JP3562591B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に関し、特に、非磁性支持体上に非磁性層(下層)と磁性層(上層)とを順次形成してなるビデオテープやオーディオテープ等の磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、VTR等に見られる記録波長の短波長化、高密度化に伴い、ビデオテープやオーディオテープ等の磁気記録媒体の電磁変換特性を向上するため、磁性粒子の微粒子化、高充填化が図られている。
【0003】
例えば、塗布型のビデオテープでは、超微粒子の強磁性粉末を含む磁性塗料を高分散化するため、結合剤の樹脂中に種々の極性基を導入したり、分散工程で様々な混練機を用いたりしている。
【0004】
そして従来、単層磁性層のみを非磁性支持体上に塗布してなる磁気記録媒体では、電気抵抗を下げる目的で磁性層中にカーボンを添加している。これは、電気抵抗が高いビデオテープの場合、静電気によるドロップアウトが増加したり、VTRのガイド等にビデオテープがはりついて走行不良を起こすからである。しかし、カーボンの添加は、静磁気特性を悪化させ、電磁変換特性を低下させるため、添加量は限定されてしまう。
【0005】
また、一部のVTRにおいては、テープのエンド部検出に、光センサーを使用しているものもあり、磁気記録媒体の光透過率を低減することも必要となる。
【0006】
そこで、これらの問題を解決するため、非磁性支持体上に非磁性層を設け、その上層に磁性層を積層する手法等が用いられている。この様な磁気記録媒体では、非磁性層に電気抵抗や光透過率を低減するような非磁性粉末、結合剤、添加剤等を用いることで、上層にその様な非磁性粉末を添加する必要が基本的になくなる。そのため、磁気記録媒体として、電気抵抗、光透過率が低く、電磁変換特性が前記単層磁性層の場合に比べて優れたテープとなる。
【0007】
このよう重層塗布型の磁気記録媒体では、用いる結合剤によって磁気記録媒体の特性に大きな差が生じることは知られている。そのために、それぞれ上層及び下層に必要な耐久性及び機械的特性を満たす結合剤を含む組成を開発することが必要となる。
【0008】
例えば、ヘッドに対し相対的に摺動する上層では、電磁変換特性の他に耐久性が必要とされることから、比較的多量の潤滑剤を内添したり、結合剤のガラス転移温度(Tg)が下層の非磁性層と比べて高い結合剤を用いることや、結合剤として上層ではより高分子量のものを用いることがある。さらに、下層では、非磁性支持体との接着性を向上させ、磁気記録媒体とヘッドとのコンタクト性を改善するために、より低分子量のポリウレタン樹脂を用いることもある。これら以外にも、磁性塗料の分散性を向上させるため、各種の構造及び極性基が検討されている。
【0009】
しかしながら、このような公知の結合剤組成では、押し出しコーティング方式により、下層が湿潤状態で上層を塗布するウエット・オン・ウェット(wet−on−wet)方式で重層同時塗布を行った場合に、塗布面のコーティング方向にスジ(ストリーク)が発生し、磁気記録媒体表面の粗度の悪化に伴うスペーシングが原因の電磁変換特性の低下が見られる場合がある。
【0010】
また、ヘッドに対し相対的に摺動する上層の磁性層と柔軟性を必要とする下層の非磁性層とでは、用いる結合剤に求められる特性が異なることより、それら結合剤の組合せの中には、先述のようなコーティング方向のスジが発生したり、スジが大きくなるものもあり、コーティング性の良い結合剤とその組合せを検討する必要があった。また、塗料のコーティング性と分散性を両立させる点で改善の余地が残されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のようなコーティング時のスジの発生を減少させて磁気記録媒体の形状を改善し、磁性層表面の凹凸によるスペーシングが原因となる電磁変換特性の低下を防ぎ、磁性層単層からなる磁気記録媒体では得られない電気抵抗の改善と光透過率の低減等を得るというものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の問題を解決するために、磁気ヘッドに対して接触しない下層の結合剤として、特定の極性基を有するポリウレタン樹脂を用いることにより、コーティング性に優れた塗料が得られることを見出し、本発明に到達したものである。
【0013】
即ち、本発明は、非磁性支持体上に、非磁性粉末を結合剤中に分散せしめた非磁性層(下層)と磁性粉末を結合剤中に分散せしめた磁性層(上層)とをこの順に設けてなる磁気記録媒体において、前記非磁性層(下層)の結合剤が、三級アミンを極性基として有するポリウレタン樹脂のみからなり、かつ前記磁性層の結合剤が、柔軟性を付与する樹脂と剛性を付与する樹脂との混合物からなることを特徴とする磁気記録媒体に係るものである。
