JP6316249B2 - 磁気テープおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気テープおよびその製造方法に関する。
磁気記録媒体にはテープ状のものとディスク状のものがあり、データバックアップ等のストレージ用途には、テープ状の磁気記録媒体、即ち磁気テープが主に用いられている。
磁気テープとして、特許文献1、2には、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層(特許文献1、2には、「バック層」と記載されている。)を有する磁気テープが開示されている。
特開昭63−249932号公報 特開平1−60819号公報
磁気テープは、磁気テープカートリッジ内に、リールに巻き取られた状態で収容される。磁気テープカートリッジの1巻あたりの記録容量を高めるためには、磁気テープカートリッジ1巻に収められる磁気テープ全長を長くすべきであり、そのためには磁気テープを薄くする(以下、「薄型化」と記載する。)ことが求められる。
磁気テープの薄型化のための手段としては、バックコート層の厚みを薄くすることが挙げられる。バックコート層の厚みに関して、特許文献1には、バックコート層の厚みは2.5μm以下と記載されており(特許文献1の請求項1)、実施例でのバックコート層の厚みは2.0μmである。また、特許文献2には、バックコート層の厚みは1.5μmと記載されており(特許文献2の請求項1)、実施例でのバックコート層の厚みは1.0μmである。しかるに、近年求められている更なる高記録容量化のためには、バックコート層を更に薄くすること(以下、「薄層化」と記載する。)が望ましい。
しかしながら、本発明者らがバックコート層の薄層化について検討したところ、特に、バックコート層を厚み0.30μm以下に薄層化した磁気テープでは、このテープに記録した信号を再生する際に、再生信号振幅の部分的な低下(「ミッシングパルス(missing pulse)」と呼ばれる。)が発生する頻度が高くなってしまうことが判明した。ミッシングパルスの発生頻度が高くなるほどエラーレートが増加し磁気テープの信頼性は低下してしまうため、ミッシングパルスの発生頻度を低減することが求められる。
そこで本発明の目的は、厚み0.30μm以下に薄層化されたバックコート層を有する磁気テープであって、ミッシングパルスの発生頻度が低減された磁気テープを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の磁気テープ:
非磁性支持体の一方の表面側に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の表面側に非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有する磁気テープであって、
バックコート層は、厚みが0.30μm以下であり、かつ
磁気テープのバックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は0.060以下である磁気テープ、
を見出すに至った。上記磁気テープは、厚みが0.30μmに薄層化されたバックコート層を有するにもかかわらず、ミッシングパルス発生頻度の低減が可能である。この点に関する本発明者らによる推察は、後述する。
一態様では、上記対数減衰率は、0.010以上0.060以下である。
一態様では、上記対数減衰率は、0.010以上0.050以下である。
一態様では、バックコート層に含まれる非磁性粉末は、カーボンブラックおよび非磁性無機酸化物粉末からなる群から選ばれる非磁性粉末である。なお、非磁性粉末とは、複数の非磁性粒子の集合を意味するものとする。集合とは、これを構成する粒子が直接接触している態様に限定されず、結合剤や添加剤等が、粒子同士の間に介在している態様も包含される。なお粒子との語が、粉末を表すために用いられることもある。以上の点は、本発明および本明細書における各種粉末についても、同様とする。
一態様では、上記磁気テープは、磁性層と非磁性支持体との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有する。
本発明の更なる態様は、上記磁気テープの製造方法であって、
バックコート層形成工程を含み、
バックコート層形成工程は、
非磁性粉末、結合剤、硬化剤および溶媒を含むバックコート層形成用組成物を非磁性支持体表面上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、
上記塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、ならびに、
上記塗布層に硬化処理を施す硬化工程、
を含み、
上記塗布工程と加熱乾燥工程との間に、上記塗布層を冷却する冷却工程を含み、かつ
上記加熱乾燥工程と硬化工程との間に、上記塗布層表面をバーニッシュ(burnish)処理するバーニッシュ処理工程を含む磁気テープの製造方法、
に関する。
一態様では、上記冷却工程は、上記塗布層を−10℃〜0℃の冷却雰囲気下に置くことにより行われる。
一態様では、バックコート層形成用組成物に含まれる溶媒は、ケトン溶媒を含む。
一態様では、上記硬化剤は熱硬化性化合物であり、かつ上記硬化工程は加熱処理により行われる。
一態様では、上記熱硬化性化合物は、ポリイソシアネートである。
本発明の一態様によれば、厚み0.30μm以下のバックコート層を有し、かつミッシングパルス発生頻度が低減された磁気テープを提供することができる。
対数減衰率の測定方法の説明図である。 対数減衰率の測定方法の説明図である。 対数減衰率の測定方法の説明図である。 磁気テープ製造工程の具体的態様の一例(工程概略図)を示す。
本発明の一態様は、非磁性支持体の一方の表面側に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の表面側に非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有する磁気テープであって、バックコート層は、厚みが0.30μm以下であり、かつ磁気テープのバックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率(以下、単に「対数減衰率」とも記載する。)は0.060以下である磁気テープに関する。
以下、上記磁気テープについて、更に詳細に説明する。
[バックコート層の厚み]
上記磁気テープのバックコート層の厚みは、バックコート層の薄層化の観点から、0.30μm以下であり、0.10〜0.30μmであることが好ましい。
なお磁気テープの各層および非磁性支持体の厚み、ならびに総厚は、公知の膜厚測定法により求めることができる。一例として、例えば、磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察において厚み方向の1箇所において求められた厚み、または無作為に抽出した2箇所以上の複数箇所、例えば2箇所、において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めることができる。または、各層の厚みは、製造条件から算出される設計厚みとして求めてもよい。
[対数減衰率]
