JPH0567324A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0567324A
JPH0567324A JP3254153A JP25415391A JPH0567324A JP H0567324 A JPH0567324 A JP H0567324A JP 3254153 A JP3254153 A JP 3254153A JP 25415391 A JP25415391 A JP 25415391A JP H0567324 A JPH0567324 A JP H0567324A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高出力と走行安定性の極めて優れた磁気記録
媒体を提供する。特に、その出力の維持、即ち出力低下
に極めて優れ、かつ走行安定性に優れ、そのため磁気記
録媒体の摩擦係数上昇によるテープ削れ物発生によるド
ロップアウトやヘッド目詰まりによる出力低下に極めて
優れる磁気記録媒体を提供する。 【構成】 非磁性支持体上に強磁性粉末及び結合剤樹脂
を主体とする磁性層を有する磁気記録媒体において、平
均粒子サイズが5〜35mμで且つDBP吸油量が40
〜120ml/100gまたは40〜120ml/10
0gの2種類のカーボンブラックを組み合わせて磁性層
に添加する構成。前記強磁性粉末100重量部に対しカ
ーボンブラックが0.5〜5重量部であって、前記第1
のカーボンブラックと前記第2のカーボンブラックとの
比率を重量比で95/5〜40/60とする構成。前記
磁性層の表面粗さが中心平均表面粗さRaで5.0nm
以下であって、前記強磁性粉末が強磁性金属粉末である
構成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非磁性支持体と磁性層
よりなる磁気記録媒体の出力の改良に関するものであ
る。更に詳しくは、本発明は、VTRにおける高出力を
保ち、ヘッド当たりが改善され、走行安定性に優れた磁
気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にオーディオ用、ビデオ用、コンピ
ューター用(ディスク、メモリーテープ)等の磁気記録
媒体として、強磁性微粉末を結合剤樹脂(バインダー)
中に分散させた磁性層を非磁性支持体上に設けた磁気記
録媒体が用いられている。
【0003】Hi−8規格の8mmVTR用等の近年の
磁気記録媒体の動向に合わせて、これらの磁気記録媒体
は高密度記録が要求され、強磁性粉末の微粒子化、金属
粉末化、高充填化、磁気記録媒体表面の超平滑化などに
より信号/雑音の高信号化や低雑音化が達成されてい
る。
【0004】また、ハイビジョン用VTRシステムユニ
ハイ(UNIHI)等では信号の高速処理が要求され、
磁気記録媒体への書き込み速度や呼び込み速度の短縮化
が必要で、ヘリカルスキャンVTRにおいてはヘッドシ
リンダー速度が5400RPM以上になってきている。
このような高速摺動適性を磁気記録媒体に持たせるため
には、磁気記録媒体がVTR走行系で損傷を受けにくい
走行安定性の確保が必要不可欠であり、この目的のため
にカーボンブラックやモース硬度8以上の研磨剤と称さ
れるフィラーが用いられ、特開昭59−193533号
公報、特開昭59−186125号公報、特開昭59−
191133号公報、特開昭59−189831号公
報、特開昭59−63029号公報、特開昭63−16
8821号公報、特開昭63−168822号公報、特
開平1−185821号公報等に開示されている。
【0005】これらの磁気記録媒体の大きな問題点は、
高密度記録化のためには結合剤も含めフィラーを限りな
く除去し磁気記録媒体の磁性層体積当たりの強磁性粉末
の濃度をあげることが望ましいにも拘らず、走行安定性
(特にテープの損傷)が確保できなくなるためにこれら
が達成できないことにある。
【0006】また磁気記録媒体の出力を向上させるため
には、磁性層の平滑性を向上させることが望ましいが、
平滑性を向上させ磁性層表面を鏡面化すると走行安定性
とくに走行摩擦係数が上昇し、磁気記録媒体がVTR内
で貼付き現象を生じてしまい安易に平滑性を向上出来な
いことにある。またこの為に磁気記録媒体磁性層の平滑
性を制御する目的でフィラー特にカーボンブラック等を
使わざるを得ない状況にある。例えば、特開平1−18
5821号公報では平均粒子サイズが150mμ以上の
粗粒子カーボンブラックを用いており、これにより走行
適性を確保しようとしているものと考えられる。しかし
粗粒子カーボンブラックを用いることによる充填度の低
下と磁性層表面性の低下は大きい。粗粒子カーボンブラ
ックは磁性層に少量でも用いると、走行安定性は効率よ
く確保されるが、粗粒子カーボンブラックの突起による
VTRヘッドとのスペーシングロスは大きく、出力の低
下は大きい。
【0007】また、例えば、50mμ以上の粗粒子カー
ボンブラックを磁気記録媒体の磁性層に強磁性粉末10
0重量部あたり3〜20重量部使用すると、これより微
粒子のカーボンブラックに比較して磁性層の表面電気抵
抗を有効に下げることができず、微粒子に比べ大量に使
用しなくてはならない。このことは磁性層における強磁
性粉末の体積濃度が減少し充填度が低下し磁気記録媒体
の出力が低下することを意味する。また、走行安定性だ
けを確保する目的で磁性層に強磁性粉末100重量部あ
たりこの粗粒子カーボンブラックを0.5〜3重量部使
用すると、走行安定性とくに磁性層表面の摩擦係数の低
下には効果が認められるが、上述のように粗粒子による
突起が磁性層表面に出現し、VTRのヘッドとの間にス
ペーシングロスが生じ、出力低下もしくは出力変動の原
因となる。
【0008】また、5〜35mμの粒子サイズの微粒子
カーボンブラックを用いると、粗粒子カーボンブラック
を用いるより効率的に磁性層表面の表面電気抵抗が下げ
られ、強磁性粉末100重量部あたり0.1〜5重量部
使用すると充填度の低下も制御できる。5重量部以上使
用すれば充填度が低下し、好ましくない。しかしこれら
の場合でも走行安定性の確保は極めて困難で、摩擦係数
の上昇により磁性層の表面の割れが生じて、ドロップア
ウト増加やヘッド目詰まりによる出力低下の原因とな
る。
【0009】また、特開昭63−168821号公報で
はカーボンブラックDBP吸油量を規定している。DB
P吸油量が150ml以上ではS/Nが低下し、またD
BP吸油量が110ml以下になると出力が低下し、D
BP吸油量が大きすぎても小さすぎても磁気記録媒体の
電磁変換特性の向上という観点から必ずしも充分なもの
とはいえなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】即ち、これらの技術を
もってしても高出力の確保と走行安定性の確保は極めて
困難であった。この原因は走行安定性を確保しようとす
れば磁性層表面の粗面化が必要で、これを効率的に行う
のであれば粗粒子カーボンブラックの使用は避けられな
い事による。
【0011】従って、本発明は、高出力と走行安定性の
極めて優れた磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。特に、本発明は、その出力の維持、即ち出力低下に
極めて優れ、かつ走行安定性に優れ、そのため磁気記録
媒体の摩擦係数上昇によるテープ削れ物発生によるドロ
ップアウトやヘッド目詰まりによる出力低下に極めて優
れる磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、非
磁性支持体上に強磁性粉末及び結合剤樹脂を主体とする
磁性層を有する磁気記録媒体において、該磁性層中には
吸油量の相違する少なくとも2種類のカーボンブラック
が含有されており、第1のカーボンブラックは平均粒子
サイズが5〜35mμで且つDBP吸油量が40〜12
0ml/100gであり、第2のカーボンブラックは平
均粒子サイズが5〜35mμで且つDBP吸油量が14
0〜200ml/100gであることを特徴とする磁気
記録媒体によって達成される。
【0013】また、本発明の目的は、前記カーボンブラ
ックの含有量が、前記強磁性粉末100重量部に対しカ
ーボンブラックが0.5〜5重量部であって、前記第1
のカーボンブラックと前記第2のカーボンブラックとの
比率を重量比で95/5〜40/60とすることにより
有効に達成することができる。
【0014】更に、本発明の目的は、前記磁性層の表面
粗さが中心平均表面粗さRaで5.0nm以下であっ
て、前記強磁性粉末が強磁性金属粉末である時により効
果的に達成される。
【0015】本発明者等は、従来の異なる粒子サイズの
カーボンブラックを混用する弊害を除去し、近似サイズ
の微粒子カーボンブラックを用いることにより、出力と
走行安定性に関し、顕著な効果を得ることにより本発明
を完成するに到った。
【0016】即ち、5〜35mμの近似サイズの微粒子
カーボンブラックを用いることにより、粗粒子を用いる
事による磁性層粗面化、充填度の低下を抑制した。また
走行安定性の確保は、吸油量の異なるカーボンブラッ
ク、即ちDBP吸油量が40〜120ml/100gと
DBP吸油量が140〜200ml/100gの2種類
を用いることにより潤滑剤のテープ表面への供給性を確
保し、かつDBP吸油量の多いカーボンブラックを使用
