JP2010040097A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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孝之 大脇
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利幸 渡辺
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嗣裕 土井
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Abstract

【課題】短波長領域において高分解能、高SNRを有するとともに、優れた周波数特性を有する磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性支持体上に、磁性粉末、及び結合剤を含有する磁性層が直接形成された磁気記録媒体であって、前記磁性層は、厚さ方向において実質的に前記磁性粉末1個を有するとともに、前記磁性層を磁気力顕微鏡で測定したときの磁気クラスタサイズが50nm以下である磁気記録媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は高密度記録特性に優れた塗布型の磁気記録媒体及びその製造方法に関する。特に、本発明は、高密度記録システムにおいてSNR、分解能、及び周波数特性に優れた磁気記録媒体に関する。
磁性粉末が結合剤中に分散された磁性層を有する塗布型の磁気記録媒体は、アナログ方式からデジタル方式への記録再生方式の移行に伴い、記録密度の一層の向上が要求されている。特に、高密度デジタルビデオテープやコンピュータバックアップテープ等に用いられる磁気記録媒体においては、この要求が年々高まってきている。また、記録密度の向上とともに、データの記録再生の信頼性を向上するためには、磁気記録媒体のエラーレートを低減することも重要である。このため、例えば、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末及び結合剤を含有する中間層を設け、上層磁性層の厚さ(d)を0.01〜0.5μmにするとともに、キャリア信号出力(C)とモジュレーションノイズ(mN)との比(C/mN)を、記録波長(λ)=3dのときに40dBより高くし、記録波長(λ)=6dのときに50dBより高くした磁気記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1)。この特許文献1の磁気記録媒体によれば、該モジュレーションノイズ(mN)は磁性層と中間層との界面の不均一性、例えば、界面でのうねり、磁性層または中間層の組成成分の混合、界面での中間層の局所的膜抜けなどに起因すると考えられており、そのため、塗料組成からのアプローチとして、中間層中の非磁性粉末の粒径を磁性層中の磁性粉末の粒径の1.5倍以下とすることや、中間層中の非磁性粉末のアスペクト比を、磁性層中の磁性粉末のアスペクト比の1/2以上、2以下とすることが提案されている。
特開平11−175952号公報
しかしながら、上記のような非磁性粉末を含有する中間層を設けることにより、中間層と磁性層との界面の凹凸をある程度低下させることができるものの、非磁性粉末を使用する限り、界面の凹凸をその粒径以下にすることができないという問題がある。特に、中間層と磁性層とを同時重層塗布方式(ウェットオンウェット方式)で形成する場合、中間層塗料には一定のチキソトロピック性が必要とされるため、このような重層構成の磁気記録媒体の製造においては非磁性粉末を主成分として含有する中間層塗料が使用されている。そのため、中間層中で非磁性粉末の重なりが生じ、界面の凹凸が大きくなりやすい。このような微細な界面の凹凸が生じた場合、長波長領域に比べて短波長領域では出力変動が大きくなり、また短波長領域でのノイズが増加するため、周波数特性が劣化するという問題がある。
上記観点から、従来のオーディオテープ、ビデオテープなどのように中間層を設けることなく非磁性支持体上に磁性層を直接形成することが考えられるが、これらの磁気記録媒体の磁性層の厚さは2〜10μmと極めて大きい。このため、磁化反転がブロードとなり、波形干渉が増加するため、磁化反転を短い間隔で行うことが難しくなり、分解能が低下する。
従って、上記従来の非磁性支持体と磁性層との間に非磁性粉末を含有する中間層を設けた磁気記録媒体における磁性層と中間層との界面の凹凸の影響、及び非磁性支持体上に単層の磁性層のみを設けた磁気記録媒体における磁性層厚みによる影響を考慮すれば、非磁性支持体上に直接、薄層の磁性層を形成することが高密度記録を達成するために本来最も好ましいと考えられる。しかしながら、単純に磁性層を薄くすると、磁性層中の磁性粉末数が減少するため、磁性粉末を微粒子化して高充填の磁性層を形成しなければならない。上記のような従来の磁気記録媒体では、酸化鉄系磁性粉末や金属鉄系磁性粉末が使用されているが、これらの磁性粉末はその形状を針状とすることによる形状磁気異方性に基づき高保磁力を発現している。従って、微粒子化に伴い必然的に針状比(長軸長/短軸長)が小さくなり、保磁力が低下するため、その微粒子化にも限界がある。また、磁性層の厚さを低減すると、磁性層の厚さの不均一性の影響が現れやすくなる。その結果、磁性層中で磁性粉末の分布状態が不均一となり、出力変動が大きくなるとともに、ノイズが増加する。このため、上記のような従来の磁気記録媒体で使用されている磁性粉末や製造方法では、薄層の磁性層を非磁性支持体上に直接形成した磁気記録媒体は実現できなかったのが実情である。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、非磁性支持体上に薄層の磁性層を直接形成した磁気記録媒体で、短波長領域におけるSNR、及び分解能を改善すること、並びに周波数特性を改善することにある。
本発明は、非磁性支持体上に、磁性粉末び結合剤を含有する磁性層が直接形成された磁気記録媒体であって、
前記磁性層は、厚さ方向において実質的に前記磁性粉末1個を有し、前記磁性層を磁気力顕微鏡で測定したときの磁気クラスタサイズが50nm以下であることを特徴とする。
特に、前記磁性層は、前記磁性粉末として、5〜20nmの平均粒径、及び1〜1.4の平均軸比を有する窒化鉄系磁性粉末を含有することが好ましい。
そして、本発明は、上記磁気記録媒体の製造方法であって、
磁性粉末、結合剤、及び有機溶媒を混合して、固形分濃度が15質量%以下の混合液を調製し、
前記混合液を、加圧状態でノズルから噴霧する加圧予備分散処理を行うことにより予備分散液を調製し、
前記予備分散液を濃縮して、濃縮物を調製し、
前記濃縮物と結合剤とを固形分濃度が80質量%以上となる状態で混練して混練物を調製し、
前記混練物を、有機溶媒を含有する希釈成分で希釈して分散前スラリを調製し、
前記分散前スラリを、分散メディアを用いて分散処理することにより磁性塗料を調製し、
