JP2011129172A - 窒化鉄系磁性粉末、及びそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】GMRヘッド等の高感度ヘッドを有するシステムに用いた場合に、高いSN比と優れた耐候性を両立する、塗布型の高密度磁気記録媒体用強磁性粉及び高密度磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】Fe16相を主相とする窒化鉄を含有する粒状ないし楕円体状の窒化鉄系強磁性粉末であって、該強磁性磁性粉の表面が少なくとも一層の酸化防止層で覆われ、該酸化防止層が超常磁性状態の磁性層であり、該酸化防止層の厚みが1〜5nmの範囲であることを特徴とする窒化鉄系強磁性粉末、で前記強磁性粉末の酸化防止層が金属Coであることを特徴とする、請求項1記載の窒化鉄系強磁性粉末、及び可撓性支持体と、前記可撓性支持体上に少なくとも請求項1及びまたは請求項2に記載の窒化鉄系磁性粉末、及び結合剤を含有する磁性層とを有する磁気記録媒体は、GMRヘッド等の高感度ヘッドを有する磁気記録再生システムに適用した場合でも、高いSN比と優れた耐候性を両立する。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗布型の磁気記録媒体に用いられる窒化鉄系磁性粉末、及びその窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気記録媒体に関する。特に本発明は、GMRヘッド等の高感度ヘッドを有するシステムに用いた場合に、高いSN比と優れた耐候性を両立する高密度磁気記録媒体に関する。
非磁性支持体上に磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層が形成された塗布型の磁気記録媒体は、アナログ方式からデジタル方式への記録再生方式の移行に伴い、一層の記録密度の向上が要求されている。特に、高密度デジタルビデオテープやコンピュータバックアップテープなどにおいては、この要求が年々高まってきている。
記録密度の向上に不可欠な短波長記録に対応するためには、短波長領域における再生SN比を向上させる必要がある。このためには再生出力の向上とノイズの低減の両者を行わなければならない。特にコンピュータ用データ記録システムにおいては、記録情報の再生を行う際に用いる再生ヘッドとして、従来の誘導型ヘッドに代わり、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)が採用されてきているが、最近はさらに高感度の巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)やトンネル磁気抵抗効果型磁気ヘッド(TMRヘッド)等の高感度ヘッド(以下総称してGMRヘッド等という)の適用が検討されてきている。このようなGMRヘッド等の高感度ヘッドは8%以上の磁気抵抗比を有しており、MRヘッドの磁気抵抗比に比べて高い。このような高感度ヘッドを使用したシステムにおいては、電気回路に起因するノイズの大幅な低減が可能であることから、磁気記録媒体に由来する媒体ノイズがシステムのSN比を支配する。従って低ノイズ化を図る方が、よりSN比の向上に対して有効になってきている。
塗布型の磁気記録媒体における媒体ノイズは、記録ビット内に存在する磁性粉末の個数が多くなるほど低くなる。このためノイズの低減には磁性粉末の微粒子化を行い、微粒子の磁性粉末を使用することで、記録ビット内の磁性粉末を増加させ、媒体ノイズ低減を実現する。同様に再生出力向上のためには磁性粉末の充填性を向上させ、磁束密度を向上させることが有効である。また磁性粉末の高保磁力化により短波長記録時の減磁を低減することも、これまで検討されてきている。
例えば高密度磁気記録テープに使用されている針状の磁性粉末においては、45nm程度の長軸長を有し、238.9kA/m程度の高保磁力を有する金属鉄系磁性粉末が実現されている(特許文献1〜3)。しかしながら、上記のような針状の磁性粉末を用いる磁気記録媒体においては、上記長軸長からのさらに大幅な微粒子化は困難になってきている。これは、針状の金属鉄系磁性粉末はその形状を針状とすることによる形状磁気異方性に基づき高保磁力を発現しており、それゆえ微粒子化に伴い必然的に針状比(長軸長/短軸長)が小さくなり、保磁力が低下するためである。
そこで、上記針状の磁性粉末とは全く異なる磁性粉末として、Fe16相を主相として含む窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気記録媒体が提案されている(特許文献4)。Fe16は正方晶の結晶構造を反映して一軸磁気異方性(結晶異方性)を有しており、これによって保磁力が発現される。このような窒化鉄系磁性粉末でも、磁気特性の改善による高出力化と同時に微粒子化の必要があるが、結晶異方性の場合球状の磁性粉においても高い保磁力を保つことが出来るので、微粒子化が容易であるという特徴を持っている。