【0014】
本発明による下層に用いる三級アミンを極性基としたポリウレタン樹脂は、ポリオールとイソシアネートと分子内に三級アミンを有する鎖延長剤(架橋剤)とを共重合して得ることができる。
【0015】
このポリウレタン樹脂中の上記三級アミンからなる極性基の含有量は、10−7モル/g〜10−2モル/gであるのがよく、より好ましくは10−5モル/g〜10−3モル/gである。この極性基量が上記の値を超えて多すぎる場合、塗料の分散性は向上するが、コーティングが却って悪くなってスジが発生し易くなる傾向があり、また、少なすぎる場合には、塗料の分散性は悪くなる傾向がある。本発明に基いて、下層のポリウレタン樹脂に三級アミンを導入することによって、塗料のコーティング性と分散性を両立させることが可能となる。
【0016】
この極性基(三級アミン)は、ポリウレタン樹脂の主鎖に導入しても側鎖に導入しても構わない。三級アミンの種類としては、脂肪族アミン、芳香族アミン、アルカノールアミン、アルコキシアルキルアミン等がある。例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジオクチルアミン、ジイソブチルアミン、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、2−メトキシエチルアミン、ジ−2−メトキシエチルアミン、N−メチルアニリン、N−メチルブチルアミン、N−メチルフェニルアミン等がある。
【0017】
下層のポリウレタン樹脂には、三級アミン以外にも、他の極性基として、SONa、SOK、SOH、COOH、COONa、リン酸エステル、リン酸、四級アンモニウム塩、エポキシ基、1級又は2級アミン、亜硫酸塩、その他の公知の極性基を少量(10−5モル/g以下)含んでいても構わない。
【0018】
本発明において、上記のポリウレタン樹脂としては、用いるポリオールにより、アジペート系、ポリカプロラクトン系等のポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、その他、ポリカーボネート系、アクリル系、ブタジエン系等の種類があり、その種類によらない。これらのポリウレタン樹脂の中で、ポリエステルポリウレタン樹脂及びポリエーテルポリウレタン樹脂がより効果的である。
【0019】
さらに、三級アミンを極性基としたポリウレタン樹脂を2種以上含んでも構わない。例えば、分子量の異なる組合せでもよい。分子量の違いによりポリウレタン樹脂の分散性、剛性、耐久性に差があるため、目的の特性に合わせて組合せることが好ましい。使用するポリウレタン樹脂の効果的な数平均分子量は10,000〜70,000であり、好ましくは15,000〜50,000である。
【0020】
同様に、ガラス転移温度Tgの異なるポリウレタン樹脂の組合せでもよい。Tgの低いポリウレタン樹脂は接着性が良く、コーティング性により優れており、また、Tgの高いポリウレタン樹脂は塗料の分散性に優れている。下層のポリウレタン樹脂のTgとしては、−30℃〜80℃が好ましい。
【0021】
下層においては、三級アミンを極性基としたポリウレタン樹脂の他に、ポリイソシアネートを硬化剤として結合剤 100重量部に対し重量比で5〜30重量部混合することで、接着性、剛性、耐久性が向上する。しかしながら、ポリイソシアネートを添加することで、塗料の保存性が悪くなり、特に40重量部以上添加するとコーティング性が著しく悪化する。また、下層の柔軟性を付与することを目的として、硬化剤を添加しなくても充分な接着性、耐久性を得ることができる。このため、適当な硬化剤量は0〜30重量部であり、好ましくは0〜20重量部である。
【0022】
硬化剤としては、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、これらと活性水素化合物との付加体が好ましい。芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート(MDI)、p−フェニルジイソシアネート、m−フェニルジイソシアネート、1,5−ナフチルジイソシアネート等を挙げることができる。また、脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0023】
これらのポリイソシアネートと付加体を形成する活性水素化合物としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等があり、平均分子量は、 100〜5,000 の範囲のものが好ましい。
【0024】
