JP4626599B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、長手方向に記録再生が行われるテープ状の磁気記録媒体に関し、特に幅方向における高い寸法安定性を確保し、オフトラック特性に優れた層構造を有する磁気記録媒体における層間の接着強度を増加させ走行耐久性に優れたものとするための技術に関するものである。
近年、インターネットの普及やデジタル記録等により情報量が爆発的に増大しており、それら情報をデータとしてバックアップしておくための記録媒体はさらなる高容量化、高密度化の方向に向かっている。このバックアップ用記録媒体として、巻かれた状態でカートリッジに収納されるテープ媒体においては、高容量化のために磁気抵抗型ヘッドを多数配した固定ヘッドを用い、テープの長手方向に記録再生が行われるリニア記録方式のシステムが実用化されている。さらなる高容量化に向けて、磁性記録層の厚みを薄くし短波長記録を行う、テープ幅方向のトラック密度を上げる、テープの厚み自体を薄くし1巻あたりの巻き長さを長くする、などの方策が取られている。また、ヘッドを多数配すること、テープとヘッド間の相対速度を上げることなどにより、データの転送速度を上げることも行われている。
これらの方策において、磁性記録層の厚みを薄くし短波長記録を行うと、磁性記録層とヘッドとのわずかなスペーシングにより出力が小さくなってしまったり、多数回走行時に走行耐久性が劣化してしまったりするなどの問題があり、種々の改善検討が行われている。また、テープ幅方向のトラック密度を上げると、テープ走行時の幅方向の変動や温度湿度などの環境要因によるテープ自体の寸法変化により、本来磁気ヘッドが読み取るべきトラック位置にトラックが存在しないもしくは、ずれたトラック位置を読み取るなどのいわゆるオフトラックが発生してしまう。テープの厚みが9.5μmより薄い媒体においては、テンション要因によるテープ幅の変化がさらに大きくなるので、オフトラックの影響が顕著になりテープ走行性が不安定になっていた。このオフトラックを回避するために、テープにサーボ信号を記録し、正しいトラッキングを取る方法が提案されている。このサーボ方式にはテープ磁性層側もしくはバック層側に磁気的ないし光学的にサーボ信号を記録する方式などがある。
ところで、磁気記録媒体における非磁性支持体の剛性を強くするために片面または両面に金属、合金、またはその酸化物からなる強化膜で補強する方法は過去から多く提案されてきた(例えば、特許文献1〜6参照。)。
しかしながら、金属、合金、またはその酸化物の強化膜で補強された非磁性支持体上に従来方法で磁性層ならびにバック層を塗布しても、そのままでは接着強度が不足しテープとしての耐久性が不足する問題があった。
また、磁気記録媒体の磁性層とベースフィルムである支持体との接着強度を増加させるために易接着層を存在させる技術が数多く提案されている(例えば、特許文献7〜14参照。)。
特開昭61−13433号公報 特開平11−339250号公報 特開2000−11364号公報 特開2002−304720号公報 特開2002−304721号公報 特開2003−132525号公報 特公昭63−57238号公報 特公平04−49572号公報 特公平02−13905号公報 特公平02−13904号公報 特公平02−13903号公報 特許第2768863号公報 特許第2706002号公報 特許第3205258号公報
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、テープ幅方向のトラック密度が非常に高く、オフトラックが少ない安定した記録再生特性を確保できる層構造の磁気記録媒体において層間の接着強度を向上し耐久性を改善した磁気記録媒体を提供することを目的とする。
発明者らは、まず金属、合金、またはその酸化物からなる強化膜で補強された非磁性支持体に従来の易接着剤を塗布して前記問題の改善を試みた。ところが、前記非磁性支持体に塗布すると、様々な問題が発生した。例えば、易接着剤を、従来と同じ厚みで塗布した場合、硬化工程において、ロール粘着を起こしテープにすることが困難となっていた。発明者らは、これらの問題の原因を調査し、この問題を解決すべく鋭意検討を行い、本発明を成すに至った。
すなわち、前記課題を解決するために提供する本発明は、ベースフィルムの両面に金属、合金またはその酸化物のいずれか単体あるいはこれらの複合材料からなる強化膜が形成された非磁性支持体と、該非磁性支持体の一方の面に設けられる非磁性材料からなる非磁性中間層及び強磁性粉末と結合剤からなる磁性層と、他方の面に設けられるバック層とを備える磁気記録媒体において、前記強化膜と非磁性中間層との間、及び強化膜とバック層との間に、接着を確保するための樹脂からなる易接着層を設けることを特徴とする磁気記録媒体である。
ここで、前記易接着層の厚さが、5〜50nmであ、また前記易接着層のガラス転移温度Tgが、50〜90℃である。
また、前記易接着層は、芳香族系ポリエステル樹脂または芳香族系ポリウレタン樹脂を含む。
さらに、前記易接着層の樹脂に、濃度0.05〜0.18mmol/gでOH基が導入されている。
本発明によれば、易接着剤を塗布することで両面の接着強度を確保し、耐久性に優れた磁気記録媒体の作製が可能となる。したがって、幅方向のトラック密度が非常に高くても、環境要因に起因する幅方向の寸法変化を小さく抑え、オフトラックが少なく、安定した記録再生特性を有し、かつ耐久性に優れたテープ状の磁気記録媒体を得ることができる。
以下に、本発明に係る磁気記録媒体の構成について説明する。