ドクタエッジ面と非磁性支持体との離間角度が1.5度以下となるように非磁性支持体を連続搬送しながら、ドクタエッジ面の長さが200〜1,500μmのエクストルージョン型コータから前記非磁性支持体上に前記磁性塗料を塗布して磁性塗膜を形成し、
前記磁性塗膜を、5〜25℃の範囲に温度調整しながら配向、乾燥して前記磁性層を形成することを特徴とする。
本発明によれば、短波長領域において高SNR、高分解能を有するとともに、優れた周波数特性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
本実施の形態の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に直接、磁性粉末及び結合剤を含有する磁性層が形成されており、該磁性層は、厚さ方向において実質的に磁性粉末1個のみを含有するとともに、磁性層を磁気力顕微鏡で測定したときに磁気クラスタサイズが50nm以下であることを特徴とする。
上記のような磁性層を形成することにより、短波長領域におけるSNR、及び分解能を改善でき、周波数特性を改善できる理由は、以下の作用に基づくものと考えられる。
まず、高出力を得るためには、本来、磁性層の単位面積当たりで信号の記録再生に寄与する磁性粉末数が多いほど好ましいと考えられる。しかしながら、厚み方向に複数の磁性粉末を有する厚い磁性層を形成した場合、磁性粉末が重なった状態で磁性層が形成される。そのため、信号の記録時においては、磁性層の厚み方向で逆磁区構造が形成されやすくなり、それによって減磁が発生しやすい。この逆磁区構造の形成による減磁が生じた場合、長波長領域での出力は大きく低下しないが、短波長領域での出力は大きく低下する。すなわち、短波長領域においては磁性粉末数の増加による出力の向上よりも、磁性粉末同士の減磁による出力の低下の方が大きくなる。具体的には、厚み方向に磁性粉末2〜3個を有する磁性層と、磁性粉末1個のみを有する磁性層とを比較した場合、両者は150kfci以下の長波長領域での出力には大きな差は見られないが、前者は後者に比べて250kfci以上の短波長領域での出力が半分以下に低下することが確認された。従って、磁性層の厚み方向で磁性粉末が重なりあうほど、また記録波長が短波長化するほど、減磁による出力の低下が大きくなる。このため、分解能が低下し、周波数特性が劣化することとなる。さらに、上記のような薄層の磁性層を非磁性支持体上に直接形成しようとすると、従来の磁性塗料及び磁気記録媒体の製造方法では非磁性支持体上に薄層の磁性層を直接形成することが困難であり、塗布不良が発生しやすい。このため、既述したように、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末を含有する中間層を設けることにより塗布不良の解決が図られてきた。しかしながら、このような非磁性粉末を含有する中間層を形成することにより磁性層と中間層との間の界面で凹凸が発生することを避けることができないという問題がある。また、従来、薄層の磁性層を形成する際の磁性塗料のレベリングを考慮すると、中間層塗膜が湿潤状態にあるうちに磁性塗料を中間層塗膜上に形成する、同時重層塗布方式を採用しなければならないと考えられてきた。そのため、針状の磁性粉末を用いた場合、配向時に磁性粉末の回転運動が生じ、それによって中間層塗膜と磁性塗膜とが混合されたり、中間層塗膜中の溶媒と磁性塗膜中の溶媒とが混合されることにより、界面の凹凸の発生を避けることができない。図6は、従来の中間層と磁性層とを同時重層塗布方式で形成した磁気記録媒体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した写真である。なお、磁性層を観察するために、磁性層表面には蒸着膜及びスパッタ膜が形成されている。図に示すように、中間層と磁性層との界面には乱れが観察され、凹凸が形成されることが分かる。このため、出力変動が大きくなり、またモジュレーションノイズが発生しやすく、ノイズが増加するため、SNRが低下しやすい。
これに対し、磁性層が厚み方向に実質的に磁性粉末を1個のみ有していれば、厚み方向に単磁区構造が形成されるため、磁性層が厚い場合のように逆磁区構造が形成されず、それゆえ減磁の発生が極力抑えられる。一方、磁性層中の磁性粉末の数が減少していくに従って、単位面積当たりの磁性粉末の充填量が低下するため、信号出力に寄与する磁性粉末数が減少する。しかしながら、コンピュータ用データ記録システムにおいては、記録情報の再生を行う際に用いる再生ヘッドとして磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)が採用されてきており、最近はさらに高感度の巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)やトンネル磁気抵抗効果型磁気ヘッド(TMRヘッド)等の高感度ヘッド(以下、総称してGMRヘッド等という)の適用が検討されてきている。従って、このような高感度のGMRヘッド等が用いられる記録再生システムであれば、磁性粉末の減少による磁化量の減少を補償することができるため、出力の低下も抑えることができると考えられる。さらに、本実施の形態の磁性層は非磁性支持体上に直接形成されているため、非磁性支持体と磁性層との界面の凹凸は、磁性層と中間層との界面のそれよりも格段に平滑化される。図5は、本実施の形態の非磁性支持体上に磁性層が直接形成された磁気記録媒体の断面写真である。図に示すように、非磁性支持体の表面は中間層よりも平滑性に優れるため、非磁性支持体と磁性層との界面は中間層を有する場合よりも格段に優れた平滑性を有していることが分かる。このため、非磁性支持体側の磁性層の凹凸に起因する出力変動やノイズを低減することができる。なお、本実施の形態で、磁性層が厚み方向で実質的に磁性粉末を1個のみ有するとしているのは、粒度分布を有する磁性粉末が有機溶媒中に分散された磁性塗料を長尺の非磁性支持体上に塗布、乾燥して製造される塗布型の磁気記録媒体においては、厚み方向で磁性粉末の重なりが発生する箇所が部分的に形成される場合があることを考慮したものである。従って、走査型電子顕微鏡(倍率:5〜20万倍)で複数個所の磁性層の断面(5〜50μm長)を観察したときに、磁性粉末の重なりが生じている箇所が0〜1箇所であれば、実質的に磁性粉末を1個のみ有する磁性層ということができる。
さらに、磁気記録媒体の高密度化には面記録密度を向上する必要があるが、面記録密度を上げていくと、隣接する磁気記録情報が互いに干渉し合い、ノイズが増加しやすい。塗布型の磁気記録媒体において、媒体ノイズは磁性粉末の充填量で比較すると、記録ビット内に存在する粒子の個数が多くなるほど低くなることが知られている。従って、媒体ノイズを低減するためには、微粒子の磁性粉末を使用し、磁性層中の磁性粉末の充填性を向上することが有効である。しかしながら、短波長領域での減磁による出力への影響を低減することを目的として磁性層を薄層化しようとする場合、非磁性支持体への磁性塗料の供給量を低減するか、あるいは大量の有機溶媒で磁性塗料を希釈した低濃度の磁性塗料を用いる必要がある。そのため、供給量の低減によって磁性塗料のレベリング性が低下し、その結果上記のような実質的に磁性粉末を1個のみ有するような極めて薄層の磁性層を形成する場合、塗布不良が発生しやすくなる。また、従来の針状の磁性粉末の場合、高希釈化によって磁性塗料の凝集を生じやすくなる。これらにより、ノイズが十分に低減されないという問題がある。
