JP2011154935A - 横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックおよび燃料電池 - Google Patents

横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックおよび燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】先端部が破壊されにくく、ガス排出側の多孔質支持体の酸化を抑制することができる、横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック及びそれを用いた燃料電池を提供する。
【解決手段】長手方向に沿って燃料ガスを流すためのガス流路12を内部に備え、一端側に前記ガス流路12の燃料ガス導入口を有し、他端側に前記ガス流路の燃料ガス排出口を有してなる電気絶縁性の多孔質支持体11上に、燃料極層、固体電解質層13bおよび空気極層13cが順次積層された多層構造を有する燃料電池セル13が、前記多孔質支持体11の長手方向に沿って複数配置されてなる横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック1aであって、前記多孔質支持体11の他端側領域上の少なくとも一部に、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を主成分として含有する無機被膜25を設ける。
【選択図】図2

Description

本発明は、横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックおよびそれを用いた燃料電池に関する。
近年、エネルギー変換段数を少なくし、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する高い発電効率を有する発電方法として、燃料電池が注目されている。とりわけ、固体酸化物形燃料電池は、発電温度が600℃〜1000℃と高く、電池内の内部抵抗が小さいため、燃料電池の中で最も発電効率が高く、さらに残燃料を利用してガスタービンによるさらなる発電、あるいはコージェネレーション用の熱源として用いることができ、化学エネルギーを高い変換効率で電気エネルギーに変換できる特性を有する。特に横縞型固体酸化物形燃料電池は、少ない燃料電池セルスタックの本数で高い電圧を得られるが、室温と高い稼動温度との間のヒートサイクルによって生じる熱応力に強い燃料電池セルスタックとする必要がある。
従来の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックは、長手方向に沿って燃料ガスを流すためのガス流路を内部に備え、一端側に前記ガス流路の燃料ガス導入口を有し、他端側に前記ガス流路の燃料ガス排出口を有してなる電気絶縁性の多孔質支持体上に、燃料極層、固体電解質層および空気極層が順次積層された多層構造の燃料電池セルを複数個有する。
このような横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックでは、上記のようなヒートサイクルの繰り返しによって、燃料ガス排出口である他端側が破壊する場合があるという問題がある。例えば、発電までの起動時間を短くするために急激に900℃付近の温度まで加熱し、室温まで降温する操作(ヒートサイクル)を繰り返したり、あるいは、燃料ガス排出口から排出される燃料ガスを燃焼させ、ついで燃料ガスの供給を止めて室温まで降温させる操作(ヒートサイクル)を繰り返したりすると、燃料ガス排出口である他端側が早期に破壊する場合がある。
このような問題を解決するために、特許文献1には、多孔質支持体の燃料ガス排出側の端面の角部を面取りすることが提案されている。
特許文献2には、燃料ガス排出口の周囲における多孔質支持体にジルコニアを主成分とする無機成分を含浸させることが提案されている。
また、特許文献3には、酸素含有ガスによる酸化膨張を防止するために、燃料ガス排出側の端面および燃料ガス排出口近傍の多孔質支持体における燃料ガス流路の内面に、Y23が固溶したZrO2(以下、YSZという場合がある。)等の緻密な無機被覆膜を形成することが提案されている。
特開2004−234969号 特開2004−259604号 特開2006−59789号
しかしながら、特許文献1〜3に記載のような燃料電池では、前記したようなヒートサイクルの繰り返しにより、燃料ガス排出側の多孔質支持体端部が破壊される(具体的には縦割れする)のを抑制するのに充分でなく、当該端部が破壊されやすいという問題がある。
そこで、本発明は、ヒートサイクルの繰り返しによって燃料ガス排出側の多孔質支持体端部が破壊されにくい横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック及びそれを用いた燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねる過程で、上記のように、ヒートサイクルにより燃料ガス排出側の多孔質支持体端部が破壊されるのは、燃焼中に多孔質支持体の端部側とそれ以外の領域との間で大きな温度差を伴うことで端部側に熱応力が生じ、多孔質支持体が強度的に耐えられなくなるためではないかと推測した。従って、燃料ガス排出側の多孔質支持体の端部破壊を抑制するためには、当該多孔質支持体端部の高強度化および低熱膨張化が必要であると考え、鋭意研究を重ねた。