JP2011210288A - 磁気記録媒体の製造装置、磁気記録媒体の製造方法、及び、磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体の製造装置、磁気記録媒体の製造方法、及び、磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】非磁性層上に磁性層を形成する際に、磁性塗布液の溶媒が乾燥した非磁性層に浸透してしまうことに起因する、磁性層の配向不良や電磁変換特性の劣化を抑えられる磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体の製造装置、磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】帯状の支持体に、支持体上に形成された非磁性層と、非磁性層上に形成された磁性層とを含む磁気記録媒体の製造装置であって、搬送される支持体上に非磁性塗布液を塗布し、非磁性塗布層を形成する非磁性塗布液塗布部と、非磁性塗布液塗布部において形成された非磁性塗布層を乾燥させ、非磁性層を形成する第1乾燥部と、第1乾燥部において形成された非磁性層上に磁性材料を含む磁性塗布液を塗布し、磁性塗布層を形成する磁性塗布液塗布部と、磁性塗布液塗布部において形成された磁性塗布層に含まれる磁性粒子を配向する配向部と、第1乾燥部から配向部の間に配置され、搬送されている支持体を冷却する冷却手段と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気記録媒体の製造装置、磁気記録媒体の製造方法、及び、磁気記録媒体に関する。
現在、磁気記録媒体の磁気記録の高密度化に伴って磁性層の薄膜化が進んでいる。磁性層が薄くなると、磁性層表面に支持体の表面の凹凸が反映されやすくなることにより、磁性層表面の平滑性が損なわれやすい。磁性層表面の平滑性が損なわれると、電磁変換特性が劣化するので、支持体上に非磁性層を形成し、この非磁性層上に磁性層を形成することで、磁性層表面の平滑性を確保する製造方法が提案されている。磁性層は、磁性塗布層が湿潤状態であるうちに配向を行い、乾燥させて硬化させることで形成される。配向は、磁性塗布層を磁界に曝すことで、磁性塗布層に含まれる磁性粒子の向きを一定にする処理である。
このような磁気記録媒体を製造する方法としては、支持体に非磁性塗布液を塗布して非磁性層を形成した後、未乾燥の非磁性層の上に、磁性材料を含む磁性塗布液を塗布し、非磁性層及び磁性層を硬化する、ウェット・オン・ウェット方式の製造方法が知られている。
ウェット・オン・ウェット方式の製造方法では、未乾燥の非磁性層上に磁性塗布層を形成するため、両方の層の界面が乱れやすく、電磁変換特性の劣化を招くことが懸念される。近年、磁気記録媒体の高記録密度化に伴い、磁性層をより薄く形成することが要望されているが、磁性層の薄膜化を図る場合には、非磁性層と磁性層との界面の乱れが電磁変換特性へ与える影響がより顕著になる。
そこで、支持体に塗布した非磁性塗布液を乾燥させ、乾燥した非磁性層上に磁性層を形成する、ウェット・オン・ドライ方式の製造方法が見直されている。ウェット・オン・ドライ方式は、非磁性層と磁性層との間で流体的な乱れが発生しないため、磁性層を薄膜化した際も両方の層の界面を均整にすることができ、高記録密度の磁気記録媒体に適している。
ウェット・オン・ドライ方式の磁気記録媒体の製造方法としては、例えば下記特許文献1から6に記載されているものが知られている。
特開2006−331575号公報 特開2006−209882号公報 特開2006−209822号公報 特開2002−367159号公報 特開2003−340348号公報 特開2001−84584号公報
しかし、ウェット・オン・ドライ方式では、乾燥した非磁性層に微細な多孔質状の部分が含まれるため、非磁性層上に塗布された磁性塗布液中の溶媒が非磁性層に浸透することに起因して磁性塗布層の乾燥が早まる。そして、配向を行う前に磁性塗布液の乾燥が進行しすぎると、配向不良が生じ、電磁変換特性が劣化してしまう。
上記特許文献1には、磁性塗布液を塗布した後、配向を行うまでの時間を0.05秒以下とすることで、非磁性層と磁性層との界面に乱れが生じることを抑えることが記載されているが、磁性塗布液の塗布部と配向部との距離が近すぎるため、装置のレイアウトや支持体の搬送速度の制約が大きくなる。
上記特許文献2には、非磁性塗布液を塗布し、乾燥処理を施した後に乾燥処理後の非磁性層の膜状態を維持したまま、磁性塗布液を塗布することが記載されているが、磁性塗布層に含まれる有機溶剤が非磁性層に浸透しすぎて、磁性塗布層が早く乾燥してしまう。
上記特許文献3には、非磁性層上に溶剤層を形成し、溶剤層上に磁性層を形成することが記載されているが、溶剤層を形成する工程が増えるぶんだけ煩雑になる。また、溶剤層に含まれる溶剤が非磁性層に浸透することで界面が荒れてしまう。
上記特許文献4には、磁性塗布液が沸点120℃以上の有機溶剤を50重量%より多く含むことが記載されているが、磁性塗布液で使用する有機溶剤が制約されてしまう。
上記特許文献5には、被塗布物上に塗布液を塗布した後、溶剤を塗布し、塗布された塗布液を希釈することが記載されているが、塗布した塗布液を再利用することができず、生産性の低下が避けられない。
上記特許文献6には、非磁性層を形成した後、支持体における非磁性塗布層とは反対側の面にバックコート層用塗布液を塗布し、このバックコート層用塗布液が湿潤状態にあるときに、磁性性塗布液を塗布し、乾燥することで、磁性塗布液の乾燥を遅らせることが記載されているが、製造工程中に支持体両面が湿潤状態となるため、工程の制約が多くなってしまう。
本発明は、非磁性層上に磁性層を形成する際に、磁性塗布液の溶媒が乾燥した非磁性層に浸透してしまうことに起因する、磁性層の配向不良や電磁変換特性の劣化を抑えられる磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体の製造装置、磁気記録媒体を提供する。
本発明者は、ウェット・オン・ドライ方式の製造方法で、乾燥した非磁性層上に磁性塗布層を形成する場合に、磁性塗布層に配向を行う前に磁性塗布層の乾燥は、溶剤の蒸発よりも非磁性層への溶剤の浸透が主な要因であることを見出した。そして、支持体を冷却して磁性層の溶剤が非磁性層へ浸透することを抑えることができ、配向不良を改善できることを見出した。
本発明は、帯状の支持体に、前記支持体上に形成された非磁性層と、前記非磁性層上に形成された磁性層とを含む磁気記録媒体の製造装置であって、
搬送される前記支持体上に非磁性塗布液を塗布し、非磁性塗布層を形成する非磁性塗布液塗布部と、
前記非磁性塗布液塗布部において形成された前記非磁性塗布層を乾燥させ、前記非磁性層を形成する第1乾燥部と、
前記第1乾燥部において形成された前記非磁性層上に磁性材料を含む磁性塗布液を塗布し、磁性塗布層を形成する磁性塗布液塗布部と、
前記磁性塗布液塗布部において形成された前記磁性塗布層に含まれる磁性粒子を配向する配向部と、
前記第1乾燥部から前記配向部の間に配置され、搬送されている前記支持体を冷却する冷却手段と、を有する製造装置である。
帯状の支持体に、前記支持体上に形成された非磁性層と、前記非磁性層上に形成された磁性層とを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
搬送される前記支持体上に非磁性塗布液を塗布し、非磁性塗布層を形成する非磁性塗布液塗布工程と、
