JP4707985B2 - 燃料電池セル及びセルスタック - Google Patents
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Description
本発明の他の目的は、セル間の接触抵抗が低減され、且つ高温の作動温度に曝されてもセル間を連結している集電部材の劣化が有効に抑制され、長期にわたって高い発電性能を維持できる固体電解質形燃料電池セルスタックを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、集電部材による外側電極へのガスの供給阻害が有効に抑制されている燃料電池セルスタックを提供することにある。
前記外側電極層上には、貴金属成分からなる第1の集電補助層が設けられており、
前記インターコネクタ上には、P型半導体層が設けられ、該P型半導体層上には、貴金属成分からなる第2の集電補助層が形成されているとともに、前記第1の集電補助層及び前記第2の集電補助層が、前記貴金属以外に、高融点金属成分を副成分として含有していることを特徴とする燃料電池セルが提供される。
本発明によれば、また、ガス通路を有し且つ内側電極形成材料からなるガス透過性の導電性支持基板を有し、該導電性支持基板の少なくとも一方の面に、固体電解質層及び外側電極層が、この順に積層されており、該導電性支持基板の他方の面にはインターコネクタが設けられている燃料電池セルにおいて、
前記外側電極層上には、貴金属成分からなる第1の集電補助層が設けられており、
前記インターコネクタ上には、P型半導体層が設けられ、該P型半導体層上には、貴金属成分からなる第2の集電補助層が形成されているとともに、前記第1の集電補助層及び前記第2の集電補助層が、前記貴金属以外に、高融点金属成分を副成分として含有していることを特徴とする燃料電池セルが提供される。
図2は、本発明の燃料電池セルの好適例の構造を示す図であり、図2中、(a)は横断面図、(b)は部分斜視図である。
図3は、図2の燃料電池セルの要部を拡大して示す図であり、図3中、(a)は部分拡大縦断面図であり、(b)は、一方の面の部分拡大平面図であり、(c)は他方の面の部分拡大平面図である。
図4は、図1の燃料電池セルから形成されたセルスタックの構造を示す図である。
図5は、図4のセルスタックの組み立てに使用される集電部材の好適例を示す図である。
図6は、図5のセルスタックを用いて形成される発電ユニットの構造を示す概略斜視図である。
酸素極層34: 1/2O2+2e− → O2− (固体電解質) (1)
燃料極層32: O2− (固体電解質)+ H2 → H2O+2e− …(2)
支持基板31は、燃料ガスを燃料極まで透過させるためにガス透過性であること、及びインターコネクタ35を介しての集電を行うために導電性であることが要求される。このことから、支持基板31は鉄属金属成分と特定の希土類酸化物とから支持基板31を構成することが望ましい。
本発明において、燃料極層32は、前述した式(2)の電極反応を生じせしめるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスから形成される。例えば、希土類元素が固溶しているCeO2(希土類セリア)又は希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニア)と、Ni及び/またはNiOとから形成される。
燃料極層32上に設けられている固体電解質層33は、特に限定されるものではないが、一般に3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrO2(安定化ジルコニア)の緻密質なセラミックスから形成されている。ジルコニアに固溶している希土類元素としては、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luを例示することができるが、高イオン伝導度であるという点からYb、Scが望ましい。
酸素極層34は、所謂ABO3型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成される。かかるペロブスカイト型酸化物としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにLaを有するLaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物の少なくとも1種が好適であり、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaFeO3系酸化物が特に好適である。尚、上記ペロブスカイト型酸化物においては、AサイトにLaと共にSrなどが存在していてもよいし、さらにBサイトには、FeとともにCoやMnが存在していてもよい。
上記の酸素極層34に対面するように、支持基板31上に設けられているインターコネクタ35は、導電性セラミックスからなるが、燃料ガス(水素)及び酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、かかる導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が使用される。また、支持基板31の内部を通る燃料ガス及び支持基板31の外部を通る酸素含有ガスのリークを防止するため、かかる導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好適である。
インターコネクタ35の外面(上面)に設けられているP型半導体層36は、図4に示されているように集電部材20を用いてのセルの接合によりセルスタックを構成したときに、集電部材20とインターコネクタ35との間に介在させることにより、接触抵抗による電位降下を少なくするためのものであり、これにより、集電性能の低下を有効に回避することが可能となり、例えば、一方の燃料電池セル30の酸素極層34からの電流を、他方の燃料電池セル30の支持基板31に効率良く伝達できる。
接合層37は、支持基板31とインターコネクタ35との接合強度を高めるために設けられる接着層であり、Ni金属及び/又はNi金属の酸化物と希土類で安定化したジルコニアからなり、接合層37中の安定化ジルコニア含量は、35乃至45体積%の範囲にあるのが好ましく、またNi或いはNiO含量は、65乃至55体積%であるのがよい。この接合層37においては、そのNi含量を、通常、燃料極層32のNi含有量よりも大きくすることが、電位降下を小さくする上で好適である。また、接合層37の厚みは10μm以下であることが望ましい。10μm以下の薄さにすることで、インターコネクタのクラック発生、インターコネクタの支持基板31からの剥離等を有効に抑えることができるからである。
