JP2005135877A - 燃料電池セル及び燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 クラックが発生せず、出力の安定した燃料電池セルを提供する。
【解決手段】 内部にガス通路31を有し、かつ当該ガス通路のガス出口側近傍の外周面に無機材料構造体36を嵌合させた構造を有することを特徴とする燃料電池セル30。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池セル及び燃料電池に関するものである。
次世代エネルギーとして、近年、燃料電池セルのスタックを収納容器内に収容した燃料電池が種々提案されている。
従来の燃料電池セルとして、燃料極、固体電解質、酸素極を順次積層して構成される固体酸化物燃料電池が開示されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1では、酸素極が支持体となっており、この酸素極の内部にガス通路が形成され、このガス通路に供給される空気とセル外部に供給される燃料ガスにより発電される。
特開昭63−261678号公報
従来の燃料電池セルを長期間使用すると、ガス通路内のガス出口側における燃料極を構成する金属ニッケルが酸化を受け、その部分にクラックが発生するという問題があった。特に近年、セルの電流経路の点から内側に燃料極もしくは金属ニッケルを含有する支持体を用いた燃料極支持の燃料電池セルが開発されているが、この場合、長時間の使用等により燃料極又は支持体のニッケルが酸化を受け、その酸化が進行すると酸化された部分とそれ以外の部分との熱膨張係数が異なるため、高応力が発生し、クラックが発生する。このクラックは成長し、電極部の破壊もしくは燃料の漏れを引き起こし、出力電圧を低下させるという問題があった。
本発明は、燃料電池の長期使用においても、セルにクラックが発生せず、出力電圧が低下しない、安定した燃料電池セル及び燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、燃料電池セルのガス出口側近傍の外周面に無機材料構造体を嵌合させた構造とすることにより、長時間高温に曝されてもセルにクラックが発生しないことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、内部にガス通路を有し、かつ当該ガス通路のガス出口側近傍の外周面に無機材料構造体を嵌合させた構造を有することを特徴とする燃料電池セルに関する発明である。
本発明においては、ガス出口側近傍の外周面に無機材料構造体を嵌合することにより、例えば図1に示すように燃料極と支持体とが空気中の酸素と接触して酸化されるのを抑制するばかりでなく、更に、酸化された部分とそれ以外の部分との熱膨張係数の相違から生ずる高応力の発生に基づくクラックが発生するのを圧縮応力によっても防止できる。
従って、本発明の燃料電池セルは、長期使用においてもセルにクラックが発生せず、出力電圧の低下も発生せず安定した出力が得られる。
発明においては、更に、
1.前記ガス通路が支持体内に設けられ、かつ該支持体に少なくとも固体電解質及び電極を設けてなること、
2.支持体上に燃料極層、固体電解質層、及び酸素極層を順次積層してなり、かつ固体電解質層の外周面に無機材料構造体が嵌合されていること、
3.前記無機材料構造体の熱膨張係数α1と支持体の熱膨張係数α2との関係が下記の式(1)で表されること、
0<α2−α1≦8×10−6/℃ (1)
4.無機材料構造体が、石英ガラス、窒化珪素、アルミナ、フォルステライト、又はクウォーツであること、
5.無機材料構造体が直方体の外形形状を有し、且つ、嵌合されている支持体部分の長手方向の全長を規定する外側面を覆う部分の無機材料構造体の厚みTが1〜10mmであること
が望ましい。
本発明の燃料電池は、上記燃料電池セルを収納容器内に収納してなるものである。このような燃料電池では、上記したように燃料電池セルの長期使用においてもクラックが発生しないので、長期信頼性を向上できる。
本発明の燃料電池セルの実施態様の1例を示す斜視図である図1において、全体として30で示す燃料電池セルは、平行に延在する一対の平坦面と、該平坦面を接続する接続面とからなっている支持体31を備えている。支持体31の内部には、適当な間隔で複数の燃料ガス通路31aが形成されており、燃料電池セル30は、この支持体31上に各種の部材が設けられた構造を有している。
また、本発明の燃料電池セルは、図2に示すように支持体31の外表面には燃料極層32が設けられており、さらに、この燃料極層32を覆うように、緻密質な固体電解質層33が積層されており、この固体電解質層33の外表面の一部には、燃料極層32と対面するように、一方の平坦面に酸素極34が積層されている。また、燃料極層32及び固体電極層33が積層されていない平坦部の他方の平坦面には、インターコネクタ35が形成されている。図2に示す通り、支持体31の側面が外部に露出しないように燃料極層32が燃料出口の先端面まで延びており、更に固体電解質層33は燃料極層32を被覆するように両先端まで延びるように構成されている。
