JPH11283237A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

Info

Publication number
JPH11283237A
JPH11283237A JP8331898A JP8331898A JPH11283237A JP H11283237 A JPH11283237 A JP H11283237A JP 8331898 A JP8331898 A JP 8331898A JP 8331898 A JP8331898 A JP 8331898A JP H11283237 A JPH11283237 A JP H11283237A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic layer
magnetic
recording medium
magnetic recording
medium according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8331898A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Ochi
誠 越智
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP8331898A priority Critical patent/JPH11283237A/ja
Publication of JPH11283237A publication Critical patent/JPH11283237A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波での出力が高く、高密度記録に適し、
かつ、耐久性に優れ、生産性の優れた磁気記録媒体およ
びその製造方法の提供。 【解決手段】 可撓性非磁性支持体上に接して磁性層が
形成され、該磁性層が、強磁性粉末、モース硬度7以上
の研磨剤、カーボンブラックおよび結合剤を含有し、膜
厚が0.4μm以下、磁性層表面に露呈した研磨剤の露
呈平均高さが0.015〜0.06μmで、かつ、磁性
層表面平均粗さRaが2〜8nmであることを特徴とす
る磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関
し、高密度記録に適した高周波における出力が高く、耐
久性に優れ、良好な生産性を有する磁気記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年磁気記録媒体は高密度化が進み、記
録波長も短くなっている。この高密度化の要求に対し、
磁性層に金属薄膜を用いた磁気記録媒体が検討されてい
るが、生産性、耐久性、腐食性等の点で現在のとろこ塗
布型の磁気記録媒体が優れている。このため、塗布型磁
気記録媒体の電磁変換特性を向上するための検討が行わ
れている。高周波数での記録においては、記録時の自己
減磁損失、再生時の厚み損失の問題が大きくなってお
り、この問題を回避するためには塗布厚を薄くする必要
がある。しかし、磁性層の膜厚を単純に薄くすることは
耐久性、表面性を劣化させることになる。このため、従
来から磁性粉末を含有する層を上層とし、非磁性粉末を
含有する下層とを設けた重層構造の磁気記録媒体が提案
されている(例えば特開昭62−159338号、特開
昭62−154225号公報)。しかしながら、従来の
技術では高密度記録に十分な電磁変換特性と生産性とを
同時に得ることはできなかった。
【0003】特開平8−30957号公報には同時二層
塗布方式で磁性層の厚みを0.07〜0.20とした二
層磁気記録媒体を提案している。しかし、同時二層塗布
法では、磁性層膜厚が薄いと磁性粉がある程度下層と混
ざり、磁性粉の密度が低くなり、十分な電磁変換が得ら
れなくなる。更に磁性層中の無機フィラーが下層まで沈
殿し界面が荒れ、電磁変換特性が低下するほか、界面の
荒れが表面に影響を及ぼし、満足できる表面性が得にく
い問題がある。特開平8−293119号公報には非磁
性下地層を塗布、乾燥させた後、乾燥厚みが1.0μm
以下になるように磁性層を塗布して形成することが提案
されている。このような逐次二層塗布方式では、界面荒
れ、磁性層中の無機フィラーの沈殿は起きにくいが、生
産性が低下する。さらに、工程が増えることで、エラー
も増え、歩留まりも悪くなる。このように従来提案され
ているものは、界面荒れ、耐久性、生産性等の点に未だ
解決すべき点を残している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高周波での
出力が高く、高密度記録に適し、かつ、耐久性、生産性
に優れた磁気記録媒体およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記問題を解
決する為に鋭意検討した結果、薄膜磁性層単層でも磁性