上記観点から発明者らは、Fe16相を主として含有するコア部と、希土類元素、Al、及びSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を主として含有する外層部とを有し、5〜50nmの平均粒径を有する窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気記録媒体を先に提案した(特許文献5)。上述のようにこの窒化鉄系磁性粉末は結晶磁気異方性を有するため、微粒子でありながら高保磁力と適度な飽和磁化とを有し、また従来の針状の磁性粉末と異なり粒状ないし楕円体状の形状を有するため、磁性層を形成したときに磁性粉末が高充填されやすいという特徴を有している。このため粒子性ノイズを下げつつ高い再生出力を得ることが出来、高SN比が実現できるという利点を有している。
特開平3−49026号公報 特開平10−83906号公報 特開平10−340805号公報 特開2000−277311号公報 特開2004−273094号公報 特開2007−335592号公報 特開2008−248367号公報
しかしながら、この窒化鉄系磁性粉末は高い保磁力を有しつつ微粒子化が実現できるものの、耐食性が酸化物系磁性粉末より劣るという欠点がある。耐食防止のために磁性粉末の周囲に酸化防止層を設けることが一般には行われているが、粒径と耐食性との間にはトレードオフの関係があると考えられており、耐食性を向上させるために酸化防止層を厚くすると粒径が大きくなってしまう。この場合粒径の上昇に伴い粒子性ノイズが大きくなって、SN比を高めることが出来ないといった問題がある。このような窒化鉄系磁性粉末を高密度記録媒体に使用するには、粒径と耐食性の関係を最適化する必要がある。
窒化鉄系磁性粉において粒径と耐食性とのトレードオフを解決する手段として、窒化鉄層と酸化物層の中間に金属鉄層を挿入した磁性粉の提案がなされている(特許文献6)。これによって耐食性と粒径とのバランスを取ることに成功している。しかしこの発明をもってしても、窒化鉄の耐食性を完全に解決することは出来なかった。
ところで薄膜磁気記録媒体においては、磁性粒微粒化のために異方性磁界を高めることと、ヘッド書き込み能力に応じた適正に低い保磁力化を両者同時に実現しなければならないが、この高異方性磁界と保磁力低減にはトレードオフの関係がある。これを解決する手段として、ハイブリッド磁性膜の提案がなされている。これは保磁力の高い膜(強磁性層)と保磁力の低い膜(軟磁性層)を隣接して設けることで複合的な効果が得られ、磁気特性と粒径とのバランスを取ることに成功している。
微粒子磁性粉においても同様のトレードオフ関係が存在するが、FePt系微粒子の表面にCo層を設けることでこのバランスを図る提案がなされている(特許文献7)。しかしこの発明の目的は耐食性向上にはなく、さらに窒化鉄や金属鉄などの反応性の高い微粒子磁性粉にはそのまま適応できる提案ではなかった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は微粒子の窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気記録媒体をGMRヘッド等の高感度ヘッドを備える磁気記録再生システムに適用した場合でも、低ノイズ化による優れたSN比を有することと、耐食性の両立を図ることができ磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、コア部を高保磁力のFe16が主層である窒化鉄とし、酸化防止層として超常磁性もしくは軟磁性のCoを含有する磁性層とを複合した窒化鉄系磁性粉末を用いて、各部および層の粒径および厚みを適正に制御することによって、耐食性と低ノイズの両立が図れることを見いだした。本発明における窒化鉄系磁性粉の構成を図1に示す。
本発明は以上の知見をもとにして完成されたものである。すなわち本発明は、Fe16相が主相である強磁性窒化鉄を含有するである窒化鉄をコア部とする粒状ないし楕円体状の窒化鉄系強磁性粉末であって、該強磁性粉末は少なくとも一層の酸化防止層を有し、該酸化防止層がCoを含有する超常磁性層もしくは軟磁性層からなり、該酸化防止層の厚みが1〜5nmの範囲であることを特徴とする窒化鉄系強磁性粉末(請求項1)と、可撓性支持体と、前記可撓性支持体上に少なくとも請求項1及びまたは請求項2に記載の窒化鉄系磁性粉末、及び結合剤を含有する磁性層とを有する磁気記録媒体(請求項2)に関わるものである。
上記窒化鉄系磁性粉末は、酸化防止層の厚みが1〜5nmと規定されており、この範囲にある場合、酸化防止層が存在せず、窒化鉄が最表面もしくは酸化物層と接する磁性粉末に比べて、酸化防止層を構成するCoの化学的安定性のため格段に耐食性が向上できる。またこの厚み範囲の酸化防止層はその原子状態が金属または酸化物であるにかかわらず超常磁性もしくは軟磁性を示すので、窒化鉄の強磁性を阻害することは無い。
さらに本発明は、非磁性支持体上に上記の窒化鉄系磁性粉末及び結合剤を含有する磁性層を有する磁気記録媒体である。上記窒化鉄系磁性粉末を用いることで、高い耐食性とともに1ビット中の粒子個数が多い磁気記録媒体を得ることが出来、この磁気記録媒体により優れたSN比が実現できる。
以上のように本発明によれば、微粒子の窒化鉄系磁性粉末を用いた磁気記録媒体をGMRヘッド等の高感度ヘッドを備える磁気記録再生システムに適用した場合でも、低ノイズ化による優れたSN比を有することと、耐食性の両立を図ることができ磁気記録媒体を提供することができる。