固体電解質層33と、酸素極層34との間に設けられる拡散防止層38は、この拡散防止層は、酸素極層34と固体電解質層33との間でのLa等の元素拡散によって界面に絶縁層が形成されての出力低下を防止するためのものである。従って、このような元素拡散を遮断或いは抑制し得るのであれば、その材質は特に制限されないが、一般には、Smが固溶したCeO2からなる複合酸化物から形成される。この複合酸化物は、下記一般式;
(CeO2)1−x(SmO1.5)x
式中、xは、0<x≦0.3、特に0.1≦x≦0.2の数である、
で表される組成を有していることが、電気抵抗を低減するという点から好適である。
本発明において、外部電極層である酸素極層34の上面には、第1の集電補助層39aが設けられ、内側電極層である燃料極層32に導通しているインターコネクタ35上のP型半導体層36の上面には、第2の集電補助層39bが設けられる。即ち、集電部材20を用いての複数のセルの接合によりセルスタック(図4)を組み立てる場合、一方のセルのインターコネクタ35(或いはP型半導体層36)と他方のセルの酸素極層34とを、直接、導電性の集電部材20で接合すると、接触抵抗が大きく、電位降下が大きくなってしまい、集電性能が低下してしまう。しかるに、酸素極層34上に形成された第1の集電補助層39aと、P型半導体層36上に形成された第2の集電補助層39bとを集電部材20で接合することにより、接触抵抗が小さくなり、電位降下が低減され、集電性能の低下を有効に回避することが可能となり、例えば、一方の燃料電池セル30の酸素極層34からの電流を、他方の燃料電池セル30の支持基板31に効率良く伝達できるのである。
また、上記の例では、導電性支持基板31と燃料極層32とが別個の材料で形成され、独立した部材として形成されているが、かかる導電性支持基板31を燃料極層形成材料で形成することもできる。即ち、この場合には、導電性支持基板31自体が燃料極となるため、燃料極層32を形成する必要がない。
以上のような構造を有する燃料電池セルは、図2に示されているものを例にとると、以下のようにして製造される。
上記の燃料電池セル30は、その複数を、図4に示すように、集電部材20により、一方のセルの第1の集電補助層39aと隣り合うセルの第2の集電補助層39bとを接合することにより、燃料電池を構成するセルスタックを形成することができる。また、このセルスタックの複数は、サイドバイサイドに配列され、互いに金属板等の集電プレート21により互いに直列に接続され、電流が取り出されるようになっている。図4の例では、2つのセルスタックが配置されており、それぞれ発電ユニットA,Bを形成している。
30・・・燃料電池セル
31・・・支持基板
31a・・・燃料ガス通路
32・・・燃料極層
33・・・固体電解質層
34・・・酸素極層
35・・・インターコネクタ
36・・・P型半導体層
39a,39b・・・集電補助層
Claims (12)
- ガス通路を有するガス透過性の導電性支持基板を有し、該導電性支持基板の少なくとも一方の面に、内側電極層、固体電解質層及び外側電極層が、この順に積層されており、該導電性支持基板の他方の面にはインターコネクタが設けられている燃料電池セルにおいて、
前記外側電極層上には、貴金属成分からなる第1の集電補助層が設けられており、
前記インターコネクタ上には、P型半導体層が設けられ、該P型半導体層上には、貴金属成分からなる第2の集電補助層が形成されているとともに、前記第1の集電補助層及び前記第2の集電補助層が、前記貴金属以外に、高融点金属成分を副成分として含有していることを特徴とする燃料電池セル。 - ガス通路を有し且つ内側電極形成材料からなるガス透過性の導電性支持基板を有し、該導電性支持基板の少なくとも一方の面に、固体電解質層及び外側電極層が、この順に積層されており、該導電性支持基板の他方の面にはインターコネクタが設けられている燃料電池セルにおいて、
前記外側電極層上には、貴金属成分からなる第1の集電補助層が設けられており、
前記インターコネクタ上には、P型半導体層が設けられ、該P型半導体層上には、貴金属成分からなる第2の集電補助層が形成されているとともに、前記第1の集電補助層及び前記第2の集電補助層が、前記貴金属以外に、高融点金属成分を副成分として含有していることを特徴とする燃料電池セル。 - 前記内側電極層が燃料極層であり、前記外側電極層が酸素極層である請求項1または2に記載の燃料電池セル。
- 前記P型半導体層は、20%以上の気孔率を有し、且つ5μm以上の最大表面粗さRmax(JIS B 0601)を有している請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池セル。
- 前記第1の集電補助層は、外側電極層上に、間欠的に複数形成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池セル。
- 前記貴金属がPt,Ag、Pdまたはこれらの合金乃至混合物である請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池セル。
- 前記P型半導体層が、AサイトにLaを含有するペロブスカイト型酸化物から形成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池セル。
- 請求項1乃至7の何れかに記載の燃料電池セルの複数を電気的に直列に接続してなるセルスタックにおいて、隣り合う前記燃料電池セルの前記第1の集電補助層と前記第2の集電補助層とが、金属乃至合金製のフラットな接合面を有する集電部材によって接合されていることを特徴とするセルスタック。
- 前記集電部材は、表面に、主成分として前記貴金属を含み且つ副成分として前記高融点金属を含む導電性保護膜を有している請求項8に記載のセルスタック。
- 前記集電部材は、板状の基部と、該基部から櫛歯状に延びている複数の櫛歯状接合部とを有している請求項8または9に記載のセルスタック。
- 前記複数の櫛歯状接合部とは互い違いに、屈曲もしくは傾斜した足部を介して複数の角柱針状突起が前記基部から延びており、該複数の角柱針状突起は、前記櫛歯状接合部とは異なる接合部を形成している請求項10に記載のセルスタック。
- 前記集電部材は、平板状基部の上面及び下面のそれぞれに、フラットな上面あるいは下面を有する接合突部が適当な間隔で配列されている請求項8または9に記載のセルスタック。
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