JP4128735B2 - 磁気テープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、VTR内におけるトラッキングが良好で、出力変動が極めて小さい、薄手磁気テープに関する。より具体的には、テープエッジ軌跡の蛇行量が小さく、短周期の蛇行成分の強度比が低い磁気テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、所定の幅を有する磁気テープは、まず幅広の可撓性支持体上に磁性層を設け、その反対面上にバックコート層を設けた後、スリッターを用いて所定の幅にスリットすることによって製造している。すなわち、まず、強磁性粉末を結合剤、添加剤、有機溶剤などとともに混合分散して磁性層形成塗料を調製し、これを幅広の可撓性支持体の一面上に塗布し、磁場配向、乾燥して磁性層を形成する。さらに、研磨剤、結合剤、添加剤、有機溶剤などを混合分散したバックコート層形成塗料を調製し、これを可撓性支持体の反対面上に塗布し、乾燥してバックコート層を形成する。こうして作製された幅広の磁気テープ原反に、更にカレンダー処理などの処理を施した後、スリッターで、8mm、1/2インチ、1インチなどの所望の幅にスリットすることによって磁気テープを製造している。
スリットは、磁気テープ原反を多数の上刃と下刃を向かい合わせて構成したスリッターにかけて所望の幅にスリットし、得られた所定幅のテープ状の磁気テープの各々をガイドローラを経てハブに巻き取るという方式で一般に行われている。スリットされた磁気テープは、磁性層面に垂直な方向から観察したときに磁気テープの幅方向両端部各々が描くテープエッジ軌跡(以下、テープエッジ軌跡という)が直線であることが望ましい。しかるに、スリッターを構成するローラーやスリット刃の偏心や振動、巻取り軸のテンションむらや偏心、磁気テープ原反の横方向へのずれがあるために、実際に製造される磁気テープのテープエッジ軌跡は蛇行している。
【0003】
また、近年、データのデジタル化により、記録される情報量が飛躍的に増大したため、磁気テープやVTRにも種々の改良が加えられている。磁気テープについては、磁性層に長軸長が短い微粒子状の磁性体を使用し、磁気テープそのものの厚みを薄くして単位体積当たりの記録容量を向上させている。また、VTRについては、短波長化および狭トラック化を図ることによって単位面積当たりの記録容量を向上させている。これらの磁気テープとVTRを組み合わせれば、体積記録密度を飛躍的に向上させることができる。
このような高密度記録用の薄手テープは、上記のスリット方式を用いてスリットすることによって、従来の厚手テープと同様に蛇行テープエッジ軌跡を有するテープとして作製される。しかしながら、薄手テープは従来の厚手テープと異なり、特に幅方向のスティフネスが小さくなっていて、テープ強度が低下している。このため、VTRで薄手テープを走行させると、VTR内のガイドローラーの上下フランジによる位置規制がうまく行かず、トラッキング不良を起こして、出力変動が大きくなってしまうという問題がある。この問題は、特にテープの幅方向のスティフネスが70mg・mm2以下である薄手テープにおいて顕著である。
この問題を解決するために、ガイドローラーによる位置規制を強くしてトラッキングを改善する方法もある。しかるに、位置制御を強化すると、前述のように磁気テープの幅方向の強度が低いために、その端部が座屈してついには折れてしまう「エッジ折れ」が生じてドロップアウトを発生させてしまうという問題が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、トラッキングが良好で、出力変動が極めて少ない高密度記録用薄手磁気テープを提供することを目的とする。すなわち、本発明は、VTR内で直線的に走行させることができるようにテープエッジ軌跡の蛇行を制御した薄手磁気テープを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、薄手磁気テープのテープエッジ軌跡の平均蛇行量と短周期の蛇行成分の強度比を制御すれば、トラッキング不良を回避し、かつ出力変動を極めて小さくすることができ、あわせてエッジ折れを防ぐことができることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、可撓性支持体、その一面上に設けられた磁性層およびその反対面上に設けられたバックコート層からなる磁気テープであって、前記磁気テープの幅方向のスティフネスが70mg・mm2以下であり、且つ前記磁性層面に垂直な方向から観察したときの前記磁気テープの幅方向両端部各々が描くテープエッジ軌跡の平均蛇行量がいずれの端部においても15μm以下であり、且つ周期20〜200mmの蛇行成分の強度が周期20〜10,000mmの強度の30%以下であることを特徴とする磁気テープを提供するものである。
【0006】
本発明者らがトラッキング不良が生じる原因について詳細な検討を行った結果、磁気テープのテープエッジ軌跡に周期200mm以下の蛇行があると、ヘッド当たりや直線走行性が極めて悪化することが判明した。200mmは、VTR内の回転ヘッドに対する入り口側位置規制ガイドロールと出口側位置規制ガイドロールまでのテープパス長にほぼ相当する。テープエッジ軌跡の蛇行周期が200mm以下であると、シリンダー前後のガイドローラーによる磁気テープ上下動の規制が働かなくなり、磁気テープはテープエッジ軌跡の蛇行にあわせて上下動しながら走行する。一方、テープエッジ軌跡の蛇行周期が200mm以上である場合は、テープエッジ軌跡の蛇行にかかわらず磁気テープは直線的に走行させることができる。
テープエッジ軌跡の蛇行は、種々の長さの周期を有する蛇行成分が重なり合った状態で形成されている。すなわち、短周期の蛇行曲線のベースラインが長周期の蛇行曲線を描いている状態にあることが一般的である。発明者らの上記検討結果に基づけば、周期200mm以下の比較的短い周期の蛇行成分の影響をなるべく小さくする必要がある。そこで、本発明者らがさらに検討を進めた結果、周期20〜200mmの蛇行成分の強度が、周期20〜10,000mmの蛇行成分の強度の30%以下であればトラッキング不良を回避することができることを見出した。周期20〜200mmの蛇行成分の強度は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。尚、蛇行成分の強度比は、実施例に記載された方法により測定する。
【0007】
このように周期20〜200mmの比較的短い周期の蛇行成分の強度を抑えることによって、VTRによる磁気テープ走行時の上下動を防ぐことができる。しかしながら、短い周期の蛇行成分の強度を抑えるだけでは、必ずしも出力変動を抑えることができない。出力変動は、200から10,000mmの比較的長い周期の蛇行成分による蛇行が大きすぎると、その周期にあわせて出力が変化するために生じるものである。本発明者らがこのような出力変動を十分に抑制することができる蛇行量を検討した結果、平均蛇行量が15μm以下、好ましくは10μm以下であればよいことが見出された。尚、平均蛇行量の測定は、実施例に記載された方法により行う。このように、周期20〜200mmの蛇行成分の強度と平均蛇行量の両方を組み合わせて制御することによって、トラッキング不良を回避して出力変動を低減することができることは、本発明者らによって初めて明らかにされたことである。このような本発明の磁気テープを用いれば、走行直線性を確保するためにガイドローラーによってテープの上下動を厳しく規制する必要はない。このため、従来のVTRを何ら調節することなく、本発明の磁気テープを使用することにより、トラッキング不良を回避でき、且つ出力変動を低く抑えることができる。