図1は、本発明に係る磁気記録媒体の構成を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の磁気記録媒体は、プラスチックフィルム1aの両面に金属、合金またはその酸化物のいずれか単体あるいはこれらの複合材料からなる強化膜1bが形成された非磁性支持体1と、該非磁性支持体1の一方の面に設けられる非磁性材料からなる非磁性中間層7及び強磁性粉末と結合剤からなる磁性層3と、他方の面に設けられるバック層5とを備え、強化膜1bと非磁性中間層7との間、及び強化膜1bとバック層5との間に、接着を確保するための樹脂からなる易接着層2を設けていることを特徴とする。そして、その磁性層3に磁気的サーボ信号かバック層5に光学的サーボ信号のどちらかもしくは両方にトラッキング制御用のサーボ信号が記録されていてもよい。
また、本発明の磁気記録媒体は、磁気テープ媒体として、3.0〜9.5μmの厚さに設定される。テープ媒体の厚みが3.0μm未満となると、ドライブ走行時に幅方向の変動が大きくなり走行不安定になるばかりか、長手方向にテンションがかかった際にポアソン比の効果で起こる幅方向の寸法変化量や長時間にわたり長手方向にテンションがかかった状態でのクリープ変化量が非常に大きくなってしまう。また、テープ媒体の厚みが9.5μmを超えると、カートリッジ1巻あたりに巻くことのできるテープ長さが短くなり高容量化自体が図れない。
本実施の形態において、非磁性支持体1を構成するプラスチックフィルム1aとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリイミド、ポリアミド等が挙げられるが、生産性が高いこと、比較的安価であることからポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系プラスチックフィルムが特に好ましい。
また、これらのフィルムは単層構造でも多層構造でも良く、接着性の向上などを目的に、表面にコロナ放電処理や電子線照射処理、易接着層形成等、表面処理をしていても良く、湿度膨張係数の低減を目的に表面に撥水処理をしていても良い。
また、表面性の制御、走行安定性などの目的で、炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミ、ポリスチレン等の無機、有機フィラーを内添させても良い。表面粗さRaとしては、磁性層塗布面では0.5〜8nmが好ましく、0.5〜6nmが特に好ましい。表面粗さが0.5nmよりも小さくなると、テープ製造時にガイドロールとの摩擦が非常に高くなり、走行が不安定になるため好ましくない。逆に、8nmよりも大きくなると、磁性層塗布後のテープ表面粗さが大きくなり、ヘッドとのスペーシングロスが大きくなるため好ましくない。
一方、バック層塗布面の表面粗さRaは4〜25nmが好ましく、5〜15nmが特に好ましい。表面粗さが4nmよりも小さいと、磁性層塗布面と同様に工程上走行不安定になるため好ましくない。逆に、25nmよりも大きくなると、バック層塗布後のテープ表面粗さが大きくなり、工程上巻かれて保存された場合やカートリッジで巻かれて保存された場合などにバック層の粗さが磁性層に転写し、その結果磁性層の粗さが大きくなりスペーシングロスとなるため好ましくない。
プラスチックフィルム1aの厚みとしては、2.0〜8.0μmが好ましく、3.0〜6.0μmが特に好ましい。フィルムが2.0μmよりも薄くなると、製膜自体が困難になるばかりか、強度が非常に低下し走行耐久性が落ちたり、長手方向にかかるテンション変化による幅の変化が大きくなったり、クリープ特性が悪くなったりする。逆に、8.0μmよりも厚くなると、磁気テープ自体の厚みが大きくなり、カートリッジ1巻あたりに巻くことができるテープ長さが短くなるため、高容量化の妨げとなる。
プラスチックフィルム1aの長手方向のヤング率としては、500kg/mm2以上が好ましく、600kg/mm2以上が特に好ましい。500kg/mm2未満だと磁気テープ自体の強度が弱くなり、繰り返し走行による走行耐久性が悪くなるなど、好ましくない。また、幅方向のヤング率としては、400kg/mm2以上が好ましく、600kg/mm2以上が特に好ましく、650kg/mm2以上がいっそう好ましい。400kg/mm2未満だと磁気テープ自体の温湿度膨張係数が大きくなるなど、好ましくない。
さらに、プラスチックフィルム1aの両面に設ける強化膜1bの材料としては、例えばAl、Cu、Ni、Ti等の金属、Cu−Zn等の合金、Al、SiO、TiO等の酸化物など、ヤング率が7×10E03kg/mm2以上かつ温度膨張率が18×10E−06/℃以下であれば何ら限定されるものではない。また、これら材料からなる強化膜1bはスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の従来公知の方法で形成することができる。酸化物については、成膜時に所定の酸素ガスを導入するなどによって形成することができる。
非磁性支持体1としてプラスチックフィルム1aの両面に金属、合金、並びにこれらの酸化物及び複合物から選ばれた材料からなる強化膜1bを設けることで、磁気テープの厚みの大部分を占めるプラスチックフィルム1aに侵入し膨張を引き起こす原因となる水分を遮断することができる。さらに、テープエッジ部分などからわずかながら水分が浸入し、プラスチックフィルム1aの膨張を引き起こしたとしても、両面に設けた強化膜1bが非磁性支持体の膨張を妨げ、幅方向の湿度膨張係数の低減が図られる。このような膜が無いと、高湿度下で容易に水分が侵入してテープが膨張してしまうため、温度湿度などの環境要因に起因する変化量が大きくなり、オフトラックを引き起こす。この強化膜1bは片面にだけ設けても、もう一方の面からは容易に水分が浸入し、非磁性支持体が膨張することや、磁気テープのカール、カッピングが大きくなるなど効果はほとんど無い。
