JP2011186043A - カラーフィルタ用青色顔料及びカラーフィルタ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、カラーフィルタの青色画素部の調製に用いた際に、高温においても長時間に亘って明るい画像表示が可能となる液晶表示装置等を提供できるカラーフィルタ用青色顔料及びそれを青色画素部に含有してなるカラーフィルタに関する。
液晶表示装置等のカラーフィルタは、赤色画素部(R)、緑色画素部(G)及び青色画素部(B)を有する。これらの各画素部は、いずれも有機顔料が分散した合成樹脂の薄膜が基板上に設けられた構造であり、有機顔料としては、赤、緑及び青の各色の有機顔料が用いられている。
これら画素部のうち、青色画素部を形成するための青色有機顔料としては、一般に、ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)が用いられており、必要に応じて調色のために、これに紫色有機顔料のジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)が少量併用されている。
これら画素部のうち、青色画素部を形成するための青色有機顔料としては、一般に、ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)が用いられており、必要に応じて調色のために、これに紫色有機顔料のジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)が少量併用されている。
カラーフィルタを作成する際の有機顔料は、従来の汎用用途とは全く異なる特性、具体的には、液晶表示装置等の表示画面がよりハッキリ見える様にする(高コントラスト化)、或いは、同じく表示画面がより明るくなる様にする(高輝度化)等の要求がある。特に青色画素部(B)に用いる有機顔料には、高輝度化がとりわけ要求されている。
この様な高輝度化に対応するために、輝度の点においてはε型銅フタロシアニン顔料より優れた、トリアリールメタン染料をカラーフィルタの青色画素部に用いることが最近検討されてきている。
具体的に、特許文献1では、隣接して配置された異なる分光特性を有する複数の着色層を備え、該複数の着色層のうちの少なくとも1つの着色層はポリマー鎖に化学的に結合したトリフェニルメタン染料を含有するカラーフィルタが記載されている。特許文献2には、青色着色層に、トリフェニルメタン染料を含有する染料顔料複合型カラーフィルタが記載されている。
特許文献1の様なカラーフィルタにおいては、染料とバインダー樹脂層とが重合により化学的に結合しており、単に染料をバインダー樹脂に分散して形成した得た青色画素部に比べれば、より長い時間高温に曝されても輝度を維持できるが、その耐熱性は不充分であった。特許文献2の様なカラーフィルタにおいては、単に染料をバインダー樹脂に分散して形成した得た青色画素部であり、その耐熱性は極めて不充分であった。この様に、トリアリールメタン染料では、輝度の高温での劣化が激しく、実用性に乏しかった。
一方、トリアリールメタン染料の諸特性を改良したトリアリールメタン顔料が古くから知られている。典型的なトリアリールメタン顔料としては、塩基性トリアリールメタン染料であるビクトリアピュアブルーLを、リンモリブデン酸やリンタングステンモリブデン酸の様なヘテロポリ酸でレーキ化して得られたトリアリールメタン顔料である、C.I.ピグメントブルー1などが知られている。
しかしながら、これらトリアリールメタン顔料をカラーフィルタの青色画素部の調製に用いても、やはり200℃を超える高温の下では、依然として長時間に亘って満足のいく輝度を維持できず、耐熱性の点では不充分であるというのが実態である。
本発明が解決しようとする課題は、カラーフィルタの青色画素部の調製に用いた際に、高温においても長時間に亘って輝度に優れた液晶表示が可能となる液晶表示装置等を提供できるカラーフィルタ用青色顔料及びそれを青色画素部に含有してなるカラーフィルタを提供することにある。
本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、青色画素部に含めるトリアリールメタン顔料として、塩基性トリアリールメタン染料カチオンの対アニオンが、特定の元素群から選ばれる元素と酸素とを必須元素として含有するアニオンである場合に、選択的にカラーフィルタ青色画素部の輝度の耐熱性を大きく改善できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、下記一般式(I)で表される、塩基性トリアリールメタン染料の、タングステン、ケイ素、リンから選ばれるひとつないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンからなるカラーフィルタ用青色顔料。
また本発明は、上記一般式(I)記載のカラーフィルタ用青色顔料を青色画素部に含有してなるカラーフィルタを提供する。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料は、特定一般式(I)で表される様な、塩基性トリアリールメタン染料の特定の塩なので、液晶表示装置等のカラーフィルタの輝度の耐熱性を大きく改善できるという格別顕著な技術的効果を奏する。
本発明のカラーフィルタは、青色画素部に、特定一般式(I)で表される様な、塩基性トリアリールメタン染料の特定の塩を含有するので、長時間に亘りより明るい画像表示が可能な液晶表示装置等を提供できるという格別顕著な技術的効果を奏する。
本発明のカラーフィルタは、青色画素部に、特定一般式(I)で表される様な、塩基性トリアリールメタン染料の特定の塩を含有するので、長時間に亘りより明るい画像表示が可能な液晶表示装置等を提供できるという格別顕著な技術的効果を奏する。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明は、一般式(I)で表される、塩基性トリアリールメタン染料の、タングステン、ケイ素、リンから選ばれるひとつないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンからなるカラーフィルタ用青色顔料に関する。