することにより結合剤のカーボンブラックへの吸着を促
進し適度なミクロ凝集体を形成させることにより表面性
を確保し、出力と走行安定性等の問題を解決できたもの
である。
【0017】このようにDBP吸油量の異なる微粒子カ
ーボンブラックを使用すると、出力と走行安定性が共に
満足される詳細なメカニズムは明らかではないが、カー
ボンブラック自体の表面物性、特に磁性層に添加される
潤滑剤、樹脂等とのカーボンブラック表面を介した相互
作用がDBP吸油量の違うカーボンブラックにおいて微
妙に異なるために磁性層全体として上記特性が発揮され
るものと考えられる。
【0018】カーボンブラックの平均粒子サイズは、電
子顕微鏡により1次粒子サイズ(凝集のない粒子1個の
サイズ)を測定し決定できる。これは具体的には、「カ
ーボンブラック便覧」(昭和48年発行3版、174頁
等)等を参照できる。また、カーボンブラックのDBP
(ジブチルフタレート)吸油量は、JISK6621−
1970やASTM D 2414−65T等の定法に
より測定できる。
【0019】本発明では、磁気記録媒体の磁性層に含ま
れるカーボンブラックとして平均粒子サイズが5〜35
mμの微粒子カーボンブラックを使用して充填度と表面
電気抵抗を確保して高出力と帯電貼付きや帯電による環
境の塵埃吸着によるドロップアウトを抑制した。またカ
ーボンブラックのDBP吸油量が40〜120ml/1
00gとDBP吸油量が140〜200ml/100g
の2種類を用いることにより、DBP吸油量の多いカー
ボンブラックで潤滑剤のテープ表面への供給性を確保し
走行安定性をえた。かつDBP吸油量の多いカーボンブ
ラックを使用することにより結合剤のカーボンブラック
への吸着を促進し適度なミクロ凝集体を形成させること
により表面性を確保し、出力と走行安定性等を共に満足
する。また、DBP吸油量の少ないカーボンブラックは
分散性が良好で強磁性粉末の均一でかつ高充填をもたら
した。
【0020】このように近似微粒子サイズのカーボンブ
ラックを用いてカーボンブラックのDBP吸油量の差を
利用することにより従来の磁気記録媒体には得られない
高充填化、高出力と走行安定性を達成できる。更に、塗
布膜強度の向上によるテープの強靱性を改善できる。
【0021】本発明に使用する各カーボンブラックのD
BP吸油量は、第1のカーボンブラックが40〜120
ml/100g、望ましくは50〜100ml/100
g、第2のカーボンブラックが140〜200ml/1
00g望ましくは150〜190ml/100gであ
る。
【0022】第1のカーボンブラックのDBP吸油量が
40ml/100gより小さいと、カーボンブラック粒
子のストラクチャー構造が充分に発達しないために、磁
性層の表面電気抵抗を効果的に低減することができな
い。
【0023】第2のカーボンブラックのDBP吸油量が
200ml/100gを越えるとカーボンブラックの凝
集体の大きさが大きくなって表面性が低下するので好ま
しくない。また、DBP吸油量が120〜140ml/
100gの中間領域であると摩擦係数が上昇して走行性
に障害を起こす。
【0024】第1のカーボンブラック(C1)と第2の
カーボンブラック(C2)の重量混合比は、C1/C2
=95/5〜40/60、望ましくは90/10〜50
/50、さらに望ましくは80/20〜60/40の範
囲である。
【0025】C1が多すぎると磁性層上でのカーボンブ
ラックの凝集体の数が減少して摩擦係数の増大をもたら
し走行耐久性が低下する。C2が多すぎるとカーボンブ
ラックの凝集体の大きさが大きくなって磁性層の表面粗
さが増大するので好ましくない。
【0026】本発明に使用される2種類のカーボンブラ
ックC1、C2としては、上記したDBP吸油量、平均
粒子サイズを満足するものであれば、特に制限なく、各
々種々の組成、構造のカーボンブラックを単独もしくは
組み合わせて使用することができる。
【0027】更に、本発明は、磁性層の表面粗さを中心
平均表面粗さRaで5.0nm以下、好ましくは4.5
nm以下に制御することができる。また、強磁性粉末と
して強磁性金属粉末を選択することにより、本発明の効
果をより効果的に発揮させることができる。
【0028】以下、本発明の磁気記録媒体について詳細
に説明する。本発明に磁気記録媒体は、少なくとも強磁
性粉末、結合剤樹脂、カーボンブラックC1、C2を含
む磁性層を非磁性支持体上に塗設してなる基本構造を有
するものである。
【0029】本発明の磁気記録媒体は、磁性層を設けた
非磁性支持体上の反対側の面に磁性層あるいは非磁性粉
体(カーボンブラック、無機粉体、研磨剤、固体潤滑剤
等)と結合剤樹脂を含むバック層を設けてもよい。
【0030】さらに本発明の磁気記録媒体においては、
磁性層中に潤滑剤、研磨剤、防錆剤、防黴剤、帯電防止
剤、非磁性粉体、色素、有機磁性化合物、分散剤等を含
んでもよく、また強磁性粉末の異なるもしくは同一の磁
性層からなる多層構成としても良い。また磁性層と非磁
性支持体との間に易接着層、下塗層、非磁性粉体(カー
ボンブラック、無機粉体、研磨剤、固体潤滑剤等)と結
合剤樹脂を含む中間層を設けてもよい。またバック層と
非磁性支持体との間に易接着層、下塗層、非磁性粉体
(カーボンブラック、無機粉体、研磨剤、固体潤滑剤
等)と結合剤樹脂を含む中間層を設けてもよい。
【0031】本発明の磁性層に使用されるカーボンブラ
ックはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブ
ラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を用い
ることができる。これらカーボンブラックの米国におけ
る略称の具体例をしめすとSAF、ISAF、IISA
F、T、HAF、SPF、FF、FEF、HMF、GP
F、APF、SRF、MPF、ECF、SCF、CF、
FT、MT、HCC、HCF、MCF、LFF、RCF
等があり、米国のASTM規格のD−1765−82a
に分類されちるものを使用することができる。
【0032】本発明の磁性層に使用されるこれらカーボ
ンブラックの平均粒子サイズは、5〜35mμ(電子顕
微鏡)、窒素吸着法比表面積は10〜400m2 /g、
pHは2〜11(JIS規格K−6221−1982
法)、DBP吸油量は40〜120ml/100gもし
くは140〜200ml/100g(JIS規格K−6
221−1982法)である。本発明の磁性層に使用さ
れるカーボンブラックのサイズは、5〜35mμのカー
ボンブラックを用いる。また、これらのカーボンブラッ
クを後述の分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフ
ト化して使用してもよい。また、カーボンブラックを製
造するときの炉の温度を2000℃以上で処理して表面
の一部をグラファイト化したものも使用できる。また、
特殊なカーボンブラックとして中空カーボンブラックを
使用することもできる。
【0033】これらのカーボンブラックは、磁性層の強
磁性粉末100重量部に対して0.5〜5重量部、好ま
しくは1〜3重量部で用いる。カーボンブラックは、上
記した以外の目的のために本発明で規定したC1、C2
以外に磁性層の強磁性粉末100重量部に対して0.4
重量部未満の量で使用できる。
【0034】本発明に使用できるカーボンブラックは例
えば「カーボンブラック便覧」,カーボンブラック協会
編(昭和46年発行)を参考にすることができる。これ
らカーボンブラックの例示は、米国特許4539257
号、米国特許4614685号、特開昭61−9242
4号、特開昭61−99927号の公報に記載されてい
る。
【0035】本発明のカーボンブラックの内、DBP吸
油量が40〜120ml/100gで平均粒子サイズが
5〜35mμのものの具体的な例としては、三菱#65
0B(サイズ18mμ、DBP吸油量120ml/10
0g)、三菱#950B(サイズ16mμ、DBP吸油
量74ml/100g)、三菱40B(サイズ20m
μ、DBP吸油量115ml/100g)、三菱44B
(サイズ20mμ、DBP吸油量80ml/100
g)、三菱3150B(サイズ25mμ、DBP吸油量
110ml/100g)、RAVEN2000B(サイ
ズ20mμ、DBP吸油量65ml/100g)、CO
NDUCTEX(サイズ20mμ、DBP吸油量115
ml/100g)、CONDUCTEX SC(サイズ
20mμ、DBP吸油量115ml/100g)等が挙
げられる。
【0036】本発明のカーボンブラックのDBP吸油量
が140〜200ml/100gで、平均粒子サイズが
5〜35mμのものの具体的な例としては、三菱#32
50B(サイズ30mμ、DBP吸油量160ml/1
00g)、VULCAN XC72(サイズ20mμ、
DBP吸油量178ml/100g)、BP 905
(サイズ20mμ、DBP吸油量140ml/100
g)等が挙げられる。
【0037】本発明に使用される強磁性粉末としては、
γ−Fe2 3 、Co含有(被着、変成、ドープ)のγ
−Fe2 3 、Fe3 4 、Co含有(被着、変成、ド
ープ)のFe3 4 、γ−FeOX 、Co含有(被着、
変成、ドープ)の γ−FeOX (x=1.33〜1.50)、CrO2
も挙げられるが、特に、Fe合金、Fe−Co合金、F
