JP2011096312A - 窒化鉄系磁性粉末、及びそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

窒化鉄系磁性粉末、及びそれを用いた磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】GMRヘッド等の高感度ヘッドを有するシステムに用いた場合に、優れたSN比を有する高密度磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】Fe16相を主相とする窒化鉄を含有するコア部と、金属鉄を含有する中層部と、酸化鉄を含有する外層部とを有する粒状ないし楕円体状の窒化鉄系磁性粉末であって、前記窒化鉄を含有するコア部の平均径dnが6〜10nm、前記窒化鉄を含有するコア部と前記金属鉄を含有する中層部をあわせた部分の平均径dfが7〜14nmであることを特徴とする窒化鉄系磁性粉末、及び非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に、少なくとも上記の窒化鉄系磁性粉末及び結合剤を含有する磁性層とを有する磁気記録媒体は、GMRヘッド等の高感度ヘッドを有する磁気記録再生システムに適用した場合でも、優れたSNRを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗布型の磁気記録媒体に用いられる窒化鉄系磁性粉末、及びその窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気記録媒体に関する。特に、本発明は、GMRヘッド等の高感度ヘッドを有するシステムに用いた場合に、低ノイズで、優れたSNRを有する高密度磁気記録媒体に関する。
非磁性支持体上に磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層が形成された塗布型の磁気記録媒体は、アナログ方式からデジタル方式への記録再生方式の移行に伴い、一層の記録密度の向上が要求されている。特に、高密度デジタルビデオテープやコンピュータバックアップテープなどにおいては、この要求が年々高まってきている。
記録密度の向上に不可欠な短波長記録に対応するためには、短波長領域における再生SN比を向上させる必要がある。このためには再生出力の向上とノイズの低減の両者を行わなければならない。特にコンピュータ用データ記録システムにおいては、記録情報の再生を行う際に用いる再生ヘッドとして、従来の誘導型ヘッドに代わり、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)が採用されてきているが、最近はさらに高感度の巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)やトンネル磁気抵抗効果型磁気ヘッド(TMRヘッド)等の高感度ヘッド(以下総称してGMRヘッド等という)の適用が検討されてきている。このようなGMRヘッド等の高感度ヘッドは8%以上の磁気抵抗比を有しており、MRヘッドの磁気抵抗比に比べて高い。そのため、このような高感度ヘッドを使用したシステムにおいては電気回路に起因するノイズの大幅な低減が可能であることから、磁気記録媒体に由来する媒体ノイズがシステムのSN比を支配する。従って低ノイズ化を図る方が、よりSN比の向上に対して有効になってきている。
再生出力向上のためには磁性粉末の充填性を向上させ磁束密度を向上させることや、磁性粉末の高保磁力化により短波長記録時の減磁を低減することがこれまで検討されてきている。またノイズの低減には磁性粉末の微粒子化が行われている。塗布型の磁気記録媒体において媒体ノイズは、記録ビット内に存在する磁性粉末の個数が多くなるほど低くなる。従って微粒子の磁性粉末を使用すれば、記録ビット内の磁性粉末が必然的に増加するので媒体ノイズ低減に有効である。
例えば高密度磁気記録テープに使用されている針状の磁性粉末においては、45nm程度の長軸長を有し、238.9kA/m程度の高保磁力を有する金属鉄系磁性粉末が実現されている(特許文献1〜3)。しかしながら、上記のような針状の磁性粉末を用いる磁気記録媒体においては、上記長軸長からのさらに大幅な微粒子化は困難になってきている。これは、針状の金属鉄系磁性粉末はその形状を針状とすることによる形状磁気異方性に基づき高保磁力を発現しており、それゆえ微粒子化に伴い必然的に針状比(長軸長/短軸長)が小さくなり、保磁力が低下するためである。
そこで、上記針状の磁性粉末とは全く異なる磁性粉末として、Fe16相を主相として含む窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気記録媒体が提案されている(特許文献4)。Fe16は正方晶の結晶構造を反映して一軸磁気異方性(結晶異方性)を有しており、これによって保磁力が発現される。このような窒化鉄系磁性粉末でも、磁気特性の改善による高出力化と同時に微粒子化の必要があるが、結晶異方性の場合球状の磁性粉においても高い保磁力を保つことが出来るので、微粒子化が容易であるという特徴を持っている。
