JP2018110045A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供する。【解決手段】本発明に係る磁気記録媒体は、磁性層の表面を走査型電子顕微鏡により10k倍で観察した画像上において、前記磁性層の幅方向に平行に、長さ500nm、幅15nmの直線Wを表示し、前記磁性層の長手方向に平行に、長さ500nm、幅15nmの直線Lを表示し、前記直線Wが、前記画像上の粒子径50nm以上の粒子及び最大幅50nm以上の空隙と交差せず、且つ、前記画像上において、前記直線Wが交差する磁性体粒子の数をN1とし、前記直線Lが、前記画像上の粒子径50nm以上の粒子及び最大幅50nm以上の空隙と交差せず、且つ、前記画像上において、前記直線Lが交差する磁性体粒子の数をN2とした場合、N1及びN2を0.5μmで除した単位μm当たりの磁性体粒子の数をN1/0.5及びN2/0.5とすると、N1/0.5>60、且つ、N2/0.5>60の関係が成立する。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁変換特性に優れた高容量磁気記録媒体に関する。
非磁性支持体上に磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層が形成された塗布型の磁気記録媒体は、アナログ方式からデジタル方式への記録再生方式の移行に伴い、一層の記録密度の向上が要求されている。特に、高密度デジタルビデオテープやコンピュータバックアップテープ等においては、この要求が年々高まってきている。
このような記録密度の向上に伴い、記録波長が短波長化され、この短波長記録に対応するため、年々磁性粉末の微粒子化が図られており、現在では平均粒子径が20nm程度の強磁性六方晶フェライト粉末を実現し、この磁性粉末を用いた磁気記録媒体が実用化されている(例えば、特許文献1)。
そして、上記強磁性六方晶フェライト粉末を用いた磁気記録媒体の記録密度を更に向上させるためには、強磁性六方晶フェライト粉末を更に微粒子化する必要がある。しかし、強磁性六方晶フェライト粉末を更に微粒子化することで、磁性粉末の粒子体積が小さくなり、熱揺らぎの影響を受けやすくなる問題がある。このため、微粒子化しても保磁力が高く、異方性エネルギーが大きい磁性体を用いて熱揺らぎを抑制することが必要となる。
このような状況において近年、磁気記録媒体用の新しい磁性材料として、ε−Fe23の研究が行われており、15nm以下、好ましくは10nm以下の平均粒子径でも強磁性の特性を有するε−Fe23の単相からなる酸化鉄ナノ磁性粒子粉が提案されている(例えば、特許文献2)。また、ε−Fe23を磁性粉末として用いた磁気記録媒体も提案されている(例えば、特許文献3、4、5)。
また、本発明に関連する先行技術文献としては、スペーシングの測定方法に関する特許文献6がある。
特開2015−91747号公報 特開2014−224027号公報 特開2014−149886号公報 特開2015−82329号公報 国際公開第2015/198514号 特開2012−43495号公報
このような磁気記録媒体の大容量化のための高記録密度化に伴い、磁性層の高トラック密度化が進んでいる。しかし、高トラック密度化に伴いトラック幅が縮小し、その結果、出力特性が低下すると共に、電磁変換特性も低下するという問題がある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、高記録密度化に伴った高トラック密度化しても電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供する。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と、磁性体粒子を含む磁性層とを備える磁気記録媒体であって、前記磁性層の厚さ方向の残留磁束密度をMr、前記磁性層の平均厚さをtとすると、0.0013μT・m<Mr・t<0.0032μT・mであり、前記磁性層の厚さ方向の角形比が、0.65以上であり、前記磁性層の表面を走査型電子顕微鏡により10k倍で観察した画像上において、前記磁性層の幅方向に平行に、長さ500nm、幅15nmの直線Wを表示し、前記磁性層の長手方向に平行に、長さ500nm、幅15nmの直線Lを表示し、前記直線Wが、前記画像上の粒子径50nm以上の粒子及び最大幅50nm以上の空隙と交差せず、且つ、前記画像上において、前記直線Wが交差する磁性体粒子の数をN1とし、前記直線Lが、前記画像上の粒子径50nm以上の粒子及び最大幅50nm以上の空隙と交差せず、且つ、前記画像上において、前記直線Lが交差する磁性体粒子の数をN2とした場合、N1及びN2を0.5μmで除した単位μm当たりの磁性体粒子の数をN1/0.5及びN2/0.5とすると、N1/0.5>60、且つ、N2/0.5>60の関係が成立することを特徴とする。
本発明の磁気記録媒体によれば、大容量化のための高記録密度化に伴った高トラック密度化によりトラック幅が縮小しても、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供できる。
図1は、磁気記録媒体の一例を示す概略断面図である。 図2は、磁性層の表面を走査型電子顕微鏡により観察した画像を示す模式図である。
本発明の磁気記録媒体の実施形態について説明する。
本実施形態の磁気記録媒体は、非磁性支持体と、磁性体粒子を含む磁性層とを備えている。また、上記磁性層の厚さ方向の残留磁束密度をMr、上記磁性層の平均厚さをtとすると、0.0013μT・m<Mr・t<0.0032μT・mであり、上記磁性層の厚さ方向の角形比は、0.65以上である。更に、上記磁性層の表面を走査型電子顕微鏡により10k倍で観察した画像上において、上記磁性層の幅方向に平行に、長さ500nm、幅15nmの直線Wを表示し、上記磁性層の長手方向に平行に、長さ500nm、幅15nmの直線Lを表示し、上記直線Wが、上記画像上の粒子径50nm以上の粒子及び最大幅50nm以上の空隙と交差せず、且つ、上記画像上において、上記直線Wが交差する磁性体粒子の数をN1とし、上記直線Lが、上記画像上の粒子径50nm以上の粒子及び最大幅50nm以上の空隙と交差せず、且つ、上記画像上において、上記直線Lが交差する磁性体粒子の数をN2とした場合、N1及びN2を0.5μmで除した単位μm当たりの磁性体粒子の数をN1/0.5及びN2/0.5とすると、N1/0.5>60、且つ、N2/0.5>60の関係が成立する。
ここで、N1及びN2とは、磁気記録に関与しない添加剤等の粒子径が50nm以上の粒子及び磁気記録に関与しない最大幅が50nm以上の空隙の何れもが磁性層上に存在しない領域、即ち、主に磁性体粒子が存在する領域において、磁気記録に関与する磁性体粒子の数を示すものである。また、N1/0.5及びN2/0.5とするのは、N1及びN2を直線W及びLの長さ500nm(0.5μm)で除することにより、単位μm当たりの磁性体粒子数とするためである。