e−Co−Ni合金、Fe−Co−Ni−P合金、Fe
−Co−Ni−B合金、Fe−Ni−Zn合金、Ni−
Co合金、Co−Ni−Fe合金などの強磁性金属粉末
が好ましい。これらの強磁性金属粉末の粒子サイズは、
約0.005〜1μmの長さで、軸長/軸幅の比は、1
/2〜15/1程度である。又、これらの強磁性金属粉
末の比表面積は35〜80m2 /g、より好ましくは4
8〜70m2 /g、抗磁力(Hc)は1250〜250
0Oe、含水率は0.1〜2.0重量%、pHは3〜1
1(5g強磁性金属粉末/100g水)である。これら
の強磁性粉末の表面に、防錆剤、表面処理剤、分散剤、
潤滑剤、帯電防止剤等をそれぞれの目的の為に分散に先
だって溶剤中で含浸させて、吸着させてもよい。
【0038】本発明の磁気記録媒体はこれら強磁性粉末
が結合剤樹脂中に分散された磁性層を非磁性支持体上に
設けたものである。このほか10000ppm以下の量
で記載以外の元素(Sr、Pb、Mn、Cd、Al、S
i、Na、Ca、K、Ti、Cu、Zn、S等)を磁気
特性向上のため、あるいは不純物として含む。特に、強
磁性金属粉末は焼結防止剤もしくは酸化安定膜としてA
l、Si化合物を粒子表面に含むことが好ましく、その
量は金属成分の1〜10重量%である。
【0039】本発明に用いる強磁性金属粉末を更に詳細
に記すと、特に鉄、コバルトあるいはニッケルを含む強
磁性合金粉末を用いるとその効果が顕著であって、その
比表面積が48m2 /g以上、抗磁力1300〜250
0Oe、より好ましくは1500〜1800Oeの強磁
性合金粉末を強磁性粉末として使用することが好まし
い。この強磁性金属粉末の例としては、強磁性金属粉末
中の金属分が60重量%以上であり、そして金属分の7
0重量%以上が少なくとも1種類の強磁性金属あるいは
合金(例、Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−N
i、Co−Ni、Co−Ni−Fe)であり、該金属分
の40重量%以下、より好ましくは20重量%以下の範
囲内で他の成分(例、Al、Si、S、Sc、Ti、
V、Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Mo、Rh、Pd、
Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、A
u、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、B、
P)を含むことのある合金や窒化鉄や炭化鉄等を挙げる
ことができる。また、上記強磁性金属粉末が少量の水、
水酸化物または酸化物、アルカリ金属元素(Na、K
等)、アルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr)を含
むものなどであってもよい。
【0040】これらの強磁性金属粉末の製造方法は既に
公知であり、本発明で用いる強磁性粉末の代表例である
強磁性金属粉末についてもこれらの公知の方法に従って
製造することができる。
【0041】即ち、強磁性金属粉末の製造方法の例とし
ては、下記の方法を挙げることができる。 (a)複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)を水素など
の還元性気体で還元する方法 (b)酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあ
るいはFe−Co粒子などを得る方法 (c)金属カルボニル化合物を熱分解する方法 (d)強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、
次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加し
て還元する方法 (e)水銀陰極を用い強磁性金属粉末を電解析出させた
のち水銀と分離する方法 (f)金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を
得る方法 強磁性金属粉末を使用する場合にその形状にとくに制限
はないが通常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状および
板状のものが使用される。また、これら強磁性金属粉末
の飽和磁化( σS ) は100〜200emu/gが好ま
しい。結晶子サイズは100〜300Åが好ましい。こ
れらの強磁性金属粉末の例示は特開昭53−70397
号、同58−119609号、同58−130435
号、同59−80901号、同59−16903号、同
59−41453号、特公昭61−37761号、米国
特許4447264号、同4791021号、同493
1198号の公報等に記載されている。
【0042】本発明の磁性層あるいは所望により設けら
れるバック層に使用されるバインダーとしては従来公知
の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬
化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂やこ
れらの混合物が使用される。
【0043】熱可塑性樹脂としては軟化温度が150℃
以下、平均分子量が10000〜300000、重合度
が約50〜2000程度のもので、より好ましくは20
0〜600程度であり、例えば塩化ビニル酢酸ビニル共
重合体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビ
ニルアルコール共重合体、塩化ビニルビニルアルコール
共重合体、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩化ビ
ニルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステルア
クリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニ
リデン共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重合
体、メタクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、
メタクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタク
リル酸エステルスチレン共重合体、ウレタンエラストマ
ー、ナイロン−シリコン系樹脂、ニトロセルロース−ポ
リアミド樹脂、ポリフッカビニル、塩化ビニリデンアク
リロニトリル共重合体、ブタジエンアクリロニトリル共
重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セル
ロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セル
ロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セ
ルロースプロピオネート、ニトロセルロース、エチルセ
ルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、メ
チルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
アセチルセルロース等)、スチレンブタジエン共重合
体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロ
ビニルエーテルアクリル酸エステル共重合体、アミノ樹
脂、各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂及びこれらの混合
物等が使用される。これらの樹脂の例示は、特公昭37
−6877号、同39−12528号、同39−192
82号、同40−5349号、同40−20907号、
同41−9463号、同41−14059号、同41−
16985号、同42−6428号、同42−1162
1号、同43−4623号、同43−15206号、同
44−2889号、同44−17947号、同44−1
8232号、同45−14020号、同45−1450
0号、同47−18573号、同47−22063号、
同47−22064号、同47−22068号、同47
−22069号、同47−22070号、同47−27
886号、特開昭57−133521号、同58−13
7133号、同58−166533号、同58−222
433号、同59−58642号、米国特許45713
64号、同4752530号、の公報等に記載されてい
る。
【0044】熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては塗布
液の状態では200000以下の分子量であり、塗布、
乾燥後に加熱加湿することにより、縮合、付加等の反応
により分子量は無限大のものとなる。又、これらの樹脂
のなかで、樹脂が熱分解するまでの間に軟化又は溶融し
ないものが好ましい。具体的には例えばフェノール樹
脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリカーボネート
樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリ
コン樹脂、アクリル系反応樹脂(電子線硬化樹脂)、エ
ポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹
脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポ
リマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシア
ネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオール
とポリイソシアネートとの混合物、尿素ホルムアルデヒ
ド樹脂、低分子量グリコール/高分子量ジオール/トリ
フェニルメタントリイソシアネートの混合物、ポリアミ
ン樹脂、ポリイミン樹脂及びこれらの混合物等である。
これらの樹脂の例示は特公昭39−8103号、同40
−9779号、同41−7192号、同41−8016
号、同41−14275号、同42−18179号、同
43−12081号、同44−28023号、同45−
14501号、同45−24902号、同46−131
03号、同47−22065号、同47−22066
号、同47−22067号、同47−22072号、同
47−22073号、同47−28045号、同47−
28048号、同47−28922号等の公報に記載さ
れている。
【0045】これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反
応型樹脂は、主たる官能基以外に官能基としてカルボン
酸(COOM)、スルフィン酸、スルフェン酸、スルホ
ン酸(SO3 M)、燐酸(OPO(OM)2 )、ホスホ
ン酸(PO(OM)2 )、硫酸(OSO3 M)およびこ
れらのエステル基等の酸性基(Mは、H、アリカリ金
属、アルカリ土類金属、炭化水素基)、アミノ酸類;ア
ミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸
エステル類、アルキルベタイン型等の両性類基、アミノ
基、イミノ基、イミド基、アミド基等、また、水酸基、
アルコキシル基、チオール基、アリキルチオ基、ハロゲ
ン基(F、Cl、Br、I)、シリル基、シロキサン
基、エポキシ基、イソシアナト基、シアノ基、ニトリル
基、オキソ基、アクリル基、ホスフィン基を通常1種以
上6種以内含み、各々の官能基は樹脂1gあたり1×1
-6eq〜1×10-2eq含む事が好ましい。
【0046】本発明の磁性層及び或いはバック層にもち
いるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシア
ネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネー
ト、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート
類、又当該イソシアネート類とポリアルコールとの生成
物、又イソシアネート類の縮合に依って生成した2〜1
0量体のポリイソシアネート、又ポリイソシアネートと
ポリウレタンとの生成物で末端官能基がイソシアネート
であるもの等を使用することができる。これらポリイソ
シアネート類の平均分子量は、100〜20000のも
のが好適である。これらポリイソシアネートの市販され
ている商品名としては、コロネートL、コロネートH
L、コロネート2030、コロネート2031、ミリオ
ネートMR、ミリオネートMTL(日本ポリウレタン
(株)製)、タケネートD−102、タケネートD−1
10N、タケネートD−200、タケネートD−20
2、タケネート300S、タケネート500(武田薬品
(株)製)、スミジュールT−80、スミジュール44
S、スミジュールPF、スミジュールL、スミジュール
N、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジ
ュールN、デスモジュールHL、デスモジュールT6
5、デスモジュール15、デスモジュールR、デスモジ
ュールRF、デスモジュールSL、デスモジュールZ4
273(住友バイエル社製)等があり、これらを単独若
しくは硬化反応性の差を利用して二つ若しくはそれ以上
の組み合わせによって使用することができる。又、硬化
反応を促進する目的で、水酸基(ブタンジオール、ヘキ
サンジオール、分子量が1000〜10000のポリウ
レタン、水等)、アミノ基(モノメチルアミン、ジメチ
ルアミン、トリメチルアミン等)を有する化合物や金属
酸化物の触媒や鉄アセチルアセテート等の触媒を併用す
る事もできる。これらの水酸基やアミノ基を有する化合
物は多官能である事が望ましい。これらのポリイソシア
ネートは磁性層、バック層とも結合剤樹脂とポリイソシ
アネートの総量100重量部当たり2〜70重量部で使
用することが好ましく、より好ましくは5〜50重量部
である。これらの例示は、特開昭60−131622
号、特開昭61−74138号等の公報において示され
ている。
【0047】これらの結合剤の単独又は組合わされたも
のが使われ、ほかに添加剤が加えられる。磁性層の強磁
性粉末と結合剤との混合割合は重量比で強磁性粉末10
0重量部に対して結合剤3〜55重量部の範囲で使用さ
れる。バック層の微粉末と結合剤の混合割合は重量比で
微粉末100重量部に対して結合剤8〜150重量部の
範囲で使用される。添加剤としては、分散剤、潤滑剤、
研磨剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤等がくわえられ
る。
【0048】本発明のバック層に使用されるカーボンブ
ラックはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用
ブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を用
いることができる。これらカーボンブラックはテープの
帯電防止剤、遮光剤、摩擦係数調節剤、耐久性向上を目
的として使用される。これらカーボンブラックの米国ニ
オケル略称の具体例をしめすとSAF、ISAF、II
SAF、T、HAF、SPF、FF、FEF、HMF、
GPF、APF、SRF、MPF、ECF、SCF、C
F、FT、MT、HCC、HCF、MCF、LFF、R
CF等があり、米国のASTM規格のD−1765−8
2aに分類されちるものを使用することができる。使用
されるこれらカーボンブラックの平均粒子サイズは、5
〜1000mμ(電子顕微鏡)、窒素吸着法比表面積は
1〜800m2/g、pHは4〜11(JIS規格K−
6221−1982法)、DBP吸油量は10〜800
ml/100g(JIS規格K−6221−1982
法)である。本発明に使用されるカーボンブラックのサ
イズは、塗布膜の表面電気抵抗を下げる目的で5〜10
0mμのカーボンブラックを、また塗布膜の強度を制御
するときに50〜1000mμのカーボンブラックを用
いる。また、塗布膜の表面粗さを制御する目的で表面の
平滑化のためにより微粒子のカーボンブラック(100
mμ未満)を、粗面化して摩擦抵抗を下げる目的で粗粒
子カーボンブラック(100mμ以上)を用いる。この
ようにカーボンブラックの種類と添加剤は磁気記録媒体
に要求される目的に応じて使い分けられる。また、これ
らのカーボンブラックを、後述の分散剤などで表面処理
したり、樹脂でグラフト化して使用してもよい。また、
カーボンブラックを製造するときの炉の温度を2000
℃以上で処理して表面の一部をグラファイト化したもの
も使用できる。また、特殊なカーボンブラックとして中
空カーボンブラックを使用することもできる。バック層
の場合、カーボンブラックは結合剤100重量部に対し
て20〜400部で用いることが望ましい。バック層に
使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラッ
ク便覧」,カーボンブラック協会編(昭和46年発行)
を参考にすることができる。これらカーボンブラックの
例示は、米国特許4539257号、米国特許4614
685号、特開昭61−92424号、特開昭61−9
9927号の公報に記載されている。
【0049】本発明の磁性層あるいはバック層に用いら
れる研磨剤は、磁気テープの耐久性やVTRのヘッドク
リーニング効果を向上させるために用いられ、一般的に
研磨作用若しくは琢磨作用をもつ材料で、α−アルミ
ナ、γ−アルミナ、α−γ−アルミナ、熔融アルミナ、
炭化珪素、酸化クロム、酸化セリウム、コランダム、人
造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ザクロ石、エメリー(主
成分:コランダムと磁鉄鉱)、ガーネット、珪石、窒化
硅素、窒化硼素、炭化モリブデン、炭化硼素、炭化タン
グステン、チタンカーバイド、トリポリ、珪藻土、ドロ
マイト等で、主としてモース硬度6以上の材料が1内至
4種迄の組合わせで使用される。
【0050】これらの具体例としては住友化学(株)製
のAKPI、AKP15、AKP20、AKP30、A
KP50、AKP80、Hit50、Hit100等が
挙げられる。これらについては特公昭52−28642
号、同49−39402号、特開昭63−98828
