JPH10134340A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH10134340A
JPH10134340A JP28211796A JP28211796A JPH10134340A JP H10134340 A JPH10134340 A JP H10134340A JP 28211796 A JP28211796 A JP 28211796A JP 28211796 A JP28211796 A JP 28211796A JP H10134340 A JPH10134340 A JP H10134340A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic layer
recording medium
carbon black
magnetic recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28211796A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Ochi
誠 越智
Miyuki Chino
美由紀 千野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP28211796A priority Critical patent/JPH10134340A/ja
Publication of JPH10134340A publication Critical patent/JPH10134340A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性に富み高密度記録に適した磁気記録媒
体を提供する。 【解決手段】 可撓性非磁性支持体上に非磁性下地層と
その上に形成された磁性層とを有する磁気記録媒体にお
いて、磁性層がBET法による比表面積が40m 2 /g
以上の強磁性金属粉末、アルミナ粒子、一次粒子の平均
粒径が70〜400nmのカーボンブラック及び結合剤
を含有しており、且つ磁性層表面に露呈しているカーボ
ンブラックの数が5〜50個/100μm2 であること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関す
るものであり、特に高密度記録に適した高周波での出力
が高く、かつ耐久性、耐候性に優れ、適度のヘッドクリ
ーニング特性を持つ磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年磁気記録媒体は高密度化が進み、記
録波長も短くなっている。この高密度化の要求に対し、
磁性層に金属薄膜を用いた磁気記録媒体が検討されてい
るが、生産性、耐久性、腐食性等の点で塗布型の磁気記
録媒体の方が優れている。このため、塗布型磁気記録媒
体の電磁変換特性を向上させるための検討が行われてい
る。高周波での記録においては、記録時の自己減磁損
失、再生時の厚み損失の問題が大きいので、この問題を
回避するために塗布厚を薄くせねばならない。しかしな
がら、磁性層の膜厚を単純に薄くすると、耐久性及び表
面性が劣化する。このため、従来から、磁性粉末を含有
する層の下に、結合剤と非磁性粉末から成る非磁性層を
設けてなる重層構造の磁気記録媒体が提案されている
(特開昭62−159338号、特開昭62−1542
25号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術では重層構造としても十分な耐久性を得ることが困
難であった。特公平6−73176号公報には、磁性層
に酸化物による被覆処理を施したモース硬度5以上の無
機フィラーを含有させ、かつフィラーの存在割合を表面
近傍において大きくすることで耐久性を改善することが
提案されている。しかし、湿潤状態で重層塗布を行う
と、磁性層の塗布厚みがある程度以上薄くなると磁性層
中の無機フィラーが下層まで沈降し、界面が荒れ、電磁
変換特性が劣化するほか、界面の荒れが表面に影響を及
ぼし、満足できる表面性は得られない。
【0004】特開平7−311934号公報には、非磁
性下地層上に厚さ0.25μm以下の磁性層を設け、こ
の磁性層中に膜厚より大きい非磁性粉末を含有させるこ
とで耐久性を改善することが提案されている。しかしな
がら、この方法では界面や表面が荒れて電磁変換特性が
劣化するという問題が新たに発生するため、解決策とし
ては不十分である。
【0005】特公平7−78868号公報には、非磁性
支持体上に設けられる非磁性下地層に潤滑剤を含ませ、
この非磁性下地層の潤滑剤濃度を磁性層に含有される潤
滑剤濃度より高くすることで、耐久性を改善することが
提案されている。しかし、潤滑剤を多く含ませるとヘッ
ド汚れの問題が発生するほか、表面への塵埃の付着が起
こりやすく、製造過程での不良品発生率や使用中のエラ
ー発生率が高くなる。このように従来提案されているも
のは、界面荒れ、ヘッド汚れ、耐久性などの点に、未だ
解決すべき点を残している。本発明はこのような問題点
の改善された磁気記録媒体を提供せんとするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気記録媒
体は、可撓性非磁性支持体上にカーボンブラック及び結