上記観点から発明者らは、Fe16相を主として含有するコア部と、希土類元素、Al、及びSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を主として含有する外層部とを有し、5〜50nmの平均粒径を有する窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気記録媒体を先に提案した(特許文献5)。上述のようにこの窒化鉄系磁性粉末は結晶磁気異方性を有するため、微粒子でありながら高保磁力と適度な飽和磁化とを有し、また従来の針状の磁性粉末と異なり粒状ないし楕円体状の形状を有するため、磁性層を形成したときに磁性粉末が高充填されやすいという特徴を有している。このため粒子性ノイズを下げつつ高い再生出力を得ることが出来、高SN比が実現できるという利点を有している。
特開平3−49026号公報 特開平10−83906号公報 特開平10−340805号公報 特開2000−277311号公報 特開2004−273094号公報 特開2007−335592号公報
しかしながら、この窒化鉄系磁性粉末は高い保磁力を有するものの、その粒径分布が広い場合磁性粉末の保磁力分布が広がってしまうという問題点がある。保磁力分布が広い場合、折角保磁力の中心値が高くても短波長領域の出力は改善されない。また磁性粉末の粒径と保磁力分布との間にはトレードオフの関係があると考えられており、保磁力分布を小さくしようとすると粒径が大きくなってしまう。この場合粒径の上昇に伴い粒子性ノイズが大きくなって、SN比を高めることが出来ないといった問題がある。このような窒化鉄系磁性粉末を高密度記録媒体に使用するには、粒径と磁気特性の関係を最適化する必要がある。
磁性粉末の粒径と磁気特性とのトレードオフを解決する手段として、薄膜磁気記録媒体においては、ハイブリッド磁性膜の提案がなされている。これは保磁力の高い膜(強磁性層)と保磁力の低い膜(軟磁性層)を隣接して設けることで複合的な効果が得られ、磁気特性と粒径とのバランスを取ることに成功している。
窒化鉄系磁性粉においても同様に強磁性層と軟磁性層を組み合わせた磁性粉の提案がなされている(特許文献6)。しかしこの発明の目的は窒化鉄の耐候性向上にあり、各層の役割にあった詳細な規定がなされていなかった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は微粒子の窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気記録媒体をGMRヘッド等の高感度ヘッドを備える磁気記録再生システムに適用した場合でも、低ノイズ化と高出力の両立を図ることができ、優れたSN比を有する磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、高保磁力のFe16と軟磁性金属鉄を層構造でハイブリッドした窒化鉄系磁性粉を用いて、各層の粒径を適正に制御することによって、高出力と低ノイズの両立が図れることを見いだした。本発明における窒化鉄系磁性粉の構成を図1に示す。
本発明は以上の知見をもとにして完成されたものである。すなわち本発明は、Fe16相を主相とする窒化鉄を含有するコア部と、金属鉄を含有する中層部と、酸化鉄を含有する外層部とを有する粒状ないし楕円体状の窒化鉄系磁性粉末であって、前記窒化鉄を含有するコア部の平均径dnが6〜10nm、前記窒化鉄を含有するコア部と前記金属鉄を含有する中層部をあわせた部分の平均径dfが7〜14nmであることを特徴とする窒化鉄系磁性粉末(請求項1)と、非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に、少なくとも請求項1に記載の窒化鉄系磁性粉末及び結合剤を含有する磁性層とを有する磁気記録媒体(請求項2)とに関わるものである。
上記窒化鉄系磁性粉末は、強磁性Fe16を含有するコア部の直径dnが6〜10nmと規定されており、この範囲にある場合200kA/m以上の高い保磁力を保持することが出来る。また媒体の粒子性ノイズはFe16を含有するコア部の直径に比例することが分かっている。これは一斉反転する磁化の個数によって磁性粉末の凝集度合いが支配されていることに依っている。逆に保磁力分布は軟磁性層である金属鉄を含む中層部とコア部の粒径に依存し、この粒径が7〜14nmである場合、保磁力分布の目安となるHa値(保磁力のヒストグラムにおける半値幅)が200kA/m以下と、狭い値を保つことが出来る。
また本発明は、非磁性支持体上に上記の窒化鉄系磁性粉末及び結合剤を含有する磁性層を有する磁気記録媒体である。上記窒化鉄系磁性粉末を用いることで、高い保磁力、狭い保磁力分布で、1ビット中の粒子個数が多い磁気記録媒体を得ることが出来、この磁気記録媒体により優れたSN比が実現できる。
以上のように本発明によれば、微粒子の窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気記録媒体をGMRヘッド等の高感度ヘッドを備える磁気記録再生システムに適用した場合にも、低ノイズ化と高出力の両立を図ることができ、優れたSN比を有する磁気記録媒体を提供することができる。
窒化鉄系磁性粉末は結晶磁気異方性を有するため高い保磁力を有するものの、過度に微粒子の窒化鉄系磁性粉末を使用した場合保磁力分布が大きくなり、保磁力自体は小さくなる要因の一つは、磁性粉末の粒径が小さくなりすぎること考えられる。しかし磁性粉を小さくしなければ磁気記録媒体のノイズは下がらず、両者にはトレードオフの関係がある。
磁性粉末間の磁気的な特性は強磁性及び常磁性を含む全ての磁性成分に依存している。しかし磁気記録媒体になった場合のノイズに関しては、強磁性成分のみが寄与していることが分かってきた。従って同一の磁性粉末中で強磁性成分と常磁性成分の比率を制御することによって、上記のような磁気特性とノイズ特性のトレードオフが解決出来る可能性がある。