【0008】
磁気テープのテープエッジ軌跡の蛇行条件を本発明の範囲内に設定するには、スリッターの条件を適宜調節すればよい。このスリッターの一般的なものを以下に説明する。
図1はスリッターの要部を示す斜視図であり、図2は図1に示す上下丸刃の回転軸に沿った部分の概略断面図である。図1および図2に示すように、図示しない一対の軸受に回転自在に軸支された下軸24には所定間隔をもって多数の下丸刃2が同軸に支持・固定されている一方、これらの下丸刃2とそれぞれ噛合する多数の上丸刃1が固定リング12および弾性部材13を介して、図示しない一対の軸受に回転自在に軸支された上軸14に支持・固定されている。スリッターの上軸14および下軸24への回転駆動力の伝達機構は、モーター5等による回転駆動力を機械的カップリング機構6を介して下軸24の一端に伝達して下軸を回転駆動させ、下軸の他端とそれに対向する上軸の一端に固定した一対のギア26、16を介して下軸の回転駆動力を上軸14へ伝達する機構となっている。
このようにして、上丸刃と下丸刃を互いに反対方向(図1では、下丸刃を時計方向、上丸刃を反時計方向)に回転させつつ、その間に磁気テープ原反3を丸刃の回転方向に対して順方向(図1では矢印Aの方向)となるように通過させて、上下丸刃によって押し切るようにして、所定幅を有する磁気テープ4が得られ、スリットされた各磁気テープ4は各々が図示しない巻き取り装置のハブに巻き取られる。上記のように一対のギア26、16を介して下軸24の回転駆動力を上軸14へ伝達する機構を使用する駆動方式を「従来スリット方式」と呼ぶことにする。しかし、この方式だとギア駆動部において比較的短周期の振動が発生し、スリット速度を増加させるとそれが顕著になる欠点がある。蛇行条件を本発明の範囲内に設定するには、スリット刃の駆動系に入る振動をできるだけ低減することが好ましい。例えば、ギア方式で駆動している部分をベルト駆動に変更し、駆動のジョイント部を低振動構造に変更するなどの設計変更を施すことによって、振動を低減することができる。そのように、回転駆動力を下軸24から上軸14へ伝達する機構をベルトを使用するベルト駆動にし、さらに機械的カップリング機構6を低振動型に変更した改良駆動方式を「新スリット方式」と呼ぶことにする。この方式だと磁気テープの蛇行量を低減し、短周期の成分の蛇行も低減することができる。
このような変更を施した例として、図1に示すスリッターを挙げることができる。このスリッターでは、上刃回転軸と下刃回転軸の駆動がベルト方式でなされており、下刃と駆動モーターの回転軸と駆動モーターの回転軸(減速機が介在する場合には減速側の回転軸)とのカップリングも低振動型になっている。
磁気テープをスリットする際のスリット速度は速い方が好ましい。スリット速度は、通常は200〜600m/分、好ましくは400〜600m/分にする。また、上刃と下刃の周速比は、通常1.00〜1.10、好ましくは1.05〜1.10にする。また、上刃と下刃の最大噛み合い深さは深い方が好ましく、通常は0.25〜0.90mm、好ましくは0.50〜0.90mmにする。さらに下刃の周速に対する磁気テープの搬送速度の比は1.0〜1.1、好ましくは1.02〜1.08にする。スリットする直前にテープの搬送を安定させる下刃ラバーニップローラーの偏心量は、30μm以下に規制されていることが好ましい。
【0009】
本発明の磁気テープは、可撓性支持体の一面に磁性層をその反対面にバックコート層を有するものであれば、特にその層構成に制限はない。例えば、磁性層と可撓性支持体との間に非磁性層や第2の磁性層を設けたり、磁性層または非磁性層の間、バックコート層と可撓性支持体の間に下塗り層を設けてもよい。また、磁性層やバックコート層を多層構造にしてもよい。
本発明の磁気テープの厚みは特に制限しないが、通常は4〜14μmであり 、8〜11μmが好ましい。さらに、本発明の磁気テープにおける磁性層の厚さは、特に制限されず、通常は0.05〜5.0μmであり、好ましくは0.1〜3.5μmの範囲内で選択される。バックコート層の厚さも特に制限されず、通常は0.3〜1.0μm、好ましくは0.4〜0.7μmの範囲内で選択される。
【0010】
本発明の磁気テープにおける磁性層は、一般に強磁性粉末とそれを分散するための結合剤、所望により添加される種々の添加剤から構成される。添加剤としては、カーボンブラック、研磨剤、分散剤、分散助剤、潤滑剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤等が挙げられる。結合剤、添加剤については、バックコート層にも磁性層と基本的に同様の組成成分を用いることができる。ただし、磁性層とバックコート層とでその成分の種類、量を適宜選定することが重要である。また、カーボンブラックやアルミナ等の各種非磁性粉末を磁性層およびバックコート層に使用する場合は、その粒子サイズ、形状等も適宜選定することが好ましい。
【0011】
先ず、本発明の磁気テープに使用する可撓性支持体について説明する。
本発明で使用する支持体は、非磁性可撓性支持体であり、特に限定されないが、厚みが3〜10μm程度、特に6〜9μm程度であるものが好ましい。また、長手方向のヤング率は3.92〜11.76GPa(400〜1200kg/mm2) 、特に4.41〜9.80GPa(450〜1000kg/mm2)の範囲内であることが好ましい。
可撓性支持体の素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂類、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン等のプラスチックが使用できるが、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドおよびポリイミドを使用することが好ましく、特にポリエチレンナフタレート(PEN)を使用することが好ましい。これらの可撓性支持体は、塗布に先立って、コロナ放電処理、プラズマ処理、下塗処理、熱処理、除塵埃処理、金属蒸着処理、アルカリ処理を行っておいてもよい。これらの可撓性支持体については、例えば、西独特許公開第3,338,854号公報、特開昭59-116926号公報、米国特許4388368号明細書、三石幸夫著「繊維と工業」31巻50〜55頁(1975年)などに記載されている。これらの可撓性支持体の中心線平均表面粗さは、0.001〜0.5μm(カットオフ値0.25mm)であることが好ましい。
【0012】