本発明によれば、上記したように、下層の結合剤として、三級アミンを極性基としたポリウレタン樹脂のみを用いることにより、コーティング性、分散性、更には耐久性等の向上にとって優れた塗料を得ることができ、そうしたポリウレタン樹脂を除く他の結合剤組成では、塗料の分散性を悪化させたり、ストリークが発生し易くなる。
【0025】
本発明において、下層の非磁性層に用いる非磁性体(粒子)としては、カーボンブラックの他に、アルミニウム等の非磁性金属粉末、SnO、PbO、VO、Bi、MnO、Mo等の金属酸化物又はα−Fe等、遮光性、導電性を有するものが使用できる。また、その非磁性体の含有量は、結合剤 100重量部に対し10〜300 重量部がよく、20〜200 重量部が更に好ましい。
【0026】
本発明による磁気記録媒体において、磁性層に混入される強磁性粉末、結合剤、潤滑剤、分散剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤、あるいは磁性塗料を調製するのに使用される溶剤、更には非磁性支持体は、従来公知のものがいずれも適応可能であり何ら限定されない。
【0027】
上記の磁性層に使用可能な強磁性粉末としては、γ−FeOx(x=1.33〜1.5)、Co変性γ−FeOx(x=1.33〜1.5)、FeまたはNiまたはCoを主成分(75%以上)とする強磁性合金、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライトなど公知の強磁性材料が使用できる。また、これらの強磁性粉末には所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ni、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、P、Mn、Zn、Co、Sr、Bなどの原子を含んでも構わない。
【0028】
この磁性層に用いる結合剤としては、いずれも公知の材料が使用できる。即ち、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0029】
なかでも、柔軟性を付与するとされているポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等と、剛性を付与するとされているセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が望ましい。上述の結合剤は、イソシアネート化合物を架橋させることにより、耐久性を向上させたり、あるいは、適当な極性基(上述したSONa等)を導入させたものであってもよい。
【0030】
また、磁性層に用いる潤滑剤としては、シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーン、弗素含有シリコーン、またはその他の弗素系潤滑剤、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよび金属塩、ポリフェニルエーテル、弗化アルキルエーテル、炭素数12〜24のアルコール類(それぞれ不飽和を含んでも分岐していても構わない)、炭素数12〜24の高級脂肪酸及び脂肪酸エステル類(それぞれ不飽和を含んでも分岐していても構わない)、アルキルカルボン酸アミン塩及び弗化アルキルカルボン酸アミン塩等のアミン系潤滑剤、などを使用できる。
【0031】
上記の高級脂肪酸及び脂肪酸エステル類の具体的な例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、オレイン酸、エイコ酸、エライジン酸、ヘベン酸、リノール酸、リノレイン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸イソオクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘプチル等がある。また、潤滑剤は、複数の潤滑剤を混合して使用しても構わない。
【0032】
分散剤としては、炭素数5〜25の脂肪酸、及びそのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩からなる金属石鹸、脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド、及びアミン、四級アンモニウム塩、燐酸エステル、ホウ酸エステル等の公知の分散剤を使用できる。
【0033】
研磨剤としては、例えば、α−アルミナ、β−アルミナ、溶融アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、ダイヤモンド、ケイ石、ザクロ石、ガーネット、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タングステン、酸化チタン等を主成分にした、モース硬度6以上の公知の材料を単独にまたは組み合わせて使用できる。これら研磨剤の平均粒径は、0.01〜2μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組合せたり、単独の研磨剤でも粒度分布を広げたりして用いることができる。