このため、本発明者等は磁性層を磁気力顕微鏡(MFM)で観察したときの磁気クラスタの大きさに着目し、該磁気クラスタサイズが50nm以下の磁性層を形成すれば、磁性粉末の凝集によるノイズを十分に低減できることを見出した。すなわち、磁気力顕微鏡によれば、微小空間における磁性層から受ける磁気力の違いを測定することができるため、磁性粉末の凝集状態を観察することができる。従って、磁性粉末の凝集が少なくなるほど、磁気クラスタサイズが小さくなる。上記のように、微粒子の磁性粉末を使用して非磁性支持体上に磁性粉末を実質的に1個のみ有する極めて薄層の磁性層を形成する場合、磁性粉末が凝集しやすいが、磁気クラスタサイズが50nm以下の磁性層であれば、短波長領域でも低ノイズの磁気記録媒体を得ることができる。なお、磁気クラスタサイズは、小さいほど好ましく、磁性粉末の粒径と同程度の磁気クラスタサイズとすることがより好ましい。
以上のように非磁性支持体上に厚み方向で実質的に磁性粉末を1個のみ有する磁性層を直接形成すれば、磁性粉末間の減磁を低減することができ、また磁性粉末数が減少してもGMRヘッド等の高感度ヘッドを用いれば磁化量の減少を補償することができる。さらに、非磁性支持体上に薄層の磁性層を形成すれば、非磁性支持体側の磁性層面を格段に平滑化できるため、出力変動が抑えられるとともに、モジュレーションノイズも低下させることができる。そして、上記薄層の磁性層を形成した際に、磁気クラスタサイズが50nm以下であれば、磁性粉末の凝集が少なく、短波長領域におけるノイズを低減することができる。これにより、高出力、低ノイズで、優れたSNR及び分解能を有するとともに、周波数特性に優れた磁気記録媒体を得ることができる。
次に、本実施の形態の磁気記録媒体を製造するための好適な製造方法を説明する。中間層を形成することなく、上記のような厚さ方向において実質的に微粒子の磁性粉末1個のみを有し、50nm以下の磁気クラスタサイズを有する単層の磁性層を形成するためには、磁性層の薄層化に適した磁性塗料の開発、超薄塗布に適した塗布技術の開発、及び磁性粉末の凝集が少ない配向・乾燥技術の開発が必要となる。具体的には、磁性塗料に関しては、従来以上に磁性粉末を高度に分散させること、塗布技術に関しては、該磁性塗料に一定の剪断力を付与しながら塗布すること、配向・乾燥技術に関しては、塗布された磁性塗膜が非磁性支持体上で固定されるまで、できるだけ磁性塗膜へのシェアが緩和された状態を維持することが要求される。本発明者等の検討によれば、これらの要求は以下の製造技術を採用することにより解決できることが見出されている。まず、磁性塗料の調製方法に関しては、異方性の小さい磁性粉末と、結合剤と、有機溶媒とを含有する固形分濃度が15質量%以下の混合液を調製する混合液調製工程、得られた混合液を加圧状態でノズルから噴霧する加圧予備分散処理工程、得られた予備分散液を濃縮する濃縮工程、得られた濃縮物と結合剤とを固形分濃度が80質量%以上となる状態で混練する混練工程、得られた混練物を希釈成分で希釈する希釈工程、及び得られた分散前スラリを分散メディアで分散処理する分散処理工程とを有する調製方法を採用することができる。図1は、本実施の形態の磁気記録媒体を製造するために用いられる磁性塗料の調製工程を示すフロー図である。図に示すように、磁性塗料の調製にあたっては、まず、混合液調製工程において、磁性粉末、結合剤、有機溶媒、必要により他の添加剤を含有する低濃度の混合液を調製する(S1)。混合液調製のために使用する有機溶媒としては、具体的には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独でまたは複数混合して使用されてもよい。また上記の有機溶媒とともに、トルエン等の芳香族系有機溶媒を使用してもよい。この混合液中の固形分濃度は、15質量%以下が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。固形分濃度が15質量%より高いと、分散不良が生じ、磁性粉末の凝集が発生しやすい。混合機としては、ディスパ、超音波処理分散機などの従来公知の混合機を使用することができる。
次に、この低濃度の混合液を加圧状態でノズルから噴霧することによって磁性粉末を分散させる高圧噴霧衝突式分散機による加圧予備分散処理が行なわれる(S2)。このような加圧予備分散処理工程を設けることにより、磁性粉末の凝集を低減することができる。高圧噴霧衝突式分散機としては、上記の混合液を高圧フランジャポンプにて加圧し、小径のノズルから混合液を放出させるチャンバを有する分散機や、対向した複数のノズルから混合液を高速高圧で噴霧させ、混合液同士を対面衝突させるチャンバを有する分散機が挙げられる。具体的には、例えば、アルティマイザー、ホモゲナイザー、ナノマイザーなどが挙げられる。混合液を噴霧するときの加圧圧力は50MPa以上が好ましく、100MPa以上がより好ましい。処理回数は、分散前後の粘度差や被分散物の粒度分布、混合液のショートパス防止などを考慮して2回以上行うのがよい。また、ノズル目詰まりを防ぐために、処理前にフィルタなどで粗大粒子をろ過することが好ましい。
次に、濃縮工程において上記のようにして分散処理した予備分散液を濃縮して濃縮物を調製する(S3)。この濃縮工程により、後の混練工程で、混練物に高いシェアを付与することができる。濃縮物の固形分濃度は、特に限定されず、混練工程において混練物の固形分濃度が80質量%以上となるように濃縮すればよい。例えば、混練工程において、結合剤のみを添加する場合には、固形分濃度が80質量%以上となるように予備分散液を濃縮すればよく、結合剤を有機溶媒に分散させた結合剤含有溶液を添加する場合には、該有機溶媒の添加量を考慮して、固形分濃度が80質量%より高くなるように予備分散液を濃縮すればよい。濃縮の方法は、特に限定されるものではないが、加熱、減圧などにより予備分散液中の有機溶媒を蒸発させる方法が好ましい。
次に、上記のようにして得られた濃縮物と結合剤とを固形分濃度が80質量%以上、好ましくは80〜95質量%となる状態で混練する(S4)。このような高い固形分濃度の混練物を混練することにより、混練時のシェアを70N・m以上に維持することができるため、さらに磁性粉末の凝集を低減することができるとともに、高充填の磁性層を形成することができる。混練機としては、従来公知の回分式混練機や連続式2軸混練機などを用いることができる。