前記非磁性塗布液塗布部において形成された前記非磁性塗布層を乾燥させ、前記非磁性層を形成する第1乾燥工程と、
前記第1乾燥部において形成された前記非磁性層上に磁性材料を含む磁性塗布液を塗布し、磁性塗布層を形成する磁性塗布液塗布工程と、
前記磁性塗布液塗布部において形成された前記磁性塗布層に含まれる磁性粒子を配向する配向工程と、
前記非磁性塗布液塗布工程の終了後、配向工程の開始前に、前記支持体を18℃以下とする冷却工程と、を有する製造方法である。
本発明によれば、乾燥した非磁性層上に磁性層を形成する際に、磁性塗布液の溶媒が前記非磁性層に浸透することに起因して磁性層の配向不良や、電磁変換特性の劣化を抑えられる磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体の製造装置、磁気記録媒体を提供できる。
製造される磁気テープを示す断面模式図である。 磁気テープの製造装置を示す図である。 磁気テープの製造装置の変形例を示す図である。 磁気テープの製造装置の変形例を示す図である。
以下では、磁気記録媒体の一例として磁気テープの製造手順とそれに用いる製造装置の構成を説明する。
図1は、製造される磁気テープの断面を概略的に示す図である。
製造される磁気テープMTは、支持体B上に、非磁性層1と、磁性層2とが積層されている。
図2は、磁気テープの製造装置を示す図である
製造装置10は、長尺帯状の支持体Bが巻回された送り出しロール11と、非磁性層と磁性層とが順に形成された支持体Bを巻き取りロール19を有し、送り出しロール11から送り出された支持体Bを搬送経路に沿って搬送しながら、磁気テープを製造するものである。
製造装置10は、搬送される支持体Bの搬送方向の上流側から順に、非磁性塗布液塗布部12と、第1乾燥部13と、磁性塗布液塗布部14と、磁性層の配向及び乾燥を行なう配向部20とを備えている。また、支持体Bの搬送経路には、搬送される支持体Bの記録面(磁性層及び非磁性層が設けられる側の面)の反対側を支持するガイドローラ6が適宜設けられている。
非磁性塗布液塗布部12は、非磁性粒子を含む塗布液を支持体Bの上面に塗布し、非磁性塗布層を形成する。
第1乾燥部13は、非磁性塗布液塗布部12で形成された非磁性塗布層を乾燥させる。非磁性塗布層は、乾燥によって固化し、非磁性層になる。
磁性塗布液塗布部14は、非磁性層上に、磁性粒子を含む塗布液を塗布し、磁性塗布層を形成する。磁性塗布層は、湿潤状態のまま下流側へ搬送される。
配向部20は、湿潤状態の磁性塗布層に含まれる磁性粒子を配向するとともに、磁性塗布層を乾燥させる。
配向部20は、磁性塗布層が形成された支持体Bが搬送される空間を有する。配向部20内には、磁界を発生させる永久磁石25が搬送経路に沿って複数並べられた永久磁石磁気回路が形成されている。永久磁石25は、搬送経路を挟んで対となるように配置され、この対が搬送経路に沿って間隔をおいて複数並べられている。対となる永久磁石25は、それぞれ対向する部位の磁極が異なるように配置されている。このとき、対となる永久磁石25同士の間に発生する磁界の向きは、搬送される支持体Bの面に対して垂直となる。本実施形態では、配向部として永久磁石磁気回路を用いたが、ソレノイドコイルを用いても、又はこれらを併用してもかまわない。また、本実施形態では、配向装置内で垂直磁場を発生させ、磁性塗布層を垂直配向させているが、支持体の搬送方向の磁場(長手磁場)を発生させ、磁性塗布層を長手配向させてもかまわない。
また、配向部20には給気孔24aと排気孔24bが設けられている。給気孔24aは、配向部20の内部へ高温の乾燥風を導入する。導入された乾燥風は、搬送方向に並んだ永久磁石25同士の隙間を通過し、配向部20内を搬送される支持体の磁性塗布層を乾燥させる。排気孔24bは、配向部20内の乾燥風を外部へ排気する。
このように配向部20では、支持体Bに形成された磁性塗布層は、永久磁石25の磁界に曝されることで、磁性塗布層に含まれる磁性粒子が磁界の向きに応じて移動し、磁性粒子の配向が行われる。また、配向部20では、乾燥風によって磁性塗布層の乾燥が行われる。
磁性層及び非磁性層が形成された支持体Bは、巻き取りロール19に巻き取られて、図示しないカレンダ工程等の次工程に送られた後、所望のテープ幅に裁断され、磁気テープが完成する。
製造装置10は、製造装置10は、非磁性塗布液塗布工程の終了後、配向工程の開始前に、支持体Bを18℃以下にする。この構成例では、製造装置10は、第1乾燥部13から配向部20の間に配置された冷却部30を備えている。
冷却部30は、第1乾燥部の搬出口から配向部の搬入口までの搬送区間Pcにおいて、搬送されている支持体Bを冷却するため、エアを吹きつける。エアを吹き付けるのは、支持体Bの非磁性塗布液が塗布された側の面でもよく、その反対側の面でもよい。
エアは、10℃以上、23℃以下の乾燥風である。エアは、支持体を冷却することができれば、乾燥風に限らず、他の不活性ガスや気体を用いることができる。なお、支持体Bを冷却する温度が低い方が、溶媒の浸透を抑制する効果が高いが、支持体Bや製造装置10の結露を防ぐために塗布部の露点を下げる必要があり、生産性が下がってしまう。このため、エアは10℃以上が好ましい。
この構成例によれば、磁性塗布液塗布後、配向前において支持体Bを冷却部30によって冷却することで、非磁性層上に塗布された磁性塗布液に含まれる溶媒が、非磁性層に浸透することを抑え、配向前に磁性塗布層の乾燥が早まることを抑えられる。したがって、配向不良や電磁変換特性の劣化を抑えることができる。
図3は、製造装置の変形例を示す図である。
この例では、搬送区間Pcにおいて、塗布液磁性層塗布液塗布部14の下流側で、配向部20の上流側に、冷却手段として機能する冷却ローラ32と、冷却ローラ32の温度調整を行なう制御部34が配置されている。
冷却ローラ32は、略円筒形状を有し、周方向の面が搬送される支持体Bに接する。冷却ローラ32は、少なくとも周方向の面が10℃以上、23℃以下になるように制御部34によって温度が調整される。
この構成例によれば、非磁性塗布液塗布部13の非磁性塗布液塗布工程の終了後、配向部20の配向工程の開始前に、支持体Bを18℃以下にすることができる。
図4は、製造装置の変形例を示す図である。
この例では、搬送区間Pcには、塗布液磁性層塗布液塗布部14の磁性塗布液を吐出する塗布ヘッド及び磁性塗布液のうち少なくとも一方の温度を調整する制御部38が設けられている。制御部38は、塗布ヘッド及び磁性塗布液のうち少なくとも一方を10℃以上、23℃以下に温度調整する。
上記構成は、配向部20において、磁性塗布層に含まれる磁性粒子の配向と同時に磁性塗布層の乾燥行った。しかし、配向部20における配向後に、磁性塗布層の乾燥を行う第2乾燥部(不図示)が設けられていてもよい。この場合も、第1乾燥部13から配向部20の間に上記例のような冷却手段を設けることで、非磁性塗布液塗布工程の終了後、配向工程の開始前に、支持体を18℃以下とすることができる。
次に、支持体、非磁性塗布層の非磁性塗布液、磁性塗布層の磁性塗布液のそれぞれについて説明する。
非磁性塗布層の非磁性塗布液に含まれる非磁性材料の構成は制限されないが、通常、少なくとも樹脂からなり、好ましくは、粉体、例えば、無機粉末又は有機粉末が樹脂中に分散されたものが挙げられる。無機粉末は、通常、好ましくは非磁性粉末であるが、この層が実質的に非磁性である範囲で磁性粉末を使用してもよい。