本発明は、一般式(I)で表される、塩基性トリアリールメタン染料の、タングステン、ケイ素、リンから選ばれるひとつないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンからなるカラーフィルタ用青色顔料に関する。
〔但し、一般式(I)中、R1は同一でも異なっていても良い水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、もしくは炭素原子数7〜16のアラルキル基、X−は、タングステン、ケイ素、リンから選ばれるひとつないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有するが、モリブデンは含有しないアニオンである。〕
この際の塩基性トリアリールメタン染料としては、例えばC.I.ソルベントブルー2、同3、同4、同5、同6、同23、同43、同72、同124、C.I.ベーシックブルー7、同26が挙げられる。これらは一種類のものを単独で用いても二種以上の混合物で用いても良いが、色相面からC.I.ベーシックブルー7が好ましい。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料の原料となる塩基性トリアリールメタン染料は、上記一般式(I)で説明すると、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基などの炭素原子数7〜16のアラルキル基であっても良いが、少なくとも顔料とした際の着色力が高い点で、R1は、水素原子もしくはアルキル基であることが好ましく、なかでも水素原子もしくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素原子数1〜4の低級アルキル基であることが特に好ましい。
ちなみに、このC.I.ベーシックブルー7は、上記一般式(I)において、6つのR1のうち、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−が塩素イオンである塩基性トリアリールメタン染料である。これ自体は水溶性であり染料であるため、カラーフィルタ用には適さない。それゆえ、後記するレーキ化により、染料中の塩素イオンであるX−を別のアニオンに置換し水不溶性の顔料とする。
一般式(I)におけるアニオンX−は、タングステン、ケイ素、リンから選ばれるひとつないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンを表す。但し、後記する技術的理由から、このアニオン中にはモリブデンが含まれてはならない。
アニオンX−のなかでも、タングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸もしくはイソポリ酸のアニオン、特に、リンタングステン酸、ケイタングステン酸及びタングステン系イソポリ酸のアニオンが好ましい。
この様なタングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸もしくはイソポリ酸のアニオンとしては、例えば、ケギン型リンタングステン酸イオンα−[PW12O40]3−、ドーソン型リンタングステン酸イオンα−[P2W18O62]6−、β−[P2W18O62]6−、ケギン型ケイタングステン酸イオンα−[SiW12O40]4−、β−[SiW12O40]4−、γ−[SiW12O40]4−、さらにその他の例として[P2W17O61]10−、[P2W15O56]12−、[H2P2W12O48]12−、[NaP5W30O110]14−、α−[SiW9O34]10−、γ−[SiW10O36]8−、α−[SiW11O39]8−、β−[SiW11O39]8−、[W6O19]2−、[W10O32]4−、WO4 2−等が挙げられる。
また、タングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸もしくはイソポリ酸のアニオン以外のアニオンX−のなかでは、ケイ素、リンから選ばれる元素と、酸素とからなるアニオンが好ましい。
この様なケイ素、リンから選ばれる元素と、酸素とからなるアニオンとしては、SiO3 2−、PO4 3−が挙げられる。
特に合成とレーキ化の後処理の容易さから、ケギン型リンタングステン酸イオン、ドーソン型リンタングステン酸イオン、ケギン型ケイタングステン酸イオン等のヘテロポリ酸アニオン、[W10O32]4−等のイソポリ酸アニオンが好ましい。
逆にアニオンX−として、上記元素群に含まれないモリブデンを含有するアニオンは、輝度Yの高温での劣化が激しく、カラーフィルタ用の顔料としては好ましくない。このようなアニオンとしては、例えば、α−[PMo12O40]3−、α−[PW11MoO40]3−、α−[PW9Mo3O40]3−、α−[PW3Mo9O40]3−、α−[SiMo12O40]4−、α−[P2Mo18O62]6−、[Mo2O7]2−、[Mo6O19]2−、[Mo8O26]4−等が挙げられる。
レーキ化には、塩基性トリアリールメタン染料と共に、上記特定の元素から選ばれるひとつないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンを供給する化合物は、公知慣用の方法で製造したり、市販品をそのまま用いることが出来る。この様な化合物としては、例えば、対応するヘテロポリ酸塩、イソポリ酸塩、或いは珪酸塩、燐酸塩等が挙げられる。これら各種塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム等の一価金属塩であることが、水溶性に優れ、後記するレーキ化が容易となるので好ましい。
本発明の顔料は、一般式(I)の顔料構造全体の分子量のうちの、塩基性トリアリールメタン染料由来構造のカチオン部分の分子量が大きいほど、色相としては好ましいものとなることが予想されるため、高温での輝度の耐熱性が満足できる場合には、それの対アニオンX−の分子量は出来るだけ小さくなる様にすることが好ましい。この様な観点から、上記特定の元素から選ばれるひとつないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンを供給する化合物を選択することが好ましい。
