JPH1055523A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH1055523A
JPH1055523A JP8211359A JP21135996A JPH1055523A JP H1055523 A JPH1055523 A JP H1055523A JP 8211359 A JP8211359 A JP 8211359A JP 21135996 A JP21135996 A JP 21135996A JP H1055523 A JPH1055523 A JP H1055523A
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magnetic
recording medium
magnetic recording
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ferromagnetic powder
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JP8211359A
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Takahiro Takayama
貴広 高山
Yuji Kato
有史 加藤
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光透過率を満たす特定の物質を添加すること
で、磁性塗膜の薄膜化、カーボンの添加量減少、電磁変
換特性の向上、耐久性に優れた磁気記録媒体を得ること
を目的とする。 【解決手段】 本発明は、非磁性支持体上の一方の面に
磁性層を設けた磁気記録媒体に関するものである。この
磁性層は、強磁性粉末、近赤外線領域吸収剤、およびカ
−ボンブラックを含有している。ここで、近赤外線領域
吸収剤としては、3, 3’- ジエチル- 9, 11, 1
5, 17- ジネオペンチレン- チアペンタカルボシアニ
ンパークロレートを用いた。近赤外線領域吸収剤の含有
量は、強磁性粉末100部に対して、0.25〜1.0
部であることが望ましい。カ−ボンブラックの含有量
は、強磁性粉末100部に対して、0〜5部であること
が望ましい。この結果、特にVHS方式用磁気記録媒体
の薄膜化が可能となる。また、近赤外線領域吸収剤のみ
の添加でも、光透過率低下の要求を満足させることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非磁性支持体上に、
磁性層を形成してなる塗布型のビデオテープやオーディ
オテープ、コンピューター用データメデイア等の磁気記
録媒体において、光透過率をフォーマットの機能として
用いるものに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、VTR等に見られる記録波長の短
波長化、高密度化に伴い、ビデオテープやオーディオテ
ープ等の磁気記録媒体の特性を改善するため、磁性粒子
の高密度充填が図られている。また、記録容量の拡大を
目的とした磁性層の薄膜化が進められている。
【0003】薄膜化を進める上で問題になるのが、光透
過率を制御方式として用いている磁気記録フォーマット
であり、例えばVHSビデオテープシステム規格では、
磁気記録媒体の光透過率は1.2%以下にすると定めら
れている。
【0004】従来、光透過率を満足させ高出力のテープ
を製造するために、非磁性支持体上の磁性層の反対側に
バックコートを用いている。また、二層同時塗布によ
り、第一層(下層)に非磁性層を塗布する方法も有効で
ある。
【0005】また一方では、非磁性支持体上に単層の磁
性層のみを有する記録媒体では、磁性層中にカーボンブ
ラックを添加することで、光透過率を満足させる方法も
とられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この場合、磁性粉とカ
ーボンを混合・分散せしめることにより、電気抵抗の低
下等、遮光以外にも有益な効果が得られるが、単位体積
当たりの磁性体密度の低下により電磁変換特性低下の弊
害が出てくる。
【0007】更に、コストダウンのための磁性層の薄膜
化では、光透過率を満足させる為カーボンの添加量を増
やす必要がある。しかし、先述の様な磁気記録媒体とし
ての特性低下の問題や磁性塗料の増粘による塗布表面性
の悪化等の弊害がでてくる。
【0008】そこで、磁性層の薄膜化においても光透過
率を満足し、且つ高密度・高出力を保つ為の、添加剤の
開発が求められていた。
【0009】本件は以上の様な現状に鑑み考案されたも
ので、光透過率を満たす特定の物質を添加することで、
磁性塗膜の薄膜化、カーボンの添加量減少、電磁変換特
性の向上、耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることを目
的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】先述の様な問題を解決す
るため検討した結果、VHS方式VTRの光透過率感知
装置の最高感度波長が900nm付近である為、この近
赤外線領域の吸収帯をもつ物質を添加することが効果的
であることがわかった。特に、VHSビデオテープシス
テム規格(VHS−22)で規定されているテープ光透
過率測定器は、940nmに最高感度波長を持ってい
る。
【0011】赤外線領域の放射エネルギーは有機物分子