非磁性粉末としては、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機化合物から選択することができる。無機化合物としては、例えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独又は組合せで使用される。
非磁性粉末の表面には表面処理が施され、Al、SiO、TiO、ZrO、SnO、Sb、ZnO、Yが存在することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl、SiO、TiO、ZrOであるが、更に好ましくはAl、SiO、ZrOである。これらは組み合わせてしようしてもよいし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナを存在させた後にその表層をシリカで処理する方法、又はその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般的には好ましい。
非磁性粉末は結合剤に対して重量比率で20〜0.1、体積比率で10〜0.2の範囲で用いられる。又、特開昭59−142741号、同61−214127号、同63−140420号には非磁性塗布層にSnOを含むことを規定している。これらは磁性塗布層に酸化鉄、若しくはBaFeを用いており、SnOより比重は小さいものであるが、いずれも磁性塗布層の下塗処方であり、その厚みは磁性塗布層に比べてはるかに薄いものであり、本発明とは別の発明である。
磁性層に使用する磁性粒子としては、特に制限されるべきものではないが、α−Feを主成分とする強磁性金属粉末、γ−FeOx(x=1.33〜1.5)、Co変性γ−FeOx(x=1.33〜1.5)、Fe又はNi又はCoを主成分(75%以上)とする強磁性合金微粉末、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライトなどの六方晶フェライト粉末、窒化鉄など公知の強磁性粉末が使用できる。これらの強磁性粉末には所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。これらの強磁性微粉末にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具体的には、特公昭44−14090号、同45−18372号、同47−22062号、同47−22513号、同46−28466号、同46−38755号、同47−4286号、同47−12422号、同47−17284号、同47−18509号、同47−18573号、同39−10307号、同48−39639号、米国特許第3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号などに記載されている。
上記強磁性粉末の中で強磁性合金微粉末については少量の水酸化物、又は酸化物を含んでもよい。強磁性合金微粉末の公知の製造方法により得られたものを用いることができ、下記の方法をあげることができる。複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性合金粉末は公知の徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施したものでも用いることができる。
磁性塗布層の強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末をBET法による比表面積で表せば25〜80m/gであり、好ましくは35〜60m/gである。25以下ではノイズが高くなり、80以上では表面性が得にくく好ましくない。強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末の結晶子サイズは450〜100オングストロームであり、好ましくは350〜150オングストロームである。酸化鉄磁性粉末の飽和磁化量σsは50emu/g以上、好ましくは70emu/g以上であり、強磁性金属微粉末の場合は100emu/g以上が好ましい。
強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末のr1500は1.5以下であることが好ましい。更に好ましくはr1500が1.0以下である。r1500とは磁気記録媒体を飽和磁化したのち反対の向きに1500Oeの磁場をかけたとき反転せずに残っている磁化量の%を示すものである。強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末の含水率は0.01〜2%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末の含水率は最適化するのが好ましい。γ酸化鉄のタップ密度は0.5g/cc以上が好ましく、0.8g/cc以上が更に好ましい。
γ酸化鉄を用いる場合、2価の鉄の3価の鉄に対する比は好ましくは0〜20%であり、更に好ましくは5〜10%である。鉄原子に対するコバルト原子の量は0〜15%、好ましくは2〜8%である。強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末のpHは用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい。強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末のpHの範囲は4〜12であるが、好ましくは6〜10である。強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末は必要に応じ、Al、Si、P又はこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末に対し0.1〜10%であり表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m以下になり好ましい。強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合があるが、500ppm以下であれば特に特性に影響を与えない。
また、強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末空孔が少ないほうが好ましくその値は20容量%以下、更に好ましくは5容量%以下である。強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末の形状は、先に示した粒子サイズについての特性を満足すれば針状、粒状、米粒状、板状いずれでもかまわない。強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末のSFD0.6以下を達成するためには、強磁性金属粉末及び強磁性合金粉末の抗磁力(保持力)Hcの分布を小さくする必要がある。そのためには、ゲータイトの粒度分布をよくする、γ−ヘマタイトの焼結を防止する、コバルト変性の酸化鉄についてはコバルトの被着速度を遅くするなどの方法がある。
六方晶フェライト粉末には、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライト、それらのC o 等の置換体等がある。より具体的には、マグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、更に一部にスピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げられる。その他、所定の原子以外にAl、Si、S,Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般には、Co−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加した物を使用できる。また原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。好ましいその他の原子及びその含有率は、前記の強磁性金属粉末の場合と同様である。