N1/0.5>60、且つ、N2/0.5>60とすることで、磁性層の幅方向及び長手方向において、十分な数の微細な磁性体粒子の数を確保し、且つ各磁性体粒子の均一な分布状態を得ることができる。これにより、上記磁性層に記録された信号の磁化の長さであって上記磁性層の幅方向の上記磁化の長さ(トラック幅)を1μm以下としても、良好な電磁変換特性(SN特性)を得ることができる。また、N1/0.5>70、且つ、N2/0.5>70とすることが更に好ましい。
即ち、従来までは、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ)におけるストレージドライブでは、記録ビット長(1/2記録波長)に比べてトラック幅が10倍以上長くなっていたが、高記録密度化のためにはトラック幅を縮小する必要あり、その場合にはトラック幅は1μm以下となり、トラック幅が記録ビット長の10倍を下回ることになる。このようにトラック幅が縮小すると、微小な磁場の乱れがノイズとなるため、SN特性を良好に保つためには、磁性層の幅方向及び長手方向において、十分な数の微細な磁性体粒子を均一に分布させる必要ある。本実施形態では、N1/0.5>60、且つ、N2/0.5>60とすることで、磁性層の幅方向及び長手方向において、十分な数の微細な磁性体粒子を均一な分布状態にすることができる。
また、上記磁性層の厚さ方向の残留磁束密度Mrと上記磁性層の平均厚さtとの関係を、0.0013μT・m<Mr・t<0.0032μT・mとし、上記磁性層の厚さ方向の角形比を、0.65以上とすることにより、記録磁化の分解能が向上するため、上記トラック幅を1μm以下としても、更に良好な電磁変換特性(SN特性)を得ることができる。更に、0.0020μT・m<Mr・t<0.0030μT・mとすることがより好ましく、上記角形比は0.75以上がより好ましい。
本実施形態の磁気記録媒体は、上記磁性層に記録された信号の磁化の長さであって上記磁性層の幅方向の上記磁化の長さが1μm以下の場合は、トンネル型磁気抵抗効果型ヘッド(TMRヘッド)で再生されることが好ましい。磁性層の高トラック密度化のために上記磁化の長さを1μm以下としても、感度が高いTMRヘッドで再生されることにより、高いSN比を得ることができる。
上記磁化の長さは、例えば、次のようにして測定できる。即ち、磁気力顕微鏡として、デジタルインスツルメント社製の“Nano Scope III”(製品名)を用い、周波数検出法により、信号が記録された磁性層の幅方向の磁化の長さを測定する。測定プローブには、コバルトアロイコートを有するプローブ(先端曲率半径:25〜40nm、保磁力:約400〔Oe〕、磁気モーメント:約1×10-13emu)を用い、走査範囲は5μm四方、走査速度は5μm/secとする。
更に、上記磁性体粒子は、ε型酸化鉄からなることが好ましい。上記磁性体粒子として、ε型酸化鉄粒子を用いることにより、トラック幅が1μm以下の場合に、磁性体粒子の平均粒子径を20nm以下としても、磁性体粒子の保磁力が低下しない。
また、上記ε型酸化鉄からなる磁性体粒子の平均粒子径は、短波長記録により対応するために15nm以下であることが好ましい。更に、上記ε型酸化鉄からなる磁性体粒子の平均粒子径は、12nm以下がより好ましい。上記ε型酸化鉄からなる磁性体粒子の平均粒子径の下限値は、通常8nm程度である。平均粒子径が8nmを下回るε型酸化鉄は、製造が容易ではないからである。
上記磁性層の厚さ方向の保磁力は、3000エルステッド〔Oe〕以上であることが好ましい。上記保磁力を3000エルステッド〔Oe〕以上にすることにより、高記録密度化における短波長記録領域においても、自己減磁損失が少なく高い再生出力が得られるからである。
また、上記磁性層の表面をn−ヘキサンで洗浄した後の上記磁性層の表面のスペーシングをTSA(Tape Spacing Analyzer)で測定したとき、上記スペーシングの値は、5nm以上12nm以下であることが好ましい。上記スペーシングの値が5nmを下回ると、磁性層の表面が平滑になりすぎて、磁気ヘッドと磁性層との接触面積が大きくなり、摩擦係数が増大して、磁性層の耐久性が低下する傾向がある。一方、上記スペーシングの値が12nmを超えると、磁気ヘッドと磁性層表面との距離が大きくなりすぎて、記録再生特性が低下する傾向がある。上記スペーシングの値は、7nm以上12nm以下がより好ましく、8nm以上11nm以下が最も好ましい。
上記スペーシングの値の測定方法及びその制御方法は特に限定されないが、例えば、特開2012−43495号公報(特許文献6)に記載の方法により行うことができる。
上記磁性層の厚さは、30nm以上200nm以下であることが好ましい。上記磁性層の厚さを200nm以下とすることにより、短波長記録特性を向上でき、上記磁性層の厚さを30nm以上とすることにより、サーボ信号を記録することができる。本実施形態の磁性体粒子としてε型酸化鉄粒子を用いる場合、ε型酸化鉄粒子の飽和磁化量は、従来の強磁性六方晶フェライト粒子の飽和磁化量に比べて、1/2〜1/3と小さいため、記録波長が長いサーボ信号を記録する場合には、磁性層の厚さは30nm以上とする必要がある。
上記サーボ信号を磁性層に記録しない場合には、上記磁性層の厚さは、10nm以上50nm以下が好ましい。上記磁性層の厚さを10nm以上50nm以下としても、トンネル型磁気抵抗効果型ヘッド(TMRヘッド)等の高感度の磁気ヘッドを用いれば、データ信号の記録再生が可能である。
以下、本実施形態の磁気記録媒体を図面に基づき説明する。図1は、本実施形態の磁気記録媒体の一例を示す概略断面図である。
図1において、本実施形態の磁気記録媒体10は、非磁性支持体11と、非磁性支持体11の一方の主面(ここでは、上面)に形成された下塗層12と、下塗層12の非磁性支持体11側とは反対側の主面(ここでは、上面)に形成された磁性層13とを有する磁気テープである。また、非磁性支持体11の下塗層12が形成されていない側の主面(ここでは、下面)には、バックコート層14が形成されている。
<磁性層>
磁性層13は、磁性体粒子と結合剤とを含むものである。上記磁性体粒子としてはε型酸化鉄粒子が好ましい。
上記ε型酸化鉄粒子は、一般組成式ε−Fe23で表される単相で形成されていることが好ましい。α型酸化鉄やγ型酸化鉄が混入すると、磁性層の保磁力が低下するからである。但し、磁性層の保磁力が低下しない水準であれば、不純物としてα型酸化鉄やγ型酸化鉄を含んでいてもよい。
また、本実施形態において、ε型酸化鉄と、それ以外のγ型酸化鉄及びα型酸化鉄とは、X線回折によりそれらの結晶構造を解析することにより、識別できる。
上記ε型酸化鉄粒子の保磁力は、3000エルステッド〔Oe〕以上が好ましい。これにより、磁性層の厚さ方向の保磁力を3000エルステッド〔Oe〕以上とすることができる。また、一般組成式ε−Fe23で表されるε型酸化鉄粒子に不純物が含まれると、ε型酸化鉄粒子の保磁力が低下するので、不純物が含まれないことが好ましい。但し、上記ε型酸化鉄粒子は、その結晶中のFeサイトの一部をアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)等の3価の金属元素で置換することで、保磁力をコントロールすることができる。このため、上記ε型酸化鉄粒子は、保磁力が3000エルステッド〔Oe〕以上を維持できれば、不純物として鉄以外の金属元素を含んでいてもよい。