次に、混練工程で得られた混練物は高い固形分濃度を有するため、分散処理を行う際に分散が不均一になりやすいことから、希釈工程において、混練物を、有機溶媒を含有する希釈成分で希釈して、分散前スラリを調製する(S5)。この分散前スラリの固形分濃度は、10〜50質量%が好ましい。希釈に用いる有機溶媒としては、混合液調製工程において使用される有機溶媒と同様のものを使用することができる。
次に、上記のようにして調製された分散前スラリを分散処理することにより磁性塗料を調製する(S6)。このような分散処理にあたっては、従来から塗布型の磁気記録媒体の製造で使用されている分散処理方法を適用することができる。分散処理にあたっては、例えば、メディア型分散機を用いることができる。このようなメディア型分散機としては撹拌軸にディスク(穴開き、切り込み入り、溝付等を含む)、ピン、リングが設けられた分散機や、ロータ回転式の分散機(例えば、ナノミル、ピコミル、サンドミル、ダイノミル等)等の従来公知の分散機を用いることができる。分散時間は磁性塗料の成分及び用途により異なるが、滞留時間で30〜90分が好ましい。
上記のようにして得られた磁性塗料と、架橋剤などの添加剤や有機溶媒などを含有する配合成分とを混合して最終的に塗料粘度がE型粘度計で1〜80mPa・s(25℃)の範囲の磁性塗料を調製する配合工程を行う(S7)。有機溶媒としては、混合液調製工程において使用される有機溶媒と同様のものを使用することができる。
次に、上記のようにして磁性粉末が高度に分散された磁性塗料を塗布して均一な薄層の磁性層を形成するための塗布技術に関しては、磁性塗料と接触するドクタエッジ面の長さが200〜1,500μmのエクストルージョン型ダイを用い、ドクタエッジ面と非磁性支持体との離間角度を1.5度以下に維持しながら塗布する方法を、また配向・乾燥技術に関しては、上記塗布工程で形成された磁性塗膜を、配向・乾燥工程で磁性塗膜が非磁性支持体上に固定されるまで5〜25℃の範囲に温度調整しながら配向・乾燥する方法を採用することができる。すなわち、上記のようにして調製された磁性塗料中では磁性粉末が略一次粒子まで高度に分散されているが、塗布時には連続搬送される非磁性支持体上に磁性塗料が塗布されるため、非磁性支持体の長手方向で磁性粉末が揃いやすく、磁性粉末が凝集しやすくなる。このため、非磁性支持体上に磁性塗料を供給するコータとしてエクストルージョン型ダイを用い、そのドクタエッジ面から磁性塗料に剪断力を継続的に付与することにより、そのような塗布時における磁性粉末の凝集を抑制することができる。一方、塗布直後には磁性塗膜中には多量の有機溶媒が存在する。従って、急激な乾燥を行うと磁性塗膜にシェアが掛かり、磁性粉末が凝集しやすくなる。このため、塗布後の配向・乾燥処理により磁性塗膜が非磁性支持体上に固定されるまでの間、磁性塗膜にシェアができるだけ掛からない状態を維持するよう、磁性塗膜を冷却し、磁性塗膜からの有機溶媒の蒸発を抑えることにより、そのような配向、乾燥時における磁性粉末の凝集を抑制することができる。
図2は、上記塗布工程、及び配向・乾燥工程を連続して行うために塗布部10と配向・乾燥部20とを連設した製造装置の一例を示す断面概略図であり、図3は、上記製造装置における塗布部10の要部拡大断面概略図である。
まず、塗布工程において説明すると、図3に示すように、このエクストルージョン型ダイ1は、磁性塗料を供給する給液系(図示せず)、ポケット部2、スリット部3、ドクタエッジ部4、及びバックエッジ部5を備えている。そして、塗布時における磁性粉末の凝集を抑制するために、スリット部3から供給された磁性塗料7にできるだけシェアが働く状態が形成されるよう、ドクタエッジ部4の磁性塗料7と接触するドクタエッジ面4aは200〜1,500μmの略フラットな面に形成されている。また、この塗布部10においては、ドクタエッジ面4aから磁性塗料7が効率よくシェアを受けるよう、エクストルージョン型ダイ1に対して非磁性支持体6を走行させる必要がある。具体的には、非磁性支持体6とドクタエッジ面4aとの離間角度θが1.5度以下、好ましくは略0度となるように支持ロール8によって非磁性支持体6をドクタエッジ面4aに装架する。離間角度θが大きすぎると、ドクタエッジ面4aの距離が長くても、ドクタエッジ面4a上で非磁性支持体6が湾曲し、接触面積が低下するため、磁性塗料7にシェアが掛かり難くなる。磁性塗料7を非磁性支持体6上に塗布する際には、エクストルージョン型ダイ1と非磁性支持体6とを上記の状態が形成されるように配置し、外部に配置された送液ポンプ(図示せず)から磁性塗料7を連続的に一定流量でポケット部2に供給する。すると、磁性塗料7は、ポケット部2からスリット部3を経由し、非磁性支持体6の幅方向に均一な流量及び圧力分布を持ってスリット部3から非磁性支持体6上に押し出され、ドクタエッジ面4aで剪断力を受けながら一定の厚みの磁性塗膜7aが非磁性支持体6上に形成される。非磁性支持体6の搬送速度は、特に限定されるものではないが、通常50〜500m/分である。また、磁性塗膜7aの厚さは、使用する磁性粉末の粒径、磁性塗料7の固形分濃度などにもよるが、通常10〜20nmである。
次に、上記のようにして形成された磁性塗膜7aは、配向・乾燥工程で磁性塗膜7aが非磁性支持体6上に固定されるまで、5〜25℃の範囲に温度調整される。すなわち、塗布工程においては、エクストルージョン型ダイ1に磁性塗料7を給液するためにポンプなどからの熱により磁性塗料7は40〜50℃に加温された状態となっている。このため、塗布直後から磁性塗膜7a中の有機溶媒の蒸発が開始するが、この際、磁性塗膜7a中で対流が発生し、磁性粉末が動かされ、凝集しやすくなる。このため、図2に示すように、塗布部10から配向・乾燥部20までの間に設けた温度調整手段21aにより磁性塗膜7aからの有機溶媒の蒸発を抑制するよう、磁性塗膜7aを冷却することが望ましい。このような温度調整手段21aとしては、無風状態で磁性塗膜7aを冷却できるペルチェ素子を好ましく用いることができる。
次に、上記のようにして温度調整された磁性塗膜7aは配向・乾燥部20に搬送されるが、従来の配向・乾燥工程においては、磁性塗膜7aから有機溶媒を早期に減少させるため高温の乾燥風を磁性塗膜7aに吹き付けながら磁場配向処理が行なわれている。このような従来の配向・乾燥方法は生産効率が高いという点で有利である一方、配向時の磁場により磁性塗膜7a中の磁性粉末が動かされるため、高温の乾燥風が磁性塗膜7aに吹き付けられると磁性粉末が凝集しやすくなる。このため、配向・乾燥工程でも、温度調整手段21bにより磁性塗膜7aの温度を5〜25℃の範囲に維持することが好ましい。なお、配向・乾燥工程で使用される乾燥手段としては、従来から公知の無風状態で乾燥を行う凝縮板22などを使用することができる。
配向処理においては、磁場強度の異なる第一の配向手段23と第二の配向手段24とを連続して設けることが好ましい。このような連続した磁場配向処理を行うことにより、配向時の戻り配向に起因する磁性粉末の再凝集を抑えることができる。図2の製造装置においては、第一の配向手段23として永久磁石の同極を対向させる反発磁石が、第二の配向手段24としてソレノイド磁石が用いられているが、第1の配向手段23としてソレノイド磁石を用い、第2の配向手段24として永久磁石を用いてもよい。第1及び第2の配向手段23,24の磁場強度は、磁性層の表面粗さの劣化を抑えるため、0.05〜1Tが好ましい。