また、本発明で使用することができる上記ポリエチレンナフタレートには、エチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートホモポリマーを始め、エチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート繰り返し単位を70重量%以上含む共重合体、これらと他種ポリマーとの混合体(但し、ポリエチレンナフタレート成分が70重量%以上を占める)のように本質的にポリエチレンナフタレートの性質を失わないポリエステル組成物が含まれる。これらのポリエチレンナフタレートは、フィルム形成能を有するポリマーである。
本発明で使用することができるポリエチレンナフタレートフィルムは未延伸フィルムを2軸配向させることによって、製造することができる。例えば、逐次2軸配向を行なう場合は、1段目の延伸をポリエチレンナフタレートのガラス転移温度よりも高い温度、好ましくは3〜10℃高い温度で行い、次いで2段目の延伸を1段目の延伸温度と同じないし10℃高い温度で行う。延伸倍率は少なくとも1軸方向で2以上、更に好ましくは2.5以上とし、面積倍率で6倍以上さらには8倍以上とすることが好ましい。熱処理(ヒートセット)は170℃以上、さらに好ましくは190℃以上の温度で緊張下に行うことが好ましい。熱処理温度の上限は、処理時間にもよるがフィルムが安定した形状をとる温度でなければならない。熱処理時間は数秒から数十秒、中でも3〜30秒間が好ましい。その後、さらに(ガラス転移温度から10℃低い温度)〜(溶融温度から40℃低い温度)の範囲内の温度で縦方向に1.05〜2.5倍、横方向に1.05〜2.5倍の逐次延伸を行い、再熱処理を(ガラス転移温度から50℃低い温度)〜(溶融温度から10℃低い温度)の範囲内の温度で行うことが好ましい。
【0013】
磁性層に使用する強磁性粉末は特に限定されないが、Fe、CoあるいはNiを含む強磁性金属粉末を用いるとその効果が顕著である。中でも、α-Fe、Co、Ni、Fe-Co合金、Fe-Co-Ni合金、Fe-Co-Ni-P合金、Fe-Co-Ni-B合金、Fe-Ni-Zn合金、Ni-Co合金、Co-Ni-Fe合金、Fe-Al合金などの強磁性金属微粉末を使用することが好ましい。
これらの強磁性金属粉末の形状は特に制限されないが、通常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状および板状のものなどを使用することができる。
粒子サイズは、針状の場合は長軸長が0.05〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.3μm、特に好ましくは0.10〜0.25μmであり、長軸長/短軸長が2/1〜25/1、好ましくは3/1〜15/1、特に好ましくは4/1〜12/1であり、板状の場合は板径が0.02〜0.20μm、好ましくは0.03〜0.10μm、特に好ましくは0.04〜0.07μmであり、板径/板厚が1/1〜30/1、好ましくは2/1〜10/1、特に好ましくは2.5〜7/1である。
【0014】
また、これらの強磁性金属粉末の比表面積(比表面積SBET)は47〜80m2/g、より好ましくは53〜70m2/gであり、抗磁力(Hc)は99.5〜199kA/mであり、飽和磁化(σS )は100〜180Am2/kg、好ましくは110〜150Am2/kgである。含水率は0.1〜2.0重量%、pHは3〜11(5g強磁性粉末/100g水)が好ましい。これらの強磁性金属粉末の表面に、後で述べる防錆剤、表面処理剤、分散剤、潤滑剤、帯電防止剤等をそれぞれの目的に応じて分散に先立って溶剤中で含浸させて吸着させてもよい。
また、強磁性金属粉末の金属分は60重量%以上であり、その金属分の70重量%以上が少なくとも1種類の強磁性金属粉末あるいは合金(例、Fe、Fe-Co、Fe-Co-Ni、Co、Ni、Fe-Ni、Co-Ni、Co-Ni-Fe、Fe-Al)である。該金属分の40重量%以下、より好ましくは20重量%以下の範囲で他の成分(例、Al、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、B、P)を含むことのある合金や、窒化鉄や炭化鉄等を用いることができる。金属鉄の強度を補うために、特にAl、Si、Crを単独または混合して表層に設けることが望ましい。また、上記強磁性金属粉末が少量の水酸化物または酸化物、アルカリ金属元素(Na、K等)、アルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr)を含むもの等であってもよい。これらの強磁性金属粉末の製造方法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性金属粉末についてもこれらの公知の方法に従って、製造することができる。
【0015】
特に、本発明において、強磁性粉末として用いられる強磁性合金粉末の製造方法の例として、下記の方法を挙げることができる。
(a)複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)を水素などの還元性気体で還元する方法:
(b)酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe-Co粒子などを得る方法:
(c)金属カルボニル化合物を熱分解する方法:
(d)強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法:
(e)水銀陰極を用いて強磁性金属粉末を電解析出させたのち水銀と分離する方法:
(f)金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法:
【0016】
また本発明では、強磁性粉末として板状六方晶のバリウムフェライトを使用することもできる。バリウムフェライトの粒子サイズは直径約0.001〜1μmで厚みが直径の1/2〜1/20である。バリウムフェライトの比重は4〜6g/mlで、比表面積は1〜70m2/gである。
また、所望により、FeOX(X=1.33〜1.50)、Co含有FeOX等を使用することもできる。
【0017】
本発明のバックコート層に使用することができる非磁性粉末として、例えば特開昭59-110038号公報に開示されているような、各種の粉末を例示することができる。即ち、カーボンブラック、グラファイト、二硫化タングステン、窒化ホウ素、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、リトポン、タルク、酸化第二スズ等を使用することができる。
これらの非磁性粉末の平均粒径は、通常0.005〜5.0μmであるが、0.010〜2.0μmの範囲内にあるものを用いることが好ましい。
【0018】
本発明で使用することができる結合剤の樹脂成分として、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。
熱可塑性樹脂としては、軟化温度が150℃以下、数平均分子量が10,000〜300,000、重合度が約50〜2,000程度、より好ましくは200〜600程度であるものを使用することができる。例えば、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重合体、メタクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステルスチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン-シリコン系樹脂、ニトロセルロース-ポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデンアクリロニトリル共重合体、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロビニルエーテルアクリル酸エステル共重合体、アミノ樹脂、各種合成ゴム系熱可塑性樹脂及びこれらの混合物等を使用することができる。