に吸収され、分子振動に変換されることが、多くの文献
で報告されている。このエネルギー吸収パターンは一般
に赤外スペクトルといわれ、この特性をもとに未知の化
合物の構造の解析に用いられる。この法則を用いた場
合、ある特定の吸収を求めるために必要な、原子団、分
子構造、分子振動から、最適な有機化合物がもとめられ
る。
【0012】VHS方式用磁気記録媒体の場合、940
nmの感度波長にて最大の吸収を得られる物質を用いる
のが最適である。
【0013】これまで、光透過率と電気抵抗の低下の両
方の目的を満たす為に添加してきたカーボンブラック
は、有効吸収波長域を非常に広範囲に持ち、その光透過
防止の効果は大きい。しかしながら、微粒子顔料である
為、その分散が困難であり、磁性塗料液に添加した場
合、電磁変換特性の低下が大きい。
【0014】磁気記録媒体に光吸収の効果を持たせる為
には、種々の色素染料・顔料が考えられるが、磁気記録
媒体の諸特性、耐久性等への影響が懸念されることか
ら、その添加物は限定される。
【0015】本発明に使用される3, 3’- ジエチル-
9, 11, 15, 17- ジネオペンチレン- チアペンタ
カルボシアニンパークロレート(化1)を以下に示す。
【0016】
【化1】
【0017】この色素染料(以下「近赤外線領域吸収
剤」という)は最大吸収波長を1010nmにもち、有
効吸収波長帯域も890〜1180nmであるため、最
高感度波長940nmには適している。また、有機溶媒
に溶解可能であるので、分散等の問題が無く、静磁気特
性の低下の心配は無い。
【0018】化1に示す化学構造式からもわかる様に、
この物質は芳香族化合物が連なった構造をしており、こ
の吸収波長は次の様に推測される。この構造の中心をな
す、芳香族化合物は900〜1,100nmの波長帯域
に吸収波長を持ち、窒素を含む環状化合物も同様の帯域
に吸収を持つ。無論、その他波長帯域にも吸収を保持
し、各官能基の分子振動により吸収の波長帯域が移動し
ているが、この3, 3’- ジエチル- 9, 11, 15,
17- ジネオペンチレン- チアペンタカルボシアニンパ
ークロレートは、比較的900〜1,100nmの範囲
内に多くの吸収帯を持つ。
【0019】また、この3, 3’- ジエチル- 9, 1
1, 15, 17- ジネオペンチレン-チアペンタカルボ
シアニンパークロレートは、単一のみならず、その他吸
収剤と混合して用いても構わない。好ましくは、近似し
たの吸収波長帯域を持つ物質との混合が有効である。
【0020】その他、本発明にかかわる磁気記録媒体に
おいて、非磁性支持体、磁性層に混入される磁性粉末及
び結合剤、必要に応じてし使用される分散剤、研磨剤、
帯電防止剤、防錆剤等のいずれも適応可能で、何ら限定
されない。
【0021】強磁性粉末としてはγ−FeOx(x=
1.33〜1.5)、Co変性γ−FeOx(x=1.
33〜1.5)、FeまたはNiまたはCoを主成分
(75%以上)とする強磁性合金、バリウムフェライ
ト、ストロンチウムフェライト等の公知の強磁性材料が
使用できる。また、これらの強磁性粉末には所定の原子
以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、
Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、B
a、Ni、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、
La、Ce、P、Mn、Zn、Co、Sr、B等の原子
を含んでも構わない。
【0022】上記非磁性支持体の素材としては、一般に
磁気記録媒体に使用されているものを使用することがで
き、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネイ
ト、ポリイミド、ポリアミドイミド、その他のプラスチ
ック、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、
チタン合金等の軽合金、セラミックス、単結晶シリコン
等である。
【0023】結合剤としては、いずれも公知の材料が使
用できる。即ち、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩
化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アク
リロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレ
イン酸共重合体、アクリル酸−エステル−塩化ビニリデ
ン共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共
重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタ
クリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウ
レタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ弗化ビニル、塩化ビ
ニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジェン−ア
クリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジェ
ン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セ
ルロース誘導体、スチレン−ブタジェン共重合体、ポリ
エステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化
性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、アルキ
ド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリビニルアセ
タール樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。
【0024】なかでも、柔軟性を付与するとされている
ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリ
ル一ブタジェン共重合体等と剛性を付与するとされてい
るセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等
が望ましい。先述の結合剤はイソシアネート化合物を架
橋させることにより耐久性を向上させたり、あるいは、
適当な極性基を導入させたものであってもよい。
【0025】硬化剤としては、芳香族ポリイソシアネー
ト及び脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、これらと
活性水素付加体が好ましい。芳香族ポリイソシアネート
としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、1、
3−キシレンジイソシアネート、1、4−キシレンジイ
ソシアネート、4、4’−ジフェニルメタンイソシアネ
ート、p−フェニルジイソシアネート、m−フェニルジ
イソシアネート、1、5−ナフチルジイソシアネート等
を挙げることができる。また、脂肪族ポリイソシアネー
トとしては、ヘキサメチレンイソシアネート(HD
I)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シク
ロヘキサンジイソシアネート等を挙げることができる。
これらと付加体を形成する活性水素化合物としては、エ
チレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、3−
ブタンジオール、ネオペンテチルグリコール、ジエチレ
ングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等
があり、平均分子量は100〜5、000の範囲のもの
が好ましい。
【0026】本発明において用いる潤滑剤は、シリコー
ンオイル、脂肪酸変性シリコーン、弗素含有シリコー
ン、またはその他の弗素系潤滑剤、ポリオレフィン、ポ
リグリコール、アルキル燐酸エステル及び金属塩、ポリ
フェニルエーテル、弗化アルキルエーテル、炭素数12
〜24のアルコール類(それぞれ不飽和を含んでも分岐
していても構わない)、炭素数12〜24の高級脂肪酸
及び脂肪酸エステル(それぞれ不飽和を含んでも分岐し
ていても構わない)、アルキルカルボン酸アミン塩等の
アミン系潤滑剤等が使用できる。
【0027】高級脂肪酸及び脂肪酸エステル類の具体的
例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、オ
レイン酸、エイコ酸、エライジン酸、ヘベン酸、リノー
ル酸、リノレイン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリ
ン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン
酸イソオクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、ステア
リン酸ブチル、ステアリン酸ヘプチル等がある。また潤
滑剤は、その他の潤滑剤と複数混合しても構わない。
【0028】本発明に使用される研磨剤としては、α−
アルミナ、β−アルミナ、溶融アルミナ、炭化ケイ素、
酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、
ダイヤモンド、ケイ石、ザクロ石、ガーネット、窒化ケ
イ素、窒化ホウ素、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化
タングステン、酸化チタン等を主成分にしてモース硬度
6以上の公知の材料が単独または組み合せて使用され
る。
【0029】これら研磨剤の粒子径は0.01〜2μm
が好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤
を組み合せたり、単独の研磨剤でも粒度分布を広げたり
して用いることができる。
【0030】また、本発明に使用されるカーボンブラッ
クとしては、公知のカーボンブラックが使用できる。例
えばコロンビアカーボン社製ラーベン(RAVEN)−
1205(粒径23.0nm、BET値135.0m2
/g、DBP吸油量58.0ml/100g)、−12
55(粒径23.0nm、BET値125.0m2
g、DBP吸油量58.0ml/100g)、−102
0(粒径27.0nm、BET値95.0m2 /g、D
BP吸油量60.0ml/100g)、−1080(粒
径28.0nm、BET値78.0m2 /g、DBP吸
油量65.0ml/100g9、ラーベン−1035、