酸素極34が形成されていない燃料電池セル30の燃料ガスの出口側近傍の支持体上には燃料極層(又は燃料極層と反応防止層)と固体電解質層33を積層させて、更に固体電解質層33の外表面側に無機材料構造体36を嵌合させている。
尚、無機材料構造体36は、ガスリークを防止する点から緻密である固体電解質層33とインターコネクタ35との外表面側に嵌合させているが、固体電解質層33の外表面側、固体電解質層33とインターコネクタ35との外表面側、更に燃料電池セル30を構成する他の部材を積層させた最外表面側に嵌合させることもできる。
このような構造を有する燃料電池セル30では、燃料極32と支持体31とが空気中の酸素と接触して酸化されるのを抑制できるばかりでなく、仮に、支持体中のニッケルが酸化されたとしても、嵌合体である無機材料構造体の圧縮応力によって、酸化された部分とそれ以外の部分との熱膨張係数の相違から生ずる高応力の発生に基づくクラックが発生するのを防止できる。
また、前記無機材料構造体36の熱膨張係数α1と支持体31の熱膨張係数α2との関係が下記の式(1)で表されることが好ましい。
0≦α2−α1≦8×10−6/℃ (1)
尚、式(1)において、熱膨張係数α2は、無機材料構造体が嵌合されている支持体の熱膨張係数であるが、後述するように、通常、支持体上に積層されている燃料極層、固体電解質層を構成する材料の熱膨張係数はいずれにも合致するように設計されている。
熱膨張係数の関係(α2−α1)は0よりも大きいことが望ましい。0より大きい場合には、嵌合体である無機材料構造体から燃料電池セル30側に圧縮力が働き、クラックを抑制する効果が生ずる。また、この関係(α2−α1)が8×10−6/℃を超えると、圧縮力が大きくなり、燃料電池セル30にクラック、もしくは無機材料構造体36にクラックが発生するおそれがある。
無機材料構造体が直方体の外形形状を有している場合、嵌合されている支持体部分の長手方向の全長を規定する外側面を覆う部分の無機材料構造体の厚みT(図3参照)は1〜10mmであることがこのましい。前記厚みTが1mm未満であると、圧縮力が小さくなり、クラック抑制効果が無いか、又は無機材料構造体36の強度が小さく、無機材料構造体36にクラックが生じるおそれがある。
一方、セルの厚み方向側の面、即ち、平坦面を接続する接続面と対向する部分の厚みTが10mmを超えると圧縮力が大きくなり、燃料電池セル30及び無機材料構造体36にクラックが発生するおそれがある。
無機材料構造体を構成する材料は、特に限定されるものではないが、支持体のα2に近いという点から石英ガラス、窒化珪素、アルミナ、フォルステライト、又はクウォーツから適宜選択して使用できる。
上記したように支持体のα2は固体電解質に近づけるように設計されており、またセルの熱膨張係数は体積的に最も大きい支持体に支配される。支持体、固体電解質の熱膨張係数は、(10.6〜11.6)×10−6/℃であるため、熱膨張係数α1がα2よりも少々小さい窒化珪素、アルミナ、フォルステライトが望ましい。
また、その形状も本発明の燃料電池セルの当該ガス出口側近傍の外周面に嵌合できる構造であれば特に限定されるものではなく、本発明の燃料電池セルの形状により適宜選択できるものであるが、例えば、直方体のような角柱形状、平行に延在する一対の平坦面と、該平坦面を接続する接続面を有するような、本発明で使用する支持体と相似形の構造物等とすることができる。
上記のような構造の燃料電池セルでは、図2に示す、燃料極層32の酸素極34と対面している部分が燃料極として作動して発電する。即ち、酸素極34の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ支持体31内のガス通路に燃料ガス(水素)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより、酸素極34で下記式(2)の電極反応を生じ、また燃料極層32の燃料極となる部分では例えば下記式(3)の電極反応を生じることによって発電する。
酸素極: 1/2O+2e → O2− (固体電解質)・・・・・(2)
燃料極: O2− (固体電解質)+ H → HO+2e・・・(3)
かかる発電によって生成した電流は、支持体31に取り付けられているインターコネクタ35を介して集電される。
上記のような構造を有する本発明の燃料電池セルにおいて、支持体31は、燃料ガスを燃料極まで透過させるためにガス透過性であること、及びインターコネクタを介しての集電を行うために導電性であることが必要であり、また、同時焼成により生じる不都合を回避するために、支持体31は鉄属金属成分と特定の希土類酸化物とから構成されるのが望ましい。