尚、本発明の顔料を得るに当たって用いる、アニオンX−を供給する化合物は、一種類のものを単独で用いても二種以上の混合物で用いても良い。アニオンX−を供給する上記した化合物として二種以上の混合物を用いて後記するレーキ化を行った場合には、異なるアニオンX−を有する本発明の顔料の混合物となる。もちろん、レーキ顔料を製造する時点でX−を予め混合しておいてレーキ化しても良いし、別々にレーキ顔料を製造しておいて、後から混合しても良い。
一般式(I)で表されるカラーフィルタ用青色顔料は、特定の塩基性トリアリールメタン染料を、特定の元素から選ばれるひとつないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有する化合物でレーキ化することで得ることが出来る。
このレーキ化は、例えば、特定の塩基性トリアリールメタン染料を水に溶解させて水溶液とした後、この水溶液と、特定の元素から選ばれるひとつないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有する化合物またはその水溶液や水分散液とを、理論的には等モル比とし、必要に応じて加熱しながら撹拌混合することで、対応する一般式(I)の顔料が生成する。レーキ化が進むにつれ、顔料が析出してくるため、その析出が完了したところで、濾過を行い次いで固形物を洗浄濾別することで、一般式(I)の顔料のウエットケーキが得られる。ウエットケーキは、乾燥粉砕することでパウダー状またはグラニュール状の乾燥顔料とすることが出来る。本発明の顔料は、これらウエットケーキ、乾燥粉体のいずれの形態でも、カラーフィルタの調製に用いることが出来る。
本発明の顔料は、カラーフィルタ用顔料であるため、金属やイオン成分が、極力、当該顔料中に含まれていないことが、良好なコントラストや輝度を長期間に亘り維持した画像表示を液晶表示装置で行うためには好ましい。特に、塩化物塩となった塩基性トリアリールメタン染料と、ナトリウム塩となった上記アニオンを供給する化合物を用いた場合には、レーキ化に伴い塩化ナトリウムが生成するため、注意深くそれを除去精製することが求められる。
この洗浄の目安は、例えば、洗浄水の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまでである。この精製に当たっては、アルカリ洗浄、酸洗浄、有機溶剤洗浄による精製のほか、イオン交換膜による精製を用いることもできる。
上記した濾別、洗浄後の乾燥としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、顔料の脱水及び/又は脱溶剤をする回分式あるいは連続式の乾燥等が挙げられ、乾燥機としては一般に箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等がある。また、乾燥後の粉砕は、比表面積を大きくしたり一次粒子の平均粒子径を小さくするための操作ではなく、例えば箱型乾燥機、バンド乾燥機を用いた乾燥の場合の様に顔料がランプ状等となった際にその顔料を解して粉体化するために行うものであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕等が挙げられる。
こうして得られた顔料は、レーキ化後、顔料の一次粒子の平均粒子径が100nm以下の場合は、特段の後工程を経ずにそのままカラーフィルタ用顔料として用いることが可能であるが、平均粒子径が100nmより大きい場合には、ニーダー、ミックスマーラー、スーパーミキサー、トリミックス、KCKミル、フーバーマーラー等で顔料粒子をより細かくしてから用いることが好ましい。
本発明において上記平均粒子径とは、次の様に測定される。まず、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上の、凝集体を構成する一次粒子の50個につき、個々の粒子の内径の最長の長さ(最大長)を求める。個々の粒子の最大長の平均値を一次粒子の平均粒子径とする。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料は、それ単独で用いても、その他の公知慣用の青色有機顔料や紫色有機顔料と併用して用いることも出来る。この様な青色有機顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15:6、同60が、紫色有機顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット23等が挙げられる。
本発明のカラーフィルタ用顔料は、従来公知の方法でカラーフィルタ青色画素部の形成に使用することができる。
本発明にかかるカラーフィルタ用顔料の分散方法で代表的な方法としては、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する光硬化性組成物を、カラーフィルタ用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
赤色、緑色、青色の色ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色、緑色、青色の着色画素部を有するカラーフィルタを製造することができる。本発明のカラーフィルタ用顔料からは、青色画素部を形成することができる。尚、赤色画素部および緑色画素部を形成するための光硬化性組成物を調製するには、公知慣用の赤色顔料と緑色顔料を使用することができる。
赤色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177、同209、同242、同254等が、緑色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、同10、同36、同47、同58等が挙げられる。これら赤色画素部と緑色画素部の形成には、黄色顔料を併用することもできる。その後、必要に応じて、未反応の光硬化性化合物を熱硬化させるために、カラーフィルタ全体を加熱処理(ポストベーク)することもできる。
後記する光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