層表面に露呈するアルミナ粒子の突起高さ、平均表面粗
さを特定することで、耐久性、電磁変換特性、生産性の
問題を同時に解決できることを見い出し、本発明を完成
させた。すなわち、本発明では、磁性粉面が平滑であり
ながら適度に研磨剤を突起させることでヘッド媒体間の
スペーシングをコントロールし、耐久性と電磁変換特性
を向上させ、更に単層塗布とすることで生産性も向上さ
せるものである。
【0006】すなわち、本発明は、 可撓性非磁性支持体上に接して磁性層が形成され、該
磁性層が強磁性粉末、モース硬度7以上の研磨剤、カー
ボンブラックおよび結合剤を含有し、膜厚が0.4μm
以下、磁性層表面に露呈した研磨剤の露呈平均高さが
0.015〜0.06μmで、かつ、磁性層表面平均粗
さRaが2〜8nmであることを特徴とする磁気記録媒
体、および、 可撓性非磁性支持体上に、沸点が150℃以上の溶剤
を20重量%以上含む溶媒を用いて流動化した磁性層形
成用塗布剤を塗布して、請求項1記載の磁気記録媒体を
得ることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を提供す
るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係わる磁気記録媒体は、
可撓性非磁性支持体上に磁性層を積層したものである。
本発明に係わる磁気記録媒体の可撓性非磁性支持体とし
ては、従来からこの用途に用いることが提案されている
任意のものを用いることが出来る。その代表的なものと
しては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセ
テート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導
体、アラミド、ポリカーボネート等が挙げられる。非磁
性支持体の形態は、通常はフィルム状、テープ状等であ
る。
【0008】その厚みは70μm以下であることが好ま
しい。非磁性支持体が厚すぎると剛性が高くなりすぎて
ヘッドのペネトレーションが悪くなり、磁性変換特性が
劣化するという問題が起こる可能性がある。尚、非磁性
支持体と非磁性下地層との接着性を改善するために、非
磁性支持体には非磁性下地層を形成する前に、例えばコ
ロナ放電処理や、アミン水溶液、トリクロル酢酸、フェ
ノール類等の表面改質剤による表面処理を施すことも好
ましい手段である。
【0009】本発明において可撓性非磁性支持体面に存
在する磁性層の厚みは0.4μm以下、好ましくは0.
3μm以下とされる。0.4μmより厚い場合、自己減
磁損失、厚み損失などの問題で、高密度記録には適当で
ない。磁性層の表面の中心線平均粗さRaは2〜8nm
とされる。2nmより小さくするためには、磁性層中の
研磨剤添加量を少なくする必要があり、耐久性が劣化
し、9nm以上になると適当な電磁変換特性を得ること
が出来なくなる。本発明において磁性層への最大記録密
度は40kftpi以上、好ましくは50kftpi以
上とされる。かかる高密度記録においては、前記の膜厚
問題が大きくなるほか、界面荒れ、表面荒れが電磁変換
特性への影響が大きくなり、それ等が小さい本発明はそ
の効果が発揮される。
【0010】磁性層は強磁性粉末、研磨剤、カーボンブ
ラック及び結合剤を含有していることが必要である。強
磁性粉末としては、BET法による比表面積が40m2
/g以上、保磁力Hcが1500〜3000Oe、飽和
磁化130〜180emu/g、結晶子サイズ400オ
ングストローム以下の強磁性金属粉末のもの、もしくは
BET法による比表面積が35m2 /g以上、平均粒径
が50nm以下、保磁力が1800Oe以上の板状強磁
性粉末が用いられる。強磁性粉末は磁性層中に50〜9
0重量%、特に60〜80重量%となるように含有させ
るのが好ましい。強磁性粉末の占める割合が小さいと記
録密度を高めることが困難である。逆に強磁性粉末の占
める割合が大きくなりすぎると、磁気記録媒体の耐久性
が低下しやすい。
【0011】本発明において研磨剤としてはα−アルミ
ナ、β−アルミナ、γ−アルミナが好ましい。市販品と
しては例えば、住友化学社のAKP−20、AKP−3
0、AKP−50、HIT−50、HIT−100など
がある。アルミナは平均粒径が0.1〜0.4μmのも
のを用いることが好ましい。0.1μm未満では必要な
耐久性を確保するためには大量のアルミナ粒子を磁性層
中に含有させることが必要であり、得られる磁気記録媒
体の電磁変換特性を悪化させることになる。逆に0.4
μmを越えると、露呈しているアルミナの突起高さが高
くなりすぎ、ヘッドと磁性層表面のスペーシングが大き
くなり電磁変換特性の劣化を招きやすい。
【0012】磁性層表面に露呈しているアルミナ粒子の
露呈部の平均高さは0.015〜0.060μmが好ま
しい。露呈部平均高さが0.15μm未満ではアルミナ
粒子以外の磁性層部分とヘッドが接触しやすくなり、耐
久性が低下する他、摩擦係数が大きくなって走行性が低