プラスチックフィルム1aそれぞれの面に設ける強化膜1bの厚みは10nm以上であることが好ましい。膜厚が10nm未満であると、プラスチックフィルム1a自体の凹凸により完全に被覆されない部分ができ、その部分から容易に水分が浸入し、湿度膨張係数が大きくなってしまったり、プラスチックフィルム1aの膨張を妨げる効果も非常に小さくなってしまったりするばかりか、工程内の走行中に膜がはがれやすくなり、ドロップアウトを引き起こすなど好ましくない。また、バック層側に設ける強化膜1bの厚みは、磁性層側に設ける膜の厚みを1.0とした時、0.5〜1.5が好ましく、0.8〜1.2が特に好ましい。この値が0.5未満もしくは1.5を超えた値となると、非磁性支持体1自体のカールがひどくなり、工程のハンドリング上不都合になったり、磁気テープとしてのカッピング、カールがひどくなったりするため好ましくない。
また、強化膜1bのヤング率は7×10E03kg/mm2以上が望ましい。ヤング率が7×10E03kg/mm2以上であれば、水分の浸入後の非磁性支持体の膨張を妨げる効果が大きくなり、逆にヤング率が7×10E03kg/mm2未満であると、その効果が薄れ、オフトラックマージンが小さく環境要因に起因する変化量として最大許容される変化量が小さい場合には、オフトラックを引き起こす。
さらに、強化膜1bのヤング率を7×10E03kg/mm2以上とすることで、長手方向にテンションがかかった際にポアソン比の効果で起こる幅方向の寸法変化量が小さくなり、長時間にわたり長手方向にテンションがかかった状態でのクリープ変化量も小さくすることができる。
また、強化膜1bの温度膨張係数は18×10E−06/℃以下が望ましい。これは、温度変化があるとプラスチックフィルム1aも変形してしまうが、強化膜1bの温度膨張係数を18×10E−06/℃以下とすることで非磁性支持体1の変形を妨げることができ、幅方向の温度膨張を抑制することができるからである。
次に、易接着層2について説明する。
易接着層2は、接着剤を塗布してなるものである。
ここで、本発明に使用する易接着層2の厚みは特性に大きな影響を与えるので非常に重要である。非磁性支持体の両面に形成された易接着層の膜の厚みが5〜50nmであることが望ましい。5nmより小さいと接着強度が不足し、50nmより大きいと、硬化時にロール粘着を発生し、テープ化が困難となる。
また、易接着層2形成のために使用する樹脂の構造は、従来から知られているものを使用してもよく、例えば芳香族系ポリエステル樹脂、脂肪族系ポリエステル樹脂、芳香族系ポリエステル系ポリウレタン樹脂、脂肪族系ポリエステルポリウレタン樹脂、脂環族系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。なお、樹脂のガラス転移温度Tgが40℃以下の樹脂を使用した場合、硬化工程においてロール粘着が発生しやすくなりテープ化が困難となる。したがって、易接着層のガラス転移温度Tgは、50〜90℃であることが好ましく、例えばTgが50℃以上の芳香族系ポリエステル樹脂、芳香族系ポリウレタン樹脂が望ましい。
また、非磁性中間層7あるいはバック層5との接着強度を増加させるために、易接着層2に用いる接着剤のポリエステルのジカルボン酸成分の構造は、非磁性中間層7あるいはバック層5の結合剤と似た構造をもつテレフタル酸または、イソフタル酸のような芳香族系が望ましい。
また、これらの樹脂に支持体との接着強度を増加させる目的で、−SO3M、−OSO3M、−COOM、P=O(OM)2(但し、式中Mは水素原子あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属を表す)や、−NR12、−NR123+-で表される側鎖型アミン、>NR12+-で表される主鎖型アミン(但し、式中R1,R2,R3は水素原子あるいは炭化水素基を表し、X-はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機イオン、有機イオンを表す)、さらに−OH、−SH、−CN、エポキシ基等の極性官能基が導入されていてもよい。
なかでも−OH基は、金属、合金、またはその酸化物の表面に存在する金属の−OH基との結合力が強く、強化膜1bとの接着強度を増加させるために非常に有効である。−OH基濃度は、0.05〜0.18mmol/gであることが好適である。0.05mmol/gより少ないと接着強度を増加させる効果が少ない。逆に0.18mmol/gより多いと水分に対する影響を受けやすくなり高温多湿下に保存した後の品質が不安定になる可能性ある。
接着剤を溶解する溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙げられ、これらが適宜混合されて使用される。
磁性層3は、強磁性粉末を結合剤中に分散させた磁性分散液を塗布してなるものである。磁性層3の膜厚は0.3μm以下に形成することが望ましい。磁性層3の膜厚を0.3μm以上にすると、短波長信号に対する反磁界が大きくなり高記録密度の妨げとなるためである。
磁性層3に混入される磁性粉末、結合剤、分散剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤、潤滑剤等、及びこれら磁性分散液を調整するために使用される溶剤は、従来公知のものがいずれも使用可能で何ら限定されるものではない。例えば、磁性粉末としては、強磁性鉄粉末、強磁性鉄-コバルト粉末、強磁性酸化鉄粉末、強磁性二酸化クロム粉末、強磁性合金粉末、六方晶バリウムフェライト粉末等が挙げられる。
