剤粒子の調製
造粒用粉末を転動流動コーティング装置に167g充填し、前記結合液と造粒用粉末333gを噴霧しながら造粒し、乾燥後1700μmの篩で分級して、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、平均粒子径631μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.490であった。
(4)1次コーティング液の調製
HPMC 20.0g
タルク 5.0g
精製水 287.5g
精製水にHPMCを溶解させ、タルクを分散させて1次コーティング液を調製した。
(5)1次コーティング層(保護膜)の被覆
上記で得られた製剤粒子500gを微粒子コーティング装置に充填し、前記1次コーティング液を313gスプレー噴霧し、1次フィルム層(保護膜)を施した。
(6)2次コーティング液の調製
エチルセルロース 18.375g
HPMC 2.625g
タルク 5.250g
エタノール 262.80g
精製水 65.70g
エタノールと精製水の混液にエチルセルロースとHPMCを溶解させ、タルクを分散させて2次コーティング液を調製した。
(7)フィルム層で被覆された製剤粒子の調製(2次フィルム層(徐放膜)の被覆)
1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子525gを微粒子コーティング装置に充填し、前記2次コーティング液を344.75gスプレー噴霧し、2次フィルム層(徐放膜)を施して、フィルム層で被覆された製剤粒子を得た。
得られたフィルム層で被覆された製剤粒子は、平均粒子径549μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.401であった。
比較例1
(1)造粒用粉末の調製
アンブロキソール塩酸塩 495.0g
タルク 99.0g
軽質無水ケイ酸 10.0g
結晶セルロース 198.0g
アメ粉 198.0g
上記成分を秤量後、混合・粉砕し、均一な造粒用粉末を得た。
(2)結合液の調製
HPMC 84.0g
精製水 1036.0g
精製水にHPMCを溶解させ、結合液を得た。
(3)製剤粒子の調製
造粒用粉末を転動流動コーティング装置に167g充填し、前記結合液と造粒用粉末333gを噴霧しながら造粒し、乾燥後1700μmの篩で分級して、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、平均粒子径160μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.591であった。
(4)1次コーティング液の調製
HPMC 20.0g
タルク 5.0g
精製水 287.5g
精製水にHPMCを溶解させ、タルクを分散させて1次コーティング液を調製した。
(5)1次コーティング層(保護膜)の被覆
上記で得られた製剤粒子500gを微粒子コーティング装置に充填し、前記1次コーティング液を313gスプレー噴霧し、1次フィルム層(保護膜)を施した。
(6)2次コーティング液の調製
エチルセルロース 55.125g
HPMC 7.875g
タルク 15.750g
エタノール 788.40g
精製水 197.10g
エタノールと精製水の混液にエチルセルロースとHPMCを溶解させ、タルクを分散させて2次コーティング液を調製した。
(7)フィルム層で被覆された製剤粒子の調製(2次フィルム層(徐放膜)の被覆)
1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子525gを微粒子コーティング装置に充填し、前記2次コーティング液を1064.25gスプレー噴霧し、2次フィルム層(徐放膜)を施して、フィルム層で被覆された製剤粒子を得た。
得られたフィルム層で被覆された製剤粒子は、平均粒子径144μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.526であった。
なお、溶出特性を評価するために、1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子に対して、2次フィルム層(徐放膜)を固形分として5質量%及び10質量%施した時点でのフィルム層で被覆された製剤粒子をサンプリングした。
比較例2
(1)造粒用粉末の調製
アンブロキソール塩酸塩 495.0g
タルク 99.0g
軽質無水ケイ酸 10.0g
結晶セルロース 198.0g
アメ粉 198.0g
上記成分を秤量後、混合・粉砕し、均一な造粒用粉末を得た。
(2)結合液の調製
HPMC 84.0g
精製水 1036.0g
精製水にHPMCを溶解させ、結合液を得た。
(3)製剤粒子の調製
造粒用粉末を転動流動コーティング装置に167g充填し、前記結合液と造粒用粉末333gを噴霧しながら造粒し、乾燥後1700μmの篩で分級して、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、平均粒子径1041μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.249であった。
(4)1次コーティング液の調製
HPMC 20.0g
タルク 5.0g
精製水 287.5g
精製水にヒプロメロースを溶解させ、タルクを分散させて1次コーティング液を調製した。