ラーベン−1040、ラーベン−1060、ラーベン−
3300、ラーベン−450、ラーベン−780等、ま
たはコンダクテック(CONDUCTEX)−SC(粒
径20.0nm、BET値220.0m2 /g、DBP
吸油量115,0ml/100g)でもよい。また、旭
カーボン社製−#80(粒径23.0nm、BET値1
17.0m2 /g、DBP吸油量113.0ml/10
0g)、三菱化成製−#22B(粒径40.0nm、B
ET値55.0m2 /g、DBP吸油量131.0ml
/100g)、−#20B(粒径40.0nm、BET
値56.0m2 /g、DBP吸油量115.0ml/1
00g)、キャボット社製ブラックパールズ(BLAC
KPEARLS)−L(粒径24.0nm、BET値2
50.0m2 /g、DBP吸油量60.0ml/100
g)、ブラックパールズ−800(粒径17.0nm、
BET値240.0m2 /g、DBP吸油量75.0m
l/100g)、ブラックパールズ−1000、ブラッ
クパールズ−1100、ブラックパールズ−700、ブ
ラックパールズ−905等が挙げられる。また、製造工
程中のハンドリングを良くするため、顆粒状のものを使
用しても構わない。カーボンブラックの粒子径は10〜
1000nmの範囲のものを使用するのが好ましい。
【0031】分散剤としては、炭素数5〜25の脂肪
酸、及びそのアルカリ金属またはアルカリ土類金属から
なる金属石鹸、脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド、及び
アミン、四級アンモニウム塩、燐酸エステル、ホウ酸エ
ステル等の公知の分散剤が使用できる。
【0032】同様に、帯電防止剤としては、先述のカー
ボンブラックの他に、天然界面活性剤、ノニオン性界面
活性剤、カチオン性界面活性剤等の公知の帯電防止剤が
使用できる。
【0033】また、磁性塗料を調整するための溶剤とし
ては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸エチ
ルモノエチルエーテル等のエステル系溶媒、グリコール
モノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテ
ル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系
炭化水素系溶媒、メチレンクロリド、エチレンクロリ
ド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリ
ン、ジクロロベンゼン等の塩素含有系溶媒が挙げられ
る。また、その他従来公知の有機溶媒を使用することが
できる。
【0034】磁性塗料を調整する方法としては、いずれ
も公知の方法が利用できる。例えば、ロールミル、ボー
ルミル、サンドミル、トロンミル、高速ストーンミル、
バスケットミル、デイスパー、ホモミキサー、ニーダ
ー、連続ニーダー、エクストルーダー、ホモジナイザー
及び超音波分散機等を用いることができる、磁性塗料を
調整する場合、磁性粒子と他の添加剤粒子とを別々に分
散した後、両者を混合しても構わない。
【0035】磁性塗料の塗布では、非磁性支持体上に直
接行う前に、接着剤層等の下塗り層や、非磁性支持体上
に、コロナ放電処理や電子線照射処理等の前処理を施し
ても構わない。
【0036】非磁性支持体上への塗布の方法としては、
エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコー
ト、押し出しコート、エアナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、グラビアコー
ト、トランスファーロールコート、キャストコート等の
方法を挙げることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明磁気記録媒体の実施
例について表1を参照しながら説明する。本発明の効果
をより明確にするために具体的には、表1に示すよう
に、サンプル1〜17において検討した。なお、サンプ
ル1〜17において、「部」は「重量部」を表すもので
ある。
【0038】本実施例ではまず、次の組成に従って、磁
性層を形成するための磁性塗料を調整した。
【0039】磁性塗料液 下記の磁性塗料組成を連続ニーダーで混練した後、サン
ドミルを用いて分散し、ポリイソシアネイトを4部とミ
リスチン酸1部を加え、1μmの平均口径を有するフィ
ルターで漉過し磁性塗料とした。 Co変性−Fe3 4 100部 (BET法による比表面積 35m2 /g) 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 10部 (U.C.C.社製 商品名 ビニライトVAGH) ポリウレタン樹脂 10部 (日本ポリウレタン社製 商品名 N−2304) カーボンブラック 0〜10部 (CABOT社製 商品名 BP一L) (表1参照) α−Al2 3 3部 (住友化学社製 商品名 AKP−30) ポリイソシアネイト 4部 (日本ポリウレタン社製 商品名 コロネートL) ミリスチン酸 1部 ステアリン酸ブチル 1部 メチルエチルケトン 80部 メチルイソブチルケトン 80部 トルエン 80部 近赤外線領域吸収剤(DNTPC、化1) 0〜1部 (表1参照)
【0040】上記磁性塗料液を厚さ14μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が1.0〜3.