号、米国特許3687725号、同3007807号、
同3041196号、同3293066号、同3630
910号、同3833412号、同4117190号、
同1145349号、西独特許853211号等に記載
されている。
【0051】これらの研磨剤は磁性層に使用する場合、
平均粒子サイズは0.005〜5μmの大きさのものが
使用され、好ましくは0.01〜2μm、特に好ましく
は0.1〜0.8μmである。また、強磁性粉末100
重量部に対して0.01〜20重量部の範囲で添加され
る。また、強磁性粉末100重量部に対しカーボンブラ
ックと研磨剤を総和して5〜18重量部で用いることが
望ましい。磁性層用の粉体としては、モース硬度8以上
が好ましく、α−アルミナ、酸化クロム、ダイヤモン
ド、炭化タングステン、炭化珪素が特に最適である。
【0052】これらの研磨剤をバック層に使用する場
合、平均粒子サイズは0.005〜5μmの大きさのも
のが使用され、好ましくは0.01〜2μmであり、結
合剤樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部で用
いることが望ましい。
【0053】本発明の磁性層あるいはバック層に使用さ
れる粉末状潤滑剤としては、グラファイト、二硫化モリ
ブデン、窒化硼酸、弗化黒鉛、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム、酸化硅素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、二
硫化タングステン等の無機微粉末、アクリルスチレン系
樹脂微粉末、ベンゾグアナミン系樹脂微粉末、メラミン
系樹脂微粉末、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリエス
テル系樹脂微粉末、ポリアミド系樹脂微粉末、ポリイミ
ド系樹脂微粉末、ポリ弗化エチレン系樹脂微粉末等の樹
脂微粉末等がある。
【0054】また、有機化合物系潤滑剤としては、シリ
コンオイル(ジアルキルポリシロキサン、ジアルコキシ
ポリシロキサン、フェニルポリシロキサン、フルオロア
ルキルポリシロキサン(信越化学製KF96、KF69
等))、脂肪酸変性シリコンオイル、弗化アルコール、
ポリオレフィン(ポリエチレンワックス、ポリプロピレ
ン等)、ポリグリコール(エチレングリコール、ポリエ
チレンオキシドワックス等)、テトラフルオロエチレン
オキシドワックス、ポリテトラフルオログリコール、パ
ーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロ脂肪酸、パ
ーフルオロ脂肪酸エステル、パーフルオロアルキル硫酸
エステル、パーフルオロアルキルスルホン酸エステル、
パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸エステル、パ
ーフルオロアルキル燐酸エステル等の弗素や珪素を導入
した化合物;アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン
酸エステル、アルキルホスホン酸トリエステル、アルキ
ルホスホン酸モノエステル、アルキルホスホン酸ジエス
テル、アルキル燐酸エステル、琥珀酸エステル等の有機
酸および有機酸エステル化合物;トリアザインドリジ
ン、テトラアザインデン、ベンゾトリアゾール、ベンゾ
トリアジン、ベンゾジアゾール、EDTA等の窒素・硫
黄を含む複素(ヘテロ)環化合物;炭素数10〜40の
一塩基性脂肪酸と炭素数2〜40個の一価のアルコール
もしくは二価のアルコール、三価のアルコール、四価の
アルコール、六価のアルコールのいずれか1つもしくは
2つ以上とから成る脂肪酸エステル類、炭素数10個以
上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭素数と合計して炭素
数が11〜70個と成る一価〜六価のアルコールから成
る脂肪酸エステル類、炭素数8〜40の脂肪酸或いは脂
肪酸アミド、脂肪酸アルキルアミド類、脂肪族アルコー
ル類も使用できる。
【0055】これら化合物の具体的な例としては、カプ
リル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ラウリン酸エチ
ル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチル、ミリスチ
ン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチ酸オクチ
ル、ミリスチン酸2エチルヘキシル、パルミチン酸エチ
ル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パル
ミチン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、ステ
アリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン
酸オクチル、ステアリン酸2エチルヘキシル、ステアリ
ン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸2
エチルペンチル、ステアリン酸2ヘキシルデシル、ステ
アリン酸イソトリデシル、ステアリン酸アミド、ステア
リン酸アルキルアミド、アテアリン酸ブトキシエチル、
アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソ
ルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリス
テアレート、アンヒドロソルビタンテトラステアレー
ト、オレイルオレート、オレイルアルコール、ラウリル
アルコール、モンタンワックス、カルナウバワックス等
があり単独もしくは組み合わせて使用できる。
【0056】また本発明に使用される潤滑剤としては所
謂潤滑油添加剤も単独若しくは組合わせで使用出来、防
錆剤として知られる酸化防止剤(アルキルフェノール、
ベンゾトリアジン、テトラアザインデン、スルファミ
ド、グアニジン、核酸、ピリジン、アミン、ヒドロキノ
ン、EDTA等の金属キレート剤)、錆どめ剤(ナフテ
ン酸、アルケニルコハク酸、燐酸、ジラウリルホスフェ
ート等)、油性剤(ナタネ油、ラウリルアルコール
等)、極圧剤(ジベンジルスルフィド、トリクレジルホ
スフェート、トリブチルホスファイト等)、清浄分散
剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、泡どめ剤等があ
る。
【0057】これらの潤滑剤は結合剤100重量部に対
して0.01〜30重量部の範囲で添加される。これら
については、特公昭43−23889号、同48−24
041号、同48−18482号、同44−18221
号、同47−28043号、同57−56132号、特
開昭59−8136号、同59−8139号、同61−
85621号、米国特許3423233号、同3470
021号、同3492235号、同3497411号、
同3523086号、同3625760号、同3630
772号、同3634253号、同3642539号、
同3687725号、同4135031号、同4497
864号、同4552794号、アイビーエムテクニカ
ル ディスクロージャーブリテン(IBM Techn
icalDisclosure Bulletin)V
ol.9,No7,p779(1966年12月)、エ
レクトロニク(ELECTRONIK)1961年No
12,p380、化学便覧、応用編,p954−96
7,1980年丸善(株)発行等に記載されている。
【0058】本発明に使用できる分散剤、分散助剤とし
ては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エラ
イジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸、
ベヘン酸、マレイン酸、フタル酸等の炭素数2〜40個
の脂肪酸(R1 COOH、R1 は炭素数1〜39個のア
ルキル基、フェニル基、アラルキル基)、前記の脂肪酸
のアルカリ金属(Li、Na、K)またはNH4 +等ま
たはアルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba等)、Cu、
Pb等から成る金属石鹸(オレイン酸銅)、脂肪酸アミ
ド;レシチン(大豆油レシチン)等が使用される。この
他に炭素数4〜40の高級アルコール(ブタノール、オ
クチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリル
アルコール)及びこれらの硫酸エステル、スルホン酸、
フェニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、スルホン酸
エステル、燐酸モノエステル、燐酸ジエステル、燐酸ト
リエステル、アルキルホスホン酸、フェニルホスホン
酸、アミン化合物等も使用可能である。また、ポリエチ
レングリコール、ポリエチレンオキシド、スルホ琥珀
酸、スルホ琥珀酸金属塩、スルホ琥珀酸エステル、等も
使用可能である。これらの分散剤は通常1種類以上用い
られ、1種類の分散剤は結合剤100重量部に対し0.