前述のとおり、上記磁性層に含まれる上記ε型酸化鉄粒子の平均粒子径は、8nm以上15nm以下に設定されていることが好ましい。上記ε型酸化鉄粒子の平均粒子径が15nmを超えると、特に短波長記録では磁気記録媒体のノイズが上昇するため、高い電磁変換特性が得られない傾向がある。
本実施形態において磁性層に含まれる磁性体粒子の平均粒子径は、磁性層の表面を、日立製作所製の走査型電子顕微鏡(SEM)“S−4800”を用い、加速電圧:2kV、倍率:10000倍(10k倍)、観察条件:U−LA100で撮影した写真より、1視野中の磁性体粒子100個を用いて、次のように決定した。
上記粒子が針状の場合は100個の粒子の平均長軸径を、上記粒子が板状の場合は100個の粒子の平均最大板径を、上記粒子が長軸長と短軸長の比が1〜3.5である球状ないし楕円体状の場合は100個の粒子の平均最大差し渡し径をそれぞれ算出して決定する。
磁性層13に含まれる結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。上記熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂等が挙げられる。また、上記熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂等が挙げられる。
磁性層13中の上記結合剤の含有量は、磁性体粒子100質量部に対して、好ましくは7〜50質量部であり、より好ましく10〜35質量部である。
また、上記結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基等と結合し架橋構造を形成する熱硬化性の架橋剤を併用することが好ましい。上記架橋剤としては、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;イソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等の水酸基を複数個有する化合物との反応生成物;イソシアネート化合物の縮合生成物等の各種のポリイソシアネートが挙げられる。上記架橋剤の含有量は、結合剤100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部である。
磁性層13は、上述した磁性体粒子及び結合剤を含有していれば、研磨剤、潤滑剤、分散剤等の添加剤を更に含有してもよい。特に、耐久性の観点から、研磨剤及び潤滑剤が好ましく用いられる。
上記研磨剤としては、具体的には、例えば、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α型酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素等が挙げられ、これらの中でも、モース硬度6以上の研磨剤がより好ましい。これらは、単独で又は複数使用してもよい。上記研磨剤の平均粒子径は、使用する研磨剤の種類にもよるが、好ましくは10〜200nmである。上記研磨剤の含有量は、磁性体粒子100質量部に対して、好ましくは5〜20質量部であり、より好ましくは8〜18質量部である。
上記潤滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドが挙げられる。上記脂肪酸は、直鎖型、分岐型、シス・トランス異性体のいずれであってもよいが、潤滑性能に優れる直鎖型が好ましい。このような脂肪酸としては、具体的には、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。上記脂肪酸エステルとしては、具体的には、例えば、オレイン酸n−ブチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸n−オクチル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸n−ブチル、ラウリン酸ヘプチル、ミリスチン酸n−ブチル、オレイン酸n−ブトキシエチル、トリメチロールプロパントリオレエート、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸s−ブチル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸ブチルセロソルブ等が挙げられる。上記脂肪酸アミドとしては、具体的には、例えば、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。これらの潤滑剤は、単独で使用してもよく、また、複数を併用してもよい。
これらの中でも、脂肪酸エステルと脂肪酸アミドとを併用することが好ましい。特に、磁性層13中の磁性体粒子、研磨剤等の固形分の総量100質量部に対して、脂肪酸エステルを0.2〜3質量部、脂肪酸アミドを0.5〜5質量部使用することが好ましい。上記脂肪酸エステルの含有量が0.2質量部未満であると、摩擦係数低減効果が小さく、3.0質量部を超えると、磁性層13がヘッドに貼り付く等の副作用を生じる虞があるからである。また、上記脂肪酸アミドの含有量が0.5質量部未満であると、磁気ヘッドと磁性層13とが相互接触することにより生じる焼き付きを防止する効果が小さくなるからであり、5質量部を超えると脂肪酸アミドがブリードアウトしてしまう虞があるからである。
また、磁性層13は、導電性及び表面潤滑性の向上を目的として、カーボンブラックを含有してもよい。このようなカーボンブラックとしては、具体的には、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等が挙げられる。カーボンブラックの平均粒子径は、好ましくは0.01〜0.1μmである。上記平均粒子径が0.01μm以上であれば、カーボンブラックが良好に分散された磁性層13を形成することができる。一方、上記平均粒子径が0.1μm以下であれば、表面平滑性に優れた磁性層13を形成することができる。また、必要に応じて、平均粒子径の異なるカーボンブラックを2種以上用いてもよい。上記カーボンブラックの含有量は、磁性体粒子100質量部に対して、好ましくは0.2〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜4質量部である。
磁性層13の表面粗さは、日本工業規格(JIS)B0601で定義されている中心線平均粗さRaとして、2.0nm未満であることが好ましい。磁性層13の表面平滑性が向上するほど、高出力が得られるが、余りに磁性層13の表面が平滑化しすぎると、摩擦係数が高くなり、走行安定性が低下する。このため、Raは1.0nm以上であることが好ましい。
次に、上記磁性層13の表面状態について説明する。図2は、図1の磁性層13の表面を走査型電子顕微鏡により観察した画像を示す模式図である。