透明基板に塗布した光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。また、光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、あるいは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用できる。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルタは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、90〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、カラーフィルタが完成する。
カラーフィルタの青色画素部を形成するための光硬化性組成物は、本発明のカラーフィルタ用顔料と、分散剤と、光硬化性化合物と、有機溶剤とを必須成分とし、必要に応じて熱可塑性樹脂を用いて、これらを混合することで調製することができる。青色画素部を形成する着色樹脂皮膜に、カラーフィルタの実生産で行われるベーキング等に耐え得る強靱性等が要求される場合には、前記光硬化性組成物を調製するに当たって、光硬化性化合物だけでなく、この熱可塑性樹脂を併用することが不可欠である。熱可塑性樹脂を併用する場合には、有機溶剤としては、それを溶解するものを使用するのが好ましい。
前記光硬化性組成物の製造方法としては、本発明のカラーフィルタ用顔料と、有機溶剤と分散剤とを必須成分として使用し、これらを混合し均一となる様に攪拌分散を行って、まずカラーフィルタの青色画素部を形成するための顔料分散液を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて前記光硬化性組成物とする方法が一般的である。ここで分散剤、有機溶剤は、前記のものが使用可能である。
前記顔料分散液の調製に使用される分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の適宜の分散剤を使用することができるが、降伏値の小さい顔料分散液を得る意味においてはポリマー分散剤が好ましい。本発明においてポリマー分散剤は、主鎖の構造が何かで分類し呼称するものとする。発明におけるポリマー分散剤としては、直鎖状、多分岐状であるポリマー、具体的には、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができるが、なかでもポリウレタン樹脂が、輝度の耐熱性の水準が、その他の構造からなるポリマー分散剤よりも高いので好適である。
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182、Disperbyk−2155、Disperbyk−2164(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース24000、ソルスパース37000、ソルスパース56000、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB823、アジスパーPB824、アジスパーPB827、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等を挙げることができる。
この様なポリマー分散剤としては、本発明においてはポリウレタン樹脂の一種に分類される、幹ポリマーとして、直鎖状(リニアー)ポリウレタン1分子に、枝ポリマーとして、ポリエステル及び/又はポリエーテルからなる2分子以上がグラフト結合した構造の櫛型ポリマーは、カラーフィルタとした際の輝度の耐熱性の水準が、幹ポリマー部がポリエチレンイミン、枝ポリマー部がε−カプロラクトンの開環重合体で構成される櫛型ポリマーの様な、その他の構造からなるポリマー分散剤に比べて、高いので最適である。
当該ポリウレタン樹脂に含まれるポリエステル構造としては、例えばヒドロキシカルボン酸の縮合ポリエステルや、各種ジオールと各種ジカルボン酸の縮合ポリエステルや、ε−カプロラクトンの開環重合体が、一方、同ポリエーテル構造としては、例えばエチレンオキサイド開環重合体、プロピレンオキサイド開環重合体、テトラヒドロフラン開環重合体、或いはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランから選ばれる二種以上のランダムかブロック開環共重合体が挙げられる。
上記最適なポリマー分散剤は、幹ポリマー中のウレタン結合が顔料吸着部として、枝ポリマーのポリエステル及び/又はポリエーテルが樹脂相溶部(例えば、後記する光硬化性化合物や必要に応じて併用される熱可塑性樹脂等に対して相溶性がある部分)として主に機能し、上記優れた耐熱性を特異的に発現する。もちろん、カルボキシル基が塩基で中和された塩やアミノ基が酸で中和された塩の様なイオン化した原子団を含んでいれば、これらも副次的に顔料吸着部や樹脂相溶部として機能する。上記した最適なポリマー分散剤としては、Disperbyk−182、Disperbyk−2164がある。
顔料分散液を調製する際の分散剤の含有量は、画素に適切な強度をもたせる等の理由から、顔料100質量部に対して、通常、100質量部以下、好ましくは0.5〜100質量部、さらに好ましくは1〜70質量部、特に好ましくは10〜60質量部である。
光硬化性組成物の調製に使用することができる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス〔(メタ)アクリロキシエトキシ〕ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエトキシ〕イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。市販の光重合開始剤としては、たとえば、チバスペシャルティーケミカルズ社製「イルガキュア(商標名)−184」、「イルガキュア(商標名)−369」、「ダロキュア(商標名)−1173」、BASF社製「ルシリン−TPO」、日本化薬社製「カヤキュアー(商標名)DETX」、「カヤキュアー(商標名)OA」、ストーファー社製「バイキュアー10」、「バイキュアー55」、アクゾー社製「トリゴナールPI」、サンド社製「サンドレー1000」、アップジョン社製「デープ」、黒金化成社製「ビイミダゾール」などがある。