【0034】
帯電防止剤として、後述のカーボンブラックの他に、天然界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等の公知の帯電防止剤を使用できる。しかし、この帯電防止剤は、本発明では磁性層に含有させる必要はなく、含有させても少量でよい。
【0035】
非磁性支持体の素材としては、一般に磁気記録媒体に使用されるものを使用することができる。たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、その他のプラスチック、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等である。
【0036】
本発明の磁気記録媒体において、場合によっては、接着強度を上げる等の理由で、非磁性支持体と下層との間に、上述した公知の結合剤を主成分とする層(下塗り層)を設けても構わない。
【0037】
また、磁性層側と反対の側の非磁性支持体の面に、媒体の走行性の向上や帯電防止及び転写防止等を目的として、非磁性のバックコート層を設けても構わない。バックコート層の厚みは 0.1〜2.0 μmがよく、好ましくは 0.3〜1.0 μmであり、公知のもの(例えばカーボンブラックを上述の結合剤に分散させたもの)を使用できる。
【0038】
本発明において、非磁性層(更に、場合によっては磁性層)等に用いられるカーボンブラックとしては、公知のカーボンブラックが使用できる。例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カラー用ブラック等を任意に使用できる。また、製造工程中のハンドリンクを良くするため、顆粒状のものを使用しても構わない。カーボンブラックの平均粒径は、10〜1000nmの範囲のものを使用するのが好ましい。
【0039】
また、磁性層(又は非磁性層)を形成する際、磁性塗料等を調製するための溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸エチルモノエチルエーテル等のエステル系溶媒、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素系溶媒、メチレンクロリド、エチレンクロリド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の塩素含有系溶媒が挙げられる。また、その従来公知の有機溶媒を使用することができる。
【0040】
磁性塗料等を調製する方法としては、いずれも公知の方法が利用できる。例えば、ロールミル、ボールミル、サンドミル、トロンミル、高速ストーンミル、バスケットミル、ディスパー、ホモミキサー、ニーダー、連続ニーダー、エクストルーダー、ホモジナイザー及び超音波分散機等を用いることができる。
【0041】
磁性塗料を調製する場合、磁性粒子と他の添加剤粒子とを、別々に分散した後、両者を混合しても構わない。
【0042】
磁性塗料等の塗布に際しては、非磁性支持体上に直接塗布する前に、接着剤等の下塗り層を形成したり、非磁性支持体上に、コロナ放電処理や電子線照射処理等の前処理を施しても構わない。
【0043】
非磁性支持体上への塗布の方法としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押し出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、グラビアコート、トランスファーロールコート、キャストコート等の方法を挙げることができ、これら以外の方法も使用でき、さらに、押し出しコートによる同時重層塗布でもよい。
【0044】
本発明の磁気記録媒体は、例えば図1に示すように、非磁性支持体1上に、非磁性層2、磁性層4をこの順に積層したものである。また、この積層面とは反対側の支持体面には仮想線の如くにバックコート層3が設けられてよいが、これは必ずしも設ける必要はない。磁性層4上にはオーバーコート層を設けてもよい。
【0045】
図1の磁気記録媒体において、磁性層4の膜厚は 1.5〜4.0 μm(例えば 2.0μm)とするのが好ましく、非磁性層2の膜厚は 2.0μm以下(例えば 1.0μm)とする。
【0046】