図2において、図1の磁性層13の表面を走査型電子顕微鏡により10k倍で観察した画像20の上には、磁性層13の幅方向に平行に、長さ500nm、幅15nmの直線Wを表示し、磁性層13の長手方向に平行に、長さ500nm、幅15nmの直線Lを表示してある。ここで、直線Wが、画像20上の粒子径50nm以上の粒子21及び最大幅50nm以上の空隙22と交差せず、且つ、画像20上において、直線Wが交差する磁性体粒子23の数をN1とし、直線Lが、画像20上の粒子径50nm以上の粒子21及び最大幅50nm以上の空隙22と交差せず、且つ、画像20上において、直線Lが交差する磁性体粒子23の数をN2とした場合、N1及びN2を0.5μmで除した単位μm当たりの磁性体粒子の数をN1/0.5及びN2/0.5とすると、N1/0.5>60、且つ、N2/0.5>60の関係が成立している。これにより、磁性層13の幅方向及び長手方向において、十分な数の微細な磁性体粒子の数を確保し、且つ各磁性体粒子の均一な分布状態を得ることができ、トラック幅を1μm以下としても、良好な電磁変換特性(SN特性)を得ることができる。ここで、交差するとは、磁性体粒子の全体あるいは一部が直線W、直線Lの内部に含まれる状態のことを意味する。
磁性層13おいて、N1/0.5>60、且つ、N2/0.5>60の関係を成立させる具体的方法は、後述する本実施形態の磁気記録媒体の製造方法の説明で詳述する。
<潤滑剤層>
図1には示していないが、磁性層13の摩擦係数を低減し、磁性層13の耐久性をより向上させるため、磁性層13の上には、フッ素系潤滑剤又はシリコーン系潤滑剤を含む潤滑剤層を設けることが好ましい。上記フッ素系潤滑剤として、トリクロロフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルポリエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸等が挙げられる。上記シリコーン系潤滑剤として、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらの潤滑剤は、単独で使用してもよく、また、複数を併用してもよい。より具体的には、上記フッ素系潤滑剤としては、例えば、3M社製の“Novec7100”、“Novec1720”(商品名)を用いることができ、上記シリコーン系潤滑剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製の“KF−96L”、“KF−96A”、“KF−96”、“KF−96H”、“KF−99”、“KF−50”、“KF−54”、“KF−965”、“KF−968”、“HIVAC F−4”、“HIVAC F−5”、“KF−56A”、“KF995”、“KF−69”、“KF−410”、“KF−412”、“KF−414”、“FL”(商品名)、東レダウコーニング株式会社製の“BY16−846”、“SF8416”、“SH200”、“SH203”、“SH230”、“SF8419”、“FS1265”、“SH510”、“SH550”、“SH710”、“FZ−2110”、“FZ−2203”(商品名)を用いることができる。
上記潤滑剤層の厚さは特に限定されず、例えば、3〜5nmとすればよい。上記潤滑剤層の厚さは、前述の特開2012−43495号公報に記載のTSAを用いる方法により、上記潤滑剤層を有機溶剤で洗い流す前後の磁気記録媒体と透明体とのスペーシングの差から潤滑剤層の厚みを測定することができる。
上記潤滑剤層は、磁性層13の上に上記潤滑剤をトップコートすれば形成できる。磁性層13は、前述のように、微細な磁性体粒子が均一に充填されているため、磁性層13中に含まれる潤滑剤は、磁性層13の表面に移動しにくいが、潤滑剤を磁性層の表面に塗布するトップコートにより、確実に磁性層13の表面に潤滑剤層を形成できる。
<下塗層>
磁性層13の下には、潤滑剤の保持機能と、外部応力(例えば、磁気ヘッドによる加圧力)の緩衝機能とを有する下塗層12を設けることが好ましい。また、下塗層12を設けることにより、磁気記録媒体10の強度が高まるため、磁気記録媒体10を形成する際に、カレンダ処理を可能とし、磁性層13の充填性を向上できる。下塗層12は、非磁性粉末と結合剤と潤滑剤とを含むものである。
下塗層12に含まれる非磁性粉末としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム等が挙げられ、通常は、カーボンブラックが単独で用いられるか、カーボンブラックと、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム等の他の非磁性粉末とが混合して用いられる。厚さムラの少ない塗膜を形成して平滑な下塗層12を形成するためには、粒度分布がシャープな非磁性粉末を用いることが好ましい。上記非磁性粉末の平均粒子径は、下塗層12の均一性、表面平滑性、剛性の確保、及び導電性確保の観点から、例えば10〜1000nmであることが好ましく、10〜500nmであることがより好ましい。
下塗層12に含まれる非磁性粉末の粒子形状は、球状、板状、針状、紡錘状のいずれでもあってもよい。針状又は紡錘状の非磁性粉末の平均粒子径は、平均長軸径で10〜300nmが好ましく、平均短軸径で5〜200nmが好ましい。球状の非磁性粉末の平均粒子径は、5〜200nmが好ましく、5〜100nmがより好ましい。板状の非磁性粉末の平均粒子径は、最も大きな板径で10〜200nmが好ましい。更に、平滑且つ厚みムラの少ない下塗層12を形成するためにも、シャープな粒度分布を有する非磁性粉末が好ましく用いられる。
下塗層12に含まれる結合剤及び潤滑剤としては、前述の磁性層13に用いられる結合剤及び潤滑剤と同様のものが使用できる。上記結合剤の含有量は、上記非磁性粉末100質量部に対して、好ましくは7〜50質量部であり、より好ましくは10〜35質量部である。また、上記潤滑剤の含有量は、上記非磁性粉末100質量部に対して、好ましくは2〜6質量部であり、より好ましくは2.5〜4質量部である。
前述の磁性層13に用いる磁性体粒子がε型酸化鉄粒子の場合には、ε型酸化鉄粒子の飽和磁化量は、従来の強磁性六方晶フェライト粒子の飽和磁化量に比べて、1/2〜1/3と小さいため、記録波長が長いサーボ信号を記録する場合には、下塗層12に磁性体粒子を含有させる。上記磁性体粒子としては、例えば、針状の金属鉄系磁性粒子、板状の六方晶フェライト磁性粒子、粒状の窒化鉄系磁性粒子等を用いることができる。
下塗層12の厚さは、好ましくは0.1〜3μmであり、より好ましくは0.3〜2μmである。この厚さ範囲とすることにより、磁気記録媒体10の全厚を不要に大きくせずに、潤滑剤の保持機能と、外部応力の緩衝機能を維持できる。
<非磁性支持体>
非磁性支持体11としては、従来から使用されている磁気記録媒体用の非磁性支持体を使用できる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、アラミド等からなるフィルム等が挙げられる。
非磁性支持体11の厚さは、用途によって異なるが、好ましくは1.5〜11μmであり、より好ましくは2〜7μmである。非磁性支持体11の厚さが1.5μm以上であれば、成膜性が向上するとともに、高い強度を得ることができる。一方、非磁性支持体11の厚さが11μm以下であれば、全厚が不要に厚くならず、例えば、磁気テープの場合1巻当たりの記録容量を大きくすることができる。