六方晶フェライト粉末の平均板径は、10nm〜40nmであり、10nm〜30nmが好ましく、15nm〜25nmが更に好ましい。
平均板状比[(板径/板厚)の算術平均]は1〜15であり、更に1〜7であることが好ましい。
平均板状比が1〜15であれば、磁性層で高充填性を保持しながら充分な配向性が得られ、かつ、粒子間のスタッキングによるノイズ増大を抑えることができる。また、上記粒子サイズの範囲内におけるBET法による比表面積(SBET)は、40m/g以上が好ましく、40〜200m/gであることが更に好ましく、60〜100m/gであることが最も好ましい。
六方晶フェライト粉末の粒子板径・板厚の分布は、通常狭いほど好ましい。粒子板径・板厚を数値化することは、粒子T E M 写真より5 0 0 粒子を無作為に測定することで比較できる。粒子板径・板厚の分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すと、σ / 平均サイズ= 0 . 1 〜 1 . 0 である。粒子サイズ分布をシャープにするには、粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。
六方晶フェライト粉末の抗磁力(Hc) は、143.3〜318.5kA/m(1800〜4000Oe)の範囲とすることができるが、好ましくは159.2〜238.9kA/m(2000〜3000Oe)である。更に好ましくは191.0〜214.9kA/m(2200〜2800Oe)である。抗磁力(Hc)は、粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。
六方晶フェライト粉末の飽和磁化(σs)は30〜80A・m/kg(emu/g)である。飽和磁化(σs) は高い方が好ましいが、微粒子になるほど小さくなる傾向がある。飽和磁化( σ s ) の改良のため、マグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合することや、含有元素の種類と添加量の選択等がよく知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。磁性体を分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。表面処理剤としては、無機化合物及び有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P等の酸化物又は水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。添加量は磁性体の質量に対して0.1〜10質量% である。磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度が選択される。磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜2.0%が選ばれる。
六方晶フェライト粉末の製法としては、(1)酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法、(2)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃ 以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、(3)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃ 以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等があるが、本発明は製法を選ばない。六方晶フェライト粉末は、必要に応じ、Al、Si、P又はこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性粉末に対し0.1〜10%であり表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m以下になり好ましい。強磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。
非磁性塗布層及び磁性塗布層に使用される結合剤としては、従来公知の熱可塑系樹脂、熱硬化系樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1000〜200000、好ましくは10000〜100000、重合度が約50〜1000程度のものである。このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテルなどを構成単位として含む重合体又は共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としてはフエノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。
これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を非磁性塗布層、又は磁性塗布層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については特開昭62−256219号に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独又は組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体の群から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、又はこれらにポリイソシアネートを組合せたものがあげられる。
ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、COOM、SOM、OSOM、P=O(OM)、O−P=O(OM)、(以上につきMは水素原子、又はアルカリ金属塩基)、OH、NR、N、Rは炭化水素基)、エポキシ基、SH、CN、などから選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を共重合又は付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10−1〜10−8モル/gであり、好ましくは10−2〜10−6モル/gである。