なお、本発明おいて、磁性層と非磁性層は互いに隣接していることが望ましい。但し、各層間には明確な境界が実質的に存在する場合以外に、一定の厚みで以て、両層が混在してなる境界領域が存在する場合があるが、こうした境界領域を除いた上又は下側の層を上記の各層とする。特に、本発明の媒体は、各層を湿潤同時重層塗布(wet−on−wet)方法で塗布形成する時に好適である。勿論、下層を乾燥後に上層を塗布するwet−on−dry方法でもよい。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を比較例と共に示す。なお、以下の実施例、比較例において、「部」は「重量部」を表す。
【0048】
次の組成に従って、上層の磁性層を形成するための磁性塗料を調製した。
【0049】
<上層磁性塗料液>
下記の磁性塗料組成を連続ニーダーで混練したのち、サンドミルを用いて分散し、下記のポリイソシアネートを4部とミリスチン酸を1部加え、1μmの平均口径を有するフィルターで濾過し、上層磁性塗料液とした。
【0050】
Co変性γ−Fe 100部
(BET法による比表面積 45m/g)
ニトロセルロース 8部
(旭化成社製 商品名 NC−1/2H)
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 6部
(U.C.C.社製 商品名 ビニライトVAGH)
ポリウレタン樹脂 8部
(日本ポリウレタン社製 商品名 N−2304)
α−Al 3部
(住友化学社製 商品名 AKP−30)
ポリイソシアネート 4部
(日本ポリウレタン社製 商品名 コロネートL)
ミリスチン酸 1部
ステアリン酸ブチル 1部
メチルエチルケトン 80部
メチルイソブチルケトン 80部
トルエン 80部
【0051】
次の組成に従って、下層非磁性層を形成するための非磁性塗料を調製した。
<下層非磁性塗料液>
下記の表−1に示す結合剤を用いて、下記の非磁性塗料組成をディスパーで混合したのち、サンドミルを用いて分散し、下記のポリイソシアネートを5部とミリスチン酸を1部加え、1μmの平均口径を有するフィルターで濾過し、下層非磁性塗料液とした。但し、本発明に基づく例−2、例−6では、ポリイソシアネートは加えなかった。
【0052】
結合剤 50部
(下記の表−1参照)
カーボンブラック 100部
(CABOT社製 商品名 BP−L)
ポリイソシアネート 5部
(日本ポリウレタン社製 商品名 コロネートL)
ミリスチン酸 1部
メチルエチルケトン 100部
メチルイソブチルケトン 100部
トルエン 50部
【0053】
そして、上記の下層非磁性塗料液を、押し出しコートにより、厚さが14μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に 1.0μm厚みでコーティングした後、乾燥、硬化、カレンダー処理を行い、下層単層での特性を測定した。
【0054】
同様に、上記の上層磁性塗料液を、同時重層塗布装置を用いて、厚さが14μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに上層 2.0μm、下層 1.0μmの厚み構成で同時塗布(wet−on−wet法式)し、上記と同様の工程を経て得られた幅広の磁性フィルムを1/2インチ幅に裁断してビデオテープを作成した。
【0055】
以上の工程により作成した例−1〜24(例2及び6は本発明に基づく実施例、例1、3〜5及び7〜24は比較例)の各ビデオテープについて、下層単層における分散性とコーティング性、重層同時塗布時のコーティング性とビデオ電磁変換特性について測定した。各測定は以下の通りに行った。結果を下記の表−2に示す。
【0056】
1.分散性
下層磁性塗料液を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ14.0μm)上に塗布・乾燥した後、塗布面の光沢度(グロス)を、日本電色工業製デジタル変角光沢計VG−1Dにより入射角45°で測定した。各々の光沢度を、以下の評価基準により表した。
○ 光沢度 120%以上
△ 光沢度 100%以上、 120%未満
× 光沢度 100%未満
【0057】
2.コーティング性
下層単層及び重層にして得られたビデオテープを、光学顕微鏡(微分干渉)により、5倍で塗布表面を観察し、以下の評価基準により表した。
○ ストリーク(スジ)が全くないもの
△ ストリークが発生しているもの
× 全体に大きな傷となり、目視でも確認できるもの
【0058】
3.RF−OUT(ビデオ出力)
VTR AG−6200(松下電気産業社製)を用いて、ビデオ信号を記録し、その再生レベルを、基準テープ VRT−2(JVC製)を0dBとした時の相対値で表す。
【0059】
4.Y−S/N(ビデオS/N)
ビデオ信号のS/N比を、上記基準テープを0dBとした時の相対値で表す。
【0060】
5.C−OUT(クロマ出力)
クロマ信号を記録、再生し、その再生出力レベルを、上記基準テープを0dBとした時の相対値で表す。