従来、微粒子の窒化鉄系磁性粉末を使用した場合には、外層に酸化防止用の非磁性層を形成するため、1磁性粉あたりの強磁性層の割合が小さくなってしまう。しかし磁性粉を小さくしなければ磁気記録媒体のノイズは下がらず、磁性粉の耐食性と粒子径の間両者にはトレードオフの関係がある。
磁性粉末間の磁気的な特性は強磁性及び常磁性を含む全ての磁性成分に依存している。しかし磁性粉末を適切に形成することにより、常磁性の磁化が強磁性の磁化と一体となって振る舞うようにすることが出来ることが分かってきた。従って同一の磁性粉末中で耐食性の高い磁性層を導入することによって、上記のような磁気特性と耐食性のトレードオフが解決することが出来る。
上記観点から本発明者等は、Fe16相を主相とする強磁性の窒化鉄を含有するコア部と、この強磁性粉末の外側が、酸化防止層であるCo含有磁性層(超常磁性層もしくは軟磁性層)で覆われた、粒状ないし楕円体状の窒化鉄系磁性粉末を用いることで、耐食性とノイズ低減の両立がはかれることがわかった。該酸化防止層の厚みdは1〜5nm、コア部の平均径dnは6〜20nmであることが好ましい。
窒化鉄を含有するコア部の平均径dnが6〜20nmであれば、磁気記録に必要な保磁力を保ちつつ、かつ媒体にしたときのノイズを下げることが出来る。dnが6nmより小さくなった場合保磁力が200kA/mを下回り、自己減磁が現れてきて高密度記録には不適切になる。逆にdnが20nmを超えると強磁性粉末の粒子径が大きくなるため記録媒体にしたときの粒子性ノイズが大きくなり、高密度記録に必要なS/N比を確保することが出来なくなる。
Co含有磁性層からなる酸化防止層の厚みdが1〜5nmであれば、コア部の耐食性を保ちつつ、かつ磁性粉末の磁気特性を均一な強磁性状態にすることが出来る。dが1nmより小さくなった場合コア部の耐食性劣化を引き起こしてしまい、長期保存が必要である記録媒体としては不適切になる。逆にdが5nmを超えると酸化防止層に含まれるCo含有層とコア部に含まれる強磁性窒化鉄の磁化がバラバラに振る舞うことが発生してしまい、磁気特性的には保磁力分布が広がり、これによって高密度磁気記録の実現が出来なくなる。
上記のような層構造を形成するためには、まず全てコア部となる強磁性窒化鉄と同一の粒子を作成し、この窒化鉄を有機溶剤中に分散させる。次にこの作成した溶液にCo含有磁性層前駆体を添加、Co含有磁性層形成温度で一定時間保持することにより、窒化鉄粒子の表面にCo含有磁性層を形成する。Co含有磁性層形成温度においてCo含有磁性層前駆体は熱分解反応をおこし、コア部の表面にCoを析出することでCo含有磁性層を形成する。このようにしてコア部が強磁性窒化鉄粒子、外側がCo含有磁性層からなる酸化防止層がCo含有磁性層である複合構造を得ることができる。
上記のコア部の大きさ、酸化防止層の厚みは正確に測定する必要がある。磁性粉末全体の大きさ評価は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察像を用いて平均粒子径を算出する。しかし本発明のように強磁性窒化鉄−Co含有磁性層からなる複合微粒子の各層を観察像で分離することは困難である。従って本発明においては、コア部の平均径dn及び酸化防止層の厚みdを以下のようにして求めた。
コア部の粒子系dnは、単色光を用いた粒子粉末のX線回折法(デバイ−シェーラー法)の結果から求めた。回折像の半値幅が、結晶の大きさに相当すること(シェーラーの方法)より算出した。今回はFe16の(422)面からの回折ピークを用いた。これは低角の(101)面や(110)面からのピークは金属鉄のピークと重なり分離が出来ないのに対して、(422)ピークが金属鉄のピークと重ならないことによる。酸化防止層の厚みはTEM観察より算出した平均粒子径と先に求めたdnより算出した。
本実施の形態において、コア部には、Fe16相以外にFe相、FeN相、FeN相、α−Fe相などの他の結晶相を含んでいてもよい。このような他の結晶相を含有させることにより、保磁力を調整することも可能である。また窒化鉄中のFeは、耐食性を向上させるためにCoなどの遷移金属で置換されていてもよい。
さらに、Co含有磁性層からなる酸化防止層の外層部にYやAlを含む非磁性層が設けられていても良い。この非磁性層はこれらの元素とともに他の被着元素を併用してもよい。このような被着元素としては、特許文献5と同様の希土類元素、アルカリ土類金属元素、Si、B、Pなどが挙げられる。ただし、これらの被着元素の含有量が多すぎると非磁性の厚みが不均一となるため、Feに対し合計で0.2〜2原子%が好ましい。
次に、本実施の形態の窒化鉄系磁性粉末を製造するための好適な製造方法について説明する。
出発原料には、鉄系酸化物または鉄系水酸化物が用いることが好ましい。このような鉄系酸化物、鉄系水酸化物としては、具体的には、例えば、ヘマタイト、マグネタイト、ゲーサイトなどが挙げられる。出発原料の平均粒径は、特に限定されないが、5〜25nm程度が好ましい。平均粒径が小さすぎると、還元処理時に粒子間焼結が生じやすい傾向がある。平均粒径が大きすぎると、還元処理が不均質となりやすく、得られる窒化鉄系磁性粉末の平均粒径や磁気特性の制御が困難となる傾向がある。