下する。逆に露呈部平均高さが0.06μmを越える
と、アルミナ粒子の脱離が生じて磁性層に傷がつきやす
くなることに加えて、ヘッドと磁性層との距離が大きく
なり電磁変換特性が変化することがある。なお、磁性層
表面に占めるアルミナ粒子の露呈部の高さは、例えばエ
リオニクス社製のESA−3000を用いて測定するこ
とができる。
【0013】なお、磁性層には所望ならばアルミナと共
に、または単独でモース硬度7以上の他の無機粒子を含
有させることもできる。このような無機粒子としては、
α−酸化鉄、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化チタン、二
酸化ケイ素、酸化スズ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫
酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、酸化
タングステン、炭化ケイ素、酸化クロム等が挙げられ
る。市販品としては、戸田工業社製のTF−100、T
F−120、TF−140、石原産業社製のFT−10
00、FT−2000、チタン工業社製のSTT−4
D、STT−30、STT−65C、日本化学工業社製
のS−1、G5、G7などが挙げられ、これらのうちで
も比較的硬度の高いものが好適に使用される。
【0014】磁性層にはカーボンブラックを含有させる
が、その少なくとも一部は一次粒子径が70〜400n
mのものが好ましい。カーボンブラックはBET法によ
る比表面積が5〜25m2 /g、DBP吸油量が50c
c/100g以下であることが望ましい。すなわち粒径
が大きくストラクチャーを有さないカーボンブラックで
あるのが好ましく、特にサーマルブラックが好ましい。
このようなカーボンブラックとしては、旭カーボン社の
旭サーマル、コロンビアンカーボン社のSevacar
b MT−CI等がある。本発明はこのような大粒径の
カーボンブラックを磁性層中に存在させて、その一部を
磁性層表面に露呈させる。露呈したカーボンブラックは
固体潤滑剤として機能するので、磁気記録媒体の摩擦係
数が極めて低くなり耐久性、走行性が改善される。カー
ボンブラックは磁性層表面に5〜50個/100μm2
露呈させるのが好ましい。露呈数が多すぎても少なすぎ
ても所望の性能の改善効果が低下する。
【0015】結合剤としては支持体との密着性や耐摩耗
性に優れた樹脂で、ガラス転移点が−100〜150
℃、数平均分子量1000〜150000程度の樹脂が
好ましい。通常使用される樹脂としては例えば、ポリウ
レタン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースアセテート
ブチレート、セルロースジアセテート、ニトロセルロー
ス等のセルロース誘導体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共
重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン系共重合体、塩化
ビニル−アクリル系共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ス
チレン−ブタジエン共重合体等の各種合成ゴム、エポキ
シ樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独で
または2種以上を混合して使用される。結合剤は、磁性
層中の含有量が2〜40重量%、特に5〜25重量%と
なるように使用するのが好ましい。
【0016】また、架橋剤と反応させるため、結合剤が
燐酸基を含有することが好ましい。尚、磁性層の結合剤
は、架橋剤例えばイソシアネート基を複数個有する低分
子量ポリイソシアネート化合物と反応して、磁性層内に
三次元網目構造を形成するものが好ましい。これにより
その機械的強度を向上させることができる。このような
架橋剤として作用する低分子量ポリイソシアネート化合
物としては例えばトリレンジイソシアネートのトリメチ
ロールプロパン付加体等が挙げられる。このような低分
子量ポリイソシアネート化合物は、結合剤に対して10
〜50重量%の割合で使用するのが好ましい。更に架橋
するため、磁性層中にアジリジン基を含有する架橋剤を
含み、且つ燐酸基を有する分散剤または/および結合剤
を含有することも好ましい方法である。磁性層中にイソ
シアネート基とアジリジン基およびリン酸基を有する化
合物を同時に含ませることにより飛躍的に磁性層の強度
を高めることができる。
【0017】磁性層中には更に分散剤、潤滑剤、帯電防
止剤など、常用の種々の添加剤を含有させることが出来
る。例えば分散剤としては、ポリエーテルリン酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルリン酸エステ
ルなどのようなリン酸エステル基を有するものを用いる
のが好ましい。このようなリン酸エステル基含有の分散