【0019】
熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては、塗料の状態では分子量200,000以下であり、塗布、乾燥後に加熱加湿することにより、縮合、付加等の反応により分子量が極めて大きくなるものを使用することができる。中でも、樹脂が熱分解するまでの間に軟化又は溶融しないものを用いることが好ましい。具体的には、例えばフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反応樹脂(電子線硬化樹脂)、エポキシ-ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシアネートの混合物、ポリアミン樹脂、ポリイミン樹脂及びこれらの混合物等を使用することができる。
【0020】
これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂には、官能基としてカルボン酸(COOM)、スルフィン酸、スルフェン酸、スルホン酸(SO3M)、燐酸(PO(OM)(OM))、ホスホン酸、硫酸(OSO3M)およびこれらのエステル基等の酸性基(Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、炭化水素基)、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性類基、アミノ基、イミノ基、イミド基、アミド基等また、水酸基、アルコキシル基、チオール基、アルキルチオ基、ハロゲン基(F、Cl、Br、I)、シリル基、シロキサン基、エポキシ基、イソシアナト基、シアノ基、ニトリル基、オキソ基、アクリル基、フォスフィン基が通常1種以上6種以内含まれており、各官能基は樹脂1gあたり1×10-6当量〜1×10-2当量存在していることが好ましい。
【0021】
結合剤の硬化剤は特に制限されないが、通常はポリイソシアネート化合物を使用する。
ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、o-トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート類、又当該イソシアネート類とポリアルコールとの生成物、又イソシアネート類の縮合に依って生成した2〜10量体のポリイソシアネート、またはトリイソシアネートとポリウレタンとの生成物で末端官能基がイソシアネートであるもの等を使用することができる。これらポリイソシアネート類の平均分子量は、100〜20,000のものが好適である。これらポリイソシアネート化合物の市販されている商品名としては、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL(日本ポリウレタン(株)、タケネートD-102、タケネートD-110N、タケネートD-200、タケネートD-202、タケネート300S、タケネート500(武田薬品(株)製)、スミジュールT-80、スミジュール44S、スミジュールPF、スミジュールL、スミジュールN、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL、デスモジュールT65、デスモジュール15、デスモジュールR、デスモジュールRF、デスモジュールSL、デスモジュールZ4273(住友バイエル社製)等があり、これらを単独若しくは硬化反応性の差を利用して二つ若しくはそれ以上の組み合わせによって使用することができる。
【0022】
又、本発明において使用する結合剤には、硬化反応を促進する目的で、水酸基(ブタンジオール、ヘキサンジオール、分子量が1,000〜10,000のポリウレタン、水等)、アミノ基(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等)を有する化合物や金属酸化物の触媒を併用することができる。これらの水酸基やアミノ基を有する化合物は多官能であることが望ましい。
これらのポリイソシアネートは、結合剤樹脂とポリイソシアネートの総量100重量部あたり2〜70重量部で磁性層およびバックコート層に使用することが好ましく、特に5〜50重量部で使用することが好ましい。これらの具体例は、特開昭60-131622号公報、特開昭61-74138号公報等に記載されている。
バックコート層における結合剤の混合割合は、非磁性粉末100重量部に対して通常8〜400重量部、好ましくは10〜80重量部である。磁性層の場合は、通常5〜300重量部である。
【0023】
本発明で使用するカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を例示することができる。これらカーボンブラックはテープの帯電防止、遮光剤、摩擦係数調節剤、耐久性向上を目的として使用される。
これらのカーボンブラックの米国における略称として、SAF、ISAF、IISAF、T、HAF、SPF、FF、FEF、HMF、GPF、APF、SRF、MPF、ECF、SCF、CF、FT、MT、HCC、KCF、MCF、LFF、RCF等があり、米国のASTM規格のD-1765-82aに分類されているものを使用することができる。本発明で使用することができるこれらのカーボンブラックの平均粒子サイズは5〜1,000nm(電子顕微鏡)、窒素吸着法比表面積は1〜800m2/g、pHは4〜11(JIS規格K-6221-1982法)、ジブチルフタレート(DBP)吸油量は10〜800ml/100g(JIS規格K-6221-1982法)である。粒径は、磁性層および/またはバックコート層の表面電気抵抗を下げるときは5〜100nm、また磁性層および/またはバックコート層の強度を制御するときは50〜1,000nmであるカーボンブラックを使用することができる。また磁性層の表面粗さを制御するために、スペーシングロス減少を目的として平滑化するときにより微粒子のカーボンブラック(100nm未満)を使用し、磁性層および/またはバックコート層を粗面化して摩擦係数を下げるときには粗粒子のカーボンブラック(100nm以上) を使用することができる。このようにカーボンブラックの種類と添加量は、磁気記録媒体に要求される目的に応じて使い分ける。
【0024】
また、これらのカーボンブラックを、後述の分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用してもよい。また、カーボンブラックを製造するときの炉の温度を2,000℃以上にして表面の一部をグラファイト化したものも使用できる。また、特殊なカーボンブラックとして中空カーボンブラックを使用することもできる。