本実施の磁性粉末の外層部にY、及びAlを含有させるために、上記出発原料に対してこれらの被着元素を有する化合物を被着させてもよい。このような被着処理を行うことにより、これらの元素を有する酸化物などの化合物を含有する外層部でコア部等を被覆することができる。これらの被着元素を有する化合物としては、これらの元素を有する水酸化物、硝酸塩、硫酸塩などが挙げられる。
これらの化合物の出発原料への添加量は、添加元素がY、及びAlの場合には、出発原料中の全Fe量に対して、Y/Fe原子比で0.05〜3.0原子%が好ましく、Al/Fe原子比で2〜30原子%が好ましい。ただし、出発原料内のY、及びAlの添加量が多すぎると、コア部の窒化鉄の形成が阻害されやすくなる。
被着処理は、例えば、アルカリまたは酸の水溶液中に出発原料を分散させ、これに上記の元素を有する化合物を含有する溶液を添加し、中和反応などにより出発原料である粉末にこれらの元素を含む水酸化物や水和物を沈殿析出させればよい。このときY及びAlを有する化合物を含有する溶液を調製し、これらの溶液の添加速度が出発原料1g当たり0.1g/hr以下となるように調整することが好ましい。添加速度が上記より速いと、外層部の厚みが不均一となりやすい。添加速度は遅いほど均一な被着が可能であるため好ましいが、生産性を考慮すれば添加速度は出発原料1g当たり、0.04g/hr以上が好ましい。
次に、上記のように作成した出発原料を水素気流中で還元処理する。還元処理における還元ガスは特に限定されず、水素ガス以外に、一酸化炭素ガスなどの還元性ガスを使用してもよい。還元処理温度は300〜600℃が好ましい。還元処理温度が300℃より低いと、還元反応が十分進まなくなる。還元処理温度が600℃より高いと、焼結が起こりやすくなる。
上記のような還元処理後、得られる鉄系磁性粉末に窒化処理を施すことにより、コア部にFe16相を含有し、外層部にY、及びAlを有する酸化物などの化合物を含有する窒化鉄系磁性粉末が得られる。窒化処理はアンモニアを含むガスを用いて行うのが望ましい。また、アンモニアガス単体のほかに、これに水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガスなどをキャリアーガスとした混合ガスを使用してもよい。窒素ガスは安価なため、特に好ましい。
窒化処理温度は100〜300℃が好ましい。窒化処理温度が低すぎると窒化が十分進まず、保磁力向上の効果が少ない。窒化処理温度が高すぎると、窒化が過度に促進され、FeN相やFeN相などの割合が増加し、保磁力が寧ろ低下し、また飽和磁化の過度な低下を引き起こしやすい。窒化処理に際しては、鉄に対する窒素の含有量が1〜20原子%となるように、窒化処理の条件を選択することが望ましい。窒素の量が少なすぎると、Fe16相の生成量が少なくなり、保磁力向上の効果が少なくなる。また窒素の量が多すぎると、FeN相やFeN相などが形成されやすくなり、保磁力が寧ろ低下し、また飽和磁化の過度な低下を引き起こしやすい。
次に上記のようにして作成した、Fe16を主相とする強磁性窒化鉄粒子上にCo含有磁性層からなる酸化防止層を形成する。上記窒化鉄粒子を有機溶媒中に分散剤を用いて分散させ、この溶液を用いてCo含有磁性層の形成を行う。 有機溶媒としては、形成反応を阻害せずかつ層形成温度で沸騰や熱分解しないものが適しており、n−オクチルエーテルなどを用いることが出来る。分散剤としてはオレイン酸やオレイルアミンなどが好ましい。オレイン酸やオレイルアミンは350℃程度までの温度に対して安定であり、層形成温度200℃において沸騰も熱分解もせず、層形成反応を阻害しない。
上記の窒化鉄溶液に、Co含有磁性層前駆体を添加し層形成温度に保持する。Co含有磁性層前駆体としては、例えばCo(CO)NOなどの化合物を用いる。この熱処理により窒化鉄強磁性粉末の表面にCo含有磁性層を形成する。熱処理の方法は特に限定されるものではないが、一般的な方法で層形成温度を100〜200℃するのが適している。この操作の繰り返し回数によってCo含有磁性層の厚さを制御することができる。
このように形成した強磁性窒化鉄−Co含有磁性層複合磁性粉末の周辺領域を緩やかに酸化させ、最外層部に徐酸化層を形成すことができる。酸化には例えば酸素−窒素混合ガスを用いることできる。この場合気体酸素濃度は0.01〜2vol%が好ましく、酸化温度は40〜120℃が好ましく、酸化時間は5〜120minが好ましい。
上記のようにして製造される窒化鉄系磁性粉末大きさは上記したような範囲が好ましいが、さらにその保磁力は119.4〜318.5kA/mが好ましく、飽和磁化は39〜160Am/kgが好ましい。上記のような高保磁力、高飽和磁化の窒化鉄系磁性粉末を用いることにより、短波長記録において高いS/N比を得ることができる。
本実施の形態の磁気記録媒体は、上記した窒化鉄系磁性粉末と結合剤とを溶剤中に分散混合した磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布し、乾燥して磁性層を形成することにより作製できる。
非磁性支持体としては、従来から使用されている磁気記録媒体用の非磁性支持体を使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミドなどからなる厚さが通常2〜15μm、特に2〜7μmのプラスチックフィルムが用いられる。