合剤を含む非磁性下地層を設け、その上にBET法によ
る比表面積が40m2/g以上の強磁性金属粉末、アル
ミナ粒子、カーボンブラック及び結合剤を含有する磁性
層を設けてなる磁気記録媒体であって、磁性層に一次粒
子の平均粒径が70〜400nmであるカーボンブラッ
クが含有されており、かつ磁性層表面に露呈しているカ
ーボンブラックの数が5個〜50個/100μm2 であ
ることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明について更に詳細に説明す
ると、本発明に係る磁気記録媒体は、可撓性非磁性支持
体上に非磁性下地層を設け、その上に磁性層を積層した
ものである。所望ならば非磁性下地層と磁性層との間、
又は磁性層の上に更に他の層を設けてもよい。本発明に
係る磁気記録媒体の可撓性非磁性支持体としては、従来
からこの用途に用いることが提案されている任意のもの
を用いることができる。その代表的なものとしては、例
えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,
6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン
等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セ
ルロースジアセテート等のセルロース誘導体、アラミ
ド、ポリカーボネート等が挙げられる。非磁性支持体の
形態は通常は、フィルム状、テープ状等である。その厚
みは40μm以下であることが好ましい。非磁性支持体
が厚すぎると剛性が高くなりすぎて、ヘッドのペネトレ
ーションが悪くなり、電磁変換特性が劣化するという問
題が起こる可能性がある。なお、非磁性支持体と非磁性
下地層との接着性を改善するために、非磁性支持体には
非磁性下地層を形成する前に、例えばコロナ放電処理
や、アミン水溶液、トリクロル酢酸、フェノール類等の
表面改質剤による表面処理を施しておいてもよい。
【0008】非磁性下地層は、主としてカーボンブラッ
クと結合剤とから成っているのが好ましい。カーボンブ
ラックとしては、アセチレンブラック、カラー用カーボ
ンブラック、ファーネスブラックなど任意のものを用い
ることができる。好ましくはBET法による比表面積が
100〜500m2 /g、特に150〜400m2 /g
で、DBP吸油量が20〜400ml/100gのもの
を用いる。カーボンブラックの一次粒子の平均粒子径は
5〜80nm、特に10〜50nmであるのが好まし
い。その他の物性では、pHは2〜10、含水率は0.
1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlであるの
が、それぞれ好ましい。非磁性下地層に用いられるカー
ボンブラックのいくつかを例示すると、キャボット社製
のBLACKPEARLS2000、1000、90
0、800、VULCAN XC−72、コロンビアン
カーボン社製のRAVEN 8800、8000、70
00、三菱化学社製の#3750B、#3750、#3
250B、#3250、#950、#850B、#65
0B、#45、#40、#5、MA−77、MA−7等
などがあげられる。これらのカーボンブラックは、単独
で、あるいは複数組み合わせて用いることができる。ま
た、カーボンブラックの表面を分散剤等で処理したり、
一部をグラファイト化して用いてもよい。
【0009】結合剤としては、支持体との密着性や耐摩
耗性に優れた樹脂で、ガラス転移点が−100〜150
℃、数平均分子量1000〜150000程度のものを
使用するのが好ましい。通常使用される樹脂としては、
例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロ
ースアセテートブチレート、セルロースジアセテート、
ニトロセルロース等のセルロース誘導体、塩化ビニル−
酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン系
共重合体、塩化ビニル−アクリル系共重合体等の塩化ビ
ニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等の各種合
成ゴム、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられ、
これらは単独で又は2種以上を混合して使用される。結
合剤は、非磁性下地層中の含有量が2〜50重量%、特
に5〜35重量%となるように使用するのが好ましい。
【0010】なお、非磁性下地層中の結合剤は、イソシ
アネート基を複数個有する低分子量ポリイソシアネート
化合物と反応して、非磁性下地層内に三次元網目構造を
形成しているのが好ましい。これによりその機械的強度
を向上させるとともに、上層の溶剤に対する耐溶剤性を
高めることができる。このような架橋剤として機能する
低分子量ポリイソシアネート化合物としては、例えばト
リレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加
体等が挙げられる。このような低分子量ポリイソシアネ
ート化合物は、結合剤に対して5〜20重量%の割合で
使用するのが好ましい。5重量%以下であると、耐溶剤
性において効果が十分ではなく、また20重量%を越え