0μmとなるように塗布し、乾燥、カレンダー処理後、
硬化した。得られた幅広の磁性フィルムを1/2インチ
幅に裁断してビデオテープを作成した。
【0041】なお、サンプル13〜17では、比較の為
に、先述の磁性塗料液組成中にカーボンブラックのみを
添加したものを作成し、上記と同様の方法により1/2
インチビデオテープを作成した。
【0042】以上より、作成した各ビデオテープについ
て、カーボンブラック及び近赤外線領域吸収剤の添加量
変化での光透過率、ビデオ電磁変換特性、電気抵抗につ
いて測定した。
【0043】なお、光透過率、ビデオ電磁変換特性、電
気抵抗についての測定は、以下に示す方法により行っ
た。
【0044】光透過率 VHSカセットオプチカルテスターVT−2M(JVC
製)により、テープの光透過率を測定した。
【0045】RF−OUT(ビデオ出力) VTR BR−7700(JVC製)を用いて、ビデオ
信号を記録し、その再生レベルをサンプル13のテープ
を基準テープとし、この出力を0dBとした時の相対値
で表す。
【0046】Y−S/N(ビデオS/N) ビデオ信号のS/N比を、上記基準テープを0dBとし
た時の相対値で表す。
【0047】C−OUT(クロマ出力) クロマ信号を記録、再生し、その再生出力レベルを、上
記基準テープを0dBとした時の相対値で表す。
【0048】C−S/N(クロマS/N) クロマ信号のS/N比を、上記基準テープを0dBとし
た時の相対値で表す。
【0049】表面電気抵抗 サンプルサイズを1/2インチ×1/2インチとし、デ
ジタルマルチメーター(松下電気産業社製)により測定
した(23℃、30%RH条件下)。
【0050】サンプル1〜17についての測定結果は表
1に示すとおりである。
【0051】
【表1】
【0052】表1より、近赤外線領域吸収剤として3,
3’- ジエチル- 9, 11, 15,17- ジネオペンチ
レン- チアペンタカルボシアニンパークロレート(DN
TPC)を添加することにより、カーボンブラック(B
P−L)の添加量を低く抑えても、光透 過率を低下さ
せることができる。
【0053】表1のサンプル1〜12から、近赤外線領
域吸収剤として3, 3’- ジエチル- 9 ,11, 15,
17- ジネオペンチレン- チアペンタカルボシアニンパ
ークロレートが0.25〜1.0部添加されていると、
光透過率は2.87〜0.16%と小さ くなってい
る。これに対してサンプル13〜16からわかるよう
に、近赤外線領 域吸収剤が添加されていない場合は、
カ−ボンブラックを0〜5部と変化させて も光透過率
は10.89〜1.26%と大きな値を示している。
【0054】従って、近赤外線領域吸収剤の添加量は
0.25〜1.0部の範囲にあることが望ましい。近赤
外線領域吸収剤の添加量が0.25部より小さいと光吸
収が少なく、たとえばサンプル13のように近赤外線領
域吸収剤が入っていない場合は光透過率は10.89%
と大きな値となっている。このように近赤外線領域吸収
剤が0.25部より小さいと透過率を満足しない。ま
た、近赤外線領域吸収剤の添加量が1.0%より多くな
ると電磁変換特性等の磁気記録媒体の特性が悪化すると
ともに磁気記録媒体の製造コストが上昇するといった欠
点を有している。
【0055】また、近赤外線領域吸収剤の添加量は0.
5〜1.0部であることが更に望ましい。近赤外線領域
吸収剤の添加量が0.5部になると、サンプル4に示す
ように、カ−ボンブラックの添加量が0部で塗膜厚が1
μmという光透過率低下にとって悪い条件下でも光透過
率は1.67%とかなり改善されている。また、サンプ
ル5に示すように、塗膜厚が2.0μmになれば光透過
率は1.27%まで改善される。
【0056】一方、カ−ボンブラックの添加量は表1の
サンプル1〜12より、0〜5部の範囲であることが望
ましい。カ−ボンブラックの添加量が5部より大きくな
ると、たとえばサンプル17にみられるようにカ−ボン
ブラックの添加量が10.0部の場合は電磁変化特性が
劣化する結果となる。
【0057】また、カ−ボンブラックの添加量は0〜3
部の範囲にあることが更に望ましい。サンプル11とサ
ンプル12を比較すればわかるように、カ−ボンブラッ
クが5部添加されているサンプル12に比較して、カ−
ボンブラック3部添加されているサンプル11では電磁
変換特性が良好であるからである。
【0058】他方、塗膜厚は表1のサンプル1〜12か
ら1〜3μmの範囲にあることが望ましい。塗膜厚が1
μmより小さくなるとオーディオ特性が悪くなってしま
う。また、塗膜厚が3μmより厚くなると製造コストが
上昇するという欠点を有している。
【0059】また、塗膜厚は2〜3μmの範囲にあるこ
とが更に望ましい。塗膜厚が2μm以上になれば、塗膜
厚が1μmの場合よりもオーディオ特性の改善がみられ
るからである。
【0060】このように、近赤外線領域吸収剤の添加量
が多いほど光透過率に対する要求を満たし、磁性層の塗
膜厚の薄層化が可能であることがわかった。また、カー
ボンブラックの添加量を低く抑え、磁気記録媒体の諸特
性向上が可能となった。
【0061】以上のことから、本例によれば、近赤外線
領域吸収剤として3, 3’- ジエチル- 9, 11, 1
5, 17- ジネオペンチレン- チアペンタカルボシアニ
ンパークロレートを添加することにより、特にVHS方