磁性層に用いられる結合剤としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、及びポリウレタン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。塩化ビニル系樹脂としては、具体的には、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン系樹脂との併用が好ましく、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂とポリウレタン系樹脂との併用がより好ましい。また、これらの結合剤は、窒化鉄系磁性粉末の分散性を向上し、充填性を上げるために、官能基を有するものが好ましい。このような官能基としては、具体的には、例えば、COOM、SOM、OSOM、P=O(OM)、O−P=O(OM)(Mは水素原子、アルカリ金属塩またはアミン塩)、OH、NR、NR(R、R、R、R及びRは、水素または炭化水素基であり、通常その炭素数が1〜10である)、エポキシ基などを挙げることができる。2種以上の樹脂を併用する場合、官能基の極性が一致した樹脂を用いるのが好ましく、中でも、−SOM基を有する樹脂の組み合わせが好ましい。これらの結合剤は、窒化鉄系磁性粉末100質量部に対して、7〜50質量部、好ましくは10〜35質量部の範囲で用いられる。特に塩化ビニル系樹脂5〜30質量部と、ポリウレタン系樹脂2〜20質量部との併用が好ましい。
また、上記の結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合し架橋構造を形成する熱硬化性の架橋剤を併用することが好ましい。このような架橋剤としては、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物、イソシアネート化合物とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有する化合物との反応生成物、イソシアネート化合物の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートを挙げることができる。架橋剤は、結合剤100質量部に対して、通常10〜50質量部の範囲で用いられる。
磁性層は、導電性、表面潤滑性、耐久性などの特性の向上を目的に、カーボンブラック、潤滑剤、非磁性粉末などの添加剤を含有してもよい。カーボンブラックとしては、具体的には、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどを使用することができる。カーボンブラックの含有量は、窒化鉄系磁性粉末100質量部に対して、0.2〜5質量部が好ましい。潤滑剤としては、具体的には、例えば、10〜30の炭素数を有する脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどを使用することができる。潤滑剤の含有量は、窒化鉄系磁性粉末100質量部に対して、0.2〜3質量部が好ましい。非磁性粉末としては、具体的には、例えば、アルミナ、シリカなどを使用することができる。非磁性粉末の含有量は、窒化鉄系磁性粉末100質量部に対して、1〜20質量部が好ましい。
磁性塗料は、窒化鉄系磁性粉末及び結合剤と、必要により他の添加剤とを溶剤と混合することにより調製される。溶剤としては、従来から磁性塗料の調製に使用されている有機溶剤を使用することができる。具体的には、例えば、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。磁性塗料の調製にあたっては、従来から公知の塗料製造工程を使用することができる。特に、ニーダなどによる混練工程と一次分散工程の併用が好ましい。一次分散工程では、サンドミルを使用すると、分散性が改善されるとともに、表面性状を制御できるので、望ましい。
磁性層の厚さは、長手記録の本質的な課題である減磁による出力低下を避けるために300nm以下の薄層が好ましく、10〜300nmがより好ましく、10〜250nmがさらに好ましく、10〜200nmが最も好ましい。磁性層の厚さが300nmを超えると、厚さ損失により再生出力が小さくなったり、残留磁束密度と厚さとの積が大きくなりすぎて、GMRヘッドなどの高感度な再生ヘッドを使用した場合に磁束の飽和による再生出力の歪が起こり易い。磁性層の厚さが10nm未満では、均一な磁性層が得られ難い。本実施の形態の磁性粉末は、平均粒径が20nm以下と極めて微粒子であり、粒状乃至楕円体状の形状を有するため、従来の針状磁性粉末ではほとんど不可能な極めて薄い磁性層も形成できる。
磁気テープの場合、磁性層の長手方向の保磁力は、159.2〜398.0kA/mが好ましく、159.2〜318.4kA/mがより好ましい。長手方向の保磁力が159.2kA/m未満では、短波長記録において反磁界減磁により出力が低下する傾向がある。一方、長手方向の保磁力が398.0kA/mを超えると、磁気ヘッドによる記録が困難になる傾向がある。また、長手方向の角形(Br面内長手/Bm面内長手)は、0.6〜0.9が好ましく、0.8〜0.9がより好ましい。ただし、短波長出力を優先させる場合には、角形が0.5程度の無配向テープを作製してもよい。また、短波長出力を特に必要とする用途では、窒化鉄系磁性粉末を垂直配向することもできる。この場合、垂直方向の保磁力は、159.2〜398.0kA/mが好ましく、159.2〜318.4kA/mがより好ましい。長手配向と同様に、垂直方向の保磁力が159.2kA/m未満では、短波長記録において反磁界減磁により出力が低下する傾向がある。また、垂直方向の保磁力が398.0kA/mを超えると、磁気ヘッドによる記録が困難になる傾向がある。また、垂直方向の角形(Br垂直/Bm垂直)は、0.5〜0.8が好ましく、0.55〜0.75がより好ましい。
