JP2017111841A - 磁気テープおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バックコート層を有し、優れた電磁変換特性を示すことができ、かつ長期保管後の繰り返し走行における再生出力低下が抑制された、アーカイブ用記録媒体として好適な磁気テープの提供。【解決手段】非磁性支持体の一方の表面側に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の表面側に非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有する磁気テープであって、磁気テープの磁性層側の表面において測定される中心線平均表面粗さRaは1.8nm以下であり、磁気テープの磁性層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は0.050以下であり、かつバックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は0.060以下である磁気テープ。磁気テープの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、磁気テープおよびその製造方法に関する。
磁気記録媒体にはテープ状のものとディスク状のものがあり、データストレージ用途には、テープ状の磁気記録媒体、即ち磁気テープが主に用いられている。磁気テープへの信号の記録再生は、通常、磁気テープをドライブ内で走行させ、磁気テープの磁性層側表面を磁気ヘッド(以下、単に「ヘッド」とも記載する。)と接触させ摺動させることにより行われる。
磁気記録分野では、電磁変換特性の向上が常に求められている。この点に関し、例えば特許文献1には、磁性層の表面平滑性(即ち磁気テープの磁性層側表面の表面平滑性)を向上することにより、電磁変換特性に優れる磁気記録媒体が得られることが記載されている(例えば特許文献1の段落0020、0178参照)。
特開2010−49731号公報
磁気テープの磁性層側表面の表面平滑性を高めることは、磁気テープの磁性層側表面とヘッドとの間の間隔(スペーシング)を狭めて電磁変換特性を向上するための有効な手段である。
また、特許文献1の段落0021に記載されているように、非磁性支持体の磁性層を有する側とは反対側にバックコート層を設けることも、近年広く行われている。
ところで、磁気テープ等の記録媒体に記録されるデータは、アクセス頻度(再生頻度)に応じて、ホットデータ、ウォームデータ、コールドデータと呼ばれる。アクセス頻度は、ホットデータ、ウォームデータ、コールドデータの順に低くなり、コールドデータは10年以上の長期間(例えば数十年)にわたって記録媒体に記録されたまま保管されることが通常である。このようなコールドデータを記録し保管するための記録媒体は、アーカイブ(archive)用記録媒体と呼ばれる。近年の情報量の飛躍的な増大や各種情報のデジタル化に伴い、アーカイブ用記録媒体に記録し保管されるコールドデータのデータ量も増大しているため、アーカイブ用記録媒体の需要はますます高まっている。
そこで本発明者が、磁気テープをアーカイブ用記録媒体に適用することを検討したところ、非磁性支持体の磁性層を有する側とは反対側にバックコート層を有し、かつ電磁変換特性向上のために磁性層側表面の表面平滑性を高めた磁気テープは、長期保管相当の加速試験後に走行を繰り返すと、再生出力が低下してしまうという課題があることが判明した。
そこで本発明の目的は、非磁性支持体の磁性層を有する側とは反対側にバックコート層を有し、優れた電磁変換特性を示すことができ、かつ長期保管後の繰り返し走行における再生出力低下が抑制された、アーカイブ用記録媒体として好適な磁気テープを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の磁気テープ:
非磁性支持体の一方の表面側に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の表面側に非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有する磁気テープであって、
磁気テープの磁性層側の表面において測定される中心線平均表面粗さRaは1.8nm以下であり、
磁気テープの磁性層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は0.050以下であり、かつバックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は0.060以下である磁気テープ、
を見出すに至った。上記磁気テープは、優れた電磁変換特性を発揮することができ、かつアーカイブ用記録媒体のデータ保管相当の長期保管後の繰り返し走行による再生出力低下の抑制が可能である。この点に関する本発明者による推察は、後述する。
一態様では、磁気テープの磁性層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は、0.010以上0.050以下である。
一態様では、上記中心線平均表面粗さRaは、1.2nm以上1.8nm以下である。
一態様では、磁気テープのバックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は、0.010以上0.060以下である。
一態様では、上記磁気テープは、磁性層と非磁性支持体との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有する。
本発明の更なる態様は、上記磁気テープの製造方法であって、
磁性層形成工程およびバックコート層形成工程を含み、
磁性層形成工程は、
強磁性粉末、結合剤、硬化剤および溶媒を含む磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に直接または他の層を介して塗布することにより磁性塗布層を形成する塗布工程、
磁性塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、ならびに、
磁性塗布層に硬化処理を施す硬化工程、
を含み、
塗布工程と加熱乾燥工程との間に、磁性塗布層を冷却する冷却工程を含み、かつ加熱乾燥工程と硬化工程との間に、磁性塗布層表面をバーニッシュ処理するバーニッシュ処理工程を含み、
バックコート層形成工程は、
非磁性粉末、結合剤、硬化剤および溶媒を含むバックコート層形成用組成物を非磁性支持体表面上に塗布することにより非磁性塗布層を形成する塗布工程、
非磁性塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、ならびに、
非磁性塗布層に硬化処理を施す硬化工程、
を含み、
塗布工程と加熱乾燥工程との間に、非磁性塗布層を冷却する冷却工程を含み、かつ加熱乾燥工程と硬化工程との間に、非磁性塗布層表面をバーニッシュ処理するバーニッシュ処理工程を含む磁気テープの製造方法、
に関する。
一態様では、磁性層形成工程において、冷却工程は、磁性塗布層を−10℃〜0℃の冷却雰囲気下に置くことにより行われる。
一態様では、磁性層形成用組成物に含まれる溶媒は、ケトン溶媒を含む。
一態様では、バックコート層形成工程において、冷却工程は、非磁性塗布層を−10℃〜0℃の冷却雰囲気下に置くことにより行われる。
一態様では、バックコート層形成用組成物に含まれる溶媒は、ケトン溶媒を含む。
一態様では、磁性層形成用組成物に含まれる硬化剤およびバックコート層形成用組成物に含まれる硬化剤は熱硬化性化合物であり、かつ磁性層形成工程における硬化工程およびバックコート層形成工程における硬化工程は加熱処理により行われる。
一態様では、熱硬化性化合物は、ポリイソシアネートである。
本発明の一態様によれば、非磁性支持体の磁性層を有する側とは反対側にバックコート層を有し、優れた電磁変換特性を示すことができ、かつ長期保管後の繰り返し走行における再生出力低下が抑制された、アーカイブ用記録媒体として好適な磁気テープを提供することができる。
対数減衰率の測定方法の説明図である。 対数減衰率の測定方法の説明図である。 対数減衰率の測定方法の説明図である。 磁気テープ製造工程の具体的態様の一例(工程概略図)を示す。
本発明の一態様は、非磁性支持体の一方の表面側に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の表面側に非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有する磁気テープであって、磁気テープの磁性層側の表面において測定される中心線平均表面粗さRaは1.8nm以下であり、磁気テープの磁性層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率(以下、「磁性層側対数減衰率」ともいう。)は0.050以下であり、かつバックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率(以下、「バックコート層側対数減衰率」ともいう。)は0.060以下である磁気テープに関する。
以下、上記磁気テープについて、更に詳細に説明する。
[中心線表面粗さRa]
上記磁気テープの磁性層側の表面において測定される中心線平均表面粗さRaは、1.8nm以下である。これにより、上記磁気テープは、優れた電磁変換特性を発揮することができる。電磁変換特性の更なる向上の観点からは、磁気テープ表面粗さRaは、1.7nm以下であることが好ましく、1.6nm以下であることが更に好ましく、1.5nm以下であることが一層好ましい。また、磁性層表面Raは、例えば1.2nm以上であることができるが、電磁変換特性向上の観点からは磁気テープRaが低いことは好ましいため、これを下回ってもよい。
