JP2006331575A - 磁気記録媒体の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁性塗料の塗布を行うダイ(塗布装置)101から、磁場配向処理を行う配向装置Cまでの到達時間を0.05秒以下とし、かつ配向処理における磁場強度を0.8T以上1.6T未満とする。
【選択図】図4
Description
これに伴い、特に高感度型の再生用磁気ヘッド(MRヘッドやGMRヘッド)を具備するシステムに適用される磁気記録媒体においては、短波長出力、及び電磁変換特性(C/N特性)を向上させるために、磁気特性を改善し、かつスペーシングロスやモジュレーションノイズの低減化を図るために、磁性層の薄層化、及び表面の平滑化が行われてきた。
このような薄層の記録層を有する磁気記録媒体として、支持体上に下層非磁性層と、磁性層(記録層)とが積層された構成のものが開発、商品化されている。
この成膜方式は、生産性やコストの面から優れているが、下層非磁性層と上層磁性層の塗布液の粘弾性特性が近似していないと重層塗布が良好に実施できず、最終的に塗布欠陥や磁性層表面状態の劣化を招来し、特に薄層型の磁性層を成膜する場合において、表面性の劣化が著しくなるという問題を有している。
また、下層非磁性層が湿潤状態において上層を塗布するので、層間の界面の乱れによる塗布欠陥が不可避的に生じてしまうという課題があり、このような塗布欠陥は、ノイズ発生の原因となり、電磁変化特性の劣化を招来し、特に、薄層の磁性層を形成する上での課題となっていた。
この方法は、上述したウェット・オン・ウェット方式と異なり、下層非磁性層に乾燥処理を施した後に磁性塗料を塗布するので、下層非磁性層と磁性層との層間の界面の乱れによる塗布欠陥が生じにくく、特に極めて磁性層を薄層に形成する超高密度型の磁気記録媒体において、磁性層に微小ピンホールが現われ難いという利点を有している。
従来においては、磁性塗料の溶剤による希釈量を増やす方法(例えば、特許文献3参照。)、磁性塗料の溶剤成分に沸点の高い材料を選定する方法、下層非磁性層表面に電子線照射硬化して下層の溶剤吸収度を低減化させる方法(例えば、特許文献4参照。)、磁性層の溶剤量と乾燥条件について条件を設ける方法(例えば、特許文献5参照。)が提案されていた。
また、従来公知のウェット・オン・ドライ方式における、下層表面に電子線照射により硬化処理を行って溶剤吸収度を低減化させる場合においては、硬化時間が非常に短いため、条件の制御が実用上困難であり、磁性塗料塗布後、カレンダー処理を行うと、層構成が劣化してしまう等の問題を有していた。
更には、特許文献5の技術においても磁性層の溶剤量や溶剤種が限定されてしまい、製造条件や磁性層の磁気特性そのものがかなり制約されてしまうという問題を有している。
また、高配向度化が実現でき、高い角形比を有する超薄型の高密度型磁気記録媒体が得られた。
更には、磁性塗料の希釈量や溶剤種類に関して制限されることなく、分散性についても最終的に目的とする磁気特性に応じて適正な条件を選択できるので、電磁変換特性の劣化を回避でき、製造条件の自由度を高く保つことができた。
この装置100は、連続走行する長尺状の支持体(被処理体)1に対し、所定の塗布液を塗布するエクストルージョン型の塗布手段を具備しており、支持体(被処理体)1の走行方向(図中、矢印方向)に、精密ギアポンプ104により制御され、下層非磁性層用の塗料、及び磁性層形成用の塗料とを塗布するダイ101と、磁性塗料が塗布された後に磁場配向を行う配向装置102と、乾燥処理を行う乾燥装置103とが設けられている。
続いて、下層非磁性層2が形成された後の被処理体を再度、連続的に走行させ、塗布装置のダイ101で磁性塗料を塗布し、その後、所定の配向装置104において磁場配向を行い、続いて乾燥装置105で乾燥処理を施し、巻き取りを行い、所定の次工程に送り込み、最終的に目的とする磁気記録媒体10を得る。
かかる点に鑑み、本発明においては、磁性塗料の塗布から磁場配向処理までの到達時間を0.05秒以下に特定することとした。更に、磁場配向処理における磁場強度を0.8T以上1.6T未満とした。
また、図4に示すように、ダイ101に近接した位置にソレノイドコイルCを配置することも有効である。
両者を比較すると、磁性粉末の配向方向に対して反対方向の磁場の発生しないソレノイドコイルCが、磁場配向を行うものとしてより好適である。
測定結果を図5に示す。
図5から明らかなように、磁性塗料の塗布から磁場配向処理までの到達時間を、0.05秒以下にすると、最終的に得られる磁性層において、85%以上の高い角形比が実現できることが確かめられた。
支持体1は、従来公知のテープ型の磁気記録媒体の基体として使用されるものをいずれも適用できる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック等が挙げられる。
非磁性顔料としては、従来、磁性層の下層として形成する非磁性層用の無機微粒子粉末をいずれも使用可能である。
例えば、アルミナ、酸化鉄、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、ゲータイト、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、あるいは組合せて用いてもよい。形状は、針状、球状、板状、サイコロ状のいずれでもよい。
また、最終的に得られる磁気記録媒体に適用する高感度型磁気ヘッド(MRヘッドやGMRヘッド)の静電破壊を抑制するため、導電剤を添加することが好ましい。導電剤は公知のものいずれも使用可能であり、たとえば、カーボンブラックや導電性酸化チタン等が挙げられる。
例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒト樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。
特に、柔軟性を付与するとされているポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等と剛性を付与するとされているセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。これらは、イソシアネート化合物を架橋剤としてより耐久性を向上させたりしても良い。
