JP2008108943A - 磁性粉末およびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】極めて粒子サイズが小さく、かつ球状ないし楕円状の形状であるにもかかわらず、高い保磁力を有する窒素含有磁性粉末、および、特に再生ヘッドに高感度ヘッドを使用する場合に、その窒素含有磁性粉末の特性を最大限に引き出して、飽和磁化を最適化することにより、出力対ノイズ比(SNR)において特に優れた特性を示す磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】少なくとも鉄および窒素を構成元素とし、かつ少なくともFe16N2 相を含む平均粒子サイズが10〜20nmの球状ないし楕円状の磁性粉末であって、さらに希土類元素、アルミニウムおよび/またはシリコンを含有し、159.2〜318.5A/m(2000〜4000Oe)の保磁力、および40〜79Am2/kg(40〜79emu/g)の飽和磁化を有する磁性粉末、およびそれを用いた磁気記録媒体。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも鉄および窒素を構成元素とし、かつ少なくともFe16N2 相を含む平均粒子サイズが10〜20nmの球状ないし楕円状の磁性粉末であって、さらに希土類元素、アルミニウムおよび/またはシリコンを含有し、159.2〜318.5A/m(2000〜4000Oe)の保磁力、および40〜79Am2/kg(40〜79emu/g)の飽和磁化を有する磁性粉末、およびそれを用いた磁気記録媒体。
【選択図】なし
Description
本発明は、少なくとも鉄と窒素を構成元素とする球状ないし楕円状の磁性粉末およびそれを用いた磁気記録媒体に関し、より詳しくは、デジタルビデオテープ、コンピユータ用のバックアップテープなどの超高密度記録に特に適している磁性粉末および磁気記録媒体に関する。
塗布型磁気記録媒体、すなわち、非磁性支持体上に、磁性粉末と結合剤を含有する磁性塗料を塗布して形成した磁性層を持つ磁気記録媒体は、記録再生方式がアナログ方式からデジタル方式へ移行するのに伴い、一層高い記録密度を有することが要求されている。この要求は、とくに、高記録密度用のビデオテープやコンピュータ用のバックアップテープなどにおいては、年々高まってきている。
記録密度の向上に不可欠な短波長記録に対応するために、記録時の厚み損失を小さくする必要があるが、そのために効果的な方法の1つは、磁性層の厚さを300nm以下、特に100nm以下にすることである。また、そのような高記録密度媒体に対応する再生用磁気ヘッドとしては、高出力が得られるMRヘッドが一般に用いられる。
また、ノイズ低減のため、年々、磁性粉末の微粒子化がはかられ、現在、粒子径が45nm程度の針状のメタル磁性粉末が実用化されている。さらに、短波長記録時の減磁による出力低下を防止するために、年々、保磁力が高くされ、鉄−コバルト合金化により238.9kA/m(3000Oe)程度の保磁力が実現されている(特許文献1(特に第4頁)、特許文献2(特に第3頁)および特許文献3(特に第2頁)参照)。
しかしながら、針状磁性粒子においては、保磁力が粒子の針状形状に基づく形状磁気異方性に基づいていることから、45nm程度からのさらに大幅な粒子サイズの減少は困難になってきている。
メタル磁性粒子では、耐酸化性を付与するために、一定厚さ以上の酸化物保護層を粒子表面に形成することが必要であるが、酸化物保護層を形成した針状メタル粒子を微粒子化すると、比表面積が著しく大きくなる結果、飽和磁化が著しく低下する。この比表面積の著しい増加を抑制するためには出来る限り針状比を小さくすることが有効である。ところが、針状比を小さくすると形状磁気異方性の低下により保磁力が著しく低下する。
このように、針状メタル磁性粒子には、微粒子化に伴う保磁力の低下という本質的な問題があり、微粒子化には限界がある。
メタル磁性粒子では、耐酸化性を付与するために、一定厚さ以上の酸化物保護層を粒子表面に形成することが必要であるが、酸化物保護層を形成した針状メタル粒子を微粒子化すると、比表面積が著しく大きくなる結果、飽和磁化が著しく低下する。この比表面積の著しい増加を抑制するためには出来る限り針状比を小さくすることが有効である。ところが、針状比を小さくすると形状磁気異方性の低下により保磁力が著しく低下する。
このように、針状メタル磁性粒子には、微粒子化に伴う保磁力の低下という本質的な問題があり、微粒子化には限界がある。
そこで、上記針状の磁性粉末とは全く異なる磁性粉末として、Fe16N2 相を主相としたBET比表面積が10m2/g以上の窒化鉄系磁性粉末を用いた媒体が提案されている(特許文献4(特に第3頁、図4)参照)。このFe16N2 相を主相としたBET比表面積が10m2/g以上の窒化鉄系磁性粉末は、高保磁力を有するが、粒子サイズが大きく高密度記録媒体には適さない。
一方、本発明者らにより希土類元素および/またはシリコン、アルミニウムの中から選ばれる少なくとも一つの元素と鉄および窒素を少なくとも構成元素とし、かつFe16N2 相を少なくとも含む平均粒子サイズが5〜50nmの粒状ないし楕円状の磁性粉末を用いた記録媒体が提案されている(特許文献5(特に第3頁、図2)参照)。この記録媒体は、磁性粉末が5〜50nmの微粒子で球状ないし楕円状でありながら高保磁力を有するため、高密度記録領域における高い出力と同時にノイズが低く、その結果、高い出力対ノイズ比(SNR)を示す。
特開平3−49026号公報
特開平10−83906号公報
特開平10−340805号公報
特開2000−277311号公報
特開2004−273094号公報
特許文献4は、実施例において、BET比表面積が10〜22m2/gの窒化鉄系磁性粉末を製造し、使用しているが、粒子サイズが大き過ぎて、低ノイズ化を目的とした高密度磁気記録媒体用の磁性粉末には適さない。
特許文献5の窒化鉄系磁性粉末は、球状ないし楕円状の微粒子でありながら高い保磁力と飽和磁化を有し、高密度記録用の磁性粉末としてトータルパフォーマンスに優れた特性を有する。しかしながら、最近は再生ヘッド感度が著しく高くなっており、特許文献5に開示されたようなトータルパフォーマンスに優れた磁性粉末であっても、飽和磁化を最適化しなければ、出力が飽和したり、逆にノイズが増加するなどの問題が発生する。すなわち、従来の磁気記録媒体用の磁性粉末においては、できる限り高い出力を得ることを最重要課題として、飽和磁化を大きくすることが追求されてきたが、ハードディスクの性能の向上に牽引される形で、磁気テープ用の再生ヘッドも、今後MRヘッドからGMRヘッドへ、さらにTRMヘッドへと高感度化されるに伴い、高密度記録用磁気テープに用いる磁性粉末においても、その設計思想の変更が迫られている。