本発明および本明細書に記載の磁気テープの磁性層側の表面において測定される中心線平均表面粗さRaは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)を用いて、磁気テープの磁性層側の表面の任意の位置の面積40μm×40μmの領域において測定される中心線平均表面粗さRaをいうものとする。原子間力顕微鏡としては、例えば一例として、Veeco社製Nanoscope4を用いることができる。後述の実施例では、Veeco社製Nanoscope4を用いて、スキャン速度(探針移動速度)は40μm/sec、分解能は512pixel×512pixelとして、磁気テープ表面粗さRaを求めた。
磁気テープの磁性層側の表面において測定される中心線平均表面粗さRaは、公知の方法により制御することができる。例えば、磁性層に含まれる各種粉末(例えば、強磁性粉末や磁性層に任意に含まれ得る非磁性フィラー)のサイズ、磁気テープの製造条件等により磁気テープ表面粗さRaは変わり得るため、これらを調整することにより、磁気テープの磁性層側の表面において測定される中心線平均表面粗さRaが1.8nm以下の磁気テープを得ることができる。
[対数減衰率]
<磁性層側対数減衰率>
上記磁気テープの磁性層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率(磁性層側対数減衰率)は、0.050以下である。これにより、上記の範囲の中心線平均表面粗さRaを有し、かつバックコート層側対数減衰率が0.060以下の磁気テープを、アーカイブ用記録媒体のデータ保管相当の長期保管後に繰り返し走行させた際の再生出力低下を抑制することができる。上記の再生出力低下をより一層抑制する観点から、磁性層側対数減衰率は、0.045以下であることが好ましく、0.040以下であることがより好ましく、0.035以下であることが更に好ましく、0.030以下であることが一層好ましく、0.025以下であることがより一層好ましい。一方、上記の再生出力低下抑制の観点からは、磁性層側対数減衰率は低いほど好ましいため、下限値は特に限定されるものではない。一例として、対数減衰率は、例えば0.010以上、または0.015以上であることができるが、これらを下回ってもよい。磁性層側対数減衰率を調整するための手段の具体的態様は、後述する。
<バックコート層側対数減衰率>
上記磁気テープのバックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率(バックコート層側対数減衰率)は、0.060以下である。これにより、上記の範囲の中心線平均表面粗さRaを有し、かつ磁性層側対数減衰率が0.050以下の磁気テープを、アーカイブ用記録媒体のデータ保管相当の長期保管後に繰り返し走行させた際の再生出力低下を抑制することができる。上記の再生出力低下をより一層抑制する観点から、バックコート層側対数減衰率は、0.058以下であることが好ましく、0.055以下であることが好ましく、0.054以下であることが更に好ましく、0.050以下であることが一層好ましく、0.045以下であることが更に一層好ましい。一方、上記の再生出力低下をより一層抑制する観点からは、バックコート層側対数減衰率は低いほど好ましいため、下限値は特に限定されるものではない。一例として、対数減衰率は、例えば0.010以上、0.015以上、または0.020以上であることができるが、これらを下回ってもよい。バックコート層側対数減衰率を調整するための手段の具体的態様は、後述する。
本発明および本明細書において、磁性層側対数減衰率およびバックコート層側対数減衰率は、以下の方法により求められる値である。
図1〜図3は、対数減衰率の測定方法の説明図である。以下、これら図面を参照し対数減衰率の測定方法を説明する。ただし、図示された態様は例示であって、本発明を何ら限定するものではない。
測定対象の磁気テープから、測定用試料を切り出す。切り出した測定用試料を、振り子粘弾性試験機内の基板上に測定面(磁性層側表面またはバックコート層側表面)を上方に向けて載置し、目視で確認できる明らかなしわが入っていない状態で、固定用テープ等で固定する。
測定用試料の測定面上に、質量13gの振り子付円柱型シリンダエッジ(直径4mm)を、シリンダエッジの長軸方向が測定用試料の長手方向と平行になるように載せる。こうして測定用試料の測定面に、振り子付円柱型シリンダエッジを載せた状態(上方から見た状態)の一例を、図1に示す。図1に示す態様では、ホルダ兼温度センサーが設置され、基板表面温度をモニタリングできる構成になっているが、この構成は必須ではない。なお測定用試料の長手方向とは、測定用試料を切り出した磁気テープにおける長手方向をいう。また、本明細書に記載の「平行」等の角度に関する記載には、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。また、振り子としては、金属、合金等のマグネットに吸着される性質を有する材料製の振り子を用いる。
測定用試料を載置した基板の表面温度を5℃/min以下(5℃/min以下であれば任意の昇温速度でよい。)の昇温速度で昇温して80℃として、振り子運動を、振り子とマグネットとの吸着を解除することにより開始(初期振動を誘起)させる。振り子運動している振り子の状態(横から見た状態)の一例が、図2である。図2に示す態様では、振り子粘弾性試験機内で、試料ステージ下方に配置されたマグネット(電磁石)への通電を停止して(スイッチをオフにして)吸着を解除することにより振り子運動を開始し、電磁石への通電を再開して(スイッチをオンにして)振り子をマグネットに吸着させることにより振り子運動を停止させる。振り子運動中、図2に示すように、振り子は振幅を繰り返す。振り子が振幅を繰り返している間、振り子の変位を変位センサーによりモニタリングして得られる結果から、変位を縦軸に取り、経過時間を横軸に取った変位−時間曲線を得る。変位−時間曲線の一例を、図3に示す。図3では、振り子の状態と変位−時間曲線との対応が模式的に示されている。一定の測定間隔で、静止(吸着)と振り子運動とを繰り返し、10分以上(10分以上であれば任意の時間でよい。)経過した後の測定間隔において得られた変位−時間曲線を用いて、対数減衰率Δ(無単位)を、下記式から求め、この値を磁気テープの測定面(磁性層側表面またはバックコート層側表面)において測定される対数減衰率とする。1回の吸着の吸着時間は1秒以上(1秒以上であれば任意の時間でよい。)とし、吸着終了から次の吸着開始までの間隔は6秒以上(6秒以上であれば任意の時間でよい。)とする。測定間隔とは、吸着開始から次の吸着開始までの間隔である。また、振り子運動を行う環境の湿度は、相対湿度40〜70%の範囲であれば任意の相対湿度でよい。
変位−時間曲線において、変位が極小から再び極小になるまでの間隔を、波の一周期とする。nを、測定間隔中の変位−時間曲線に含まれる波の数とし、Anを、n番目の波における極小変位と極大変位との差とする。図3では、n番目の波の変位が極小から再び極小になるまでの間隔を、Pn(例えば1番目の波についてはP、2番目についてはP、3番目についてはP)と表示している。対数減衰率の算出には、n番目の波の次に現れる極小変位と極大変位との差(上記式中、An+1、図3に示す変位−時間曲線ではA)も用いるが、極大以降に振り子が静止(吸着)している部分は波の数のカウントには用いない。また、極大変位以前に振り子が静止(吸着)している部分も、波の数のカウントには用いない。したがって、図3に示す変位−時間曲線では、波の数は3つ(n=3)である。なお本発明および本明細書における対数減衰率とは、アーカイブ用記録媒体のデータ保管相当の長期保管またはかかる長期保管に相当する加速試験を経ていない磁気テープにおいて測定される値である。
上記の磁性層側、バックコート層側対数減衰率に関して、本発明者は、以下のように考えている。ただし以下は推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
先に記載したように、磁気テープの磁性層側表面の表面平滑性を高めることにより電磁変換特性を向上することができる。そのために上記磁気テープでは、磁性層側の表面において測定される中心線平均表面粗さRaを、1.8nm以下とする。しかし、このように磁性層側表面の表面平滑性を高めると、走行中の磁気テープの磁性層側表面とヘッドとの接触面積(いわゆる真実接触面積)は増すと考えられる。これにより、磁気テープ由来の成分が磁気テープの磁性層側表面からヘッドへ付着しやすくなり、走行を繰り返すうちにヘッドに付着し堆積することにより再生出力低下の原因となるスペーシングロスをもたらすと、本発明者は推察している。
そこで本発明者は、磁気テープ由来の成分がヘッドへ付着し堆積する量を低減すべく更に鋭意検討を重ねた結果、上記の対数減衰率が、ヘッドに付着し堆積する成分の量の指標になり得ると考えるに至った。この磁気テープ由来の成分について本発明者は、走行中に磁気テープの磁性層側表面から粘着性成分がヘッドに付着し堆積するのではないかと考えている。かかる粘着性成分の詳細は明らかではないが、結合剤として用いられる樹脂に由来する可能性があると、本発明者は推察している。詳しくは、次の通りである。