さらに、飽和磁束密度と厚さとの積は、配向方向に関わりなく0.001〜0.1μTmが好ましく、0.0015〜0.05μTmがより好ましい。前記積が0.001μTm未満では、MRヘッドを使用した場合に再生出力が小さくなる傾向がある。一方、前記積が0.1μTmを超えると、短波長領域で出力が低下する傾向がある。また、磁性層の平均表面粗さ(Ra)は1.0〜3.2nmが好ましい。上記範囲であれば、再生用ヘッドにGMRヘッド等の高感度ヘッドを使用した場合に、磁性層と再生用ヘッドとの良好なコンタクトを確保することができ、再生出力を向上することができる。
また本実施の形態の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に下塗り層を有してもよい。下塗り層の厚さは、0.1〜3.0μmが好ましく、0.15〜2.5μmがより好ましい。下塗り層の厚さが0.1μm未満では、耐久性が劣化する傾向がある。下塗り層の厚さが3.0μmを超えると、磁気記録媒体の全厚が厚くなるため、1巻当りのテープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなる傾向がある。下塗り層は塗料粘度や剛性の制御を目的に、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウムなどの非磁性粉末、γ−酸化鉄、Co−γ−酸化鉄、マグネタイト、酸化クロム、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Co合金、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ni−Cu系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライトなどの磁性粉末を含んでもよい。これらは単独または複数混合して用いてもよい。また、下塗り層は、磁性層に導電性及び表面潤滑性を付与するために、カーボンブラック及び潤滑剤を含有することが好ましい。このようなカーボンブラック及び潤滑剤としては、磁性層と同様のものを使用することができる。下塗り層に使用される結合剤としては、上記の磁性層で使用される結合剤と同様の樹脂を使用することができる。
本実施の形態の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層が設けられている面と反対面にバックコート層を有してもよい。バックコート層の厚さは、0.2〜0.8μmが好ましく、0.3〜0.8μmがより好ましい。バックコート層は、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックを含有することが好ましい。バックコート層の結合剤としては、磁性層に用いられる樹脂と同様の樹脂を用いることができる。これら中でも、摩擦係数を低減し走行性を向上するため、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂との併用が好ましい。
本実施の形態の磁気記録媒体は、窒化鉄系磁性粉末が高充填された磁性層を形成しても低ノイズ化が可能であるため、GMRヘッド等の8%以上の高い磁気抵抗比を有する高感度ヘッドを備えた磁気記録再生システムに好適に用いることができる。そして、本実施の形態の窒化鉄系磁性粉末は、Co含有層を用いるため保磁力や飽和磁化などの磁気特性が窒化鉄から変化することなく、上記のような高感度読み出しヘッドを有する磁気記録再生システムに本実施の形態の磁気記録媒体を適用すれば、さらに高いSNRを得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。なお、以下において、「部」とあるのは「質量部」を意味する。
実施例1
[窒化鉄系磁性粉末の製造]
マグネタイト粉末10部を出発原料として、500部の水に超音波分散機を用いて30分間分散させた。分散液の温度を30℃に維持しながら、分散液に硝酸イットリウム及びアルミン酸ナトリウムを分散させた溶液を添加速度0.08g/hr・1gで添加し、さらにpH7〜8になるように水酸化ナトリウム水溶液を添加して、粉末表面にイットリウムの水酸化物とアルミニウムの水酸化物とを被着させた。このとき最終の磁性粉末において、Al/Fe及びY/Feの比率がそれぞれ20原子%及び2原子%になる当量分添加した。その後分散液を水洗、ろ過し、ろ過物を空気中110℃で乾燥して、被着元素を有するマグネタイト粉末を得た。