結合剤の具体的な例としては、ユニオンカーバイト社製:VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業社製:MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、電気化学社製:1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、日本ゼオン社製:MR110、MR100、400X110A、日本ポリウレタン社製:ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製:パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−210−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製:バイロンUR8200、UR8300、RV530、RV280、大日精化社製:ダイフエラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020、三菱化成社製:MX5004、三洋化成社製:サンプレンSP−150、旭化成社製:サランF310、F210などがあげられる。
結合剤は強磁性粉末に対し、5〜50重量%の範囲、好ましくは10〜30重量%の範囲で用いられる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は、5〜30重量%、ポリウレタン樹脂合を用いる場合は2〜20重量%、ポリイソシアネートは2〜20重量%の範囲でこれらを組合せて用いるのが好ましい。
ポリウレタン樹脂を用いる場合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10Kg/cm、降伏点は0.05〜10Kg/cmが好ましい。磁気記録媒体は二層からなる。従って、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート、あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性塗布層を形成する各樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物理特性などを必要に応じ非磁性塗布層と磁性塗布層とで変えることはもちろん可能である。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4−4’−ジフエニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフエニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製:コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製:タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製:デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL等があり、これらを単独又は硬化反応性の差を利用して二つ若しくはそれ以上の組合せで非磁性塗布層、磁性塗布層ともに用いることができる。
磁性塗布層に使用されるカーボンブラックはゴム用フアーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。比表面積は5〜500m/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、粒子径は5mμm〜300mμm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/ccが好ましい。カーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製:BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製:♯80、♯60、♯55、♯50、♯35、三菱化成工業社製:♯2400B、♯2300、♯900、♯1000、♯30、♯40、♯10B、コンロンビアカーボン社製:CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50,40,15などがあげられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理してもよく、又は、樹脂でグラフト化して使用してもよく、又は、表面の一部をグラフアイト化したものを使用してもよい。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独、又は組合せで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合は強磁性粉末に対する量の0.1〜30%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性塗布層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って、カーボンブラックは非磁性塗布層、磁性塗布層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることは当然可能である。例えば、非磁性層に導電性の高いカーボンブラックを用いることにより帯電を防止し、磁性塗布層に粒子径の大きいカーボンブラックを用い摩擦係数を下げるなどがあげられる。磁性塗布層で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
磁性塗布層に用いられる研磨剤としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイヤモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素など主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独又は組合せで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物又は元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組合せてもよいし、単独の研磨剤で粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m/g、が好ましい。研磨剤の形状は針状、球状、又は立方体状のいずれでもよいが、形状の一部に角を有するものは研磨性が高く、好ましい。
研磨剤の具体的な例としては、住友化学社製:AKP−20,AKP−30,AKP−50,HIT−50、日本化学工業社製:G5,G7,S−1、戸田工業社製:100ED,140EDなどがあげられる。研磨剤は非磁性塗布層、磁性塗布層で種類、量及び組合せを変え、目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。これらの研磨剤はあらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。磁気記録媒体の磁性塗布層の表面及びその端面に存在する研磨剤は5個/100μm以上が好ましい。