剤としては、ホスファチジルコリン(レシチン)、RE
−610(東邦化学社製品)、PW−36(楠元化成社
製品)等がある。なお、分散剤としては、リン酸エステ
ル基を含有するものに加えて、カプリン酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸等の炭素数
12〜18の脂肪酸、これらのアルカリ金属またはアル
カリ土類金属塩、すなわち金属石鹸等を併用するのも好
ましい。分散剤は磁性層中に0.1〜10重量%、特に
1〜5重量%となるように存在させるのが好ましい。
【0018】潤滑剤としては、例えば脂肪酸エステル系
のものを、磁性金属粉末100重量部に対して3.0〜
15.0重量部、好ましくは5.0〜15.0重量部と
なるように磁性層中に存在させる。3.0重量部未満で
は耐久性が不十分となりやすい。また磁性塗布剤の粘度
が高くなり、分散性や作業性が低下することもある。逆
に磁性層中での存在量が15重量部を越えると、一般に
ヘッドが潤滑剤で汚れやすくなる。脂肪酸エステル以外
の潤滑剤としては、通常は脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪
酸アミド、脂肪族アルコール等の脂肪族系のものが、脂
肪酸エステルに代えてまたは脂肪酸エステルと共に用い
られる。例えば脂肪酸としては、例えばオレイン酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ベヘン酸等が用いられ、その使用量は通常、強磁性
金属粉末に対し、0.1〜10重量部、好ましくは1〜
5重量部である。使用量が少ないと走行性が低下しやす
く、逆に多すぎると耐久性劣化や出力低下が生じやすく
なる。
【0019】帯電防止剤としては、カーボンブラック、
金属やその導電性化合物、サポニン等の天然界面活性
剤、アルキレンオキサイド系、グリセリン系等のノニオ
ン界面活性剤、高級アルキルアミン類、第4級アンモニ
ウム塩類、ピリジニウム環、その他の含窒素複素環を含
むカチオン界面活性剤、カルボン酸基、スルホン酸基、
燐酸基、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基を
含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン
酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類等
の両性界面活性剤等が使用される。
【0020】これらの界面活性剤は、所望ならば2種以
上混合して用いてもよい。カーボンブラックとしては、
アセチレンブラック、カラー用ブラック、ファーネスブ
ラック等を用いることができる。例えば、キャボット社
製のBLACKPEARLS、2000、1000、9
00、800、VULCAN XC−72、コロンビア
ンカーボン社製のRAVEN 8800、8000、7
000、三菱化学社製の#3750B、#3750、#
3250B、#3250、#950、#850B、#6
50B、#45、#40、#5、MA−77、MA−7
等が挙げられる。カーボンブラックも所望ならば2種以
上混合してもよい。また、カーボンブラックの表面を分
散剤等で処理したり、一部をグラファイト化して用いて
もよい。金属の導電性化合物としては、酸化スズ、イン
ジウムスズ酸化物等を用いることができる。帯電防止剤
は、通常、磁性層中に0.1〜10重量%となるように
存在させる。
【0021】本発明に係わる磁気記録媒体は、上述の各
成分をそれぞれ適宜の溶剤と共に混合、混練、分散して
均一な塗料とし、これを可撓性非磁性支持体上に塗布す
ることにより製造される。溶剤としては、例えばメチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素類、
ヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられるが、本発
明のごとく薄膜塗布を行う場合は、膜が十分にレベリン
グする時間がある程度必要なため、沸点が高い溶媒が含
まれることが好ましい。好ましくは、150℃以上であ
る溶剤が全溶媒中の20重量%以上含まれる。このよう
な溶媒としては、シクロヘキサノンが挙げられる。
【0022】磁性層を形成する塗料及び非磁性下地層を
形成する塗料の作成は、常法に従って行うことができ
る。しかし磁性層を形成する磁性塗料の調整に際して
は、強磁性金属粉末とアルミナ粒子は別々に分散するこ
とが好ましい。通常は強磁性金属粉末、カーボンブラッ
ク、結合剤及び溶剤からなる液を混練および分散した物
に、アルミナ、結合剤及び溶剤を別途混練および分散し
たものを混合分散するのが好ましい。なぜならば、アル
ミナ粒子と強磁性金属粉末では分散条件が異なるので、
強磁性金属粉末が良好に分散する条件では、アルミナは
分散が進みすぎるからである。逆にアルミナが良好に分