本発明の目的は、磁性粉末として、極めて粒子サイズが小さく、かつ球状ないし楕円状の形状であるにもかかわらず、高い保磁力を有する窒素含有磁性粉末を用い、特に再生ヘッドにGMRヘッドのような高感度ヘッドを使用する場合に、その特性を最大限に引き出すことを目ざし、飽和磁化を最適化することにより、出力対ノイズ比(SNR)において特に優れた特性を示す磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、磁性粉末として、少なくとも鉄および窒素を構成元素とし、少なくともFe16N2 相を含む平均粒子サイズが10〜20nmの球状ないし楕円状の磁性粉末であって、さらに希土類元素、アルミニウムおよびシリコンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、159.2〜318.5A/m(2000〜4000Oe)の保磁力、および40〜79Am2/kg(40〜79emu/g)の飽和磁化を有する磁性粉末を使用することにより、優れたSNRを示す磁気記録媒体が実現できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の磁性粉末は、基本的に大きな飽和磁化を有する窒化鉄系磁性粉末において、特にノイズレベルを低減することにより高いSNRを得ることを目的に、飽和磁化を40〜79Am2/kg(40〜79emu/g)の範囲としたことに特徴がある。従来は、飽和磁化を大きくすることにより再生出力を増加させることが重要であったが、再生ヘッドの高感度化により、再生出力を増加させるよりも、ノイズレベルを低減させる方が高いSNRを得る上で効果的であるとの知見に基づき、従来の常識に反して、敢えて飽和磁化を低減させたものである。
本発明は、少なくとも鉄および窒素を構成元素とし、かつ少なくともFe16N2 相を含む平均粒子サイズが10〜20nmの球状ないし楕円状の磁性粉末を用い、かつこの磁性粉末の保磁力が159.2〜318.5A/m(2000〜4000Oe)、飽和磁化が40〜79Am2/kg(40〜79emu/g)の範囲になるようにすることにより、再生出力とノイズレベルのバランスが良好になり、結果として高いSNRを有する磁気記録媒体を提供することができる。
発明者らは、従来の形状磁気異方性に基づく磁性粉末とは異なる観点から、磁気特性の向上を目指して種々の磁性粉末を合成し、その形状や磁気異方性を調べた。その結果、磁性粉末が少なくとも鉄および窒素を構成元素とし、かつ少なくともFe16N2 相を含む平均粒子サイズが10〜20nmである球状ないし楕円状の粒子形状を有する磁性粉末が、高い磁気異方性を示すことがわかった。なお、本発明でいう平均粒子サイズとは、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真の粒子サイズを実測し、300個の平均値により求められる。
さらに、この磁性粉末に希土類元素、アルミニウムおよびシリコンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させることにより、微粒子でかつ粒子サイズ分布の良好な磁性粉末が得られることを見出した。
本発明の磁性粉末において、鉄に対する窒素の割合は、好ましくは1.0〜20.0原子%、より好ましくは2.0〜18.0原子%である。鉄に対する窒素の割合が小さすぎると、Fe16N2 相の形成量が少なくなり、保磁力増加の効果が小さくなる。一方、鉄に対する窒素の割合が大きすぎると、非磁性窒化物が形成されやすくなるため、保磁力増加の効果が小さくなり、また飽和磁化が過度に低下する。
また磁性粉末中の希土類元素、アルミニウムおよびシリコンからなる群から選択される少なくとも1種の元素の割合は、鉄に対してそれぞれ0.05〜20.0原子%であることが好ましい。これら元素の割合が、この範囲より小さくなると、形状保持効果が小さく、一方、大きすぎると非磁性成分が多くなり、飽和磁化が低下し過ぎる。希類土元素としては、イットリウム、サマリウムおよび/またはネオジウムが好ましい。
本発明の磁性粉末において、Fe16N2 相の存在する部分は特に限定されないが、磁性粉末の内部に存在させ、希土類元素、アルミニウムおよび/またはシリコンを外層部分に主に存在させることが好ましい。このような構造を有することにより、磁気記録媒体用の磁性粉末として使用する場合に、磁性粉末がより化学的に安定となる。
また、本発明の磁性粉末は、窒化鉄相としてFe16N2 相のみを有する必要はなく、例えばFe16N2 相と他の窒化鉄層、例えばα-Fe相の混相を含んでいてもよい。むしろFe16N2 相とα-Fe相との割合を調整することにより、所望の保磁力に容易に設定できるので、磁気記録媒体の設計に幅を持たせることができる。またこのα-Fe相も、磁性粉末の内部に存在させても、希土類元素、アルミニウムおよび/またはシリコンを含む外層部分に存在させても、またFe16N2 相と外層との界面に存在させてもよい。特にα-Fe相を、内部のFe16N2 相と希土類元素、アルミニウムおよび/またはシリコンを含む外層との界面に形成させると、より優れた化学的安定性等の性質を有する磁性粉末となる。
本発明の磁性粉末は、従来の針状粒子とは異なり、平均粒子サイズが10〜20nmの球状ないし楕円状の形状を有する。そのため、従来の針状磁性粉末に比べて個々の粒子体積が小さく、したがって磁気記録媒体に使用した場合、粒子性ノイズが低くなる特徴を有する。
さらに磁気記録媒体に信号を記録する際、記録ビット境界はできる限りシャープ(明確)であることが望ましい。針状磁性粉末を用いた場合、針状磁性粉末が記録ビット間の境界をまたぐため、境界線はジグザグ状になりノイズ増加の原因となる。この現象は記録密度が高くなるほど顕著になる。本発明の磁性粉粉末は、球状ないし楕円状の形状を有するため、それを用いた磁気記録媒体では記録ビット間の境界がシャープになり、針状磁性粉末と粒子体積が同じであっても、よりノイズレベルが低くなる。これも、本発明の特徴の一つである。
一方、本発明の磁性粉末は、粒子サイズが10〜20nmと極めて小さいため、本質的に粒子同士が凝集しやすく、磁気クラスターを形成しやすい。粒子がこのような磁気クラスターを形成すると、磁気的には、磁気クラスター自体が1個の粒子のように振る舞い、見かけ上粒子サイズは大きくなって、粒子本来の低いノイズレベルが実現できなくなる。このような磁気クラスターの形成は、磁性粉末の飽和磁化が大きくなるほど磁気的相互作用が大きくなるため、顕著になる。このように飽和磁化が大きくなると、再生出力は増加する反面、磁気的相互作用の増加に伴う磁気クラスターの形成によりノイズレベルが増加する。再生ヘッドが高感度になるにしたがい、この再生出力とノイズレベルのトレードオフの関係が顕著になり、特にノイズレベルの影響が顕著になる。
本発明は、再生ヘッドにGMRヘッドのような高感度ヘッドを使用した場合、再生出力の増加より、ノイズレベルの低減させる方が、高いSNRが得られるとの知見に基づいている。本発明によれば、少なくとも鉄および窒素を磁性粉末の構成元素とし、かつ少なくともFe16N2 相が含まれ、平均粒子サイズが10〜20nmであり、しかも、保磁力が159.2〜318.5A/m(2000〜4000Oe)で、かつ飽和磁化が40〜79Am2/kg(40〜79emu/g)である磁性粉末を用いることにより、出力とノイズレベルのバランスを最適化し、したがって高いSNRを得る。
このように、特に飽和磁化の値を、従来最適と考えられていた値より低く設定することによりノイズレベルを低減できる理由は、以下のように考えられるが、これに本発明が拘束されるものではない。