ると結合剤を可塑化し、カレンダー処理などにおいて剥
がれが起きやすくなる。なお、非磁性下地層には上記の
ほかに所望により潤滑剤、分散剤などを含有させてもよ
い。
【0011】磁性層は強磁性金属粉末、アルミナ粒子、
カーボンブラック及び結合剤を含有していることが必要
である。強磁性金属粉末としては、BET法による比表
面積が40m2 /g以上のものを用いる。その磁気特性
はσsが120emu以上であり、且つ保持力が160
0Oe以上であるのが好ましい。また、その形状は、平
均長軸長が0.5μm以下、特に0.3μm以下である
のが好ましい。その針状軸比は、磁性層における強磁性
金属粉末の密度を高め、磁気記録の高密度化を達成する
ために12以下が好ましい。強磁性金属粉末は、磁性層
中に50〜90重量%、特に60〜80重量%となるよ
うに含有させるのが好ましい。強磁性金属粉末の占める
割合が小さいと、記録密度を高めることが困難である。
逆に強磁性金属粉末の占める割合が大きくなり過ぎる
と、磁気記録媒体の耐久性が低下し易い。
【0012】磁性層にはカーボンブラックを含有させる
が、その少なくとも一部は一次粒子の平均粒径が70〜
400nmのものであることが必要である。このものは
BET法による比表面積が5〜25m2 /g、DBP吸
油量が50ml/100g以下であることが好ましい。
すなわち粒径が大きくストラクチャーを有さないカーボ
ンブラックであるのが好ましく、特にサーマルブラック
が好ましい。このようなカーボンブラックとしては旭カ
ーボン社の旭サーマル、コロンビアンカーボン社のSe
vacarb MT−CIなどがある。
【0013】本発明では、このような大粒径のカーボン
ブラックを磁性層中に存在させて、その一部を磁性層表
面に露呈させる。露呈したカーボンブラックは固体潤滑
剤として機能するので、磁気記録媒体の摩擦係数が著し
く低下し、耐久性、走行性が改善される。カーボンブラ
ックは磁性層表面に5〜50個/100μm2 露呈させ
る。露呈数が多過ぎても少な過ぎても、所望の性能の改
善はみられない。なお、磁性層表面に露呈しているカー
ボンブラックの数は、磁性層表面を平坦面とみなして、
これに垂直な方向から表面を走査型電子顕微鏡で500
0倍の倍率で観察し、表面に出ているカーボンブラック
粒子の数を数えることにより求められる。カーボンブラ
ックは容易に検出できる。なお、観察は磁性層表面の5
ヶ所で行ない、その平均値をとるものとする。
【0014】磁性層中にはアルミナ粒子を含有させる、
アルミナとしてはα−アルミナ、β−アルミナ、γ−ア
ルミナなどが用いられる。市販品としては、例えば住友
化学社のAKP−20、30、50、HIT−50、H
IT−100などがある。アルミナは平均粒径0.4〜
0.8μmのものを用い、且つ磁性層表面に露呈してい
るアルミナの占める面積が磁性層表面の0.20〜3.
0%となるように磁性層中に存在させるのが好ましい。
アルミナの占める面積率が0.20%よりも小さいと、
耐久性が低下し、かつヘッドの目詰まりを起こし易く、
長時間の摺動中に電磁変換特性が劣化する。逆にアルミ
ナの占める面積率が3.0%を越えると、ヘッドの耐久
性が低下することに加えて、表面から脱離するアルミナ
粒子が多くなり、この脱離したアルミナ粒子が磁性層表
面を傷つけることにより、製造過程における製品歩留ま
りの低下、使用中のエラー発生率の上昇を招くという問
題が生ずる。アルミナ粒子の平均粒径が0.4μm未満
では、必要な面積率を確保するためには大量のアルミナ
粒子を磁性層中に含有させることが必要であり、得られ
る磁気記録媒体の電磁変換特性を悪化させることにな
る。逆にアルミナ粒子の平均粒径が0.8μmを超える
と、磁性層表面に露呈しているアルミナ粒子の露呈高さ
が高くなり過ぎて電磁変換特性の劣化を招き易い。
【0015】磁性層表面に露呈しているアルミナ粒子の
露呈部の平均高さは0.015〜0.060μmが好ま
しい。露呈部平均高さが0.015μm未満では、アル
ミナ粒子以外の磁性層部分とヘッドとが接触し易くな
り、耐久性が劣化するほか、摩擦係数が大きくなって走
行性が劣化する。逆に露呈部平均高さが0.06μmを
越えると、アルミナ粒子の脱離が起きて磁性層に傷がつ
き易くなることに加えて、ヘッドと磁性層との距離が拡
大し過ぎて電磁変換特性が劣化することがある。なお、
磁性層表面に占めるアルミナ粒子の面積率は、磁性層表
面を平坦面とみなし、これに垂直な方向から、走査型電
子顕微鏡で観察して写真をとり、この写真から表面積に
占めるアルミナ粒子の面積の割合を算出することにより
求めることができる。アルミナ粒子の占める面積は、顕
微鏡写真をそのコントラストに基づいてコンピュータで
画像処理することにより求めることができる。またアル
ミナ粒子の露呈部高さは、例えばエリオニクス社製のE
SA−3000を用いて測定することができる。
【0016】なお、磁性層には、所望ならばアルミナに
加えて他の無機粒子を含有させることもできる。このよ
うな無機粒子としては、α−酸化鉄、窒化ケイ素、窒化
ホウ素、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化スズ、酸化亜
鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、