また、結合剤としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒト樹脂またはこれらの混合物などが挙げられる。中でも、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂それぞれ単独もしくは、これらの混合で用いるのが好ましい。また、これらはイソシアネート化合物を架橋剤として用い、より耐久性を向上させたりしても良い。さらに、磁性層中の結合剤量としては、磁性粉末100重量部に対し、10〜50重量部であることが好ましい。
研磨剤としては、例えば、アルミナ、酸化クロム、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。磁性層中の研磨剤量としては、磁性粉末100重量部に対し、2〜40重量部用いることが好ましく、5〜30重量部であることがより好ましい。
帯電防止剤としては、例えばカーボンブラックが一般的に挙げられる。カーボンブラックは帯電防止剤としてのみではなく、走行耐久性の向上にも有益であり、磁性粉末100重量部に対し、0.2〜30重量部、好ましくは0.5〜15重量部の量で混入させることが好ましい。その平均粒径は5〜500nm程度まで様々であるが、好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは10〜100nmであるものを単独、複数組み合わせて用いることが好ましい。具体的には、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等、公知のものが単独、複数使用可能である。
潤滑剤としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等の高級脂肪酸、これら脂肪酸の脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等が挙げられる。中でも、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドをそれぞれ組み合わせて用いるのが好ましい。添加量としては、磁性粉末100重量部に対し、脂肪酸を0.1〜3重量部、脂肪酸エステルを0.1〜3重量部、脂肪酸アミドを0.1〜1.5重量部とするのが好ましい。
さらに、磁性分散液を調整するための溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等のエステル系溶剤、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤が挙げられる。
本発明における磁気記録媒体は、図1に示すように、上記非磁性支持体1と磁性層3との間に各種無機粉末と結合剤等からなる非磁性中間層7が設けられている。上述した磁性層3の安定塗布、走行耐久性の強化等の目的で形成するものである。なお、この非磁性中間層7は原則として非磁性であることが好ましい。なお、図1の構成のうち、非磁性中間層7がなく、易接着層2と磁性層3が直接接する場合でも本発明の効果が得られる。
また、非磁性中間層7は、磁性層3の安定塗布、走行耐久性の強化等の目的のため、0.2〜2.5μmの厚みで設けることが好ましい。膜厚が0.2μm未満だと磁性層の安定塗布が難しくなり、2.5μmよりも厚くなると磁気テープ自体の厚みが大きくなり、カートリッジ1巻あたりに巻くことができるテープ長さが短くなるため、高容量化の妨げとなる。
非磁性中間層7に混入される非磁性無機粉末、結合剤、及び必要に応じて使用される分散剤、帯電防止剤、防錆剤、潤滑剤等、及びこれら非磁性分散液を調整するために使用される溶剤は、従来公知のものがいずれも使用可能で何ら限定されるものではない。
非磁性無機粉末としては、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ、カーボンブラック、α-酸化鉄、炭酸カルシウム、酸化クロム等が挙げられる。これら粉末の形状は何ら限定されるものではないが、テープの温湿度膨張係数の低減のために板状もしくは針状が好ましい。中でも、テープ剛性の制御や走行耐久性の強化のために、α-酸化鉄とアルミナを組み合わせて用いるのが好ましく、帯電防止効果もあるカーボンブラックを併用することがより好ましい。
結合剤としては、例えば、磁性層用結合剤として上述した結合剤などが挙げられる。中でも、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂それぞれ単独もしくは、これらの混合で用いるのが好ましい。また、これらはイソシアネートを架橋剤として用い、より耐久性を向上させたりしても良い。さらに、非磁性中間層中の結合剤量としては、非磁性無機粉末100重量部に対し、10〜50重量部であることが好ましい。
潤滑剤としては、例えば、磁性層用潤滑剤として上述した潤滑剤などが挙げられる。中でも、脂肪酸、脂肪酸エステルを組み合わせて用いるのが好ましい。添加量としては、非磁性無機粉末100重量部に対し、脂肪酸、脂肪酸エステルそれぞれ0.1〜3重量部とするのが好ましい。同様に、非磁性分散液を調整するための溶剤としては、磁性分散液を調整するための溶剤として上述したものなどが挙げられる。
バック層5は、無機顔料を結合剤に分散させた分散液を塗布してなるものである。バック層5は0.1〜1.5μmの厚さで形成することが好ましい。0.1μm未満の場合、バック層強度が十分に上がらず、ひいては磁気テープの強度が上がらないため、幅方向の温度膨張係数、湿度膨張係数が大きくなるばかりか、長手方向にかかるテンションでの幅変化も大きくなり、1N荷重下のクリープ変化量も大きくなってしまう。逆に1.5μmよりも厚くなると、磁気テープ自体の厚みが大きくなり、高容量化の妨げとなる。