上記観点から本発明者等は、強磁性成分であるFe16相を主相とする窒化鉄を含有するコア部と、常磁性成分である金属鉄を含有する中層部と、酸化鉄を含有する外層部とを有する粒状ないし楕円体状の窒化鉄系磁性粉末を用いることで、磁気特性とノイズ低減の両立がはかれることを見いだした。このとき前記窒化鉄を含有するコア部の平均径dnが6〜10nm、前記窒化鉄を含有するコア部と前記金属鉄を含有する中層部をあわせた部分の平均径dfが7〜14nmであることが好ましい。
窒化鉄を含有するコア部の平均径dnが6〜10nm、前記窒化鉄を含有するコア部と前記金属鉄を含有する中層部をあわせた部分の平均径dfが7〜14nmであれば、保磁力が下がりかつ保磁力分布が広がることなく、強磁性成分と常磁性成分が適度な比率となり、媒体にしたときのノイズを下げることが出来る。
dfが7nmより小さくなった場合保磁力が200kA/mを下回り、自己減磁が現れてきて高密度記録には不適切になる。また保磁力分布も200kA/mを超えて、記録時の磁化遷移幅を広げてしまい、短波長の記録再生が困難になってくる。逆にdfが14nmを超えた場合、ノイズが大きくなる。一方dnが6nmより小さくなった場合保磁力が低下し、dnが10nmを超えると記録媒体にしたときの粒子性ノイズが大きくなり、高密度記録に必要なS/N比を確保することが出来なくなる。但しdnとdfは個別に制御することが可能となったので、dfを14nm近くまで大きくしつつ、dnを6nm近くまで小さくすることで両特性の両立をはかることが出来る。
上記のような層構造を形成するためには、まず中層部、外層部全てコアとなる窒化鉄と同一の粒子をまず作成し、この窒化鉄を再還元することでコア周囲部に金属鉄を主成分とする中層部を設ける。さらにこの複合粒子を酸化させることで中層部周囲に酸化鉄からなる外層部を形成することが出来る。還元処理の方法は特に限定されるものではないが、一般的には気体水素を使用した乾式法で、還元温度を100〜200℃するのが適している。
上記のようにコア部、中層部の大きさを制御することが重要であり、このため磁性微粒子粉末各層の大きさを正確に測定する必要がある。一般的にこれらの大きさ評価は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察像を用いて直径などを算出している。しかし本発明のように窒化鉄−金属鉄−酸化鉄からなる複合微粒子では、観察像による各層の分離は非常に困難である。特に窒化鉄−金属鉄の境界を見極めることは、両者の結晶構造が近いこともあり通常観察される分解能(×100,000等)では不可能である。従って本発明においては、コア層の平均径dn及び中層部を含めた粒の径dfを以下のようにして求めた。
コア部の粒子系dnは、単色光を用いた粒子粉末のX線回折法(デバイ−シェーラー法)の結果から求めた。回折像の半値幅が、結晶の大きさに相当すること(シェーラーの方法)より算出した。今回はFe16の(422)面からの回折ピークを用いた。これは低角の(101)面や(110)面からのピークは金属鉄のピークと重なり分離が出来ないのに対して、(422)ピークが金属鉄のピークと重ならないことによる。
コア部と中層部からなる部分のdfは、磁性粉の飽和磁化量σs(emu/g)及びTEM観察像より得られた全粒子直径dより算出した。磁性粉の飽和磁化量はコア部と中層部と酸化鉄による外層部との平均値であり、かつコア部と中層部の飽和磁化の値がσf=210(emu/g)、外層部はほぼ非磁性なので飽和磁化0と求まっているので、σsは以下の式により表される。
σs=σf・df/d
これよりdfを算出することが出来る。
本実施の形態において、コア部は、Fe16相以外に、Fe相、FeN相、FeN相、α−Fe相などの他の結晶相を含んでいてもよい。このような他の結晶相を含有させることにより、保磁力を調整することも可能である。また、窒化鉄中のFeは、耐食性を向上させるために、Coなどの遷移金属で置換されていてもよい。さらに、外層部がY、及びAlを上記含有量で含有していれば、これらの元素とともに他の被着元素を併用してもよい。このような被着元素としては、特許文献5と同様の希土類元素、アルカリ土類金属元素、Si、B、Pなどが挙げられる。ただし、これらの被着元素の含有量が多すぎると外層部の厚みが不均一となるため、Feに対し合計で0.2〜2原子%が好ましい。
次に、本実施の形態の窒化鉄系磁性粉末を製造するための好適な製造方法について説明する。
出発原料には、鉄系酸化物または鉄系水酸化物が用いることが好ましい。このような鉄系酸化物、鉄系水酸化物としては、具体的には、例えば、ヘマタイト、マグネタイト、ゲーサイトなどが挙げられる。出発原料の平均粒径は、特に限定されないが、5〜25nm程度が好ましい。平均粒径が小さすぎると、還元処理時に粒子間焼結が生じやすい傾向がある。平均粒径が大きすぎると、還元処理が不均質となりやすく、得られる窒化鉄系磁性粉末の平均粒径や磁気特性の制御が困難となる傾向がある。