二硫化モリブデン、酸化タングステン、炭化ケイ素、酸
化クロム等が挙げられる。市販品としては、戸田工業社
製のTF−100、TF−120、TF−140、石原
産業社製のFT−1000、FT−2000、チタン工
業社製のSTT−4D、STT−30、STT−65
C、日本化学工業社製のS−1、G5、G7などが挙げ
られ、これらのうちでも比較的硬度の高いものが好適に
使用される。
【0017】結合剤としては支持体との密着性や耐摩耗
性に優れた樹脂で、ガラス転移点が−100〜150
℃、数平均分子量1000〜150000程度のものが
使用するのが好ましい。通常使用される樹脂としては例
えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロー
スアセテートブチレート、セルロースジアセテート、ニ
トロセルロース等のセルロース誘導体、塩化ビニル−酢
酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン系共
重合体、塩化ビニル−アクリル系共重合体等の塩化ビニ
ル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等の各種合成
ゴム、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられ、こ
れらは単独で又は2種以上を混合して使用される。結合
剤は、磁性層中の含有量が2〜40重量%、特に5〜2
5重量%となるように使用するのが好ましい。
【0018】なお、磁性層中の結合剤は、イソシアネー
ト基を複数個有する低分子量ポリイソシアネート化合物
と反応して、磁性層内に三次元網目構造を形成している
のが好ましい。これにより、その機械的強度を向上させ
ることができる。このような架橋剤として作用する低分
子量ポリイソシアネート化合物としては例えばトリレン
ジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体等が
挙げられる。このような低分子量ポリイソシアネート化
合物は、結合剤に対して10〜50重量%の割合で使用
するのが好ましい。
【0019】磁性層中には、更に分散剤、潤滑剤、帯電
防止剤など常用の種々の添加剤を含有させることができ
る。例えば分散剤としては、ポリエーテルリン酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルリン酸エステ
ルなどのようなリン酸エステル基を有するものを用いる
のが好ましい。このようなリン酸エステル基を有する分
散剤としては、例えばホスファチジルコリン(レシチ
ン)、RE−610(東邦化学社製品)、PW−36
(楠元化成社製品)などがある。
【0020】なお、分散剤としては、リン酸エステル基
を有するものに加えて、カプリン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、オレイン酸、リノール酸等の炭素数10〜1
8の脂肪酸、これらのアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩、すなわち金属石けんなどを併用するのも好まし
い。分散剤は磁性層中に0.1〜10重量%、特に1〜
5重量%となるように存在させるのが好ましい。
【0021】潤滑剤としては、例えば脂肪酸エステル系
のものを、強磁性金属粉末に対して3〜10重量%とな
るように磁性層中に存在させる。3重量%未満では耐久
性が不十分となり易い。また磁性塗料の粘度が高くな
り、分散性や作業性が低下することもある。逆に磁性層
中での存在量が10重量%を越えると、一般にヘッドが
汚れ易くなる。
【0022】脂肪酸エステル以外の潤滑剤としては、通
常は脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪族アル
コールなどの脂肪族系のものが、脂肪酸エステルに代え
て又は脂肪酸エステルと共に用いられる。例えば脂肪酸
としては、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などが用いられ、
その使用量は通常、強磁性金属粉末に対し0.1〜10
重量%、好ましくは1〜5重量%である。使用量が少な
いと走行性が低下し易く、逆に使用量が多過ぎると耐久
性の劣化や出力低下が生じ易くなる。
【0023】帯電防止剤としては、カーボンブラック、
金属やその導電性化合物、サポニン等の天然界面活性
剤、アルキレンオキサイド系、グリセリン系等のノニオ
ン界面活性剤、高級アルキルアミン類、第4級アンモニ
ウム塩類、ピリジン環その他の含窒素複素環の塩等のカ
チオン界面活性剤、カルボン酸基、スルホン酸基、燐酸
基、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基を含む
アニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸
類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類等の
両性界面活性剤等が使用される。これらの界面活性剤
は、所望ならば2種以上混合して用いてもよい。
【0024】カーボンブラックとしては、アセチレンブ
ラック、カラー用ブラック、ファーネスブラック等を用