非磁性支持体11の長手方向のヤング率は、好ましくは5.8GPa以上であり、より好ましくは7.1GPa以上である。非磁性支持体11の長手方向のヤング率が5.8GPa以上であれば、走行性を向上させることができる。また、ヘリキャルスキャン方式に用いられる磁気記録媒体では、長手方向のヤング率(MD)と幅方向のヤング率(TD)との比(MD/TD)は、好ましくは0.6〜0.8であり、より好ましくは0.65〜0.75であり、更に好ましくは0.7である。上記比の範囲内であれば、磁気ヘッドのトラックの入側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)を抑えることができる。リニアレコーディング方式に用いられる磁気記録媒体では、長手方向のヤング率(MD)と幅方向のヤング率(TD)との比(MD/TD)は、好ましくは0.7〜1.3である。
<バックコート層>
非磁性支持体11の下塗層12が形成されている主面とは反対側の主面(ここでは、下面)には、走行性の向上等を目的としてバックコート層14を設けることが好ましい。バックコート層14の厚さは、好ましくは0.2〜0.8μmであり、より好ましくは0.3〜0.8μmである。バックコート層14の厚さが薄すぎると、走行性向上効果が不十分となり、厚すぎると磁気記録媒体10の全厚が厚くなり、例えば、磁気テープ1巻当たりの記録容量が小さくなる。
バックコート層14は、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックを含有することが好ましい。通常、粒子径が相対的に異なる、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックとが併用される。併用する理由は、走行性向上効果が大きくなるからである。
また、バックコート層14は結合剤を含み、結合剤としては、磁性層13及び下塗層12に用いられる結合剤と同様のものを用いることができる。これらの中でも、摩擦係数を低減させ磁気ヘッドの走行性を向上させるためには、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂とを併用することが好ましい。
バックコート層14は、強度向上を目的として、酸化鉄、アルミナ等を更に含有することが好ましい。
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法について説明する。本発明の磁気記録媒体の製造方法は、例えば、各層形成成分と溶媒とを混合して、磁性層形成用塗料、下塗層形成用塗料及びバックコート層形成用塗料をそれぞれ作製し、非磁性支持体の片面に下塗層形成塗料を塗布して乾燥させて下塗層を形成した後に、その下塗層の上に磁性層形成用塗料を塗布して乾燥させる逐次重層塗布方式で磁性層を形成し、更に非磁性支持体の他方の片面にバックコート層形成用塗料を塗布して乾燥してバックコート層を形成する。その後に全体をカレンダ処理して磁気記録媒体を得る。
また、上記逐次重層塗布方式に代えて、非磁性支持体の片面に下塗層形成用塗料を塗布した後、下塗層形成用塗料が乾燥する前に、下塗層形成用塗料の上に磁性層形成用塗料を塗布して乾燥させる同時重層塗布方式を採用することもできる。
上記各塗料の塗布方法は特に限定されず、例えば、グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布等を用いることができる。
前述の磁性層おいて、N1/0.5>60、且つ、N2/0.5>60の関係を成立させる方法としては、下記の方法があり、下記の方法を単独で実施することができ、また、下記の方法を複数組み合わせて実施することができる。
(1)バッチ式混練装置の後に連続式混練装置を直列に連結して混練を行ってから分散することにより、磁性粉末の凝集を低減させる方法がある。例えば、先ずバッチ式混練装置で固形分濃度が70〜90質量%で混練し、混練終了後溶剤を添加することで固形分濃度を50〜69質量%まで希釈させて混練物を取り出し、その後固形分濃度を25〜50質量%の範囲として連続式混練装置を用いて混練処理を行って得られた混練物をサンドミルで分散する。この方法では混練終了後、混練物を取り出す際の固形分濃度を高く維持できるので、高剪断力で混練した後に溶剤を加える希釈工程で、磁性粉末の凝集を押さえることができ、磁性粉密度の高い磁性層が得られる。
(2)バッチ式混練装置で混練した後にサンドミルで分散させる方法において、混練する前に加圧予備分散処理工程を行って磁性粉末の凝集を低減させる方法がある。例えば、磁性粉末と、結合剤と、有機溶媒とを含有する固形分濃度が15質量%以下の混合液を調製する混合液調製工程、得られた混合液を、高圧噴霧衝突式分散機を用いて加圧状態でノズルから噴霧する加圧予備分散処理工程、得られた予備分散液を濃縮する濃縮工程、得られた濃縮物と結合剤とを固形分濃度が80質量%以上となる状態で混練する混練工程、得られた混練物を希釈成分で希釈する希釈工程、及び得られた固形分濃度が10〜50質量%の分散前スラリを分散メディアで分散処理する分散処理工程とを有する調製処理を行う。
上記混練工程において固形分濃度が80質量%以上となるように予備分散液を濃縮し、混練時のシェアを70N・m以上とすることが好ましい。
また、加圧予備分散処理工程で用いる高圧噴霧衝突式分散機としては、上記の混合液を高圧フランジャポンプにて加圧し、小径のノズルから混合液を放出させるチャンバを有する分散機や、対向した複数のノズルから混合液を高速高圧で噴霧させ、混合液同士を対面衝突させるチャンバを有する分散機が挙げられる。具体的には、例えば、アルティマイザー、ホモゲナイザー、ナノマイザー等が挙げられる。混合液を噴霧するときの加圧圧力は50MPa以上が好ましく、100MPa以上がより好ましい。処理回数は、分散前後の粘度差や被分散物の粒度分布、混合液のショートパス防止等を考慮して2回以上行うのがよい。分散処理工程で用いるメディア型分散機としては撹拌軸にディスク(穴開き、切り込み入り、溝付等を含む)、ピン、リングが設けられた分散機や、ロータ回転式の分散機(例えば、ナノミル、ピコミル、サンドミル、ダイノミル等)等を用いることができる。分散時間は磁性塗料の成分及び用途により異なるが、滞留時間で30〜90分が好ましい。
(3)連続式混練装置で磁性粉末に高い剪断力を加えて混練した後にバッチ式混練装置で適度な剪断力で長時間混練することによって、磁性粉末の凝集を低減させる方法がある。例えば、連続式混練装置にて第1の固形分濃度にて磁性粉末と結合剤樹脂とを混練し、磁性粉末に高い剪断力を加えてできるかぎりほぐして磁性混練物を得る混練工程と、上記連続式混練装置とこれに直列に配設されたバッチ式混練装置とを用いて上記第1の固形分濃度以下の第2の固形分濃度で混練し、ほぐされた磁性粉末の表面に剪断力を加え、バインダである結合剤樹脂を展ばした状態でできる限り吸着させて覆う再混練工程とを経て製造することができる。このとき、第1の固形分濃度が80〜90質量%の範囲、第2の固形分濃度を65〜90質量%の範囲で、混練時間を30〜240分とすることが好ましい。
この方法により磁性粉末に対し、上記連続式混練装置では高い剪断力をかけて混練することができ、また、上記バッチ式混練装置では磁性混練物に対し時間をかけながら良好に混練できるので、磁性粉への結合剤樹脂の吸着が十分に行われ、分散工程においても磁性塗料の磁性粉末をはじめ構成物の分散度が向上し、磁性粉密度の高い磁性層が得られる。