結合剤としては、詳細を後述するように各種樹脂を用いることができる。樹脂とは、2つ以上の重合性化合物の重合体(ホモポリマーおよびコポリマーを包含する。)であり、分子量が平均分子量を下回る成分(以下、「低分子量結合剤成分」と記載する。)も通常含まれる。このような低分子量結合剤成分が、走行中に磁気テープの磁性層側表面からヘッドに付着し走行を繰り返すうちに堆積することが、再生出力低下の原因となるスペーシングロスをもたらすのではないかと、本発明者は考えている。そして、上記の低分子量結合剤成分は粘着性を有すると考えられ、振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率が、走行中にヘッドに付着し堆積する上記成分の量の指標になるのではないかと、本発明者は推察している。なお、一態様では、磁性層は、強磁性粉末および結合剤に加えて、硬化剤を含む磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に直接または他の層を介して塗布し、硬化処理を施し形成される。ここでの硬化処理により、結合剤と硬化剤とを硬化反応(架橋反応)させることができるが、低分子量結合剤成分は、理由は定かではないが、硬化反応の反応性に乏しいのではないかと本発明者は考えている。このため、低分子量結合剤成分は磁性層に留まり難く磁性層から遊離しヘッドに付着しやすいことが、低分子量結合剤成分が走行中にヘッドに付着し堆積しやすい理由の1つではないかと、本発明者は推察している。
ただし本発明者の鋭意検討により、磁性層由来の上記成分を低減するのみでは、アーカイブ用記録媒体のデータ保管相当の長期保管後に繰り返し走行させた際の再生出力低下を抑制するには十分ではないことも明らかになった。この点については、本発明者は次のように推察している。
磁気テープは、磁気テープカートリッジ内に、リールに巻き取られた状態で収容される。磁気テープへの信号の記録は、磁気テープカートリッジをドライブにセットし、磁気テープカートリッジ内の磁気テープを走行させて、磁気テープの磁性層側表面を磁気ヘッドと接触させ摺動させることにより行われる。コールドデータが記録された磁気テープは、こうして記録が行われた後に再びリールに巻き取られ磁気テープカートリッジに収容された状態で、例えば10年以上、長期保管される。長期保管中、リールに巻き取られた状態の磁気テープでは、磁性層側表面とバックコート層側表面とが接触した状態にある。この保管期間は、通常のデータバックアップのためにデータが記録媒体に保管される期間よりはるかに長期間である。このようなきわめて長期間、磁気テープが巻き取られた状態で磁性側層表面とバックコート層側表面とが接触すると、かかる長期間の保管後に磁気テープをドライブ内で走行させるときに磁性層側表面とバックコート層側表面との接触が解除される際、長期保管前にはバックコート層側表面に存在していたバックコート層由来の粘着性成分が磁性層側表面に転写され磁性層側表面に存在するようになると本発明者は考えている。なおこのバックコート層由来の粘着性成分も、磁性層由来の粘着性成分に関して上述したように、結合剤として用いられる樹脂に由来する可能性があると、本発明者は推察している。
以上の推察の下、本発明者は、磁性層側およびバックコート層側で、それぞれ粘着性成分を低減することが、バックコート層を有し、かつ磁性層側表面の表面平滑性を高めた磁気テープをアーカイブ用記録媒体のデータ保管相当の長期保管後に繰り返し走行させた際の再生出力低下を抑制することにつながると考え更なる鋭意検討を重ねた。その結果、磁性層側対数減衰率を0.050以下、バックコート層側対数減衰率を0.060以下とすることに至り、上記の本発明の一態様にかかる磁気テープを見出したのである。
ただし本発明は、本発明者による上記推察に何ら限定されるものではない。
以下、上記磁気テープにについて、更により詳細について説明する。
[磁性層]
<強磁性粉末>
磁性層は、強磁性粉末および結合剤を含む。強磁性粉末としては、磁気テープ等の磁気記録媒体の磁性層において強磁性粉末として通常用いられる各種粉末を使用することができる。強磁性粉末として平均粒子サイズの小さいものを使用することは、磁気テープの記録密度向上の観点から好ましい。この点から、強磁性粉末としては、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末を用いることが好ましい。一方、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定される値とする。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明および本明細書において、強磁性粉末、およびその他の粉末についての平均粒子サイズとは、特記しない限り、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズの測定は、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
なお、粒子サイズ測定のために磁性層から強磁性粉末等の試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明および本明細書において、強磁性粉末等の粉末を構成する粒子のサイズ(以下、「粒子サイズ」と言う)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性六方晶フェライト粉末を挙げることができる。強磁性六方晶フェライト粉末の平均粒子サイズ(平均板径)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば、特開2011−225417号公報段落0012〜0030、特開2011−216149号公報の段落0134〜0136、特開2012−204726号公報段落0013〜0030を参照できる。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。強磁性金属粉末の平均粒子サイズ(平均長軸長)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141、特開2005−251351号公報段落0009〜0023を参照できる。
磁性層における強磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。上記充填率が高いことは、記録密度向上の観点から好ましい。
<結合剤、硬化剤>
上記磁気テープは塗布型磁気テープであって、磁性層に、強磁性粉末とともに結合剤を含む。結合剤としては、塗布型磁気記録媒体の結合剤として通常使用される各種樹脂を用いることができる。例えば、結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層やバックコート層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落0028〜0031を参照できる。結合剤として使用される樹脂の平均分子量は、重量平均分子量として、例えば10,000以上200,000以下であることができる。なお本発明および本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算による値である。測定条件としては、下記条件を挙げることができる。後述の実施例に示す重量平均分子量は、下記測定条件によって測定された値をポリスチレン換算して求めた値である。
GPC装置:HLC−8120(東ソー製):
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
また、上記結合剤として使用可能な樹脂とともに硬化剤を使用することもできる。硬化剤は、一態様では加熱により硬化反応(架橋反応)が進行する化合物である熱硬化性化合物であることができ、他の一態様では光照射により硬化反応(架橋反応)が進行する光硬化性化合物であることができる。好ましい硬化剤は、熱硬化性化合物であり、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、磁性層形成用組成物中に、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、塗膜強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で添加し使用することができる。
<添加剤>
磁性層には、強磁性粉末および結合剤が含まれ、必要に応じて一種以上の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、一例として、上記の硬化剤が挙げられる。なお硬化剤は、磁性層形成工程の中で硬化反応が進行することにより、少なくとも一部は、結合剤等の他の成分と反応(架橋)した状態で磁性層に含まれ得る。また、磁性層に含まれ得る添加剤としては、非磁性フィラー、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。
以下、添加剤の一態様である非磁性フィラーについて説明するが、本発明は下記態様に限定されるものではない。
(非磁性フィラー)
磁性層には、一種または二種以上の非磁性フィラーが含まれることが好ましい。なお非磁性フィラーとは、非磁性粉末と同義である。また、本発明および本明細書において、非磁性粉末とは、複数の非磁性粒子の集合を意味するものとする。集合とは、これを構成する粒子が直接接触している態様に限定されず、結合剤や添加剤等が、粒子同士の間に介在している態様も包含される。なお粒子との語が、粉末を表すために用いられることもある。以上の点は、本発明および本明細書における各種粉末についても、同様とする。非磁性フィラーとしては、磁性層表面に適度に突出する突起を形成する突起形成剤として機能することができる非磁性フィラー(以下、「突起形成剤」と記載する。)、研磨剤として機能することができる非磁性フィラー(以下、「研磨剤」と記載する。)を挙げることができる。突起形成剤は、磁性層表面の摩擦特性制御に寄与し得る成分である。上記磁気テープの磁性層には、突起形成剤および研磨剤の少なくとも一方が含まれることが好ましく、両方が含まれることが好ましい。