上記出発原料には、Y及び/またはAlを予め添加することが好ましい(先添加)。これらの元素を予め含有させた出発原料を使用することにより、コア部の表面にこれらの元素を有する酸化物などの化合物が形成されやすくなる。特に、厚い外層部を形成するためには多量のAlを被着させる必要があるが、出発原料内にAlを一定量含有させておけば、被着処理のみによる場合よりもコア部の表面にAlの酸化物などが均一に分布した外層部が形成されやすくなる。ただし、出発原料内のY、及びAlの添加量が多すぎると、コア部の窒化鉄の形成が阻害されやすくなる。このため、これらの元素の平均含有量は、出発原料中の全Fe量に対して、Y/Fe原子比で0.05〜3.0原子%が好ましく、Al/Fe原子比で2〜30原子%が好ましい。
また本実施の窒化鉄系磁性粉の特に外層部にY、及びAlを含有させるために、上記出発原料に対してこれらの被着元素を有する化合物を被着させてもよい(後添加)。このような被着処理を行うことにより、これらの元素を有する酸化物などの化合物を含有する外層部でコア部を被覆することができる。
これらの被着元素を有する化合物としては、これらの元素を有する水酸化物、硝酸塩、硫酸塩などが挙げられる。これらの化合物の出発原料への添加量は、出発原料中の全Fe量に対して、上記各被着元素の平均含有量の範囲とすればよく、出発原料がY、及びAlを含有する場合には、上記各被着元素の平均含有量から出発原料中に含まれるこれらの元素の含有量を除いた量の範囲とすればよい。
被着処理は、例えば、アルカリまたは酸の水溶液中に出発原料を分散させ、これにY及び/またはAl元素を有する化合物を含有する溶液を添加し、中和反応などにより出発原料である粉末にこれらの元素を含む水酸化物や水和物を沈殿析出させればよい。このとき、多量の被着元素が均一に被着した外層部を形成するために、出発原料に対するこれらの被着元素を有する化合物の添加速度を調整することが好ましい。
具体的には、Yを有する化合物、及びAlを有する化合物を含有する溶液を調製し、出発原料1g当たり両化合物合計の添加速度が、0.1g/hr以下となるように、該溶液と出発原料とを混合する。添加速度が上記より速いと、外層部の厚みが不均一となりやすく、各元素の含有量の標準偏差が上記範囲内の窒化鉄系磁性粉末が得られ難くなる。なお、添加速度は遅いほど均一な被着が可能であるため好ましいが、生産性を考慮すれば、添加速度は出発原料1g当たり、0.04g/hr以上が好ましい。
次に、上記のように作成した出発原料を水素気流中で還元処理する。還元処理における還元ガスは特に限定されず、水素ガス以外に、一酸化炭素ガスなどの還元性ガスを使用してもよい。還元処理温度は300〜600℃が好ましい。還元処理温度が300℃より低いと、還元反応が十分進まなくなる。還元処理温度が600℃より高いと、焼結が起こりやすくなる。
上記のような還元処理後、得られる鉄系磁性粉末に窒化処理を施すことにより、コア部にFe16相を含有し、外層部にY、及びAlを有する酸化物などの化合物を含有する窒化鉄系磁性粉末が得られる。窒化処理はアンモニアを含むガスを用いて行うのが望ましい。また、アンモニアガス単体のほかに、これに水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガスなどをキャリアーガスとした混合ガスを使用してもよい。窒素ガスは安価なため、特に好ましい。
窒化処理温度は100〜300℃が好ましい。窒化処理温度が低すぎると窒化が十分進まず、保磁力向上の効果が少ない。窒化処理温度が高すぎると、窒化が過度に促進され、FeN相やFeN相などの割合が増加し、保磁力が寧ろ低下し、また飽和磁化の過度な低下を引き起こしやすい。
窒化処理に際しては、鉄に対する窒素の含有量が1〜20原子%となるように、窒化処理の条件を選択することが望ましい。窒素の量が少なすぎると、Fe16相の生成量が少なくなり、保磁力向上の効果が少なくなる。また窒素の量が多すぎると、FeN相やFeN相などが形成されやすくなり、保磁力が寧ろ低下し、また飽和磁化の過度な低下を引き起こしやすい。
次に上記のようにして作成した全体がFe16を主成分とする窒化鉄粒子(コア部)を再還元することで、コア部の周囲に金属鉄を主成分とする中層部を設ける。このときコア部及び中層部の径を所定の大きさにするために還元条件を制御することが重要である。従ってこの再還元の条件は、一般に酸化物粒子を還元するときのものより緩やかである。
まず作成した窒化鉄粒子を還元性ガスと不燃性ガスとの混合ガス中に導入し、表面部分だけを金属鉄に還元する。還元ガス−不燃性ガスが気体水素−気体窒素である場合、気体水素濃度は0.1〜15vol%であることが好ましい。水素濃度が0.1vol%未満のとき還元反応の進行は非常に遅くなり、水素濃度が15vol%を超えると還元反応の進行が早くなる。再還元温度は、100℃から200℃が好ましい。還元温度が200℃を超えると元反応が急速に起こり、還元速度を制御することが難しくなる。また100℃未満では反応が遅くなる。再還元時間は15〜300min程度の範囲が好ましい。
最後に窒化鉄粒子の表層に形成させた、金属鉄相の周辺領域を緩やかに酸化させ、最表層に外層部となる酸化物相を形成する。酸化には例えば酸素−窒素混合ガスを用いることできる。この場合気体酸素濃度は0.01〜2vol%が好ましく、酸化温度は40〜120℃が好ましく、酸化時間は5〜120minが好ましい。
上記のようにして製造される窒化鉄系磁性粉末大きさは上気したような範囲が好ましいが、さらにその保磁力は119.4〜318.5kA/mが好ましく、飽和磁化は39〜160Am/kgが好ましい。上記のような高保磁力、高飽和磁化の窒化鉄系磁性粉末を用いることにより、短波長記録において高いS/N比を得ることができる。