上記のようにして得られた被着元素を有するマグネタイト粉末を、水素気流中、430℃で1.5時間加熱還元した後冷却して、鉄系金属粉末を形成した。次に水素ガスを流した状態で、約1時間かけて150℃まで冷却した。温度が150℃に到達した時点で、水素ガスからアンモニアガスに切り替え、温度を150℃に保った状態で、30時間窒化処理を行った。その後、アンモニアガスを流した状態で、150℃から100℃まで冷却した。温度が100℃に到達した時点で、アンモニアガスから酸素と窒素との混合ガスに切り替え、2時間安定化処理を行った。ついで混合ガスを流した状態で、100℃から30℃まで冷却し、窒化鉄系磁性粉末を空気中に取り出した。
次に上記のようにして作成したFe16相を主成分とする強磁性窒化鉄磁性粉末100部と、分散剤としてのオレイン酸60部およびオレイルアミン60部を、n−オクチルエーテル1000部中に分散させ溶液とした。この溶液を120℃においてスターラーで攪拌しながら窒素ガスを30分間吹き込み、反応系の脱水と脱酸素を行った。この不活性状態の溶液にCo(CO)NOを35部加え、200℃まで昇温させた後30分保持した。このCo(CO)NO35部加え30分反応させる操作を4回繰り返し、Co含有磁性層を形成した。
このように作成した強磁性窒化鉄−Co含有磁性層複合磁性粉末の周辺領域を、酸素−窒素混合ガスを用いて、酸素濃度1vol%、酸化温度80℃、酸化時間は40minで緩やかに酸化させ、最外層に徐酸化層を形成した。
上記のようにして製造した各窒化鉄系磁性粉末について、以下の評価を行った。表1にこれらの結果を示す。
〔形状、平均粒径、及びコア部の平均径〕
窒化鉄系磁性粉末50個を高分解能分析透過電子顕微鏡により観察して、平均粒径を求めた。測定条件は、倍率10万倍、電子線加速電圧200kVとした。なお、粉末およびコア部が楕円体状などの異方性の形状を有する場合、それぞれの最長径を粒径とした。
〔結晶相とコアの粒子径〕
窒化鉄系磁性粉末の単色光を用いたX線回折パターンを測定し、結晶相の主相を確認した。コアの粒子径dnは、Fe16の(422)面からの回折ピークの半値幅を用いて、シェーラーの方法より算出した。
Co含有磁性層の厚みdは、コアの粒子径dnとTEM観察像より得られた全粒子直径より、以下の式から算出した。
d=(平均粒子径−dn)/2
〔磁気特性〕
窒化鉄系磁性粉末の保磁力及び飽和磁化量σs(emu/g)を振動試料型磁力計(VSM)で測定した。測定条件は、最大印加磁場を2,030kA/m、磁場掃引速度を80kA/m/分とした。また60℃90%RHに1週間上記磁性粉を保存したのちの飽和磁化量σs’から、耐食性の指標としてΔσsを以下の式で算出した。
Δσs(%)=(σs−σs’)/σs
次に上記で製造した窒化鉄系磁性粉末を用いて、磁気テープを製造した。
[磁気テープの製造]
(磁性塗料の調製)
上記で製造した各窒化鉄系磁性粉末を用い、下記の表2に示す組成を有する磁性塗料成分(1)をニーダで混練した後、混練物をサンドミルを用いて分散処理を行い(滞留時間:60分)、得られた分散液に下記表3に示す組成を有する磁性塗料成分(2)を加え、撹拌し、ろ過して磁性塗料を調製した。
磁性塗料成分(1) 量
上記で製造した窒化鉄系磁性粉末 100部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合樹脂 12部
(含有−SONa基:0.7×10−4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 7部
(含有−SONa基:1.0×10−4当量/g)
α−アルミナ(平均粒径:80nm) 10部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 1.5部
ミリスチン酸 1.5部
メチルエチルケトン 133部
トルエン 100部
磁性塗料成分(2) 量
ステアリン酸 1.5部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製の「コロネートL」) 5部
メチルエチルケトン 133部
トルエン 33部
(下塗り層塗料の調製)
下記表4の下塗り層塗料成分をニーダで混練した後、混練物をサンドミル(滞留時間:60分)で分散し、得られた分散液にポリイソシアネート6部を加え、撹拌し、ろ過して、下塗り層塗料を調製した。
下塗り層塗料成分 量
酸化鉄粉末(平均粒径:55nm) 70部
α−アルミナ(平均粒径:80nm) 10部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 20部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合樹脂 10部
(含有−SONa基:0.7×10−4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(含有−SONa基:1.0×10−4当量/g)
メチルエチルケトン 130部
トルエン 80部
シクロヘキサノン 65部
ミリスチン酸 1部
ステアリン酸ブチル 1.5部
(バックコート層塗料の調製)
下記表5のバックコート層塗料成分を、サンドミルで分散処理(滞留時間:45分)を行い、得られた分散液にポリイソシアネート8.5部を加え、撹拌し、ろ過して、バックコート層塗料を調製した。
バックコート層塗料成分 量
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 40.5部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 0.5部