突起形成剤としては、一般に突起形成剤として使用される各種非磁性フィラーを用いることができる。これらは、無機物質であっても有機物質であってもよい。一態様では、摩擦特性の均一化の観点からは、突起形成剤の粒度分布は、分布中に複数のピークを有する多分散ではなく、単一ピークを示す単分散であることが好ましい。単分散粒子の入手容易性の点からは、非磁性フィラーは無機物質の粉末であることが好ましい。無機物質の粉末としては、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物の各粉末を挙げることができ、無機酸化物の粉末であることが好ましい。突起形成剤は、より好ましくはコロイド粒子であり、更に好ましくは無機酸化物コロイド粒子である。また、単分散粒子の入手容易性の観点からは、無機酸化物コロイド粒子を構成する無機酸化物は二酸化ケイ素(シリカ)であることが好ましく、無機酸化物コロイド粒子は、コロイダルシリカ(シリカコロイド粒子)であることがより好ましい。本発明および本明細書において、「コロイド粒子」とは、少なくとも、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエンもしくは酢酸エチル、または上記溶媒の二種以上を任意の混合比で含む混合溶媒の少なくとも1つの有機溶媒100mLあたり1g添加した際に、沈降せず分散しコロイド分散体をもたらすことのできる粒子をいうものとする。なおコロイド粒子については、平均粒子サイズは、特開2011−048878号公報段落0015に平均粒径の測定方法として記載されている方法により求められる値とする。また、他の一態様では、突起形成剤は、カーボンブラックであることも好ましい。
突起形成剤の平均粒子サイズは、例えば30〜300nmであり、好ましくは40〜200nmである。
一方、研磨剤としては、磁性層の研磨剤として通常使用される物質であるアルミナ(Al)、炭化ケイ素、ボロンカーバイド(BC)、SiO、TiC、酸化クロム(Cr)、酸化セリウム、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化鉄、ダイヤモンドの各粉末を挙げることができ、中でもα−アルミナ等のアルミナ粉末および炭化ケイ素粉末が好ましい。また、研磨剤の粒子サイズに関しては、粒子サイズの指標である比表面積として、例えば14m/g以上、好ましくは16m/g以上、より好ましくは18m/g以上である。また、研磨剤の比表面積は、例えば40m/g以下であることができる。なお比表面積とは、窒素吸着法(BET(Brunauer-Emmett-Teller)1点法とも呼ばれる。)により求められる値であって、一次粒子について測定する値とする。以下において、かかる方法により求められる比表面積を、BET比表面積とも記載する。
また、突起形成剤、研磨剤が、各機能をより良好に発揮することができるという観点から、磁性層における突起形成剤の含有量は、好ましくは強磁性粉末100.0質量部に対して、1.0〜4.0質量部であり、より好ましくは1.5〜3.5質量部である。一方、研磨剤については、磁性層における含有量は、好ましくは強磁性粉末100.0質量部に対して1.0〜20.0質量部であり、より好ましくは3.0〜15.0質量部であり、更に好ましくは4.0〜10.0質量部である。
なお、研磨剤を含む磁性層に使用され得る添加剤の一例としては、特開2013−131285号公報段落0012〜0022に記載の分散剤を、研磨剤の分散性を向上するための分散剤として挙げることができる。
[非磁性層]
次に非磁性層について説明する。上記磁気テープは、非磁性支持体上に直接磁性層を有していてもよく、非磁性支持体上に少なくとも一層の他の層を介して磁性層を有していてもよい。かかる他の層は、好ましくは、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層である。非磁性層に使用される非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報段落0146〜0150を参照できる。非磁性層に使用可能なカーボンブラックについては、特開2010−24113号公報段落0040〜0041も参照できる。非磁性層における非磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
非磁性層の結合剤、添加剤等のその他詳細は、非磁性層に関する公知技術が適用できる。また、例えば、結合剤量および種類、添加剤量および種類に関しては、磁性層に関する公知技術も適用できる。
なお、上記磁気テープの非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および保磁力を持たないことが好ましい。
[バックコート層]
上記磁気テープは、非磁性支持体の磁性層を有する表面とは反対の表面側にバックコート層を有する。上記磁気テープにおいて、バックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率(バックコート層側対数減衰率)は0.060以下である。バックコート層側対数減衰率の詳細は、先に記載した通りである。バックコート層は、非磁性粉末および結合剤を含み、任意に公知の添加剤を含むことができる。バックコート層の結合剤、添加剤等のその他詳細は、バックコート層に関する公知技術を適用することができ、磁性層や非磁性層に関する公知技術を適用することもできる。バックコート層は、硬化剤を含むバックコート層形成用組成物を用いて、硬化工程を経て形成することができる。硬化剤については、先に磁性層に使用可能な硬化剤について記載した通りである。硬化剤は、バックコート層形成用組成物中に、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、塗膜強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で添加し使用することができる。
バックコート層の非磁性粉末については、非磁性層の非磁性粉末に関する上記記載を参照できる。バックコート層の非磁性粉末としては、好ましくは、カーボンブラックと、カーボンブラック以外の非磁性粉末と、のいずれか一方または両方を使用することができる。カーボンブラック以外の非磁性粉末としては、非磁性無機粉末を挙げることができる。具体例としては、α−酸化鉄等の酸化鉄、二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO、SiO、Cr、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、酸化銅、MgCO、CaCO、BaCO、SrCO、BaSO、炭化珪素、炭化チタン等の非磁性無機粉末を挙げることができる。好ましい非磁性無機粉末は、非磁性無機酸化物粉末であり、より好ましくはα−酸化鉄、酸化チタンであり、更に好ましくはα−酸化鉄である。
カーボンブラック以外の非磁性粉末の形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでもよい。これら非磁性粉末の平均粒子サイズは、0.005〜2.00μmの範囲であることが好ましく、0.01〜0.20μmの範囲であることが更に好ましい。また、非磁性粉末のBET比表面積は、1〜100m/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜70m/g、更に好ましくは10〜65m/gの範囲である。一方、カーボンブラックの平均粒子サイズは、例えば5〜80nmの範囲であり、好ましくは10〜50nm、更に好ましくは10〜40nmの範囲である。バックコート層における非磁性粉末の含有量(充填率)については、非磁性層の非磁性粉末に関する前述の記載を参照できる。また、非磁性粉末全量100.0質量部に対するカーボンブラック含有量は、例えば10.0〜100.0質量部の範囲とすることができる。非磁性粉末全量をカーボンブラックとしてもよい。また、非磁性粉末全量を、カーボンブラック以外の非磁性粉末としてもよい。
[非磁性支持体]
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。
[非磁性支持体の厚み、各層の厚み]
上記磁気テープにおける非磁性支持体および各層の厚みについては、非磁性支持体の厚みは、好ましくは3.00〜4.50μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には10nm〜150nmであり、高密度記録化の観点から、好ましくは20nm〜120nmであり、更に好ましくは30nm〜100nmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.01〜3.00μmであり、0.05〜2.00μmであることが好ましく、0.05〜1.50μmであることが更に好ましい。
バックコート層の厚みは、0.90μm以下が好ましく、0.10〜0.70μmが更に好ましい。
なお磁気テープの各層および非磁性支持体の厚みは、公知の膜厚測定法により求めることができる。一例として、例えば、磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察において厚み方向の1箇所において求められた厚み、または無作為に抽出した2箇所以上の複数箇所、例えば2箇所、において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めることができる。または、各層の厚みは、製造条件から算出される設計厚みとして求めてもよい。
[製造工程]
<各層形成用組成物の調製>