添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などを有するものが使用される。二硫化モリブデン、二硫化タングステングラフアイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフイン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステル及びそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、ポリフエニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、及び、これらの金属塩(Li,Na,K,Cuなど)又は、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステル又はジ脂肪酸エステル又はトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。これらの具体例としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、があげられる。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベダイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、更に好ましくは10%以下である。
潤滑剤、界面活性剤は非磁性塗布層、磁性塗布層でその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。例えば、非磁性塗布層、磁性塗布層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えられ、ここに示した例のみに限られるものではない。
添加剤のすべて又はその一部は、磁性塗料製造のどの工程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。潤滑剤の商品例としては、日本油脂社製:NAA−102,NAA−415,NAA−312,NAA−160,NAA−180,NAA−174,NAA−175,NAA−222,NAA−34,NAA−35,NAA−171,NAA−122,NAA−142,NAA−160,NAA−173K,ヒマシ硬化脂肪酸,NAA−42,NAA−44,カチオンSA,カチオンMA,カチオンAB,カチオンBB,ナイミーンL−201,ナイミーンL−202,ナイミーンS−202,ノニオンE−208,ノニオンP−208,ノニオンS−207,ノニオンK−204,ノニオンNS−202,ノニオンNS−210,ノニオンHS−206,ノニオンL−2,ノニオンS−2,ノニオンS−4,ノニオンO−2,ノニオンLP−20R,ノニオンPP−40R,ノニオンSP−60R,ノニオンOP−80R,ノニオンOP−85R,ノニオンLT−221,ノニオンST−221,ノニオンOT−221,モノグリMB,ノニオンDS−60,アノンBF,アノンLG,ブチルステアレート,ブチルラウレート,エルカ酸、関東化学社製:オレイン酸、竹本油脂社製:FAL−205,FAL−123、新日本理化社製:エヌジエルブLO,エヌジョルブIPM,サンソサイザーE4030、信越化学社製:TA−3,KF−96,KF−96L,KF−96H,KF410,KF420,KF965,KF54,KF50,KF56,KF−907,KF−851,X−22−819,X−22−822,KF−905,KF−700,KF−393,KF−857,KF−860,KF−865,X−22−980,KF−101,KF−102,KF−103,X−22−3710,X−22−3715,KF−910,KF−3935、ライオンアーマー社製:アーマイドP,アーマイドC,アーモスリップCP、ライオン油脂社製:デュオミンTDO、日清製油社製:BA−41G、三洋化成社製:プロフアン2012E,ニューポールPE61,イオネットMS−400,イオネットMO−200,イオネットDL−200,イオネットDS−300,イオネットDS−1000,イオネットDO−200などがあげられる。
有機溶媒は、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用できる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、更に好ましくは10%以下である。有機溶媒は必要ならば磁性塗布層と非磁性塗布層でその種類、量を変えてもかまわない。非磁性塗布層に揮発性の高い溶媒を用い表面性を向上させる、磁性塗布層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性をあげる、磁性塗布層の溶解性パラメータの高い溶媒を用い充填度を上げるなどがその例としてあげられるが、これらの例に限られない。
磁気記録媒体の厚み構成は支持体が1〜100μm、好ましくは5〜20μm、非磁性層の厚みが0.5〜10μm、好ましくは1〜5μm、磁性層の厚みは0.05μm以上1.0μm以下、好ましくは0.05μm以上0.6μm以下、更に好ましくは0.05μm以上、0.3μm以下である。磁性層と非磁性層を合わせた厚みは支持体の厚みの1/100〜2倍の範囲で用いられる。
また、支持体と非磁性層との間に密着性向上のための非磁性塗布層を設けてもかまわない。非磁性塗布層の厚みは0.01〜2μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。
支持体の磁性層が形成される側とは反対側にバックコート層を設けてもかまわない。バックコート層の厚みは0.1〜2μm、好ましくは0.3〜1.0μmである。これらの非磁性塗布層、バックコート層は公知のものが使用できる。
支持体は、ポリエチレンテレフタレート、2軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフイン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミドなどの公知のフイルムが使用できる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などをおこなってもよい。支持体は、中心線平均表面粗さが0.03μm以下、好ましくは0.02μm以下、更に好ましくは0.01μm以下のものを使用する必要がある。また、これらの支持体は単に中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーとしては一例としてはCa,Si,Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機微粉末があげられる。支持体のテープ走行方向のF−5値は好ましくは5〜50Kg/mm、テープ幅方向のF−5値は好ましくは3〜30Kg/mmであり、テープ長手方向のF−5値がテープ幅方向のF−5値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要があるときはその限りでない。
支持体の熱収縮率は、テープ走行方向及び幅方向に100℃30分で、好ましくは3%以下、更に好ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下である。破断強度は両方向とも5〜100Kg/mm、弾性率は100〜2000Kg/mmが好ましい。
磁気記録媒体の磁性塗料(磁性材料を含む塗布液)を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。強磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初又は途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができるが、混練工程では連続ニーダや加圧ニーダなど強い混練力をもつものを使用することにより、磁気記録媒体の高い残留磁化密度(Br)を得ることができる。連続ニーダ又は加圧ニーダを用いる場合は強磁性粉末と結合剤のすべて又はその一部(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)及び強磁性粉末100部に対し15〜500部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号、特開平1−79274号に記載されている。