上記磁気テープのバックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は、0.060以下である。これにより、厚み0.30μm以下に薄層化されたバックコート層を有する磁気テープに記録した信号を再生する際にミッシングパルスが発生する頻度を低減することができる。ミッシングパルスの発生頻度をより低減する観点から、上記対数減衰率は、0.058以下であることが好ましく、0.055以下であることが好ましく、0.054以下であることが更に好ましく、0.050以下であることがいっそう好ましい。一方、ミッシングパルス発生頻度の低減の観点からは、上記対数減衰率は低いほど好ましいため、下限値は特に限定されるものではない。一例として、対数減衰率は、例えば0.010以上、または0.015以上であることができるが、これらを下回ってもよい。対数減衰率を調整するための手段の具体的態様は、後述する。
本発明および本明細書において、上記の対数減衰率とは、以下の方法により求められる値とする。
図1〜図3は、対数減衰率の測定方法の説明図である。以下、これら図面を参照し対数減衰率の測定方法を説明する。ただし、図示された態様は例示であって、本発明を何ら限定するものではない。
測定対象の磁気テープから、測定用試料を切り出す。切り出した測定用試料を、振り子粘弾性試験機内の基板上に測定面(バックコート層側表面)を上方に向けて載置し、目視で確認できる明らかなしわが入っていない状態で、固定用テープ等で固定する。
測定用試料の測定面上に、質量13gの振り子付円柱型シリンダエッジ(直径4mm)を、シリンダエッジの長軸方向が測定用試料の長手方向と平行になるように載せる。こうして測定用試料の測定面に、振り子付円柱型シリンダエッジを載せた状態(上方から見た状態)の一例を、図1に示す。図1に示す態様では、ホルダ兼温度センサーが設置され、基板表面温度をモニタリングできる構成になっているが、この構成は必須ではない。なお測定用試料の長手方向とは、測定用試料を切り出した磁気テープにおける長手方向をいう。また、本明細書に記載の「平行」等の角度に関する記載には、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。また、振り子としては、金属、合金等のマグネットに吸着される性質を有する材料製の振り子を用いる。
測定用試料を載置した基板の表面温度を5℃/min以下(5℃/min以下であれば任意の昇温速度でよい。)の昇温速度で昇温して80℃として、振り子運動を、振り子とマグネットとの吸着を解除することにより開始(初期振動を誘起)させる。振り子運動している振り子の状態(横から見た状態)の一例が、図2である。図2に示す態様では、振り子粘弾性試験機内で、試料ステージ下方に配置されたマグネット(電磁石)への通電を停止して(スイッチをオフにして)吸着を解除することにより振り子運動を開始し、電磁石への通電を再開して(スイッチをオンにして)振り子をマグネットに吸着させることにより振り子運動を停止させる。振り子運動中、図2に示すように、振り子は振幅を繰り返す。振り子が振幅を繰り返している間、振り子の変位を変位センサーによりモニタリングして得られる結果から、変位を縦軸に取り、経過時間を横軸に取った変位−時間曲線を得る。変位−時間曲線の一例を、図3に示す。図3では、振り子の状態と変位−時間曲線との対応が模式的に示されている。一定の測定間隔で、静止(吸着)と振り子運動とを繰り返し、10分以上(10分以上であれば任意の時間でよい。)経過した後の測定間隔において得られた変位−時間曲線を用いて、対数減衰率Δ(無単位)を、下記式から求め、この値を磁気テープのバックコート層側表面の対数減衰率とする。1回の吸着の吸着時間は1秒以上(1秒以上であれば任意の時間でよい。)とし、吸着終了から次の吸着開始までの間隔は6秒以上(6秒以上であれば任意の時間でよい。)とする。測定間隔とは、吸着開始から次の吸着開始までの間隔である。また、振り子運動を行う環境の湿度は、相対湿度40〜70%の範囲であれば任意の相対湿度でよい。
変位−時間曲線において、変位が極小から再び極小になるまでの間隔を、波の一周期とする。nを、測定間隔中の変位−時間曲線に含まれる波の数とし、Anを、n番目の波における極小変位と極大変位との差とする。図3では、n番目の波の変位が極小から再び極小になるまでの間隔を、Pn(例えば1番目の波についてはP、2番目についてはP、3番目についてはP)と表示している。対数減衰率の算出には、n番目の波の次に現れる極小変位と極大変位との差(上記式中、An+1、図3に示す変位−時間曲線ではA)も用いるが、極大以降に振り子が静止(吸着)している部分は波の数のカウントには用いない。また、極大変位以前に振り子が静止(吸着)している部分も、波の数のカウントには用いない。したがって、図3に示す変位−時間曲線では、波の数は3つ(n=3)である。
上記対数減衰率に関して、本発明者らは、以下のように考えている。ただし下記は推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
磁気テープは、磁気テープカートリッジ内に、リールに巻き取られた状態で収容される。磁気テープへの信号の記録再生は、磁気テープカートリッジをドライブにセットし、磁気テープカートリッジ内の磁気テープを走行させて、磁気テープの磁性層側表面を磁気ヘッド(以下、単に「ヘッド」とも記載する。)と接触させ摺動させることにより行われる。上記の通り、磁気テープは磁気テープカートリッジ内にリールに巻き取られた状態で収容されているため、走行中には、リールからの磁気テープの送り出し・巻き取りが行われる。巻き取られた状態で磁気テープの磁性層側表面がバックコート層側表面と接触するが、厚み0.30μm以下に薄層化したバックコート層を有する磁気テープでは、この接触時に、バックコート層由来の成分が磁性層側表面へ転写され易くなり、走行を繰り返すうちに転写された成分がヘッドへ付着し堆積することにより、ミッシングパルスが発生し易くなると、本発明者らは推察している。転写され易い理由は定かではないが、バックコート層を厚み0.30μm以下に薄層化することにより、バックコート層のスティフネス(剛性)が低下することにあるのではないかと、本発明者らは考えている。
そこで本発明者らは、バックコート層由来の成分が磁気テープの磁性層側表面へ転写され、その後ヘッドへ付着し堆積する量を低減すべく更に鋭意検討を重ねた結果、上述の対数減衰率がヘッドに付着し堆積する成分の量の指標になり得ると考えるに至り、この値を0.060以下とすることにより、ミッシングパルスの発生を抑制できることを新たに見出したのである。本発明者らは、上記のミッシングパルスの発生の原因となると考えられるバックコート層由来の成分は、磁気テープのバックコート層側表面に遊離した粘着性成分ではないかと考えている。かかる粘着性成分の詳細は明らかではないが、結合剤として用いられる樹脂に由来する可能性があると、本発明者らは推察している。詳しくは、次の通りである。結合剤としては、詳細を後述するように各種樹脂を用いることができる。樹脂とは、2つ以上の重合性化合物の重合体(ホモポリマーおよびコポリマーを包含する。)であり、分子量が平均分子量を下回る成分(以下、「低分子量結合剤成分」と記載する。)も通常含まれる。このような低分子量結合剤成分が磁気テープのバックコート層側表面に遊離し、走行中に磁性層側表面に転写された後にヘッドに付着し、走行を繰り返すうちに堆積することが、ミッシングパルスの発生原因になるのではないかと、本発明者らは考えている。