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための組成物は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される各種有機溶媒を挙げることができる。具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。中でも、塗布型磁気記録媒体に通常使用される結合剤の溶解性の観点からは磁性層形成用組成物には、ケトン溶媒の一種以上が含まれることが好ましい。なお磁性層形成用組成物における溶媒量は特に限定されるものではなく、通常の塗布型磁気記録媒体の磁性層形成用組成物と同様にすることができる。磁性層形成用組成物に含まれる溶媒全量に対してケトン溶媒が占める割合(質量基準)は、例えば50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、または90質量%以上であり100質量%であってもよい。
また、バックコート層形成用組成物等の各層形成用組成物に含まれ得る溶媒についても、上記記載を適用することができる。
各層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程を含む。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、結合剤、非磁性粉末、および任意に添加される各種添加剤、溶媒などすべての原料は、どの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、磁性層形成用組成物の調製においては、研磨剤と強磁性粉末とを別分散することが好ましい。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、各層形成用組成物を分散させるためには、ガラスビーズやその他の分散ビーズを用いることができる。このような分散ビーズとしては、高比重の分散ビーズであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散ビーズの粒径(ビーズ径)と充填率は最適化して用いることができる。分散機は公知のものを使用することができる。
<塗布工程、冷却工程、加熱乾燥工程、バーニッシュ処理工程、硬化工程>
上記磁気テープは、磁性層形成工程およびバックコート層形成工程を少なくとも含む製造方法により製造することができる。磁性層形成工程において、磁性層は、磁性層形成用組成物を、非磁性支持体上に直接塗布するか、または好ましくは非磁性層形成用組成物と逐次もしくは同時に重層塗布することにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報段落0066を参照できる。
好ましい一態様では、上記磁気テープは、磁性層形成工程が、
強磁性粉末、結合剤、硬化剤および溶媒を含む磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に直接または他の層を介して塗布することにより磁性塗布層を形成する塗布工程、
磁性塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、ならびに、
磁性塗布層に硬化処理を施す硬化工程、
を含み、
塗布工程と加熱乾燥工程との間に、磁性塗布層を冷却する冷却工程を含み、かつ
加熱乾燥工程と硬化工程との間に、上記磁性塗布層表面をバーニッシュ処理するバーニッシュ処理工程を含む製造方法により、製造することができる。
上記製造方法の磁性層形成工程の中で冷却工程およびバーニッシュ処理工程を実施することは、磁性層側対数減衰率を0.050以下とするための好ましい手段と本発明者は考えている。詳しくは、次の通りである。塗布工程と加熱乾燥工程との間に、塗布層を冷却する冷却工程を行うことは、走行中に磁気テープの磁性層側表面からヘッドに付着する粘着性成分を、上記磁性塗布層の表面や表面近傍の表層部分に局在させることに寄与するのではないかと、本発明者は推察している。これは、理由は明らかではないが、加熱乾燥工程前に磁性層形成用組成物の磁性塗布層を冷却することにより、加熱乾燥工程における溶媒揮発時に粘着性成分が磁性塗布層表面や表層部分に移行しやすくなるためではないかと、本発明者は推察している。そして、粘着性成分が表面や表層部分に局在した磁性塗布層の表面をバーニッシュ処理することにより、磁性層側表面から粘着性成分を除去することができると本発明者は考えている。こうして粘着性成分を除去した後に硬化工程を行うことが、磁性層側対数減衰率を0.050以下にすることにつながると、本発明者は推察している。ただし、以上は推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
好ましい一態様では、バックコート層形成工程も、
非磁性粉末、結合剤、硬化剤および溶媒を含むバックコート層形成用組成物を非磁性支持体表面上に塗布することにより非磁性塗布層を形成する塗布工程、
上記非磁性塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、ならびに、
上記非磁性塗布層に硬化処理を施す硬化工程、
を含み、
上記塗布工程と加熱乾燥工程との間に、上記非磁性塗布層を冷却する冷却工程を含み、かつ
上記加熱乾燥工程と硬化工程との間に、上記非磁性塗布層表面をバーニッシュするバーニッシュ処理工程を含むことが好ましい。
上記バックコート層形成工程の中で冷却工程およびバーニッシュ処理工程を実施することは、バックコート層側対数減衰率を0.060以下とするための好ましい手段と本発明者は考えている。詳細は先に磁性層形成工程に関して記載した通りであり、粘着性成分が表面や表層部分に局在した非磁性塗布層の表面をバーニッシュ処理することにより、バックコート層側表面から粘着性成分を除去することができると本発明者は考えている。こうして粘着性成分を除去した後に硬化工程を行うことが、バックコート層側対数減衰率を0.060以下にすることにつながると、本発明者は推察している。ただし、以上も推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
即ち、本発明の一態様は、上記磁性層形成工程およびバックコート層形成工程を含む、上記の本発明の一態様にかかる磁気テープの製造方法に関する。
上記の通り、磁性層形成用組成物は、非磁性層形成用組成物と逐次または同時に重層塗布することができる。好ましい一態様では、上記磁気テープは、逐次重層塗布により製造することができる。逐次重層塗布による製造工程は、好ましくは次のように行うことができる。非磁性層を、非磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、形成した塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程を経て形成する。そして形成された非磁性層上に磁性層形成用組成物を塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、形成した塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程を経て、磁性層を形成する。
以下、上記製造方法の具体的態様を、図4に基づき説明する。ただし本発明は、下記具体的態様に限定されるものではない。
図4は、非磁性支持体の一方の面に非磁性層と磁性層とをこの順に有し、他方の面にバックコート層を有する磁気テープを製造する工程の具体的態様を示す工程概略図である。図4に示す態様では、非磁性支持体(長尺フィルム)を、送り出し部から送り出し巻き取り部で巻き取る操作を連続的に行い、かつ図4に示されている各部または各ゾーンにおいて塗布、乾燥、配向等の各種処理を行うことにより、走行する非磁性支持体上の一方の面に非磁性層および磁性層を逐次重層塗布により形成し、他方の面にバックコート層を形成することができる。磁性層形成工程およびバックコート層形成工程に、冷却ゾーンを含み、かつ硬化処理前にバーニッシュ処理工程を含む点以外は、塗布型磁気記録媒体の製造のために通常行われる製造工程と同様にすることができる。なお図4には、非磁性層形成用組成物および磁性層形成用組成物を塗布した後にバックコート層形成用組成物を塗布する態様を示したが、バックコート層形成用組成物を塗布した後に、非磁性層形成用組成物および磁性層形成用組成物を塗布してもよい。
送り出し部から送り出された非磁性支持体上には、第一の塗布部において、非磁性層形成用組成物の塗布が行われる(非磁性層形成用組成物の塗布工程)。
上記塗布工程後、第一の加熱処理ゾーンでは、塗布工程で形成された非磁性層形成用組成物の塗布層を加熱することにより、塗布層を乾燥させる(加熱乾燥工程)。加熱乾燥処理は、非磁性層形成用組成物の塗布層を有する非磁性支持体を加熱雰囲気中に通過させることにより行うことができる。ここでの加熱雰囲気の雰囲気温度は、例えば60〜140℃程度であるが、溶媒を揮発させて塗布層を乾燥させることができる温度とすればよく、上記範囲に限定されるものではない。また任意に、加熱した気体を塗布層表面に吹き付けてもよい。以上の点は、後述する第二加熱処理ゾーンにおける加熱乾燥工程および第三の加熱処理ゾーンにおける加熱乾燥工程についても、同様である。
次に、第二の塗布部において、第一の加熱処理ゾーンにて加熱乾燥工程を行い形成された非磁性層上に、磁性層形成用組成物が塗布される(磁性層形成用組成物の塗布工程、これにより磁性塗布層を形成)。
上記塗布工程後、冷却ゾーンにおいて、塗布工程で形成された磁性層形成用組成物の塗布層(磁性塗布層)が冷却される(冷却工程)。例えば、非磁性層上に磁性塗布層を形成した非磁性支持体を冷却雰囲気中に通過させることにより、冷却工程を行うことができる。冷却雰囲気の雰囲気温度は、好ましくは−10℃〜0℃の範囲とすることができ、より好ましくは−5℃〜0℃の範囲とすることができる。冷却工程を行う時間(例えば、塗布層の任意の部分が冷却ゾーンに搬入されてから搬出されるまでの時間(以下において、「滞在時間」ともいう。)は特に限定されるものではないが、長くするほど対数減衰率の値は小さくなる傾向があるため、0.050以下の磁性層側対数減衰率が実現できるように必要に応じて予備実験を行うなどして調整することが好ましい。なお冷却工程では、冷却した気体を磁性塗布層表面に吹き付けてもよい。