その結果、多孔質支持体のガス排出側端部領域上の少なくとも一部に、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を主成分として含有する無機被膜を設けることにより、燃料ガス排出側の端部破壊が抑制された横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックを提供することができるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)長手方向に沿って燃料ガスを流すためのガス流路を内部に備え、一端側に前記ガス流路の燃料ガス導入口を有し、他端側に前記ガス流路の燃料ガス排出口を有してなる電気絶縁性の多孔質支持体上に、燃料極層、固体電解質層および空気極層が順次積層された多層構造を有する燃料電池セルが、前記多孔質支持体の長手方向に沿って複数配置されてなる横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックであって、前記多孔質支持体の他端側領域上の少なくとも一部に、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を主成分として含有する無機被膜が設けられていることを特徴とする横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック。
(2)前記多孔質支持体の他端における外周の角部が、面取りされていることを特徴とする前記(1)に記載の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック。
(3)前記無機被膜が、前記周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を、85mol%以上含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック。
(4)前記周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩が、フォルステライト(Mg2SiO4)、ステアタイト(MgSiO3)およびワラストナイト(CaSiO3)から選ばれる一種であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック。
(5)前記無機被膜が、前記周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を主成分として含有するスラリーを焼成して形成されたものである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックを収納容器内に複数収容してなることを特徴とする燃料電池。
本発明の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックは、ヒートサイクルを繰り返しても、多孔質支持体の燃料ガス排出側端部が破壊されにくく、耐久性、信頼性が向上するという効果がある。
本発明の一実施形態にかかる横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックの一部を破断して示す斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックの燃料ガス排出側の一端部を拡大して示す縦断面図である。 本発明の他の一実施形態にかかる横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックの燃料ガス排出側の一端部を拡大して示す縦断面図である。 本発明のさらに他の一実施形態にかかる横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックの燃料ガス排出側の一端部を拡大して示す縦断面図である。 本発明の一実施形態にかかる多孔質支持体成形体を示す縦断面図である。 (a)〜(i)は、本発明の一実施形態にかかる横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法を示す工程図である。
以下、本発明の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックおよびそれを用いた燃料電池の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック>
図1は、本実施形態にかかる横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック(以下、単に燃料電池セルスタックという場合がある。)の一部を破断して示す斜視図である。図2は、本実施形態にかかる横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックの燃料ガス排出側の端部の一部を拡大して示す縦断面図である。
図1に示すように、この燃料電池セルスタック1aは、中空平板状の電気絶縁性の多孔質支持体11の表裏面に、複数の燃料電池セル13を多孔質支持体11の長手方向に沿って複数個配置し、それらをセル間接続部材17を介して直列に接続した「横縞型」といわれるものである。
複数の燃料電池セル13は、図1に示すように、多孔質支持体11の表裏面に、その長手方向に所定間隔をおいて、配列されている。それぞれの燃料電池セル13は、集電燃料極層13d、活性燃料極層13a、固体電解質層13bおよび空気極層13cを順次積層した層構造となっており、活性燃料極層13a上にインターコネクタ17aが配置されている。