散する条件下では強磁性金属粉末やカーボンブラックの
分散が不十分となりやすい。そしてこのような磁性塗料
を用いて製造した磁気記録媒体は、電磁変換特性、耐久
性などの多くの点で所望の性能を発現しないことが多
い。
【0023】磁性層の形成は、グラビア塗布、ロール塗
布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布等、常用の
塗布装置を用いて常法に従って行うことができる。磁性
層塗布後、乾燥機内で50〜100℃で乾燥するが、乾
燥厚みを0.4μm以下にするよう、塗布厚を制御す
る。磁性層が厚くなると、自己減磁損失、厚み損失など
の点で、一般に高密度記録に適さなくなる。また、磁性
層は通常は乾燥させる前に斜め磁場、交流磁場などの磁
場を印加して磁場配向させる。また乾燥後はカレンダ処
理をして表面を平滑化する。カレンダ処理ロールとして
は耐熱性のある合成樹脂製のものを用いるが、金属ロー
ルを用いることもできる。処理温度は70〜120℃が
好ましく、線圧力は200〜500kg/cmが好まし
い。なお、塗料が架橋剤を含有している場合は、50℃
〜70℃に24〜160時間保持してキュアリングを行
って結合剤と架橋剤との架橋反応を行わせる。
【0024】
【実施例】以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に
説明するが本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。尚、実施例中「部」との
表示は「重量部」を表す。
【0025】実施例1:磁性層を調製するため、下記の
材料組成物を混練した後、サンドミルで分散し、塗布剤
を作成した。但し、アルミナは別途分散して両者を合せ
た。得られた液にポリイソシアネート(TDI 三菱化
学(株)製AD30)を5重量部とポリアジリジン系硬
化剤(日本触媒社製:ケミタイトPZ−33)を加えた
後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過
した。得られた塗液を厚さ32μmのポリエチレンテレ
フタレートフィルムにエクストルージョン方式で0.3
μmの乾燥厚で塗布した。この後、カレンダー(100
℃)を加えたシートより磁気ディスクを作製した。
【0026】 磁性層用塗布剤組成 金属磁性粉 100部 (Fe/Co=80/20, σs=158emu/g, Hc=2350 Oe, BET=60m2/g, 結晶子サイズ 150オングストローム) 塩化ビニル系共重合体 15部 ポリエステルポリウレタン樹脂(燐酸基含有) 3部 α−アルミナ(平均粒径0.3 μm) 10部 カーボンブラック 6部 (平均一次粒子径25nm, BET=130m2/g, DBP吸油量=65ml/100g) カーボンブラック 3部 (平均一次粒子径350nm, BET=8m2/g, DBP吸油量=7ml/100g) トリデシルステアレート 9部 オレイン酸 2部 メチルエチルケトン 170部 シクロヘキサノン 170部
【0027】実施例2:実施例1の磁性層組成に比較
し、強磁性金属磁性粉が、Fe/Co=90/10、σ
s=138emu/g、Hc=1700 Oe、BET
=48m2 /g、結晶子サイズ140オングストローム
とし、その他の項目は同じになるようにしてディスクを
作製した。 実施例3:実施例1の磁性層組成に比較し、磁性層膜厚
を0.1μmとし、平均粒径0.1μmのアルミナを用
い、その他の条件は同じになるようにしてディスクを作
製した。 実施例4:実施例1の組成で、トリデシルステアレート
の量を3重量部とし、その他の条件は同じになるように
してディスクを作製した。 実施例5:実施例1の組成からポリアジリジン系硬化剤
を抜き、その他の条件は同じになるようにしてディスク
を作製した。
【0028】実施例6:実施例1の組成の磁性粉の代わ
りに、Ba・Fe12019、σs=56emu/g、
Hc=2000 Oe、BET法による比表面積=43
2 /g、平均粒径36nm、板状比3の六方晶板状磁
性粉末を用い、膜厚を0.2μmとし、更に配合量を1
30%としてその他の項目は同じになるようにしてディ
スクを作製した。 比較例1:実施例1の磁性層に比較し、磁性層厚みを
0.5μmとし、ディスクを作製した。 比較例2:実施例1の磁性層に比較し、研磨剤分散時間
を通常の3倍とし、その他の項目は同じになるようにし
てディスクを作製した。
【0029】比較例3:非磁性支持層上にカーボンブラ
ック(平均一次粒子径25nm、BET=130m2
g、DBP吸油量=65ml/100g)と結合剤(ポ
リエステルポリウレタン 重量平均分子量20000)
からなる非磁性下地層を設け乾燥した後、実施例6の組
成の磁性粉の代わりに、Ba・Fe12019、σs=
50emu/g、Hc=900 Oe、BET法による
比表面積=30m2 /g、平均粒径36nm、板状比3
の六方晶板状磁性粉末を用い、さらにポリアジリジン系