その後、磁性層形成用組成物の塗布層が湿潤状態にあるうちに、配向ゾーンにおいて磁性塗布層中の強磁性粉末の配向処理が行われる。配向処理については、特開2010−231843号公報段落0067を参照できる。
配向処理後の磁性塗布層は、第二の加熱処理ゾーンにおいて加熱乾燥工程に付される。
次いで、第三の塗布部において、非磁性支持体の非磁性層および磁性層が形成された面とは反対側の面に、バックコート層形成用組成物が塗布されて塗布層が形成される(バックコート層形成用組成物の塗布工程、これにより非磁性塗布層を形成)。
上記塗布工程後、冷却ゾーンにおいて、塗布工程で形成されたバックコート層形成用組成物の塗布層(非磁性塗布層)が冷却される(冷却工程)。冷却工程の詳細は、磁性層形成用組成物の塗布層(磁性塗布層)に対する冷却工程について記載した通りである。ここでの冷却工程においても、冷却工程を行う時間を長くするほど対数減衰率の値は小さくなる傾向があるため、0.060以下のバックコート層側対数減衰率が実現できるように必要に応じて予備実験を行うなどして調整することが好ましい。
その後、第三の加熱処理ゾーンにおいて、冷却工程後の非磁性塗布層を加熱処理し乾燥させる。
こうして、非磁性支持体の一方の面に、非磁性層上に加熱乾燥された磁性層形成用組成物の塗布層を有し、他方の面にバックコート層を有する磁気テープを得ることができる。ここで得られた磁気テープは、この後に、後述する各種処理を施した後に、製品磁気テープとなる。
得られた磁気テープは、巻き取り部に巻き取られた後に、製品磁気テープのサイズに裁断(スリット)される。スリットは、公知の裁断機を用いて行うことができる。
スリットされた磁気テープは、磁性層形成用組成物、バックコート層形成用組成物に含まれている硬化剤の種類に応じた硬化処理(加熱、光照射等)を行う前に、加熱乾燥された磁性層形成用組成物の塗布層(磁性塗布層)の表面、および加熱乾燥されたバックコート層形成用組成物の塗布層(非磁性塗布層)の表面をバーニッシュ処理する(加熱乾燥工程と硬化工程との間のバーニッシュ処理工程)。磁性塗布層、非磁性塗布層のバーニッシュ処理は、順序は問わず、前者を先に行っても後者を先に行ってもよい。または両面同時にバーニッシュ処理を行うこともできる。一例として、図4では、磁性塗布層、非磁性塗布層の順にバーニッシュ処理を行う態様を示している。バーニッシュ処理により、冷却ゾーンにおいて冷却されて磁性塗布層、非磁性塗布液のそれぞれの表面や表層部分に移行した粘着性成分を除去できることが、磁性層側対数減衰率を0.050以下に、バックコート層側対数減衰率を0.060以下に、それぞれ制御できることにつながると、本発明者は推察している。ただし先に記載した通り、推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
バーニッシュ処理は、部材(例えば研磨テープや、研削用ブレード、研削用ホイール等の研削具)により処理対象の表面を擦る処理であり、塗布型磁気記録媒体製造のために公知のバーニッシュ処理と同様に行うことができる。ただし、冷却工程および加熱乾燥工程を経た後、硬化工程前の段階でバーニッシュ処理を行うことは、従来行われていなかった。これに対し、上記段階でバーニッシュ処理を行うことにより、磁性層側対数減衰率、バックコート層側対数減衰率を、それぞれ上記範囲に制御することができる。この点は、本発明者によって新たに見出された。
バーニッシュ処理は、好ましくは、研磨テープによって処理対象の塗布層表面を擦る(研磨する)こと、研削具によって処理対象塗布層表面を擦る(研削すること)の一方または両方を行うことにより、実施することができる。磁性層形成用組成物が研磨剤を含む場合には、この研磨剤よりモース硬度の高い研磨剤を少なくとも一種含む研磨テープを用いることが好ましい。研磨テープとしては、市販品を用いてもよく、公知の方法で作製した研磨テープを用いてもよい。また、研削具としては、固定式ブレード、ダイヤモンドホイール、回転式ブレード等の公知の研削用ブレードや研削用ホイール等を用いることができる。また、研磨テープや研削具によって擦られた塗布層表面をワイピング材によって拭き取るワイピング(wiping)処理を行ってもよい。好ましい研磨テープ、研削具、バーニッシュ処理およびワイピング処理の詳細については、特開平6−52544号公報段落0034〜0048、図1および同公報実施例を参照できる。バーニッシュ処理を強化するほど、対数減衰率の値は小さくなる傾向がある。バーニッシュ処理は、研磨テープに含まれる研磨剤として高硬度な研磨剤を用いるほど強化することができ、研磨テープ中の研磨剤量を増やすほど強化することができる。また、研削具として高硬度な研削具を用いるほど強化することができる。バーニッシュ処理条件に関しては、処理対象の塗布層表面と部材(例えば研磨テープ、研削具)との摺動速度を早くするほど、バーニッシュ処理を強化することができる。上記摺動速度は、部材を移動させる速度、処理対象の磁気テープを移動させる速度の一方または両方を速くすることにより、速くすることができる。
上記のバーニッシュ処理(バーニッシュ処理工程)後、磁性層形成用組成物の塗布層(磁性塗布層)、バックコート層形成用組成物の塗布層(非磁性塗布層)に硬化処理を施す。図4に示す態様では、磁性層形成用組成物の塗布層は、バーニッシュ処理後、硬化処理前に、表面平滑化処理が施される。表面平滑化処理は、磁性層側、バックコート層側の両側のそれぞれに別工程で行うこともでき、一工程で行うこともできる。表面平滑化処理は、カレンダ処理によって行うことが好ましい。カレンダ処理により、磁性層側、バックコート層側の両側に一工程で表面平滑化処理を施すことができる。カレンダ処理の詳細は、例えば特開2010−231843号段落0026を参照できる。カレンダ処理を強化するほど、磁気テープ表面を平滑化することができるため、磁気テープの磁性層側表面において測定される中心線平均表面粗さRaの値を小さくすることができる。カレンダ処理は、カレンダロールの表面温度(カレンダ温度)を高くするほど、カレンダ圧力を大きくするほど、強化することができる。
その後、磁性層形成用組成物の塗布層(磁性塗布層)、バックコート層形成用組成物の塗布層(非磁性塗布層)に、これら塗布層に含まれる硬化剤の種類に応じた硬化処理を施す(硬化工程)。硬化処理は、加熱処理、光照射等の両塗布層に含まれる硬化剤の種類に応じた処理によって行うことができる。硬化処理条件は特に限定されるものではなく、塗布層形成に用いた組成物の処方、硬化剤の種類、塗布層の厚み等に応じて適宜設定すればよい。例えば、硬化剤としてポリイソシアネート等の熱硬化性化合物を含む組成物を用いて上記磁性塗布層、非磁性塗布層を形成した場合には、硬化処理は加熱処理であることが好ましい。磁性層形成用組成物の塗布層(磁性塗布層)およびバックコート層形成用組成物の塗布層(非磁性塗布層)の硬化処理は、一工程で行ってもよく別工程で行ってもよい。両塗布層とも硬化剤として熱硬化性化合物を含む場合には、同じ加熱処理により両塗布層に含まれる硬化剤(熱硬化性化合物)を硬化させることができる。なお磁性層およびバックコート層以外の層に硬化剤が含まれる場合、その層の硬化反応も、ここでの硬化処理により進行させることもできる。または別途、硬化工程を設けてもよい。なお硬化工程後に、更にバーニッシュ処理を行ってもよい。
以上により、非磁性支持体の一方の面に非磁性層および磁性層をこの順に有し、他方の面にバックコート層を有する磁気テープであって、磁性層側の表面において測定される中心線平均表面粗さRaが1.8nm以下であり、磁性層側対数減衰率が0.050以下であり、かつバックコート層側対数減衰率が0.060以下である磁気テープを得ることができる。
ただし上記の製造方法は例示であって、対数減衰率を調整可能な任意の手段によって、上記範囲の磁性層側対数減衰率およびバックコート層側対数減衰率を実現することができ、そのような態様も本発明に包含される。
以上説明した本発明の一態様にかかる磁気テープは、磁気テープカートリッジに収容され、情報を磁気信号として記録し、保管し、再生するために用いることができる。磁気テープカートリッジでは、一般に、カートリッジ本体内部に磁気テープがリールに巻き取られた状態で収容されている。リールは、カートリッジ本体内部に回転可能に備えられている。磁気テープカートリッジとしては、カートリッジ本体内部にリールを1つ具備する単リール型の磁気テープカートリッジ、カートリッジ本体内部にリールを2つ具備する双リール型の磁気テープカートリッジが広く用いられている。単リール型の磁気テープカートリッジは、磁気テープへの磁気信号の記録および/または再生のために磁気記録再生装置(ドライブ)に装着されると、磁気テープカートリッジから磁気テープが引き出されてドライブ側のリールに巻き取られる。磁気テープカートリッジから巻き取りリールまでのテープ搬送経路には、磁気ヘッドが配置されている。磁気テープカートリッジ側のリール(供給リール)とドライブ側のリール(巻き取りリール)との間で、磁気テープの送り出しと巻き取りが行われる。この間、磁気ヘッドと磁気テープの磁性層表面とが接触(摺動)することにより、磁気信号の記録・再生が行われる。これに対し、双リール型の磁気テープカートリッジは、供給リールと巻き取りリールの両リールが、磁気テープカートリッジ内部に具備されている。本発明の一態様にかかる磁気テープは、単リール型、双リール型のいずれの磁気テープカートリッジに収容されてもよい。磁気テープカートリッジの構成は公知である。