即ち、磁性粉末の飽和磁化が高くなると、高い再生出力が得られる反面、磁性粉末間の磁気的相互作用が強くなる。その結果、粒子同士が凝集しやすくなり、磁気クラスターを形成する。記録再生時において、この磁気クラスターはあたかも1個の粒子のように振舞うため、磁気クラスターが形成されると、記録再生においては磁性層内に粒子サイズの大きな磁性粉末が存在することと同等の現象を引き起こし、ノイズが高くなる。
それに対し、飽和磁化を従来最適と考えられていた値より低く設定することにより、磁性粉末間の磁気的相互作用が弱くなり、磁気クラスターの形成を防止できる結果、ノイズレベルを低減させることができる。このノイズレベル低減の効果は、磁性粉末の飽和磁化が低くなることによる再生出力の低減分より大きく、結果としてSNRが増加する。この現象は、再生ヘッドがMRヘッドやGMRヘッドさらにはTMRヘッドのように高感度化するにしたがい顕著になる。
即ち、磁性粉末の飽和磁化が高くなると、高い再生出力が得られる反面、磁性粉末間の磁気的相互作用が強くなる。その結果、粒子同士が凝集しやすくなり、磁気クラスターを形成する。記録再生時において、この磁気クラスターはあたかも1個の粒子のように振舞うため、磁気クラスターが形成されると、記録再生においては磁性層内に粒子サイズの大きな磁性粉末が存在することと同等の現象を引き起こし、ノイズが高くなる。
それに対し、飽和磁化を従来最適と考えられていた値より低く設定することにより、磁性粉末間の磁気的相互作用が弱くなり、磁気クラスターの形成を防止できる結果、ノイズレベルを低減させることができる。このノイズレベル低減の効果は、磁性粉末の飽和磁化が低くなることによる再生出力の低減分より大きく、結果としてSNRが増加する。この現象は、再生ヘッドがMRヘッドやGMRヘッドさらにはTMRヘッドのように高感度化するにしたがい顕著になる。
次に、本発明の窒化鉄系磁性粉末の製造方法について、説明する。
出発原料としては、鉄系酸化物または水酸化物を使用する。たとえば、ヘマタイト、マグネタイト、ゲータイトなどが挙げられる。出発原料の平均粒子サイズは、とくに限定されないが、5〜20nm程度が望ましい。粒子サイズが小さすぎると、還元処理時に粒子間焼結が生じやすく、また大きすぎると、還元・窒化後得られる磁性粉末自体のサイズが大きくなり、ノイズレベルが高くなる。
出発原料としては、鉄系酸化物または水酸化物を使用する。たとえば、ヘマタイト、マグネタイト、ゲータイトなどが挙げられる。出発原料の平均粒子サイズは、とくに限定されないが、5〜20nm程度が望ましい。粒子サイズが小さすぎると、還元処理時に粒子間焼結が生じやすく、また大きすぎると、還元・窒化後得られる磁性粉末自体のサイズが大きくなり、ノイズレベルが高くなる。
この出発原料に希土類元素、アルミニウムおよび/またはシリコンを被着することもできるし、またあらかじめこれらの元素を出発原料に添加しておくこともできる。このような元素を出発原料に被着するには、例えばアルカリまたは酸の水溶液中に出発原料を分散させ、これに希土類元素やアルミニウム、シリコンの塩を溶解させ、中和反応などにより原料粉末の粒子表面にこれらの元素を含む水酸化物や水和物を沈殿析出させればよい。
、
次に、所望により希土類元素、アルミニウムおよび/またはシリコンが被着された原料を、還元性ガス流中で加熱還元する。還元ガスは、とくに限定されず、常套の還元性ガス、例えば水素ガス、一酸化炭素ガスなどを使用することができる。還元性ガスとしては、水素ガスが好ましい。
次に、所望により希土類元素、アルミニウムおよび/またはシリコンが被着された原料を、還元性ガス流中で加熱還元する。還元ガスは、とくに限定されず、常套の還元性ガス、例えば水素ガス、一酸化炭素ガスなどを使用することができる。還元性ガスとしては、水素ガスが好ましい。
還元温度は、好ましくは300〜500℃、より好ましくは350〜450℃である。還元温度が300℃より低くなると、還元反応が十分進まなくなり、また、500℃より高いと、粉末粒子の焼結が起こりやすくなる。
このような加熱還元処理後、窒化処理を施すことにより、本発明の鉄と窒素を構成元素とする磁性粉末が得られる。窒化処理は、アンモニアを含むガスを用いて行うのが望ましい。アンモニアガス単体のほかに、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガスなどをキャリアーガスとした混合ガスを使用してもよい。窒素ガスは安価なため、特に好ましい。
窒化処理温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは110〜250℃である。窒化処理温度が低すぎると窒化が十分進まず、保磁力増加の効果が小さい。高すぎると、窒化が過剰に促進され、Fe4 NやFe3 N相などの割合が増加するため保磁力が低下し、さらに飽和磁化が過度に低下しやすい。
このような窒化処理では、得られる磁性粉末中の鉄に対する窒素の割合が1.0〜20.0原子%となるように、窒化処理の条件を選択することが望ましい。窒素の割合が少なすぎると、Fe16N2 相の生成量が少ないため、保磁力向上の効果が小さくなる。また窒素の割合が多すぎると、Fe4 NやFe3 N相などが形成されやすくなり、保磁力が低下してさらに飽和磁化が過度に低下しやすい。
次に、この窒化処理後の磁性粉末に、安定化処理を施す。安定化処理は、酸素を微量(例えば、10〜10000ppm)含有する窒素ガス中で加熱酸化することにより、磁性粉末表面に酸化物被膜を形成する。酸化条件は特に限定されるものではないが、通常30〜100℃、通常2〜50時間程度時間程度酸化する。
40〜79Am2/kg(40〜79emu/g)の範囲の飽和磁化は、安定化処理工程での条件温度や時間、混合ガス中の酸素濃度を調節することで達成できる。飽和磁化の値を本発明の40〜79Am2/kg(40〜79emu/g)の範囲としたときの酸化被膜の厚さは、通常2〜4nmとなるが、最適の飽和磁化とするための酸化被膜の厚さは、磁性粉末の粒子サイズにより異なる。即ち、酸化被膜の厚さが同じでも、粒子サイズが小さくなるほど飽和磁化は小さくなる。したがって目的とする飽和磁化を得るためには、粒子サイズに応じて最適の酸化被膜の厚さに設定する。
磁性粉末の飽和磁化が、40Am2/kg(40emu/g)より小さいと、磁気クラスターの形成防止には有効であるが、飽和磁化が小さくなりすぎて、再生出力が低くなり過ぎる。一方、79Am2/kg(79emu/g)より大きいと、再生出力は大きくなる反面、磁気クラスターを形成しやすくなり、ノイズレベルが高くなる。したがって飽和磁化の値を40〜79Am2/kg(40〜79emu/g)の範囲としたときに、再生出力とノイズレベルのバランスが最適になり、結果として高いSNRが得られる。
本発明の磁気記録媒体は、上記の磁性粉末を適度な含有率になるように結合剤、有機溶剤とともに混合し、さらにこの磁性粉末に最適な分散方法により調製した磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、乾燥することにより作製できる。