磁性粉末としては、従来塗布型の磁気記録媒体用に適用されている強磁性粒子をいずれも適用可能である。
例えば、強磁性酸化鉄粒子、強磁性二酸化クロム、強磁性バリウムフェライト、強磁性合金粉末、強磁性白金鉄、強磁性窒化鉄等が挙げられる。
下記に述べるように、具体的にサンプル磁気テープを作製し、それぞれの角形比を測定した。
(支持体)
膜厚4.5μmの、帝人(株)社製のネオテックス(登録商標)フィルムを使用した。
(下層非磁性層)
第1の無機粒子:α−酸化鉄
(長軸長50nm、BET値87m2/g):100重量部
第2の無機粒子:カーボンブラック:24重量部
(粒径20nm、DBP吸油量120ml/100g)
第1の結合剤:塩化ビニル系共重合体(平均重合度300):9重量部
第2の結合剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂:9重量部
(量平均分子量41200、Tg40℃)
潤滑剤:ブチルステアレート:2重量部
:ステアリン酸:1重量部
有機溶剤:メチルエチルケトン:20重量部
:トルエン:20重量部
:シクロヘキサノン:10重量部
上記材料を混練処理し、さらに溶剤で固形分30wt%に希釈した後、サンドミル分散し、下層非磁性層用の分散液とした。
その後、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤(コロネートL))を、3重量部添加し、下層非磁性層用の塗料を調製した。
この塗料を上記支持体上に乾燥膜厚1.0μmとなるように塗布し、乾燥処理を施し、下層非磁性層2を形成した。
(磁性層)
強磁性粉末:Fe−Co系針状磁性粉:100重量部
(長軸長60nm、短軸長16nm、保磁力213kA/m、磁化量127Am/kg)
第1の結合剤:塩化ビニル系共重合体(平均重合度300):9重量部
第2の結合剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂:9重量部
(量平均分子量41200、Tg40℃)
潤滑剤:ステアリン酸:1重量部
:ステアリン酸ブチル:2重量部
溶剤:メチルエチルケトン:20重量部
:トルエン:20重量部
:シクロヘキサノン:10重量部
上記材料をニーダーで混練処理し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンで、固形分15wt%に希釈した後、サンドミル分散し上層記録層用分散液とした。
その後、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を4重量部添加し、攪拌して磁性層形成用の塗料を調整した。
上記磁性塗料を、下層非磁性層を成膜した支持体(被処理体)に、乾燥膜厚30nmとなるように塗布した。
ここで、塗料の塗布速度を200〜300m/minの範囲で変化させ、ダイから配向装置までの距離を200mmとして、塗布用のダイ101から配向装置102に到達するまでの時間を制御した。
被処理体の走行速度が速いほど、配向装置に到達する時間が短くなるが、走行速度が速すぎると、膜形成が困難になるため、塗布速度の上限は300m/minとした。
配向装置としては、図4に示したように、ソレノイドコイルをダイ101に近接して設けることとし、配向磁場の強度は0.8T〜1.6Tの範囲で調節した。
上記条件で磁性層の配向処理を行い、続いて乾燥処理を行い、その後、所定の磁気記録媒体の製造工程を経ることにより、目的とするサンプル磁気テープを得た。
また、配向装置の磁場強度を1.6T以上とすると、ソレノイドコイルの発熱や、配向装置の磁場の影響により、磁性層の塗布破綻が生じてしまった。
Claims (6)
- 支持体上に、下層非磁性層と、膜厚50nm以下の磁性層とが積層形成されている磁気記録媒体の製造方法であって、
前記支持体上に、少なくとも結合剤樹脂と非磁性粒子とを含有する非磁性塗料を塗布し、乾燥処理を施し、下層非磁性層を形成する工程と、
前記下層非磁性層上に、少なくとも結合剤樹脂と磁性粉末とを含有する磁性塗料を塗布する工程と、
配向装置で磁場配向処理を行う工程とを有し、
前記磁性塗料の塗布から、前記磁場配向処理までの到達時間が0.05秒以下であり、
前記磁場配向処理における磁場強度が0.8T以上1.6T未満であり、
最終的に得られる磁気記録媒体の角形比を85%以上とすることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記磁場配向処理において、ソレノイドコイルを適用することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 最終的に得られる磁気記録媒体が、信号再生用磁気ヘッドとして、磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)、若しくは巨大磁気抵抗効果型ヘッド(GMRヘッド)を適用するものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 連続して走行する長尺状の被処理体に対して、膜厚50nm以下の磁性層の塗布工程を行う塗布装置と、
前記磁性層に対する磁場配向処理を行う配向装置とを具備する磁気記録媒体の製造装置であって、
前記被処理体が、前記塗布装置から前記配向装置まで到達する時間が0.05秒以内になされており、
前記配向装置の磁場強度が0.8T以上1.6T未満であることを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。 - 前記配向装置が、ソレノイドコイルを具備していることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体の製造装置。
- 前記塗布装置のダイが、非磁性材料によりなるものであることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体の製造装置。
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JP2011210288A (ja) * | 2010-03-26 | 2011-10-20 | Fujifilm Corp | 磁気記録媒体の製造装置、磁気記録媒体の製造方法、及び、磁気記録媒体 |
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