(4)上記(1)〜(3)の方法を行って混練工程での分散度を高めることにより、サンドミルにおける分散時間を短くすることができるので、ビーズの摩耗粉の混入等による汚染の発生を低減することができ、磁性粉密度のより高い磁性層が得られる。
また、サンドミル分散、希釈工程後に遠心分離機による遠心分離工程を用いることで、所定の粒子サイズの以上の磁性粉末を除去することができるので、凝集体や未分散物が除去され、均一な磁性塗料が得られる。遠心分離工程では1000〜20000Gの加速度で行うことが好ましい。
また、上記分散工程の後、衝突型分散機により更に分散される再分散工程を含ませることにより、分散性のより安定した磁性塗料が得られる。衝突型分散機としては、50〜250MPaの高圧で使用できるものが好ましい。
(5)塗布・乾燥工程において、ゆっくり乾燥させることによって緻密な磁性層を得る方法がある。特に逐次重層塗布で薄層の磁性層を塗布して乾燥させる場合には、磁性層が急速に乾燥するため溶剤の乾燥により磁性層が粗密になり易い。そこで、乾燥エリアの空気の溶剤濃度を高めて乾燥速度を遅らせて、ゆっくり乾燥させることにより、磁性粉密度の高い磁性層が得られる。
具体的には磁性層の上記塗布・乾燥工程において、磁性塗膜の表面温度の上昇が停止して略一定の温度に達するまで磁性塗膜を加熱する予熱過程と、予熱過程後に行われ上記磁性塗膜の表面温度が略一定に保たれる恒率乾燥過程と、恒率乾燥過程後に行われ上記磁性塗膜の表面温度が、上記恒率乾燥過程を行っている際の温度よりも高くなり、磁性塗膜を固化させる減率乾燥過程を行ない、恒率乾燥期間は、0.2秒以上とすることが好ましい。
(6)上記以外の方法として、磁性塗料を塗布するときの固形分濃度S/Sを高くして塗布することにより、乾燥時における蒸発する溶剤量が少なくなり、より緻密な磁性層を形成することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また、以下の説明において、「部」とあるのは「質量部」を意味する。
(実施例1)
[磁性塗料の調製]
表1に示す磁性塗料成分(1)を高速攪拌混合機で高速混合して混合物を調製した。次に、得られた混合物をサンドミルで250分間分散処理した後、表2に示す磁性塗料成分(2)を加えて分散液を調製した。次に、得られた分散液と、表3に示す磁性塗料成分(3)とをディスパを用いて撹拌し、これをフィルタでろ過して、磁性塗料を調製した。上記磁性塗料の固形分濃度S/Sは、23質量%である。
[下塗塗料の調製]
表4に示す下塗塗料成分(1)を回分式ニーダで混練することにより混練物を調製した。次に、得られた混練物と、表5に示す下塗塗料成分(2)とをディスパを用いて撹拌して、混合液を調製した。次に、得られた混合液をサンドミルで100分間分散して分散液を調製した後、この分散液と、表6に示す下塗塗料成分(3)とをディスパを用いて撹拌し、これをフィルタでろ過して、下塗塗料を調製した。
[バックコート層用塗料の調製]
表7に示すバックコート層用塗料成分を混合した混合液を、サンドミルで50分間分散して分散液を調製した。得られた分散液にポリイソシアネートを15部加えて撹拌し、これをフィルタでろ過して、バックコート層用塗料を調製した。
[評価用磁気テープの作製]
非磁性支持体(ポリエチレンナフタレートフィルム、厚さ:5μm)の上に、上記下塗塗料をカレンダ処理後の下塗層の厚さが1.1μmとなるように塗布し、100℃で乾燥して下塗層を形成した。次に、上記下塗層の上に、上記磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが55nmとなるように、ダイコータを用いてコーター張力を4.5N/インチとして塗布し、100℃で乾燥して磁性層を形成した。その後、ソレノイド磁石を用いて配向磁界(450kA/m)を印加しながら、垂直配向処理を行った。
次に、上記バックコート層用塗料を、非磁性支持体の上記下塗層及び上記磁性層が形成された面とは反対側の面上に、カレンダ処理後の厚さが0.5μmとなるように塗布し、100℃で乾燥してバックコート層を形成した。
その後、上記非磁性支持体の上面側に下塗層及び磁性層が形成され、下面側にバックコート層が形成された原反ロールを、7段の金属ロールを有するカレンダ装置で温度100℃、線圧300kg/cmでカレンダ処理した。
最後に、得られた原反ロールを60℃で48時間硬化処理し、磁気シートを作製した。この磁気シートを1/2インチ幅に裁断して評価用磁気テープを作製した。
(実施例2)
実施例1で作製した磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが135nmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(実施例3)
表1に示す磁性塗料成分(1)のε−Fe23磁性粉末の平均粒子径を12nmに変更し、変更後の磁性塗料成分(1)を高速攪拌混合機で高速混合して混合物を調製した。次に、得られた混合物をサンドミルで250分間分散処理した後、更に衝突型分散機により再分散処理を行った。その後は実施例1と同様に表2に示す磁性塗料成分(2)を加えて分散液を調製した。次に、得られた分散液と、表3に示す磁性塗料成分(3)とをディスパを用いて撹拌し、これをフィルタでろ過して、磁性塗料を調製した。
上記磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが85nmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(実施例4)
実施例1で作製した磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが85nmとなるように塗布し、100℃で乾燥して磁性層を形成した後、ソレノイド磁石を用いて配向磁界(900kA/m)を印加しながら、垂直配向処理を行った以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(実施例5)
表1に示す磁性塗料成分(1)のε−Fe23磁性粉末の平均粒子径を16nmに変更した以外は、実施例1と同様にして磁性塗料を調製した。上記磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが85nmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(実施例6)
実施例1で作製した磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが85nmとなるように塗布し、100℃で乾燥して磁性層を形成した後、ソレノイド磁石を用いて配向磁界(300kA/m)を印加しながら、垂直配向処理を行った以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(実施例7)