本実施の形態の磁気記録媒体は、上記のようにして得られる磁気シートにカレンダなどの表面平滑化処理を施し、所定サイズに裁断することによって製造することができる。
次に、本実施の形態の磁気記録媒体に好適に用いることができる磁性粉末、結合剤、磁性層の構成、非磁性支持体、磁気記録媒体の製造方法を説明する。
本実施の形態において、磁性粉末としては、磁性粉末の凝集、及び塗布適性の観点から異方性の小さい磁性粉末が好ましく、具体的には、例えば、板状の六方晶フェライト磁性粉末や粒状の窒化鉄系磁性粉末等が挙げられる。また、これらの磁性粉末の平均粒径は5〜20nmが好ましい。このような微粒子の磁性粉末を使用することにより、粒子性ノイズを低減することができる。これらの中でも、高保磁力、高飽和磁化が得られやすい、窒化鉄系磁性粉末が好ましく、5〜20nmの平均粒径を有し、1〜1.4の軸比(長軸径/短軸径)を有する窒化鉄系磁性粉末がより好ましい。このような窒化鉄系磁性粉末は、例えば、特開2000−277311号公報に記載されている。なお、粒径とは、板状の六方晶フェライト磁性粉末の場合は板径を、粒状の窒化鉄系磁性粉末の場合は半径または長軸径を意味する。平均粒径、及び平均軸比は、透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率20万倍で撮影した磁性粉末100個の粒径、及び軸比から求めることができる。
窒化鉄系磁性粉末としては、鉄に対して窒素を1〜20原子%含有する窒化鉄系磁性粉末が好ましい。窒化鉄系磁性粉末は、鉄の一部が他の遷移金属元素で置換されていてもよい。このような他の遷移金属元素としては、具体的には、例えば、Mn、Zn、Ni、Cu、Co等が挙げられる。これらの中でも、Co及びNiが好ましく、特にCoは飽和磁化を最も向上できるので、好ましい。ただし、Coの含有量はFe対してCoが10原子%以下が好ましい。Coの含有量が多くなりすぎると、窒化に長時間を要する傾向がある。また、窒化鉄系磁性粉末は希土類元素を含有してもよい。特に、Fe16相を主相とする窒化鉄を主として含有する内層部分と希土類元素を主として含有する外層部分とを有する2層構成の窒化鉄系磁性粉末は、高保磁力でありながら、高い分散性や優れた形状維持性を示すため好ましい。このような希土類元素としては、具体的には、例えば、Y、Yb、Ce、Sm、Pr、La、Eu、Nd等が挙げられる。これらの中でも、Y、Sm及びNdは還元時の粒子形状の維持効果が大きいため、好ましい。希土類元素の含有量は、鉄に対し、0.05〜20原子%が好ましく、0.1〜15原子%がより好ましく、0.5〜10原子%が最も好ましい。希土類元素が少なすぎると、分散性の向上効果が少なくなり、また還元時の粒子形状維持効果が小さくなる。希土類元素が多すぎると、未反応の希土類元素部分が多くなり、分散、塗布工程での障害となったり、保磁力や飽和磁化の過度な低下を引き起こしやすい。また、窒化鉄系磁性粉末は、B、Si、Al、Pを含有してもよい。このような元素を含有することにより、高分散性の窒化鉄系磁性粉末が得られる。また、これらの元素は希土類元素に比べて安価であるため、コスト的にも有利である。これらの元素の含有量は、Feに対し、B、Si、Al及びPの総含有量で0.1〜20原子%が好ましい。これらの元素が少なすぎると、形状維持効果が少ない。またこれらの元素が多すぎると、飽和磁化が低下しやすい。なお、窒化鉄系磁性粉末は、必要により、C、Ca、Mg、Zr、Ba、Sr等を含有してもよい。これら元素と希土類元素とを併用することにより、より高い形状維持性と分散性能を得ることができる。
窒化鉄系磁性粉末の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば特開2004−273094号公報等に記載の方法により製造することができる。具体的には、出発原料としては、鉄系酸化物または鉄系水酸化物が用いられる。鉄系酸化物、鉄系水酸化物としては、例えば、ヘマタイト、マグネタイト、ゲーサイト等が挙げられる。出発原料の粒径は、特に限定されないが、5〜80nmが好ましく、5〜50nmがより好ましく、5〜30nmがさらに好ましい。粒径が小さすぎると、還元時に粒子間焼結が生じやすい。粒径が大きすぎると、還元処理が不均質となりやすく、得られる窒化鉄系磁性粉末の粒径や磁気特性の制御が困難となる。
上記の出発原料には上記の希土類元素を被着させてもよい。被着処理の方法としては、例えば、アルカリまたは酸の水溶液中に出発原料を分散させ、これに希土類元素の塩を溶解させた後、中和反応等により出発原料に希土類元素を含む水酸化物や水和物を沈殿析出させるようにすればよい。また、上記の出発原料にはB、Si、Al、P等の元素を被着させてもよい。これらの元素の被着処理の方法としては、例えば、上記元素を含有する化合物を溶解させた溶液を調製し、この溶液に出発原料を浸漬して、出発原料にB、Si、Al、P等を被着させる方法が挙げられる。これらの被着処理を効率良く行うために、溶液には還元剤、pH緩衝剤、粒径制御剤等の添加剤をさらに添加してもよい。さらに、被着処理において、希土類元素と、B、Si、Al、P等の元素とを同時にあるいは交互に出発原料に被着させるようにしてもよい。
次に、上記のような出発原料を水素気流中で加熱還元する。還元ガスは特に限定されず、水素ガス以外に、一酸化炭素ガス等の還元性ガスを使用してもよい。還元温度としては、300〜600℃が好ましい。還元温度が300℃より低いと、還元反応が十分進まなくなる。還元温度が600℃より高いと、焼結が起こりやすくなる。
上記のような加熱還元後、窒化処理を施すことにより、鉄と窒素とを構成元素とする窒化鉄系磁性粉末が得られる。窒化処理としては、アンモニアを含むガスを用いて行うのが望ましい。また、アンモニアガス単体のほかに、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガス等をキャリアガスとした混合ガスを使用してもよい。窒素ガスは安価なため、特に好ましい。窒化処理温度は100〜300℃が好ましい。窒化処理温度が低すぎると窒化が十分進まず、保磁力向上の効果が少ない。窒化処理温度が高すぎると窒化が過度に促進され、FeN相やFeN相等の割合が増加し、保磁力がむしろ低下し、さらに飽和磁化の過度な低下を引き起こしやすい。窒化処理に際しては、鉄に対する窒素の含有量が1〜20原子%となるように、窒化処理の条件を選択することが望ましい。窒素の量が少なすぎると、Fe16相の生成量が少なくなり、保磁力向上の効果が少なくなる。また窒素の量が多すぎると、FeN相やFeN相等が形成されやすくなり、保磁力がむしろ低下し、さらに飽和磁化の過度な低下を引き起こしやすい。上記窒化鉄系磁性粉末の保磁力は、160〜320kA/mが好ましく、200〜300kA/mがより好ましい。飽和磁化量は、60〜200Am/kgが好ましく、80〜180Am/kgがより好ましい。