逐次重層構成の磁気記録媒体の製造装置に用いる塗布装置には、従来の公知の製造技術を用いることができる。例えば、磁性塗料の塗布で一般的に用いられる、グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置等が挙げられる。
なお、強磁性粉末の凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62−95174号や特開平1−236968号に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液に剪断を付与することが望ましい。更に、磁性塗料の粘度については、特開平3−8471号に開示されている数値範囲を満足することが好ましい。
配向の磁界を発生させる磁石としては、1000G以上の磁場が発生するものであれば、ソレノイドコイル、永久磁石のいずれを用いてもかまわないが、配向設備の前後で磁場の方向が極力変わらないように設計することが好ましい。更に、乾燥後の配向性が最も高くなるように配向前に予め適度の乾燥工程を設けることが好ましい。
磁気記録媒体の表面平滑化処理を行うカレンダ処理ロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを使用する。また、金属ロール同志で処理することもできる。処理温度は、好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上である。線圧力は好ましくは200kg/cm、更に好ましくは300kg/cm以上であり、その速度は20m/分以上700m/分以下の範囲である。
製造された磁気記録媒体の磁性層及びその反対面のSUS420Jに対する摩擦係数は好ましくは0.5以下、更に0.3以下、表面固有抵抗は好ましくは10−5〜10−12オーム/sq、磁性層の0.5%伸びでの弾性率は走行方向、幅方向とも好ましくは100〜2000Kg/mm、破断強度は好ましくは1〜30Kg/cm、磁気記録媒体の弾性率は走行方向、長手方向とも好ましくは100〜1500Kg/mm、残留のびは好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
製造された磁気記録媒体の磁性層に含まれる残留溶媒は、好ましくは100mg/m以下、更に好ましくは10mg/m以下であり、磁性層に含まれる残留溶媒が非磁性層に含まれる残留溶媒より少ないほうが好ましい。磁性層及び非磁性層が有する空隙率は、ともに好ましくは30容量%以下、更に好ましくは10容量%以下である。磁性層の空隙率が非磁性層の空隙率より大きいほうが好ましいが、逆の場合でも非磁性層の空隙率が20%以下であれば支障はない。
(実施例)
本発明者は、製造時の支持体の温度と、磁性層の厚みと、電磁変換特性との関係を調べるため、次のような測定を行った。
本測定では、図2に示す製造装置10を使用し、磁性塗布液塗布部において形成された磁性層の厚みと、支持体Bの温度を変えた場合の磁気テープの角型比を測定した。厚みの測定方法としては、乾燥後の磁気テープの断面をSEMで観察し、磁性層、非磁性層それぞれの厚みを求めた。
支持体Bの温度は、磁性層塗布液塗布部14の塗布直後と、配向部20の搬入口とで測定された温度の平均値とした。温度の平均値の測定方法としては、防爆型赤外温度センサー(EDDOX製 IRt/c IS)を用いて、支持体の温度を測定した。
磁気テープの角型比の測定は、東英工業株式会社製、振動試料型磁力計VSMを用いて、磁場強度15kOeで測定した。
実施例1では、冷却部30によって15℃の乾燥風を支持体Bに吹き付け、支持体の温度を13℃に調整した。
実施例2では、冷却部30によって20℃の乾燥風を支持体Bに吹き付け、支持体の温度を18℃に調整した。
比較例1では、冷却部30で冷却を行わず、磁性層塗布液を塗布した後、乾燥し、その後、配向部20で配向を行った。支持体の温度を23℃であった。
実施例1,2及び比較例1では、磁性層の厚み50nm、70nm、100nmのそれぞれで角型比を測定した。
非磁性塗布液は、以下のものを用いた。以下の説明中の「部」は質量部を示す。
酸化鉄粉末(平均長軸長:80nm) 80部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 20部
電子線硬化型塩化ビニル共重合樹脂 10部
電子線硬化型ポリウレタン樹脂 5部
フェニルホスホン酸 2部
メチルエチルケトン 130部
シクロヘキサノン 100部
ステアリン酸 1部
ステアリン酸ブチル 1.5部
磁性塗布液は、以下のものを用いた。
六方晶バリウムフェライト粉末 100部
Hc:2000Oe(160kA/m)
平均板径:20nm
平均板状比:3
BET比表面積:80m/g
σs:50emu/g(50A・m/kg)
スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂 18部
ダイヤモンド粉末(平均粒径:50nm) 1部
炭化ケイ素粉末(平均粒径:30nm) 1部
シクロヘキサノン 150部
メチルエチルケトン 150部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
上記磁性塗布液及び非磁性塗布液のそれぞれについて、各成分をオープンニーダーで60分間混練した後、サンドミルで600分間分散した。得られた分散液の各々に3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン製 コロネート3041)を6部加え、上記磁性塗布液については、更に、メチルエチルケトン300部、シクロヘキサノン150部を加えた。更に、20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗料及び非磁性塗料を調製した。得られた磁性層用塗料の固形分濃度は14.7質量%であった。更に、上記非磁性層用塗料を乾燥後の厚さが1.5μmになるように、厚さ5μmで、磁性層塗布側の表面粗さRaが1.4nm、バック層塗布側の表面粗さRaが2.0nmのPEN支持体上に塗布し100℃で乾燥させたのち、加速電圧100kV、照射線量5Mradの電子線を照射した。このようにして得られた非磁性層上に、磁性塗布液を乾燥後の厚さが50nm、70nm、100nmになるようにウェット・オン・ドライで塗布し、100℃で乾燥した。
測定の結果を表1に示す。表1では、実施例1,2及び比較例1における、支持体の温度(℃)と、磁性層の厚み(nm)を変えたときの、磁気テープの角型比を表している。
Figure 2011210288
支持体の温度を13℃とした場合には、磁性層の厚みが50〜100nmであるとき、角型比は0.70以上であり、配向が良好に行われたことがわかった。
支持体の温度を18℃とした場合には、磁性層の厚みが70〜100nmであるとき、角型比は0.70以上であって、配向が良好に行われたことがわかった。また、磁性層の厚みが50nmでは角型比は0.69であり、飽和には達しないものの、配向が十分に行われたことがわかった。この結果、18℃までは、50nm(乾燥後厚み)で良好な配向が行われることがわかった。