このバック層5に混入される無機粉末、結合剤、及び必要に応じて使用される分散剤、潤滑剤等、及びこれらバック分散液を調整するために使用される溶剤は、従来公知のものがいずれも使用可能で何ら限定されることがない。無機粉末については、バック層の特に幅方向の高強度化の目的で板状もしくは針状の無機粉末を含有させるのが好ましい。
板状無機粉末としては、例えば、天然物としては雲母、カオリン等、また合成物としては硫酸バリウム、酸化鉄等が挙げられる。板状無機粉末の平均粒子径(板面方向)は0.15〜2.0μmが好ましく、平均厚みは0.005〜0.1μmが好ましい。針状無機粉末としては、例えば酸化鉄等が挙げられる。針状無機粉末の長軸長は0.08〜0.8μmが好ましく、短軸長は0.005〜0.05μmが好ましい。
また、バック層5には板状もしくは針状無機粉末の他に、帯電防止のため、カーボンブラックを添加することが好ましい。その平均粒径は5〜500nm程度まで様々であるが、好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは10〜100nmであるものを単独、複数組み合わせて用いることが好ましい。具体的には、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等、公知のものが単独、複数使用可能である。さらに、同様の目的で板状もしくは針状無機粉末にカーボンブラックが表面処理され、被覆されていても良い。
また、繰り返し走行におけるバック層5の表面変化を防ぐためであったり、バック層5に特に光学的にサーボ信号を記録する際の信号の制御のためであったりする目的で、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化クロム、酸化鉄等の無機粉末を混入させても良い。
結合剤としては、例えば、磁性層用結合剤、非磁性中間層用として上述した結合剤などが挙げられる。中でも、ポリウレタン樹脂とセルロース系樹脂との混合で用いるのが好ましい。また、これらはイソシアネートを架橋剤として用い、より耐久性を向上させたりしても良い。さらに、バック層中の結合剤量としては、バック層無機粉末100重量部に対し、20〜150重量部であることが好ましい。同様に、バック層分散液を調整するための溶剤としては、磁性分散液、非磁性分散液を調整するための溶剤として上述したものなどが挙げられる。
上述した磁性粉末と結合剤等、非磁性無機粉末と結合剤等、バック層用無機粉末と結合剤等による塗料の調整については、従来公知の方法で行うことができるが、例えば、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ニーダー、加圧ニーダー、エクストルーダー、ホモジナイザー、ディスパー、超音波分散機等を用いることができる。このうち、ニーダーなどの混練を目的とする調整、サンドミルなどの分散を目的とする調整を組み合わせて用いることが好ましい。
非磁性支持体1上に磁性分散液ならびに必要であればそれらの間に非磁性分散液を、同時にもしくは逐次に形成する手法としては、ブレードコート、グラビアコート、ダイコート等従来公知の手法を用いることができる。バック層分散液も同様である。さらに、非磁性支持体1上への塗布は、磁性層側とバック層側のどちらを先に行っても良く、同時に行っても良い。
また、湿度膨張係数の低減を目的にテープエッジに撥水効果が施されていても良い。エッジに撥水効果を施す方法としては、スリッティング時にスリッターのナイフに撥水剤を供給する方法や、スリッティング後のテープ媒体のエッジに撥水剤を染み込ませた織布などをあてる方法などが挙げられる。撥水剤としては、パーフルオロポリエーテルとカルボン酸のエステル化合物、カルボン酸パーフルオロアルキルエステル、含フッ素アルキルコハク酸エステル等が挙げられる。
以上のように、本実施の形態においては、非磁性支持体となるプラスチックフィルムの両面に強化膜を設け、この強化膜のヤング率を7×10E03kg/mm2以上かつ温度膨張率を18×10E−06/℃以下とすることで、温湿度変化、テンション変化、クリープなどの環境要因に起因するテープ自体の幅方向の寸法変化量を全体的に小さくすることができる。その結果、テープ幅方向のトラック密度が非常に高い場合でも、オフトラックが少ない安定した記録再生特性を確保することができる。また、易接着層により、強化膜と非磁性中間層との間、強化膜とバック層との間の接着強度を確保することができ、耐久性に優れた磁気記録媒体の作製が可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
まず、以下に示すように非磁性支持体としてポリエチレンテレフタレート(PET)の両面に、片面あたり90nmの厚みになるように、酸化アルミ膜を真空蒸着法により形成した。
[非磁性支持体]
・プラスチックフィルム1a:PET(厚さ:4.9μm、ヤング率:長手方向(MD)/幅方向(TD)=650/500kg/mm2
・強化膜1b:酸化アルミ膜(膜厚:90nm)
次に、下記の組成にしたがって磁性層3、非磁性中間層7、バック層5を形成するための分散液組成物を調整した。さらに易接着層2を形成するための分散液を調整した。
[磁性分散液]
{磁性粉末}
・鉄-コバルト合金系メタル強磁性粉末(平均長軸長:45nm)/100重量部
{結合剤}
・ポリエステル系ポリウレタン樹脂(数平均分子量:22000)/8重量部
・塩化ビニル系共重合体(平均重合度:300)/10重量部
{研磨剤}
・α-アルミナ(平均粒径:0.3μm)/10重量部
{帯電防止剤}
・カーボンブラック(平均粒径:50nm)/3重量部
{潤滑剤}
・ステアリン酸/1重量部
・ステアリン酸ブチル/1重量部