六方晶フェライト磁性粉末としては、六方晶バリウムフェライト磁性粉末が好ましい。上記六方晶フェライト磁性粉末は、所定の元素以外にAl、Si、S,Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、B、Ge、Nb等の原子を含んでいてもよい。六方晶フェライト磁性粉末の製造方法としては、従来公知の製造方法を使用することができる。例えば、酸化バリウム、酸化鉄、鉄を置換する金属酸化物と、ガラス形成物質として酸化ホウ素等とを所望のフェライト組成になるように混合した後、溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉末を得るガラス結晶化法等を挙げることができる。上記六方晶フェライト磁性粉末の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、40〜60Am/kgが好ましい。
結合剤としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、エポキシ系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。塩化ビニル系樹脂としては、具体的には、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン系樹脂との併用が好ましく、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂とポリウレタン系樹脂との併用がより好ましい。また、これらの結合剤は、磁性粉末の分散性を向上し、充填性を上げるために、官能基を有するものが好ましい。このような官能基としては、具体的には、例えば、COOM、SOM、OSOM、P=O(OM)、O−P=O(OM)(Mは水素原子、アルカリ金属塩またはアミン塩)、OH、NR、NR(R,R,R,R及びRは、水素または炭化水素基であり、通常その炭素数が1〜10である)、エポキシ基等を挙げることができる。2種以上の樹脂を併用する場合、官能基の極性が一致した樹脂を用いるのが好ましく、中でも、−SOM基を有する樹脂の組み合わせが好ましい。これらの結合剤は、磁性粉末100質量部に対して、7〜50質量部、好ましくは10〜35質量部の範囲で用いられる。特に、塩化ビニル系樹脂5〜30質量部と、ポリウレタン系樹脂2〜20質量部との併用が好ましい。
また、上記の結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基等と結合し架橋構造を形成する熱硬化性の架橋剤を併用することが好ましい。架橋剤としては、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;イソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等の水酸基を複数個有する化合物との反応生成物;イソシアネート化合物の縮合生成物等の各種のポリイソシアネートを挙げることができる。架橋剤は、結合剤100質量部に対して、通常10〜50質量部の範囲で用いられる。
磁気テープの場合、磁性層の長手方向の保磁力は、好ましくは79.6〜318.4kA/mであり、より好ましくは119.4〜318.4kA/mである。保磁力が79.6kA/m未満では、短波長記録において反磁界減磁により出力低下が起こりやすくなる傾向がある。保磁力が318.4kA/mを超えると、磁気ヘッドによる記録が困難になる傾向がある。また、長手方向の角形比(Br/Bm)は、通常0.6〜0.9であり、好ましくは0.8〜0.9である。さらに、長手方向の飽和磁束密度と厚さとの積は、好ましくは0.001〜0.1μTmであり、より好ましくは0.0015〜0.05μTmである。前記積が0.001μTm未満では、GMRヘッド等の高感度ヘッドを使用した場合でも再生出力が小さくなる傾向がある。前記積が0.1μTmを超えると、短波長領域で高い出力を得にくくなる傾向がある。
本実施の形態において、磁性層は、導電性、表面潤滑性、耐久性等の特性の向上を目的に、カーボンブラック、潤滑剤、非磁性粉末等の添加剤を含有してもよい。カーボンブラックとしては、具体的には、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックの含有量は、磁性粉末100質量部に対して、0.2〜5質量部が好ましい。潤滑剤としては、具体的には、例えば、10〜30の炭素数を有する脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を使用することができる。潤滑剤の含有量は、磁性粉末100質量部に対して、0.2〜3質量部が好ましい。非磁性粉末としては、具体的には、例えば、アルミナ、シリカ等の非磁性粉末を使用することができる。非磁性粉末の含有量は、磁性粉末100質量部に対して、1〜20質量部が好ましい。
非磁性支持体としては、従来から使用されている磁気記録媒体用の非磁性支持体を使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミド等からなる厚さが通常2〜20μmのプラスチックフィルムが挙げられる。また、非磁性支持体は、フィラーを含有してもよい。フィラーの種類としては、球形シリカ、コロイダルシリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機粉体、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂等の有機フィラー等が挙げられる。特に、非磁性支持体の全量に対して、フィラーを0.05〜15質量%含有する非磁性支持体は、塗布時の走行性に優れるため、好ましく用いることができる。また、本実施の形態の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に単層の磁性層が形成されるため、表面電気抵抗が高くなりやすい。このため、磁性層が形成される面に導電層が形成された非磁性支持体を用いることが好ましい。このような導電層としては、具体的には、例えば、アルミ蒸着層などを挙げることができる。また非磁性支持体の磁性層を形成する面の中心線平均表面粗さ(Ra)は、6nm以下が好ましく、4nm以下がより好ましい。