また上記した磁性塗料を、α−ヘマタイトや二酸化チタンなどの非磁性粒子と結合剤を含有する下塗層上に形成して重層塗膜とすれば、本発明の磁性粉末の特徴がより発揮されて高いSNRが得られる。
次に、本発明の磁気記録媒体について説明する。
本発明に使用する非磁性支持体としては、従来から使用されている磁気記録媒体用の非磁性支持体をいずれも使用できる。たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミドなどの樹脂からなる厚さが通常2〜15μm、特に2〜7μmのフイルムが好ましく用いられる。
本発明に使用する非磁性支持体としては、従来から使用されている磁気記録媒体用の非磁性支持体をいずれも使用できる。たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミドなどの樹脂からなる厚さが通常2〜15μm、特に2〜7μmのフイルムが好ましく用いられる。
磁性層の厚さは、長手記録の本質的な課題である減磁による出力低下の問題を解決するため、300nm以下とするのが好ましい。磁性層の最適厚さは、使用する記録波長との関係から決定される。例えば、磁気記録媒体を最短記録波長が0.3m以下のシステムで使用する場合に、磁性層厚さは特に重要で、10〜200nmとすることが好ましい。磁性層厚さが300nm以上では、厚さ損失により再生出力が小さくなったり、残留磁束密度と厚さの積が大きくなりすぎて、再生ヘッドにMRヘッドやGMRヘッドのような高感度ヘッドを用いた場合、飽和による再生出力の歪が起こりやすい。10nm未満では、均一な磁性層が得られにくい。
本発明の磁気記録媒体は、磁性粉末が、10〜20nmの平均粒子サイズを有し、かつ粒子形状が球状ないし楕円状であるため、従来の針状の磁性粉末を使用した場合にはほとんど不可能であるような、極めて薄い磁性層厚ささえ実現できる。
また、磁性層の保磁力は、好ましくは79.6〜398.0kA/m(1,000〜5,000Oe)、より好ましくは159.2〜318.4kA/m(2,000〜4,000Oe)である。磁性層の保磁力が79.6kA/m未満では、記録波長を短くすると、反磁界による減磁により出力低下が起こりやすくなり、また398.0kA/mを超えると、磁気ヘッドによる記録が困難になる。
磁気テープの場合、長手方向の飽和磁束密度と厚さの積は、好ましくは0.001〜0.1μTmの範囲、より好ましくは0.0015〜0.05μTmの範囲である。この積が0.001μTm未満であると、再生ヘッドにMRヘッドやGMRヘッドのような高感度ヘッドを使用した場合でも再生出力が小さく、一方、0.1μTmを超えると、再生ヘッドが飽和しやすく、かつ目的とする短波長領域で再生減磁により高い出力を得にくくなる傾向を示す。
また、磁性層の平均面粗さRaは、好ましくは1.0〜3.2nmである。平均面粗さRaがこの範囲にあると、磁性層とヘッドとのコンタクトがよくなり、再生出力が高くなる。Raがこの範囲未満になると、ヘッドの張り付きなどにより摺動性が低下する傾向があり、またこの範囲を超えると、ヘッドとのコンタクトが悪くなり出力が低下しやすくなる。
磁性層の角型(Br/Bm)であるが、長手方向に配向する場合には、長手方向のBr/Bmが0.65〜0.95になるように、垂直方向に配向する場合には、垂直方向のBr/Bmが0.60〜0.90になるように、また無配向媒体として使用する場合には長手方向のBr/Bmが0.55〜0.85になるようにすることが好ましい。磁性層の磁界配向は、用途に応じて使い分けすることが好ましく、例えば低波長領域ないし中波長領域において特に高い出力が必要な場合は長手配向が好ましく、全域に亘ってまんべんなく出力が必要な場合には無配向が好ましく、また短波長領域で特に高出力が必要な場合には、垂直配向が好ましい。本発明の磁性粉末は、形状が球状ないし楕円状であるので形状異方性が小さいため、テープの表面性(平滑性)を劣化させることなく、どの方向にも磁性粉末を配向できることも、針状磁性粉末や板状磁性粉末を用いる記録媒体と異なる大きな特徴の一つである。
また磁性層には、導電性の向上と表面潤滑性の向上を図るためのカーボンブラック等の導電性材料や、研磨性の向上を図るためにアルミナ等の研磨材を含ませることが好ましい。この導電性材料や研磨材としては従来公知のものを使用できる。
磁気記録媒体の耐久性を向上するために、下塗層を非磁性支持体と磁性層との間に設けることが好ましい。下塗層の厚さは、好ましくは0.1〜3.0μmである。下塗層の厚さが0.1μm以下であると、磁気テープの耐久性が効果的に改良されず、3.0μm以上では、磁気テープの耐久性の向上効果が飽和するばかりでなく、記録媒体の全厚が大きくなって、1巻当りのテープ長さが短くなり、磁気テープ1巻あたりの記憶容量が小さくなる。
下塗層に含ませる無機粒子は、特に限定されるものではない。無機粒子として、例えば非磁性酸化鉄を用いる場合には、針状のものでは平均長さが50〜200nmのものが好ましく、また粒状または不定形のものでは平均粒径5〜200nmのものが好ましく用いられる。
また、磁性層を垂直配向して垂直記録媒体として使用する場合には、下塗層の無機粒子として磁性粒子を使用することが好ましい。この場合、磁性粒子の種類に特に限定はなく、磁性酸化鉄、磁性金属あるいは磁性合金の粒子が使用できる。磁性粒子の使用は、磁性層からの磁束を下塗層で閉じて、表面からのみ強い磁束を発生させることが目的であるから、下塗層に使用する磁性粒子はできるだけ保磁力が小さく、かつ飽和磁化の大きいものが好ましい。また好ましい粒子サイズや粒子形状は、上記の非磁性無機粒子の場合と同様である。
また、磁性層を垂直配向して垂直記録媒体として使用する場合には、下塗層の無機粒子として磁性粒子を使用することが好ましい。この場合、磁性粒子の種類に特に限定はなく、磁性酸化鉄、磁性金属あるいは磁性合金の粒子が使用できる。磁性粒子の使用は、磁性層からの磁束を下塗層で閉じて、表面からのみ強い磁束を発生させることが目的であるから、下塗層に使用する磁性粒子はできるだけ保磁力が小さく、かつ飽和磁化の大きいものが好ましい。また好ましい粒子サイズや粒子形状は、上記の非磁性無機粒子の場合と同様である。
さらに、磁気記録媒体を垂直記録媒体として使用する場合には、下塗層の磁性層と、信号記録するための上層の磁性層の間に、さらに中間層を形成することもできる。この中間層は、上層と下塗層と間での磁気的相互作用を遮断し、下塗層の磁性粒子によるノイズの影響を低減する効果がある。
この中間層は、非磁性のものであれば特に限定されるものではなく、樹脂のみからなる層でも、また樹脂に非磁性の無機粒子を含有させても良い。
この中間層は、非磁性のものであれば特に限定されるものではなく、樹脂のみからなる層でも、また樹脂に非磁性の無機粒子を含有させても良い。
下塗層および磁性層に使用する結合剤は、特に限定されるものではなく、磁気記録媒体に通常使用されている結合剤が本発明でも使用できる。例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂などの塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロース、エポキシ樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂との組み合わせがある。とくに、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン樹脂とを併用するのが好ましい。