・ステアリン酸アミド/0.5重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/20重量部
・トルエン/20重量部
・シクロヘキサノン/10重量部
以上の材料をエクストルダー、三本ロールで混練処理を施し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散し、フィルターをかけた。ついで、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を4重量部添加し、攪拌後これを磁性分散液とした。
[非磁性分散液]
{非磁性無機粉末}
・針状α-酸化鉄(平均長軸長:0.10μm)/100重量部
・α-アルミナ(平均粒径0.3μm)/6重量部
{結合剤}
・ポリエステル系ポリウレタン樹脂(数平均分子量:22000)/8重量部
・塩化ビニル系共重合体(平均重合度:300)/8重量部
{帯電防止剤}
・カーボンブラック(平均粒径:20nm)/20重量部
{潤滑剤}
・ステアリン酸/1重量部
・ステアリン酸ブチル/2重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/70重量部
・トルエン/70重量部
・シクロヘキサノン/40重量部
以上の材料をエクストルダーで混練処理を施し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散し、フィルターをかけた。ついで、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を3重量部添加し、攪拌後これを非磁性分散液とした。
[バック層分散液]
{無機粉末}
・カーボンブラック(平均粒径:20nm)/100重量部
・カーボンブラック(平均粒径:70nm)/15重量部
・板状α-酸化鉄(平均粒径:0.9μm、平均厚み:0.015μm)/15重量部
・酸化チタン(平均粒径:100nm)/1重量部
{結合剤}
・ポリエステル系ポリウレタン樹脂(数平均分子量:35000)/25重量部
・ニトロセルロース樹脂(分子量:1/2H相当)/25重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/200重量部
・トルエン/200重量部
・シクロヘキサノン/50重量部
以上の材料を混合した後、サンドミル分散し、フィルターをかけ、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を10重量部添加し、攪拌後これをバック層分散液とした。
[易接着層分散液]
{易接着剤1}
・芳香族系ポリエステル樹脂(数平均分子量19000、Tg:60℃、イソフタル酸、テレフタル酸系ポリエステル、OH基濃度:0.11mmol/g)/0.5重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/20重量部
・シクロヘキサノン/80重量部
以上の材料をデイスパーにて混合分散し、フィルターをかけて易接着層分散液(接着剤)とした。
前述した両面に酸化アルミを真空蒸着した非磁性支持体の一方の面上にまず、易接着層分散液(接着剤)を塗布し、乾燥して厚みが20nmとなるように調整した。次に、非磁性分散液、磁性分散液の順で、乾燥厚みがそれぞれ1.1μm、0.1μmとなるように同時にダイコーティングした後、磁場配向処理、乾燥処理を施しロールとして巻き取った。その後、非磁性支持体のもう一方の面に易接着層分散液(接着剤)を塗布乾燥(乾燥厚み20nm)した後、バック層用分散液を乾燥厚みで0.5μmとなるようにダイコーティングし、乾燥処理を施しロールとして巻き取った。そして、カレンダー処理、硬化処理を施した後、1/2インチ幅になるようにスリッティングを行い、巻き取ってサンプルとした。
<実施例2>
実施例1において、易接着層の厚みを45nmにし、それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
<実施例3>
実施例1において、易接着層の厚みを10nmにし、それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
<実施例4>
実施例1において、易接着剤を下記易接着剤2に変更して易接着層分散液(接着剤)を調製し、易接着層の厚みを20nmにし、それ以外は、実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[易接着層分散液]
{易接着剤2}
・芳香族系ポリエステル樹脂(数平均分子量18000、Tg:68℃、イソフタル酸、テレフタル酸系ポリエステル、OH基濃度:0.12mmol/g)/0.5重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/20重量部
・シクロヘキサノン/80重量部
<実施例5>
実施例1において、非磁性支持体として、下記の通りヤング率その他は同じで厚みを4.9μmのPETの両面にAlを真空蒸着したものを用い、それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[非磁性支持体]
・プラスチックフィルム1a:PET(厚さ:4.9μm、ヤング率:長手方向(MD)/幅方向(TD)=650/500kg/mm2
・強化膜1b:Al(膜厚:90nm)
<実施例6>
実施例1において、非磁性支持体として、下記の通りヤング率その他は同じで厚みが4.9μmのPETの両面にCuを真空蒸着したものを用い、それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[非磁性支持体]