005〜20重量部の範囲で添加される。
【0059】これら分散剤の使用方法は、強磁性粉末や
非磁性粉体の表面に予め被着させても良く、また分散途
中で添加してもよい。このようなものは、例えば特公昭
39−28369号、特公昭44−17945号、特公
昭44−18221号、特公昭48−7441号、特公
昭48−15001号、特公昭48−15002号、特
公昭48−16363号、特公昭49−39402号、
米国特許3387993号、同3470021号等に於
いて示されている。
【0060】本発明に用いられる防黴剤としては、2−
(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−(フル
オロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、10,1
0′−オキシビスフェノキサルシン、2,4,5,6−
テトラクロロイソフタロニトリル、p−トリルジヨード
メチルスルホン、トリヨードアリルアルコール、ジヒド
ロアセト酸、フェニルオレイン酸水銀、酸化ビス(トリ
ブチル錫)、サリチルアニライド等がある。このような
ものは、例えば、「微生物災害と防止技術」1972年
工学図書、「化学と工業」32,904(1979)等
に於いて示されている。これらの防黴剤は結合剤樹脂1
00重量部に対して0.005〜20重量部の範囲で使
用される。
【0061】本発明に用いるカーボンブラック以外の帯
電防止剤としては、グラファイト、変成グラファイト、
カーボンブラックグラフトポリマー、酸化錫−酸化アン
チモン、酸化錫、酸化チタン−酸化錫−酸化アンチモ
ン、等の導電性粉末;サポニン等の天然界面活性剤;ア
ルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール
系、多価アルコール、多価アルコールエステル、アルキ
ルフェノールEO付加体等のノニオン界面活性剤;高級
アルキルアミン類、環状アミン、ヒダントイン誘導体、
アミドアミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩
類、ピリジンそのほかの複素環類、ホスホニウムまたは
スルホニウム類、等のカチオン界面活性剤;カルボン
酸、スルホン酸、ホスホン酸、燐酸、硫酸エステル、燐
酸エステル、ホスホン酸エステルなどの酸性基を含むア
ニオン界面活性剤;アミノ酸類;アミノスルホン酸類、
アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキ
ルベタイン型等の両性界面活性剤等が使用される。これ
らの界面活性剤は単独または混合して添加しても良い。
これらの帯電防止剤として使用し得る界面活性剤化合物
例の一部は特開昭60−28025号、米国特許227
1623号、同2240472号、同2288226
号、同2676122号、同2676924号、同26
76975号、同2691566号、同2727860
号、同2730498号、同2742379号、同27
39891号、同3068101号、同3158484
号、同3201253号、同3210191号、同32
94540号、同3415649号、同3441413
号、同3442654号、同3475174号、同35
45974号、西独特許公開(OLS)1942665
号、英国特許1077317号、同1198450号等
をはじめ、小田良平他著「界面活性剤の合成とその応
用」(槇書店1972年版);A.W.ベイリ著「サー
フェス アクティブ エージェンツ」(インターサイエ
ンス パブリケーション コーポレイテッド1985年
版);T.P.シスリー著「エンサイクロペディアオブ
サ−フェスアクティブ エージェンツ,第2巻」(ケ
ミカルパブリッシュカンパニー1964年版);「界面
活性剤便覧」第6刷(産業図書株式会社,昭和41年1
2月20日);丸茂秀雄著「帯電防止剤」幸書房(19
68)等の成書に記載されている。 磁気記録媒体にお
ける、これらの界面活性剤の使用量は、強磁性粉末10
0重量部当たり0.01〜10重量部である。また、バ
ック層での使用量は、結合剤100重量部当たり0.0
1〜30重量部である。これらは帯電防止剤として用い
られるものであるが、時としてそのほかの目的、例えば
分散、磁気特性の改良、潤滑性の改良、塗布助剤、硬化
促進剤、分散促進剤として適用される場合もある。
【0062】本発明において、磁性塗料、バック層塗料
を調製するために分散、混練の際、および塗布の際に使
用する有機溶媒としては、任意の比率でアセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン
系;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、
メチルシクロヘキサノールなどのアルコール系;酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸
イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチル
エーテル等のエステル系;ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、グリコールジメチルエーテル、グリコール
モノエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系;ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベン
ゼン、スチレンなどのタール系(芳香族炭化水素);メ
チレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、
クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベン
ゼン等の塩素化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアル
デヒド、ヘキサン等のものが使用できる。また、これら
の溶媒は通常任意の比率で2種以上で用いる。また1重
量%以下の量で微量の不純物(その溶媒自身の重合物、
水分、原料成分等)を含んでもよい。
【0063】これらの溶剤は、磁性塗料もしくはバック
層塗料、下塗液の合計固形分100重量部に対して10
0〜20000重量部で用いられる。好ましい磁性塗料
の固形分比率は10〜40重量%である。また、バック
層塗料の好ましい固形分比率は、5〜20重量%であ
る。尚、有機溶媒の代わりに水系溶媒(水、アルコー
ル、アセトン等)を使用することもできる。
【0064】磁性層の形成は上記の組成などを任意に組
合せて調製した磁性塗布液として支持体上に塗布・乾燥
・配向する。テープとして使用する場合には支持体の厚
み2.5〜100ミクロン程度、好ましくは3〜70ミ
クロン程度が良い。ディスクもしくはカード状の場合は
厚みが0.03〜10mm程度であり、ドラムの場合は円
筒状で用いる事も出来る。素材としてはポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエス
テル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロ
ーストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセ
ルロース誘導体、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂類、
ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスル
ホン等のブラスチックのほかにアルミニウム、銅等の金
属、ガラス等のセラミックス等も使用出来る。これらの
支持体は塗布に先立って、コロナ放電処理、プラズマ処
理、下塗処理、熱処理、除塵埃処理、金属蒸着処理、ア
ルカリ処理をおこなってもよい。これら支持体に関して
は例えば西独特許3338854A、特開昭59−11
6926号、特開昭61−129731号、米国特許4
388368号;三石幸夫著、「繊維と工業」31巻
p50〜55、1975年などに記載されている。ビデ
オテープ等の場合、これら支持体のヤング率(F5値)
は目的に応じて、幅方向、長手方向とも2〜30Kg/
mm2 を選択することができる。
【0065】分散、混練の方法には特に制限はなく、ま
た各成分の添加順序(樹脂、粉体、潤滑剤、溶媒等)、
分散・混練中の添加位置、分散温度(0〜80℃)など
は適宜設定することができる。磁性塗料およびバック層
塗料の調製には通常の混練機、例えば、二本ロールミ
ル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロン
ミル、サンドグラインダー、ゼグバリ(Szegvar
i)、アトライター、高速インペラー、分散機、高速ス
トーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、
高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテ
ンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、ディスパー
ザー、ホモジナイザー、単軸スクリュー押し出し機、二
軸スクリュー押し出し機、及び超音波分散機などを用い
ることができる。通常、混練分散にはこれらの分散・混
練機を複数備え、連続的に処理を行う。混練分散に関す
る技術の詳細は、T.C.PATTON著(テー.シ
ー.パットン)“ Paint Flow and Pigment Dispersio