これらのカーボンブラックはバックコート層には、結合剤100重量部に対して通常は20〜400重量部、好ましくは50〜150重量部で用いる。磁性層には、強磁性粉末100重量部に対して0.1〜30重量部で用いることが望ましい。本発明で使用することができるカーボンブラックは、例えば、「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編(昭和46年発行) を参考にして決定することができる。これらカーボンブラックは、米国特許4,539,257号明細書、同4,614,685号明細書、特開昭61-92424号公報、特開昭61-99927号公報等に例示されている。
【0025】
本発明では、磁気記録媒体の耐久性やVTRのヘッドクリーニング効果を向上させるために研磨剤を使用することができる。使用することができる研磨剤は、一般に研磨作用もしくは琢磨作用を有する材料であり、α-アルミナ、γ-アルミナ、α,γ-アルミナ、熔融アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、α-酸化鉄、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)、ガーネット、珪石、窒化珪素、窒化硼素、炭化モリブデン、炭化硼素、炭化タングステン、チタンカーバイド、クオーツ、トリポリ、珪藻土、ドロマイト等の主としてモース硬度6以上、より好ましくはモース硬度8以上の材料を1〜4種程度の組合わせたものを例示することができる。これらの研磨剤の平均粒径は0.005〜5μmであることが好ましく、0.01〜2μmであることが特に好ましい。これらの研磨剤は、バックコート層には結合剤100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3.0重量部で用いる。磁性層には、強磁性粉末100重量部に対して0.01〜20重量部の範囲で添加することが好ましい。研磨剤の具体例としては、住友化学(株)製のAKP1、AKP15、AKP20、AKP30、AKP50、AKP80、Hit50、Hit100等が挙げられる。これらの詳細は、特公昭52-28642号公報等に記載されている。
【0026】
本発明で使用することができる粉末状潤滑剤としては、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、弗化黒鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、二硫化タングステン等の無機微粉末、アクリルスチレン系樹脂微粉末、ベンゾグアナミン系樹脂微粉末、メラミン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリエステル系樹脂微粉末、ポリアミド系樹脂微粉末、ポリイミド系樹脂微粉末、ポリ弗化エチレン系樹脂微粉末等の樹脂微粉末等を例示することができる。
【0027】
有機化合物系潤滑剤としては、シリコンオイル(ジアルキルポリシロキサン、ジアルコキシポリシロキサン、フェニルポリシロキサン、フルオロアルキルポリシロキサン(信越化学製KF96、KF69等)、脂肪酸変性シリコンオイル、フッ素アルコール、ポリオレフィン(ポリエチレンワックス、ポリプロピレン等)、ポリグリコール(エチレングリコール、ポリエチレンオキシドワックス等)、テトラフルオロエチレンオキシドワックス、ポリテトラフルオログリコール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロ脂肪酸、パーフルオロ脂肪酸エステル、パーフルオロアルキル硫酸エステル、パーフルオロアルキルスルホン酸エステル、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸エステル、パーフルオロアルキル燐酸エステル等のフッ素や珪素を導入した化合物、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アルキルホスホン酸トリエステル、アルキルホスホン酸モノエステル、アルキルホスホン酸ジエステル、アルキル燐酸エステル、琥珀酸エステル等の有機酸および有機酸エステル化合物、トリアザインドリジン、テトラアザインデン、ベンゾトリアゾール、ベンゾジアゾール、EDTA等の窒素、硫黄を含む複素(ヘテロ)環化合物、炭素数10〜40の一塩基性脂肪酸と炭素数2〜40の一価アルコールもしくは二価アルコール、三価アルコール、四価アルコール、六価アルコールのいずれか1つもしくは2つ以上とから成る脂肪酸エステル類、炭素数10以上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭素数と合計して炭素数が11〜70となる一価〜六価アルコールからなる脂肪酸エステル類、炭素数8〜40の脂肪酸或いは脂肪酸アミド類、脂肪酸アルキルアミド類、脂肪族アルコール類などを使用することができる。
【0028】
これらの化合物の具体例として、カプリル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸2エチルヘキシル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸2エチルペンチル、ステアリン酸2ヘキシルデシル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アルキルアミド、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、アンヒドロソルビタンテトラステアレート、オレイルオレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、モンタンワックス、カルナウバワックス等を例示することができ、これらを単独若しくは組合わせて使用することができる。
【0029】
本発明では、潤滑剤としていわゆる潤滑油添加剤も単独若しくは組合わせて使用することができ、例えば防錆剤として知られている酸化防止剤(アルキルフェノール、ベンゾトリアジン、テトラアザインデン、スルファミド、グアニジン、核酸、ピリジン、アミン、ヒドロキノン、EDTA等の金属キレート剤)、錆どめ剤(ナフテン酸、アルケニルコハク酸、燐酸、ジラウリルフォスフェート等)、油性剤(ナタネ油、ラウリルアルコール等)、極圧剤(ジベンジルスルフィド、トリクレジルフォスフェート、トリブチルホスファイト等)、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、泡どめ剤等を例示することができる。これらの潤滑剤は、バックコート層および磁性層に結合剤100重量部に対して合計0.01〜30重量部添加することができる。特にバックコート層には、0.05〜5重量部の範囲で添加することが好ましい。
【0030】