本実施の形態の磁気記録媒体は、上記した窒化鉄系磁性粉末と結合剤とを溶剤中に分散混合した磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布し、乾燥して、磁性層を形成することにより作製できる。
非磁性支持体としては、従来から使用されている磁気記録媒体用の非磁性支持体を使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミドなどからなる厚さが通常2〜15μm、特に2〜7μmのプラスチックフィルムが用いられる。
磁性層に用いられる結合剤としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、及びポリウレタン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。塩化ビニル系樹脂としては、具体的には、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン系樹脂との併用が好ましく、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂とポリウレタン系樹脂との併用がより好ましい。また、これらの結合剤は、窒化鉄系磁性粉末の分散性を向上し、充填性を上げるために、官能基を有するものが好ましい。このような官能基としては、具体的には、例えば、COOM、SOM、OSOM、P=O(OM)、O−P=O(OM)(Mは水素原子、アルカリ金属塩またはアミン塩)、OH、NR、NR(R,R,R,R,及びRは、水素または炭化水素基であり、通常その炭素数が1〜10である)、エポキシ基などを挙げることができる。2種以上の樹脂を併用する場合、官能基の極性が一致した樹脂を用いるのが好ましく、中でも、−SOM基を有する樹脂の組み合わせが好ましい。これらの結合剤は、窒化鉄系磁性粉末100質量部に対して、7〜50質量部、好ましくは10〜35質量部の範囲で用いられる。特に、塩化ビニル系樹脂5〜30質量部と、ポリウレタン系樹脂2〜20質量部との併用が好ましい。
また、上記の結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合し架橋構造を形成する熱硬化性の架橋剤を併用することが好ましい。このような架橋剤としては、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物;イソシアネート化合物とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有する化合物との反応生成物;イソシアネート化合物の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートを挙げることができる。架橋剤は、結合剤100質量部に対して、通常10〜50質量部の範囲で用いられる。
磁性層は、導電性、表面潤滑性、耐久性などの特性の向上を目的に、カーボンブラック、潤滑剤、非磁性粉末などの添加剤を含有してもよい。カーボンブラックとしては、具体的には、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどを使用することができる。カーボンブラックの含有量は、窒化鉄系磁性粉末100質量部に対して、0.2〜5質量部が好ましい。潤滑剤としては、具体的には、例えば、10〜30の炭素数を有する脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどを使用することができる。潤滑剤の含有量は、窒化鉄系磁性粉末100質量部に対して、0.2〜3質量部が好ましい。非磁性粉末としては、具体的には、例えば、アルミナ、シリカなどを使用することができる。非磁性粉末の含有量は、窒化鉄系磁性粉末100質量部に対して、1〜20質量部が好ましい。
磁性塗料は、窒化鉄系磁性粉末及び結合剤と、必要により他の添加剤とを溶剤と混合することにより調製される。溶剤としては、従来から磁性塗料の調製に使用されている有機溶剤を使用することができる。具体的には、例えば、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。磁性塗料の調製にあたっては、従来から公知の塗料製造工程を使用することができる。特に、ニーダなどによる混練工程と一次分散工程の併用が好ましい。一次分散工程では、サンドミルを使用すると、分散性が改善されるとともに、表面性状を制御できるので、望ましい。
磁性層の厚さは、長手記録の本質的な課題である減磁による出力低下を避けるために300nm以下の薄層が好ましく、10〜300nmがより好ましく、10〜250nmがさらに好ましく、10〜200nmが最も好ましい。磁性層の厚さが300nmを超えると、厚さ損失により再生出力が小さくなったり、残留磁束密度と厚さとの積が大きくなりすぎて、GMRヘッドなどの高感度な再生ヘッドを使用した場合に磁束の飽和による再生出力の歪が起こり易い。磁性層の厚さが10nm未満では、均一な磁性層が得られ難い。本実施の形態の磁性粉末は、平均粒径が20nm以下と極めて微粒子であり、粒状乃至楕円体状の形状を有するため、従来の針状磁性粉末ではほとんど不可能な極めて薄い磁性層も形成できる。