本実施の形態の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層が設けられている面と反対面にバックコート層が設けられてもよい。バックコート層の厚さは、好ましくは0.2〜0.8μmであり、より好ましくは0.3〜0.8μmであり、さらに好ましくは0.3〜0.6μmである。バックコート層は、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックを含有することが好ましい。バックコート層の結合剤としては、磁性層に用いられる樹脂と同様の樹脂を用いることができる。これら中でも、摩擦係数を低減し走行性を向上するため、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂との併用が好ましい。また、本実施の形態の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に単層の薄層磁性層が直接形成されるため、摩擦係数が増加しやすいことから、バックコート層は潤滑剤を含有することが好ましい。バックコート層が潤滑剤を含有すれば、磁気シート製造したときに、バックコート層中の潤滑剤を磁性層に転写させることができ、磁性層の摩擦係数を低減することができる。このような潤滑剤としては、磁性層に用いられる潤滑剤を同様の潤滑剤を用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。なお、以下の各塗料の調製において、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を意味する。
<磁性塗料の調製>
[磁性塗料(C−1)]
(混合液調製工程)
下記表1に示す磁性塗料成分を、ディスパで混合し、混合液(固形分濃度:15%)を調製した。
(加圧予備分散処理工程)
上記の混合液を高圧噴霧衝突式分散機アルティマイザー(スギノマシン社製)により、圧力100MPaで4回分散処理して、予備分散液を調製した。
(濃縮工程)
上記の予備分散液を加温・真空乾燥して濃縮し、濃縮物を調製した(固形分濃度:94%)。
(混練工程)
上記の濃縮物と、結合剤の一部として塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体(含有−SONa基:0.7×10−4当量/g)17部とを混合した混合物を調製し、これを連続式2軸混練機に投入した。次に、混練時のシェアを70N・m以上に維持しながら、この混合物に下記表2に示す結合剤含有溶液成分(結合剤濃度:20%)を段階的に添加して混練し、混練物(固形分濃度:83%)を調製した。
(希釈工程)
上記の連続式2軸混練機の希釈部において、下記表3に示す希釈成分の一部を混練物に加えて希釈を行い、取り出した希釈物に、さらに希釈成分の残部を加えて、ディスパで高速撹拌して分散前スラリを調製した。
(分散処理工程)
上記の分散前スラリを、サンドミル(分散メディア:0.5φのジルコニアビーズ,充填率:80vol%,羽根周速:10m/s)を用いて分散処理を行い(滞留時間:60分)、磁性塗料を調製した。
(配合工程)
上記の磁性塗料にポリイソシアネート6部を加え、撹拌し、ろ過して、最終的な磁性塗料を調製した。このようにして調製した磁性塗料の粘度は、10mPa・s(25℃)であった。
[磁性塗料(C−2)]
濃縮工程において、固形分濃度が100%の濃縮物を調製し、混練工程において、下記表4に示す結合剤含有溶液成分(結合剤濃度:50%)を段階的に添加して、混練時のシェアを70N・m以上に維持しながら混練し、混練物(固形分濃度:96%)を調製した以外は、磁性塗料(C−1)と同様にして、磁性塗料(C−2)を調製した。このようにして調製した磁性塗料の粘度は、12mPa・s(25℃)であった。
[磁性塗料(C−3)]
加圧予備分散処理を行なわず、混合液を直接混練した以外は、磁性塗料(C−1)と同様にして、磁性塗料(C−3)を調製した。このようにして調製した磁性塗料の粘度は、1.3mPa・s(25℃)であった。
[磁性塗料(C−4))
濃縮工程において、固形分濃度が98%の濃縮物を調製し、混練工程において、下記表5に示す結合剤含有溶液成分(結合剤濃度:12%)を段階的に添加して混練し、混練物(固形分濃度:74%)を調製した以外は、磁性塗料(C−1)と同様にして、磁性塗料(C−4)を調製した。なお、混練物の固形分濃度が低かったため、混練時のシェアは、70N・m以上に上げることができなかった。このようにして調製した磁性塗料の粘度は、2.1mPa・s(25℃)であった。
[磁性塗料(C−5)]
下記表6に示す磁性塗料成分(固形分濃度:15%)を用いた以外は、磁性塗料(C−1)と同様にして、磁性塗料(C−5)を調製した。このようにして調製した磁性塗料の粘度は、10mPa・s(25℃)であった。
[磁性塗料(C−6)]
下記表7に示す磁性塗料成分(固形分濃度:20%)を用いた以外は、磁性塗料(C−1)と同様にして、磁性塗料(C−6)を調製した。このようにして調製した磁性塗料の粘度は、10mPa・s(25℃)であった。
<中間層塗料の調製>
下記表8の中間層塗料成分をニーダで混練した後、混練物をサンドミル(滞留時間:60分)で分散し、得られた分散液にポリイソシアネート6部を加え、撹拌し、ろ過して、中間層塗料を調製した。
<バックコート層塗料の調製>
下記表9のバックコート層塗料成分を、サンドミルで分散処理(滞留時間:45分)を行い、得られた分散液にポリイソシアネート8.5部を加え、撹拌し、ろ過して、バックコート層塗料を調製した。
<磁気テープの製造>
[磁気テープ(T−1)の作製]
磁気テープの作製にあたっては、図2に示す製造装置を用いた。まず、塗布部において、搬送速度150m/分で連続搬送されるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:8μm,中心線平均表面粗さ(Ra):1.2μm,フィラー:0.2(%),導電層:Al蒸着層)の非磁性支持体上に、上記の磁性塗料(C−1)を、エクストルージョン型コータ(ドクタエッジ長:200μm,ドクタエッジと非磁性支持体との離間角度:1.5度)を用いて塗布し、厚さ18nmの磁性塗膜を形成した。次に、ペルチェ素子を配設した温度調整手段で、磁性塗膜の温度を5〜25℃に維持しながら、配向・乾燥して、磁性層を形成した。配向処理は、N−N対向磁石(磁場強度:0.5T)からなる第1配向手段と、ソレノイド磁石(磁場強度:0.5T)からなる第2配向手段とにより行った。
次に、上記のバックコート層塗料を、非磁性支持体の磁性層が形成された面の反対面に、乾燥及びカレンダ処理後の厚さが700nmとなるように塗布し、乾燥した。
上記のように非磁性支持体の片面に磁性層を、他面にバックコート層を形成した磁気シートを、5段カレンダ(温度:70℃、線圧:150Kg/cm)で鏡面化処理し、これをシートコアに巻いた状態で、60℃,40%RH下、48時間エージングした。その後、磁気シートを1/2インチ幅に裁断し、磁気テープを作製した。
[磁気テープ(T−2)〜(T−11)の作製]
表10に示す条件を使用した以外は、磁気テープ(T−1)と同様にして、磁気テープ(T−2)〜(T−11)を作製した。
[磁気テープ(T−12)の作製]
2つスリット部を有するエクストルージョン型コータ(ドクタエッジ長:1,500μm,ドクタエッジと非磁性支持体との離間角度:0度)を用いて、上記の中間層塗料を、非磁性支持体上に、乾燥、カレンダ後の厚さが0.9μmになるように塗布して中間層塗膜を形成し、この未乾燥状態の中間層塗膜上に、上記の磁性塗料(C−1)を塗布した以外は、磁気テープ(T−1)と同様にして、磁気テープ(T−12)を作製した。