本発明で使用することができる分散剤、分散助剤として、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸、ベヘン酸、マレイン酸、フタル酸等の炭素数2〜40の脂肪酸(R1COOH、R1は炭素数1〜39のアルキル基、フェニル基、アラルキル基)、前記の脂肪酸のアルカリ金属(Li、Na、K等)またはアルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba等)、NH4+、Cu、Pb等から成る金属石鹸(オレイン酸銅)、脂肪酸アミド;レシチン(大豆油レシチン)等を挙げることができる。この他に、炭素数4〜40の高級アルコール(ブタノール、オクチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール)及びこれらの硫酸エステル、スルホン酸、フェニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、スルホン酸エステル、燐酸モノエステル、燐酸ジエステル、燐酸トリエステル、アルキルホスホン酸、フェニルホスホン酸、アミン化合物等も使用することもできる。また、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、スルホ琥珀酸、スルホ琥珀酸金属塩、スルホ琥珀酸エステル等も使用することができる。これらの分散剤は通常一種類以上使用する。一種類の分散剤はバックコート層および磁性層に結合剤100重量部に対して0.005〜20重量部で添加することができる。特にバックコート層には0.01〜2重量部の範囲内で添加することが好ましい。これら分散剤は、強磁性粉末や非磁性粉末の表面に予め被着させておいても良く、また分散途中で添加してもよい。その詳細は、例えば特公昭39-28369号公報、特公昭44-17945号公報、特公昭48-15001号公報、米国特許第3,387,993号明細書、同3,470,021号明細書等に記載されている。
【0031】
本発明では、防黴剤として2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール、N-(フルオロジクロロメチルチオ)-フタルイミド、10,10′-オキシビスフェノキシサルシン、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、P-トリルジョードメチルスルホン、トリヨードアリルアルコール、ジヒドロアセト酸、フェニルオレイン酸水銀、酸化ビス(トリブチル錫)、サリチルアニライド等を使用することができる。防黴剤については、例えば「微生物災害と防止技術」1972年工学図書、「化学と工業」32,904(1979)等に記載されている。
【0032】
本発明では、カーボンブラック以外の帯電防止剤として、グラファイト、変性グラファイト、カーボンブラックグラフトポリマー、酸化錫-酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン-酸化錫-酸化アンチモン、等の導電性粉末;サポニン等の天然界面活性剤;アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、多価アルコール、多価アルコールエステル、アルキルフェノールEO付加体等のノニオン界面活性剤;高級アルキルアミン類、環状アミン、ヒダントイン誘導体、アミドアミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ピリジンそのほかの複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等のカチオン界面活性剤;カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、燐酸、硫酸エステル基、ホスホン酸エステル、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類;アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等を使用することができる。これらの界面活性剤は単独または混合して添加しても良い。これらの帯電防止剤は、バックコート層には結合剤100重量部当たり0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲で添加し、磁性層には強磁性粉末100重量部当たり0.01〜10重量部で添加することが好ましい。これらは帯電防止剤として用いられるものであるが、場合によっては分散、磁気特性の改良、潤滑性の改良、塗布助剤、湿潤剤、硬化促進剤、分散促進剤として適用されることもある。
【0033】
バックコート層は、通常の方法に従って形成することができる。例えば、上記非磁性粉末および樹脂成分ならびに必要に応じて配合される研磨剤および硬化剤などのバックコート層形成成分を溶剤とともに混練分散してバックコート層形成塗料を調製し、このバックコート層形成塗料を可撓性支持体上に塗布する方法を利用することができる。
磁性層形成塗料の形成は、基本的には上記バックコート層形成塗料において非磁性粉末に代えて強磁性粉末を使用することにより調製できる。
【0034】
バックコート層形成塗料および磁性層形成塗料の分散、混練、塗布の際に使用する有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン系;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル系;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系;ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、スチレンなどのタール系(芳香族炭化水素);メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素、N,N-ジメチルホルムアルデヒド、ヘキサン等を使用することができる。これらの溶媒は通常2種以上を任意の比率で使用する。また、これらの有機溶媒には、1重量%以下の量で微量の不純物(その溶媒自身の重合物、水分、原料成分等)が含まれていてもよい。これらの溶剤は、磁性層形成塗料、バックコート層形成塗料、あるいは下塗液の合計固形分100重量部に対して100〜20,000重量部で使用する。好ましい磁性層形成塗料の固形分率は10〜40重量%である。また、バックコート層形成塗料の好ましい固形分率は5〜20重量%である。有機溶媒の代わりに水系溶媒(水、アルコール、アセトン等)を使用することもできる。
【0035】
分散、混練の方法には特に制限はなく、また各成分の添加順序(樹脂、粉体、潤滑剤、溶媒等)、分散・混練中の添加位置、分散温度(0〜80℃)などは適宜設定することができる。磁性層形成塗料およびバックコート層形成塗料の調製には、通常の混練機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、ゼグバリ(Szegvari)、アトライター、高速インペラー、分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、ディスパーザー、ホモジナイザー、単軸スクリュー押し出し機、二軸スクリュー押し出し機、及び超音波分散機などを用いることができる。通常分散・混練にはこれらの分散・混練機を複数備え、連続的に処理を行う。混練分散に関する技術の詳細は、T.C.PATTON,“Paint Flow and Pigment Dispersion”,John Wiley & Sons(1964)や田中信一著「工業材料」25巻37頁(1977)や当該書籍の引用文献等に記載されている。これらの分散、混練を効率よく進めるために、補助材料として、球相当径で0.05mmφ〜10cmφのスチールボール、スチールビーズ、セラミックビーズ、ガラスビーズ、有機ポリマービーズを用いることができる。これら材料は球形に限らない。また、米国特許第2,581,414号及び同第2,855,156号などの明細書に記載されるものも使用することができる。本発明においても、上記の書籍や当該書籍の引用文献などに記載された方法に準じて混練分散を行い磁性層形成塗料およびバックコート層形成塗料を調製することができる。