そして、上記の低分子量結合剤成分は粘着性を有すると考えられ、振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率が、走行中にヘッドに付着し堆積する上記成分の量の指標になるのではないかと、本発明者らは推察している。なお、一態様では、バックコート層は、非磁性粉末および結合剤に加えて、硬化剤を含むバックコート層形成用組成物を非磁性支持体上に塗布し、硬化処理を施し形成される。ここでの硬化処理により、結合剤と硬化剤とを硬化反応(架橋反応)させることができるが、低分子量結合剤成分は、理由は定かではないが、硬化反応の反応性に乏しいのではないかと本発明者らは考えている。このため、低分子量結合剤成分はバックコート層に留まり難くバックコート層から遊離し、磁気テープの磁性層側表面に転写されやすいことが、低分子量結合剤成分が走行中に磁気テープの磁性層側表面からヘッドに付着し堆積しやすい理由の1つではないかと、本発明者らは推察している。
ただし以上は本発明者らによる推察であって、本発明を何ら限定するものではない。
次に、上記磁気テープについて、更に詳細に説明する。
[磁性層]
<強磁性粉末>
磁性層は、強磁性粉末および結合剤を含む。強磁性粉末としては、磁気テープ等の磁気記録媒体の磁性層において強磁性粉末として通常用いられる各種粉末を使用することができる。強磁性粉末として平均粒子サイズの小さいものを使用することは、磁気テープの記録密度向上の観点から好ましい。この点から、強磁性粉末としては、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末を用いることが好ましい。一方、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定される値とする。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明および本明細書において、強磁性粉末、およびその他の粉末についての平均粒子サイズとは、特記しない限り、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズの測定は、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
なお、粒子サイズ測定のために磁性層から強磁性粉末等の試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明および本明細書において、強磁性粉末等の粉末を構成する粒子のサイズ(以下、「粒子サイズ」と言う)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性六方晶フェライト粉末を挙げることができる。強磁性六方晶フェライト粉末の平均粒子サイズ(平均板径)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば、特開2011−225417号公報段落0012〜0030、特開2011−216149号公報の段落0134〜0136、特開2012−204726号公報段落0013〜0030を参照できる。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。強磁性金属粉末の平均粒子サイズ(平均長軸長)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141、特開2005−251351号公報段落0009〜0023を参照できる。
磁性層における強磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。上記充填率が高いことは、記録密度向上の観点から好ましい。
<結合剤、硬化剤>
上記磁気テープは塗布型磁気テープであって、磁性層に、強磁性粉末とともに結合剤を含む。結合剤としては、塗布型磁気記録媒体の結合剤として通常使用される各種樹脂を用いることができる。例えば、結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂である。これらの樹脂は、後述するバックコート層や、任意に設けられる非磁性層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落0028〜0031を参照できる。結合剤として使用される樹脂の平均分子量は、重量平均分子量として、例えば10,000以上200,000以下であることができる。なお本発明および本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算による値である。測定条件としては、下記条件を挙げることができる。後述の実施例に示す重量平均分子量は、下記測定条件によって測定された値をポリスチレン換算して求めた値である。
GPC装置:HLC−8120(東ソー製):
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
また、上記結合剤として使用可能な樹脂とともに硬化剤を使用することもできる。硬化剤は、一態様では加熱により硬化反応(架橋反応)が進行する化合物である熱硬化性化合物であることができ、他の一態様では光照射により硬化反応(架橋反応)が進行する光硬化性化合物であることができる。好ましい硬化剤は、熱硬化性化合物であり、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、磁性層形成用組成物中に、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、塗膜強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で添加し使用することができる。
<添加剤>
磁性層には、強磁性粉末および結合剤が含まれ、必要に応じて一種以上の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、一例として、上記の硬化剤が挙げられる。なお硬化剤は、磁性層形成工程の中で硬化反応が進行することにより、少なくとも一部は、結合剤等の他の成分と反応(架橋)した状態で磁性層に含まれ得る。この点は、バックコート層形成用組成物等の他の層を形成するために用いられる組成物が硬化剤を含む場合に、この組成物を用いて形成される層についても、同様である。また、磁性層に含まれる添加剤としては、非磁性フィラー、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラック等を挙げることができる。また、非磁性フィラーとしては、研磨剤として機能することができる非磁性フィラー、磁性層表面に適度に突出する突起を形成する突起形成剤として機能することができる非磁性フィラー(例えば非磁性コロイド粒子等)が挙げられる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して任意の量で使用することができる。なお、研磨剤を含む磁性層に使用され得る添加剤の一例としては、特開2013−131285号公報段落0012〜0022に記載の分散剤を、研磨剤の分散性を向上するための分散剤として挙げることができる。