またこれらの結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。
下塗層および/または磁性層に潤滑剤を含ませることもできる。潤滑剤としては、従来公知の脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどがいずれも用いられる。その中でも、炭素原子数10以上、好ましくは12〜30の脂肪酸と、融点35℃以下、好ましくは10℃以下の脂肪酸エステルとを併用するのが、特に好ましい。
バックコート層は、必須の構成要素ではないが、磁気テープの場合、非磁性支持体の磁性層形成面とは反対の面にバックコート層を形成するのが望ましい。バックコート層の厚さは、好ましくは0.2〜0.8μm、より好ましくは0.3〜0.8μmである。バックコート層の厚さが0.2μm未満では走行性の向上効果が不十分であり、一方、0.8μmを超えるとテープ全厚が厚くなり、1巻当たりの記憶容量が小さくなる。
バックコート層には、平粒子径が5〜400nmのカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラックなど)を含ませる。その添加量は、好ましくは60〜98重量%、より好ましくは70〜95重量%である。又、強度向上の目的で、平均粒子径が0.05〜0.6μmの酸化鉄や酸化アルミニウムなどの添加剤を含ませることが好ましい。この添加量は、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%である。また、結合剤としては、磁性層や下塗層に用いる結合剤と同じものを用いることもできる。
バックコート層には、平粒子径が5〜400nmのカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラックなど)を含ませる。その添加量は、好ましくは60〜98重量%、より好ましくは70〜95重量%である。又、強度向上の目的で、平均粒子径が0.05〜0.6μmの酸化鉄や酸化アルミニウムなどの添加剤を含ませることが好ましい。この添加量は、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%である。また、結合剤としては、磁性層や下塗層に用いる結合剤と同じものを用いることもできる。
磁性塗料、下塗塗料およびバックコート用塗料の調製には、溶剤としては、従来から使用されている有機溶剤をいずれも使用することができる。たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの炭酸エステル系溶剤、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤などを使用でき、その他、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなどの各種の有機溶剤も用いられる。
磁性塗料、下塗塗料、バックコート用塗料を調製するには、従来から公知の塗料製造工程を使用でき、とくにニーダなどによる混練工程や一次分散工程を採用するのが好ましい。一次分散工程では、サンドミルを使用することにより、磁性粉末などの分散性の改善とともに、表面性状を制御できるので、望ましい。
また、非磁性支持体上に、磁性塗料、下塗塗料、バックコート用塗料を塗布するには、グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージヨン塗布などの従来から公知の塗布方法が用いられる。とくに、下塗塗料および磁性塗料の塗布方法として、非磁性支持体上に下塗塗料を塗布し乾燥したのちに磁性塗料を塗布する、逐次重層塗布方法、または下塗塗料と磁性塗料とを同時に塗布する、同時重層塗布方法(ウェットオンウェット)のいずれが採用できる。塗布時における薄層磁性層のレベリングを考えると、下塗塗料が湿潤状態のうちに磁性塗料を塗布する、同時重層塗布方式を採用するのが特に好ましい。
以下、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは、別途記載のない限り、重量部を意味する。
<実施例1>
(A)窒化鉄系磁性粉末の製造
形状がほぼ球状で、平均粒子サイズが17nmのマグネタイト粒子10gを500ccの水に、超音波分散機を用いて、30分間分散させた。この分散液に、Y/Fe=2.0原子%になるように硝酸イットリウムを加えて溶解し、30分間撹拌した。さらに、この分散液に、Al/Fe=10.0原子%になるように、アルミン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムの水溶液を、pHが7〜8になるように調整しながら滴下し、マグネタイト粒子の表面にアルミニウムおよびイットリウムの水酸化物を被着させた。その後、分散液を濾過し、濾取した固形分を水洗した後、空気中110℃で乾燥した。
(A)窒化鉄系磁性粉末の製造
形状がほぼ球状で、平均粒子サイズが17nmのマグネタイト粒子10gを500ccの水に、超音波分散機を用いて、30分間分散させた。この分散液に、Y/Fe=2.0原子%になるように硝酸イットリウムを加えて溶解し、30分間撹拌した。さらに、この分散液に、Al/Fe=10.0原子%になるように、アルミン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムの水溶液を、pHが7〜8になるように調整しながら滴下し、マグネタイト粒子の表面にアルミニウムおよびイットリウムの水酸化物を被着させた。その後、分散液を濾過し、濾取した固形分を水洗した後、空気中110℃で乾燥した。
その後、得られた粉末を、水素気流中400℃で2時間加熱還元して、粒子内部が鉄で表面がアルミニウムとイットリウムの化合物で被覆されたアルミニウム−イットリウム−鉄系磁性粉末を得た。次に、水素ガスを流した状態で、約1時間かけて、140℃まで降温した。140℃に到達した時点で、ガスを水素ガスからアンモニアガスに切り替え、温度を140℃に保った状態で、10時間窒化処理を行った。その後、アンモニアガスを流した状態で、140℃から40℃まで降温し、40℃で、アンモニアガスから酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:1000ppm)に切り替え、まず2時間安定化処理を行った。さらに混合ガスを流した状態で、温度を60℃まで昇温し、60℃でさらに10時間安定化処理を行った。次に、混合ガスを流した状態で、温度を30℃まで降温し、30℃でさらに1日間保持した後、室温まで降温し、室温で混合ガスから空気に切り替え、空気を2時間流した後、空気中に取り出した。