(5)1次コーティング層(保護膜)の被覆
上記で得られた製剤粒子500gを微粒子コーティング装置に充填し、前記1次コーティング液を313gスプレー噴霧し、1次フィルム層(保護膜)を施した。
(6)2次コーティング液の調製
エチルセルロース 55.125g
HPMC 7.875g
タルク 15.750g
エタノール 788.40g
精製水 197.10g
エタノールと精製水の混液にエチルセルロースとHPMCを溶解させ、タルクを分散させて2次コーティング液を調製した。
(7)フィルム層で被覆された製剤粒子の調製(2次フィルム層(徐放膜)の被覆)
1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子525gを微粒子コーティング装置に充填し、前記2次コーティング液を1064.25gスプレー噴霧し、2次フィルム層(徐放膜)を施して、フィルム層で被覆された製剤粒子を得た。
得られたフィルム層で被覆された製剤粒子は、平均粒子径1062μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.242であった。
なお、溶出特性を評価するために、1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子に対して、2次フィルム層(徐放膜)を固形分として5質量%及び10質量%施した時点でのフィルム層で被覆された製剤粒子をサンプリングした。
試験例1 溶出試験
(1)方法
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で調製した各フィルム層で被覆された製剤粒子0.1g及び製剤粒子0.1gをゼラチンカプセルに封入し、40℃75%RH環境下にてアルミピロー包装して1カ月、3カ月、6カ月間保存したものを用い、日本薬局方のパドル法(試験液:水,パドル回転数50rpm)によって溶出性を調べた。結果を図1〜5に示す。
(2)結果
図3及び図4より、比較例1では、1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子に対して15質量%のフィルム層を施した場合でも、90分後の薬物溶出率が20〜50%,120分後の薬物溶出率が30〜60%及び300分後の薬物溶出率が80%以上とならず、徐放性製剤における徐放化製剤粒子としては十分に機能しないと考えられる。そして、さらにコーティング量を増やし、厚いフィルム層を施したとしても十分な溶出制御は示すことはないと予測される。一方、比較例2では、1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子に対して5質量%のフィルム層を施した場合において、90分後の薬物溶出率が20〜50%,120分後の薬物溶出率が30〜60%及び300分後の薬物溶出率が80%以上とならず、徐放性製剤における徐放化製剤粒子としては十分に機能しないと考えられる。そして、さらにコーティング量を減らし、薄いフィルム層を施した場合、安定した溶出制御が困難となることが予測される。
一方、図1及び2より、実施例1及び2では、1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子に対してフィルム層を施した場合に、90分後の薬物溶出率が20〜50%,120分後の薬物溶出率が30〜60%及び300分後の薬物溶出率が80%以上となり、徐放性製剤における徐放化製剤粒子として十分に機能することが窺われる。
また、図5より、製剤粒子をゼラチンカプセルに封入し、40℃75%RH環境下にてアルミピロー包装して保存したものについても、アンブロキソール塩酸塩の溶出率に変化は無く、徐放性製剤における徐放化製剤粒子として十分に機能することが窺われる。
(3)考察
試験例1の結果より、比較例1のフィルム層で被覆された製剤粒子に比し、実施例1、2のフィルム層で被覆された製剤粒子では、アンブロキソール塩酸塩の溶出が明らかに遅延しており、フィルムコーティング量を適宜に調整し、フィルム層の厚みを変えることによって、多様なパターンの徐放性製剤における徐放化製剤粒子を提供できると考えられる。また、比較例2のフィルム層で被覆された製剤粒子では、さらに薄いフィルム層の形成が徐放性製剤に必要であり、恒常的に生産するためには技術的に困難である。
本発明により、アンブロキソール又はその塩を含有し、アンブロキソールの溶出が制御され、その薬効が持続する錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等の実用化が期待される。

Claims (3)

  1. 賦形剤のみからなる核粒子がなく、アンブロキソール又はその塩と賦形剤とからなり、平均粒子径が400〜1000μmで、粒度分布の幾何標準偏差が1.5以下であることを特徴とする製剤粒子。
  2. 賦形剤として、アメ粉、マルトース、タルク、結晶セルロース及びケイ酸の少なくとも1種を含有する請求項1記載の製剤粒子。
  3. エチルセルロース又はアミノアルキルメタアクリレートを含有するフィルム層で被覆されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の製剤粒子である。
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