【0036】
支持体上に磁性層形成塗料ならびにバックコート層形成塗料を塗布する方法として、塗料の粘度を1〜20000センチストークス(25℃)に調製した後に、エアードクターコート、ブレードコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、ロッドコート、正回転ロールコート、カーテンコート、バーコート、押出しコート、スピンコート等を利用することができる。その他の方法も使用することができる。これらの方法は、「コーテイング工業」253〜277頁(浅倉書店、昭和46年3月20日発行)に詳細に記載されている。
これら塗料の塗布の順番は任意に選択できる。また、層形成塗料を塗布する前に下塗り層を形成してもよいし、支持体との密着力向上のためにコロナ放電処理等を行ってもよい。また、磁性層もしくはバックコート層を多層で構成したいときは、同時多層塗布、逐次多層塗布等を行ってもよい。これらの詳細は、特開昭57-123532号公報、特公昭62-37451号公報等に記載されている。
【0037】
これらの方法により、支持体上に厚さ約1〜200μmで塗布した磁性層形成塗料は必要により層中の強磁性粉末を直ちに20℃〜130℃で多段階乾燥しながら0.05〜0.5T程で所望の方向(垂直、長手、幅、ランダム、斜め等)に磁場配向処理を施し、磁性層を厚さ0.1〜30μmに乾燥する。このときの支持体の搬送速度は、通常10〜900m/分とし、複数の乾燥ゾーンで乾燥温度を20℃〜130℃に制御して塗布膜の残留溶剤量を0.1〜40mg/(1/2インチ)/m2とする。
乾燥後、塗布層(バックコート層及び磁性層を含む)に必要に応じてカレンダー処理を行う。カレンダー処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。カレンダー処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が減少し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。
【0038】
結合剤の形成成分として硬化剤を使用した場合、カレンダー処理が終わった段階では、塗布層に含まれる硬化剤の通常90重量%以上が未反応の状態で塗布層に含まれている。このため、硬化処理を行って少なくとも硬化剤の50重量%(特に好ましくは80重量%以上)を反応させた後に、その次の処理を行うことが望ましい。硬化処理には、加熱硬化処理と電子線硬化処理とがあり、本発明においては、いずれの方法であっても利用することができる。この硬化処理によって、カレンダー処理された塗布層に含有される未反応の硬化剤が、例えば塩化ビニル系共重合体およびポリウレタン系樹脂のような樹脂成分と三次元網状の架橋構造を形成するように反応する。加熱処理の工程自体は既に公知であり、本発明においてもこれらの方法に準じて加熱処理を行うことができる。例えば、加熱時間は通常40℃以上(好ましくは50〜80℃の範囲内)、加熱時間は通常20時間以上(好ましくは24時間〜7日間)に設定して行うことができる。また、電子線照射による硬化処理の工程自体も既に公知であり、本発明においてもこれらの方法に準じて硬化処理を行うことができる。
カレンダー処理時の線圧は、通常50〜800kg/cm、好ましくは100〜600kg/cm、さらに好ましくは200〜500kg/cmである。
【0039】
本発明においては、このようにして作製した磁気テープを、例えば前述の新スリット方式を採用するスリッターを用いて本発明の蛇行条件を満たすようにスリットして、プラスチックや金属のリールに巻き取る。このとき、スリット断面の可撓性支持体最大凸部の頂点から垂直方向に引かれた線よりバックコート層端面が飛出さないようにスリットすることが好ましい。このような断面構造にすることによって、磁気テープがVTRのガイドローラーと接触した際にバックコート層の削れや粉落ちを防ぐことができる。
本発明においては、こうして作成した磁性層の表面やバックコート層の表面を、巻き取る直前ないしそれ以前の工程において研磨テープによりバーニッシュしてもよい。バーニッシュの詳細については、例えば特開昭63-259830号公報等に記載されている。
【0040】
また、磁気記録媒体の拭き取り処理は、磁気テープ表面の汚れや余分な潤滑剤を除去するために行なう。通常は不織布などを用いて、磁性層面、バックコート層面等をワイピングする。ワイピングの材料としては、例えば日本バイリーン(株)製の各種バイリーン、東レ(株)製のトレシー、エクセーヌ、(株)クラレ製のクラレWRPシリーズ、また不織布としてナイロン製不織布、ポリエステル製不織布、レーヨン製不織布、アクリロニトリル製不織布、混紡不織布等も使用することができる。その他、ティッシュペーパー、キムワイプ等も使用することができる。これらの詳細は、特開平1-201824号公報等に記載されている。この拭き取り処理によって、磁性層および/またはバックコート層の付着物および有機物質の除去が完全に行われることになり、ドロップアウトあるいは目詰まり発生頻度を低下させることができる。
【0041】
本発明の磁気テープを製造するにあたっては、強磁性粉末、非磁性粉末等の粉体の予備処理・表面処理、混練・分散、塗布・配向・乾燥、カレンダー処理、硬化処理(熱処理、放射線照射(EB)処理)、裁断、バーニッシュ処理、拭き取り処理および巻き取りの工程を連続して行うことが望ましい。また、特公昭41-13181号公報に記載される方法はこの分野における基本的、かつ重要な技術と考えられている。但し、処理を行う順序は、上記順序に限定されるものではない。
本発明で使用することができる強磁性粉末または非磁性粉末、結合剤、添加剤(潤滑剤、分散剤、帯電防止剤、表面処理剤、カーボンブラック、研磨材、遮光剤、酸化防止剤、防黴剤等)、溶剤及び支持体或いは磁気記録媒体の製法等については、特公昭56-26890号公報等の記載も参考にすることができる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す成分、割合、操作順序、操作条件等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下の実施例に示す具体例に制限されるものではない。
【0043】
磁気テープの製造
以下に、本発明の磁気テープ(実施例1および2)および比較用の磁気テープ(比較例1〜3)の製造方法を記載する。