アーカイブ用の磁気テープは、磁気信号が記録された後、磁気テープカートリッジ内でリールに巻かれた状態で長期保管される。上記の本発明の一態様にかかる磁気テープは、磁性層側表面の表面平滑性に優れるため優れた電磁変換特性を発揮することができ、かつ上記長期保管後の繰り返し走行における再生出力低下の抑制が可能である。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお、以下に記載の「部」、「%」の表示は、特に断らない限り、「質量部」、「質量%」を示す。
[実施例1〜11、比較例1〜13]
1.アルミナ分散物の調製
アルファ化率約65%、BET比表面積20m/gのアルミナ粉末(住友化学社製HIT−80)100.0部に対し、3.0部の2,3−ジヒドロキシナフタレン(東京化成製)、極性基としてSONa基を有するポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡(登録商標)製UR−4800(極性基量:80meq/kg))の32%溶液(溶媒はメチルエチルケトンとトルエンの混合溶媒)を31.3部、溶媒としてメチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1(質量比)の混合溶液570.0部を混合し、ジルコニアビーズ存在下で、ペイントシェーカーにより5時間分散させた。分散後、メッシュにより分散液とビーズとを分け、アルミナ分散物を得た。
2.磁性層形成用組成物処方
(磁性液)
強磁性粉末:表1参照 100.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂 14.0部
(重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g)
シクロヘキサノン 150.0部
メチルエチルケトン 150.0部
(研磨剤液)
上記1.で調製したアルミナ分散物 6.0部
(シリカゾル)
コロイダルシリカ(前述の定義に当てはまるシリカコロイド粒子)
平均粒子サイズ:表1参照 2.0部
メチルエチルケトン 1.4部
(その他成分)
ステアリン酸 2.0部
ステアリン酸アミド 0.2部
ブチルステアレート 2.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネート(登録商標)L)2.5部
(仕上げ添加溶媒)
シクロヘキサノン 200.0部
メチルエチルケトン 200.0部
表1中、BFは平均粒子サイズ(平均板径)21nmの強磁性六方晶バリウムフェライト粉末、MPは平均粒子サイズ(平均長軸長)30nmの強磁性金属粉末である。
3.非磁性層形成用組成物処方
非磁性無機粉末:α−酸化鉄 100.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
平均針状比:7
BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 20.0部
平均粒子サイズ:20nm
塩化ビニル共重合体 13.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂 9.0部
(重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g)
フェニルホスホン酸 3.0部
ステアリン酸 2.0部
ステアリン酸アミド 0.2部
ブチルステアレート 2.0部
シクロヘキサノン 300.0部
メチルエチルケトン 300.0部
4.バックコート層形成用組成物処方
非磁性無機粉末:α−酸化鉄 80.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
平均針状比:7
BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 20.0部
平均粒子サイズ20nm
塩化ビニル共重合体 13.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂 6.0部
フェニルホスホン酸 3.0部
メチルエチルケトン 155.0部
ステアリン酸 3.0部
ブチルステアレート 3.0部
ポリイソシアネート 5.0部
シクロヘキサノン 355.0部
5.各層形成用組成物の調製
磁性層形成用組成物を、以下の方法により作製した。上記磁性液を、各成分をバッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散(ビーズ分散)することにより調製した。分散ビーズとしては、ビーズ径0.1mmΦのジルコニアビーズを使用した。上記サンドミルを用いて、調製した磁性液および上記研磨剤液を他の成分(シリカゾル、その他成分および仕上げ添加溶媒)と混合し5分間ビーズ分散した後、バッチ型超音波装置(20kHz、300W)で0.5分間処理(超音波分散)を行った。その後、0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過を行い磁性層形成用組成物を作製した。
非磁性層形成用組成物を、以下の方法により作製した。潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ブチルステアレート)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンを除いた各成分を、バッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散して分散液を得た。分散ビーズとしては、ビーズ径0.1mmΦのジルコニアビーズを使用した。その後、得られた分散液に残りの成分を添加し、ディゾルバーで攪拌した。こうして得られた分散液を0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過し非磁性層形成用組成物を作製した。
バックコート層形成用組成物を、以下の方法により作製した。潤滑剤(ステアリン酸およびブチルステアレート)とポリイソシアネート、シクロヘキサノンを除いた各成分をオープンニーダにより混練・希釈した後、横型ビーズミル分散機により、ビーズ径1mmΦのジルコニアビーズを用い、ビーズ充填率80体積%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、12パスの分散処理を行った。その後、得られた分散液に残りの成分を添加し、ディゾルバーで攪拌した。こうして得られた分散液を1μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過しバックコート層形成用組成物を作製した。
6.磁気テープの作製
図4に示す具体的態様により磁気テープを作製した。詳しくは、次の通りとした。
厚み4.50μmのポリエチレンナフタレート製支持体を送り出し部から送り出し、一方の表面に、第一の塗布部において乾燥後の厚みが0.40μmの厚みになるように上記5.で調製した非磁性層形成用組成物を塗布し、第一の加熱処理ゾーン(雰囲気温度100℃)にて乾燥させて塗布層を形成した。
その後、第二の塗布部において乾燥後の厚みが60nmになるように上記5.で調製した磁性層形成用組成物を非磁性層上に塗布し塗布層(磁性塗布層)を形成した。形成した磁性塗布層が湿潤状態にあるうちに雰囲気温度0℃に調整した冷却ゾーンに表1に示す滞在時間で通過させて冷却工程を行い、更に配向ゾーンにおいて磁場強度0.3Tの磁場を垂直方向に印加し垂直配向処理を行った後、その後に雰囲気温度100℃の第二の加熱処理ゾーン(雰囲気温度100℃)にて乾燥させた。
その後、第三の塗布部において、上記ポリエチレンナフタレート製支持体の非磁性層および磁性層を形成した表面とは反対の表面に、乾燥後の厚みが0.60μmになるように 上記5.で調製したバックコート層形成用組成物を塗布して塗布層(非磁性塗布層)を形成し、形成した非磁性塗布層を第三の加熱処理ゾーン(雰囲気温度100℃)にて乾燥させた。
こうして得られた磁気テープを1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットした後、磁性層形成用組成物の塗布層(磁性塗布層)表面のバーニッシュ処理およびワイピング処理を行った。バーニッシュ処理およびワイピング処理は、特開平6−52544号公報の図1に記載の構成の処理装置において、研磨テープとして市販の研磨テープ(富士フイルム社製商品名MA22000、研磨剤:ダイヤモンド/Cr/ベンガラ)を使用し、研削用ブレードとして市販のサファイヤブレード(京セラ社製、幅5mm、長さ35mm、先端角度60度)を使用し、ワイピング材として市販のワイピング材(クラレ社製商品名WRP736)を使用して行った。処理条件は、特開平6−52544号公報の実施例12における処理条件を採用した。
その後、バックコート層形成用組成物の塗布層(非磁性塗布層)表面のバーニッシュ処理およびワイピング処理を、上記の磁性塗布層への処理と同じ方法で行った。
上記バーニッシュ処理およびワイピング処理後、金属ロールのみから構成されるカレンダで、速度80m/分、線圧300kg/cm、表1に示すカレンダ温度(カレンダロール表面温度)でカレンダ処理(表面平滑化処理)を行った。
その後、雰囲気温度70℃の環境で36時間硬化処理(加熱処理)を行い磁気テープを得た。
表1中、冷却ゾーン滞在時間の欄に「未実施」と記載されている比較例では、冷却ゾーンを含まない製造工程により磁気テープを作製した。
表1中、硬化工程前バーニッシュ処理の欄に「未実施」と記載されている比較例では、上記硬化処理を実施する前の工程でバーニッシュ処理およびその後のワイピング処理を行わない製造工程により磁気テープを作製した。