式用磁気記録媒体の薄膜化が可能となる。この近赤外線
領域吸収剤のみの添加でも、光透過率低下の要求は満足
させることができる。また、この近赤外線領域吸収剤は
有機染料であるため、磁性塗料液への溶解が容易であ
り、電磁変換特性の低下は少ない。
【0062】この効果により、カーボンブラックの添加
量が抑えられるため、磁性体密度の向上や磁性層表面の
改善が図られ、電磁変換特性が改良される。
【0063】以上の説明からも明らかなように、本発明
により、磁気記録媒体構造の簡素化、塗膜の薄膜化が可
能となり、高品質の記録・再生を行う磁気記録媒体の廉
価での提供が可能となる。
【0064】なお、本発明は上述の実施例に限らず本発
明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得
ることはもちろんである。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
近赤外線領域吸収剤として3, 3’-ジエチル- 9, 1
1, 15, 17- ジネオペンチレン- チアペンタカルボ
シアニンパークロレートを添加することにより、特にV
HS方式用磁気記録媒体の薄膜化が可能となる。この近
赤外線領域吸収剤のみの添加でも、光透過率低下の要求
は満足させることができる。
【0066】また、この近赤外線領域吸収剤は有機染料
であるため、磁性塗料液への溶解が容易であり、電磁変
換特性の低下は少ない。
【0067】また、カーボンブラックの添加量が抑えら
れるため、磁性体密度の向上や磁性層表面の改善が図ら
れ、電磁変換特性が改良される。
【0068】また、磁気記録媒体構造の簡素化、塗膜の
薄膜化が可能となり、高品質の記録・再生を行う磁気記
録媒体の廉価での提供が可能となる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上の一方の面に磁性層を設
    けた磁気記録媒体において、 上記磁性層は、強磁性粉末および近赤外線領域吸収剤を
    含有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上の一方の面に磁性層を設
    けた磁気記録媒体において、 上記磁性層は、強磁性粉末、近赤外線領域吸収剤、およ
    びカ−ボンブラックを含有することを特徴とする磁気記
    録媒体。
  3. 【請求項3】 近赤外線領域吸収剤は、3, 3’- ジエ
    チル- 9, 11, 15,17- ジネオペンチレン- チア
    ペンタカルボシアニンパークロレートであることを特徴
    とする請求項1または2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層は、結合剤100重量部に対し
    て、イソシアネート系硬化剤0〜30重量部を含有する
    ことを特徴とする請求項1、2、または3記載の磁気記
    録媒体。
  5. 【請求項5】 非磁性支持体は、ポリエステル類、ポリ
    オレフィン類、ビニル系樹脂、ポリカーボネイト、ポリ
    イミド、ポリアミドイミド、金属、軽合金、セラミック
    ス、または単結晶シリコンであることを特徴とする請求
    項1、2、3、または4記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 近赤外線領域吸収剤は、強磁性粉末10
    0部に対して、0.25〜1.0部含有することを特徴
    とする請求項1、2、3、4、または5記載の磁気記録
    媒体。
  7. 【請求項7】 近赤外線領域吸収剤は、強磁性粉末10
    0部に対して、0.5〜1.0部含有することを特徴と
    する請求項1、2、3、4、または5記載の磁気記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 カ−ボンブラックは、強磁性粉末100
    部に対して、0〜5部含有することを特徴とする請求項
    2、3、4、または5記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 カ−ボンブラックは、強磁性粉末100
    部に対して、0〜3部含有することを特徴とする請求項
    2、3、4、または5記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 磁性層の膜厚は、1〜3μmであるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、または5記載の
    磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 磁性層の膜厚は、2〜3μmであるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、または5記載の
    磁気記録媒体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006124476A (ja) * 2004-10-27 2006-05-18 General Kk 孔版印刷用エマルションインキ

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