硬化剤を抜き、磁性層厚みを0.15μmとして、その
他の項目は同じになるようにしてディスクを作製した。 比較例4:非磁性支持層上にカーボンブラック(平均一
次粒子径25nm、BET=130m2 /g、DBP吸
油量=65ml/100g)と無機粒子(ヘマタイト
長軸長0.15μm、BET=52m2 /g)と結合剤
(ポリエステルポリウレタン 重量平均分子量2000
0)からなる非磁性下地層を設け、乾燥した後実施例1
の磁性層を作製し、ディスクを作製した。
【0030】以上のようにして得られた実施例1〜6、
比較例1〜4の10種の磁気記録媒体について、アルミ
ナ表面突起高さ、電磁変換特性、耐久性の評価を行っ
た。その結果をまとめて表1、表2に示す。表1、表2
からも明らかなように本発明の磁気記録媒体は耐久性に
優れ、優れた電磁変換特性を有し、更に生産性が良好で
ある。
【0031】
【表1】
【0032】なお、測定及び評価は下記により行った。 1.表面研磨剤突起高さ 磁気ディスクの表面を走査電子顕微鏡に付属のEDX、
エリオニクス社製ESA−3000によって測定した。 2.表面粗さRa 中心線平均粗さRaは光干渉型非接触式3次元表面粗さ
計、Zygo NewView100で測定した。対物
レンズは40倍として測定を行った。
【0033】3.電磁変換特性 ディスクを1080rpmで回転させ、フェライトMI
Gヘッドを用いて記録密度50kftpiとして書き込
み、このときの出力波形を取り出した。出力値は実施例
1のサンプルの出力電圧値を100とし、これに対する
比率を出力(ref%)とした。 (オーバーライト特性)記録密度25kftpiで記録
した後、その出力を再生し、測定する。記録密度50k
ftpiでそれに重ねて記録した後、スペクトラムアナ
ライザーで25kftpiの出力を読みとり、重ね書き
前後の出力の比をオーバーライト特性とする。−30d
B以下が高密度記録には好ましい。
【0034】4.耐久性 48℃、20%RHの環境下でヘッドを当てたままディ
スクを回転させ、ヘッドの接触部分を目視観察した。評
価は次の基準により行った。 × 2000万pass以下で傷が発生している。 ○ 2000万〜4000万passで傷が発生してい
る。 ◎ 4000万pass後も傷が発生していない。 5.歩留まり サンプル20枚を作成し、各ディスクの各面に5tra
ck10MHzで信号を書き込む。1枚あたり10本の
trackの波形をオシロスコープで観察し、50%以
下のDO(drop out)が確認されるとfail
とした。歩留まりは20枚中15枚以上が好ましい。
【0035】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、非常に
薄い層厚の磁気記録媒体の表面研磨剤高さと表面粗度と
の関係を規定することで、耐久性、電磁変換特性、生産
性を同時に解決できることを見い出し、高密度、薄型媒
体の磁気記録媒体を提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性非磁性支持体上に接して磁性層が
    形成され、該磁性層が強磁性粉末、モース硬度7以上の
    研磨剤、カーボンブラックおよび結合剤を含有し、膜厚
    が0.4μm以下、磁性層表面に露呈した研磨剤の露呈
    平均高さが0.015〜0.06μmで、かつ、磁性層
    表面平均粗さRaが2〜8nmであることを特徴とする
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 強磁性粉末が、比表面積35m2 /g以
    上、平均粒径50nm以下、保磁力1800Oe以上の
    板状強磁性粉末である請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 強磁性粉末が、比表面積40m2 /g以
    上、保磁力(Hc)1500〜3000Oe、飽和磁化
    130〜180emu/g、結晶子サイズ400オング
    ストローム以下の強磁性金属粉末である請求項1記載の
    磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層が、強磁性粉末100重量部に対
    して5.0〜15.0重量部の脂肪酸エステル系潤滑剤
    を含有する請求項1〜3いずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 磁性層中の結合剤が、イソシアネート基
    を含有する架橋剤および/またはアジリジン基を含有す
    る架橋剤並びに、燐酸基を有する分散剤および/または
    結合剤を含む請求項1〜4いずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】 磁性層の最大記録密度が40kftpi
    以上である請求項1〜5いずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 可撓性非磁性支持体上に、沸点が150