いることできる。例えばキャボット社製のBLACKP
EARLS 2000、1000、900、800、V
ULCAN XC−72、コロンビアンカーボン社製の
RAVEN 8800、8000、7000、三菱化学
社製の#3750B、#3750、#3250B、#3
250、#950、#850B、#650B、#45、
#40、#5、MA−77、MA−7等などが挙げられ
る。カーボンブラックも所望ならば2種以上混合して用
いてもよい。また、カーボンブラックの表面を分散剤等
で処理したり、一部をグラファイト化して用いてもよ
い。
【0025】金属の導電性化合物としては、酸化スズ、
インジウムスズ酸化物等を用いることができる。帯電防
止剤は、通常、磁性層中に0.1〜10重量%となるよ
うに存在させる。本発明に係る磁気記録媒体は、上述の
非磁性下地層及び磁性層を構成する各成分をそれぞれ適
宜の溶剤と共に混練及び分散として均一な塗料とし、こ
れを可撓性非磁性支持体上に塗布することにより製造さ
れる。
【0026】溶剤としては、例えばメチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロピルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素類、ヘキサン等
の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
【0027】非磁性下地層を形成する塗料及び磁性層を
形成する磁性塗料の調製は、常用の混練・分散用装置を
用いて常法に従って行うことができる。しかし磁性層を
形成する磁性塗料の調製に際しては、強磁性金属粉末と
アルミナ粒子は、最初にそれぞれ結合剤及び溶剤等と別
々に混合し、次いで得られた混合物を一緒にして更に混
合し磁性塗料とするのが好ましい。通常は、先ず強磁性
金属粉末に結合剤及び溶剤を加えて混練し、これにカー
ボンブラック及び溶剤を加えてスラリーとし、ボールミ
ル等で分散させて混合物とする。また、アルミナ粒子に
も結合剤及び溶剤を加えてスラリーとし、ボールミル等
で分散させて混合物とする。次いで双方の混合物を一緒
にし、潤滑剤その他の助剤や溶剤を加えて所定の組成と
したのち、更にボールミル等で分散させ、磁性塗料とす
るのが好ましい。このように最初に強磁性金属粉末とア
ルミナとをそれぞれ結合剤や溶剤等と別々に混合するの
は、アルミナ粒子と強磁性金属粉末とは分散条件が異な
るので、強磁性金属粉末が良好に分散する条件下ではア
ルミナ粒子は分散が進み過ぎるからである。従って、最
初から強磁性金属粉末とアルミナ粒子とを一緒にして調
製した磁性塗料を用いて磁性層を形成すると、アルミナ
粒子が磁性層中で沈降して磁性層表面のアルミナ粒子の
含有量が低下することがある。逆にアルミナ粒子が良好
に分散する条件下では強磁性金属粉末やカーボンブラッ
クの分散が不十分となる。そしてこのような磁性塗料を
用いて製造した磁気記録媒体は、電磁変換特性や耐久性
など多くの点で所望の性能を発現しないことが多い。な
お、アルミナは分散しやすいので上記では混練過程を省
略しているが、所望ならば予め混練してから分散させて
もよい。
【0028】非磁性下地層及び磁性層の形成は、グラビ
ア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョ
ン塗布など常用の塗布装置を用いて常法に従って行うこ
とができる。好ましくは、非磁性下地層を塗布したのち
乾燥させてから磁性層を塗布するようにする。通常は非
磁性下地層を塗布したのち乾燥機内で50〜100℃で
乾燥し、残留溶剤量が1.5×10-15 g/μm3 以下
となってから磁性塗料を塗布するのが好ましい。磁性層
の厚みは0.5μm以下であるのが好ましい。磁性層が
厚くなると、自己減磁損失、厚み損失などの点で、一般
に高密度記録に適さなくなる。
【0029】磁性層は、通常は乾燥させる前に、斜め磁
場、交流磁場などの磁場を印加して磁場配向させるが、
このときの配向度は0.95〜1.05が好ましい。ま
た乾燥後はカレンダー処理して表面を平滑化する。カレ
ンダー処理のロールは通常は耐熱性のある合成樹脂製の
ものを用いるが、金属ロールを用いることもできる。処
理温度は70〜120℃が好ましく、線圧力は200〜
500kg/cmが好ましい。なお、塗料がトリレンジ
イソシアネートのトリメチロールプロパン付加体のよう
な架橋剤を含有している場合には、50〜70℃に24
〜160時間保持するキュアリングを行って結合剤と架
橋剤との架橋反応を行わせる。
【0030】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。なお、「部」は「重量部」を示す。 塗布液の調製;下記の表1及び表2の各成分から、ボー
ルミルを用いて、非磁性下地層用の塗布液及び磁性層用
の塗布液を調製した。但し磁性層用の塗布液の調製は次
のようにして行った。先ずアルミナ粒子にこれに対し3
0重量%の塩化ビニル系共重合体を加え、更に溶剤を加
えて固形分濃度を35%としてボールミルで分散させ
た。また強磁性金属粉末に、残余の塩化ビニル系共重合
体とポリエステルポリウレタン樹脂を加え、更に溶剤を
加えて固形分濃度75%として混練したのち、これにカ