また上記光重合開始剤に公知慣用の光増感剤を併用することもできる。光増感剤としては、たとえば、アミン類、尿素類、硫黄原子を有する化合物、燐原子を有する化合物、塩素原子を有する化合物またはニトリル類もしくはその他の窒素原子を有する化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光重合開始剤の配合率は、特に限定されるものではないが、質量基準で、光重合性あるいは光硬化性官能基を有する化合物に対して0.1〜30%の範囲が好ましい。0.1%未満では、光硬化時の感光度が低下する傾向にあり、30%を超えると、顔料分散レジストの塗膜を乾燥させたときに、光重合開始剤の結晶が析出して塗膜物性の劣化を引き起こすことがある。
前記した様な各材料を使用して、質量基準で、本発明のカラーフィルタ用顔料100部当たり、300〜1000部の有機溶剤と、1〜100部の分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記顔料分散液を得ることができる。次いでこの顔料分散液に、本発明のカラーフィルタ用顔料1部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が3〜20部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルタ青色画素部を形成するための光硬化性組成物を得ることができる。
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することができる。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルタ青色画素部の形成に効果的である。
顔料分散法のうち、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ青色画素部の製造方法について詳記したが、本発明のカラーフィルタ用顔料を使用して調製されたカラーフィルタ青色画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法、インクジェット法、反転印刷法、熱硬化法等の方法で青色画素部を形成して、カラーフィルタを製造してもよい。
カラーフィルタは、赤色顔料、緑色顔料、ならびに本発明のカラーフィルタ用顔料を使用して得た各色の光硬化性組成物を使用し、平行な一対の透明電極間に液晶材料を封入し、透明電極を不連続な微細区間に分割すると共に、この透明電極上のブラックマトリクスにより格子状に区分けされた微細区間のそれぞれに、赤、緑および青のいずれか1色から選ばれたカラーフィルタ着色画素部を交互にパターン状に設ける方法、あるいは基板上にカラーフィルタ着色画素部を形成した後、透明電極を設ける様にすることで得ることができる。
本発明のカラーフィルタ用顔料は、鮮明性と明度、優れたより赤味の色相を有する青色顔料であり、カラーフィルタ用途の他、塗料、プラスチック(樹脂成型品)、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、静電荷像現像用トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写インキ等の着色にも適用することができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、いずれも質量基準である。
<ドーソン型リンタングステン酸溶液の合成>
タングステン酸ナトリウム二水和物(和光純薬株式会社製試薬)45.5部、89.1%リン酸(東京化成株式会社製試薬)60.8部を232.2部の水に溶解し、7時間加熱還流した。臭素水を4滴投入後冷却し、得られた淡黄色溶液をそのまま後記するレーキ顔料化工程で使用した。この淡黄色溶液を31PNMRにて分析したところ、α体、β体のドーソン型リンタングステン酸イオンのみが検出され、2種のヘテロポリ酸の混合物であることが確認できた。
<ドーソン型リンタングステン酸レーキ顔料P2W18の合成>
C.I.ベーシックブルー7(東京化成株式会社製試薬)19.5部を水1200部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。該溶液に上記した淡黄色溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、1000部の水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が50.5部得られた。該固体を市販のジューサーにて粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がリンタングステン酸からなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料を得た。
タングステン酸ナトリウム二水和物(和光純薬株式会社製試薬)45.5部、89.1%リン酸(東京化成株式会社製試薬)60.8部を232.2部の水に溶解し、7時間加熱還流した。臭素水を4滴投入後冷却し、得られた淡黄色溶液をそのまま後記するレーキ顔料化工程で使用した。この淡黄色溶液を31PNMRにて分析したところ、α体、β体のドーソン型リンタングステン酸イオンのみが検出され、2種のヘテロポリ酸の混合物であることが確認できた。
<ドーソン型リンタングステン酸レーキ顔料P2W18の合成>
C.I.ベーシックブルー7(東京化成株式会社製試薬)19.5部を水1200部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。該溶液に上記した淡黄色溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、1000部の水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が50.5部得られた。該固体を市販のジューサーにて粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がリンタングステン酸からなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料を得た。
<ケギン型リンタングステン酸レーキ顔料PW12の合成>