表1中、硬化工程後バーニッシュ処理の欄に「実施」と記載されている比較例では、上記硬化処理を実施した後の工程で、先に記載したバーニッシュ処理およびワイピング処理を実施した。比較例7については、上記硬化処理後、磁性層側表面には、先に記載したバーニッシュ処理およびワイピング処理を、10回連続して繰り返した。
以上の工程により、実施例、比較例の磁気テープを作製した。
[評価方法]
1.中心線平均表面粗さRaの測定
原子間力顕微鏡(Veeco社製Nanoscope4)を用い、実施例、比較例の磁気テープの磁性層側表面の測定面積40μm×40μmの範囲を測定し、中心線平均表面粗さRaを求めた。スキャン速度(探針移動速度)は40μm/sec、分解能は512pixel×512pixelとした。
2.対数減衰率の測定
測定装置として、株式会社エー・アンド・ディー製剛体振り子型物性試験器RPT−3000W(振り子:真鍮製、基板:ガラス基板、基板昇温速度5℃/min)を用いて、前述の方法により実施例、比較例の磁気テープの磁性層側対数減衰率およびバックコート層側対数減衰率を求めた。各実施例、比較例について、測定用試料を2つ準備し、一方を磁性層側対数減衰率、他方をバックコート層側対数減衰率の測定に用いた。実施例、比較例の磁気テープから切り出した測定用試料は、約3cm×約5cmのサイズのガラス基板上に、固定用テープ(東レ・デュポン製カプトンテープ)で図1に示すように4箇所を固定し載置した。吸着時間を1秒間かつ測定間隔を7〜10秒とし、86回目の測定間隔について変位−時間曲線を作成し、この曲線を用いて対数減衰率を求めた。測定は、相対湿度約50%の環境下にて行った。
3.電磁変換特性(SNR(Signal-to-Noise-Ratio))および長期保管相当加速試験後繰り返し走行による再生出力低下分の測定
各実施例、比較例について、電磁変換特性測定用、長期保管相当加速試験後繰り返し走行による再生出力低下分の測定用の2つのテープ試料を準備した。一方のテープ試料は、長期保管相当加速試験を実施せずに電磁変換特性の測定に用いた。他方のテープ試料は、長期保管相当加速試験後に繰り返し走行による再生出力低下分の測定に用いた。長期保管相当加速試験は、全長1000mのテープ試料を、リールに巻き取った状態で温度40℃相対湿度80%の環境下に5日間保管することにより行った。この加速試験は、室温(20〜25℃程度)環境での10年以上の保管に相当する。
(1)電磁変換特性の測定
電磁変換特性(SNR)は、ヘッドを固定した1/2インチ(0.0127メートル)リールテスターを用いて以下の方法により測定した。ヘッド/テープ相対速度を5.5m/secとし、記録はMIG(Metal-In-Gap)ヘッド(ギャップ長0.15μm、トラック幅1.0μm)を使い、記録電流は各テープ試料(磁気テープ)の最適記録電流に設定した。再生ヘッドには素子厚み15nm、シールド間隔0.1μm、リード幅0.5μmのGMR(Giant-Magnetoresistive)ヘッドを用いた。線記録密度300KFciの信号を記録し、再生信号をシバソク社製のスペクトラムアナライザーで測定した。信号は、磁気テープ走行開始後に信号が十分に安定した部分を使用した。以上の条件で、1パスあたり1,000mで500パス摺動させて記録再生を行った。キャリア信号の出力値と、スペクトル全帯域の積分ノイズとの比をSNRとした。1パス目のSNRについて、強磁性粉末として強磁性六方晶バリウムフェライト粉末(BF)を使用した実施例・比較例については比較例2を、強磁性金属粉末(MP)を使用した実施例・比較例については比較例3をそれぞれ基準(0dB)としたときの相対値で、BB−SNR(Broadband-SNR)を表1に示した。
なお比較例7の磁気テープは、磁気テープの磁性層側表面に多くの傷が入っていたことにより、1パス目の時点でヘッド目詰まりが発生し再生信号が得られなかったため、評価を中止した。
(2)長期保管相当加速試験後繰り返し走行による再生出力低下分の測定
上記の長期保管相当加速試験後のテープ試料に対し、上記(1)と同様に記録再生を行い、1パス目のキャリア信号の出力値と500パス目のキャリア信号の出力値をそれぞれ求め、差分「(1パス目の出力値)−(500パス目の出力値)」を、長期保管相当加速試験後繰り返し走行による再生出力低下分として表1に示した。
なお比較例7の磁気テープは、磁気テープの磁性層側表面に多くの傷が入っていたことにより、1パス目の時点でヘッド目詰まりが発生し再生信号が得られなかったため、評価を中止した。
4.長期保管相当加速試験後繰り返し走行後のヘッド付着物量の評価
上記3.(2)の測定後、500パス往復後の再生ヘッド表面を微分干渉顕微鏡で観察し、ヘッド付着物量を、微分顕微鏡観察で得られた顕微鏡画像で付着物の付着が確認される面積の広さにより、下記基準で判断した。
5点 ヘッド付着物がほとんどない。
4点 ヘッド付着物がわずかに観察される。
3点 ヘッド付着物が観察される。
2点 ヘッド付着物が多く観察される。
1点 ヘッド付着物が非常に多く観察される。
以上の結果を、表1に示す。
表1に示す結果から、実施例の磁気テープは、高いSNRを示し、かつアーカイブ用記録媒体のデータ保管に相当する長期保管相当の加速試験後の繰り返し走行による再生出力低下が少ないことが確認できる。
本発明は、アーカイブ用記録媒体として用いられる磁気テープの技術分野において有用である。

Claims (12)

  1. 非磁性支持体の一方の表面側に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の表面側に非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有する磁気テープであって、
    磁気テープの前記磁性層側の表面において測定される中心線平均表面粗さRaは1.8nm以下であり、
    磁気テープの前記磁性層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は0.050以下であり、かつ前記バックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は0.060以下である磁気テープ。
  2. 磁気テープの前記磁性層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は、0.010以上0.050以下である請求項1に記載の磁気テープ。
  3. 前記中心線平均表面粗さRaは、1.2nm以上1.8nm以下である請求項1または2に記載の磁気テープ。
  4. 磁気テープの前記バックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は、0.010以上0.060以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  5. 前記磁性層と非磁性支持体との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気テープの製造方法であって、
    磁性層形成工程およびバックコート層形成工程を含み、
    前記磁性層形成工程は、
    強磁性粉末、結合剤、硬化剤および溶媒を含む磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に直接または他の層を介して塗布することにより磁性塗布層を形成する塗布工程、
    前記磁性塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、ならびに、
    前記磁性塗布層に硬化処理を施す硬化工程、
    を含み、
    前記塗布工程と加熱乾燥工程との間に、前記磁性塗布層を冷却する冷却工程を含み、かつ前記加熱乾燥工程と硬化工程との間に、前記磁性塗布層表面をバーニッシュ処理するバーニッシュ処理工程を含み、
    前記バックコート層形成工程は、
    非磁性粉末、結合剤、硬化剤および溶媒を含むバックコート層形成用組成物を非磁性支持体表面上に塗布することにより非磁性塗布層を形成する塗布工程、
    前記非磁性塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、ならびに、
    前記非磁性塗布層に硬化処理を施す硬化工程、
    を含み、
    前記塗布工程と加熱乾燥工程との間に、前記非磁性塗布層を冷却する冷却工程を含み、かつ前記加熱乾燥工程と硬化工程との間に、前記非磁性塗布層表面をバーニッシュ処理するバーニッシュ処理工程を含む、前記磁気テープの製造方法。
  7. 前記磁性層形成工程において、前記冷却工程を、前記磁性塗布層を−10℃〜0℃の冷却雰囲気下に置くことにより行う請求項6に記載の磁気テープの製造方法。
  8. 前記磁性層形成用組成物に含まれる溶媒は、ケトン溶媒を含む請求項6または7に記載の磁気テープの製造方法。
  9. 前記バックコート層形成工程において、前記冷却工程を、前記非磁性塗布層を−10℃〜0℃の冷却雰囲気下に置くことにより行う請求項6〜8のいずれか1項に記載の磁気テープの製造方法。
  10. 前記バックコート層形成用組成物に含まれる溶媒は、ケトン溶媒を含む請求項6〜9のいずれか1項に記載の磁気テープの製造方法。
  11. 前記磁性層形成用組成物に含まれる硬化剤および前記バックコート層形成用組成物に含まれる硬化剤は熱硬化性化合物であり、かつ前記磁性層形成工程における硬化工程および前記バックコート層形成工程における硬化工程を加熱処理により行う請求項6〜10のいずれか1項に記載の磁気テープの製造方法。
  12. 前記熱硬化性化合物は、ポリイソシアネートである請求項11に記載の磁気テープの製造方法。
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