下記組成物1の各成分をニーダーに入れて十分に混練した。その後、この混合物に下記組成物2を添加して十分に混練し、さらに塗布前に下記組成物3を添加して混合分散することによって磁性層形成塗料を調製した。この磁性層形成塗料の粘度を調整した後、可撓性支持体であるポリエチレンナフタレート(厚さ7μm、長手方向のヤング率6.37GPa(650kg/mm2)、幅方向のヤング率8.33GPa(850kg/mm2))上に乾燥厚みが3μmになるように塗布した。塗布した磁性層が乾燥する前に0.3Tのコバルト磁石とソレノイドで磁場配向を行ない、その後乾燥した。
【0044】
磁性層形成塗料を調製するための組成物1〜3
成分 重量部
(組成物1)
強磁性金属粉末1) 100
燐酸エステル(フェニルフォスフォン酸) 2
塩化ビニル共重合体樹脂 9.5
(日本ゼオン(株)製:MR110)
ポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製:UR8300) 5
パルミチン酸2エチルヘキシル 0.6
シクロヘキサノン 60
メチルエチルケトン 80
(組成物2)
カーボンブラック(三菱化学(株)製:#3250B) 1
ポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製:UR8300) 1
メチルエチルケトン 10
分散物2
研磨材 13
(住友化学(株)製:HIT55〔α-Al2O3〕)
塩化ビニル共重合体樹脂 1
(日本ゼオン(株)製:MR110)
シクロヘキサノン 60
メチルエチルケトン 40
(組成物3)
ポリイソシアネート 4
(日本ポリウレタン(株)製:コロネート3040)
ステアリン酸アミド 0.5
パルミチン酸 0.5
ステアリン酸ブトキシエチル 0.5
メチルエチルケトン 50
トルエン 30
注1)Fe主成分、Feに対しCoを22原子%、Alを10原子%
含有、長軸長0.08μm、比表面積(SBET )57m2/g
【0045】
下記組成物4に下記組成物5を塗布直前に添加混合することによって、バックコート層形成塗料を調製した。このバックコート層形成塗料を、磁性層を塗布した支持体の裏面に乾燥厚みが0.6μmになるように塗布し、乾燥した。
【0046】
バックコート層形成塗料を調製するための組成物4および5
成分 重量部
(組成物4)
カーボンブラック 97
(キャボット製:BP800)
カーボンブラック 3
(カンカルブ製:MTCI)
α-Al2O3 0.1
(住友化学(株)製:HIT55)
ステアリン酸2エチルヘキシル 0.5
オレイン酸銅 0.1
塩化ビニル共重合体樹脂 50
(日本ゼオン(株)製:MR110)
ポリウレタン樹脂 40
(東洋紡績(株)製:UR8300)
シクロヘキサノン 200
メチルエチルケトン 300
(組成物5)
ポリイソシアネート 20
(日本ポリウレタン(株)製:コロネート3040)
メチルエチルケトン 3500
トルエン 200
シリコーン化合物(信越化学(株)製:KF69) 0.1
【0047】
さらに、温度90℃、線圧350kg/cm、速度200m/分で金属ロールによるカレンダー処理を5回行い、可撓性支持体の一面に磁性層を有しその反対面にバックコート層を有する積層体を作製した。この積層体を60℃で24時間加熱することによって積層体中に含まれるポリイソシアネート化合物を硬化させた。
その後、従来スリット方式又は新スリット方式のいずれかのスリット方式を用いて1/2インチ幅にスリットした。使用したスリッターとスリット速度は、表1に示すように実施例および比較例によって変えた。ただし、噛み合い深さは0.5mm、周速比は1.05に統一してスリットした。スリット後に、研磨テープ(富士写真フィルム(株)製:K10000)を用いて磁性層表面をバーニッシュし、ワイピング材(クラレ(株)製:WRP736)を用いて拭き取り処理を施すことによって、1/2インチのビデオテープを作製した。
【0048】
評価方法
1.スティフネスの測定
図3に示すように、被測定テープの幅方向に、その一端部から5mm長だけ自由に折り曲げられるように専用治具で挟み込み、その自由部分の幅方向中央(即ち、一端部から2.5mmの位置)に、磁性層面に垂直な方向から、専用治具の挟み込み端部を回転中心として回転可能な台に乗せられた歪みゲージを押し当て、その回転台を20°回転させたときの荷重により得られた値をスティフネス値とした。
2.蛇行成分の強度比の測定
周期20〜200mmの蛇行成分(短周期蛇行成分)の強度比は、磁気テープをテンション1.5×10-3N、20mm/sの速度で10m走行させ、テープエッジ軌跡の光学像を拡大し、その像をCCDラインカメラで捉え、その拡大光学像の運動軌跡をテープエッジの経時偏差信号として演算装置に入力し、アドバンテスト製スペクトルアナライザーR9211で入力電圧(V)をFFT演算し、パワースペクトル(dB)に変換した。このパワースペクトルの周期20〜10,000mmのエリアの積分値を100としたときの周期20〜200mmのエリアの積分値を該強度比とした。
3.平均蛇行量の測定
被測定テープを20mm/sの速度、0.147Nのテンションで走行させ、小坂研究所製ZDRによって測定した。
4.出力変動の測定
松下製D3VTRを2台使用し、一方のVTRで被測定テープにRF信号を記録し、他方のVTRで再生しオシロスコープでRF波形を観察した。出力レベルに変動が無い状態を出力変動0%、出力レベルの低下が6dBの場合を出力変動100%としてテープ10m長の出力変動の最大値をそのテープの出力変動とした。
【0049】
結果は以下の表1に示すとおりであった。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
テープエッジ軌跡の平均蛇行量が15μm以下であり、周期20〜200mmの蛇行成分の強度が周期20〜10,000mmの蛇行成分の強度の30%以下である本発明の磁気テープは、VTR内におけるトラッキングが良好で、出力変動が極めて小さいという特徴を有する。したがって、幅方向のスティフネスが70mg・mm2以下である薄手テープであっても、一般に使用されているVTRにそのままトラッキングすることができ、良好な磁性変換特性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スリッターの要部の構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示す上下丸刃の回転軸に沿った部分の概略断面図である。
【図3】スティフネスの測定方法の概略図である。
【符号の説明】
1:上丸刃
2:下丸刃
3:磁気テープ原反
4:磁気テープ
5:モーター
6:機械的カップリング機構
12:固定リング
13:弾性部材
14:上軸
16:ギア
24:下軸
26:ギア
Claims (1)
- 可撓性支持体、その一面上に設けられた磁性層およびその反対面上に設けられたバックコート層からなる磁気テープであって、前記磁気テープの幅方向のスティフネスが70mg・mm2以下であり、且つ前記磁性層面に垂直な方向から観察したときの前記磁気テープの幅方向両端部各々が描くテープエッジ軌跡の平均蛇行量がいずれの端部においても15μm以下であり、且つ周期20〜200mmの蛇行成分の強度が周期20〜10,000mmの強度の30%以下であることを特徴とする磁気テープ。
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