ーボンブラックと溶剤を加えて固形分濃度35%として
ボールミルで分散させた。次いで双方の混合物を一緒に
し、トリデシルステアレート、オレイン酸及び残余の溶
剤を加えて更に分散処理を行ない、塗布液とした。
【0031】
【表1】 表 1 非磁性下地層用の塗布液 カーボンブラック 100部 (平均一次粒子径=24nm、BET法による比表面積=138m2 /g 、DBP吸油量=60ml/100g) ポリエステルポリウレタン樹脂 20部 メチルエチルケトン 200部 シクロヘキサノン 200部
【0032】
【表2】 表 2 磁性層用の塗布液 強磁性金属粉末 100部 (Fe/Co=87/13(原子比)、σs=150emu/g、 Hc=1700Oe、BET法による比表面積=42m2 /g) 塩化ビニル系共重合体 15部 ポリエステルポリウレタン樹脂 3部 α−アルミナ(粒径0.4〜0.6μm) 10部 カーボンブラック 3部 (ファーネスブラック;平均一次粒子径=25nm、BET法による比表 面積=130m2 /g、DBP吸油量=65ml/100g) カーボンブラック (サーマルブラック MT−CI:一次粒子径=200〜500nm、平 均一次粒子径=350nm、BET法による比表面積=8m2 /g、D BP吸油量=7ml/100g) トリデシルステアレート 7部 オレイン酸 1部 メチルエチルケトン 170部 シクロヘキサノン 170部
【0033】塗布及び後処理;上記で得られた塗布液
に、それぞれ架橋剤としてトリレンジイソシアネートの
トリメチロールプロパン付加体(三菱化学社製品、AD
30)を5部添加したのち、平均孔径1μmのフィルタ
ーで濾過して塗料を調製した。厚さ32μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルムに、上記で調製した下地層
用の塗料を乾燥厚さが0.7μmとなるようにエクスト
ルージョン方式で塗布し、十分に乾燥した。次いでこの
上に磁性層用の塗料を同じくエクストルージョン方式で
塗布して80℃で乾燥した。次いで80℃、300kg
/cmでカレンダー処理を施したのち、ディスク状に打
抜いた。このディスクを60℃で72時間保持してキュ
アリングした。
【0034】物性の評価;上記で得られた磁気ディスク
について、磁性層表面に露呈しているカーボンブラック
の数及び電磁変換物性を測定し、また耐久性及びヘッド
の汚れを評価した。結果を表3に示す。なお、測定及び
評価は下記により行った。 露呈しているカーボンブラック数;磁気ディスクの表面
を、日立製作所製の走査型電子顕微鏡S−4100を用
いて、印加電圧20kV、倍率5000倍で撮影し、得
られた写真から表面に露呈しているカーボンブラックの
個数を数えた。写真は5枚撮影し、その平均値を求め
た。
【0035】電磁変換特性;ディスクを500rpmで
回転させ、フェライトMIGヘッドを用いて記録密度を
35kftpiとして書き込み、このときの出力波形を
取出した。出力値は実施例1の出力電圧値を100と
し、これに対する比率(%)で表示した。 耐久性;25℃、50%RHの環境中で、ヘッドを当て
たままディスクを回転させ、ヘッドの接触部分を目視で
観察した。評価は次の基準により行った。 × 1000万pass以下で傷が発生している。 ○ 1000万〜2000万passで傷が発生して
いる。 ◎ 2000万passで傷が発生していない。 ヘッド汚れ;25℃、50%RHの環境中でヘッドを当
てたままディスクを回転させ、ヘッドの接触部分を目視
で観察した。評価は次の基準により行った。 × 2000万pass時点又はそれ以前でも傷が発
生した時点でヘッドに付着物がある。 ○ 2000万pass後でもヘッドに付着物が無
い。
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】本発明に係る磁気記録媒体は、界面荒
れ、表面荒れによる電磁変換特性の低下が無く、35k
ftpi以上の高密度記録用の用途に好適である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性非磁性支持体上にカーボンブラッ
    ク及び結合剤を含む非磁性下地層を設け、その上にBE
    T法による比表面積が40m2 /g以上の強磁性金属粉
    末、アルミナ粒子、カーボンブラック及び結合剤を含有
    する磁性層を設けてなる磁気記録媒体であって、磁性層
    に一次粒子の平均粒径が70〜400nmであるカーボ
    ンブラックが含有されており、かつ磁性層表面に露呈し
    ているカーボンブラックの数が5個〜50個/100μ
    2 であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 磁性層が、可撓性非磁性支持体上に非磁
    性下地層を形成する塗料を塗布して乾燥したのち、その
    上に磁性層を形成する塗料を塗布して形成したものであ
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 最大記録密度が35kftpi(k f
    lux transition per inch)以
    上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 強磁性金属粉末が、σsが120emu