多孔質支持体11の表裏面における互いに隣接する燃料電池セル13同士は、セル間接続部材17により直列に接続されている(図2参照)。すなわち、一方の燃料電池セル13の活性燃料極層13aの上にインターコネクタ17aが形成され、このインターコネクタ17aは、長手方向両端部を含めその周囲が固体電解質層13bによりガスシール状態で被覆され、固体電解質層13bから帯状に露出している。このインターコネクタ17aの露出した部分がセル接続材17bにより被覆され、このセル接続材17bが、他方の燃料電池セル13の空気極層13c上に形成され、これにより、燃料電池セル13同士が直列に電気的に接続された構造となっている。
多孔質支持体11は多孔質であり、さらにその内部には、内径の小さな複数のガス流路12が、隔壁51で隔てられて長手方向に延びるようにして貫通して設けられている。前記ガス流路12の数は、発電性能および構造強度の点から、例えば3〜20個が好ましく、6〜17個であるのがより好ましい。このように、多孔質支持体11の内部にガス流路12を複数形成することにより、多孔質支持体11の内部に大きなガス流路を1本形成する場合に比べて、多孔質支持体11を扁平板状とすることができ、燃料電池セル1の体積当たりの燃料電池セル13の面積を増加し発電量を大きくすることができる。よって、必要とする発電量を得るための燃料電池セル本数を減らすことができる。
このガス流路12内に燃料ガス(水素ガス)を流し、かつ空気極層13cを空気等の酸素含有ガスに曝すことにより、活性燃料極層13aおよび空気極層13c間で下記式(i)および(ii)に示す電極反応が生じ、両極間に電位差が発生し、発電するようになっている。
Figure 2011154935
また、燃料電池セルスタック1aの燃料ガス排出側の多孔質支持体11のガス流路12の内部を含めた端部領域上の少なくとも一部に、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を主成分として含有する無機被膜25が設けられている。
ここで、上記端部領域とは、図2に示すように、多孔質支持体11の燃料ガス排出側の端部おけるガス流路12の内面から端面を経て外面を含む領域をいう。本発明においては、これらの領域の全面に無機被膜25を設けてもよいが、ヒートサイクルにおいて、多孔質支持体の燃料ガス排出側端部の破壊を抑制しうる限り、該領域の少なくとも一部、例えば上記端部の端面もしくはガス流路12の内面のみ、または端面とガス流路12の内面の両方、もしくは端面と外面の両方であってもよい。
さらに、燃料電池セルスタック1aは、図3および図4に示すように、多孔質支持体11の燃料ガス排出側の端面の外縁の角部が面取りされている形状とすることが好ましい。
図3に示す燃料電池セルスタック1bは、多孔質支持体11の燃料ガス排出側の端面の外縁の角部に、C面形状となるような面取りが施され、その表面に無機被膜25が設けられている。
図4に示す燃料電池セルスタック1cは、多孔質支持体11の燃料ガス排出側の端面の外縁の角部に、R面形状となるような面取りが施され、その表面に無機被膜25が設けられている。
具体的には、無機被膜25は、前述したとおりに設けられている。
多孔質支持体11の燃料ガス排出側の端面の外縁の角部を面取りすることにより、燃料ガス排出側の端部に熱応力が集中するのを緩和し、燃料電池セルスタックの製造時において、無機被膜25にクラックが生じることを抑制できる。さらに、燃料電池セルスタックの作製時や燃料電池セルスタックを収納してなる燃料電池装置の運転時に、燃料電池セルスタックが破損することを抑制することができる。
燃料電池セルスタック1bまたは1cにおいて、多孔質支持体11の燃料ガス排出側の端面の外縁の角部に施す面取りの大きさとしては、適宜設定することができるが、例えば、多孔質支持体11の厚みが2〜5mmの場合においては、多孔質支持体11の燃料ガス排出側の端部の強度等を考慮して、多孔質支持体11のガス流路12の燃料ガス排出側の端部から(ガス流路12の孔の端から)面取りの後の角部までの長さが少なくとも350μm以上となる大きさとすることが好ましい。
なお、図3および図4を挙げて具体的に多孔質支持体11の燃料ガス排出側である端面の外周の角部のC面形状、R面形状についての面取りを説明したが、上述のC面形状、R面形状の他、C面形状とR面形状の組み合わせ等、一般的に知られている面取り形状を、適宜設定することができる。
以下、燃料電池セルスタック1aを構成する各部材の材質を詳しく説明する。
(多孔質支持体11)
本発明に係る多孔質支持体11は、Mg酸化物(MgO)と、Ni若しくはNi酸化物(NiO)と、希土類元素酸化物とからなっている。なお、希土類元素酸化物を構成する希土類元素としては、Y、La、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prなどを例示することができ、希土類元素酸化物としては、例えばY23やYb23等が挙げられ、特にY23が好ましい。
MgOは70〜80体積%、希土類元素酸化物は10〜20体積%、NiあるいはNiO(NiOは、発電時には、通常、水素ガスにより還元されてNiとして存在する)は、NiO換算で10〜25体積%、特に15〜20体積%の範囲で多孔質支持体11中に含有されているのがよい。
この多孔質支持体11の熱膨張係数は、通常、10.5〜12.5×10-6(1/K)程度である。
多孔質支持体11は、燃料電池セル13間の電気的ショートを防ぐために電気絶縁性であることが必要であり、通常、10Ω・cm以上の抵抗率を有することが望ましい。Ni等の含量が前記範囲を超えると、電気抵抗値が低下し易い。また、Ni等の含量が前記範囲よりも少ないと、希土類元素酸化物(例えばY23)を単独で用いた場合と変わらなくなってしまい、燃料電池セル13との熱膨張係数の調整が困難となる傾向がある。