磁気テープの場合、磁性層の長手方向の保磁力は、159.2〜398.0kA/mが好ましく、159.2〜318.4kA/mがより好ましい。長手方向の保磁力が159.2kA/m未満では、短波長記録において反磁界減磁により出力が低下する傾向がある。一方、長手方向の保磁力が398.0kA/mを超えると、磁気ヘッドによる記録が困難になる傾向がある。また、長手方向の角形(Br面内長手/Bm面内長手)は、0.6〜0.9が好ましく、0.8〜0.9がより好ましい。ただし、短波長出力を優先させる場合には、角形が0.5程度の無配向テープを作製してもよい。また、短波長出力を特に必要とする用途では、窒化鉄系磁性粉末を垂直配向することもできる。この場合、垂直方向の保磁力は、159.2〜398.0kA/mが好ましく、159.2〜318.4kA/mがより好ましい。長手配向と同様に、垂直方向の保磁力が159.2kA/m未満では、短波長記録において反磁界減磁により出力が低下する傾向がある。また、垂直方向の保磁力が398.0kA/mを超えると、磁気ヘッドによる記録が困難になる傾向がある。また、垂直方向の角形(Br垂直/Bm垂直)は、0.5〜0.8が好ましく、0.55〜0.75がより好ましい。
さらに、飽和磁束密度と厚さとの積は、配向方向に関わりなく0.001〜0.1μTmが好ましく、0.0015〜0.05μTmがより好ましい。前記積が0.001μTm未満では、MRヘッドを使用した場合に再生出力が小さくなる傾向がある。一方、前記積が0.1μTmを超えると、短波長領域で出力が低下する傾向がある。また、磁性層の平均表面粗さ(Ra)は1.0〜3.2nmが好ましい。上記範囲であれば、再生用ヘッドにGMRヘッド等の高感度ヘッドを使用した場合に、磁性層と再生用ヘッドとの良好なコンタクトを確保することができ、再生出力を向上することができる。
また、本実施の形態の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に下塗り層を有してもよい。下塗り層の厚さは、0.1〜3.0μmが好ましく、0.15〜2.5μmがより好ましい。下塗り層の厚さが0.1μm未満では、耐久性が劣化する傾向がある。下塗り層の厚さが3.0μmを超えると、磁気記録媒体の全厚が厚くなるため、1巻当りのテープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなる傾向がある。
下塗り層は、塗料粘度や剛性の制御を目的に、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウムなどの非磁性粉末;γ−酸化鉄、Co−γ−酸化鉄、マグネタイト、酸化クロム、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Co合金、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ni−Cu系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライトなどの磁性粉末を含んでもよい。これらは単独または複数混合して用いてもよい。また、下塗り層は、磁性層に導電性及び表面潤滑性を付与するために、カーボンブラック及び潤滑剤を含有することが好ましい。このようなカーボンブラック及び潤滑剤としては、磁性層と同様のものを使用することができる。下塗り層に使用される結合剤としては、上記の磁性層で使用される結合剤と同様の樹脂を使用することができる。
本実施の形態の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層が設けられている面と反対面にバックコート層を有してもよい。バックコート層の厚さは、0.2〜0.8μmが好ましく、0.3〜0.8μmがより好ましい。バックコート層は、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックを含有することが好ましい。バックコート層の結合剤としては、磁性層に用いられる樹脂と同様の樹脂を用いることができる。これら中でも、摩擦係数を低減し走行性を向上するため、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂との併用が好ましい。
本実施の形態の磁気記録媒体は、窒化鉄系磁性粉末が高充填された磁性層を形成しても低ノイズ化が可能であるため、GMRヘッド等の8%以上の高い磁気抵抗比を有する高感度ヘッドを備えた磁気記録再生システムに好適に用いることができる。そして、本実施の形態の窒化鉄系磁性粉末は、外層部の厚さを厚くすることにより保磁力などの磁気特性が若干低下するが、上記のような高感度ヘッドを備えた磁気記録再生システムであれば、そのような磁気特性の低下を補償することができ、出力の低下を抑えることができる。このため、このような読み出しヘッドを有する磁気記録再生システムに本実施の形態の磁気記録媒体を適用すれば、高いSNRを得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。なお、以下において、「部」とあるのは「質量部」を意味する。
実施例1
[窒化鉄系磁性粉末の製造]
マグネタイト粉末10部を出発原料として、500部の水に超音波分散機を用いて30分間分散させた。分散液の温度を30℃に維持しながら、分散液に硝酸イットリウム及びアルミン酸ナトリウムを分散させた溶液を添加速度0.08g/hr・1gで添加し、さらにpH7〜8になるように水酸化ナトリウム水溶液を添加して、粉末表面にイットリウムの水酸化物とアルミニウムの水酸化物をマグネタイト表面に形成した。このとき最終の磁性粉末において、Al/Fe及びY/Feの比率がそれぞれ20原子%及び2原子%になる当量分添加した。その後分散液を水洗、ろ過し、ろ過物を空気中110℃で乾燥して、被着元素を有するマグネタイト粉末を得た。