C.I.ベーシックブルー7(同上)16.1部を水1200部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。該溶液にケギン型リンタングステン酸水和物(アルドリッチ社製試薬)43.0部を水400部に溶解させた溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、1000部の水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が50.2部得られた。該固体を市販のジューサーにて粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がリンタングステン酸からなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料を得た。
C.I.ベーシックブルー7(同上)16.1部を水1200部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。該溶液にケギン型リンタングステン酸水和物(アルドリッチ社製試薬)43.0部を水400部に溶解させた溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、1000部の水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が50.2部得られた。該固体を市販のジューサーにて粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がリンタングステン酸からなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料を得た。
<ケギン型ケイタングステン酸レーキ顔料SiW12の合成>
C.I.ベーシックブルー7(同上)20.4部を水1200部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。該溶液にケギン型ケイタングステン酸水和物(和光純薬株式会社製試薬)39.4部を水400部に溶解させた溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、1000部の水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が51.0部得られた。該固体を市販のジューサーにて粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がケイタングステン酸からなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料を得た。
C.I.ベーシックブルー7(同上)20.4部を水1200部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。該溶液にケギン型ケイタングステン酸水和物(和光純薬株式会社製試薬)39.4部を水400部に溶解させた溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、1000部の水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が51.0部得られた。該固体を市販のジューサーにて粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がケイタングステン酸からなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料を得た。
<イソポリ酸W10O32の合成>
タングステン酸ナトリウム二水和物(同上)3.30部を水20.6部に溶解し、攪拌しながら加熱還流させた。この溶液に35%塩酸(和光純薬株式会社製試薬)2.08部を水5.18部で希釈した塩酸を、攪拌下滴下した。そのまま加熱還流を3分間継続し、冷却しタングステン系イソポリ酸溶液を得た。(参考文献:M.Fournier著, Inorganic Syntheses, 27巻、p81, 1992年)
<イソポリ酸系レーキ顔料の合成(W10O32)>
C.I.ベーシックブルー7(同上)1.71部を水80部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。該溶液に上記で得られたイソポリ酸溶液を5分間かけて滴下し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、100部の水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が3.69部得られた。該固体を乳鉢で粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−が1/4 W10O32 −からなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料を得た。
タングステン酸ナトリウム二水和物(同上)3.30部を水20.6部に溶解し、攪拌しながら加熱還流させた。この溶液に35%塩酸(和光純薬株式会社製試薬)2.08部を水5.18部で希釈した塩酸を、攪拌下滴下した。そのまま加熱還流を3分間継続し、冷却しタングステン系イソポリ酸溶液を得た。(参考文献:M.Fournier著, Inorganic Syntheses, 27巻、p81, 1992年)
<イソポリ酸系レーキ顔料の合成(W10O32)>
C.I.ベーシックブルー7(同上)1.71部を水80部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。該溶液に上記で得られたイソポリ酸溶液を5分間かけて滴下し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、100部の水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が3.69部得られた。該固体を乳鉢で粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−が1/4 W10O32 −からなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料を得た。