なお、前記多孔質支持体11は、ガス流路12内の燃料ガスを活性燃料極層13aの表面まで導入可能でなければならず、このため、多孔質であることが必要である。一般に、その開気孔率は25%以上、特に30〜40%の範囲にあるのがよい。
(燃料極層)
燃料極層は、前記式(ii)の電極反応を生じさせるものであり、本実施形態においては、固体電解質層13b側の活性燃料極層13aと、多孔質支持体11側の集電燃料極層13dとの二層構造に形成されている。
<活性燃料極層13a>
前記固体電解質層13b側の活性燃料極層13aは、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスから形成される。例えば、希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニア)と、Niおよび/又はNiO(以下、Ni等と呼ぶ)とからなる。この希土類元素が固溶した安定化ジルコニアとしては、後述する固体電解質層13bに使用されているものと同様のものを用いるのがよい。
活性燃料極層13a中の安定化ジルコニア含量は、35〜65体積%の範囲にあることが好ましく、またNi等の含量は、良好な集電性能を発揮させるため、NiO換算で65〜35体積%の範囲にあるのがよい。
さらに活性燃料極層13aの開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのがよい。
前記活性燃料極層13aの熱膨張係数は、通常、12.3×10-6(1/K)程度である。
また、固体電解質層13bとの熱膨張差に起因して発生する熱応力を吸収し、活性燃料極層13aの割れや剥離などを防止するという点から、活性燃料極層13aの厚みは、5〜15μmの範囲にあることが望ましい。
<集電燃料極層13d>
燃料極層のうち、前記多孔質支持体11側の集電燃料極層13dは、多孔質支持体11と同様、Ni若しくはNi酸化物と、希土類元素酸化物との混合体より形成させる。
前記Ni或いはNi酸化物(NiOは、発電時には、通常、水素ガスにより還元されてNiとして存在する)は、NiO換算で30〜60体積%の範囲で希土類元素酸化物中に含有されているのがよい。この範囲で調整することにより、多孔質支持体11と集電燃料極層13dとの熱膨張差を2×10-6(1/K)以下とすることができる。集電燃料極層13dは、電流の流れを損なわないように、導電性であることが必要であり、通常、400S/cm以上の導電率を有していることが望ましい。良好な電気伝導度を有するという点から、Ni等の含量は30体積%以上が望ましい。
この集電燃料極層13dの熱膨張係数は、通常、11.5×10-6(1/K)程度である。また、この集電燃料極層13dの厚みは、電気伝導度を向上するという点から、80〜200μmであることが望ましい。
以上のように、燃料極層を固体電解質層13b側の活性燃料極層13aと、多孔質支持体11側の集電燃料極層13dと二層に形成した構造であれば、多孔質支持体11側の集電燃料極層13dのNiO換算でのNi量或いはNiO量を30〜60体積%の範囲内で調整することにより、熱膨張係数を、後述する固体電解質層13bの熱膨張係数に近づけることができ、例えば両者の熱膨張差を2×10-6/(1/K)未満とすることができる。したがって、燃料電池セルスタック1aの作製時、加熱時、冷却時において両者の熱膨張差に起因して発生する熱応力を小さくすることができるため、燃料極層の割れや剥離などを抑制することができる。このため、燃料ガス(水素ガス)を流して発電を行う場合においても、多孔質支持体11との熱膨張係数の整合性は安定に維持され、熱膨張差による割れを有効に回避することができる。
(固体電解質層13b)
固体電解質層13bは、希土類またはその酸化物を固溶させたZrO2からなる安定化ZrO2からなる緻密質なセラミックスで構成されている。
ここで、固溶させる希土類元素またはその酸化物としては、例えばSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなど、または、これらの酸化物などが挙げられ、好ましくは、Y、Yb、または、これらの酸化物が挙げられる。また、固体電解質層13bは、8モル%のYが固溶している安定化ZrO2(8mol% Yttoria Stabilized Zirconia、以下、「8YSZ」という。)と熱膨張係数がほぼ等しいランタンガレート系(LaGaO3系)固体電解質層を挙げることもできる。 また、固体電解質層13bは、例えば、厚さが10〜100μmであり、例えば、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、好ましくは、95%以上の範囲に設定される。このような固体電解質層13bは、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有すると同時に、燃料ガスまたは酸素含有ガスのリーク(ガス透過)を防止するためにガス遮断性を有している。
(空気極層13c)
空気極層13cは、導電性セラミックスから形成されている。導電性セラミックスとしては、例えば、ABO3型のペロブスカイト型酸化物が挙げられ、このようなペロブスカイト型酸化物としては、例えば、遷移金属型ペロブスカイト酸化物、好ましくは、LaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物など、特にAサイトにLaを有する遷移金属型ペロブスカイト酸化物を挙げることができる。さらに好ましくは、600〜1000℃程度の比較的低温での電気伝導性が高いという観点から、LaCoO系酸化物が挙げられる。