鉄族金属成分は、支持体31に導電性を付与するためのものであり、鉄族金属単体であってもよいし、また鉄族金属酸化物、鉄族金属の合金もしくは合金酸化物であってもよい。鉄族金属には、鉄、ニッケル及びコバルトがあり、本発明では何れをも使用することができるが、燃料ガス中で安定であること、入手の容易さと価格の点からNi及び/またはNiOを鉄族成分とし使用するのが好ましい。
また希土類酸化物成分は、支持体31の熱膨張係数を、固体電解質層33を形成している安定化ジルコニアと近似させるために使用されるものであり、高い導電率を維持し且つ固体電解質層33等への拡散を防止するために、希土類元素を含む酸化物の中でもY、又はYbの使用が望ましい。
本発明においては、特に支持体31の熱膨張係数を、固体電解質層33を形成する安定化ジルコニアと近似させるという点から、上述した鉄族成分は、支持体31中に35〜65体積%の量で含まれ、希土類酸化物は、支持体31中に35〜65体積%の量で含まれていることが好適である。
上記のような鉄族金属成分と希土類酸化物とから構成される支持体31は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、通常、開気孔率が30%以上、特に35乃至50%の範囲にあることが好適である。また、支持体31の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
また、支持体31の平坦面の長さは、通常、15〜35mm、円弧状接続面の長さ(弧の長さ)は、3〜8mm程度であり、支持体31の厚み(平坦面Aの両面の間隔)は2.5〜5mm程度であることが望ましい。
本発明において、燃料極層32は、前述した式(3)の電極反応を生じせしめるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスから形成される。例えば、希土類元素が固溶しているZrOと、Ni及び/またはNiOとから形成される。この希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニア)としては、以下に述べる固体電解質層33の形成に使用されているものと同様のものを用いるのがよい。
また、図2の例では、この燃料極層32は、インターコネクタ35の両サイドにまで延びているが、酸素極34に対面する位置に燃料極が形成されていればよいため、例えば酸素極34が設けられている側の平坦面にのみ燃料極層32が形成されていてもよい。
この燃料極層32上に設けられている固体電解質層33は、一般に3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrOで、通常、安定化ジルコニアと呼ばれる緻密質なセラミックスから形成されている。希土類元素としては、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu等を例示することができるが、入手の容易さと価格の点からY、Ybが望ましい。
酸素極34は、所謂ABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成される。かかるペロブスカイト型酸化物としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにLaを有するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物の少なくとも1種が好適であり、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaFeO系酸化物が特に好適である。尚、上記ペロブスカイト型酸化物においては、AサイトにLaと共にSrなどが存在していてもよいし、さらにBサイトには、FeとともにCoやMnが存在していてもよい。
支持体31上に設けられているインターコネクタ35は、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)が使用される。また、支持体31の内部を通る燃料ガス及び支持体31の外部を通る酸素含有ガスのリークを防止するため、かかる導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好適である。
尚、支持体31からのインターコネクタ35の剥離防止のために、支持体31とインターコネクタ35との間に接合層38を設けることができる。該接合層は、例えば、Ni或いはNiO粉末と安定化ジルコニア粉末から形成することができる。
インターコネクタ35の外表面には、P型半導体層37が設けられている。