以上説明した磁性層は、非磁性支持体表面上に直接、または非磁性層を介して間接的に、設けることができる。非磁性層、非磁性支持体の詳細については、後述する。
[非磁性層]
次に非磁性層について説明する。上記磁気テープは、非磁性支持体上に直接磁性層を有していてもよく、非磁性支持体上に少なくとも一層の他の層を介して磁性層を有していてもよい。かかる他の層は、好ましくは、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層である。非磁性層に使用される非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報段落0146〜0150を参照できる。非磁性層に使用可能なカーボンブラックについては、特開2010−24113号公報段落0040〜0041も参照できる。非磁性層における非磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
非磁性層の結合剤、添加剤等のその他詳細は、非磁性層に関する公知技術が適用できる。また、例えば、結合剤量および種類、添加剤量および種類に関しては、磁性層に関する公知技術も適用できる。
なお、上記磁気テープの非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および保磁力を持たないことが好ましい。
[バックコート層]
上記磁気テープは、非磁性支持体の磁性層を有する表面とは反対の表面側にバックコート層を有する。バックコート層は、先に記載したように厚みが0.30μm以下であり、かつ磁気テープのバックコート層側表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は0.060以下である。バックコート層は、非磁性粉末および結合剤を含み、任意に公知の添加剤を含むことができる。バックコート層の結合剤、添加剤等のその他詳細は、バックコート層に関する公知技術を適用することができ、磁性層や非磁性層に関する公知技術を適用することもできる。バックコート層は、硬化剤を含むバックコート層形成用組成物を用いて、硬化工程を経て形成することができる。硬化剤については、先に磁性層に使用可能な硬化剤について記載した通りである。硬化剤は、バックコート層形成用組成物中に、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、塗膜強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で添加し使用することができる。
バックコート層の非磁性粉末については、非磁性層の非磁性粉末に関する上記記載を参照できる。バックコート層の非磁性粉末としては、カーボンブラックと、カーボンブラック以外の非磁性粉末と、のいずれか一方または両方を使用することができる。カーボンブラック以外の非磁性粉末としては、非磁性無機粉末を挙げることができる。具体例としては、α−酸化鉄等の酸化鉄、二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO、SiO、Cr、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、酸化銅、MgCO、CaCO、BaCO、SrCO、BaSO、炭化珪素、炭化チタン等の非磁性無機粉末を挙げることができる。好ましい非磁性無機粉末は、非磁性無機酸化物粉末であり、より好ましくはα−酸化鉄、酸化チタンであり、更に好ましくはα−酸化鉄である。
カーボンブラック以外の非磁性粉末の形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでもよい。これら非磁性粉末の平均粒子サイズは、0.005〜2.00μmの範囲であることが好ましく、0.01〜0.20μmの範囲であることが更に好ましい。また、非磁性粉末のBET(Brunauer-Emmett-Teller)法による比表面積(BET比表面積)は、1〜100m/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜70m/g、更に好ましくは10〜65m/gの範囲である。一方、カーボンブラックの平均粒子サイズは、例えば5〜80nmの範囲であり、好ましくは10〜50nm、更に好ましくは10〜40nmの範囲である。バックコート層における非磁性粉末の含有量(充填率)については、非磁性層の非磁性粉末に関する前述の記載を参照できる。また、非磁性粉末全量100.0質量部に対するカーボンブラック含有量は、例えば10.0〜100.0質量部の範囲とすることができる。非磁性粉末全量をカーボンブラックとしてもよい。また、非磁性粉末全量を、カーボンブラック以外の非磁性粉末としてもよい。
[非磁性支持体]
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。
[非磁性支持体の厚み、各層の厚み]
上記磁気テープにおける非磁性支持体および各層の厚みについては、非磁性支持体の厚みは、好ましくは3.00〜4.50μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には0.01〜0.15μm(10〜150nmであ)り、高密度記録化の観点から、好ましくは0.02〜0.12μm(20〜120nm)であり、更に好ましくは0.01〜0.10μm(30〜100nm)である。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.01〜3.00μmであり、0.05〜2.00μmであることが好ましく、0.05〜1.50μmであることが更に好ましい。
バックコート層の厚みについては、前述の通りである。
磁気テープについては、記録容量向上の観点から、磁気テープカートリッジ1巻あたりの記録容量を高めるために磁気テープを薄型化することが望まれている。この点から、磁気テープの総厚は、6.00μm以下であることが好ましい。一方、磁気テープの取り扱いの容易性(ハンドリング性)等の観点からは、磁気テープの総厚は1.00μm以上であることが好ましい。
[製造工程]
<各層形成用組成物の調製>
磁性層、バックコート層または任意に設けられる非磁性層を形成するための組成物は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される各種有機溶媒を挙げることができる。具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。中でも、塗布型磁気記録媒体に通常使用される結合剤の溶解性の観点からは、バックコート層形成用組成物には、ケトン溶媒の一種以上が含まれることが好ましい。なおバックコート層形成用組成物における溶媒量は特に限定されるものではなく、通常の塗布型磁気記録媒体の各層を形成するための組成物と同様にすることができる。また、磁性層形成用組成物や非磁性層形成用組成物に含まれ得る溶媒についても、上記記載を適用することができる。
各層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、および任意に添加される各種添加剤、溶媒などすべての原料は、どの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、磁性層形成用組成物の調製においては、強磁性粉末を含む組成物(磁性液)と研磨剤を含む組成物(研磨剤液)とを別分散することが好ましい。