前記したペロブスカイト型酸化物において、AサイトにLaおよびSrが共存してもよく、また、BサイトにFe、CoおよびMnが共存してもよい。
このような空気極層13cは、前記した式(i)の電極反応を生ずることができる。
空気極層13cの開気孔率は、例えば、20%以上、好ましくは、30〜50%の範囲に設定される。開気孔率が前記した範囲内にあれば、空気極層13cが良好なガス透過性を有することができる。
空気極層13cの厚さは、例えば、30〜100μmの範囲に設定される。前記した範囲内にあれば、空気極層13cが良好な集電性を有することができる。
(セル間接続部材17)
隣接する燃料電池セル部13同士を直列に接続するために使用されるセル間接続部材17は、一方の燃料電池セル13の活性燃料極層13aと隣接する他方の燃料電池セル13の空気極層13cとを電気的に接続するものであり、インターコネクタ17aとセル接続材17bとから構成され、これらは電気的に接続されている。
<インターコネクタ17a>
インターコネクタ17aは導電性セラミックスから形成されるが、燃料ガス(水素ガス)及び空気等の酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、かかる導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が使用される。また、多孔質支持体11内のガス流路12を通る燃料ガスと空気極層13cの外部を通る空気等の酸素含有ガスとのリークを防止するため、かかる導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度(アルキメデス法)を有していることが好適である。なお、インターコネクタ17aの端面と、固体電解質層13bの端面との間には、適当な接合層(例えばY23)を介在させることにより、シール性を向上させることもできる。
また、インターコネクタ17aとしては、金属層と、ガラスの入った金属ガラス層との二層構造としてもよい。金属層は、例えば、AgとNiの合金からなり、金属ガラス層は、Agとガラスからなる。前記金属ガラス層により、多孔質支持体11内のガス流路12を通る燃料ガスのセル接続材へのリーク、および空気極層13cの外部を通る酸素含有ガスの前記金属層へのリークを有効に防止することができる。
<セル接続材17b>
一方、セル接続材17bは多孔質とされている。セル接続材17bとしては、LaCoO3系等の導電性セラミック(例えば空気極材料)、Ag−Pd等の貴金属から構成された多孔質とすることができる。セル接続材17bの材料の空気極層13cへの塗布量が少ない場合にはセル接続材17bの材料が空気極層13cの気孔中に浸入し、層としては形成されない。特に、Ag−Pd等の貴金属はコスト低減のため塗布量が少ないため、空気極層13cは、空気極層材料とAg−Pd等の集電材料が混在して構成され、セル接続材17bは形成されない。一方、LaCoO3系等の導電性セラミックは、塗布量が多く、この場合には空気極層13c上にセル接続材17bが形成される。なお、空気極層13cがセル接続材17bを兼ねるものとしてもよい。この場合、一方の燃料電池セル13の活性燃料極層13a上に設けられたインターコネクタ17aに隣接する他方の燃料電池セル13の空気極層13cが接続されることで、隣り合う燃料電池セル13を電気的に直列に接続することができる。
さらに、空気極層13cとインターコネクタ17aとが電気的に接続されている場合であっても、空気極層13c上にセル接続材17bを設けることもできる。この場合、一方の燃料電池セル13内を流れる電流を、効率よく他方の燃料電池セル13に供給することができる。
(無機被膜25)
無機被膜25は、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を主成分として含有する。
周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩(以下、単にケイ酸塩と略す場合がある。)としては、例えば、周期律表第2族元素としてMgを含有するフォルステライト(Mg2SiO4)、ステアタイト(MgSiO3)、アケルマナイト(Ca2MgSiO7)、ディオプサイト(Ca2MgSiO6)や、周期律表第2族元素としてCaを含有するワラストナイト(CaSiO3)、アノーサイト(CaAl2Si28)、ゲーレナイト(Ca2Al2SiO7)、周期律表第2族元素としてBaを含有するセルシアン(BaAl2Si28)等を挙げることができ、燃料電池セルスタック1aを構成する各構成との熱膨張係数等を考慮して適宜選択して用いることが好ましい。特には、上記した活性燃料極層13aや固体電解質層13bの熱膨張係数を考慮して、フォルステライト(Mg2SiO4)、ステアタイト(MgSiO3)およびワラストナイト(CaSiO3)のいずれか一種を用いることが好ましく、特にはフォルステライト(Mg2SiO4)を用いることが好ましい。
また、無機被膜25は、多孔質支持体11の酸化を抑制すべく、緻密質とすることが好ましい。それゆえ、無機被膜25は、相対密度(アルキメデス法による)が85%以上、特に90%以上の緻密質であることが好ましい。それにより、燃料電池セルスタック1a(多孔質支持体11)が酸化することを抑制でき、燃料電池セルスタック1aが破損することを抑制できる。
具体的には、無機被膜25はケイ酸塩を85mol%以上含有することが好ましい。それにより、上述した相対密度(アルキメデス法による)が85%以上、特に90%以上の緻密質とすることができ、燃料電池セルスタック1aが破損することを抑制できる。