インターコネクタ35には、導電性の集電部材(図示せず)が接続されるが、集電部材を直接インターコネクタ35に直接接続すると、非オーム接触により、電位降下が大きくなってしまい、集電性能が低下してしまう。このようなP型半導体としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物を例示することができる。
以上のような構造を有する燃料電池セルは、以下のようにして製造される。
先ず、Ni等の鉄族金属或いはその酸化物粉末と、Yなどの希土類酸化物の粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合してスラリーを調製し、このスラリーを用いて押出成形により、支持体成形体を作製し、これを乾燥する。
次に、燃料極層形成用材料(例えば、Ni或いはNiO粉末と安定化ジルコニア粉末からなる材料)、有機バインダー及び溶媒を混合してスラリーを調製し、このスラリーを用いて燃料極層用のシートを作製する。また、燃料極層用のシートを作製する代りに、燃料極形成用材料を溶媒中に分散したペーストを、上記で形成された支持体成形体の所定位置に塗布し乾燥して、燃料極層用のコーティング層を形成してもよい。さらに、安定化ジルコニア粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合してスラリーを調製し、このスラリーを用いて固体電解質層用シートを作製する。
上記のようにして形成された支持体成形体、燃料極用シート及び固体電解質層用シートを、例えば図2に示すような層構造となるように積層し、乾燥する。この場合、支持体成形体の表面に燃料極層用のコーティング層が形成されている場合には、固体電解質層用シートのみを支持体成形体に積層し、乾燥すればよい。
この後、インターコネクタ用材料(例えば、LaCrO系酸化物粉末)、有機バインダー及び溶媒を混合してスラリーを調製し、インターコネクタ用シートを作製する。
このインターコネクタ用シートを、上記で得られた積層体の所定位置にさらに積層し、焼成用積層体を作製する。
次いで、上記の焼成用積層体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中、1300〜1600℃で同時焼成し、得られた焼結体の所定の位置に、酸素極形成用材料(例えば、LaFeO系酸化物粉末)と溶媒を含有するペースト、及び必要により、P型半導体層形成用材料(例えば、LaFeO系酸化物粉末)と溶媒を含むペーストを、ディッピング等により塗布し、1000〜1300℃で焼き付けた。
尚、得られたセルの燃料ガス出口側先端部には酸素極が形成されておらず、先端部の最先面は図2に示したように緻密な固体電解質、又はインターコネクタとされている。
最後に、嵌合体用の無機材料粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合してスラリーを調製し、一軸加圧成形法を用いて、図1に示すような嵌合成形体を作製した。得られた成形体を1200℃〜1800℃で焼成して、緻密な無機嵌合体を得た。この無機嵌合体を上記で作製した燃料電池セル30に嵌め込み、セルと無機材料構造体との隙間にガラスペーストやセラミックペーストを充填し接合固定することで、図1に示す構造の本発明の燃料電池セルを製造することができる。
尚、支持体31や燃料極層32の形成にNi単体を用いた場合には、酸素含有雰囲気での焼成により、Niが酸化されてNiOとなっているが、必要により、還元処理することにより、Niに戻すことができる。また、発電中に還元雰囲気に曝されるため、この時にもNiに還元されることになる。
本発明を次の実験例で説明する。
平均粒径0.5μmのNiO粉末と、Y粉末(平均粒径は0.8〜1.0μm)を、焼成後における体積比率が、還元後にNiOは、Ni換算で65体積%となり、Yは35体積%となるように混合した。
上記の混合粉末に、増孔剤、有機バインダー(ポリビニルアルコール)と、水(溶媒)とを混合して形成した支持体用スラリーを押出成形し、外表面が平行に延在する一対の平坦面と、該平坦面を接続する円弧状接続面とからなる支持体用成形体を作製し、これを乾燥した。得られた成形体を脱バインダー処理し、大気中にて1000℃で仮焼した。
次に、8モル%Yを含有するZrO(YSZ)粉末と、NiO粉末と、有機バインダー(アクリル樹脂)と、溶媒(トルエン)とを混合したスラリーを用いて燃料極層形成用シートを作製し、また、前記YSZ粉末と、有機バインダー(アクリル樹脂)と、トルエンからなる溶媒とを混合したスラリーを用いて、固体電解質層用シートを作製し、これらのシートを積層した。
この積層シートを、上記支持体用成形体に、その両端間が所定間隔をおいて離間するように(図2参照)巻き付け、乾燥した。