混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。
また、各層形成用組成物を分散させるためには、ガラスビーズやその他のビーズを用いることができる。このような分散ビーズとしては、高比重の分散ビーズであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散ビーズの粒径と充填率は最適化して用いることができる。分散機は公知のものを使用することができる。
<塗布工程、冷却工程、加熱乾燥工程、バーニッシュ処理工程、硬化工程>
磁性層は、磁性層形成用組成物を、非磁性層形成用組成物と逐次または同時に重層塗布することにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報段落0066を参照できる。
好ましい一態様では、上記磁気テープは、逐次重層塗布により製造することができる。逐次重層塗布による製造工程は、好ましくは次のように行うことができる。非磁性層を、非磁性層形成用組成物を非磁性支持体表面上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、形成した塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程を経て形成する。そして形成された非磁性層の表面上に磁性層形成用組成物を塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、形成した塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程を経て、磁性層を形成することができる。
一方、バックコート層は、非磁性支持体の磁性層が形成された(または形成される)表面とは反対の表面側に形成される。好ましくは、バックコート層は、バックコート層形成用組成物を非磁性支持体表面上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、形成した塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程を経て形成することができる。
好ましい一態様では、上記磁気テープは、バックコート層形成工程が、
非磁性粉末、結合剤、硬化剤および溶媒を含むバックコート層形成用組成物を非磁性支持体表面上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、
上記塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、ならびに、
上記塗布層に硬化処理を施す硬化工程、
を含み、
上記塗布工程と加熱乾燥工程との間に、上記塗布層を冷却する冷却工程を含み、かつ
上記加熱乾燥工程と硬化工程との間に、上記塗布層表面をバーニッシュするバーニッシュ処理工程を含む製造方法により、製造することができる。
上記製造方法のバックコート層形成工程の中で冷却工程およびバーニッシュ処理工程を実施することは、先に記載した対数減衰率を0.060以下とするための好ましい手段と本発明者らは考えている。詳しくは、次の通りである。塗布工程と加熱乾燥工程との間に、塗布層を冷却する冷却工程を行うことは、走行中に磁気テープのバックコート層側表面から遊離する粘着性成分を、上記塗布層の表面や表面近傍の表層部分に局在させることに寄与するのではないかと、本発明者らは推察している。これは、理由は明らかではないが、加熱乾燥工程前にバックコート層形成用組成物の塗布層を冷却することにより、加熱乾燥工程における溶媒揮発時に粘着性成分が塗布層表面や表層部分に移行しやすくなるためではないかと、本発明者らは推察している。そして、粘着性成分が表面や表層部分に局在した塗布層の表面をバーニッシュ処理することにより、粘着性成分を除去することができると本発明者らは考えている。こうして粘着性成分を除去した後に硬化工程を行うことが、上記の対数減衰率を0.060以下にすることにつながると、本発明者らは推察している。ただし、以上は推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
即ち、本発明の一態様は、上記磁気テープの製造方法であって、
バックコート層形成工程を含み、
バックコート層形成工程は、
非磁性粉末、結合剤、硬化剤および溶媒を含むバックコート層形成用組成物を非磁性支持体表面上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、
上記塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、ならびに、
上記塗布層に硬化処理を施す硬化工程、
を含み、
上記塗布工程と加熱乾燥工程との間に、上記塗布層を冷却する冷却工程を含み、かつ
上記加熱乾燥工程と硬化工程との間に、上記塗布層表面をバーニッシュ処理するバーニッシュ処理工程を含む磁気テープの製造方法、
に関する。
以下、上記製造方法の具体的態様を、図4に基づき説明する。ただし本発明は、下記具体的態様に限定されるものではない。
図4は、非磁性支持体の一方の表面上に非磁性層と磁性層とをこの順に有し、他方の表面上にバックコート層を有する磁気テープを製造する工程の具体的態様を示す工程概略図である。図4に示す態様では、非磁性支持体(長尺フィルム)を、送り出し部から送り出し巻き取り部で巻き取る操作を連続的に行い、かつ図4に示されている各部または各ゾーンにおいて塗布、乾燥、配向等の各種処理を行うことにより、走行する非磁性支持体上の一方の表面上に非磁性層および磁性層を逐次重層塗布により形成し、他方の表面にバックコート層を形成することができる。バックコート層形成工程に冷却ゾーンを含み、かつ硬化処理前にバーニッシュ処理工程を含む点以外は、塗布型磁気記録媒体の製造のために通常行われる製造工程と同様にすることができる。
送り出し部から送り出された非磁性支持体上には、第一の塗布部において、非磁性層形成用組成物の塗布が行われ、塗布層が形成される(非磁性層形成用組成物の塗布工程)。
第一の加熱処理ゾーンでは、形成された塗布層を加熱することにより、塗布層を乾燥させる(加熱乾燥工程)。加熱乾燥処理は、塗布工程後の塗布層を有する非磁性支持体を加熱雰囲気中に通過させることにより行うことができる。ここでの加熱雰囲気の雰囲気温度は、例えば60〜140℃程度であるが、溶媒を揮発させて塗布層を乾燥させることができる温度とすればよく、上記範囲に限定されるものではない。また任意に、加熱した気体を塗布層表面に吹き付けてもよい。以上の点は、後述する第二加熱処理ゾーンにおける加熱乾燥工程および第三の加熱処理ゾーンにおける加熱乾燥工程についても、同様である。
次に、第二の塗布部において、第一の加熱処理ゾーンにて加熱乾燥工程を行い形成された非磁性層表面上に、磁性層形成用組成物が塗布され、塗布層が形成される(磁性層形成用組成物の塗布工程)。
その後、磁性層形成用組成物の塗布層が湿潤状態にあるうちに、配向ゾーンにおいて塗布層中の強磁性粉末の配向処理が行われる。配向処理については、特開2010−231843号公報段落0067を参照できる。