なお、無機被膜25は、その厚みを適宜設定することができ、例えば、燃料ガス排出側の端面の無機被膜25は、その厚みを20〜30μmとすることができ、燃料ガス排出側である一端部におけるガス流路12内における多孔質支持体11上の無機被膜25は、その厚みを10〜15μmとすることができる。それにより、燃料ガス排出側における多孔質支持体11の酸化を抑制することができるとともに、燃料ガス排出側である一端部の強度を向上することができ、燃料電池セルの破損を抑制することができる。
(燃料電池セルスタック製造方法)
次に、前記した横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック1aの製造方法について、図5および図6を参照して、説明する。
まず、多孔質支持体成形体41を作製する。多孔質支持体成形体41の材料として、体積基準での平均粒径(D50)(以下、単に「平均粒径」という。)が0.1〜10.0μmのMgO粉末に、必要により熱膨張係数調整用または接合強度向上用として、Ni粉末、NiO粉末、Y23粉末、または、希土類元素安定化ジルコニア粉末(YSZ)などを所定の比率で配合して混合し、混合後の熱膨張係数が固体電解質層13bのそれとほぼ一致するように調整する。この混合粉末を、ポアー剤と、セルロース系有機バインダーと、水とからなる溶媒と混合し、押し出し成形して、図5に示すように、内部にガス流路42を有する中空の板状形状で、扁平状の多孔質支持体成形体41を作製し、これを乾燥後、900℃〜1100℃、2〜4時間で仮焼処理する。ガス流路の直径は、押し出し成形時に調整する。
燃料電池セルスタック1aの燃料ガス排出側である多孔質支持体成形体41の端面の外縁の角部に面取り加工(例えば、C面取り加工、R面取り加工等)を施す場合は、リューターや、サンドペーパー、あるいは治具や、平面研削機などを用いて加工することができる。
次いで、燃料極層、固体電解質層を作製する。まず、例えば、NiO粉末、Ni粉末と、YSZ粉末とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、ドクターブレード法にてスラリーを塗布して乾燥し、厚さ5〜20μmの活性燃料極層テープ43aを作製する(図6(a))。
次に、活性燃料極層テープ43aと同様にして、例えば、NiO粉末、Ni粉末と、Y23などの希土類元素酸化物とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、ドクターブレード法にてスラリーを塗布して乾燥し、厚さ80〜200μmの集電燃料極層テープ43を作成する。この集電燃料極層テープ43に前記活性燃料極層テープ43aを貼り付ける(図6(b))。当該貼り合わせたテープを燃料電池セル13の形状にあわせて切断し、絶縁部を形成する部分を打ち抜く(図6(c))。
その後、図6(d)に示すように、活性燃料極層テープ43aが貼り付けられた集電燃料極層テープ43を、前記仮焼した多孔質支持体成形体41に、横縞状に貼り付ける。これを繰り返し行い、多孔質支持体成形体41の表面に複数の集電燃料極層テープ43を貼り付ける。なお、このとき一方の集電燃料極層テープ43と、他方の集電燃料極層テープ43とは、幅3〜20mmの間隔をあけて配置する。
次に、この集電燃料極層テープ43を貼り付けた状態で乾燥し、その後、900〜1300℃の温度範囲で2〜4時間仮焼する(図6(d))。そして、活性燃料極層43aのインターコネクタ47aを形成したい部分に、マスキングテープ48を貼り付ける(図6(e))。
次に、この積層体を、8YSZにアクリル系バインダーとトルエンを加えてスラリーとした固体電解質層成形体用溶液に浸漬した後、固体電解質層成形体用溶液から取り出す。これにより、全面に固体電解質層成形体43bの層が塗布されるとともに、前記図6(c)で打ち抜いた空間にも絶縁体である固体電解質層成形体43bが充填される。
なお、多孔質支持体成形体の燃料ガス排出側の一端部(非発電部の一端部)には、無機被膜を設けるために、多孔質支持体成形体の燃料ガス排出側の端部から20〜25μm空けて固体電解質層成形体を設ける。
この状態で、900〜1200℃、2〜4時間仮焼する。この仮焼中に、マスキングテープ48とその上に塗布された固体電解質層成形体43bの層を除去することができる。(図6(f))。
次に、インターコネクタ47aを形成する部位にランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)の粉末と有機バインダーとを混合してなるインターコネクタ用原料を塗布する(図6(g))。この後、1450〜1550℃で2〜8時間焼成する。
続いて、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩(例えば、フォルステライト等)95wt%以上と、ガラス成分と、溶媒等とを含有する溶液(スラリー)に、固体電解質層成形体43bが形成されていない多孔質支持体成形体41の燃料ガス排出側の端部領域上の少なくとも一部を浸漬して、無機被膜成形体を作製する。なお、浸漬時間は無機被膜成形体が目的とする厚みとなるように適宜設定することができる。
次いで、無機被膜成形体を焼成して、無機被膜25を作製する。なお、無機被膜成形体を焼成するにあたって、固体電解質層成形体43bの焼成温度より、200℃以上低いことが好ましく、例えば1200℃〜1400℃で行うことが好ましく、焼成時間としては、2〜6時間とすることができる。
次に、固体電解質層成形体43b上に、ランタンコバルタイト(LaCoO3)と有機バインダーとを混合したスラリーを印刷し、厚さ10〜100μmの空気極層成形体43cを形成する。そして、950〜1150℃、2〜5時間焼き付ける(図6(h))。