・プラスチックフィルム1a:PET(厚さ:4.9μm、ヤング率:長手方向(MD)/幅方向(TD)=650/500kg/mm2
・強化膜1b:Cu(膜厚:90nm)
<実施例7>
実施例1において、非磁性支持体として、下記の通りヤング率その他は同じで厚みが4.9μmのPETの両面に酸化銅を真空蒸着したものを用い、それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[非磁性支持体]
・プラスチックフィルム1a:PET(厚さ:4.9μm、ヤング率:長手方向(MD)/幅方向(TD)=650/500kg/mm2
・強化膜1b:酸化銅(膜厚:90nm)
<実施例8>
実施例1において、非磁性支持体として、下記の通りヤング率その他は同じで厚みが4.9μmのPETの両面に酸化チタンを真空蒸着したものを用い、それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[非磁性支持体]
・プラスチックフィルム1a:PET(厚さ:4.9μm、ヤング率:長手方向(MD)/幅方向(TD)=650/500kg/mm2
・強化膜1b:酸化チタン(膜厚:90nm)
<実施例9>
実施例1において、易接着剤を下記易接着剤3に変更して易接着層分散液(接着剤)を調製し、易接着層の厚みを20nmにし、それ以外は、実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[易接着層分散液]
{易接着剤3}
・芳香族系ポリエステル系ポリウレタン樹脂(数平均分子量18000、Tg:79℃、イソフタル酸、テレフタル酸系ポリエステル、OH基濃度:0.16mmol/g)/0.5重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/20重量部
・シクロヘキサノン/80重量部
<実施例10>
実施例1において、易接着剤を下記易接着剤4に変更して易接着層分散液(接着剤)を調製し、易接着層の厚みを20nmにし、それ以外は、実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[易接着層分散液]
{易接着剤4}
・芳香族系ポリエステル系ポリウレタン樹脂(数平均分子量18000、Tg:68℃、イソフタル酸、テレフタル酸系ポリエステル、OH基濃度:0.07mmol/g)/0.5重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/20重量部
・シクロヘキサノン/80重量部
<比較例1>
実施例1において、非磁性支持体上に易接着層を設けず、それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
<比較例2>
実施例1において、易接着層2の厚みを100nmにし、それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
<比較例3>
実施例1において、易接着層2の厚みを4nmにし、それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
<比較例4>
実施例1において、易接着剤を下記易接着剤5に変更して易接着層分散液(接着剤)を調製し、易接着層の厚みを20nmにし、それ以外は、実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[易接着層分散液]
{易接着剤5}
・脂肪族系ポリエステル樹脂(数平均分子量28000、Tg:−15℃、アジピン酸系ポリエステル、OH基濃度:0.07mmol/g)/0.5重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/20重量部
・シクロヘキサノン/80重量部
<比較例5>
実施例1において、易接着剤を下記易接着剤6に変更して易接着層分散液(接着剤)を調製し、易接着層の厚みを20nmにし、それ以外は、実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[易接着層分散液]
{易接着剤6}
・脂肪族+芳香族系ポリエステル系樹脂(数平均分子量20000、Tg:35℃、イソフタル酸、アジピン酸系ポリエステル、OH基濃度:0.20mmol/g)/0.5重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/20重量部
・シクロヘキサノン/80重量部
<比較例6>
実施例1において、易接着剤を下記易接着剤7に変更して易接着層分散液(接着剤)を調製し、易接着層の厚みを20nmにし、それ以外は、実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[易接着層分散液]
{易接着剤7}
・芳香族系ポリエステル系ポリウレタン樹脂(数平均分子量18000、Tg:95℃、テレフタル酸イソフタル酸系ポリエステル、OH基濃度:0.07mmol/g)/0.5重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/20重量部
・シクロヘキサノン/80重量部
<比較例7>
実施例1において、易接着剤を下記易接着剤8に変更して易接着層分散液(接着剤)を調製し、易接着層の厚みを20nmにし、それ以外は、実施例1と同様にしてサンプルを得た。
[易接着層分散液]
{易接着剤8}
・芳香族系ポリエステル系ポリウレタン樹脂(数平均分子量5000、Tg:60℃、テレフタル酸イソフタル酸系ポリエステル、OH基濃度:0.03mmol/g)/0.5重量部
{溶剤}
・メチルエチルケトン/20重量部
・シクロヘキサノン/80重量部