このようにして得られたアルミニウム−イットリウム−窒化鉄系磁性粉末について、アルミニウム、イットリウムおよび窒素の割合を蛍光X線により測定したところ、それぞれ9.3原子%、1.8原子%および9.3原子%であった。また、該磁性粉末のX線回折パターンは、Fe16N2 相に相当するプロファイルを示した。
さらに、高分解能分析透過電子顕微鏡で粒子形状を観察したところ、ほぼ球状の粒子で平均粒子サイズが17nmであり、内部がFe16N2構造の窒化鉄で、表面がアルミニウムとイットリウムからなる酸化物層で構成されたコア−シェル構造であることがわかった。またBET法により求めた比表面積は、66.5m2/gであった。
さらに、高分解能分析透過電子顕微鏡で粒子形状を観察したところ、ほぼ球状の粒子で平均粒子サイズが17nmであり、内部がFe16N2構造の窒化鉄で、表面がアルミニウムとイットリウムからなる酸化物層で構成されたコア−シェル構造であることがわかった。またBET法により求めた比表面積は、66.5m2/gであった。
また、この磁性粉末について、1,270kA/m(16kOe)の磁界を印加して測定した飽和磁化は68.6.Am2 /kg(68.6emu/g)、保磁力は209.3kA/m(2,630エルステッド)であった。
(B)磁気テープの作製
下記の下塗塗料成分をニーダで混練したのち、サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これにポリイソシアネート6部を加え、撹拌し、濾過して、下塗塗料を調製した。これとは別に、下記の磁性塗料成分(1)をニーダで混練したのち、サンドミルで滞留時間を60分間として分散し、これに下記の磁性塗料成分(2)を加え、混合して磁性塗料を調製した。
下記の下塗塗料成分をニーダで混練したのち、サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これにポリイソシアネート6部を加え、撹拌し、濾過して、下塗塗料を調製した。これとは別に、下記の磁性塗料成分(1)をニーダで混練したのち、サンドミルで滞留時間を60分間として分散し、これに下記の磁性塗料成分(2)を加え、混合して磁性塗料を調製した。
<下塗塗料成分>
酸化鉄粉末(平均粒径:55nm) 70部
アルミナ粉末(平均粒径:80nm) 10部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 20部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合樹脂 10部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
メチルエチルケトン 130部
トルエン 80部
ミリスチン酸 1部
ステアリン酸ブチル 1.5部
シクロヘキサノン 65部
<磁性塗料成分(1)>
上記(A)で製造したAl−Y−窒化鉄系磁性粉末 100部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合樹脂 8部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 4部
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
α−アルミナ(平均粒径:80nm) 10部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 1.5部
ミリスチン酸 1.5部
メチルエチルケトン 133部
トルエン 100部
<磁性塗料成分(2)>
ステアリン酸 1.5部
ポリイソシアネート 4部
(日本ポリウレタン工業社製の「コロネートL」)
シクロヘキサノン 133部
トルエン 33部
酸化鉄粉末(平均粒径:55nm) 70部
アルミナ粉末(平均粒径:80nm) 10部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 20部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合樹脂 10部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
メチルエチルケトン 130部
トルエン 80部
ミリスチン酸 1部
ステアリン酸ブチル 1.5部
シクロヘキサノン 65部
<磁性塗料成分(1)>
上記(A)で製造したAl−Y−窒化鉄系磁性粉末 100部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合樹脂 8部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 4部
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
α−アルミナ(平均粒径:80nm) 10部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 1.5部
ミリスチン酸 1.5部
メチルエチルケトン 133部
トルエン 100部
<磁性塗料成分(2)>
ステアリン酸 1.5部
ポリイソシアネート 4部
(日本ポリウレタン工業社製の「コロネートL」)
シクロヘキサノン 133部
トルエン 33部
上記の下塗塗料を、非磁性支持体であるポリエチレンテレフタレートフイルムに、乾燥およびカレンダ処理後の下塗層の厚さが1μmとなるように塗布し、この上にさらに、上記の磁性塗料を、磁場配向処理、乾燥およびカレンダ処理後の磁性層の厚さが80nmとなるように塗布した。
次に、この非磁性支持体の下塗層および磁性層の形成面とは反対面側に、バックコート塗料を、乾燥およびカレンダ処理後のバックコート層の厚さが500nmとなるように塗布し、乾燥した。バックコート塗料は、下記のバックコート塗料成分を、サンドミルにより滞留時間45分で分散したのち、ポリイソシアネート8.5部を加え、撹拌濾過して調製したものである。
<バックコート塗料成分>
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 40.5部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 0.5部
硫酸バリウム 4.05部
ニトロセルロース 28部
ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 20部
シクロヘキサノン 100部
トルエン 100部
メチルエチルケトン 100部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 40.5部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 0.5部
硫酸バリウム 4.05部
ニトロセルロース 28部
ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 20部
シクロヘキサノン 100部
トルエン 100部
メチルエチルケトン 100部
このようにして得た磁気シートを、5段カレンダ(温度70℃、線圧150kg/cm)で鏡面化処理し、これをシートコアに巻いた状態で、60℃、40%RH下、48時間エージングした。その後、3.8mm幅に裁断した。