最後に、ランタンコバルタイト(LaCoO3)と有機バインダーとを混合したスラリーを、セル接続材47bを形成したい部分に印刷し、900〜1150℃、2〜5時間焼き付けることで、燃料電池セルスタック1aを得ることができる(図6(i))。
なお、前記した各層の積層方法については、テープ積層、ペースト印刷、ディップコート、および、スプレー吹きつけのいずれの積層法を用いてもよい。好ましくは、積層時の乾燥工程が短時間であり、工程の短時間化の観点から、ディップコートにより各層を積層する。
以上のような製造方法により、多孔質支持体11の燃料ガス排出側である一端部領域上の少なくとも一部に無機被膜25が形成された燃料電池セルスタック1a〜1cを容易に作製することができる。
(燃料電池)
上述したような燃料電池セルスタックを複数個組み合わせることにより横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックバンドルとし、該バンドルと、燃料電池セルスタックを作動させるための補機とを収納容器内に収納することにより、本発明の燃料電池とすることができる。それにより、長期信頼性の向上した燃料電池とすることができる。
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において、種々の改善や変更が可能である。例えば、無機被膜25等の形成順序は、特に限定されず、無機被膜25を空気極層形成後に形成してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックの作製>
まず、多孔質支持体成形体を作製した。該多孔質支持体成形体の材料として、平均粒径(D50)が2.8μmのMgO粉末に、NiOおよびY23粉末を配合して混合し、熱膨張係数が固体電解質層のそれとほぼ一致するように調整した(すなわち11.0×10-6(1/K))。この混合粉末を、ポアー剤と、セルロース系有機バインダーと、水とからなる溶媒に混合し、押出し成形して、内部にガス流路を有する中空の板状形状で、扁平状の多孔質支持体成形体を作製し(図5参照)、これを乾燥後、1100℃、4時間で仮焼処理した。
ついで、燃料ガス排出側における端面の外周の角部に、面取り後の形状がC面形状となるように、C面加工を施した。なお、C面は、ガス流路の端部からC面加工後の角部までの長さが500μmとなるように加工した。
次に、NiO粉末とYSZ粉末とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、ドクターブレード法にてスラリーを塗布して乾燥し、厚さ20μmの活性燃料極層テープを作製した(図6(a)参照)。
次に、NiO粉末と、Y23の希土類元素酸化物とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、ドクターブレード法にてスラリーを塗布して乾燥し、厚さ130μmの集電燃料極層用テープを作製した。この集電燃料極層テープ上に前記活性燃料極層テープを貼り付け(図6(b)参照)、当該貼り合わせたテープを燃料電池セルの形状にあわせて切断し、絶縁部を形成する部分を打ち抜いた(図6(c)参照)。
その後、活性燃料極層テープが貼り付けられた集電燃料極層テープを、前記仮焼した多孔質支持体成形体に、横縞状に長手方向に沿って幅5mmの間隔をあけて複数貼り付けた。
次に、この集電燃料極層テープを貼り付けた状態で乾燥し、その後、1200℃で2時間仮焼し(図6(d)参照)、活性燃料極層上のインターコネクタを形成したい部分に、マスキングテープを貼り付けた(図6(e)参照)。
次に、この積層体を、8YSZにアクリル系バインダーとトルエンを加えてスラリーとした固体電解質層成形体用溶液に浸漬した後、固体電解質層成形体用溶液から取り出した。多孔質支持体成形体の燃料ガス排出側の一端部(非発電部の一端部)に、無機被膜を設けるために、多孔質支持体成形体の燃料ガス排出側の端部から20μm空けた他は、この浸漬により、全面に固体電解質層成形体が形成されるとともに、隣接セル間である絶縁部の部分にも固体電解質層成形体を設けた。
この状態で、900℃で2時間仮焼した。仮焼を終えた時点で、マスキングテープおよびマスキングテープ上の不要な固体電解質層成形体を除去した(図6(f)参照)。
次に、インターコネクタを形成する部位にランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)の粉末と有機バインダーとを混合してなるインターコネクタ用原料を塗布し(図6(g)参照)、多孔質支持体成形体上に集電燃料極層成形体、活性燃料極層成形体、固体電解質層成形体およびインターコネクタ用原料が積層された状態で、1480℃で2時間焼成を行った。
続いて、この燃料電池セル成形体の燃料ガス排出側の一端部(非発電部の一端部)から固体電解質層成形体が形成されていない多孔質支持体成形体までを、フォルステライト(Mg2SiO4)を主成分とし、これにガラス成分と溶媒とを含有する溶液中(フォルステライト(Mg2SiO4)が95mol%含有)に浸漬し、ガス流路内部を含めたガス排出口領域上に無機被膜成形体を形成し、1300℃にて3時間焼成処理を行なって、無機被膜を形成した。
次に、ランタンコバルタイトLaCoO3とイソプロピルアルコールとを混合したスラリーを、固体電解質層成形体上に印刷して空気極層成形体を形成し、この空気極層成形体を1100℃、2時間の条件で焼き付けて厚さ50μmの空気極層を形成した(図6(h)参照)。