実施例1で作製した磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが85nmとなるように塗布し、非磁性支持体の上面側に下塗層及び磁性層が形成され、下面側にバックコート層が形成された原反ロールを、7段の金属ロールを有するカレンダ装置で温度90℃、線圧300kg/cmでカレンダ処理した以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(比較例1)
実施例1で作製した磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが43nmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(比較例2)
実施例1で作製した磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが150nmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(比較例3)
実施例1で作製した磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが85nmとなるように塗布し、100℃で乾燥して磁性層を形成した後、ソレノイド磁石を用いて配向磁界(100kA/m)を印加しながら、垂直配向処理を行った以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(比較例4)
表1に示す磁性塗料成分(1)のε−Fe23磁性粉末の平均粒子径を18nmに変更した以外は、実施例1と同様にして磁性塗料を調製した。上記磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが85nmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(比較例5)
表2に示す磁性塗料成分(2)の溶剤成分であるシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、トルエンの量を、各々100部に変更して、磁性塗料の固形分濃度S/Sを20質量%とし、ダイコータのコーター張力を2.5N/インチとして上記磁性塗料を塗布した以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。
(比較例6)
表1に示す磁性塗料成分(1)のε−Fe23磁性粉末の平均粒子径を12nmに変更し、表2に示す磁性塗料成分(2)の溶剤成分であるシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、トルエンの量を、各々100部に変更して、磁性塗料の固形分濃度S/Sを20質量%とした以外は、実施例1と同様にして磁性塗料を調製した。上記磁性塗料をカレンダ処理後の磁性層の厚さが85nmとなるように、ダイコータのコーター張力を2.5N/インチとして塗布した以外は、実施例1と同様にして評価用磁気テープを作製した。なお、比較例6では、実施例3と同様にε−Fe23磁性粉末の平均粒子径を12nmと小さくしたが、実施例3と異なり衝突型分散機による再分散処理は行わなかった。
次に、作製した評価用磁気テープを用いて以下の特性を測定した。
<磁性層の厚さ方向のMr・t、保磁力及び角形比>
東英工業社製の振動試料型磁力計“VSM−P7型”(製品名)を用いて、評価用磁気テープのヒステリシス曲線を求めた。上記ヒステリシス曲線から磁性層の厚さ方向のMr・t、保磁力及び角形比を求めた。具体的には、評価用磁気テープを直径8mmの円形に切断して切断サンプルとし、その切断サンプルを、磁気テープの厚さ方向を外部磁場の印加方向に揃えて20枚積層して測定サンプルとした。振動試料型磁力計からのデータのプロットモードとしては、印加磁界を−16kOe〜16kOeとし、時定数TCを0.03sec、描画ステップを6ビット、ウエイトタイムを0.3secと設定した。
<N1/0.5及びN2/0.5>
磁性層の表面を、日立製作所製の走査型電子顕微鏡(SEM)“S−4800”を用い、加速電圧:2kV、倍率:10000倍(10k倍)、観察条件:U−LA100で撮影した写真の上に、図2に示すように前述の直線W及び直線Lを表示して、前述の方法によりN1及びN2を求め、これらの値からN1/0.5及びN2/0.5を求めた。
具体的には、磁性層表面の異なる場所で10k倍の画像を5視野、合計5枚撮影し、各画像毎に直線W、直線Lを1本ずつ表示し、各5本の直線WのN1の平均値を0.5μmで除した値をN1/0.5とし、各5本の直線LのN2の平均値を0.5μmで除した値をN2/0.5とした。
<磁性層のスペーシング>
Micro Physics社製のTSA(Tape Spacing Analyzer)を用いて、磁性層の表面をn−ヘキサンで洗浄した後のスペーシングを測定した。
具体的には、ウレタン製の半球で磁性層をガラス板に押し付ける圧力は0.5atm(5.05×104N/m)とした。この状態でストロボスコープから白色光を、ガラス板を通して評価用磁気テープの磁性層側表面の一定領域(240000〜280000μm2)に照射し、そこからの反射光を、IFフィルタ(633nm)及びIFフィルタ(546nm)を通してCCDで受光することで、この領域の凹凸で生じた干渉縞画像を得た。
次に、この画像を66000ポイントに分割して各ポイントのガラス板から磁性層表面までの距離を求めてこれをヒストグラム(度数分布曲線)とし、更にローパスフィルタ(LPF)処理によって滑らかな曲線として、そのピーク位置のガラス板から磁性層表面までの距離をスペーシングとした。
また、上記スペーシングの計算に用いた磁性層表面の光学定数(位相、反射率)は、大塚電子社製の反射分光膜厚計“FE−3000”を用いて測定し、波長546nm付近の値を用いた。
n−ヘキサンによる洗浄は、評価用磁気テープをn−ヘキサンに浸漬して室温で30分間超音波洗浄することにより行った。
<出力特性>
LTOドライブを改造して作製したリニアテープ電磁変換特性測定装置を用いて、これに、書込みトラック幅5μm、読み出しトラック幅2.3μmの誘導型/GMR複合磁気ヘッドを取り付け、テープ速度1.5m/secで、記録波長200nm(G7×1.05倍の線記録密度)の信号を磁気テープに記録して評価した。
この装置は、磁気ヘッドを2か所取り付けられる走行系になっており、上記磁気ヘッドを2台取り付けた。磁気ヘッドはトラック幅方向に移動可能な精密ピエゾステージ(移動分解能10nm)に載っており、上流側の磁気ヘッドで信号の記録、下流側の磁気ヘッドで交流消去を1回の走行で行い、上流側の磁気ヘッドと下流側の磁気ヘッドとをトラック幅方向に0.8μmオフセットさせることによって磁気テープ上に磁化幅0.8μmの信号を作成した。
次いで、再び磁気テープを走行させて信号を再生し、再生した信号を市販のMRヘッド用Readアンプで増幅した後、キーサイト・テクノロジー社(旧アジレントテクノロジー社)製のスペクトラムアナライザー“N9020A”を用いて、信号の基本波成分出力(S)とその2倍の周波数までの積分ノイズ(N)とを測定した。以上の結果を、比較例1のS/N比を基準(0dB)として、相対値(dB)で示した。
<磁性層の幅方向の磁化の長さ>