<PW12 / SiW12併用系レーキ顔料の合成>
C.I.ベーシックブルー7(同上)1.71部を水80部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。下表に示した量のケギン型リンタングステン酸水和物(同上)とケギン型ケイタングステン酸水和物(同上)を水20部に溶解させた溶液を、該溶液に、5分間かけて滴下し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、100部の水で3回洗浄した。得られた黒青色固体を90℃で乾燥させた後秤量した。ついで該固体を乳鉢で粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がリンタングステン酸及びケイタングステン酸の両アニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料混合物を得た。
C.I.ベーシックブルー7(同上)1.71部を水80部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。下表に示した量のケギン型リンタングステン酸水和物(同上)とケギン型ケイタングステン酸水和物(同上)を水20部に溶解させた溶液を、該溶液に、5分間かけて滴下し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、100部の水で3回洗浄した。得られた黒青色固体を90℃で乾燥させた後秤量した。ついで該固体を乳鉢で粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がリンタングステン酸及びケイタングステン酸の両アニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料混合物を得た。
〔比較例1〕
<ケギン型ケイモリブデン酸レーキ顔料SiMo12の合成>
C.I.ベーシックブルー7(同上)26.4部を水1200部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。ケギン型ケイモリブデン酸水和物(和光純薬製試薬)37.7部を水400部に溶解させた溶液を、該溶液に投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、1000部の水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が50.9部得られた。該固体を市販のジューサーにて粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がケギン型ケイモリブデン酸イオンからなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料とした。
<ケギン型ケイモリブデン酸レーキ顔料SiMo12の合成>
C.I.ベーシックブルー7(同上)26.4部を水1200部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。ケギン型ケイモリブデン酸水和物(和光純薬製試薬)37.7部を水400部に溶解させた溶液を、該溶液に投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、1000部の水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が50.9部得られた。該固体を市販のジューサーにて粉砕して、一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がケギン型ケイモリブデン酸イオンからなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料とした。
尚、これら各実施例及び各比較例での洗浄では、洗浄水の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となった。また、各実施例及び各比較例で得られたレーキ顔料は、いずれも平均粒子径が100nm以下であったので、特段の後工程を経ずにそのままカラーフィルタ用顔料として用いた。
実施例1で得られたレーキ顔料1.80部、ビックケミー(BYK)社製Disperbyk−2164 2.10部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート11.10部、 0.3−0.4mmφセプルビーズをポリビンに入れ、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散し、顔料分散液を得た。この顔料分散液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP(ユニオンカーバイド社製)13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルターで濾過し、カラーレジストを得た。このカラーレジストは50mm×50mm、1mmの厚ガラスに乾燥膜厚が2μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、その後90℃で20分間予備乾燥して塗膜を形成させ、青色画素部を含むカラーフィルタとした。
実施例1のレーキ顔料を、実施例2で得られたレーキ顔料に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
実施例1のレーキ顔料を、実施例3で得られたレーキ顔料に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
実施例1のレーキ顔料を、実施例4で得られたレーキ顔料に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
実施例1のレーキ顔料を、実施例5のNO.1で得られたレーキ顔料に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