配向処理後の塗布層は、第二の加熱処理ゾーンにおいて加熱乾燥工程に付される。
次いで、第三の塗布部において、非磁性支持体の非磁性層および磁性層が形成された表面とは反対側の表面上に、バックコート層形成用組成物が塗布されて塗布層が形成される(バックコート層形成用組成物の塗布工程)。
上記塗布工程後、冷却ゾーンにおいて、塗布工程で形成されたバックコート層形成用組成物の塗布層が冷却される(冷却工程)。例えば、上記塗布層を形成した非磁性支持体を冷却雰囲気中に通過させることにより、冷却工程を行うことができる。冷却雰囲気の雰囲気温度は、好ましくは−10℃〜0℃の範囲とすることができ、より好ましくは−5℃〜0℃の範囲とすることができる。冷却工程を行う時間(例えば、塗布層の任意の部分が冷却ゾーンに搬入されてから搬出されるまでの時間(以下において、「滞在時間」ともいう。)は特に限定されるものではないが、長くするほど対数減衰率の値は小さくなる傾向があるため、0.060以下の対数減衰率が実現できるように必要に応じて予備実験を行うなどして調整することが好ましい。なお冷却工程では、冷却した気体を塗布層表面に吹き付けてもよい。
その後、第三の加熱処理ゾーンにおいて、冷却工程後の塗布層を加熱処理し乾燥させる。
こうして、非磁性支持体の一方の面に、非磁性層および磁性層をこの順に有し、他方の面に加熱乾燥されたバックコート層形成用組成物の塗布層を有する磁気テープを得ることができる。ここで得られた磁気テープは、この後に、後述する各種処理を施した後に、製品磁気テープとなる。
得られた磁気テープは、巻き取り部に巻き取られた後に、製品磁気テープのサイズに裁断(スリット)される。スリットは、公知の裁断機を用いて行うことができる。
スリットされた磁気テープは、バックコート層形成用組成物に含まれている硬化剤の種類に応じた硬化処理(加熱、光照射等)を行う前に、加熱乾燥されたバックコート層形成用組成物の塗布層の表面をバーニッシュ処理する(加熱乾燥工程と硬化工程との間のバーニッシュ処理工程)。このバーニッシュ処理により、冷却ゾーンにおいて冷却されて塗布層表面や表層部分に移行した粘着性成分を除去できることが、上記の対数減衰率を0.060以下にすることにつながると、本発明者らは推察している。ただし先に記載した通り、推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
バーニッシュ処理は、部材(例えば研磨テープや、研削用ブレード、研削用ホイール等の研削具)により処理対象の表面を擦る処理であり、塗布型磁気記録媒体製造のために公知のバーニッシュ処理と同様に行うことができる。ただし、冷却工程および加熱乾燥工程を経た後、硬化工程前の段階でバーニッシュ処理を行うことは、従来行われていなかった。これに対し、上記段階でバーニッシュ処理を行うことにより、上記の対数減衰率を0.060以下にすることができる。この点は、本発明者らによって新たに見出された。
バーニッシュ処理は、好ましくは、研磨テープによって処理対象の塗布層表面を擦る(研磨する)こと、研削具によって処理対象塗布層表面を擦る(研削すること)の一方または両方を行うことにより、実施することができる。研磨テープとしては、市販品を用いてもよく、公知の方法で作製した研磨テープを用いてもよい。また、研削具としては、固定式ブレード、ダイヤモンドホイール、回転式ブレード等の公知の研削用ブレードや研削用ホイール等を用いることができる。また、研磨テープや研削具によって擦られた塗布層表面をワイピング材によって拭き取るワイピング(wiping)処理を行ってもよい。好ましい研磨テープ、研削具、バーニッシュ処理およびワイピング処理の詳細については、特開平6−52544号公報段落0034〜0048、図1および同公報実施例を参照できる。バーニッシュ処理を強化するほど、上記の対数減衰率の値は小さくなる傾向がある。バーニッシュ処理は、研磨テープに含まれる研磨剤として高硬度な研磨剤を用いるほど強化することができ、研磨テープ中の研磨剤量を増やすほど強化することができる。また、研削具として高硬度な研削具を用いるほど強化することができる。バーニッシュ処理条件に関しては、処理対象の塗布層表面と部材(例えば研磨テープ、研削具)との摺動速度を早くするほど、バーニッシュ処理を強化することができる。上記摺動速度は、部材を移動させる速度、処理対象の磁気テープを移動させる速度の一方または両方を速くすることにより、速くすることができる。
上記のバーニッシュ処理(バーニッシュ処理工程)後、バックコート層形成用組成物の塗布層に硬化処理を施す。図4に示す態様では、バックコート層形成用組成物の塗布層は、バーニッシュ処理後、硬化処理前に、表面平滑化処理が施される。表面平滑化処理は、磁気テープの磁性層側表面および/またはバックコート層側表面の平滑性を高めるために行われる処理であり、カレンダ処理によって行うことが好ましい。カレンダ処理の詳細は、例えば特開2010−231843号段落0026を参照できる。
その後、バックコート層形成用組成物の塗布層に、この塗布層に含まれる硬化剤の種類に応じた硬化処理を施す(硬化工程)。硬化処理は、加熱処理、光照射等の上記塗布層に含まれる硬化剤の種類に応じた処理によって行うことができる。硬化処理条件は特に限定されるものではなく、塗布層形成に用いたバックコート層形成用組成物の処方、硬化剤の種類、塗布層の厚み等に応じて適宜設定すればよい。例えば、硬化剤としてポリイソシアネートを含む磁性層形成用組成物を用いて塗布層を形成した場合には、硬化処理は加熱処理であることが好ましい。なおバックコート層以外の層に硬化剤が含まれる場合、その層の硬化反応も、ここでの硬化処理により進行させることもできる。または別途、硬化工程を設けてもよい。なお硬化工程後に、更にバーニッシュ処理を行ってもよい。
以上により、非磁性支持体の一方の面に非磁性層および磁性層をこの順に有し、他方の面にバックコート層を有する磁気テープであって、バックコート層の厚みが0.30μm以下であり、かつ磁気テープのバックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率が0.060以下である磁気テープを得ることができる。
ただし上記の製造方法は例示であって、対数減衰率を調整可能な任意の手段によって、0.060以下の対数減衰率を実現することができ、そのような態様も本発明に包含される。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお、以下に記載の「部」、「%」の表示は、特に断らない限り、「質量部」、「質量%」を示す。
[実施例1〜12、比較例1〜16]
1.アルミナ分散物の調製
アルファ化率約65%、BET比表面積20m/gのアルミナ粉末(住友化学社製HIT−80)100.0部に対し、3.0部の2,3−ジヒドロキシナフタレン(東京化成製)、極性基としてSONa基を有するポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800(極性基量:80meq/kg))の32%溶液(溶媒はメチルエチルケトンとトルエンの混合溶媒)を31.3部、溶媒としてメチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1(質量比)の混合溶液570.0部を混合し、ジルコニアビーズ存在下で、ペイントシェーカーにより5時間分散させた。分散後、メッシュにより分散液とビーズとを分け、アルミナ分散物を得た。