上記実施例、比較例における非磁性支持体の強化膜、並びに得られた磁気テープに関して各種特性を以下のように測定した。
[易接着層の膜厚の測定]
易接着層分散液(接着剤)をプラスチックフィルム(PET)に塗布、乾燥しただけのサンプルについて、分光エリプソメトリを使用し、ベースフィルムと易接着層の屈折率の違いから易接着層の厚みを求めた。
[ロール粘着の測定]
上記実施例、比較例それぞれにおいて、易接着層、非磁性中間層+磁性層、バック層を形成し、カレンダー処理した段階のロールを用意した。なお、ロール耳部には磁性層及びバック層を形成しないようにした。このロールについて70℃/20時間の硬化炉で硬化を行った。その後、ロールを取り出して巻き直しを行ない、磁性層形成面とバック層形成面との間の粘着度合い、並びに磁性層、バック層が形成されていない耳部の粘着度合いを測定した。巻き直し機で簡単にはがれる場合を粘着無し、巻き直し機ではがれない場合を粘着有りと判定した。
[接着強度の測定]
サンプルテープの磁性面(磁性層形成面)と、専用の粘着テープとを1.0Nの力で接着させ、ピール法試験機を使用して、254mm/minの速度で引きはがし、磁性面が非磁性支持体から引きはがれた時の力を接着強度として測定した。接着強度は1.0N以上を規格値(合格)とした。
[初期MP(Missing Pulses)の測定]
HP製のLTOドライブ(Ultriun960)を改造したものを測定装置として用いた。まず、25℃50%RHの一定環境下において2T信号の記録を行い、記録後すぐにこの環境下で再生した。再生信号のbase−to−peak出力の平均値から35%低下時の信号をMissing Pulseとした。1mのトラックあたりにMissing Pulseが何個存在するかを測定した。1m,1トラックあたり1個以下を規格(合格)とした。
[保存後MP(Missing Pulses)の測定]
上記ドライブにおいて、記録したカートリッジを50℃80%RHの一定環境下において1週間保存した。その後、25℃、50%RH環境下のドライブ(Ultriun960)にて再生を行なった。再生信号のbase−to−peak出力の平均値から35%低下時の信号をMissing Pulseとし、1mのトラックあたりにMissing Pulseが何個存在するかを測定した。
[保存後ERT(Error Rate)の測定]
25℃、50%RH環境下で、HP製のLTOドライブ(Ultriun960)を測定装置として用い、全長にランダム信号の記録を行った。次に、カートリッジを50℃、80%RH環境下に7日間保存した。カートリッジを1日常温に保存した後、全長の再生を行い、再生時の信号のError Rateを測定した。ERTの規格値は1*10−3以下である。
表1に実施例についての測定結果を、表2に比較例についての測定結果を示す。
Figure 0004626599
Figure 0004626599
表1より、非磁性支持体の両面に上記材料からなる膜を設け、さらに易接着層を適切な厚みで塗布したものは、硬化工程によるロール粘着もなく、接着強度も規格を満足した。テープとしての耐久性は50℃/80%RHで1週間保存後のMissing Pulseの個数が少なく、安定した特性が得られた。易接着層のTgおよび、−OH基濃度を請求項の範囲内で実施したテープの保存後Error Rateは規格値を満足し、走行耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることができた。
易接着層を全く設けていない比較例1、易接着層が本発明で規定している厚み範囲から薄いほうに外れている比較例3は、接着強度が規格を満足しなかった。また、易接着層のガラス転移温度Tgが本発明で規定している下限より低い比較例4、5は、それぞれ初期保存後のMissing Pulseが多く、また保存後Error Rateの上昇が見られて、走行耐久性に問題があった。また、易接着層のガラス転移温度Tgが本発明で規定している上限より高い比較例6は、接着強度が規格を満足することができなかった。
易接着層が本発明で規定している厚み範囲から厚いほうに外れている比較例2は硬化時のロール粘着が激しくテープを製造することが困難であった。比較例7のように、−OH基濃度が0.03mmol/gと少ない場合、接着強度が低く規格を満足することができなかった。また、比較例5のように、−OH基濃度が0.20mmol/gと多い場合、接着強度は規格を満足するが、保存後のMP個数が増加し規格を満足することができなかった。
本発明に係る磁気記録媒体の構成を示す断面図である。
符号の説明
1・・・非磁性支持体、1a・・・プラスチックフィルム、1b・・・強化膜、2・・・易接着層、3・・・磁性層、5・・・バック層、7・・・非磁性中間層

Claims (1)

  1. ベースフィルムの両面に金属、合金またはその酸化物のいずれか単体あるいはこれらの複合材料からなる強化膜が形成された非磁性支持体と、該非磁性支持体の一方の面に設けられる非磁性材料からなる非磁性中間層及び強磁性粉末と結合剤からなる磁性層と、他方の面に設けられるバック層とを備える磁気記録媒体において、
    前記強化膜と非磁性中間層との間、及び強化膜とバック層との間に、接着を確保するための樹脂からなる易接着層を設け
    前記易接着層の厚さが、5〜50nmであり、
    前記易接着層のガラス転移温度Tgが、50〜90℃であり、
    前記易接着層は、芳香族系ポリエステル樹脂または芳香族系ポリウレタン樹脂を含み、
    前記易接着層の樹脂に、濃度0.05〜0.18mmol/gでOH基が導入されていることを特徴とする磁気記録媒体。
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