支持体の温度を23℃と場合には、磁性層の厚みが100nmであるとき、角型比は0.69以上であったが、磁性層の厚みが50〜70nmであるとき、角型比は0.67以下となり、配向が不良であり、電磁変換特性が劣化することがわかった。
なお、本発明の冷却手段には、支持体を10℃以上、23℃以下に冷却する種々の手段が含まれる。
本明細書は、以下の内容を開示するものである。
(1)帯状の支持体に、前記支持体上に形成された非磁性層と、前記非磁性層上に形成された磁性層とを含む磁気記録媒体の製造装置であって、
搬送される前記支持体上に非磁性塗布液を塗布し、非磁性塗布層を形成する非磁性塗布液塗布部と、
前記非磁性塗布液塗布部において形成された前記非磁性塗布層を乾燥させ、前記非磁性層を形成する第1乾燥部と、
前記第1乾燥部において形成された前記非磁性層上に磁性材料を含む磁性塗布液を塗布し、磁性塗布層を形成する磁性塗布液塗布部と、
前記磁性塗布液塗布部において形成された前記磁性塗布層に含まれる磁性粒子を配向する配向部と、
前記第1乾燥部から前記配向部の間に配置され、搬送されている前記支持体を冷却する冷却手段と、を有する製造装置。
(2)(1)に記載の製造装置であって、
前記冷却手段は、前記支持体に、10℃以上、23℃以下のエアを吹き付ける製造装置。
(3)(1)に記載の製造装置であって、
前記冷却手段は、前記支持体に当接し、10℃以上、23℃以下に調整された搬送ロールである製造装置。
(4)(1)に記載の製造装置であって、
前記冷却手段は、前記磁性塗布液塗布部において前記磁性塗布液を吐出する塗布ヘッド及び前記磁性塗布液のうち少なくとも一方を、10℃以上、23℃以下に調整する製造装置。
(5)(1)から(4)のいずれか1つに記載の製造装置であって、
前記配向部における配向後に、前記磁性塗布層の乾燥を行う第2乾燥部を有する製造装置。
(6)帯状の支持体に、前記支持体上に形成された非磁性層と、前記非磁性層上に形成された磁性層とを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
搬送される前記支持体上に非磁性塗布液を塗布し、非磁性塗布層を形成する非磁性塗布液塗布工程と、
前記非磁性塗布液塗布部において形成された前記非磁性塗布層を乾燥させ、前記非磁性層を形成する第1乾燥工程と、
前記第1乾燥部において形成された前記非磁性層上に磁性材料を含む磁性塗布液を塗布し、磁性塗布層を形成する磁性塗布液塗布工程と、
前記磁性塗布液塗布部において形成された前記磁性塗布層に含まれる磁性粒子を配向する配向工程と、
前記非磁性塗布液塗布工程の終了後、配向工程の開始前に、前記支持体を18℃以下とする冷却工程と、を有する製造方法。
(7)(6)に記載の製造方法であって、
前記冷却工程では、前記支持体に、10℃以上、23℃以下のエアを吹き付けて冷却する製造方法。
(8)(7)に記載の製造方法であって、
前記エアが乾燥風である製造方法。
(9)(7)に記載の製造方法であって、
前記冷却工程では、前記支持体に、10℃以上、23℃以下に調整された搬送ロールを当接させて冷却する製造方法。
(10)(7)に記載の製造方法であって、
前記冷却工程では、前記支持体に前記磁性塗布液を吐出する塗布ヘッド及び前記磁性塗布液のうち少なくとも一方を、10℃以上、23℃以下に調整する製造方法。
(11)(6)から(10)のいずれか1つに記載の製造方法であって、
前記配向部における配向後に、前記磁性塗布層の乾燥を行う第2乾燥工程を有する製造方法。
(12)(6)から(11)のいずれか1つに記載の製造方法によって得られる磁気記録媒体。
12 非磁性塗布液塗布部
14 磁性塗布液塗布部
20 配向部
30 冷却部

Claims (12)

  1. 帯状の支持体に、前記支持体上に形成された非磁性層と、前記非磁性層上に形成された磁性層とを含む磁気記録媒体の製造装置であって、
    搬送される前記支持体上に非磁性塗布液を塗布し、非磁性塗布層を形成する非磁性塗布液塗布部と、
    前記非磁性塗布液塗布部において形成された前記非磁性塗布層を乾燥させ、前記非磁性層を形成する第1乾燥部と、
    前記第1乾燥部において形成された前記非磁性層上に磁性材料を含む磁性塗布液を塗布し、磁性塗布層を形成する磁性塗布液塗布部と、
    前記磁性塗布液塗布部において形成された前記磁性塗布層に含まれる磁性粒子を配向する配向部と、
    前記第1乾燥部から前記配向部の間に配置され、搬送されている前記支持体を冷却する冷却手段と、を有する製造装置。
  2. 請求項1に記載の製造装置であって、
    前記冷却手段は、前記支持体に、10℃以上、23℃以下のエアを吹き付ける製造装置。
  3. 請求項1に記載の製造装置であって、
    前記冷却手段は、前記支持体に当接し、10℃以上、23℃以下に調整された搬送ロールである製造装置。
  4. 請求項1に記載の製造装置であって、
    前記冷却手段は、前記磁性塗布液塗布部において前記磁性塗布液を吐出する塗布ヘッド及び前記磁性塗布液のうち少なくとも一方を、10℃以上、23℃以下に調整する製造装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の製造装置であって、
    前記配向部における配向後に、前記磁性塗布層の乾燥を行う第2乾燥部を有する製造装置。
  6. 帯状の支持体に、前記支持体上に形成された非磁性層と、前記非磁性層上に形成された磁性層とを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
    搬送される前記支持体上に非磁性塗布液を塗布し、非磁性塗布層を形成する非磁性塗布液塗布工程と、
    前記非磁性塗布液塗布部において形成された前記非磁性塗布層を乾燥させ、前記非磁性層を形成する第1乾燥工程と、
    前記第1乾燥部において形成された前記非磁性層上に磁性材料を含む磁性塗布液を塗布し、磁性塗布層を形成する磁性塗布液塗布工程と、
    前記磁性塗布液塗布部において形成された前記磁性塗布層に含まれる磁性粒子を配向する配向工程と、
    前記非磁性塗布液塗布工程の終了後、配向工程の開始前に、前記支持体を18℃以下とする冷却工程と、を有する製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法であって、
    前記冷却工程では、前記支持体に、10℃以上、23℃以下のエアを吹き付けて冷却する製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法であって、
    前記エアが乾燥風である製造方法。
  9. 請求項7に記載の製造方法であって、
    前記冷却工程では、前記支持体に、10℃以上、23℃以下に調整された搬送ロールを当接させて冷却する製造方法。
  10. 請求項7に記載の製造方法であって、
    前記冷却工程では、前記支持体に前記磁性塗布液を吐出する塗布ヘッド及び前記磁性塗布液のうち少なくとも一方を、10℃以上、23℃以下に調整する製造方法。
  11. 請求項6から10のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記配向部における配向後に、前記磁性塗布層の乾燥を行う第2乾燥工程を有する製造方法。
  12. 請求項6から11のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる磁気記録媒体。
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