2.磁性層形成用組成物処方
(磁性液)
強磁性粉末 100.0部
強磁性六方晶バリウムフェライト粉末または強磁性金属粉末(表1参照)
SONa基含有ポリウレタン樹脂 14.0部
重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g
シクロヘキサノン 150.0部
メチルエチルケトン 150.0部
(研磨剤液)
上記1.で調製したアルミナ分散物 6.0部
(シリカゾル)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm) 2.0部
メチルエチルケトン 1.4部
(その他成分)
ステアリン酸 2.0部
ステアリン酸アミド 0.2部
ブチルステアレート 2.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネート(登録商標)L)2.5部
(仕上げ添加溶媒)
シクロヘキサノン 200.0部
メチルエチルケトン 200.0部
表1中、BaFeは平均粒子サイズ(平均板径)21nmの強磁性六方晶バリウムフェライト粉末、MPは平均粒子サイズ(平均長軸長)30nmの強磁性金属粉末である。
3.非磁性層形成用組成物処方
非磁性無機酸化物粉末:α−酸化鉄 100.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
平均針状比:7
BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 20.0部
平均粒子サイズ:20nm
SONa基含有ポリウレタン樹脂 18.0部
重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g
ステアリン酸 2.0部
ステアリン酸アミド 0.2部
ブチルステアレート 2.0部
シクロヘキサノン 300.0部
メチルエチルケトン 300.0部
4.バックコート層形成用組成物処方
非磁性無機酸化物粉末:α−酸化鉄 表1参照
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
平均針状比:7
BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 表1参照
平均粒子サイズ20nm
塩化ビニル共重合体 表1参照
スルホン酸塩基含有ポリウレタン樹脂 表1参照
フェニルホスホン酸 表1参照
ステアリン酸 表1参照
ステアリン酸アミド 表1参照
ブチルステアレート 表1参照
シクロヘキサノン 155.0部
メチルエチルケトン 155.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネートL) 5.0部
シクロヘキサノン 200.0部
5.各層形成用組成物の調製
磁性層形成用組成物を、以下の方法により調製した。上記磁性液を、各成分をバッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散(ビーズ分散)することにより調製した。分散ビーズとしては、ビーズ径0.5mmΦのジルコニアビーズを使用した。上記サンドミルを用いて、調製した磁性液および上記研磨剤液を他の成分(シリカゾル、その他成分および仕上げ添加溶媒)と混合し5分間ビーズ分散した後、バッチ型超音波装置(20kHz、300W)で0.5分間処理(超音波分散)を行った。その後、0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過を行い磁性層形成用組成物を調製した。
非磁性層形成用組成物を、以下の方法により調製した。潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ブチルステアレート)、シクロヘキサン、メチルエチルケトンを除いた各成分を、バッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散して分散液を得た。分散ビーズとしては、ビーズ径0.5mmΦのジルコニアビーズを使用した。その後、得られた分散液に残りの成分を添加し、ディゾルバーで攪拌した。こうして得られた分散液を0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過し非磁性層形成用組成物を調製した。
バックコート層形成用組成物を、以下の方法により調製した。ポリイソシアネート、シクロヘキサノンを除いた各成分をオープンニーダにより混練および希釈した後、横型ビーズミル分散機により、ビーズ径1mmΦのジルコニアビーズを用い、ビーズ充填率80体積%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、12パスの分散処理を行った。その後、得られた分散液に残りの成分を添加し、ディゾルバーで攪拌した。こうして得られた分散液を1μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過しバックコート層形成用組成物を調製した。
6.磁気テープの作製
図4に示す具体的態様により磁気テープを作製した。詳しくは、次の通りとした。
表1に示す厚みのポリエチレンナフタレート製支持体を送り出し部から送りだし、一方の表面上に、第一の塗布部において乾燥後の厚みが表1に示す厚みになるように上記5.で調製した非磁性層形成用組成物を塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布層を形成した上記支持体を雰囲気温度100℃の第一の加熱処理ゾーンを通過させ加熱乾燥工程を行い非磁性層を形成した。
その後、第二の塗布部において乾燥後の厚みが表1に示す厚みになるように上記5.で調製した磁性層形成用組成物を非磁性層表面上に塗布し塗布層を形成した。この塗布層が湿潤状態(未乾状態)にあるうちに配向ゾーンにおいて磁場強度0.3Tの磁場を、磁性層形成用組成物の塗布層表面に対し垂直方向に印加し垂直配向処理を行った後、第二の加熱処理ゾーン(雰囲気温度100℃)にて乾燥させた。
その後、第三の塗布部において、上記ポリエチレンナフタレート製支持体の非磁性層および磁性層を形成した表面とは反対の表面上に乾燥後の厚みが表1に示す厚みになるように上記5.で調製したバックコート層形成用組成物を非磁性支持体表面に塗布して塗布層を形成した。形成した塗布層が湿潤状態にあるうちに雰囲気温度0℃に調整した冷却ゾーンに表1に示す滞在時間で通過させて冷却工程を行い、その後に第三の加熱処理ゾーン(雰囲気温度100℃)にて上記塗布層を乾燥させた。
こうして得られた磁気テープを1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットした後、バックコート層形成用組成物の塗布層表面のバーニッシュ処理およびワイピング処理を行った。バーニッシュ処理およびワイピング処理は、特開平6−52544号公報の図1に記載の構成の処理装置において、研磨テープとして市販の研磨テープ(富士フイルム社製商品名MA22000、研磨剤:ダイヤモンド/Cr/ベンガラ)を使用し、研削用ブレードとして市販のサファイヤブレード(京セラ社製、幅5mm、長さ35mm、先端角度60度)を使用し、ワイピング材として市販のワイピング材(クラレ社製商品名WRP736)を使用して行った。処理条件は、特開平6−52544号公報の実施例12における処理条件を採用した。