n" (ペイント フロー アンドピグメント ディスパ
ージョン)1964年John Wiley & Sons 社発行(ジョ
ンウイリー アンド サンズ)や田中信一著「工業材
料」25巻37(1977)などや当該書籍の引用文献
に記載されている。これらの分散、混練の補助材料とし
て分散・混練を効率よく進めるため、球相当系で10c
mφ〜0.05mmφの系のスチールボール、スチール
ビーズ、セラミックビーズ、ガラスビーズ、有機ポリマ
ービーズを用いることができる。またこれら材料は球形
に限らない。また、米国特許第2581414号及び同
第2855156号等の明細書にも記載がある。本発明
においても上記の書籍や当該書籍の引用文献などに記載
された方法に準じて混練、分散を行い磁性塗料およびバ
ック層塗料を調製することができる。
【0066】支持体上へ前記の磁性塗料ならびにバック
層塗料を塗布する方法としては、塗布液の粘度を1〜2
0000センチストークス(25℃)に調整し、エアー
ドクターコート、ブレードコート、エアナイフコート、
スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、
トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコ
ート、キャストコート、スプレイコート、ロッドコー
ト、正回転ロールコート、カーテンコート、押出コー
ト、バーコート等が利用出来、その他の方法も可能であ
り、これらの具体的説明は朝倉書店発行の「コーテイン
グ工業」253頁〜277頁(昭和46.3.20.発
行)に詳細に記載されている。これら塗布液の塗布の順
番は任意に選択でき、また所望の液の塗布の前に下塗り
層あるいは支持体との密着力向上にためにコロナ放電処
理等を行っても良い。また、磁性層もしくはバック層を
多層で構成したい時は、同時多層塗布、逐次多層塗布等
を行ってもよい。これらは、例えば、特開昭57−12
3532号公報、特公昭62−37451号公報、特開
昭59−142741号公報、特開昭59−16523
9号公報の明細書等に示されている。
【0067】このような方法により、支持体上に約1〜
200μmほどで塗布された磁性液は必要により層中の
強磁性粉末を直ちに20〜130℃で多段階で乾燥しな
がら500〜5000ガウス程で所望の方向(垂直、長
手、幅、ランダム、斜め等)へ配向させる処理を施した
のち、形成した磁性層を0.1〜30μm厚みに乾燥す
る。このときの支持体の搬送速度は、通常10m/分〜
900m/分でおこなわれ、複数の乾燥ゾーンで乾燥温
度を20℃〜130℃で制御し、塗布膜の残留溶剤量を
0.1〜40mg/m2 とする。又必要により表面平滑
化加工を施し、磁性層もしくはバック層の中心線平均表
面粗さを0.001〜0.3μm(カットオフ0.25
mm)とし、所望の形状に裁断したりして、本発明の磁
気記録体を製造する。これらの製造方法は粉体の予備処
理・表面処理、混練・分散、塗布・配向・乾燥、平滑処
理、熱処理、放射線照射(EB)処理、表面研磨処理、
裁断、巻き取りの工程を連続して行う事が望ましい。こ
れらは、例えば、特公昭40−23625号公報、特公
昭39−28368号公報、特公昭47−38802号
公報、英国特許第1191424号、特公昭48−11
336号公報、特開昭49−53631号公報、特開昭
50−112005号公報、特開昭51−77303号
公報、特公昭52−17404号公報、特開昭60−7
0532号公報、特開平2−265672号公報、米国
特許第3473960号、同4728569号、同47
46542号明細書等にしめされている。又、特公昭4
1−13181号公報にしめされる方法はこの分野にお
ける基本的、且つ重要な技術と考えられている。
【0068】このように作成した磁気記録媒体を裁断し
た後、所望のプラスチックや金属のリールに巻き取る。
巻き取る直前ないしはそれ以前の工程において、磁気記
録媒体(磁性層、バック層、エッジ端面、ベース面)を
バーニッシュおよびまたはクリーニングを行うことが望
ましい。バーニッシュは磁気記録媒体を具体的にサファ
イア刃、剃刀刃、超硬材料刃、ダイヤモンド刃、セラミ
ックス刃のような硬い材料により磁気記録媒体表面の突
起部分をそぎおとし平滑にする。これら材料のモース硬
度は8以上が好ましくが、特に制限はなく突起を除去で
きるものであれば良い。これら材料の形状は特に刃であ
る必要はなく、角型、丸型、ホイール(回転する円筒形
状の周囲にこれらの材質を付与しても良い)のような形
状でも使用できる。また、磁気記録媒体のクリーニング
は、磁気記録媒体表面の汚れや余分な潤滑剤を除去する
目的で磁気記録媒体表層を不織布などで磁性層面、バッ
ク層面、エッジ端面、バック側のベース面をワイピング
することにより行う。このようなワイピングの材料とし
ては、例えば、日本バイリーン製の各種バイリーンや東
レ製のトレシー、エクセーヌ、商品名キムワイプ、富士
写真フィルム製各種研磨テープ、また不織布はナイロン
製不織布、ポリエステル製不織布、レーヨン製不織布、
アクリロニトリル製不織布、混紡不織布など、ティッシ
ュペーパー等が使用できる。これらは、例えば特公昭4
6−39309号、同58−46768号、特開昭56
−90429号公報、特公昭58−46767号、特開
昭63−259830号、特開平1−201824号の
各公報等にも記載されている。
【0069】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明する。ここに示す成分、割合、操作順序等は本発明の
精神から逸脱しない範囲において変更しうるものである
ことは本業界に携わるものにとっては容易に理解される
ことである。
【0070】従って、本発明は下記の実施例に制限され
るべきではない。尚、実施例中の部は重量部をしめす。
下記に示す組成の磁性塗料(1)をオープンニーダーで
混練し、組成(2)を加えた後サンドミルで分散し、塗
布前に(3)を加えて、調整して乾燥後の磁性層の厚さ
が2.5μmになるように厚さ7.0μmの非磁性支持
体ポリエチレンナフタレート(MD方向のヤング率80
0Kg/mm2 、TD方向のヤング率750Kg/mm
2 )上に塗布した。
【0071】 磁性塗料組成 (1) 強磁性合金粉末 100部 (Fe金属粉末、Al 4重量%、比表面積(SBET ):55m2 /g) リン酸エステル 1部 (ノニルフェニルポリエチレングリコールホスフェート) レシチン 0.3部 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 10部 (日本ゼオン(株)、MR110) ウレタン樹脂(東洋紡績(株)、UR8600) 2部 シクロヘキサノン 30部 メチルエチルケトン 20部 (2) 下記3成分の分散物 カーボンブラック(注1) X部 ウレタン樹脂(東洋紡績(株)、UR8600) 2部 メチルエチルケトン 10部 下記3成分の分散物 研磨剤(住友化学:Hit55) 10部 ウレタン樹脂(東洋紡績(株)、UR8600) 2部 メチルエチルケトン 10部 及び シクロヘキサノン 150部 注1;表1に記載のカーボンブラックの種類を表2の第
1のカーボンブラック(C1)及び第2のカーボンブラ
ック(C2)の欄に記載し、その総和を使用した。尚、
表1及び2のIII 及びIVは本発明のC1及びC2以外の
比較のためのカーボンブラックである。
【0072】 (3) ポリイソシアネート 4部 (日本ポリウレタン(株)製:コロネート3040) メチルエチルケトン 50部 トルエン 10部 ステアリン酸2エチルヘキシル 0.5部 ステアリン酸ジブチルアミド 0.5部 パルミチン酸 0.3部 ステアリン酸ブトキシエチル 0.5部 オレイン酸 0.3部 磁性塗料を塗布した非磁性支持体を磁性塗料が未乾燥の
状態で磁気配向処理を行い、更に乾燥後カレンダー処理
を行い、下記のバック層塗料(1)に塗布直前に(2)
を加え乾燥後厚み0.6μmで塗布した。その後1/2
インチ幅にスリットしてビデオテープを作成した。その
結果を表2に示した。
【0073】 バック層塗料組成 (1) カーボンブラック(キャボットBR800) 100部 カーボンブラック(カンカルブMTCI) 1部 α−アルミナ(住友化学Hit55) 0.1部 硫酸バリウム(堺化学BF1) 0.5部 ステアリン酸2エチルヘキシル 0.5部 オレイン酸銅 0.1部 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 50部 (日本ゼオン(株)製;MR110) ウレタン樹脂(東洋紡績(株)、UR8600) 40部 シクロヘキサノン 250部 メチルエチルケトン 150部 (2) ポリイソシアネート 30部 (日本ポリウレタン(株)製:コロネート3040) シクロヘキサノン 150部 メチルエチルケトン 250部 トルエン 100部 シリコーン(信越化学(株)製:KF69) 0.1部 得られた試料は、下記の方法により評価し、その結果を
表2に示す。
【0074】〔表面粗さの測定方法〕中心平均表面粗さ
(Ra)は触針式表面粗さ(東京精密(株)製サーフコ
ム800A型)により測定した。この時のカットオフ値
は0.08mmで行った。
【0075】〔磁性層表面の光沢度測定法〕JISZ
8741に準じ、入射角45度において、屈折率1.5
67の黒色ガラス表面の鏡面光沢度を100%として測
定した。
【0076】〔スチルライフの測定方法〕松下製NV−
8300を使用して23度10%RHの条件下で静止モ
ードで記録再生した際の画像がモニター画面上1/3な
くなるまでの時間を調べた。