最後に、ランタンコバルタイト(LaCoO3)とイソプロピルアルコールとを混合したスラリーを、空気極層上から隣接する燃料電池セルの固体電解質層上にかけて印刷し、1000℃、4時間の条件で焼き付けて、セル接続材を形成し、実施例の燃料電池セルスタックを得た(図6(i)参照)。
(比較例1)
実施例の無機被膜に代えて、8YSZの無機被膜を形成した他は、実施例と同様にして、燃料電池セルスタックを得た。
(比較例2)
実施例の無機被膜を形成しなかった他は、実施例と同様にして、燃料電池セルスタックを得た。
<評価試験>
(1)900℃昇降温サイクル試験
収納容器内に燃料電池セルスタックを収納し、燃料ガスとしてN2およびH2を、燃料電池セルスタック内のガス流路内にそれぞれN2:1.67L/分、H2:0.42L/分の流量で流し、さらに空気を燃料電池セルスタック外面に流量48L/分で流しながら、収納容器外部から加熱し、収納容器内の温度を室温から500℃/時の昇温速度で900℃まで昇温させた。900℃到達後に、空気流量はそのまま保ち、N2の噴出を止め、H2流量を0.644L/分に増量したガス噴出下で30分間保持した。その後、昇温時と同様のガス噴出下で、500℃/時の降温速度で降温し、室温(50℃程度)まで温度が下がった時点を1サイクルとした。そして、上記燃料電池セルスタックの燃料ガス排出側の先端部が破壊するサイクル数を調べた。
(2)室温サイクル試験
室温下で、燃料ガスとして都市ガスを用い、燃料電池セルスタック内のガス流路内に流量0.4L/分で流し、先端部から排出される燃料ガスにバーナーで着火した。燃焼状態を10分間保持し、その後、燃料ガスの噴出を止めた。収納容器内の温度が室温(50℃程度)まで下がった時点を1サイクルとした。そして、上記燃料電池セルスタックの燃料ガス排出側の端部が破壊するサイクル数を調べた。
上記試験の結果を表1に示す。
Figure 2011154935
表1に示したとおり、多孔質支持体の燃料ガス排出側の一端部(非発電部の一端部)に、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩であるフォルステライトを主成分とする無機被膜を設けた実施例の燃料電池セルスタックにおいては、無機被膜を8YSZとした比較例1および無機被膜を設けていない比較例2の燃料電池セルスタックに比べて、900℃昇降温サイクルおよび室温サイクルともに先端破壊に至るまでの回数を向上することができた。それゆえ、多孔質支持体の燃料ガス排出側の一端部(非発電部の一端部)に、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩であるフォルステライトを主成分とする無機被膜を設けることで、端部破壊を抑制することができることが確認できた。
1a、1b、1c 横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック
11 多孔質支持体
12 ガス流路
13 燃料電池セル
13a 活性燃料極層
13b 固体電解質層
13c 空気極層
13d 集電燃料極層
17a インターコネクタ
17b セル接続材
25 無機被膜
41 多孔質支持体成形体
43 集電燃料極層用テープ
43a 活性燃料極層成形体
43b 固体電解質層成形体
43c 空気極層成形体
47a インターコネクタ
47b セル接続材
48 マスキングテープ
51 隔壁

Claims (6)

  1. 長手方向に沿って燃料ガスを流すためのガス流路を内部に備え、一端側に前記ガス流路の燃料ガス導入口を有し、他端側に前記ガス流路の燃料ガス排出口を有してなる電気絶縁性の多孔質支持体上に、燃料極層、固体電解質層および空気極層が順次積層された多層構造を有する燃料電池セルが、前記多孔質支持体の長手方向に沿って複数配置されてなる横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックであって、
    前記多孔質支持体の他端側領域上の少なくとも一部に、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を主成分として含有する無機被膜が設けられていることを特徴とする横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  2. 前記多孔質支持体の他端における外周の角部が、面取りされていることを特徴とする請求項1に記載の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  3. 前記無機被膜が、前記周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を、85mol%以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  4. 前記周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩が、フォルステライト(Mg2SiO4)、ステアタイト(MgSiO3)およびワラストナイト(CaSiO3)から選ばれる一種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  5. 前記無機被膜が、前記周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を主成分として含有するスラリーを焼成して形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックを収納容器内に複数収容してなることを特徴とする燃料電池。
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