上記のようにして得られた被着元素を有するマグネタイト粉末を、水素気流中、450℃で2時間加熱還元した後冷却して、鉄系金属粉末を形成した。次に水素ガスを流した状態で、約1時間かけて150℃まで冷却した。温度が150℃に到達した時点で、水素ガスからアンモニアガスに切り替え、温度を150℃に保った状態で、30時間窒化処理を行った。その後、アンモニアガスを流した状態で、150℃から100℃まで冷却した。温度が100℃に到達した時点で、アンモニアガスから酸素と窒素との混合ガスに切り替え、2時間安定化処理を行った。ついで、混合ガスを流した状態で、100℃から30℃まで冷却し、窒化鉄系磁性粉末を空気中に取り出した。
次に上記のようにして作成したFe16を主成分とする窒化鉄粒子を再還元する。作成した窒化鉄粒子を水素と窒素との混合ガス中に導入し、水素濃度を7vol%、温度140℃、処理時間200minとして還元処理を行った。
このように作成した複合層の周辺領域を、酸素−窒素混合ガスを用いて、酸素濃度1vol%、酸化温度80℃、酸化時間は80minで緩やかに酸化させ、最表層に酸化物層を形成した。
上記のようにして製造した窒化鉄系磁性粉末について、以下の評価を行った。表1にこれらの結果を示す。
〔形状、平均粒径、及びコア部の平均径〕
窒化鉄系磁性粉末50個を高分解能分析透過電子顕微鏡により観察して、磁性粉末径の平均値dを求めた。測定条件は、倍率10万倍、電子線加速電圧200kVとした。なお、粉末およびコア部が楕円体状などの異方性の形状を有する場合、それぞれの最長径を粒径とした。
〔結晶相とコアの粒子径〕
窒化鉄系磁性粉末の単色光を用いたX線回折パターンを測定し、結晶相の主相を確認した。コアの粒子径dnは、Fe16の(422)面からの回折ピークの半値幅より算出した。
〔磁気特性〕
窒化鉄系磁性粉末の保磁力及び飽和磁化量σs(emu/g)を振動試料型磁力計(VSM)で測定した。測定条件は、最大印加磁場を2,030kA/m、磁場掃引速度を80kA/m/分とした。
中層部を含む粒の径dfは、磁性粉の飽和磁化σsとTEM観察像より得られた全粒子直径dより、以下の式から算出した。
σs=σf・df/d
ここでσf=210(emu/g)とした。
次に上記で製造した窒化鉄系磁性粉末を用いて、磁気テープを製造した。
[磁気テープの製造]
(磁性塗料の調製)
上記で製造した各窒化鉄系磁性粉末を用い、下記の表2に示す組成を有する磁性塗料成分(1)をニーダで混練した後、混練物をサンドミルを用いて分散処理を行い(滞留時間:60分)、得られた分散液に下記表3に示す組成を有する磁性塗料成分(2)を加え、撹拌し、ろ過して磁性塗料を調製した。
磁性塗料成分(1) 量
上記で製造した窒化鉄系磁性粉末 100部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合樹脂(含有−SONa基:0.7×10−4当量/g) 12部
ポリエステルポリウレタン樹脂(含有−SO3Na基:1.0×10−4当量/g) 7部
α−アルミナ(平均粒径:80nm) 10部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 1.5部
ミリスチン酸 1.5部
メチルエチルケトン 133部
トルエン 100部

磁性塗料成分(2) 量
ステアリン酸 1.5部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製の「コロネートL」)
5部
メチルエチルケトン 133部
トルエン 33部
(下塗り層塗料の調製)
下記表4の下塗り層塗料成分をニーダで混練した後、混練物をサンドミル(滞留時間:60分)で分散し、得られた分散液にポリイソシアネート6部を加え、撹拌し、ろ過して、下塗り層塗料を調製した。
下塗り層塗料成分 量
酸化鉄粉末(平均粒径:55nm) 70部
α−アルミナ(平均粒径:80nm) 10部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 20部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合樹脂(含有−SONa基:0.7×10−4当量/g) 10部
ポリエステルポリウレタン樹脂(含有−SONa基:1.0×10−4当量/g) 5部
メチルエチルケトン 130部
トルエン 80部
シクロヘキサノン 65部
ミリスチン酸 1部
ステアリン酸ブチル 1.5部
(バックコート層塗料の調製)
下記のバックコート層塗料成分を、サンドミルで分散処理(滞留時間:45分)を行い、得られた分散液にポリイソシアネート8.5部を加え、撹拌し、ろ過して、バックコート層塗料を調製した。
バックコート層塗料成分 量
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 40.5部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 0.5部
硫酸バリウム 4部
ニトロセルロース 28部
ポリウレタン樹脂(−SO3Na基含有) 20部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
シクロヘキサノン 100部
(磁気テープの作製)