一方、平均粒径2μmのLaCrO系酸化物粉末と、有機バインダー(アクリル樹脂)と、溶媒(トルエン)とを混合したスラリーを用いて、インターコネクタ用シートを作製し、このシートを、上記積層シートにおける支持体用成形体の露出部分に積層し、支持体用成形体、燃料極層用シート、固体電解質層用シート、インターコネクタ用シートからなる焼結用積層シートを作製した。次に、この焼結用積層シートを脱バインダー処理し、大気中にて1500℃で同時焼成した。
得られた焼結体を、平均粒径2μmのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8粉末と、溶媒(ノルマルパラフィン)とからなるペースト中に浸漬し、焼結体に形成されている固体電解質層の表面に酸素極用コーティング層を設け、同時に、上記ペーストを焼結体に形成されているインターコネクタの外面に塗布し、P型半導体用コーティング層を設け、さらに、1150℃で焼き付け、図2に示すような燃料電池セルを作製した。
また、表1に示す材料と、有機バインダーと、溶媒とを混合して、無機材料構造体用粉末を作製した。得られた粉末を一軸加圧成形法により、図3に示すような、中空を有する直方体形状の構造体を成形した。この構造体を1200℃〜1800℃の条件で焼成することにより、縦26.2〜55.2mm、横7.2mm、厚さ10mmの直方体状で、貫通部寸法が25.2mm×3.2mmの無機材料構造体を作製した。尚、焼成の際に収縮する割合から、内部寸法が上記寸法になるように成形した。
また、構造体のセルの平坦面が当接する側の厚み(長辺部の肉厚)は2mmとしたが、円弧状接続面が当接する側の厚み(短辺部の肉厚)は表1に示すように変えた。この構造体を前記燃料電池セルの酸素極が形成されておらず、固体電解質が露出した先端部に嵌め込み、セルとの隙間にセラミックペーストを流し込み、接合固定した後、支持体、燃料極中のNiOを還元した。
この後、発電を行った。また、1000時間、2000時間後に炉から取り出し、目視による観察を行った。
Figure 2005135877
表1からも分かるように、無機材料構造体を有する本発明に係る燃料電池セルは、1000時間発電後においてもセル先端部にクラックが発生しなかった。特に、無機材料構造体として、窒化珪素、アルミナ、フォルステライトを用いた場合、すなわち、熱膨張係数差(α2−α1)が8×10−6/℃以下である試料No.2〜8は良好の結果が得られた。また、前記構造体の短辺部の肉厚Tが1〜10mmである試料No.2、4〜6、8は、2000時間後もセルにクラックが見られなかった。
一方、無機材料構造体を有しない比較例に相当するNo.10では300時間後に発電性能が極端に低下したため、炉から取り出し観察したところ、セル先端部にクラックが発生していた。
本発明の燃料電池セルは、発電システムに広く使用できる。
本発明の燃料電池セルの斜視図 本発明の無機材料構造体取付け前の燃料電池セルの斜視図 本発明の無機材料構造体平面図
符号の説明
31:支持体
31a:燃料ガス通路
32:燃料極
33:固体電解質
34:酸素極
35:インターコネクタ
36:無機材料構造体
37:p型半導体
38:接合層

Claims (7)

  1. 内部にガス通路を有し、かつ当該ガス通路のガス出口側近傍の外周面に無機材料構造体を嵌合させた構造を有することを特徴とする燃料電池セル。
  2. 前記ガス通路が支持体内に設けられ、かつ該支持体に少なくとも固体電解質及び電極を設けてなる請求項1記載の燃料電池セル。
  3. 支持体上に燃料極層、固体電解質層、及び酸素極層を順次積層してなり、かつ固体電解質層の外周面に無機材料構造体が嵌合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記無機材料構造体の熱膨張係数α1と支持体の熱膨張係数α2との関係が下記の式(1)で表されることを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池セル。
    0<α2−α1≦8×10−6/℃ (1)
  5. 無機材料構造体が、石英ガラス、窒化珪素、アルミナ、フォルステライト、又はクウォーツである請求項1乃至4の何れかに記載の燃料電池セル。
  6. 無機材料構造体が直方体の外形形状を有し、且つ、嵌合されている支持体部分の長手方向の全長を規定する外側面を覆う部分の無機材料構造体の厚みTが1〜10mmであることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の燃料電池セル。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の燃料電池セルを収納容器内に収納してなる燃料電池。
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