【0077】〔VSの測定方法〕松下製M2ビデオテー
プレコーダにフェライトヘッドを使用して、走行速度を
調節して記録波長0.6μmの再生出力(VS)を測定
した。なお再生出力は、比較例1の再生出力を0dBと
した時の相対値である。
【0078】〔動摩擦係数の測定方法〕得られたビデオ
テープと3.8φのステンレスポールとを50%(T
1)の張力で180度に巻き付け接触させて、20度6
5%RHの条件下でテープを3.3cm/sの速度を走
行させるのに必要な張力(T2)を測定した。この測定
値よりビデオテープの動摩擦係数μを下記式より求め
た。
【0079】μ=(1/π)・ln(T2/T1) 〔C/Nの測定方法〕松下製M2ビデオテープレコーダ
で7MHz信号を記録再生しスペクトロアナライザーに
てC/N比を測定した。なおC/Nは−1MHzの値で
ある。
【0080】〔出力低下の測定方法〕松下製M2ビデオ
テープレコーダで記録した後、再生巻戻しを5分長10
00パス行い、1000パス走行後の再生出力を測定
し、1パス目の値から低下をdBで表示した。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】表1、表2から、比較例1は、カーボンブ
ラックを使用しない例、比較例2〜3は、本発明のカー
ボンブラックC2のみを使用した例、比較例5は、DB
P吸油量が本発明のカーボンブラックC1とC2の間の
カーボンブラックを使用した例、比較例6は、C1と、
C2より大きなDBP吸油量を有するカーボンブラック
の組合せ例である。本発明に使用される異なるDBP吸
油量範囲にあるカーボンブラックC1とカーボンブラッ
クC2の組合せからなる本発明実施例1〜6は、表2に
示したいずれの特性においても良好であるが、比較例1
〜6は、その特性のいずれかにおいて特性が劣ってい
る。
【0084】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、強磁性粉末、
結合剤樹脂、カーボンブラック等で構成される磁性層を
非磁性支持体上に塗設してなり、該カーボンブラックと
してDBP吸油量が40〜120ml/100gとDB
P吸油量が140〜200ml/100gの2種類から
なり且つこの2種のカーボンブラックの平均粒子サイズ
が5〜35mμであるものを用い、出力と走行安定性に
関し、顕著な効果を得るものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】更に、本発明の目的は、前記磁性層の表面
粗さが中心平均表面粗さRaで5.0nm以下であっ
て、前記強磁性粉末が強磁性金属粉末である時により効
果的に達成される。ここで、Raは、カットオフ値0.
08mmでJIS B0610に従って測定したものであ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】本発明に使用される強磁性粉末としては、
γ−Fe2 3 、Co含有(被着、変成、ドープ)のγ
−Fe2 3 、Fe3 4 、Co含有(被着、変成、ド
ープ)のFe3 4 、γ−FeOX 、Co含有(被着、
変成、ドープ)のγ−FeOX (x=1.33〜1.5
0)、CrO2 等も挙げられるが、特に、Fe、Fe−
Co合金、Fe−Co−Ni合金、Fe−Co−Ni−
P合金、Fe−Co−Ni−B合金、Fe−Ni−Zn
合金、Ni−Co合金、Co−Ni−Fe合金などの強
磁性金属粉末が好ましい。これらの強磁性金属粉末の粒
子サイズは、約0.005〜1μmの長さで、軸長/軸
幅の比は、1/2〜15/1程度である。又、これらの
強磁性金属粉末の比表面積は35〜80m2 /g、より
好ましくは48〜70m2 /g、抗磁力(Hc)は12
50〜2500Oe、含水率は0.1〜2.0重量%、
pHは3〜11(5g強磁性金属粉末/100g水)で
ある。これらの強磁性粉末の表面に、防錆剤、表面処理
剤、分散剤、潤滑剤、帯電防止剤等をそれぞれの目的の
為に分散に先だって溶剤中で含浸させて、吸着させても
よい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】熱可塑性樹脂としては軟化温度が150℃
以下、平均分子量が10000〜300000、重合
度が約50〜2000程度のもので、より好ましくは2
00〜600程度であり、例えば塩化ビニル酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル
ビニルアルコール共重合体、塩化ビニルビニルアルコー
ル共重合体、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩化
ビニルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル
アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビ
ニリデン共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重合
体、メタクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、
メタクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタク
リル酸エステルスチレン共重合体、ウレタンエラストマ
ー、ナイロン−シリコン系樹脂、ニトロセルロース−ポ
リアミド樹脂、ポリフッカビニル、塩化ビニリデンアク
リロニトリル共重合体、ブタジエンアクリロニトリル共
重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セル
ロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セル
ロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セ
ルロースプロピオネート、ニトロセルロース、エチルセ
ルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、メ
チルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
アセチルセルロース等)、スチレンブタジエン共重合
体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロ
ビニルエーテルアクリル酸エステル共重合体、アミノ樹
脂、各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂及びこれらの混合
物等が使用される。これらの樹脂の例示は、特公昭37
−6877号、同39−12528号、同39−192
82号、同40−5349号、同40−20907号、
同41−9463号、同41−14059号、同41−
16985号、同42−6428号、同42−1162
1号、同43−4623号、同43−15206号、同
44−2889号、同44−17947号、同44−1
8232号、同45−14020号、同45−1450
0号、同47−18573号、同47−22063号、
同47−22064号、同47−22068号、同47
−22069号、同47−22070号、同47−27
886号、特開昭57−133521号、同58−13
7133号、同58−166533号、同58−222
433号、同59−58642号、米国特許45713
64号、同4752530号、の公報等に記載されてい
る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正内容】
【0074】〔表面粗さの測定方法〕中心平均表面粗さ
(Ra)は触針式表面粗さ(東京精密(株)製サーフコ
ム800A型)によりJIS B0610に従って測定
した。この時のカットオフ値は0.08mmで行った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 徹二 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性粉末及び結合剤
    樹脂を主体とする磁性層を有する磁気記録媒体におい
    て、該磁性層中には吸油量の相違する少なくとも2種類
    のカーボンブラックが含有されており、第1のカーボン
    ブラックは平均粒子サイズが5〜35mμで且つDBP
    吸油量が40〜120ml/100gであり、第2のカ
    ーボンブラックは平均粒子サイズが5〜35mμで且つ
    DBP吸油量が140〜200ml/100gであるこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記カーボンブラックの含有量は、前記
    強磁性粉末100重量部に対しカーボンブラックが0.
    5〜5重量部であって、前記第1のカーボンブラックと
    前記第2のカーボンブラックとの比率は重量比で95/
    5〜40/60であることを特徴とする請求項1記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層の表面粗さは中心平均表面粗
    さRaで5.0nm以下であって、前記強磁性粉末は強
    磁性金属粉末である請求項1記載の磁気記録媒体。
JP3254153A 1991-09-06 1991-09-06 磁気記録媒体 Expired - Fee Related JP2817070B2 (ja)

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