    以上、Hcが1600Oe以上のものであることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 磁性層中に含有されている一次粒子の平
    均粒径が70〜400nmのカーボンブラックが、BE
    T法による比表面積が5〜25m2 /gであり、DBP
    吸油量が50ml/100g以下であることを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 磁性層の厚さが0.5μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の磁
    気記録媒体。
JP28211796A 1996-10-24 1996-10-24 磁気記録媒体 Pending JPH10134340A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28211796A JPH10134340A (ja) 1996-10-24 1996-10-24 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28211796A JPH10134340A (ja) 1996-10-24 1996-10-24 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10134340A true JPH10134340A (ja) 1998-05-22

Family

ID=17648356

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28211796A Pending JPH10134340A (ja) 1996-10-24 1996-10-24 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10134340A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6162528A (en) * 1998-12-16 2000-12-19 Verbatim Corporation Magnetic recording medium and method for manufacturing the same
WO2024090258A1 (ja) * 2022-10-27 2024-05-02 ソニーグループ株式会社 磁気記録カートリッジ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6162528A (en) * 1998-12-16 2000-12-19 Verbatim Corporation Magnetic recording medium and method for manufacturing the same
WO2024090258A1 (ja) * 2022-10-27 2024-05-02 ソニーグループ株式会社 磁気記録カートリッジ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH10134340A (ja) 磁気記録媒体
JPH1196540A (ja) 磁気記録媒体
JPH1166543A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH0935245A (ja) 磁気記録媒体
JPH10134339A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
US6051308A (en) Magnetic recording medium and process for its production
JPH11283237A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JPH10162344A (ja) 磁気記録媒体及びその製造法
JPH11203657A (ja) 磁気記録媒体
JPH10340445A (ja) 磁気記録媒体及びその製造法
JP3562591B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH10312529A (ja) 磁気記録媒体
JPH10154323A (ja) 磁気記録媒体及びその製造法
JP3164473B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH11185242A (ja) 磁気記録媒体
JP2000067426A (ja) 磁気記録媒体
JP2000348328A (ja) 磁気記録媒体
JPH11185241A (ja) 磁気記録媒体
JPH10208234A (ja) 磁気記録媒体
JPH10188266A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH11316938A (ja) 磁気記録媒体
JPH11316936A (ja) 磁気記録媒体
JPH11126325A (ja) 磁気記録媒体
JPH11316937A (ja) 磁気記録媒体
JPH11126326A (ja) 磁気記録媒体