以上のようにして作製した各磁気テープについて、下記の評価を行った。表10に評価結果を示す。
〔磁性層断面評価〕
磁気テープ表面にカーボン蒸着膜、及びPt−Pdスパッタ膜を形成した後、これをGaイオンを用いたフォーカストイオンビーム(FIB)により切削加工して、磁気テープの長手方向に平行に断面超薄切片を切り出した測定試料を作製した。FIBは、最大真空度10−8Torr、加速電圧20kVで行った。次に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、切り出した断面超薄切片中の磁気テープ断面を倍率20万倍で撮影して、磁気テープの断面像(12μm長)を取得し、磁性層中の磁性粉末の数を測定した。なお、中間層を設けた磁気テープについては、目視にて磁性層と中間層との界面の状態を観察し、凹凸の有無を評価した。
〔磁気クラスタサイズ〕
磁気力顕微鏡として、デジタルインスツルメント社製,Nano Scope IIIを用い、周波数検出法により磁性層の漏れ磁界像を測定した。測定プローブには、コバルトアロイコートを有するプローブ(先端曲率半径:25〜40nm,保磁力:約400Oe,磁気モーメント:約1×10−13emu)を用い、走査範囲は5μm四方、走査速度は5μm/secとした。得られた漏れ磁界像の磁化強度の中心値Cと標準偏差δとの和(C+δ)より大きな磁化強度を有する部分を2値化処理することにより表示し、該部分を磁気クラスタとして、その円相当径の平均値を測定した。
〔SNR、及び分解能〕
SNR、及び分解能の評価には、記録ヘッドとしてMIG(Metal−In−Gap)ヘッド(トラック幅:12μm,ギャップ長:0.15μm,Bs:1.2T)と、再生ヘッドとしてスピンバルブタイプのGMRヘッド(トラック幅:2.5μm,SH−SH幅:0.15μm)とが装着されたドラムテスターを用いた。このドラムテスターの回転ドラムに磁気テープを巻きつけ、3.4m/sの相対速度で磁気テープを走行させながら、スペクトルアナライザを使用して250kfciの記録密度における再生出力(S)、ブロードバンドノイズ(N)、及びSNRを測定した。なお、再生出力、ノイズ、及びSNRは磁気テープ(T−10)のそれらを基準(0dB)とした相対値で評価した。分解能は、ファンクションジェネレータにより、1kfciの記録密度における矩形波の信号を書き込み、GMRヘッドの出力をデジタルオシロスコープに読み込んで、孤立波形の半値幅(PW50)を長さに換算した値を測定した。なお、磁気テープ(T−10)のPW50を100%とし、その相対値として各磁気テープの分解能を評価した。
〔周波数特性〕
上記のSNRの評価で用いたドラムテスターと同一のドラムテスターを用い、線記録密度1〜300kfciの再生出力を測定した。
上記表に示すように、非磁性支持体上に直接、磁性粉末を1個のみ有する磁性層が形成された磁気テープ(T−1)〜(T−3)は、磁性粉末を2〜3個有する単層の磁性層が形成された磁気テープ(T−10)や、非磁性支持体と磁性層との間に中間層が形成された磁気テープ(T−11)に比べて、高出力、低ノイズであり、優れたSNRと分解能を有することが分かる。また、磁性粉末として窒化鉄系磁性粉末を用いて重層構成の磁気テープを作製した場合、塗布適性は良好であるが、磁性層と中間層との界面の凹凸が発生することは避けることができず、ノイズが増加することが分かる。
また、磁性粉末を1個のみ有する磁性層を形成する場合に、予備分散処理工程、高固形分濃度での混練工程、剪断力を付与する塗布工程、及び温度調整した配向、乾燥工程を採用することにより、塗布不良が発生せず、磁気クラスタサイズの小さい磁性層を形成できることが分かる。
図4に、磁気テープ(T−1)、(T−10)、及び(T−12)の周波数特性を示す。図に示すように、磁気テープ(T−1)は、磁気テープ(T−10)に比べて長波長領域において出力が若干低下するが、短波長領域においては格段の改善が見られることが分かる。これは、実質的に磁性粉末を1個のみ有する磁性層が非磁性支持体上に直接形成されているため、短波長領域における出力の低下が少なく、また出力変動が小さいためと考えられる。
本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体を製造するために用いられる磁性塗料の調製方法の一例を示す工程フロー図である。 本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体を製造するために用いられる製造装置の一例を示す断面概略図である。 図2の塗布部の要部拡大断面概略図である。 本発明の実施例、及び比較例に係る磁気テープの周波数特性を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体の断面を観察した走査型電子顕微鏡写真である。 従来の磁気記録媒体の断面を観察した走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 エクストルージョン型ダイ
4 ドクタエッジ部
4a ドクタエッジ面
6 非磁性支持体
7 磁性塗料
7a 磁性塗膜
10 塗布部
20 配向・乾燥部
21 温度調整手段
θ 離間角度

Claims (3)

  1. 非磁性支持体上に、磁性粉末及び結合剤を含有する磁性層が直接形成された磁気記録媒体であって、
    前記磁性層は、厚さ方向において実質的に前記磁性粉末1個を有し、前記磁性層を磁気力顕微鏡で測定したときの磁気クラスタサイズが50nm以下である、磁気記録媒体。
  2. 前記磁性層は、前記磁性粉末として、5〜20nmの平均粒径、及び1〜1.4の平均軸比を有する窒化鉄系磁性粉末を含有する請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、
    磁性粉末、結合剤、及び有機溶媒を混合して、固形分濃度が15質量%以下の混合液を調製し、
    前記混合液を、加圧状態でノズルから噴霧する加圧予備分散処理を行うことにより予備分散液を調製し、
    前記予備分散液を濃縮して、濃縮物を調製し、
    前記濃縮物と結合剤とを固形分濃度が80質量%以上となる状態で混練して混練物を調製し、
    前記混練物を、有機溶媒を含有する希釈成分で希釈して分散前スラリを調製し、
    前記分散前スラリを、分散メディアを用いて分散処理することにより磁性塗料を調製し、
    ドクタエッジ面と非磁性支持体との離間角度が1.5度以下となるように非磁性支持体を連続搬送しながら、ドクタエッジ面の長さが200〜1,500μmのエクストルージョン型コータから前記非磁性支持体上に前記磁性塗料を塗布して磁性塗膜を形成し、
    前記磁性塗膜を、5〜25℃の範囲に温度調整しながら配向、乾燥して前記磁性層を形成する、製造方法。
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