    ℃以上の溶剤を20重量%以上含む溶媒を用いて流動化
    した磁性層形成用塗布剤を塗布して、請求項1記載の磁
    気記録媒体を得ることを特徴とする磁気記録媒体の製造
    方法。
JP8331898A 1998-03-30 1998-03-30 磁気記録媒体およびその製造方法 Pending JPH11283237A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8331898A JPH11283237A (ja) 1998-03-30 1998-03-30 磁気記録媒体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8331898A JPH11283237A (ja) 1998-03-30 1998-03-30 磁気記録媒体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11283237A true JPH11283237A (ja) 1999-10-15

Family

ID=13799088

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8331898A Pending JPH11283237A (ja) 1998-03-30 1998-03-30 磁気記録媒体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11283237A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005228464A (ja) * 2004-01-13 2005-08-25 Tdk Corp 磁気記録媒体およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005228464A (ja) * 2004-01-13 2005-08-25 Tdk Corp 磁気記録媒体およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002157726A (ja) 磁気記録媒体
JPH0935245A (ja) 磁気記録媒体
JPH1196540A (ja) 磁気記録媒体
JP3638363B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH11283237A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JPH1166543A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
US6051308A (en) Magnetic recording medium and process for its production
JPH10340445A (ja) 磁気記録媒体及びその製造法
JP2005032365A (ja) 磁気記録媒体
JPH10162344A (ja) 磁気記録媒体及びその製造法
JPH10134340A (ja) 磁気記録媒体
JP3862386B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH11203657A (ja) 磁気記録媒体
JP2667301B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH10154323A (ja) 磁気記録媒体及びその製造法
JP2002008220A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH11185242A (ja) 磁気記録媒体
JPH10134339A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH10208234A (ja) 磁気記録媒体
JPH11126325A (ja) 磁気記録媒体
JPH11185241A (ja) 磁気記録媒体
JPH10149534A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH10312529A (ja) 磁気記録媒体
JPH11288514A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH103647A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20040312

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20040323

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040713