<実施例2>
実施例1(A)における窒化鉄系磁性粉末の製造において、安定化処理条件を以下のように変更した。窒化処理後、40℃で、アンモニアガスから酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:1000ppm)に切り替え、まず2時間安定化処理を行った。さらに混合ガスを流した状態で、温度を60℃まで昇温し、60℃でさらに4時間安定化処理を行った。次に、混合ガスを流した状態で、温度を30℃まで降温し、30℃でさらに1日間保持した後、室温まで降温し、室温で混合ガスから空気に切り替え、空気を2時間流した後、空気中に取り出した。
このようにして得られたアルミニウム−イットリウム−窒化鉄系磁性粉末については、そのアルミニウム、イットリウムおよび窒素の割合を蛍光X線により測定したところ、それぞれ9.4原子%、1.8原子%および9.8原子%であった。また、該磁性粉末のX線回折パターンは、Fe16N2 相に相当するプロファイルを示した。
実施例1(A)における窒化鉄系磁性粉末の製造において、安定化処理条件を以下のように変更した。窒化処理後、40℃で、アンモニアガスから酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:1000ppm)に切り替え、まず2時間安定化処理を行った。さらに混合ガスを流した状態で、温度を60℃まで昇温し、60℃でさらに4時間安定化処理を行った。次に、混合ガスを流した状態で、温度を30℃まで降温し、30℃でさらに1日間保持した後、室温まで降温し、室温で混合ガスから空気に切り替え、空気を2時間流した後、空気中に取り出した。
このようにして得られたアルミニウム−イットリウム−窒化鉄系磁性粉末については、そのアルミニウム、イットリウムおよび窒素の割合を蛍光X線により測定したところ、それぞれ9.4原子%、1.8原子%および9.8原子%であった。また、該磁性粉末のX線回折パターンは、Fe16N2 相に相当するプロファイルを示した。
さらに、高分解能分析透過電子顕微鏡で粒子形状を観察したところ、ほぼ球状の粒子で平均粒子サイズが17nmであり、内部がFe16N2構造の窒化鉄で、表面がアルミニウムとイットリウムからなる酸化物層で構成されたコア−シェル構造であることがわかった。またBET法により求めた比表面積は、67.8m2/gであった。
また、この磁性粉末について、1,270kA/m(16kOe)の磁界を印加して測定した飽和磁化は78.3Am2 /kg(78.3emu/g)、保磁力は215.7kA/m(2,710エルステッド)であった。
この磁性粉末を用いて、実施例1(B)と同様にして磁気テープを作製した。
この磁性粉末を用いて、実施例1(B)と同様にして磁気テープを作製した。
<実施例3>
実施例1(A)における窒化鉄系磁性粉末の製造において、安定化処理条件を以下のように変更した。窒化処理後、40℃で、アンモニアガスから酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:1000ppm)に切り替え、まず2時間安定化処理を行った。さらに混合ガスを流した状態で、温度を60℃まで昇温し、60℃でさらに10時間安定化処理を行った後、さらに温度を90℃まで昇温し、90℃でさらに2時間安定化処理を行った。次に、混合ガスを流した状態で、温度を30℃まで降温し、30℃でさらに1日間保持した後、室温まで降温し、室温で混合ガスから空気に切り替え、空気を2時間流した後、空気中に取り出した。
実施例1(A)における窒化鉄系磁性粉末の製造において、安定化処理条件を以下のように変更した。窒化処理後、40℃で、アンモニアガスから酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:1000ppm)に切り替え、まず2時間安定化処理を行った。さらに混合ガスを流した状態で、温度を60℃まで昇温し、60℃でさらに10時間安定化処理を行った後、さらに温度を90℃まで昇温し、90℃でさらに2時間安定化処理を行った。次に、混合ガスを流した状態で、温度を30℃まで降温し、30℃でさらに1日間保持した後、室温まで降温し、室温で混合ガスから空気に切り替え、空気を2時間流した後、空気中に取り出した。
このようにして得られたアルミニウム−イットリウム−窒化鉄系磁性粉末は、そのアルミニウム、イットリウムおよび窒素の割合を蛍光X線により測定したところ、それぞれ9.0原子%、1.7原子%および7.2原子%であった。また、該磁性粉末のX線回折パターンは、Fe16N2 相に相当するプロファイルを示した。
さらに、高分解能分析透過電子顕微鏡で粒子形状を観察したところ、ほぼ球状の粒子で平均粒子サイズが17nmであり、内部がFe16N2構造の窒化鉄で、表面がアルミニウムとイットリウムからなる酸化物層で構成されたコア−シェル構造であることがわかった。またBET法により求めた比表面積は、60.1m2/gであった。
また、この磁性粉末について、1,270kA/m(16kOe)の磁界を印加して測定した飽和磁化は48.8Am2 /kg(48.8emu/g)、保磁力は197.4kA/m(2,480エルステッド)であった。
この磁性粉末を用いて、実施例1(B)と同様にして磁気テープを作製した。
<比較例1>
実施例1(A)における窒化鉄系磁性粉末の製造において、安定化処理条件を以下のように変更した。窒化処理後、40℃で、アンモニアガスから酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:1000ppm)に切り替え、まず2時間安定化処理を行った。さらに混合ガスを流した状態で、温度を60℃まで昇温し、60℃でさらに2時間安定化処理を行った。次に、混合ガスを流した状態で、温度を30℃まで降温し、30℃でさらに1日間保持した後、室温まで降温し、室温で混合ガスから空気に切り替え、空気を2時間流した後、空気中に取り出した。
この磁性粉末を用いて、実施例1(B)と同様にして磁気テープを作製した。
<比較例1>
実施例1(A)における窒化鉄系磁性粉末の製造において、安定化処理条件を以下のように変更した。窒化処理後、40℃で、アンモニアガスから酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:1000ppm)に切り替え、まず2時間安定化処理を行った。さらに混合ガスを流した状態で、温度を60℃まで昇温し、60℃でさらに2時間安定化処理を行った。次に、混合ガスを流した状態で、温度を30℃まで降温し、30℃でさらに1日間保持した後、室温まで降温し、室温で混合ガスから空気に切り替え、空気を2時間流した後、空気中に取り出した。
このようにして得られたアルミニウム−イットリウム−窒化鉄系磁性粉末は、そのアルミニウム、イットリウムおよび窒素の割合を蛍光X線により測定したところ、それぞれ9.5原子%、1.8原子%および11.2原子%であった。また、該磁性粉末のX線回折パターンは、Fe16N2 相に相当するプロファイルを示した。