実施例1のレーキ顔料を、実施例5のNO.2で得られたレーキ顔料に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
実施例1のレーキ顔料を、実施例5のNO.3で得られたレーキ顔料に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
実施例1のレーキ顔料を、実施例5のNO.4で得られたレーキ顔料に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
〔比較例2〕
実施例1のレーキ顔料を、BASF社製FANAL BLUE D6340〔一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、アニオンがリンタングステンモリブデン酸イオンである。〕に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
実施例1のレーキ顔料を、BASF社製FANAL BLUE D6340〔一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、アニオンがリンタングステンモリブデン酸イオンである。〕に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
〔比較例3〕
実施例1のレーキ顔料を、BASF社製FANAL BLUE D6390〔一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、アニオンがリンモリブデン酸イオンである。〕に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
実施例1のレーキ顔料を、BASF社製FANAL BLUE D6390〔一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、アニオンがリンモリブデン酸イオンである。〕に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
〔比較例4〕
実施例1のレーキ顔料を、比較例1で得られたレーキ顔料〔一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がケギン型ケイモリブデン酸イオンからなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料〕に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
実施例1のレーキ顔料を、比較例1で得られたレーキ顔料〔一般式(I)において、ナフタレン環に結合した窒素上のR1の一つは水素原子であり、残りのR1がいずれもエチル基であり、X−がケギン型ケイモリブデン酸イオンからなるアニオンであるトリアリールメタン系レーキ顔料〕に代えて同様にカラーフィルタを作成した。
カラーフィルタ評価
各実施例及び各比較例で作成した青色画素部を含むカラーフィルタを、170℃→190℃→210℃→230℃と順にそれぞれ30分間ずつ昇温処理することでポストベークを行った。170℃までの昇温を行ったサンプル、190℃までの昇温を行ったサンプル、210℃までの昇温を行ったサンプル、230℃までの昇温を行ったサンプルについて、それぞれ輝度Yを測定した。そして、170℃でのポストベーク前と、230℃でのポストベーク後の青色画素部の輝度Yの値を、それぞれ下表に記載した。
各実施例及び各比較例で作成した青色画素部を含むカラーフィルタを、170℃→190℃→210℃→230℃と順にそれぞれ30分間ずつ昇温処理することでポストベークを行った。170℃までの昇温を行ったサンプル、190℃までの昇温を行ったサンプル、210℃までの昇温を行ったサンプル、230℃までの昇温を行ったサンプルについて、それぞれ輝度Yを測定した。そして、170℃でのポストベーク前と、230℃でのポストベーク後の青色画素部の輝度Yの値を、それぞれ下表に記載した。
本発明のレーキ顔料から作成したカラーフィルタは、いずれも、230℃でのポストベーク後において、従来よりも輝度Yの値の低下を小さく維持することができることは明らかである。
各実施例及び各比較例で作成した青色画素部を含むカラーフィルタは、190℃までの昇温では、いずれも輝度Yは同等水準を保持しているが、210℃まで昇温を行ったサンプルでは各比較例のカラーフィルタの輝度Yが各実施例のそれらに比べて低下してくる。特に、230℃までの昇温を行ったサンプルでは各比較例のカラーフィルタの輝度Yは、各実施例のそれらに比べて著しく低下していた。
各実施例及び各比較例で作成した青色画素部を含むカラーフィルタは、190℃までの昇温では、いずれも輝度Yは同等水準を保持しているが、210℃まで昇温を行ったサンプルでは各比較例のカラーフィルタの輝度Yが各実施例のそれらに比べて低下してくる。特に、230℃までの昇温を行ったサンプルでは各比較例のカラーフィルタの輝度Yは、各実施例のそれらに比べて著しく低下していた。
特に、ドーソン型リンタングステン酸やケギン型ケイタングステン酸をアニオンとして含有する本発明のレーキ顔料は、ポストベーク前後の比較においてポストベーク後の輝度Yの方がむしろ高い値を示しており、極めて特異な特徴を示しており、耐熱性が極めて高いことがわかる。
Claims (5)
- アニオンが、タングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸もしくはイソポリ酸のアニオンである請求項1記載のカラーフィルタ用青色顔料。
- アニオンがリンタングステン酸、ケイタングステン酸及びタングステン系イソポリ酸のアニオンである請求項2記載のカラーフィルタ用青色顔料。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用青色顔料を青色画素部に含有してなるカラーフィルタ。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用青色顔料とポリウレタン樹脂とを青色画素部に含有してなるカラーフィルタ。
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