【0061】
6.C−S/N(クロマS/N)
クロマ信号のS/N比を、上記基準テープを0dBとした時の相対値で表す。
【0062】
7.表面電気抵抗
サンプルサイズを1/2インチ×1/2インチとし、デジタルマルチメーター(松下電気産業社製)により測定した(23℃、30%RH条件下)。
【0063】
8.光透過率
VHSカセットオプチカルテスターVT−2M(JVC製)により、テープの光透過率を測定した。
【0064】
9.走行耐久性
40℃、80%RHの条件下、T−120(120分長)のビデオテープを上述のVTRにかけ、全長走行の繰り返しテストを行い、予め記録された信号がヘッド目詰まりのためにモニターに現れなくなるまでの走行回数を測定した。
【0065】
【表1】
Figure 0003562591
【0066】
【化1】
Figure 0003562591
【0067】
【表2】
Figure 0003562591
【0068】
表−2から明らかなように、本発明に基いて、下層非磁性層の結合剤として三級アミン系ポリウレタン樹脂のみを使用した場合には、他の結合剤を単独、或いは混合して用いた場合に比べ、著しくコーティング性が良く、また分散性も良好にできる。但し、三級アミン系ポリウレタン樹脂単独の場合は、極性基量が多くなりすぎると、重層同時塗布ではコーティング性が悪くなる傾向があり、また極性基量が少なくなりすぎると、分散性が低下する傾向がある。
【0069】
また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や三級アミン以外の極性基をもつポリウレタン樹脂では、数種の結合剤を組み合わせることでコーティング性を多少改善することはできるが、不十分である。三級アミン系ポリウレタンと塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の組合せでは、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の極性基の種類により分散性が著しく低下することがある。このため、本発明に基いて三級アミン系ポリウレタンを単独で用いることが非常に効果的である。非磁性塗料の分散性が悪くなると、下層の表面粗度が悪化し、コーティング性にも影響することがわかる。このため、下層の非磁性塗料は、分散性とコーティング性の両方が良くなければならない。
【0070】
以上の結果から、本発明に基いて、下層に三級アミン系ポリウレタンを用いることでコーティング性を改善し、磁気記録媒体の電気抵抗、光透過率の低減、電磁変換特性の向上を図ることができる。この結果は、磁性層にカーボンブラックを含有させなくてよいために一層良好となる。
【0071】
なお、上記の効果は、下層の結合剤に硬化剤を併用しないでも同様に得られることも分かる。
【0072】
【発明の作用効果】
本発明は上述した如く、下層の非磁性層の結合剤を三級アミンを極性基とするポリウレタン樹脂のみとしているので、非磁性塗料のコーティング性が良くなり、磁気記録媒体の特性を向上させることができる。具体的には、電磁変換特性(特にビデオS/N、クロマ出力、クロマS/N)が改良され、また、磁性塗料を単層塗布した場合と比べ、電気抵抗と光透過率の低減が図られる。そして、上層の磁性層には、柔軟性を付与する樹脂と剛性を付与する樹脂との混合物を結合剤として用いているので、ヘッドに対し相対的に摺動する磁性層の要求性能も満たすことができる。従って、本発明によれば、電磁変換特性、電気抵抗等のいずれの特性にも優れた磁気記録媒体を提供することが可能となり、より厳しい環境下においても、長時間にわたって高品質の記録・再生を行う磁気記録媒体の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく磁気記録媒体の一例の断面図である。
【符号の説明】
1・・・非磁性支持体
2・・・非磁性層
3・・・バックコート層
4・・・磁性層

Claims (2)

  1. 非磁性支持体上に、非磁性粉末を結合剤中に分散せしめた非磁性層と、磁性粉末を結合剤中に分散せしめた磁性層とをこの順に設けてなる磁気記録媒体において、前記非磁性層の結合剤が、三級アミンを極性基として有するポリウレタン樹脂のみからなり、かつ前記磁性層の結合剤が、柔軟性を付与する樹脂と剛性を付与する樹脂との混合物からなることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 三級アミンからなる極性基が10-7モル/g〜10-2モル/gの割合でポリウレタン樹脂に含有されている、請求項1に記載した磁気記録媒体。
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