さらに、高分解能分析透過電子顕微鏡で粒子形状を観察したところ、ほぼ球状の粒子で平均粒子サイズが17nmであり、内部がFe16N2構造の窒化鉄で、表面がアルミニウムとイットリウムからなる酸化物層で構成されたコア−シェル構造であることがわかった。またBET法により求めた比表面積は、69.1m2/gであった。
また、この磁性粉末について、1,270kA/m(16kOe)の磁界を印加して測定した飽和磁化は90.3Am2 /kg(90.3emu/g)、保磁力は229.2kA/m(2,880エルステッド)であった。
この磁性粉末を用いて、実施例1(B)と同様にして磁気テープを作製した。
この磁性粉末を用いて、実施例1(B)と同様にして磁気テープを作製した。
<比較例2>
実施例1(A)における窒化鉄系磁性粉末の製造において、安定化処理条件を以下のように変更した。窒化処理後、40℃で、アンモニアガスから酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:1000ppm)に切り替え、まず2時間安定化処理を行った。さらに混合ガスを流した状態で、温度を60℃まで昇温し、60℃でさらに10時間安定化処理を行った後、さらに温度を90℃まで昇温し、90℃でさらに4時間安定化処理を行った。次に、混合ガスを流した状態で、温度を30℃まで降温し、30℃でさらに1日間保持した後、室温まで降温し、室温で混合ガスから空気に切り替え、空気を2時間流した後、空気中に取り出した。
実施例1(A)における窒化鉄系磁性粉末の製造において、安定化処理条件を以下のように変更した。窒化処理後、40℃で、アンモニアガスから酸素/窒素混合ガス(酸素濃度:1000ppm)に切り替え、まず2時間安定化処理を行った。さらに混合ガスを流した状態で、温度を60℃まで昇温し、60℃でさらに10時間安定化処理を行った後、さらに温度を90℃まで昇温し、90℃でさらに4時間安定化処理を行った。次に、混合ガスを流した状態で、温度を30℃まで降温し、30℃でさらに1日間保持した後、室温まで降温し、室温で混合ガスから空気に切り替え、空気を2時間流した後、空気中に取り出した。
このようにして得られたアルミニウム−イットリウム−窒化鉄系磁性粉末は、そのアルミニウム、イットリウムおよび窒素の割合を蛍光X線により測定したところ、それぞれ8.9原子%、1.6原子%および6.5原子%であった。また、該磁性粉末のX線回折パターンは、Fe16N2 相に相当するプロファイルを示した。
さらに、高分解能分析透過電子顕微鏡で粒子形状を観察したところ、ほぼ球状の粒子で平均粒子サイズが17nmであり、内部がFe16N2構造の窒化鉄で、表面がアルミニウムとイットリウムからなる酸化物層で構成されたコア−シェル構造であることがわかった。またBET法により求めた比表面積は、59.0m2/gであった。
また、この磁性粉末について、1,270kA/m(16kOe)の磁界を印加して測定した飽和磁化は38.4Am2 /kg(38.4emu/g)、保磁力は195.0kA/m(2,450エルステッド)であった。
この磁性粉末を用いて、実施例1(B)と同様にして磁気テープを作製した。
この磁性粉末を用いて、実施例1(B)と同様にして磁気テープを作製した。
上記の実施例1〜3および比較例1〜2の各磁気テープについて、磁気特性として長手方向の保磁力(Hc)、角形(Br/Bm)および飽和磁束密度と磁性層厚さの積(Ms・t)を、また下記の要領で電磁変換特性を測定した。これらの結果は、磁性粉末の磁気特性と一緒に表1に示す。
<電磁変換特性の測定>
電磁変換特性は回転ドラム装置を用いて測定した。測定条件は、記録ヘッドとして、
トラック幅:12μm、ギャップ長:0.17μm、Bs:1.2TのMIGヘッドを使用し、再生ヘッドとして、トラック幅:1.5μm、SH-SH:0.17μmのスピンバルブタイプのGMRヘッドを使用した。テープとヘッドの相対速度は3.4mであり、スペクトルアナライザーを使用して250kfciの記録密度における再生出力(S)とブロードバンドノイズ(N)を測定し、SNRを求めた。なお再生出力、ノイズレベルおよびSNRは、実施例1のテープの値を0dBとして、相対値として示した。
電磁変換特性は回転ドラム装置を用いて測定した。測定条件は、記録ヘッドとして、
トラック幅:12μm、ギャップ長:0.17μm、Bs:1.2TのMIGヘッドを使用し、再生ヘッドとして、トラック幅:1.5μm、SH-SH:0.17μmのスピンバルブタイプのGMRヘッドを使用した。テープとヘッドの相対速度は3.4mであり、スペクトルアナライザーを使用して250kfciの記録密度における再生出力(S)とブロードバンドノイズ(N)を測定し、SNRを求めた。なお再生出力、ノイズレベルおよびSNRは、実施例1のテープの値を0dBとして、相対値として示した。
上記表1の結果から、実施例1〜3の各磁気テープは、磁性粉末の飽和磁化が最適な範囲にあるため、再生出力とノイズレベルのバランスが良好で、高いSNRを有することが分かる。
それに対して、比較例1の磁気テープは、再生出力は高いが、ノイズレベルも高く、それ故に、高いSNRは得られなかった。これは磁性粉末の飽和磁化が大きくなるほど磁気的相互作用が大きくなるため、粒子同士が凝集しやすくなり、磁気クラスターを形成しやすくなるためである。粒子がこのような磁気クラスターを形成すると、磁気クラスター自体が1個の粒子のように振る舞い、見かけ上粒子サイズは大きくなり、再生出力は大きくなるが、それ以上にノイズレベルが高くなるためである。その結果、SNRは低い値となってしまう。この傾向は、再生ヘッドにGMRヘッドのような高感度ヘッドを用いた場合に、より顕著になる。
また比較例2の磁気テープでは、飽和磁化が低すぎるので、ノイズレベルの低減効果以上に再生出力が低下するため、SNRは低くなった。
Claims (5)
- 少なくとも鉄および窒素を構成元素とし、かつ少なくともFe16N2 相を含む平均粒子サイズが10〜20nmの球状ないし楕円状の磁性粉末であって、さらに希土類元素、アルミニウムおよびシリコンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、159.2〜318.5A/m(2000〜4000Oe)の保磁力、および40〜79Am2/kg(40〜79emu/g)の飽和磁化を有する磁性粉末。
- 磁性粉末中の鉄に対する、窒素の割合が1.0〜20.0原子%であり、希土類元素、アルミニウムおよびシリコンからなる群から選択される少なくとも1種の元素の割合が0.05〜20.0原子であることを特徴とする請求項1に記載の磁性粉末。
- 希類土元素がイットリウム、サマリウムおよびネオジウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性粉末。
- 非磁性支持体上に磁性粉末と結合剤を含有する磁性層を有する磁気記録媒体において、該磁性粉末が請求項1〜3のいずれかに記載の磁性粉末である磁気記録媒体。
- 非磁性支持体と磁性層の間に、無機粉末および結合剤を含有する少なくとも1層の下塗層有し、磁性層の厚さが0.3μm以下である請求項4に記載の磁気記録媒体。
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