上記出力特性の測定時に磁性層に記録された信号の、幅方向の磁化の長さを次のようにして測定した。即ち、磁気力顕微鏡として、デジタルインスツルメント社製の“Nano Scope III”を用い、周波数検出法により、信号が記録された磁性層の幅方向の磁化の長さを測定した。測定プローブには、コバルトアロイコートを有するプローブ(先端曲率半径:25〜40nm、保磁力:約400〔Oe〕、磁気モーメント:約1×10-13emu)を用い、走査範囲は5μm四方、走査速度は5μm/secとした。
以上の評価結果を表8及び表9に示す。
表8及び表9から、本発明に係る実施例1〜7のSN比は、比較例1〜6に比べて高いことが分かる。
実施例1では、磁性体粒子の密度を高めるために、磁性塗料成分(2)の溶剤成分であるシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、トルエンの量を、各々従来の100部から65部に減らして、塗布時の固形分濃度S/Sを従来の20質量%から23質量%に高めて塗布を行った。固形分濃度S/Sを高くすることにより磁性塗料の粘度が高くなり、薄層に磁性層を塗布することが難しくなるが、塗布機の高精度化を図り、コーター張力を、従来の2.5N/インチから4.5/インチに高くして塗布することにより、薄層で均一な磁性層を得た。
このように固形分濃度S/Sを高くして塗布することにより、乾燥時における蒸発する溶剤量が少なくなり、ε−Fe23磁性粒子のような微粒子粉末においても緻密な磁性層を得ることができた。
実施例2では、実施例1に比べて磁性層の厚さを約2.5倍に厚くしたため、Mr・tの値が大きくなり、また、磁性層が厚いため磁性層の表層がダイリップから長手方向に滑らかにシェアが加わるために、長手方向の磁性層が緻密になり、N2/0.5は上昇した。
実施例3では、実施例1に比べて磁性層の厚さを約1.5倍に厚くしたため、Mr・tの値が大きくなり、磁性塗料について衝突型分散機により再分散処理を行ったため、磁性体粒子の分散性が向上し、N1/0.5及びN2/0.5が上昇した。
実施例4では、実施例1に比べて磁性層の厚さを約1.5倍に厚くしたため、Mr・tの値が大きくなり、実施例1に比べて配向磁界の強度を上昇させたため、角形比が上昇した。
実施例5では、実施例1に比べて磁性層の厚さを約1.5倍に厚くしたため、Mr・tの値が大きくなり、実施例1に比べて平均粒子径が大きいε−Fe23磁性粉末を用いたため、N1/0.5及びN2/0.5が低下した。
実施例6では、実施例1に比べて磁性層の厚さを約1.5倍に厚くしたため、Mr・tの値が大きくなり、実施例1に比べて配向磁界の強度を低下させたため、角形比及び保磁力が低下した。
実施例7では、実施例1に比べて磁性層の厚さを約1.5倍に厚くしたため、Mr・tの値が大きくなり、実施例1に比べてカレンダ温度が低下したため、TSAスペーシングが大きくなった。
比較例1では、実施例1に比べて磁性層の厚さを薄くしたため、Mr・tの値が小さくなった。
比較例2では、実施例1に比べて磁性層の厚さを約2.7倍に厚くしたため、Mr・tの値が大きくなり、0.0032μT・mを超えた。
比較例3では、実施例1に比べて磁性層の厚さを約1.5倍に厚くしたため、Mr・tの値が大きくなり、実施例1に比べて配向磁界の強度を低下させたため、角形比が低下した。
比較例4では、実施例1に比べて磁性層の厚さを約1.5倍に厚くしたため、Mr・tの値が大きくなり、実施例1に比べて平均粒子径が大きいε−Fe23磁性粉末を用いたため、N1/0.5及びN2/0.5が低下し、それぞれ60を下回った。
比較例5では、実施例1に比べて磁性塗料の固形分濃度S/Sが低下したため、乾燥工程において蒸発する溶媒量が増加し、その結果、磁性層がやや粗密になり、N1/0.5及びN2/0.5が低下し、それぞれ60を下回った。
比較例6では、実施例3と同様に平均粒子径が小さいε−Fe23磁性粉末を用いたが、衝突型分散機による再分散処理を行わなかったため、微粒子の磁性粉末を十分に分散することができず、更に実施例1に比べて磁性塗料の固形分濃度S/Sが低下したため、乾燥工程において蒸発する溶媒量が増加し、その結果、磁性層がやや粗密になり、N1/0.5及びN2/0.5が低下し、それぞれ60を下回った。
本発明の磁気記録媒体は、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体として利用可能である。
10 磁気記録媒体(磁気テープ)
11 非磁性支持体
12 下塗層
13 磁性層
14 バックコート層

Claims (7)

  1. 非磁性支持体と、磁性体粒子を含む磁性層とを備える磁気記録媒体であって、
    前記磁性層の厚さ方向の残留磁束密度をMr、前記磁性層の平均厚さをtとすると、0.0013μT・m<Mr・t<0.0032μT・mであり、
    前記磁性層の厚さ方向の角形比が、0.65以上であり、
    前記磁性層の表面を走査型電子顕微鏡により10k倍で観察した画像上において、前記磁性層の幅方向に平行に、長さ500nm、幅15nmの直線Wを表示し、前記磁性層の長手方向に平行に、長さ500nm、幅15nmの直線Lを表示し、
    前記直線Wが、前記画像上の粒子径50nm以上の粒子及び最大幅50nm以上の空隙と交差せず、且つ、前記画像上において、前記直線Wが交差する磁性体粒子の数をN1とし、
    前記直線Lが、前記画像上の粒子径50nm以上の粒子及び最大幅50nm以上の空隙と交差せず、且つ、前記画像上において、前記直線Lが交差する磁性体粒子の数をN2とした場合、
    N1及びN2を0.5μmで除した単位μm当たりの磁性体粒子の数をN1/0.5及びN2/0.5とすると、N1/0.5>60、且つ、N2/0.5>60の関係が成立することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記磁性層に記録された信号の磁化の長さであって前記磁性層の幅方向の前記磁化の長さを1μm以下とした場合、TMRヘッドで再生される請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記磁性体粒子は、ε型酸化鉄からなる請求項1又は2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記ε型酸化鉄からなる磁性体粒子の平均粒子径が、15nm以下である請求項3に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記磁性層の厚さ方向の保磁力が、3000エルステッド〔Oe〕以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記磁性層の表面をn−ヘキサンで洗浄した後の前記磁性層の表面のスペーシングをTSA(Tape Spacing Analyzer)で測定したとき、前記スペーシングの値は、5nm以上12nm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記磁性層の厚さが、30nm以上200nm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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