上記バーニッシュ処理およびワイピング処理後、金属ロールのみから構成されるカレンダで、速度80m/分、線圧300kg/cm、100℃のカレンダ温度(カレンダロール表面温度)でカレンダ処理(表面平滑化処理)を行った。
その後、雰囲気温度70℃の環境で36時間硬化処理(加熱処理)を行い磁気テープを得た。
表1中、冷却ゾーン滞在時間の欄に「0秒」と記載されている比較例では、冷却ゾーンを含まない製造工程により磁気テープを作製した。
表1中、硬化工程前バーニッシュ処理の欄に「未実施」と記載されている比較例では、上記硬化処理を実施する前の工程でバーニッシュ処理およびワイピング処理を行わない製造工程により磁気テープを作製した。ただし比較例16については、硬化処理後に、上記のバーニッシュ処理およびワイピング処理を行った。
以上の工程により、実施例、比較例の磁気テープを作製した。
作製した磁気テープの各層および非磁性支持体の厚み、ならびに総厚を、以下の方法により求めた。形成した各層の厚みが表1に示す厚みであることが確認された。
磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビームにより露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察において厚み方向の2箇所において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めた。
[評価方法]
1.対数減衰率の測定
測定装置として、株式会社エー・アンド・ディー製剛体振り子型物性試験器RPT−3000W(振り子:真鍮製、基板:ガラス基板、基板昇温速度5℃/min)を用いて、前述の方法により実施例、比較例の磁気テープのバックコート層側表面(バックコート層表面)の対数減衰率を求めた。実施例、比較例の磁気テープから切り出した測定用試料は、約3cm×約5cmのサイズのガラス基板上に、固定用テープ(東レ・デュポン製カプトンテープ)で図1に示すように4箇所を固定し載置した。吸着時間を1秒間かつ測定間隔を7〜10秒とし、86回目の測定間隔について変位−時間曲線を作成し、この曲線を用いて対数減衰率を求めた。測定は、相対湿度約50%の環境下にて行った。
2.ミッシングパルス発生頻度
実施例、比較例の各磁気テープ(磁気テープ全長500m)を収容した磁気テープカートリッジを、IBM社製LTO−G6(Linear Tape-Open Generation 6)ドライブにセットし、磁気テープを、テンション0.6N、走行速度5m/秒で1500往復走行させた。
上記走行後の磁気テープカートリッジを、リファレンスドライブ(IBM社製LTO−G6ドライブ)にセットし、磁気テープを走行させて記録再生を行った。走行中の再生信号を外部AD(Analog/Digital)変換装置に取り込み、再生信号振幅が平均(全トラックでの測定値の平均)に対して70%以上低下した信号をミッシングパルスとして、その発生頻度(発生回数)を磁気テープ全長で除して、磁気テープの単位長さ当たり(1m当たり)のミッシングパルス発生頻度(以下、「ミッシングパルス発生頻度」(単位:個/m)と記載する。)として求めた。結果を表1に示す。ミッシングパルス発生頻度が5.0個/m以下であれば、実用上、信頼性の高い磁気テープと判断することができる。
以上の結果を、表1に示す。
表1に示す結果から、以下の点が確認できる。
(1)バックコート層厚みが0.30μmを超える比較例1〜3の磁気テープでは、バックコート層側表面の対数減衰率が0.060を超えていても、ミッシングパルス発生頻度は5.0個/m以下であった。即ち、バックコート層厚みが0.30μmを超える磁気テープは、ミッシングパルス発生頻度とバックコート層側表面の対数減衰率との間には、相関は見られなかった。
(2)これに対し、実施例1〜12と比較例4〜16との対比から、バックコート層厚みが0.30μm以下の磁気テープは、バックコート層側表面の対数減衰率が0.060以下であることにより、ミッシングパルス発生頻度を低減できることが確認できる。
本発明は、バックアップテープ等の磁気テープの技術分野において有用である。

Claims (10)

  1. 非磁性支持体の一方の表面側に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の表面側に非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有する磁気テープであって、
    前記バックコート層は、厚みが0.30μm以下であり、かつ
    磁気テープの前記バックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は0.060以下である磁気テープ。
  2. 磁気テープの前記バックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は、0.010以上0.060以下である請求項1に記載の磁気テープ。
  3. 磁気テープの前記バックコート層側の表面において振り子粘弾性試験により求められる対数減衰率は、0.010以上0.050以下である請求項1または2に記載の磁気テープ。
  4. 前記バックコート層に含まれる非磁性粉末は、カーボンブラックおよび非磁性無機酸化物粉末からなる群から選ばれる非磁性粉末である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  5. 前記磁性層と非磁性支持体との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気テープの製造方法であって、
    バックコート層形成工程を含み、
    前記バックコート層形成工程は、
    非磁性粉末、結合剤、硬化剤および溶媒を含むバックコート層形成用組成物を非磁性支持体表面上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、
    前記塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、ならびに、
    前記塗布層に硬化処理を施す硬化工程、
    を含み、
    前記塗布工程と加熱乾燥工程との間に、前記塗布層を冷却する冷却工程を含み、かつ
    前記加熱乾燥工程と硬化工程との間に、前記塗布層表面をバーニッシュ処理するバーニッシュ処理工程を含む、前記磁気テープの製造方法。
  7. 前記冷却工程を、前記塗布層を−10℃〜0℃の冷却雰囲気下に置くことにより行う請求項6に記載の磁気テープの製造方法。
  8. 前記バックコート層形成用組成物に含まれる溶媒は、ケトン溶媒を含む請求項6または7に記載の磁気テープの製造方法。
  9. 前記硬化剤は熱硬化性化合物であり、かつ前記硬化工程を加熱処理により行う請求項6〜8のいずれか1項に記載の磁気テープの製造方法。
  10. 前記熱硬化性化合物は、ポリイソシアネートである請求項9に記載の磁気テープの製造方法。
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