まず、上記の下塗り層塗料を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの非磁性支持体上に、乾燥及びカレンダ処理後の厚さが1μmとなるように塗布して下塗り層を形成し、この下塗り層上に、さらに、乾燥及びカレンダ処理後の厚さが80nmとなるように上記の磁性塗料を塗布し、長手方向に配向処理を行いながら、乾燥し、下塗り層及び磁性層を形成した。
次に、上記のバックコート層塗料を、非磁性支持体の磁性層が形成された面の反対面に、乾燥及びカレンダ処理後の厚さが700nmとなるように塗布し、乾燥して、バックコート層を形成した。
上記のように非磁性支持体の片面に非磁性層、及び磁性層を、他面にバックコート層を形成した磁気シートを、5段カレンダ(温度:70℃、線圧:150kg/cm)で鏡面化処理し、これをシートコアに巻いた状態で、60℃,40%RH下、48時間エージングした。その後、磁気シートを1/2インチ幅に裁断し、磁気テープを作製した。
実施例2
アルミニウムの添加量をAl/Feで15原子%に、窒化時間を36時間に、再還元時間を240分に、酸化時間を110分に変更した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作成した。
実施例3
再還元時間を240分に変更した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作成した。
実施例4
再還元時間を160分に変更した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作成した。
実施例5
酸化時間を65分に変更した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作成した。
実施例6
再還元時間を240分に、酸化時間を110分に変更した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作成した。
実施例7
再還元時間を240分に、酸化時間を55分に変更した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作成した。
比較例1
再還元時間を120分に変更した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作成した。
比較例2
再還元時間を250分に変更した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作成した。
比較例3
酸化時間を45分に変更した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作成した。
比較例4
酸化時間を110分に変更した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作成した。このとき金属鉄中間層は消失した。
上記のようにして作製した各磁気テープについて、以下の磁気特性と電磁変換特性を評価した。表1にこれらの結果を示す。
〔磁気特性〕
磁気テープの保磁力に伴う保磁力分布Haを振動試料型磁力計(VSM)で測定した。測定条件は、最大印加磁場を1,270kA/m、磁場掃引速度を80kA/m/分とした。
〔電磁変換特性〕
電磁変換特性の評価には、記録ヘッドとしてMIG(Metal−In−Gap)ヘッド(トラック幅:12μm,ギャップ長:0.15μm,Bs:1.2T)と、再生ヘッドとしてスピンバルブタイプのGMRヘッド(トラック幅:2.5μm,SH−SH幅:0.15μm)とが装着されたドラムテスターを用いた。このドラムテスターの回転ドラムにバルク消磁機によりAC消磁した磁気テープを巻きつけ、3.4m/sの相対速度で磁気テープを走行させながら、スペクトルアナライザを使用して帯域0.05〜20MHzのブロードバンドAC消磁ノイズ(Nac)を測定した。なおノイズは比較例1のそれらを−7.5dBとした相対値で評価した。
Figure 2011096312
Figure 2011096312
上記表1に示すように、実施例の磁気テープは狭い保磁力分布と低消磁ノイズを両立していることが分かる。
これに対して、表2の比較例1の磁気テープではdfが大きく保磁力分布を狭くできているが、dnが大きいため消磁ノイズが高い。比較例2ではdnが6.0nmを下回ると磁性粉は超常磁性となってしまい、磁気記録が不可能となる。比較例3ではdfが大きいためHaが小さくできているが、ここまで大きくなるとノイズ増加を招いてしまう。
本発明における窒化鉄系磁性粉の構成である。

Claims (2)

  1. Fe16相を主相とする窒化鉄を含有するコア部と、金属鉄を含有する中層部と、酸化鉄を含有する外層部とを有する粒状ないし楕円体状の窒化鉄系磁性粉末であって、
    前記窒化鉄を含有するコア部の平均径dnが6〜10nm、
    前記窒化鉄を含有するコア部と前記金属鉄を含有する中層部をあわせた部分の平均径dfが7〜14nmであることを特徴とする窒化鉄系磁性粉末。
  2. 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に、少なくとも請求項1に記載の窒化鉄系磁性粉末及び結合剤を含有する磁性層とを有する磁気記録媒体。
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