硫酸バリウム 4部
ニトロセルロース 28部
ポリウレタン樹脂(−SONa基含有) 20部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
シクロヘキサノン 100部
(磁気テープの作製)
まず、上記の下塗り層塗料を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの非磁性支持体上に、乾燥及びカレンダ処理後の厚さが1μmとなるように塗布して下塗り塗料膜を形成し、この下塗り塗料膜上に、さらに、乾燥及びカレンダ処理後の厚さが80nmとなるように上記の磁性塗料を塗布し、長手方向に配向処理を行いながら、乾燥し、下塗り層及び磁性層を形成した。
次に、上記のバックコート層塗料を、非磁性支持体の磁性層が形成された面の反対面に、乾燥及びカレンダ処理後の厚さが700nmとなるように塗布し、乾燥して、バックコート層を形成した。
上記のように非磁性支持体の片面に非磁性層、及び磁性層を、他面にバックコート層を形成した磁気シートを、5段カレンダ(温度:70℃、線圧:150kg/cm)で鏡面化処理し、これをシートコアに巻いた状態で、60℃,40%RH下、48時間エージングした。その後、磁気シートを1/2インチ幅に裁断し、磁気テープを作製した。
実施例2
Co含有磁性層前駆体の被着回数を8回に変更した以外は実施例1と同様にして磁性粉末、磁気テープを作成した。
実施例3
Co含有磁性層前駆体の被着回数を12回に変更した以外は実施例1と同様にして磁性粉末、磁気テープを作成した。
実施例4
アルミニウムの添加量をAl/Feで25原子%に変更した以外は実施例2と同様にして磁性粉末、磁気テープを作成した。
実施例5
アルミニウムの添加量をAl/Feで16原子%に変更した以外は実施例2と同様にして磁性粉末、磁気テープを作成した。
実施例6
酸素−窒素混合ガスによる酸化時間を0分に変更した以外は実施例2と同様にして磁性粉末、磁気テープを作成した。
比較例1
Co含有磁性層前駆体の被着回数を1回に変更した以外は実施例1と同様にして磁性粉末を作成した。このとき作成された磁性粉末は活性が強く取り扱いが困難で、評価/磁気テープ作成が出来なかった。
比較例2
アルミニウムの添加量をAl/Feで23原子%に、Co含有層前駆体の被着をせず、酸素−窒素混合ガスによる酸化時間を60分に変更した以外は実施例1と同様にして磁性粉末、磁気テープを作成した。
比較例3
アルミニウムの添加量をAl/Feで13原子%に、Co含有層前駆体の被着をせず、酸素−窒素混合ガスによる酸化時間を200分に変更した以外は実施例1と同様にして磁性粉末、磁気テープを作成した。
比較例4
Co含有磁性層前駆体の被着回数を16回に変更した以外は実施例4と同様にして磁性粉末、磁気テープを作成した。
上記のようにして作製した各磁気テープについて、以下の磁気特性と電磁変換特性を評価した。表1、表2にこれらの結果を示す。
〔電磁変換特性〕
電磁変換特性の評価には、記録ヘッドとしてMIG(Metal−In−Gap)ヘッド(トラック幅:12μm,ギャップ長:0.15μm,Bs:1.2T)と、再生ヘッドとしてスピンバルブタイプのGMRヘッド(トラック幅:2.5μm,SH−SH幅:0.15μm)とが装着されたドラムテスターを用いた。このドラムテスターの回転ドラムにバルク消磁機によりAC消磁した磁気テープを巻きつけ、3.0m/sの相対速度で磁気テープを走行させながら、スペクトルアナライザを使用して帯域0.05〜20MHzのブロードバンドSNRを測定した。なお比較例2のSNRを0.0dBとした相対値で評価した。
Figure 2011129172
Figure 2011129172
比較例1では磁性粉末が活性で取り扱いが困難であり、評価/媒体化できなかった
上記表1、表2に示すように、実施例の磁気テープは△σsが小さく、高い耐食性と高SNRを両立していることが分かる。
これに対して、比較例1の磁性粉末は耐食性が極端に悪く、すぐに酸化してしまって磁気テープ作製に至れない。比較例2の磁気テープはSNRを確保することは出来ているが、耐食性が悪く実用に供することは出来ない。比較例3では酸化時間が長いため非磁性層が厚くなり、Co層無しでも耐食性が確保できる磁性粉末が出来ているが、粒径が大きくなってしまい磁気テープのSNRが極端に劣化する。比較例4ではCo層の常磁性が出現して磁性粉末の保磁力低下を招き、作成した磁気テープのSNR劣化を招いてしまう。
本発明における窒化鉄系磁性粉の構成である。

Claims (2)

  1. Fe16相が主相である窒化鉄をコア部とする粒状ないし楕円体状の窒化鉄系強磁性粉末であって、
    該強磁性粉末は少なくとも一層の酸化防止層を有し、
    該酸化防止層がCoを含有する超常磁性もしくは軟磁性層であり、
    該酸化防止層の厚みが1〜5nmの範囲であることを特徴とする窒化鉄系強磁性粉末。
  2. 可撓性支持体と、前記可撓性支持体上に少なくとも請求項1及びまたは請求項2に記載の窒化鉄系磁性粉末、及び結合剤を含有する磁性層とを有する磁気記録媒体。
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